JP4064002B2 - 高炉の炉体マンテルの解体方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は高炉の炉体マンテルの解体方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、高炉改修工期の短縮のため、既設炉体の解体において、中空油圧ジャッキで炉体を懸垂しつつ、炉体をリング状に切断した後、搬送手段を用いて炉体櫓外に搬出撤去する技術が開発されており、例えば、特開昭53−87906号公報や特開平9−143521号公報に提示されている。
ここで、特開昭53−87906号公報に記載の高炉炉体の解体方法は、炉体櫓に少なくとも3個以上設けられたロッド付き中空油圧ジャッキに炉体を吊下し、炉体をその羽口部から順次上部に適宜幅の切断片に切断し、切断にあっては常に操業床レベルにて作業ができるようにロッド付き中空油圧ジャッキを操作し、炉体をその切断端部が操作床レベル近傍に位置する如く順次降下し、切断された鉄皮は操業床上に設けられた取出台車にて搬出するようにしている。
一方、特開平9−143521号公報に記載の高炉の短期改修・建設方法は、炉体を水平方向に切断し、上段マンテルを形成する他の上段のブロックを昇降設備により吊り下げながら、炉底マンテルを形成する最下段ブロックを複数個に縦割りして花びら状に解体し、撤去する。その後、他の上段ブロックを順次、昇降設備によって降下させ、鉄皮、冷却設備、レンガをリング状のまま、基礎面上に降ろし、直上のブロックを縁切りした後、基礎面上に横送りして搬出するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開昭53−87906号公報や特開平9−143521号公報に記載されている高炉炉体の解体方法においては、炉体マンテルを、羽口部付近で上段マンテルと下段マンテルに切断分離する場合、上部マンテル重量は内容積が5000m3 の高炉においては、4000トンに達する。このとき、上部マンテル荷重に対し、吊り荷重が過小な時は、溶断開先の形成が円滑に行われず、溶断に時間を要する。また、過大な吊り荷重をかけつつ切断すれば、切断の瞬間にかかる大きな衝撃力が、中空油圧ジャッキ、吊りロッド、ジャッキ支持固定装置等に著しい損傷を与える。また、切断が円周方向で同時に行えない場合、上部マンテルに横振れ(振動)が発生し、問題となる。
【0004】
また、搬送装置上にある炉体を、中空油圧ジャッキにより、上方より支持しつつ切断し、下方マンテルを搬送装置で搬出する場合においては、搬送装置にかかる荷重を円周方向に間隔をあけてかつ安定接触で少なくとも3点支持で極力緩やかに掛けることが必要となる。これは、衝撃的な力がかかれば、中空油圧ジャッキのみならず搬送装置(特に、スライドユニット等の摺動装置やチルタンク等の転動装置が限界荷重を超えて損傷)及び搬送面であるレール装置及びその支持装置に損傷を与えるからである。しかし、このような衝撃による損傷を防ぐためには、長時間をかけて切断すること、及び、これらの衝撃的な力に耐える安全率をみた搬送装置、搬送レール及びその支持装置の設計が必要となる。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、短時間でしかもスライドユニット等の搬送装置を損傷することがなく炉体マンテルを解体することができる高炉の炉体マンテルの解体方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的に沿う第1の発明に係る高炉の炉体マンテルの解体方法は、高炉の炉体マンテルを炉体櫓に取付けられた中空油圧ジャッキで支持しつつ、炉体マンテルをリング状に切断して上、下部マンテルとし、下部マンテルを高炉から撤去する高炉の炉体マンテルの解体方法において、下部マンテルを、水平面上で円周方向に間隔をあけて配置した複数の未切断部を残して上部マンテルから部分的に切断し、中空油圧ジャッキによって上部マンテルの重量の90〜120%を支持した状態で未切断部を切断し、上部マンテルを中空油圧ジャッキで吊り上げて下部マンテルから離隔し、下部マンテルを炉体櫓の外部へ搬出する。
