JP4064475B2 - 電源段バイアス回路の効率と安定性が改良されたドライバ回路 - Google Patents

電源段バイアス回路の効率と安定性が改良されたドライバ回路 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はドライバ回路に係り、特に、テレビジョン走査速度変調(SVM)コイル及び同様の負荷をドライブするため使用されるようなプッシュプルトランジスタを有する平衡ドライブ段に関する。
【0002】
【従来の技術】
ビーム走査速度変調(BSVM)とも呼ばれるテレビジョン走査速度変調(SVM)のようなドライバ回路は、表示されたビデオ信号から得られた電流の信号で画像管上のSVMコイルをドライブするためプッシュプルトランジスタの電流源回路を屡々使用する。SVMコイルは一つの出力増幅段内で直接ドライブされる場合があり、或いは、幾分低電力のプッシュプルトランジスタの電流源は、SVMコイルをドライブするプッシュプルエミッタフォロワーのようなより高い電力段に接続される場合がある。
【0003】
SVMコイルは、ビデオ輝度の遷移のシャープさを増強するような方式でビーム走査速度を変調する主偏向場を補う磁界を発生させるようドライブされる。例えば、暗い領域と明るい領域の間の遷移の際、ビームは、ディスプレイ上の明るい方の領域上でより緩やかに通過させられ、明るい方の領域はそうしない場合よりも明るく見え、一方、暗い方の部分の上ではより速く通過させられる。SVMドライブ信号は、ビデオ信号の輝度成分の微係数から部分的に得られ、画像のシャープさに与える影響がディスプレイ上の様々な位置で一致するよう水平及び垂直レートパラボラによって変調することが可能である。
【0004】
SVMドライバ段は、典型的に、SVMコイル内で少なくとも±1アンペアのオーダーの電流と、±50ボルトのオーダーの電圧をドライブするのに十分な電力を有する。SVMドライバは、例えば、従来のNTSC方式に対し10MHzまで、ノンインターレース形走査に対しより高く、及び、高品位テレビジョンに対し40MHzまでのビデオ周波数で機能することが必要である。
【0005】
図1は従来のプッシュプル電流ドライバ出力段の概略図であり、SVMコイルをドライブする場合が示されている。SVMコイル又は他の負荷20は、交流入力信号Vacに従って直流電源Vdcからドライブされる必要があり、交流入力信号Vacは、相補形プッシュプルトランジスタQ1及びQ2のベースにキャパシタC1及びC2によって交流結合されている。トランジスタQ1及びQ2は、夫々、NPN形及びPNP形トランジスタであり、逆に動作させられる。トランジスタQ1がオフの場合、トランジスタQ2はオンし、電流源Vdcから負荷に電流を供給し、キャパシタC3を充電する。トランジスタQ2がオフの場合、トランジスタQ1はオンし、負荷を介してキャパシタC3を放電させる。抵抗R1からR6はバイアスを提供する。負荷と直列したキャパシタC3は、負荷が反対の極性でドライブされ得るよう平均直流値を発生する。
【0006】
この形のドライバ段は高いピーク電力を必要とするが、効率のためトランジスタQ1とQ2を流れる直流コレクタ電流バイアスの注意深い制御が必要である。更に、波形の歪みを最小限に抑えることに利点がある。上記利点を得るには回路の設計要求の衝突が生じる。
直流コレクタ電流バイアスは、静止(quiescent) 、即ち、「オフ」しているとき、夫々のトランジスタQ1又はQ2を介する電流の導通を含み、トランジスタQ1及びQ2を流れることが望ましい。上記バイアス電流は、回路内に小さい信号周波数応答を保ち、上記段を通る信号の歪みを低減させる傾向がある。静止したコレクタ電流バイアスは、典型的には、10mAのオーダーにある。歪みの影響を回避することを除けば、不必要な直流静止電流を流すことは一般的に望ましくない。その理由は、不必要な直流静止電流によって全体として上記段の静止電力消費が直接的に誘起されるからである。
【0007】
直流電源電圧“Vdc”は、典型的には直流+140ボルトである。10mAの静止コレクタ電流を考えると、静止バイアス電流によって約1.4ワット(トランジスタ1個当たり0.7ワット)の電力消費が生じる。50mAの場合、静止電力消費は2個のトランジスタに対し7ワット(1個当たり3.5ワット)である。
