JP4066693B2 - 真空紫外光照射装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、放電ランプより放射される紫外光を被処理物に照射するための真空紫外光照射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、ウエハーまたは半導体などの被処理物の表面の洗浄処理、またはその表面における極薄酸化膜の生成処理などの種々のプロセスにおいては、被処理物に対して、例えば波長が200nm未満である真空紫外光を照射することが行われている。
【0003】
このような光照射処理に用いられる真空紫外光照射装置の一例においては、放電ランプとして、例えばキセノンガスによるエキシマ分子発光を利用した誘電体バリア放電ランプであるキセノンランプなどが利用されると共に、この放電ランプから放射される真空紫外光が、合成石英ガラスにより形成された窓板部材により構成された光照射窓を介して被処理物に照射されるよう構成されている(特開平9−302326号公報参照)。
ここで、窓板部材を形成する材質として合成石英ガラスを用いる理由は、例えば四塩化ケイ素(SiCl4 )を加熱合成することにより得られる、高純度で光の透過率が高い合成石英ガラスは、天然の水晶(ケイ砂)を溶融することにより得られる、比較的不純物の混在割合が大きい溶融石英ガラスと比して、真空紫外光の高い透過率を有するためである。
【0004】
然るに、窓板部材を形成する合成石英ガラスは、放電ランプから放射される真空紫外光や熱の作用により電子欠陥を生じる。このため、真空紫外光の一部は合成石英ガラスに吸収され、透過光の強度が減退するようになる。このため、真空紫外光照射装置を長い期間使用して、窓板部材を形成する合成石英ガラスが劣化した場合には、被処理物に対して照射される真空紫外光の強度が、意図せずに不十分となってしまう、という問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来においては、光照射窓を構成する窓板部材を形成する合成石英ガラスにおける変質状態を、検出することは困難であった。
【0006】
本発明は、以上のような問題を解決し、光照射窓を構成する窓板部材を形成する合成石英ガラスの変質状態を確実に検出することができる真空紫外光照射装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の真空紫外光照射装置は、キセノンガスによるエキシマ分子発光を利用した放電ランプが収容されたランプハウスと、
このランプハウスの光照射窓を構成し、放電ランプからの紫外光を透過する、合成石英ガラスよりなる窓板部材と、
波長600〜700nmの被検出光を検出する光検出手段とを備え、
ランプハウスの壁部に、波長600〜700nmの光を透過する監視用窓が、光検出手段を放電ランプからの光が直接的に到達しない位置に配設できる位置に形成されており、 光検出手段が、窓板部材の一部を臨む位置であって、窓板部材から放射され監視用窓を介して到達する被検出光を受ける位置に配設されていることを特徴とする。
【0008】
本発明の真空紫外光照射装置は、キセノンガスによるエキシマ分子発光を利用した放電ランプが収容されたランプハウスと、
このランプハウスの光照射窓を構成し、放電ランプからの紫外光を透過する、合成石英ガラスよりなる窓板部材と、
波長600〜700nmの被検出光を検出する光検出手段とを備え、
光検出手段は、遮蔽部材によって放電ランプから放射される光の入射が防止された位置に設けられていることを特徴とする。
【0009】
【作用】
本発明の真空紫外光照射装置によれば、光照射窓を構成する窓板部材を形成する合成石英ガラスは、劣化することによって波長が600〜700nmの波長域における蛍光を放射するものであるところ、この蛍光が被検出光として光検出手段により検出されるので、当該窓板部材を形成する合成石英ガラスにおける劣化の存在を簡便に発見することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例に係る真空紫外光照射装置の構成を示す説明用断面図である。
図1において、10はランプハウスであって、その下面に光照射窓11が設けられており、当該ランプハウス10の内部には、例えばアルミニウムよりなる冷却ブロック13が設けられており、この冷却ブロック13の下面には、それぞれ断面が半円形の複数(図1においては3つ)の溝131が、紙面に垂直な方向に伸びるよう互いに平行に並んで形成されており、これらの溝131の各々において、当該溝131の内径と適合する外径を有する棒状の放電ランプ12が配設されて収納されている。また、ランプハウス10の内部は、例えば窒素ガスなどの不活性ガスが充填されている。
ここで、光照射窓11は、放電ランプ12の正面に対向する位置に窓板部材111が配置されて構成されている。
【0011】
冷却ブロック13と、ランプハウス10の側壁部との間に形成された空隙には、光検出手段14が配設されており、この光検出手段14は、その最下端部が、冷却ブロック13の下面のレベルより上方となり、放電ランプ12から放射される光から遮蔽された第1の遮蔽位置において、受光部141が窓板部材111に対して斜めに対向して面する状態とされている。
