JP4067849B2 - フレキソ印刷用感光性構成体及びその製造方法 - Google Patents

フレキソ印刷用感光性構成体及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はフレキソ印刷版の製版に用いられるフレキソ印刷用感光性樹脂組成物、フレキソ印刷用構成体及びフレキソ印刷版に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般的なフレキソ印刷用感光性構成体は支持体としてポリエステルフィルムを使用し、その上に感光性樹脂を積層した構成となっている。フレキソ印刷用感光性構成体を製版する方法は、まず支持体を通して全面に紫外線露光を行い(バック露光)、薄い均一な硬化層を設け、次いで透明画像担体(ネガフィルム)を通して感光性樹脂の面に画像露光(レリーフ露光)を行った後、未露光部分を現像用溶剤で洗い流して所望の画像、即ちレリーフ画像を形成、印刷版を得るという手順をとっている。
【0003】
得られたフレキソ印刷版は印刷機の版胴に両面テープなどで固定されて使用されるが、印刷の際に印刷版に版胴と圧胴の間でせん断応力が生じる。このせん断応力にて印刷版が支持体から剥離してしまうことがあった場合は印刷を中断しなければならないなどのトラブルとなってしまう。また印刷終了後に版胴から印刷版を剥がすときに感光性樹脂を引っ張ることで版胴から剥離されることがあり、その場合は感光性樹脂と支持体に応力がかかる。このときに支持体と感光性樹脂層が剥離した場合、印刷版を再使用することができないため、改めて印刷版を作成しなければならなくなる。
【0004】
このような観点から支持体であるポリエステルフィルムと感光性樹脂は強固に接着している必要があり、その接着力は180゜の剥離角度で、支持体と感光性樹脂を強制剥離させた場合、5.9N/cm以上あることが望ましい。
しかし、一般的に支持体として使用されているポリエステルフィルムと感光性樹脂を積層した場合、両者の極性の違いから十分に接着させることは難しいとされている。
【0005】
一般的なフレキソ印刷用感光性樹脂構成体は支持体であるポリエステルフィルムと感光性樹脂層の間に接着剤層を設けることで、両者を接着させている。支持体であるポリエステルフィルム上に接着剤層を設け、感光性樹脂とポリエステルフィルムを接着させる方法が特開2000−155410号公報に例示されている。通常、接着剤層の厚みは5〜30μm程度の厚みであり、また接着剤層はポリエステルフィルムを製造後に別工程でコーティングされる、いわゆるオフライン工程でコーティングされることが一般的である。
【0006】
ポリエステルフィルムにはフィルムの滑り性、インキなどの濡れ性、ガスバリヤー性などの向上を目的に下引き層が設けられることがある。この下引き層の一例として、接着性を向上させる目的で塗布される層があり、接着性を向上させる目的で塗布された下引き層を有するフィルムは易接着フィルムと呼ばれる(以下、易接着フィルムとする)。これらの下引き層は通常0.001〜1μm程度の厚みで塗布される。
【0007】
下引き層を有する易接着フィルムは二軸延伸フィルムを製造する工程で下引き層成分を塗布する、いわゆるインライン工程で製造されることが一般的である。
このポリエステルフィルムに下引き層を有する易接着フィルムを使用した場合でも、感光性樹脂層に十分な接着力を与える感光性構成体は見いだされておらず、例えば特開2001−264959号公報で述べられているように、下引き層の上に接着剤層を設けなければ感光性樹脂と支持体間の接着力を得ることができないのが現状である。
【0008】
従来のフレキソ印刷用感光性樹脂組成物では、支持体と感光性樹脂層間にオフライン工程にて接着剤層を設けなければならないため、インラインで下引き層を付与されたフィルムのみで接着力が得られる場合に比べ、コスト的に不利である。また、下引き層の厚みは一般的な接着剤層の厚みに比べ薄く、接着剤層のコーティングに比べ、下引き層のコーティング速度を上げることが可能なため、下引き処理したフィルムのみで十分な接着力が得られることが支持体生産性の点からも望ましい。
【0009】
