JP4067395B2 - 油圧緩衝器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は油圧緩衝器に関する。
【0002】
【従来の技術】
特許文献1に記載の如く、油圧緩衝器として、ダンパチューブの一端からピストンロッドを突出させ、ピストンロッドの突出端にジョイントを溶接し、ピストンロッドとジョイントの間にキャップを挟み込んでなるものがある。
【0003】
【特許文献1】
実開昭61-154340(1頁、第1図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1では、キャップをピストンロッドの小径突出端に圧入した状態でピストンロッドに固定し、このキャップにダストカバーを装着している。油圧緩衝器に加わる衝撃や振動がキャップやダストカバーに伝わると、ピストンロッドに対するキャップの圧入部が緩み、キャップが回転したり、傾いて徐々にガタを生ずる。ダストカバーが重量の重い金属製等からなるときに特に顕著である。
【0005】
尚、キャップのがたつき防止のために、ピストンロッドとキャップとジョイントの3つを溶接する構造や、ピストンロッドとジョイントの間にキャップを挟み込んでピストンロッドとジョイントを溶接した後に、キャップとジョイントを補強的に溶接するものもある。しかしながら、キャップを溶接するには手間を要し、コスト高になる。
【0006】
本発明の課題は、ピストンロッドとジョイントの間にキャップを挟みこむ油圧緩衝器において、簡易な構成によりキャップの衝撃や振動によるがたつきを防止することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、ダンパチューブの一端からピストンロッドを突出させ、ピストンロッドの突出端にジョイントを溶接し、ピストンロッドとジョイントの間にキャップを挟み込んでなる油圧緩衝器において、キャップのピストンロッド側の当接面に凹凸部を設けたものである。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の発明において更に、前記キャップのジョイント側の当接面にも凹凸部を設けたものである。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において更に、前記キャップをプレス成形品としたものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は油圧緩衝器の全体を示す正面図、図2はロッド組立体を示す正面図、図3はキャップ挟み込み構造を示し、(A)は正面断面図、(B)は側断面図、図4はキャップを示し、(A)は断面図、(B)は平面図、(C)は要部拡大図、図5はキャップに設ける凹凸部の平面形状の例を示す模式図、図6はキャップに設ける凹凸部の溝形状の例を示す模式図である。
【0011】
油圧緩衝器10は、図1に示す如く、ダンパチューブ11の内部に減衰力発生機構付きのピストンを摺動自在に挿入し、そのピストンが結合されたピストンロッド20をダンパチューブ11の一端から突出させ、ピストンロッド20の突出端に車体側取付部材としてのジョイント30を溶接するとともに、ダンパチューブ11の他端に車軸側取付部材としてのジョイント12を溶接している。
【0012】
油圧緩衝器10は、ピストンロッド20とジョイント30の間にキャップ40を挟み込み、キャップ40の外周にダストカバー13の上端部を被着又は溶接し、ダストカバー13をピストンロッド20、ダンパチューブ11の周囲に沿って垂れ下げ、ダストカバー13によりピストンロッド20、ダンパチューブ11を被覆する。ダストカバー13は、金属又は樹脂からなる。
【0013】
油圧緩衝器10は、キャップ40のがたつきを防止するため、以下の構成を備える。
【0014】
ピストンロッド20のジョイント30が溶接される端部をキャップ40が圧入し得る小径部21とし、小径部21の先端部にはジョイント30への溶接用突起(不図示)が設けられる。ピストンロッド20は小径部21の大径部22に対する段差部を肩部23とする。
【0015】
ジョイント30は環状(本実施形態では円環状)ジョイントメタル31の孔内に、ゴム環32を嵌合し、ゴム環32の内周にブッシュ33を焼付け保持している。
【0016】
キャップ40はプレス成形品とされ、天面部41と側壁部42を有する。キャップ40は天面部41の中央部に孔43を形成し、天面部41の孔43をピストンロッド20の小径部21に圧入可能にする。キャップ40はピストンロッド20の小径部21への圧入状態で、キャップ40の天面部41の孔43まわりの下端面を小径部21と大径部22の段差部である肩部23に当接させる。キャップ40は、天面部41の外周部と側壁部42の外側部にダストカバー13の上端部を被着又は溶接可能にする。
【0017】
しかるに、キャップ40は、図4に示す如く、プレス成形の過程で、ピストンロッド20の肩部23との当接面になる、孔43の周囲の内側面にローレット目状凹凸部44をプレス成形にて設ける。尚、キャップ40は、プレス成形の過程で、凹凸部44とともに、又は凹凸部44に代えて、ジョイント30のジョイントメタル31側の当接面になる、孔43の周囲の外側面にローレット目状凹凸部45をプレス成形にて設けても良い。
【0018】