【0012】
光照射窓11は、平板状の合成石英ガラスにより形成された窓板部材111により構成されており、放電ランプ12から放射される、例えば波長が200nm以下の真空紫外光を透過して下方に照射するものである。
【0013】
放電ランプ12としては、キセノンガスによるエキシマ分子発光を利用した、キセノンランプなどの誘電体バリア放電ランプが用いられる。
具体的には、図2に示すように、例えば合成石英ガラスなどの誘電体よりなる円筒状の外側管2と、この外側管2内にその管軸に沿って配置された、当該外側管2の内径より小さい外径を有する、例えば合成石英ガラスなどの誘電体よりなる円筒状の内側管3と、この外側管2および内側管3により形成された円筒状の空間の両端部を気密に閉塞する端壁5、6とよりなる二重管構造を有する密閉型の放電容器4を有する構成とされ、この放電容器4により円筒状の放電空間Sが形成され、この放電空間Sにはキセノンガスが封入されている。
【0014】
この放電容器4を形成する外側管2には、その外周面に密接した状態で、例えば金網などの導電性材料よりなる網状の一方の電極7が設けられていると共に、内側管3には、その内周面に密接した状態で、例えばアルミニウム板よりなる他方の電極8が設けられた構成とされており、この一方の電極7および他方の電極8は、高周波電源9に接続されている。
【0015】
光検出手段14としては、600〜700nmの波長域の範囲における任意の波長を有する紫外光を検知する半導体受光素子よりなる受光部141により構成されたものを用いることができる。
半導体受光素子としては、例えば190〜1100nmの波長を有する光を検知するシリコンフォトダイオードなどを用いることができる。
【0016】
以上において、光照射窓11および放電ランプ12における寸法例を挙げると、当該光照射窓11を構成する窓板部材111の厚さが5mm、幅(図1において左右方向)が230mm、長さ(図1において紙面に垂直な方向)が230mmであって、放電容器4を形成する外側管2における全長が100.0mm、外径が26.5mm、肉厚が1.0mmであり、内側管3における全長が100.0mm、内径が16.0mm、肉厚が1.0mmであって、当該放電容器4の内部に、キセノンガスが33kPaの圧力で封入されている。
【0017】
本発明の真空紫外光照射装置においては、高周波電源9から入力電力が供給されて放電ランプ12が点灯状態とされることにより放射された真空紫外光が、光照射窓11を介して被処理物に対して照射されて、所期の光照射処理が行われる。
【0018】
そして、真空紫外光照射装置が長い期間にわたって使用された場合には、放電ランプ12からの真空紫外光や熱の作用に起因して、窓板部材111を形成する合成石英ガラスが劣化し、当該窓板部材111から波長600〜700nmの光が放射されるところ、当該光が被検出光として光検出手段14により検出され、これにより、窓板部材111を形成する合成石英ガラスに劣化が生じていることが指摘される。
【0019】
このように被検出光が検出されることにより、合成石英ガラスが劣化していることが発見された場合には、光照射窓11から照射される真空紫外光の強度が不足しないように、例えば当該窓板部材111を新しいものと交換するなどの適宜の処理が行われる。
【0020】
以上において、合成石英ガラスは、真空紫外光や熱の作用により電子欠陥を生じ、この電子欠陥が、放電ランプ12から放射される波長200〜400nmの紫外光を吸収する結果、波長600〜700nmの被検出光を放射するものと考えられる。
【0021】
ここで、放電ランプ12を構成する放電容器4が合成石英ガラスよりなるものである場合には、当該放電容器4からは、その劣化に伴って上述のように被検出光と同じ波長を有する擬似光が放射されるが、光検出手段14が前記第1の遮蔽位置に配設されていることにより、当該擬似光は、冷却ブロック13により遮蔽されて、直接的に光検出手段14の受光部141に到達することがなく、従って、光検出手段14において、窓板部材111から放射される所期の被検出光を確実に検出することができる。
【0022】
本発明の真空紫外光照射装置によれば、光照射窓を構成する窓板部材である合成石英ガラスにおける劣化の状態を確実に検出することができるため、適宜の処理を行うことにより、光照射窓から、常に所期の強度の真空紫外光を照射することができる。
【0023】
図3乃至図5は、本発明の他の実施例に係る真空紫外光照射装置の構成を示す説明用断面図である。
図3に示す真空紫外光照射装置おいては、ランプハウス10の側壁部10Aに形成された開口を塞ぐように、波長600〜700nmの光を透過する監視用窓15が設けられている。そして、光検出手段14が、ランプハウス10の当該側壁部10Aの外側において、監視用窓15を介して窓板部材111の一部を臨む位置であって、当該窓板部材111から放射された、当該監視用窓15を介して到達する被検出光を受けることができる位置に配設されており、その他の構成は、上記の図1の構成例と同様とされている。
【0024】
以上において、監視用窓15は、光検出手段14を、放電容器4からの擬似光が直接的に到達しない位置に配設することができる位置であって、例えばその最下端部が冷却ブロック13の下面のレベルより上方となる第2の遮蔽位置に形成されている。