【0008】
SVMコイルをドライブするため高いピーク電力要求条件が必要とされるにも係わらず、実際のデューティサイクルは一般的に小さい。デューティサイクルは、出力段の電源電流又は電圧を表わす信号をフィードバックさせることにより制御され、これは、高い電力を要求する比較的稀な場合に対しSVMの信号振幅を減少させる場合がある。かくして、効率的な設計は、かなり小さいSVMのデューティサイクルの利点を活用し、それに従って出力段の大きさを定める。更に、電力の浪費を回避し、適度に大きい熱シンクの必要性を回避するため、プッシュプルドライバの静止電力消費を最小限に抑えることが適当である。
【0009】
図1に示した従来の回路は、トランジスタQ1及びQ2の静止直流電流バイアス(特に、トランジスタの温度に変化がある場合)を制御するために、特に利点がある訳ではない。その理由は、静止電流をより良く制限するための設計の選択には逆の動作的影響があるからである。例えば、トランジスタQ1及びQ2と直列の抵抗R5及びR6は、小さい静止電流を得るため大きくすることが可能である。抵抗が大きくなるに従って、トランジスタのベース−エミッタ電圧に比較してより大きい電圧降下が得られるので、Vbeと温度に対する静止電流の依存は低減される。それとは別に、又は、それに加えて、トランジスタQ1及びQ2をバイアスするため使用された残りの抵抗R1乃至R4は、静止電流を最小限に抑えるよう選択することができる。設計者がR5及びR6を大きくするよう選択した場合、極端に大きい抵抗の値が必要になる。設計者が抵抗R1乃至R4を介してバイアスを変える(即ち、抵抗R2及びR3を大きく、R1及びR4を小さくさせて静止電流を減少させる)ことを選択した場合、小さい信号応答の欠点が生じ、クロスオーバー歪みが発生する。
【0010】
例えば、抵抗R5及びR6は、良好な温度安定性の1mAの静止負荷で0.5ボルトを発生するよう大きさを定められている場合、上記抵抗の値は50オームである。この値を静止条件中許容することが可能であるが、±1アンペアのピークドライブ電流で、抵抗R5、R6は50ボルトのピーク降下を生じる。高電力抵抗器が必要とされる。その上、夫々の抵抗R5又はR6の両端の電圧降下の点で負荷の両端に高い利用可能なピーク電圧を維持するため電源電圧Vccを略100ボルト増加させる必要がある。静止電流を制限するための上記解決策は、ピーク電圧及び電力消費の要求条件とは合致しない。
【0011】
図1の回路の対する可能性のある改良は、図2の従来技術のエミッタフォロワー形の例に示すように二つのVbe補償ダイオードを追加することである。可能であれば、同一機能の素子を識別するため夫々の図において同一の参照符号が使用されている。一つのダイオードCR1は抵抗R1と直列に導通し、別のダイオードは抵抗R4と直列に導通している。ダイオード接合の電圧は、トランジスタQ1及びQ2のベース−エミッタ電圧と適合し、ベース−エミッタ電圧を補償することが期待されている。この点で改良がなされているが、ドライバ段のバイアスに関係する問題は解決されない。最適な性能と電気的効率のため、ダイオード接合の電圧をトランジスタのベース−エミッタ電圧に正確に適合させる必要がある。ダイオードは、熱的変化の間に追従するよう適合し続けるためトランジスタQ1及びQ2の熱シンクに熱的に接続される必要がある。電圧の適合は、ダイオードを流れる電流を調整すること、又は、ダイオードのある接合電圧を特定することにより改良されるが、このような技術は、ダイオードのトランジスタへの熱的接続を実現するため必要とされる構造及び製造段階のため、回路のコストを追加する。
【0012】
特別の接合電圧の適合及び/又は熱的追従がない場合、特に、通常の製品変動との間で接合電圧の不適合が生じる可能性がある。この不適合は、±100mVのオーダーである場合があり、良好な再現性と適度な熱的安定性のため抵抗R1及びR4の両端に少なくとも200mVの静止直流電圧を必要とするので実質的である。従って、抵抗R5及びR6は、設計の中心静止コレクタ電流が10mAの場合、20オームであることが必要である。更に、静止電流は、ある程度の不適合が与えられた場合、5mAから20mAまで変わる可能性がある。±1アンペアの出力で、抵抗R5及びR6は20ボルトのピーク電圧を発生する。これに関し、抵抗R5、R6が50ボルトピークを発生する図1の元の回路例で改良がなされているが、未だ十分ではない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
