JP4064950B2 - 弛み止めねじ - Google Patents
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Description
しかしながら、これらの方法では、部品点数が多くなる上に作業の工数も増えるため、結果として作業効率の低下や施工コストの上昇を引き起こすという問題点があった。
このような技術のうち代表的として、ねじ山の一部を変形させる技術が挙げられる(例えば、特許文献1参照)。
この開示技術は、簡単な方法でねじ自体に弛み止め機能を付与することができる点においては優れているが、変形部分がねじの回転方向に沿って対称な台形状に形成されているため、雌ねじに対する食い付きが悪くて大きく食い込ませることが難しく、充分な弛み止め効果を発揮できない場合があった。
請求項2に係る発明は、前記ねじ山潰し部よりもねじ先端側に、ねじ山が潰されていない標準ねじ部が少なくとも1ピッチ以上形成されてなることを特徴とする請求項1記載の弛み止めねじに関する。
更に、ねじ山潰し部におけるねじ山の幅は、潰されていないねじ山の同高さにおける幅よりも広くなっているとともに、ねじ回転方向と逆方向に沿って徐々に広がった後に急に狭まっているので、締め付け時において雌ねじへの食い付きが良くなるとともに食い込み量を大きくすることができる。そのため、雌ねじとの間の摩擦力を大きく増大させて、長期間に亘って優れた弛み止め効果を発揮することができるようになる。
また、非ねじ部にねじ長さ方向に延びる溝部が形成されていることにより、可動部分をねじ止めした場合において、ねじ止め部分に何らかのトルクが作用した場合に、溝部が相手側部材の穴の内面に噛み合うことによる弛み止め機能を発揮することができる。また、動作によって発生する擦れ粉等を溝部に貯留することができる。
更に、溝部が軸部の中心線を挟んでねじ山潰し部と反対側に形成されているので、ねじ山潰し部の弛み止め作用と溝部の弛み止め作用を相乗的に発揮させることが可能となる。
請求項2に係る発明によれば、ねじ山潰し部よりもねじ先端側に、ねじ山が潰されていない標準ねじ部が形成されているので、ねじを締め付けた時に生じていた雌ねじの変形を、ねじを緩めた時に元に戻すことができ、繰り返し弛み止め効果を発揮することができる。
図1は本発明に係る弛み止めねじの好適な実施形態を示す側面図、図2は図1のA−A線断面図、図3は図1のB−B線一部断面図(端面図)である。
尚、図1においては、ねじ部を中途部までのみ示し、先端部分の図示を省略している。
本発明に係る弛み止めねじは、頭部(1)と軸部(2)とからなり、軸部(2)には複数条のねじ山(3)が等ピッチで形成されている。
ねじ山潰し部(4)は、ねじ山(3)の1ピッチ分の円周の一部(一箇所)を、金型を用いた押圧等により潰し変形させることにより形成されており、潰された部分の肉はねじ山(3)の外側(長さ方向の前後側)に押し出され、ねじ山潰し部(4)が形成されたねじ山(3)は略台形状断面となっている(図4参照)。
そして、ねじ山潰し部(4)の幅は、ねじ回転方向と逆方向に沿って徐々に(緩やかに)広がった後に急に(急激に)狭まっている(図1参照)。つまり、ねじ山はねじ回転方向と逆方向に沿って徐々に潰された後、急に潰しが無くなっている。
ねじ山潰し部(4)は、ねじ回転方向(図3の矢印方向)に沿って、ねじ山(3)の高さが急激に減少した後に緩やかに増加するように、断面略レ字状に形成されている。そして、高さが増加する部分(増加部)(41)の傾きは、高さが減少する部分(減少部)(42)の傾きよりも小さくなっている。換言すれば、減少部(42)の長さが増加部(41)の長さよりも短くなっているということである。尚、ここでいう傾きの大きさは、ねじ山外周の接線に対する傾き角(内角)である。