更に感光性樹脂構成体では感光性樹脂組成が、支持体との接着力へ影響を及ぼすことがある。例えば、感光性樹脂層の光重合開始剤やエチレン性不飽和化合物が接着剤層、もしくは下引き層に移行し、露光工程で重合反応を起こす。このときに生じる硬化収縮力の残留により、支持体と接着剤層との間で界面剥離が発生しやすくなるという問題が生じることがある。従って、支持体と感光性樹脂層が十分な接着力を得るためには、感光性樹脂組成からの影響を考えることが必要である。しかしながら、印刷版としての性能を有しながら、支持体との接着力が強固である感光性樹脂組成物及び感光性構成体を見いだすことは困難であった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、特別に強力な接着剤により感光性樹脂層と支持体とを接着しなくても、印刷版として使用されるときに強固な接着力を有するフレキソ印刷用感光性樹脂組成物及び感光性構成体を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題について鋭意検討した結果、少なくとも1種類以上のモノビニル置換芳香族炭化水素と共役ジエンからなる熱可塑性エラストマー(a)、少なくとも1種類以上のエチレン性不飽和化合物(b)、少なくとも1種類以上の光重合開始剤(c)を含有する感光性樹脂(A)であって、(b)のエチレン性不飽和化合物が(i)不飽和結合を2つ以上有するポリエステルアクリレートまたはメタクリレートと(ii)分子内に少なくとも1つ以上の芳香環、及び/または1つ以上の水酸基、を有するアクリレートまたはメタクリレートの混合物であって、(i):(ii)の重量比が1:0.01〜1.5であることを特徴とする感光性樹脂組成物が上記課題を解決しうることを見いだし、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は下記の通りである。
【0012】
1.感光性樹脂(A)を支持体(B)上に積層してなるフレキソ印刷用感光性構成体であって、該感光性樹脂(A)が少なくとも1種類以上のモノビニル置換芳香族炭化水素と共役ジエンからなる熱可塑性エラストマー(a)、少なくとも1種類以上のエチレン性不飽和化合物(b)、少なくとも1種類以上の光重合開始剤(c)を含有する感光性樹脂(A)であって、(b)のエチレン性不飽和化合物が(i)エチレン性不飽和結合を2つ以上有する(メタ)アクリレートと(ii)分子内に1つ以上の芳香環、及び/または1つ以上の水酸基、を有する(メタ)アクリレートとの混合物であって、(i):(ii)の重量比が1:0.01〜1.5であることを特徴とするフレキソ印刷用感光性構成体。
【0013】
.支持体(B)が、感光性樹脂(A)を積層する面に下引き層を少なくとも1層以上設けてある易接着フィルムであることを特徴とする.記載のフレキソ印刷用感光性構成体。
.支持体(B)において下引き層の厚みが0.001〜1μmであることを特徴とする.記載のフレキソ印刷用感光性構成体。
【0014】
.支持体(B)において下引き層がアクリレートまたはメタクリレートの重合物もしくはその共重合体を主成分とする層からなることを特徴とする.記載のフレキソ印刷用感光性構成体。
.支持体(B)において下引き層が芳香環を含むポリイソシアネートとポリオールを主成分とする芳香族ポリウレタン樹脂であることを特徴とする.記載のフレキソ印刷用感光性構成体。
.前記.〜のいずれかに記載のフレキソ印刷用感光性構成体を製版することによって得られるフレキソ印刷版。
【0015】
.少なくとも1種類以上のモノビニル置換芳香族炭化水素と共役ジエンからなる熱可塑性エラストマー(a)、少なくとも1種類以上のエチレン性不飽和化合物(b)、少なくとも1種類以上の光重合開始剤(c)を含有する感光性樹脂(A)であって、(b)のエチレン性不飽和化合物が(i)不飽和結合を2つ以上有する(メタ)アクリレートと(ii)分子内に少なくとも1つ以上の芳香環、及び/または1つ以上の水酸基、を有する(メタ)アクリレートの混合物であって、(i):(ii)の重量比が1:0.01〜1.5であることを特徴とする感光性樹脂組成物を、支持体(B)に積層することを特徴とするフレキソ印刷用感光性構成体の製造方法。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明について、特にその好ましい態様について、以下具体的に説明する。