図2の回路には、プッシュプルエミッタフォロワーの出力段を有する従来のオーディオドライバが示されている。エミッタフォロワーとして構成されているにも係わらず、この回路には、小さい静止バイアスと、バイアスの安定性と、接合電圧の適合と、相対的な効率の悪さと、又は、最適に満たない出力ドライブ電圧性能とを持続する問題に関し、上記と同様の制限がある。
【0014】
従って、小さく、かつ、安定な静止バイアスを維持する要求と、高いピーク出力の要求の間の衝突を解決することにより利点が得られる。この解決策は、図1及び2の従来の回路の限定された構成部品の仕様、熱的接続配置、高電力抵抗又は他の欠点に依存しないことが好ましい。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、上記解決策は、ドライブトランジスタのエミッタと直列にあるダイオードのような非線形素子を用いて実現される。かかる回路は、ダイオードがかなり大きい抵抗を有する静止状態において、ダイオードの両端に小さい順方向電圧、即ち、完全に導通性のダイオードの電圧降下より僅かに小さい電圧だけを定めるようバイアスされる。ピーク負荷のとき、ダイオードの抵抗は小さくなるので、小さい静止電流と高いピークドライブ電圧の両方が実現される。
【0016】
本発明の配置によれば、好ましくは、相補形プッシュプルドライバ段の各々の側の静止電流の引出しは、非線形素子、特に、上記段のトランジスタのエミッタ−コレクタ接合と直列のダイオードを設けることにより減少させられる。ダイオードは、静止電流状態でダイオードが順方向の導通電圧よりも僅かに低く順方向にバイアスされようバイアスされている、。ダイオードは、静止条件では、静止電流の散逸を最小限に抑える大きい抵抗を有することが効果的である。ダイオードは、ピーク電流条件で、小さい電圧降下を伴うかなり小さい抵抗を示し、これによって、ピーク電流の際、利用可能な電圧の中のより大きい割合を負荷に供給する。ドライバ段は、静止電流に対するピーク電流の非常に良好な割合を発生する。
【0017】
本発明の配置によるビーム走査速度変調(BSVM)ドライバ回路は:プッシュプル構成で接続され、ビデオ帯域幅を有するビーム走査速度変調信号を受けるため接続された夫々の信号入力電極と、相互に接続され、かつ、ビーム走査速度変調コイルに接続された夫々の対応する電極と、夫々の主導通パスとを有する第1及び第2のトランジスタと;上記トランジスタの上記主導通パスに接続され、閾値電圧に依存して導通状態と実質的に非導通状態をとる非線形装置を有し、上記第1及び第2のトランジスタが静止状態にあるとき上記閾値電圧に略等しい夫々のバイアス閾値を設定する夫々のバイアス回路とからなる。
【0018】
本発明の他の配置によるドライバ回路は:プッシュプル構成で接続され、ビデオ帯域幅を有するビーム走査速度変調信号を受けるため接続された夫々の信号入力電極と、相互に接続され、かつ、ビーム走査速度変調コイルに接続された夫々の対応する電極と、夫々の主導通パスとを有する第1及び第2のトランジスタと;
上記トランジスタの上記主導通パスに接続され、閾値電圧に依存して導通状態と実質的に非導通状態とをとる非線形装置を有し、上記非線形装置が静止状態の上記第1及び第2のランジスタの主導通パスを実質的に制限し、上記トランジスタのピークドライブ電圧を制限する傾向のある電圧降下を実質的に生じることなく、ピーク信号電流を送るよう夫々のバイアス閾値を設定する夫々のバイアス回路とからなる。
【0019】
上記バイアス閾値は、上記第1及び第2のトランジスタが静止状態にあるとき、上記閾値電圧に略一致する。
本発明の更なる配置によるドライバ回路は:プッシュプル構成で接続され、入力信号に接続された夫々の信号入力端子と、相互に接続され、かつ、負荷に接続された夫々の対応する電極と、夫々の主導通パスとを有する第1及び第2のトランジスタと;夫々の上記主導通パスに接続され、各々の両端間の閾値電圧に依存して導通及び実質的に非導通状態をとる非線形導通装置と;上記第1及び第2のトランジスタが静止状態にあるとき、上記閾値電圧に略等しい夫々のバイアス閾値を設定する上記非線形装置用の夫々のバイアス回路とからなる。