【0007】
ここで、中空油圧ジャッキとして、例えば、特開昭53−87906号公報に記載されているように、筒体内に昇降ロッドを貫通させ、筒体の内部に設けた2分割された固定リングをシリンダで間欠的に駆動して、この昇降ロッドを、尺取り虫状に上、下に移動させることができるジャッキがあるが、ロッドに代えてワイヤを用いる中空油圧ジャッキ等を用いることもできる。
また、中空油圧ジャッキを用いて上部マンテルの重量の90〜120%を支持するようにしたのは、本来100%とするのが好ましいが、設計・製造時の重量に対し、長期の高炉の操業に伴うレンガやステーブクーラーの損耗や、スラグ等の付着物に起因する重量誤差等を考慮して、90〜120%としたものである。
【0008】
上記した高炉の炉体マンテルの解体方法において、中空油圧ジャッキによって上部マンテルの重量の90〜120%を支持した状態で未切断部を切断するようにしたので、下部マンテルを完全に切断した際に、中空油圧ジャッキやジャッキ支持固定装置にかかる衝撃を可及的に低減することができ、これらの損傷を確実に防止することができる。また、上記した衝撃による炉底基礎部の損傷も効果的に防止することができる。
【0009】
前記目的に沿う第2の発明に係る高炉の炉体マンテルの解体方法は、高炉の炉体マンテルを炉体櫓に取付けられた中空油圧ジャッキで支持しつつ、炉体マンテルをリング状に切断して上、下部マンテルとし、下部マンテルを搬送面であるレール上の搬送装置の上面に載置し、搬送装置を水平移動させて撤去する高炉の炉体マンテルの解体方法において、下部マンテルを水平面上で円周方向に間隔をあけて配置した複数の未切断部を残して上部マンテルから部分的に切断し、下部マンテルと搬送装置の上面との間に、円周方向に間隔をあけて配置された3箇所以上でテーパ付きライナーを打設し、下部マンテルの重量の80〜120%をレールによって支持すると共に、炉体マンテルの残部荷重(炉体マンテルの重量−下部マンテルの重量×80〜120%)を中空油圧ジャッキにより支持しながら下部マンテルを上部マンテルから完全に切断し、上部マンテルを吊り上げ、下部マンテルを搬送装置に完全に載置し、搬送装置を水平移動させて下部マンテルを炉体櫓外に搬出する。
【0010】
ここで、撤去すべき下部マンテルの重量の80〜120%をレールによって支持するようにしたのは、本来100%とするのが好ましいが、搬送装置に取付けるスライドユニット等の搬送ユニットの耐圧(耐荷重)設計上、想定される安全係数を考慮して、また、設計・製造時の重量に対し、長期の高炉の操業に伴うレンガやステーブクーラーの損耗や、スラグ等の付着物に起因する重量誤差等も考慮して、±20%の安全率をとるようにしたものである。
上記した高炉の炉体マンテルの解体方法において、下部マンテルと搬送装置の上面との間に、円周方向に間隔をあけて配置された3箇所以上でテーパ付きライナーを打設し、撤去すべき下部マンテルの重量の80〜120%をレールによって支持すると共に、炉体マンテルの残部荷重を中空油圧ジャッキにより支持しながら下部マンテルを上部マンテルから完全に切断するようにしたので、下部マンテルを完全に切断した際に、中空油圧ジャッキやジャッキ支持固定装置にかかる衝撃を可及的に低減することができ、これらの損傷を確実に防止することができる。また、搬送装置の下面に取付けられている低摩擦樹脂板等から形成されるスライドユニット等の搬送ユニットの損傷も可及的に防止することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