本発明に使用される熱可塑性エラストマーは一般的に使用されている、モノビニル置換芳香族炭化水素と共役ジエンモノマーとの重合物を用いることができる。該モノビニル置換芳香族炭化水素モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレンなどが、また共役ジエンモノマーとしてはブタジエン、イソプレンなどが用いられ、熱可塑性エラストマーの代表的な例としてはスチレン−ブタジエンブロック共重合体などが挙げられる。印刷版として必要な機械的物性を得るためには熱可塑性エラストマーが50重量%以上あることが好ましい。
【0017】
エチレン性不飽和化合物として、感光性樹脂の紫外線に対する硬化反応の感度や感光性樹脂の物性などから、分子内にエチレン性不飽和結合を2つ以上有する(メタ)アクリレート(i)を含むことが必要である。例えば、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートや1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレートを挙げることができる。
更には分子内に芳香環または水酸基、もしくはその両方を有する(メタ)アクリレート(ii)を組み合わせて使用することが必要である。組合せ手使用することにより感光性樹脂と支持体の接着力を飛躍的に向上させることができる。
1つ以上の芳香環を含む(メタ)アクリレートとしては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシ−ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、安息香酸と(メタ)アクリル酸と多アルコールのエステル化合物、(メタ)アクリレートのビスフェノールAの付加物などを挙げることができる。
【0018】
本発明で使用される1つ以上の水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
1つ以上の芳香環、及び/または1つ以上の水酸基を含む(メタ)アクリレートとしては例えば、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−フタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリシジルエーテル類の(メタ)アクリル酸の付加物などを挙げることができる。
【0019】
(i)と(ii)については感光性樹脂の物性、画像再現性及び、感光性樹脂と支持体の接着力から(i):(ii)の重量比が1:0.01〜1.5であり、好ましくは1:0.01〜1.0であり、更に好ましくは1:0.05〜1.0である。(ii)の(i)に対する比が1:0.01未満の場合は感光性樹脂と支持体との間に望ましい接着力が得られない場合があり、また、1.5を越える場合は感光性樹脂に濁りが生じることがある。
【0020】
エチレン性不飽和化合物として、上記(i)および(ii)以外に、本発明の効果を阻害しない範囲で、一般的に感光性組成物に使用されているモノマーを使用することができる。例えば、t−ブチルアルコールやラウリルアルコールなどのアルコールとアクリル酸のエステル、ラウリルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド、ベンジルマレイミドなどのマレイミド誘導体、あるいはジオクチルフマレートなどのアルコールのフマル酸エステルなどを単独、または組み合わせて感光性樹脂組成中に使用することができる。エチレン性不飽和化合物(b)は感光性樹脂の紫外線に対する反応性に関する点から、感光性樹脂中の1〜20重量%であることが好ましい。
【0021】
光重合性開始剤としては、芳香族ケトン類やベンゾイルエーテル類などの公知のラジカル重合開始剤を使用することができる。例えば、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、α−メチロールベンゾインメチルエーテル、α−メトキシベンゾインメチルエーテル、2,2−ジメトキシフェニルアセトフェノンなどの中から使用することができ、それらを組み合わせても使用できる。紫外線に対する感度の点から光重合性開始剤は感光性樹脂中の0.1〜5重量%であることが好ましい。