【0020】
上記各実施例において、各非線形装置は、上記主導通パスの一つと直列に接続されたダイオードからなる場合がある。第1の抵抗は、上記各ダイオードと並列に接続され、第2の抵抗は上記ダイオードと直列に接続されてもよい。
本発明の他の配置によるドライバ回路は、静止信号レベルとピーク信号レベルの間で変わる入力信号を供給する手段と;電源と上記入力信号供給手段とに接続され、上記入力信号に従って導通するよう配置されているトランジスタと;
上記トランジスタのエミッタと直列に接続され、上記トランジスタが上記静止信号レベルで導通しているとき、より大きい抵抗を有し、上記トランジスタが上記ピーク信号レベルで導通しているとき、より小さい抵抗を有するダイオードと;上記ダイオードの順方向バイアス導通電圧よりも小さいバイアス電圧を上記静止信号レベルで上記ダイオードの両端に維持する、上記ダイオードと並列の第1の抵抗及び上記ダイオードと直列の第2の抵抗と;上記第1の抵抗と並列に接続されたキャパシタとからなる。
【0021】
上記全ての実施例において、各非線形装置は、上記閾値レベルでバイアスされたとき、かなり大きい方の抵抗を示し、上記夫々のトランジスタが上記非線形装置を介して導通しているとき、かなり小さい方の抵抗を示す。
上記全ての実施例において、第1及び第2のトランジスタは相補形トランジスタでも構わない。
【0022】
【発明の実施の形態】
図3及び4には、ダイオードCR3は、出力トランジスタQ1のエミッタと直列に接続された本発明によるドライバ段の二つの異なる形態が示され、同一参照符号が対応する回路素子を識別するため使用されている。図3及び4に示された回路は、一つの出力トランジスタをバイアスするための回路を詳細に表わし、図5及び6に示したような相補形プッシュプルトランジスタ配置のための相補的な方式で繰り返すことが可能である。
【0023】
例示された本発明の各実施例において、バイアス回路1はトランジスタQ1と関係があり、バイアス回路2はトランジスタQ2と関係がある。図示した各バイアス回路には、例えば、ダイオードのような非線形装置と、非線形装置と直列の第1の抵抗と、非線形装置と並列の第2の抵抗と、非線形装置と並列のキャパシタがある。図3、5及び6では、キャパシタは更に第2の抵抗と並列にある。
【0024】
図3に示しているように、非線形回路又は素子CR3は、出力トランジスタQ1のエミッタと直列に配置され、静止バイアス条件中に見られるように低い方の電流レベルでかなり大きい方の抵抗を、ピーク信号条件中に見られるように高い方の電流に対しかなり低い方の抵抗を有することを特徴とする。この特徴は素子CR3のバイアス条件によって実現される。出力トランジスタQ1のバイアス条件は、最小静止電流が、例えば、10mAで維持されるように抵抗値の選択によって決められる。しかし、静止電流レベルで、非線形素子、即ち、ダイオードCR1の両端の電圧は、ピーク電流レベルで導通するときダイオードCR1の両端に生じる約0.7ボルトの順方向にバイアスされた導通ダイオードの降下よりも僅かに下で維持される。従って、ダイオードCR1の抵抗は、静止電流レベルで大きい方にあり、ピーク電流レベルで低い方にある。
【0025】
例えば、抵抗R7の値を47オームとし、抵抗R5の値を4.7オームとすることが可能である。良好な低信号レベル応答を得るため適当な10mAの最小静止電流レベルを保つため、トランジスタQ1のエミッタの電圧は0.517ボルトである。トランジスタQ1のベース−エミッタ電圧の誤差の許容値が±100mVである最悪の場合、静止電流は略±2mAだけ変化するに過ぎない。
【0026】
上記回路内のダイオードCR1の目的は、実質的な電圧降下を生じることなくピーク信号を伝達し、負荷、例えば、テレビジョン又は同様の表示手段の走査速度変調コイルの両端のピーク電圧出力を減少させることである。抵抗R5、R7の値は、上記段の静止条件でダイオードCR1の重要な導通はないが、ダイオードCR1の両端の電圧はダイオードの順方向にバイアスされた接合の電圧に適度に近くなるよう選択される。
【0027】
