JP2005281752A - 転炉の補修方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 安全に転炉本体を交換する転炉の補修方法を提供する。
【解決手段】 トラニオン機構13を残して、炉体上部A、炉底部C及び炉体中央部Bを除去する第1工程と、補修後又は新たに製作された炉体上部D及び炉体中央部Eを組み立て、トラニオン機構13の筒体部12をその軸心を垂直にした状態で、組み立てた炉体上部D及び炉体中央部Eをトラニオン機構13の直下に配置する第2工程と、組み立てた炉体上部D及び炉体中央部Eを引き上げて、トラニオン機構13の所定位置に炉体中央部Eを配置し、炉体中央部Eをトラニオン機構13に固定する第3工程と、炉体中央部Eをトラニオン機構13に固定した状態で、トラニオン機構13を実質180度旋回させ、炉体中央部Eの下端に補修後又は新たに製作された炉底部Fを固定する第4工程とを有する。
【選択図】 図1
【解決手段】 トラニオン機構13を残して、炉体上部A、炉底部C及び炉体中央部Bを除去する第1工程と、補修後又は新たに製作された炉体上部D及び炉体中央部Eを組み立て、トラニオン機構13の筒体部12をその軸心を垂直にした状態で、組み立てた炉体上部D及び炉体中央部Eをトラニオン機構13の直下に配置する第2工程と、組み立てた炉体上部D及び炉体中央部Eを引き上げて、トラニオン機構13の所定位置に炉体中央部Eを配置し、炉体中央部Eをトラニオン機構13に固定する第3工程と、炉体中央部Eをトラニオン機構13に固定した状態で、トラニオン機構13を実質180度旋回させ、炉体中央部Eの下端に補修後又は新たに製作された炉底部Fを固定する第4工程とを有する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、転炉の補修方法に関する。
従来、製鋼を行う転炉は、その内側の耐火物が操業時発生する銑鉄の流動による摩耗や衝撃による破損等で交換している。また、外側の鉄皮は、長期間高温に対処するため材質変更や熱歪等により設計段階の耐力保持困難と判断し交換している。例えば、特許文献1には、交換する転炉本体を操業位置から解体・組立位置へと移動して少なくとも炉底部を分離した後、残存部分を残して要補修部分をクレーンで補修位置へと移動して補修する一方、要補修部分に取って代わる補修済み部分を解体・組立位置へと移動して残存する部分と共に転炉本体に組み立てた後、組み立てられた転炉本体を操業位置に移動する転炉の炉体交換方法が開示されている。
また、図4に示す転炉の補修方法も知られている。この方法は、まず、トラニオン機構13を残して転炉本体11aを解体した後、図4(a)に示すように、補修又は新たに製作された炉体上部Dと炉体中央部Eとをその軸心が設置面に垂直になるように組み立てる。次に、図4(b)に示すように、組み立てた炉体上部Dと炉体中央部Eの軸心を90度傾けて設置面と平行にする。更に、図4(c)に示すように、組み立てた炉体上部Dと炉体中央部Eをジャッキ80を備えた交換台車81に載置し、軸心を設置面と平行にしたトラニオン機構13の筒体部12と、組み立てた炉体上部Dと炉体中央部Eの軸心を合わせて(つまり、ジャッキ80で高さを調整して)、筒体部12側へと移動する。
図4(d)に示すように、組み立てた炉体上部Dと炉体中央部Eに筒体部12をブラケット14を介して取付ける。更に、図4(e)に示すように、組み立てた炉体上部Dと炉体中央部Eを炉体上部Dが上側となるようにトラニオン機構13の傾動軸15を回転させた後、組み立てた炉体上部Dと炉体中央部Eの下方に、架台58を有する交換台車59に載置された炉底部Fを移動する。ここで、図4(f)に示すように、炉体中央部Eの内部に取付けた図示しないチェーンブロックで炉底部Fを引き上げ、炉体中央部Eの下部と炉底部Fの上部を合わせて溶接して転炉本体11aを形成する。転炉本体11aは、鉄皮の内側に耐火煉瓦等の耐火物を内張りし、冷却配管等を取付け、更に炉体上部Dの上部に炉体防滓用のカバー60を被せる。更に、交換台車59を除去して、転炉本体11aの交換を終了する。