【0025】
監視用窓15は、例えば可視光を透過して、紫外光を遮断する波長選択特性を有するものであることが好ましい。このような監視用窓を構成する材質としては、例えば溶融石英ガラスまたは硬質ガラスを挙げることができる。
【0026】
以上の真空紫外光照射装置においては、冷却ブロック13およびランプハウス10の壁部により、擬似光が遮蔽されるため、窓板部材111から放射される被検出光を確実に検出することができる。
【0027】
また、監視用窓15が、可視光のみを透過する波長選択特性を有するものである場合には、作業員の目視による確認を行うことも可能である。この場合には、窓板部材に劣化が生じていることにより、被検出光である波長600〜700nmの赤色様の蛍光が視認される。
【0028】
また、図4に示す真空紫外光照射装置においては、ランプハウス10の下方位置において、板状の遮蔽部材16により、放電ランプ12から放射される光の入射が防止された光遮蔽空間Dが形成されており、この光遮蔽空間Dの内部に、窓板部材111の一端部が伸びて位置されると共に、受光部141が、この窓板部材111の一端部の側面に対向するよう光検出手段14が配設された構成とされており、その他は、上記の図1の構成例と同様の構成とされている。
以上の構成においては、光検出手段14において、窓板部材111の側面から放射された被検出光を確実に検出することができる。
【0029】
また、図5に示す真空紫外光照射装置においては、ランプハウス10の外部に配設された光検出手段14と、光照射窓11を構成する窓板部材111とが、例えば光ファイバーなどの導光手段17によって、光伝達可能な態様で接続されている他は、上記の図1の構成例と同様の構成とされている。
【0030】
この構成においては、窓板部材111から放射される被検出光は、導光手段17によって導かれて、光検出手段14において検出されるが、放電容器4からの擬似光は、ランプハウス10の壁部によって遮蔽されて光検出手段14に到達することがない。その結果、光検出手段14において、窓板部材111からの被検出光を確実に検出することができる。
【0031】
以上、本発明を具体的な形態に基づいて説明したが、本発明は、上述の例に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
例えば被検出光の強度を適宜の測定手段によって測定することが可能な構成とすることができ、これにより、窓板部材を形成する合成石英ガラスの劣化の程度を検出することができ、好適な窓板部材の交換時期を知ることができる。
【0032】
【発明の効果】
本発明の真空紫外光照射装置によれば、光照射窓を構成する窓板部材を形成する合成石英ガラスは、劣化することによって波長が600〜700nmの波長域における蛍光を放射するものであるところ、この蛍光が被検出光として光検出手段により検出されるので、当該窓板部材を形成する合成石英ガラスにおける劣化の存在を簡便に発見することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る真空紫外光照射装置の構成を示す説明用断面図である。
【図2】放電ランプの一例における構成を管軸に沿った断面で示す説明用断面図である。
【図3】本発明の他の実施例に係る真空紫外光照射装置の構成を示す説明用断面図である。
【図4】本発明の他の実施例に係る真空紫外光照射装置の構成を示す説明用断面図である。
【図5】本発明の他の実施例に係る真空紫外光照射装置の構成を示す説明用断面図である。
【符号の説明】
2 外側管
3 内側管
4 放電容器
5 端壁部
6 端壁部
7 電極
8 電極
9 高周波電源
10ランプハウス
10A 側壁部
11 光照射窓
111 窓板部材
12 放電ランプ
13 冷却ブロック
131 溝
14 光検出手段
141 受光部
15 監視用窓
16 遮蔽部材
17 導光手段
D 光遮蔽空間
S 放電空間

Claims (2)

  1. キセノンガスによるエキシマ分子発光を利用した放電ランプが収容されたランプハウスと、
    このランプハウスの光照射窓を構成し、放電ランプからの紫外光を透過する、合成石英ガラスよりなる窓板部材と、
    波長600〜700nmの被検出光を検出する光検出手段とを備え、
    ランプハウスの壁部に、波長600〜700nmの光を透過する監視用窓が、光検出手段を放電ランプからの光が直接的に到達しない位置に配設できる位置に形成されており、 光検出手段が、窓板部材の一部を臨む位置であって、窓板部材から放射され監視用窓を介して到達する被検出光を受ける位置に配設されていることを特徴とする真空紫外光照射装置。
  2. キセノンガスによるエキシマ分子発光を利用した放電ランプが収容されたランプハウスと、
    このランプハウスの光照射窓を構成し、放電ランプからの紫外光を透過する、合成石英ガラスよりなる窓板部材と、
    波長600〜700nmの被検出光を検出する光検出手段とを備え、
    光検出手段は、遮蔽部材によって放電ランプから放射される光の入射が防止された位置に設けられていることを特徴とする真空紫外光照射装置。
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