トランジスタQ1のエミッタと直列、かつ、ダイオードCR3と並列のキャパシタC4は、高周波(交流)エミッタ電流を伝達するため機能する。ダイオードCR3が存在しない場合、大きい信号電流は、トランジスタQ1のエミッタ電流のデューティサイクルを著しく低減させ、図5及び6に示されたようなプッシュプル配置に有意な量の「クロスオーバ」歪みを生じさせる新しい直流条件まで、キャパシタC4を充電する。このような歪みは平均交流信号振幅が増加するにつれて増大する。ダイオードCR3は高い平均信号電流でキャパシタC4上の電圧をクランプするよう機能する。
【0028】
ダイオードCR3の両端の導通接合電圧はダイオードCR3の両端の静止電圧と正確には一致しないので、図示した回路はクロスオーバ歪みを完全には除去しない。これは、ダイオードCR3の両端の接合電圧の適度な許容度と、環境温度変化と、ダイオードの電圧/電流条件の特性とに起因している。しかし、本発明によれば、歪みは最小限に抑えられ、ダイオードCR3が省かれた場合よりも遙かに小さい。クロスオーバ歪みは、例えば、全体的なフィードバック技術を使用する通常の技術と、より厳密に出力を制御するための入力誤差増幅器(図示せず)とを用いて更に低減される。
【0029】
ダイオードCR3のような典型的なシリコン整流器は、約0.4乃至0.5ボルトがダイオード両端の静止電圧として最適である。この電圧は十分に低いので、適度な環境温度でのトランジスタQ1のバイアスの良好な安定性が得られ、かつ、ダイオードCR3がトランジスタQ1の静止コレクタ電流を増加させる実質的な静止電流を導通させるのを防止する。更に、ダイオードCR3上の0.4乃至0.5ボルトの静止バイアスは、ダイオードの導通電圧にも近いので、ダイオードCR3を介して高い信号電流を導通させるのに十分な大きさがある。
【0030】
図3及び4には二つの他の構成が示され、その各構成は図5及び6に示したプッシュプル配置に使用することができる。何れの場合でも、ダイオードCR3(及び図5と6におけるダイオードCR4)は、夫々の出力トランジスタQ1(及びQ2)と直列である。電流は直列抵抗R5を介してダイオードに接続される。図3及び5の抵抗R7は、静止電流レベルで実質的に非導通のダイオードCR3の両端の電圧を決める分圧器を形成し;図4及び6において、この電圧は抵抗R8の値によって実質的に定められる。
【0031】
図5及び6に示したように、図3及び4のドライバ段は、プッシュプル出力段に直接適用し得る。従って、入力信号VacはキャパシタC1、C2によって相補NPN形及びPNP形トランジスタQ1、Q2に交流結合されている。ダイオードCR3及びCR4は、静止電流レベルで実質的に導通しないように夫々の直列及び並列抵抗R5、R7又はR6、R9によって各々バイアスされている。大きい電流のとき、導通は直列接続されたダイオードCR3、CR4及び抵抗R5、R6の夫々を介している。図5において、トランジスタQ1、Q2のベースは、抵抗R1、R2又はR3、R4によってキャパシタC3に接続されている。キャパシタC3は、負荷と直列にあり、トランジスタQ1が導通するとき負荷を介して放電され、一般的に電源電圧Vdcの約半分の平均電圧を維持する。図6において、抵抗R2とR3は、トラジスタのベースと負荷の間に接続され、同様の効果が得られる。
【0032】
図7には本発明によるドライバ段が示され、特定の構成部品の値と対応する静止電流レベルが記入されている。かかる実施例は、上記の如く、プッシュプル相補形の構成で配置することが可能である。
図2に示した従来のオーディオ増幅器の構成のように、プッシュプルトランジスタのエミッタが互いに接続され、かつ、負荷に接続されたプッシュプル増幅器に図3乃至7に示した本発明を利用し得ることは当業者によって認められるであろう。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、低電流レベルでプッシュプル段に良好な程度のバイアス安定性が得られ、ピーク信号電流に対し良好な電力効率が得られる。本発明は、走査速度変調コイルドライバと、ピーク電流が静止バイアス電流よりも非常に大きい他のドライバに対し特に利点がある。クロスオーバ歪みは、全てではないが、SVMドライバのような多数の応用に認められ、全体的なフィードバックの利用と、ドライバ段による入力信号のより正確な追従を生じさせる誤差増幅器とによって著しく低減させることが可能である。更に、バイアス回路は、安定な小さい静止コレクタ電流バイアスと、高い電気的効率又は高い電力ドライブ性能が望まれる、例えば、オーディオ増幅器のドライバ段又は他の電圧出力段のような別のドライバのエミッタ回路に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来技術のプッシュプルドライバ回路の概略図である。