【0022】
更に、感光性樹脂には必要に応じて、可塑剤や増感剤、熱重合禁止剤、着色剤などを添加することができる。
本発明の感光性樹脂層は様々な方法で調製することができる。例えば、熱可塑性エラストマー、エチレン性不飽和化合物、光重合開始剤などを適当な溶媒、例えば、クロロホルム、トルエンなどに溶解させて混合し、型枠の中に流延し、溶媒を蒸発させることで得ることができる。その他にもニーダーやロールで混練し、押し出し機、射出成形機、プレスなどにより、希望の厚みにすることができる。
【0023】
本発明に使用される支持体としては、厚みが75〜300μmの範囲を持つ寸法安定なポリエステルフィルムを用いることができる。例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルムである。感光性樹脂と支持体であるポリエステルフィルムとの間に更に高い接着力を得るためには、少なくとも1層以上の下引き層を設けることが望ましい。通常、この下引き層の厚みは、0.001〜1μmである。
【0024】
ポリエステルフィルムに下引き層を塗布する方法は公知の技術で設けることができる。下引き層成分を含む溶液をポリエステルフィルム上に通常の塗布方法を用いて塗布することができる。その他にも、例えば、所望の下引き層成分を含む溶液を、溶融押し出したポリエステルフィルムの未延伸シートに塗布し、塗布後、ポリエステルフィルムを一軸または二軸延伸することで下引き層を有するフィルムを得ることができる。易接着フィルムを製造する方法としては、下引き層の膜厚精度の観点から塗布後、ポリエステルフィルムを一軸または二軸延伸する、いわゆるインライン方法が好ましい。
【0025】
下引き層の厚みは0.001〜1μmであることが好ましい。0.001未満の場合は感光性樹脂との十分な接着力を得られない場合があり、また、1μmを越える場合ではインライン方法での塗工が難しくなる場合があるためである。
下引き層を有するポリエステルフィルム上に、下引き層に接するように感光性樹脂層を積層することで目的とするフレキソ印刷用感光性構成体を得ることができる。
【0026】
このように下引き層を設けたフィルムで市販されているものの例としては、東レ株式会社製の「ルミラーT90番」(商標)シリーズや、東洋紡績株式会社製の「コスモシャインA4000番」(商標)シリーズや、帝人株式会社製の「テトロンHPE、SG2」(商標)、デュポン株式会社の「メリネックス700番」(商標)シリーズなどが挙げられる。
より良好な接着を得るという観点からは、下引き層を構成する主成分としては(メタ)アクリレートの重合物であることが好ましい。例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートなどの重合物やその共重合物が用いられる。また、必要に応じて、(メタ)アクリル酸やスチレン、アクリロニトリル、塩化ビニルなどと共重合させて使用することもできる。
【0027】
その他の下引き層の成分としては、ウレタン結合を有することが好ましく、1つ以上の芳香環を有するイソシアネート化合物から得られるウレタン結合を有することが更に好ましい。このような化合物としては、例えば、以下の活性水素を有する化合物とイソシアネート基を有する化合物との反応物を挙げることができる。活性水素を有する成分としては、エチレングリコールや1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、またはそれらのポリエーテルからなるポリエーテルジオールなどのジオール類などがある。更にはポリエステル化合物についても活性水素を有することができるため、ウレタン結合を生成することができる。例えば、ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸など、アルコール成分としてはエチレングリコールや、1,4−ブタンジオールや、それらのポリエーテルポリオール化合物などを挙げることができ、これらのジカルボン酸とジオールの縮合物を使用することができる。ポリイソシアネートとしてはトルエンジイソシアネートや4,4−ジフェニレンメタンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネートを挙げることができる。