しかしながら、特許文献1の発明では、転炉本体を交換するにあたり、転炉本体を解体・組立位置へと移動するので、その場所を確保し、移動するための手段も必要であるという問題があった。また、図4に示す方法では、炉体上部Dと炉体中央部Eを組み立てた後、組み立てた炉体上部Dと炉体中央部Eの軸心を90度傾ける(横転する)ので、危険を伴うという問題があった。また、筒体部の内側に、組み立てられて横転した状態の炉体上部Dと炉体中央部Eを芯出ししながら挿入する作業も危険であるという問題があった。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、安全性の高い転炉の補修方法を提供することを目的とする。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、安全性の高い転炉の補修方法を提供することを目的とする。
前記目的に沿う請求項1記載の転炉の補修方法は、筒体部を有するトラニオン機構及び該トラニオン機構の内側に装着される炉体中央部Bを備える炉体本体と、該炉体中央部Bの上に設けられる炉体上部Aと、前記炉体中央部Bの下に設けられる炉底部Cとを有する転炉の補修方法であって、
前記トラニオン機構の旋回手段を備え対となるトラニオン支持部に補修前の転炉を支持した状態で、前記トラニオン機構を残して、前記炉体上部A、前記炉底部C、及び前記炉体中央部Bを除去する第1工程と、
補修後又は新たに製作された炉体上部D及び炉体中央部Eを組み立て、前記トラニオン機構の筒体部をその軸心を垂直にした状態で、前記組み立てた炉体上部D及び炉体中央部Eを前記トラニオン機構の直下に配置する第2工程と、
前記組み立てた炉体上部D及び炉体中央部Eを引き上げて、前記トラニオン機構の所定位置に前記炉体中央部Eを配置し、該炉体中央部Eを前記トラニオン機構に固定する第3工程と、
前記炉体中央部Eを前記トラニオン機構に固定した状態で、前記トラニオン機構を実質180度旋回させ、前記炉体中央部Eの下端に補修後又は新たに製作された炉底部Fを固定する第4工程とを有する。
前記トラニオン機構の旋回手段を備え対となるトラニオン支持部に補修前の転炉を支持した状態で、前記トラニオン機構を残して、前記炉体上部A、前記炉底部C、及び前記炉体中央部Bを除去する第1工程と、
補修後又は新たに製作された炉体上部D及び炉体中央部Eを組み立て、前記トラニオン機構の筒体部をその軸心を垂直にした状態で、前記組み立てた炉体上部D及び炉体中央部Eを前記トラニオン機構の直下に配置する第2工程と、
前記組み立てた炉体上部D及び炉体中央部Eを引き上げて、前記トラニオン機構の所定位置に前記炉体中央部Eを配置し、該炉体中央部Eを前記トラニオン機構に固定する第3工程と、
前記炉体中央部Eを前記トラニオン機構に固定した状態で、前記トラニオン機構を実質180度旋回させ、前記炉体中央部Eの下端に補修後又は新たに製作された炉底部Fを固定する第4工程とを有する。
請求項1記載の転炉の補修方法において、トラニオン機構は、炉体中央部Bにブラケットを介して取付けられる筒体部(いわゆるトラニオンリング)と、筒体部に取付けられる傾動軸(いわゆるトラニオン軸)とを有している。筒体部は、傾動軸を回転可能に支持するトラニオン支持部に備えられた旋回手段によって、傾動軸を中心にして傾けることができる。