以下、本発明の一実施の形態に係る高炉の炉体マンテルの解体方法を、図1〜図8を参照して説明する。なお、図1及び図2は、第1の発明の一実施の形態に係る高炉の炉体マンテルの解体方法に関する図面であり、図3〜図8は第2の発明の一実施の形態に係る高炉の炉体マンテルの解体方法に関する図面である。
なお、本実施の形態は、炉体マンテルの搬送装置の一例である移動台車12が、その下面に取付けられたスライドユニット28による摺動原理によりレール25、26、27、29上を移動される場合につき記載する。
【0012】
まず、図1〜図8を参照して、第1及び第2の発明の一実施の形態に係る高炉の炉体マンテルの解体方法が適用される高炉11、高炉11の解体に用いられる移動台車12、重量物輸送用車両13、及び車両側架台14について簡単に説明する。
図1及び図2に示すように、高炉基礎15は所定の高さだけ床面16から隆起した高炉載置面17を有しており、高炉載置面17の中央部には冷却パイプと底板からなる炉底基礎部18が設けられている。
そして、炉底基礎部18上には、下段から上段にわたって順に、それぞれ撤去されるべき炉体マンテルを構成する第1の炉体マンテル19と、第2の炉体マンテル20と、第3の炉体マンテル21と、第4の炉体マンテル22からなる高炉11が設置されている。
高炉基礎15には、高炉11を取り囲む状態に4本の柱とそれらを連結する梁からなる炉体櫓23が設置されている。そして、この炉体櫓23の頂部に取付けられた複数の中空油圧ジャッキ24によって、昇降ロッド34を介して、後述するように炉体マンテル20〜22が吊り下げられる。
【0013】
一方、図3〜図8に示すように、炉底基礎部18上にはレールの一例である炉内レール25が敷設されており、高炉載置面17上であって、炉内レール25の前、後の個所には、炉内レール25の前、後端部に整列するレールの一例である高炉側炉外レール26、27が敷設されている。
炉内レール25上には、移動台車12が、その下面に幅方向に間隔をあけて取付けた低摩擦樹脂板等からなるスライドユニット28を介して摺動自在に載置されており、移動台車12の上面には、第2〜第4の炉体マンテル20〜22が順に載置されることになる。なお、図3は第2の炉体マンテル20が移動台車12上に載置されている状態を示し、図6は第3の炉体マンテル21が移動台車12上に載置されている状態を示す。
【0014】
また、図3、図4及び図7に示すように、高炉基礎15に隣接した床面16上には、上面に、高炉側炉外レール26と整列可能なレールの一例である車両側炉外レール29が設置された車両側架台14が設置されている。車両側架台14の下方には重量物輸送用車両13が配設されている。重量物輸送用車両13は、その載置フレーム30の載置面に補強フレーム31を介して車両側架台14を載せて、旋回、斜行、横走行等によって全方向に自走でき、かつ、載置面の高さも調整可能な構成を有する。
さらに、図2及び図3に示すように、第2の炉体マンテル20の下面には下部安全天井32が取付けられている。この下部安全天井32は、図1に示した第1の炉体マンテル19及び炉底基礎部18上の炉内容物等の撤去作業の安全確保のため設けられるものであり、第2の炉体マンテル20の撤去に際し、第2の炉体マンテルと一体に撤去される。
【0015】
以下、上記した構成を有する高炉11を、第1の発明の一実施の形態に係る高炉の炉体マンテルの解体方法を用いて解体する手順について、図1及び図2を参照して具体的に説明する。
(1)図1及び図2に示すように、下部マンテルを形成する第1の炉体マンテル19を、水平面上で円周方向に間隔をあけて(好ましくは、ほぼ均等に間隔をあけて)配置した複数の未切断部を残して上部マンテルを形成する第2〜第4の炉体マンテル20〜22から溶断装置等を用いて部分的に切断する。