【0028】
感光性樹脂層は組成によっては粘着性を有することがあるため、製版時に感光性樹脂層の上に重ねられる透明画像担体との接触をよくするために、あるいは透明画像担体の再使用を可能にするために、現像液に可溶性な薄いたわみ性の保護膜を設けることができる。
上記のフレキソ印刷版用感光性構成体を通常の方法で製版処理することにより、フレキソ印刷版を得ることができる。製版処理において用いられる、感光性樹脂を光硬化させる紫外線露光源として、高圧水銀灯や紫外線蛍光灯、カーボンアーク灯、キセノンランプなどがある。紫外線を透明画像担体を通して感光性樹脂に露光することにより目的の画像を得ることができる。支持体と感光性樹脂層との接着をより強固にするために、更にはレリーフ画像を未露光部分の洗い出し時の応力に対して、より安定的なものにするために、支持体側から全面露光を行うことが有効である。この透明画像担体側からの露光と支持体側からの露光はどちらを先に実施しても良く、また同時に行っても良い。画像再現性の観点からは支持体側からの露光を先に行うことが好ましい。
【0029】
未露光部を洗い出すのに用いられる現像溶剤としては、例えば、1,1,1−トリクロロエタン、テトラクロロエチレンなどの塩素系溶剤や、ヘプチルアセテート、3−メトキシブチルアセテートなどのエステル類、石油留分、トルエン、デカリンなどの炭化水素類やこれらにプロパノール、ブタノールなどのアルコール類を混合したものを挙げることができる。未露光部洗い出しはノズルからの噴射によって、またはブラシによるブラッシングによって行われる。得られた印刷版はリンス洗浄し、乾燥後に後露光を実施して印刷版を得る。
【0030】
以下、実施例に基づき詳細に説明するが、本発明の技術的範囲及び実体形態はこれら実施例に限定されるものではない。
【0031】
【実施例1〜6、比較例1〜3】
後述する組成に関しては特に記載がない限り、重量部とする。
エチレン性不飽和化合物を除く感光性樹脂組成として表1に示した組成を基本組成とし、基本組成と表2に示したようなエチレン性不飽和化合物及びエチレン性不飽和化合物の組み合わせをニーダーにて混練し、感光性樹脂組成を得た。
【0032】
支持体−Aでは下引き層を有しない、未処理のポリエステルフィルムを使用した。支持体−Bではエチレングリコール93g、ネオペンチルグリコール374g、フタル酸382gを空気雰囲気中、反応温度180℃、1300Paの減圧下で6時間縮合反応させた後、4,4−ジフェニレンジイソシアネート125gを加え、更に80℃で5時間反応させた。得られた樹脂を10%水溶液とし、溶融押し出したポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、塗布後、2軸延伸することで、下引き層を有する易接着フィルムを得た。得られた下引き層の厚みは0.05μmであった。支持体−Cではエチルアクリレートの固形分10%のエマルジョン溶液を上述したような方法で塗布し、乾燥後の膜厚みが0.05μmの下引き層を有するポリエステルフィルムを得た。
【0033】
支持体−Aでは未処理面に接するように感光性樹脂を積層し、得られた支持体−B、Cに関しては下引き層に接するように、3mmのスペーサーを用いてプレス機で130℃の条件で4分間、1.96×107Paの圧力をかけて加圧成形を行い、フレキソ印刷版用感光性構成体を得た。
【0034】
得られた感光性構成体を「AFP−1500」(商標、旭化成株式会社製)上で370nmを中心波長を有する紫外線蛍光灯を用いて、まず、支持体側から250mJ/cm2の全面露光を行った後、引き続き透明画像担体を通して6000mJ/cm2の画像露光を行った。このとき、露光強度をオーク製作所製のUV照度計「MO−2」(商標)型でUV−35フィルターを用いて露光量を測定した。ついでにテトラクロロエチレン/n−ブタノールが3/1(容積比)を現像液として「AFP−1500」現像機(旭化成株式会社製)にて現像し、60℃1時間乾燥後、後露光を行ってフレキソ印刷版を得た。