炉体上部A、炉体中央部B、及び炉底部Cはそれぞれ鉄皮で形成され、溶接により一体化され転炉本体を構成している。転炉本体の内側には、耐火物が内張りされ、その内側にはスラグ、鉄等の内容物が溜まっている。また転炉本体には、鉄皮を冷却する冷却配管、溶銑から保護する炉体防滓用のカバー等の付属物が取付けられている。炉体上部A、炉体中央部B、及び炉底部Cを除去する前には、転炉本体から耐火物、内容物、及び付属物を予め取り除き、炉体上部A、炉体中央部B、及び炉底部Cを構成する鉄皮のみとする。炉体上部A、炉体中央部B、及び炉底部Cのいずれか1又は2以上を修復して再利用する場合には、それぞれの部分に分離して修復する。また、組み立てる炉体上部D、炉体中央部E、及び炉底部Fは、外側の鉄皮のみとして転炉本体に組み上げた後、付属物を取付け、更に内側に耐火物を取付ける。
請求項2記載の転炉の補修方法は、請求項1記載の転炉の補修方法において、前記第3工程で、前記組み立てた炉体上部D及び炉体中央部Eの引き上げには、センターホール型のジャッキを使用する。
請求項2記載の転炉の補修方法において、センターホール型のジャッキとは、複数本のPC鋼より線で形成された鋼線(いわゆるストランドである)を把持する上下のグリッパー(くさび)を有し、上下のグリッパーの間隔を油圧駆動のシリンダで調整することにより、鋼線を上方又は下方に移動する装置であり、通常、ジャッキをジャッキ架台に固定した状態で鋼線を上げ下げすることにより、鋼線の下部に取付けた重量物を上昇又は下降させることができる。
請求項2記載の転炉の補修方法において、センターホール型のジャッキとは、複数本のPC鋼より線で形成された鋼線(いわゆるストランドである)を把持する上下のグリッパー(くさび)を有し、上下のグリッパーの間隔を油圧駆動のシリンダで調整することにより、鋼線を上方又は下方に移動する装置であり、通常、ジャッキをジャッキ架台に固定した状態で鋼線を上げ下げすることにより、鋼線の下部に取付けた重量物を上昇又は下降させることができる。
ジャッキによって重量物を上昇させる場合には、まず、下部のグリッパーで鋼線を把持し、上部のグリッパーを鋼線から離してフリーとし、シリンダで上下のグリッパーの間隔を狭める。次に、上部のグリッパーで鋼線を把持し、下部のグリッパーを鋼線から離してフリーとし、シリンダで上下のグリッパーの間隔を広げることにより、シリンダのピストンの移動分だけ重量物は上昇する。なお、重量物の下降は、その逆の操作によって行うことができる。
ここで、組み立てた炉体上部D及び炉体中央部Eは実質的に筒状となっているので、この中央にジャッキ架台を配置し、その上部にジャッキを取付けて、組み立てた炉体上部D及び炉体中央部Eを上昇させることができる。また、ジャッキは、組み立てた炉体上部D及び炉体中央部Eを取付けるトラニオン機構の上方に設けられている梁等に取付けてもよい。
請求項3記載の転炉の補修方法は、請求項1及び2記載の転炉の補修方法において、前記第2工程で前記組み立てた炉体上部D及び炉体中央部Eを垂直状態で交換台車に載せて前記トラニオン機構の直下に配置する。
ここで、垂直状態とは、組み立てた炉体上部D及び炉体中央部Eは、筒状となっているので、その軸心が垂直状態であることをいう。
請求項4記載の転炉の補修方法は、請求項1〜3記載の転炉の補修方法において、前記第4工程での前記炉底部Fを交換台車に垂直状態で載せて前記トラニオン機構の直下に配置する。
ここで、垂直状態とは、組み立てた炉体上部D及び炉体中央部Eは、筒状となっているので、その軸心が垂直状態であることをいう。
請求項4記載の転炉の補修方法は、請求項1〜3記載の転炉の補修方法において、前記第4工程での前記炉底部Fを交換台車に垂直状態で載せて前記トラニオン機構の直下に配置する。
前記目的に沿う請求項5記載の転炉の補修方法は、筒体部を有するトラニオン機構及び該トラニオン機構の内側に装着される炉体中央部Bを備える炉体本体と、該炉体中央部Bの上に設けられる炉体上部Aと、前記炉体中央部Bの下に設けられる炉底部Cとを有する転炉の補修方法であって、