(2)中空油圧ジャッキ24によって、昇降ロッド34を介して、第2〜第4の炉体マンテル20〜22をそれらの重量の90〜120%を支持した状態で前記未切断部を溶断装置等を用いて切断し、第1の炉体マンテル19を第2〜第4の炉体マンテル20〜22から完全に分離する。この間、第1の炉体マンテル19と第2の炉体マンテル20間、第2の炉体マンテル20と第3の炉体マンテル21間、第3の炉体マンテル21と第4の炉体マンテル22間についても強度上必要な未切断を残した先行切断が一斉に並行してできるので、クリティカル工程に入る最終の完全な分離切断の時間を短縮できる。即ち、高炉改修における解体作業のクリティカル工程の時間短縮が可能となる。
【0016】
(3)第2〜第4の炉体マンテル20〜22を中空油圧ジャッキ24で吊り上げて第1の炉体マンテル19から離隔する。
(4)リング状に切断された第1の炉体マンテル19を縦方向に分割した後、分割片を所定の揚重機を用いて炉体櫓23外に搬出して撤去する。
このように、中空油圧ジャッキ24によって第2〜第4の炉体マンテル20〜22の重量の90〜120%を支持した状態で未切断部を切断するようにしたので、第1の炉体マンテル19を完全に切断した際に、中空油圧ジャッキ24やジャッキ支持固定装置にかかる衝撃を可及的に低減することができ、これらの損傷を確実に防止することができる。また、上記した衝撃による炉底基礎部18の損傷も効果的に防止することができる。
【0017】
(5)その後、図3〜図8に示すようにして、第2の発明の一実施の形態に係る高炉の炉体マンテルの解体方法を用いて、第2〜第4の炉体マンテル20〜22の解体を次のようにして行う。
(6)まず、第2の炉体マンテル20の下面に下部安全天井32を吊り下げた状態で取付け、第1の炉体マンテル19を撤去した後、炉底基礎部18から撤去すべき残留物を全て除去する。
(7)図3及び図4に示すように、炉底基礎部18上に炉内レール25を敷設し、炉底基礎部18の前後をなす高炉載置面17上の高炉側炉外レール26、27と接続する。
【0018】
(8)図3及び図4に示すように、移動台車12を車両側架台14から炉内レール25上に引き込み、中空油圧ジャッキ24を作動して、第2〜第4の炉体マンテル20〜22を下降する。
(9)図3に示すように、下部マンテルを形成する第2の炉体マンテル20を水平面上で円周方向に間隔をあけて配置した複数の未切断部を残して上部マンテルを形成する第3及び第4の炉体マンテル21、22から部分的に事前切断する。なお、クリティカル工程短縮の必要の程度に応じて、この工程は省略することもできる。
(10)また、中空油圧ジャッキ24で第2〜第4の炉体マンテル20〜22を一体的に徐々に降下させた後、図3及び図4に示すように、第2の炉体マンテル20(厳密には下部安全天井32)と移動台車12の上面との間に、円周方向に間隔をあけて配置された3箇所以上(本実施の形態では、図4に丸印で示した10箇所に相当する移動台車12上に)で、鉄製のテーパ付きライナー33を、例えば、移動台車12下に設けたストレインゲージを用いて伝達荷重を検出して調整しつつ打設し、撤去すべき第2の炉体マンテル20の重量の80〜120%を移動台車12経由で炉内レール25によって支持すると共に、炉体マンテルの残部荷重(第2〜第4の炉体マンテル20〜22の重量−第2の炉体マンテル20の重量×80〜120%)を中空油圧ジャッキ24により支持しながら、第2の炉体マンテル20を第3及び第4の炉体マンテル21、22から完全に切断する。
【0019】
(11)中空油圧ジャッキ24によって第3及び第4の炉体マンテル21、22を吊り上げ、リング状に切断された第2の炉体マンテル20を単体で移動台車12に載置する。移動台車12を水平移動させて、第2の炉体マンテル20を炉体櫓23の外にある車両側架台14上に搬出し、重量物輸送用車両13を用いて、第2の炉体マンテル20を所望の個所まで移送する。