【図2】従来技術のプッシュプルエミッタフォロワーとして構成されたドライバ回路の概略図である。
【図3】本発明の一実施例のドライバ段バイアス回路の概要図である。
【図4】本発明の他の実施例のバイアス回路の概要図である。
【図5】図3に対応し、プッシュプルドライバとして構成された本発明の更なる実施例である。
【図6】図4に対応し、プッシュプルドライバとして構成された本発明の更なる実施例である。
【図7】構成要素の値と、得られた電流レベル及び電圧降下と共に図4に従う実際的な実施例を示す概要図である。
【符号の説明】
20 走査速度変調(SVM)コイル
C1,C2,C3,C4 キャパシタ
CR1,CR2,CR3,CR4 ダイオード
Q1,Q2 トランジスタ
R1,...,R6,R7,R8 抵抗
Vac 交流入力信号
Vdc 直流電源

Claims (4)

  1. プッシュプル構成で接続され、ビデオ帯域幅を有するビーム走査速度変調信号を受けるため接続された夫々の信号入力電極と、相互に接続され、かつ、ビーム走査速度変調コイルに接続された夫々の対応するコレクタ電極と、夫々の主導通パスとを有する第1及び第2のトランジスタと;該トランジスタのエミッタからの該主導通パスに接続され、閾値電圧に依存して導通状態と実質的に非導通状態をとる非線形装置を有し、該第1及び第2のトランジスタが静止状態にあるとき該閾値電圧に略等しい夫々のバイアス閾値を設定する夫々のバイアス回路とからなる、ビーム走査速度変調ドライバ回路。
  2. プッシュプル構成でコレクタが接続され、ビデオ帯域幅を有するビーム走査速度変調信号を受けるため接続された夫々の信号入力電極と、相互に接続され、かつ、ビーム走査速度変調コイルに接続された夫々の対応するコレクタ電極と、夫々の主導通パスとを有する第1及び第2のトランジスタと;該トランジスタのエミッタの該主導通パスに接続され、閾値電圧に依存して導通状態と実質的に非導通状態をとる非線形装置を有し、該非線形装置が静止状態の該第1及び第2のランジスタの主導通パスを実質的に制限し、該トランジスタのピークドライブ電圧を制限する傾向のある電圧降下を実質的に生じることなく、ピーク信号電流を送るよう夫々のバイアス閾値を設定する夫々のバイアス回路とからなる、ビーム走査速度変調ドライバ回路。
  3. プッシュプル構成で接続され、ビデオ帯域幅を有するビーム走査速度変調信号に接続された夫々の信号入力端子と、相互に接続され、かつ、負荷に接続された夫々の対応する電極と、夫々の主導通パスとを有する第1及び第2のトランジスタと;夫々の該主導通パスに接続され、各々の両端間の閾値電圧に依存して導通及び実質的に非導通状態をとる非線形導通装置と;該第1及び第2のトランジスタが静止状態にあるとき、該閾値電圧に略等しい夫々のバイアス閾値を設定する該非線形装置用の夫々のバイアス回路とからなる、ドライバ回路。
  4. 静止信号レベルとピーク信号レベルの間で変わる入力信号を供給する手段と;プッシュプル増幅器として構成され、更に、電源と上記入力信号供給手段とに接続され、上記入力信号に従って導通するよう配置されている一対のトランジスタと;トランジスタのエミッタと直列に接続され、上記トランジスタが上記静止信号レベルで導通しているとき、より大きい抵抗を有し、上記トランジスタが上記ピーク信号レベルで導通しているとき、より小さい抵抗を有するダイオードと;上記ダイオードの順方向バイアス導通電圧よりも小さいバイアス電圧を上記静止信号レベルで上記ダイオードの両端に維持する、上記ダイオードと並列の第1の抵抗及びそれぞれのダイオードと直列の第2の抵抗と;上記第1の抵抗と並列に接続されたキャパシタとからなるビーム走査速度変調用ドライバ回路。
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