【0035】
得られたフレキソ印刷版において支持体と感光性樹脂の剥離強度について、硬化樹脂層を1cm幅の短冊状に切断したサンプルから支持体を強制的に剥がし、引っ張り試験機を用いて180゜の角度で、50mm/分の速度で支持体と樹脂層を剥離したところ、表2の結果を得た。
【0036】
実施例1〜6については十分な接着力の目安となる5.9N/cmを越える接着力が得られ、比較例1〜2については十分な接着力が得られなかった。また、比較例3では樹脂に濁りが発生したため、良好な再現画像が得られず、評価を中止した。
【0037】
また、得られたフレキソ印刷版を用いて、酢酸エステルを約15体積%含むインキを用いて、ポリエチレンフィルム上への印刷を行ったところ、実施例1〜6では版胴と圧胴の煎断応力により、支持体と硬化樹脂が剥離することもなく、更に印刷が終了して両面テープで固定された印刷版を版胴から取り外すために、硬化樹脂層部分を持って引き剥がそうとして硬化樹脂層に大きな力が加わった場合でも、印刷版は破損しないで支持体としっかりと密着していた。一方、比較例1〜2では両面テープで印刷機の版胴に固定されたこの版を、硬化樹脂層部分を持って引き剥がそうとしたところ、硬化樹脂と支持体が容易に剥離する現象が見られた。
【0038】
【表1】
Figure 0004067849
【0039】
【表2】
Figure 0004067849
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、特別に強力な接着剤により感光性樹脂層と支持体とを接着しなくても、印刷版として使用されるときに強固な接着力を有するフレキソ印刷用感光性構成体を得ることができる。

Claims (7)

  1. 感光性樹脂(A)を支持体(B)上に積層してなるフレキソ印刷用感光性構成体であって、該感光性樹脂(A)が少なくとも1種類以上のモノビニル置換芳香族炭化水素と共役ジエンからなる熱可塑性エラストマー(a)、少なくとも1種類以上のエチレン性不飽和化合物(b)、少なくとも1種類以上の光重合開始剤(c)を含有する感光性樹脂(A)であって、(b)のエチレン性不飽和化合物が(i)エチレン性不飽和結合を2つ以上有する(メタ)アクリレートと(ii)分子内に1つ以上の芳香環、及び/または1つ以上の水酸基、を有する(メタ)アクリレートとの混合物であって、(i):(ii)の重量比が1:0.01〜1.5であることを特徴とするフレキソ印刷用感光性構成体。
  2. 支持体(B)が感光性樹脂(A)を積層する面に下引き層を少なくとも1層以上設けてある易接着フィルムであることを特徴とする請求項記載のフレキソ印刷用感光性構成体。
  3. 支持体(B)において下引き層の厚みが0.001〜1μmであることを特徴とする請求項記載のフレキソ印刷用感光性構成体。
  4. 支持体(B)において下引き層がアクリレートまたはメタクリレートの重合物もしくはその共重合体を主成分とする層からなることを特徴とする請求項記載のフレキソ印刷用感光性構成体。
  5. 支持体(B)において下引き層が芳香環を含むポリイソシアネートとポリオールを主成分とする芳香族ポリウレタン樹脂であることを特徴とする請求項記載のフレキソ印刷用感光性構成体。
  6. 請求項5のいずれか一項に記載のフレキソ印刷用感光性構成体を製版することによって得られるフレキソ印刷版。
  7. 少なくとも1種類以上のモノビニル置換芳香族炭化水素と共役ジエンからなる熱可塑性エラストマー(a)、少なくとも1種類以上のエチレン性不飽和化合物(b)、少なくとも1種類以上の光重合開始剤(c)を含有する感光性樹脂(A)であって、(b)のエチレン性不飽和化合物が(i)不飽和結合を2つ以上有する(メタ)アクリレートと(ii)分子内に少なくとも1つ以上の芳香環、及び/または1つ以上の水酸基、を有する(メタ)アクリレートの混合物であって、(i):(ii)の重量比が1:0.01〜1.5であることを特徴とする感光性樹脂組成物を、支持体(B)に積層することを特徴とするフレキソ印刷用感光性構成体の製造方法。
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