このように、第2の炉体マンテル20と移動台車12の上面との間に、円周方向に間隔をあけて配置された3箇所以上でテーパ付きライナー33を打設し、撤去すべき第2の炉体マンテル20の重量の80〜120%を炉内レール25によって支持すると共に、炉体マンテルの残部荷重を中空油圧ジャッキ24により支持しながら第2の炉体マンテル20を第3及び第4の炉体マンテル21、22から完全に切断するようにしたので、第2の炉体マンテル20を完全に切断した際に、中空油圧ジャッキ24やジャッキ支持固定装置にかかる衝撃を可及的に低減することができ、これらの損傷を確実に防止することができる。また、移動台車12の下面に取付けられている低摩擦樹脂板等から形成されるスライドユニット28の損傷も可及的に防止することができる。
【0020】
(12)その後、上記した工程(8)〜(11)を繰り返すことによって、図5〜図7に示すように、下部マンテルを形成する第3の炉体マンテル21を上部マンテルを形成する第4の炉体マンテル22から切断・分離した後、移動台車12を水平移動させて第3の炉体マンテル21を炉体櫓23の外にある車両側架台14上に搬出し、その後、重量物輸送用車両13を用いて、第3の炉体マンテル21を所望の個所まで移送することができる。
この場合も、第3の炉体マンテル21を完全に切断した際に、中空油圧ジャッキ24やジャッキ支持固定装置にかかる衝撃を可及的に低減することができ、これらの損傷を確実に防止することができる。また、移動台車12の下面に取付けられている低摩擦樹脂板等から形成されるスライドユニット28の損傷も可及的に防止することができる。
(13)その後、図8に示すように、移動台車12を車両側架台14から炉内レール25上に引き込み、中空油圧ジャッキ24を作動して、第4の炉体マンテル22を下降して移動台車12上に載置する。この時もテーパ付きライナー33を第4の炉体マンテル22と移動台車12の間に打設することにより、第4の炉体マンテル22の移動台車12上への載置時の衝撃を緩和することができる。その後、移動台車12を水平移動させて第4の炉体マンテル22を炉体櫓23の外にある車両側架台14上に搬出し、重量物輸送用車両13を用いて、第4の炉体マンテル22を所望の個所まで移送する。
【0021】
【実施例】
内容積が5000m3 の高炉11の改修において、上部マンテルである第2〜第4の炉体マンテル20〜22を吊りつつ下部マンテルである第1の炉体マンテル19の事前切断を行い、その後、完全に切断することによって、6時間で、第1の炉体マンテル19を切断することができた。この際、中空油圧ジャッキ24にかかる衝撃を低く抑えることができた。
また、その後、上部マンテルである第3及び第4の炉体マンテル21、22を吊りつつ下部マンテルである第2の炉体マンテル20を切断する作業を4時間で行うことができた。この場合も、中空油圧ジャッキ24にかかる衝撃を低く抑えることができ、また、搬送装置であるスライドユニット28の損傷も防止できた。
【0022】
以上、本発明を、一実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。
例えば、炉体マンテルの切断中においても、中空油圧ジャッキの支持する荷重を調整することができる。この時、中空油圧ジャッキの昇降駆動の油圧から支持する荷重を検出すると共に、中空油圧ジャッキを支持する炉体櫓にかかる荷重を、例えばストレインゲージを用いて検出し、中空油圧ジャッキの油圧制御を行なうことで調整すれば効果的である。
また、炉体マンテルの搬送は、搬送装置として移動台車を用いず、炉体マンテルの下部に直接複数の摺動ユニット、チルタンク等を置き、炉体マンテルを支持搬送するようにすることもできる。
【0023】
【発明の効果】
請求項1記載の高炉の炉体マンテルの解体方法においては、中空油圧ジャッキによって上部マンテルの重量の90〜120%を支持した状態で未切断部を切断するようにしたので、短時間で下部マンテルを解体できると共に、下部マンテルを完全に切断した際に、中空油圧ジャッキやジャッキ支持固定装置にかかる衝撃を可及的に低減することができ、これらの損傷を確実に防止することができる。また、上記した衝撃による炉底基礎部の損傷も効果的に防止することができる。