前記トラニオン機構の旋回手段を備え対となるトラニオン支持部に補修前の転炉を支持した状態で、前記トラニオン機構を残して、前記炉体上部A、前記炉底部C、及び前記炉体中央部Bを除去する第1工程と、
補修後又は新たに製作された炉体中央部E及び炉底部Fを組み立て、前記トラニオン機構の筒体部をその軸心を垂直にした状態で、前記組み立てた炉体中央部E及び炉底部Fを前記トラニオン機構の直下に配置する第2工程と、
前記組み立てた炉体中央部E及び炉底部Fを引き上げて、前記トラニオン機構の所定位置に前記炉体中央部Eを配置し、該炉体中央部Eを前記トラニオン機構に固定する第3工程と、
前記炉体中央部Eを前記トラニオン機構に固定した状態で、前記トラニオン機構を実質180度旋回させ、前記炉体中央部Eの下端に補修後又は新たに製作された炉体上部Dを固定する第4工程とを有する。
前記トラニオン機構の旋回手段を備え対となるトラニオン支持部に補修前の転炉を支持した状態で、前記トラニオン機構を残して、前記炉体上部A、前記炉底部C、及び前記炉体中央部Bを除去する第1工程と、
補修後又は新たに製作された炉体中央部E及び炉底部Fを組み立て、前記トラニオン機構の筒体部をその軸心を垂直にした状態で、前記組み立てた炉体中央部E及び炉底部Fを前記トラニオン機構の直下に配置する第2工程と、
前記組み立てた炉体中央部E及び炉底部Fを引き上げて、前記トラニオン機構の所定位置に前記炉体中央部Eを配置し、該炉体中央部Eを前記トラニオン機構に固定する第3工程と、
前記炉体中央部Eを前記トラニオン機構に固定した状態で、前記トラニオン機構を実質180度旋回させ、前記炉体中央部Eの下端に補修後又は新たに製作された炉体上部Dを固定する第4工程とを有する。
請求項1〜4記載の転炉の補修方法は、転炉の炉体上部D及び炉体中央部Eを組み立て、トラニオン機構の筒体部をその軸心を垂直にした状態で、組み立てた炉体上部D及び炉体中央部Eをトラニオン機構の直下に配置し、組み立てた炉体上部D及び炉体中央部Eを引き上げて、トラニオン機構の所定位置に炉体中央部Eを配置し、炉体中央部Eをトラニオン機構に固定し、炉体中央部Eをトラニオン機構に固定した状態で、トラニオン機構を実質180度旋回させ、炉体中央部Eの下端に補修後又は新たに製作された炉底部Fを固定するので、炉体上部D及び炉体中央部Eを組み立てたものを横向きに横転させずトラニオン機構に固定でき、安全性が高い。
特に、請求項2記載の転炉の補修方法は、第3工程で、組み立てた炉体上部D及び炉体中央部Eの引き上げには、センターホール型のジャッキを使用するので、ジャッキの設置が容易で、作業し易い。
請求項3記載の転炉の補修方法は、第2工程で組み立てた炉体上部D及び炉体中央部Eを垂直状態で交換台車に載せてトラニオン機構の直下に配置するので、作業し易い。
請求項4記載の転炉の補修方法は、第4工程での炉底部Fを交換台車に垂直状態で載せてトラニオン機構の直下に配置するので、作業し易い。
請求項3記載の転炉の補修方法は、第2工程で組み立てた炉体上部D及び炉体中央部Eを垂直状態で交換台車に載せてトラニオン機構の直下に配置するので、作業し易い。
請求項4記載の転炉の補修方法は、第4工程での炉底部Fを交換台車に垂直状態で載せてトラニオン機構の直下に配置するので、作業し易い。
請求項5記載の転炉の補修方法は、転炉の炉体中央部E及び炉底部Fを組み立て、トラニオン機構の筒体部をその軸心を垂直にした状態で、組み立てた炉体中央部E及び炉底部Fをトラニオン機構の直下に配置し、組み立てた炉体中央部E及び炉底部Fを引き上げて、トラニオン機構の所定位置に炉体中央部Eを配置し、炉体中央部Eをトラニオン機構に固定し、炉体中央部Eをトラニオン機構に固定した状態で、トラニオン機構を実質180度旋回させ、炉体中央部Eの下端に補修後又は新たに製作された炉体上部Dを固定するので、炉体中央部E及び炉底部Fを組み立てたものを横向きに横転させずトラニオン機構に固定でき、安全性が高い。