この場合、ねじ山潰し部(4)の全体長さ(D1+D2)は、ねじ山(3)の1ピッチ分の円周長さの約1/3〜1/4に設定されることとなる。
本発明に係る弛み止めねじにおいては、上記したねじ山潰し部(4)が形成されていることにより、締め付け時に雌ねじの変形が生じるが、このような標準ねじ部(5)が形成されていることによって、ねじを締め付けた時に生じていた雌ねじの変形をねじを緩めた時に元に戻すことができるようになり、繰り返し弛み止め効果を発揮することが可能となる。
半ねじの場合、軸部(2)の基端から先端に向けて形成された所定長さの非ねじ部(6)に、ねじ長さ方向に延びる溝部(7)を形成することが好ましい。
溝部(7)の数及び位置については特に限定されないが、図2には円周方向に等角度間隔で3箇所に溝部(7)を形成した例が示されている。
非ねじ部(6)に形成された溝部(7)は、例えば、眼鏡のテンプル等の可動部分をねじ止めした場合において、ねじ止め部分に何らかのトルクが作用した場合に、溝部が相手側部材の穴の内面に噛み合うことによる弛み止め機能を発揮する。また、可動部分の操作によって発生する擦れ粉等を溝部に貯留することができる。
このような形状とすることで、溝部(7)の相手側部材の穴内面に対する噛み合いが、弛み方向には噛み合わず締まり方向にのみ噛み合うようになる。従って、例えば、眼鏡のテンプルを止めるためのねじとして用いた場合には、テンプルの開閉力をねじ締め力に変換することができ、優れた弛み止め効果を発揮することが可能となる。
溝部(7)をねじ山潰し部(4)と反対側に形成すると、ねじを締め付けた時において、ねじは軸部(2)の中心線を挟んでねじ山潰し部(4)と反対側に偏心するため、この反対側の部分に溝部(7)を形成することで、ねじ山潰し部(4)の弛み止め作用を発揮させつつ、溝部(7)の弛み止め作用を増大させることが可能となる。
この拡径部(8)は、図1(a)に示す如く、C面取り形状としてもよいし、R面取り形状としてもよいが、いずれの場合も拡径部(8)の最大径(即ち基端径)を、軸部(2)に形成された雄ねじが螺合する雌ねじ穴の入口径よりも大きく形成するとよい。
このような拡径部(8)を形成することにより、ねじ締め時において拡径部(8)が雌ねじ穴の入口周縁に食い込み、これによって弛み止め効果を一層向上させることが可能となる。
2 軸部
3 ねじ山
4 ねじ山潰し部
5 標準ねじ部
6 非ねじ部
7 溝部
8 拡径部
Claims (4)
- 頭部と軸部とからなり、前記軸部に形成されたねじ山の少なくとも1つには、該ねじ山の一部を潰して形成されたねじ山潰し部が形成されてなり、該ねじ山潰し部におけるねじ山の頂上の幅は、潰されていないねじ山の同高さにおける幅よりも広くなっているとともに、ねじ回転方向と逆方向に沿って徐々に広がった後に急に狭まっており、前記軸部の基端から先端に向けて所定長さの非ねじ部を有し、該非ねじ部にねじ長さ方向に延びる溝部が形成されており、該溝部が、前記軸部の中心線を挟んでねじ山潰し部と反対側に形成されていることを特徴とする弛み止めねじ。
- 前記ねじ山潰し部よりもねじ先端側に、ねじ山が潰されていない標準ねじ部が少なくとも1ピッチ以上形成されてなることを特徴とする請求項1記載の弛み止めねじ。
- 前記溝部の両肩部は、ねじ締め時の回転方向前方側はアールとされ、回転方向後方側は角とされてなることを特徴とする請求項1又は2記載の弛み止めねじ。
- 前記軸部の基端に徐々に拡径されて頭部裏面に至る拡径部が形成され、該拡径部の最大径が前記軸部に形成された雄ねじが螺合する雌ねじ穴の入口径よりも大とされてなることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の弛み止めねじ。
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