【0024】
請求項2記載の高炉の炉体マンテルの解体方法においては、撤去すべき下部マンテルと搬送装置の上面との間に、円周方向に間隔をあけて配置された3箇所以上でテーパ付きライナーを打設し、下部マンテルの重量の80〜120%を予めレールによって支持すると共に、炉体マンテルの残部荷重を中空油圧ジャッキにより支持しながら下部マンテルを上部マンテルから完全に切断するようにしたので、短時間で下部マンテルを解体できると共に、下部マンテルを完全に切断した際に、中空油圧ジャッキやジャッキ支持固定装置にかかる衝撃を可及的に低減することができ、これらの損傷を確実に防止することができる。また、搬送装置の下面に取付けられているスライドユニット等の搬送ユニットの損傷を可及的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の発明の一実施の形態に係る高炉の炉体マンテルの解体方法の側面視による工程説明図である。
【図2】同工程説明図である。
【図3】第2の発明の一実施の形態に係る高炉の炉体マンテルの解体方法の側面視による工程説明図である。
【図4】第2の発明の一実施の形態に係る高炉の炉体マンテルの解体方法の平面視による工程説明図である。
【図5】第2の発明の一実施の形態に係る高炉の炉体マンテルの解体方法の側面視による工程説明図である。
【図6】同工程説明図である。
【図7】同工程説明図である。
【図8】同工程説明図である。
【符号の説明】
11:高炉、12:移動台車、13:重量物輸送用車両、14:車両側架台、15:高炉基礎、16:床面、17:高炉載置面、18:炉底基礎部、19:第1の炉体マンテル、20:第2の炉体マンテル、21:第3の炉体マンテル、22:第4の炉体マンテル、23:炉体櫓、24:中空油圧ジャッキ、25:炉内レール、26:高炉側炉外レール、27:高炉側炉外レール、28:スライドユニット、29:車両側炉外レール、30:載置フレーム、31:補強フレーム、32:下部安全天井、33:テーパ付きライナー、34:昇降ロッド
Claims (2)
- 高炉の炉体マンテルを炉体櫓に取付けられた中空油圧ジャッキで支持しつつ、該炉体マンテルをリング状に切断して上、下部マンテルとし、該下部マンテルを前記高炉から撤去する高炉の炉体マンテルの解体方法において、
前記下部マンテルを、水平面上で円周方向に間隔をあけて配置した複数の未切断部を残して前記上部マンテルから部分的に切断し、
前記中空油圧ジャッキによって前記上部マンテルの重量の90〜120%を支持した状態で前記未切断部を切断し、
前記上部マンテルを前記中空油圧ジャッキで吊り上げて前記下部マンテルから離隔し、
前記下部マンテルを前記炉体櫓の外部へ搬出することを特徴とする高炉の炉体マンテルの解体方法。 - 高炉の炉体マンテルを炉体櫓に取付けられた中空油圧ジャッキで支持しつつ、該炉体マンテルをリング状に切断して上、下部マンテルとし、該下部マンテルをレール上の搬送装置の上面に載置し、該搬送装置を水平移動させて撤去する高炉の炉体マンテルの解体方法において、
前記下部マンテルを水平面上で円周方向に間隔をあけて配置した複数の未切断部を残して前記上部マンテルから部分的に切断し、
前記下部マンテルと前記搬送装置の上面との間に、円周方向に間隔をあけて配置された3箇所以上でテーパ付きライナーを打設し、前記下部マンテルの重量の80〜120%を前記レールによって支持すると共に、前記炉体マンテルの残部荷重を前記中空油圧ジャッキにより支持しながら前記下部マンテルを前記上部マンテルから完全に切断し、
前記上部マンテルを吊り上げ、前記下部マンテルを前記搬送装置に載置し、水平移動させて前記下部マンテルを前記炉体櫓外に搬出することを特徴とする高炉の炉体マンテルの解体方法。
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