凹凸部44、45は、キャップ40のプレス成形金型で、キャップ40の全体とともに同時に成形でき、キャップ40の加工工数を増すものにならない。
【0019】
ピストンロッド20とジョイント30の間へのキャップ40の挟み込み構造は以下の如くになる。
【0020】
(1)キャップ40をピストンロッド20の小径部21に圧入する。キャップ40の小径部21まわりの下端面を肩部23に当接させる。
【0021】
(2)ピストンロッド20のキャップ40が圧入された小径部21の先端部の溶接用突起をジョイント30(ジョイントメタル31)の外周面に突き当てプロジェクション溶接する(図2)。このとき、ジョイント30をピストンロッド20に押し付けながら通電することで、キャップ40はピストンロッド20の肩部23に加圧され、ジョイント30とピストンロッド20に挟圧されて固定される。溶接電流はピストンロッド20とジョイント30の間に流れ、キャップ40はピストンロッド20とジョイント30のいずれにも溶接されない。
【0022】
(3)上述(2)のピストンロッド20とジョイント30の溶接時に、ピストンロッド20とジョイント30が熱により溶け込み乃至は軟化する。キャップ40のピストンロッド20側では、軟化したピストンロッド20がキャップ40の内側面の凹凸部44に食い込み部24の如くに食い込む(図3)。また、キャップ40のジョイント30側では、軟化したピストンロッド20及び/又は軟化したジョイント30がキャップ40の外側面の凹凸部45に食い込み部25の如くに食い込む(図3)。これにより、キャップ40をピストンロッド20とジョイント30の両方により強化に固着するものになる。
【0023】
尚、キャップ40における凹凸部44(45)の形態は、格子状(図5(A))、平行線状(図5(B))、点線状(図5(C))、多数の点状(図5(D))、放射線状(不図示)、多数の突起状(不図示)、ランダム状(不図示)等多様である。凹凸部44(45)の溝形状は、台形溝状(図6(A))、三角溝状(図6(B))、円弧溝状(図6(C))、直角三角溝状(図6(D))等多様である。凹凸部44(45)のローレット目状の凹部深さは0.2mm〜0.5mm程度で良い。
【0024】
本実施形態によれば以下の作用効果がある。
(請求項1に対応する作用効果)
▲1▼キャップ40のピストンロッド20との当接面に凹凸部44を設けたことにより、ピストンロッド20の突出端にジョイント30を押し付けて溶接するときに、ピストンロッド20とジョイント30の間に挟み込んであるキャップ40の凹凸部44がピストンロッド20の肩部23に食い込む。これにより、キャップ40のピストンロッド20への圧入部で、キャップ40のピストンロッド20に対する回転方向及び軸方向の食い付き力が増し、キャップ40をピストンロッド20に対し回転方向及び抜け方向でより強固に保持し、衝撃や振動によるがたつきを防止できる。キャップ40を格別に溶接することなく、簡易な構成によりキャップ40の衝撃や振動によるがたつきを防止できる。
【0025】
(請求項2に対応する作用効果)
▲2▼キャップ40のジョイント30側の当接面にも凹凸部45を設けるものとすれば、キャップ40の凹凸部45が上述▲1▼においてジョイント30の側にも食い込む。キャップ40をピストンロッド20とジョイント30の両方に対し、回転方向及び抜け方向でより強固に保持し、衝撃や振動によるがたつきを一層防止できる。
【0026】
(請求項3に対応する作用効果)
▲3▼キャップ40をプレス成形品とすることにより、キャップ40の成形時に凹凸部44、45も同時成形できる。
【0027】
以上、本発明の実施の形態を図面により記述したが、本発明の具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、ピストンロッドとジョイントの間にキャップを挟みこむ油圧緩衝器において、簡易な構成によりキャップの衝撃や振動によるがたつきを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は油圧緩衝器の全体を示す正面図である。
【図2】図2はロッド組立体を示す正面図である。
【図3】図3はキャップ挟み込み構造を示し、(A)は正面断面図、(B)は側断面図である。
【図4】図4はキャップを示し、(A)は断面図、(B)は平面図、(C)は要部拡大図である。
【図5】図5はキャップに設ける凹凸部の平面形状の例を示す模式図である。
【図6】図6はキャップに設ける凹凸部の溝形状の例を示す模式図である。
【符号の説明】
10 油圧緩衝器
11 ダンパチューブ
20 ピストンロッド
30 ジョイント
40 キャップ
44、45 凹凸部

Claims (3)

  1. ダンパチューブの一端からピストンロッドを突出させ、ピストンロッドの突出端にジョイントを溶接し、ピストンロッドとジョイントの間にキャップを挟み込んでなる油圧緩衝器において、
    キャップのピストンロッド側の当接面に凹凸部を設けたことを特徴とする油圧緩衝器。
  2. 前記キャップのジョイント側の当接面にも凹凸部を設けた請求項1に記載の油圧緩衝器。
  3. 前記キャップをプレス成形品とした請求項1又は2に記載の油圧緩衝器。
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