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここで、図1(a)〜(f)は本発明の一実施の形態に係る転炉の補修方法の説明図、図2は同転炉の補修方法のセンターホール型のジャッキの説明図、図3(a)〜(d)は同ジャッキの作動状態を示す説明図である。
ここで、図1(a)〜(f)は本発明の一実施の形態に係る転炉の補修方法の説明図、図2は同転炉の補修方法のセンターホール型のジャッキの説明図、図3(a)〜(d)は同ジャッキの作動状態を示す説明図である。
図1(f)を参照して、本発明の一実施の形態に係る転炉の補修方法を適用する転炉10について説明する。
製鋼で使用される転炉10は、筒体部(いわゆるトラニオンリングである)12を有するトラニオン機構13及びトラニオン機構13の内側に装着される炉体中央部Bを備える炉体本体11と、炉体中央部Bの上に設けられる炉体上部Aと、炉体中央部Bの下に設けられる炉底部Cとを有している。炉体上部A、炉体中央部B、及び炉底部Cはそれぞれ鉄皮で形成され、それぞれを溶接して一体化され転炉本体11aを構成している。転炉本体11aの内側には、耐火煉瓦等の耐火物が内張りされている。転炉10の補修は、予め溶銑やスラグ等を除去し、炉内冷却後、転炉本体11aに内張りされている耐火物と共に残留物を除去し、付属物である炉体防滓用のカバー60、図示しない冷却配管等を取り除き、鉄皮のみとした転炉本体11a(つまり、炉体上部A、炉体中央部B、及び炉底部C)について行う。
製鋼で使用される転炉10は、筒体部(いわゆるトラニオンリングである)12を有するトラニオン機構13及びトラニオン機構13の内側に装着される炉体中央部Bを備える炉体本体11と、炉体中央部Bの上に設けられる炉体上部Aと、炉体中央部Bの下に設けられる炉底部Cとを有している。炉体上部A、炉体中央部B、及び炉底部Cはそれぞれ鉄皮で形成され、それぞれを溶接して一体化され転炉本体11aを構成している。転炉本体11aの内側には、耐火煉瓦等の耐火物が内張りされている。転炉10の補修は、予め溶銑やスラグ等を除去し、炉内冷却後、転炉本体11aに内張りされている耐火物と共に残留物を除去し、付属物である炉体防滓用のカバー60、図示しない冷却配管等を取り除き、鉄皮のみとした転炉本体11a(つまり、炉体上部A、炉体中央部B、及び炉底部C)について行う。
また、トラニオン機構13は、複数のブラケット14を介して炉体中央部Bに取付けられる筒体部12と、筒体部12外側の両側に取付けられる傾動軸(いわゆる、トラニオン軸である)15とを有し、炉体本体11は、トラニオン機構13及び炉体中央部Bを備えている。また、トラニオン機構13の図示しない旋回手段を備え対となる図示しないトラニオン支持部が傾動軸15(転炉10)を支持している。傾動軸15には、トラニオン支持部の旋回手段が取付けられている。筒体部12は、旋回手段によって傾動軸15を中心として傾けることができる。
図2を参照して、本発明の一実施の形態に係る転炉の補修方法で適用されるセンターホール型のジャッキ20について説明する。
ジャッキ20は、重量物(本実施の形態では後述する組み立てた炉体上部D及び炉体中央部E)を吊り上げる装置であって、一方側を図示しない吊り金具を介して重量物に取付けられる鋼線(例えばJISG3536に規定される7本よりのPC鋼より線)21を1又は2以上、例えば3本有している。
ジャッキ20は、重量物(本実施の形態では後述する組み立てた炉体上部D及び炉体中央部E)を吊り上げる装置であって、一方側を図示しない吊り金具を介して重量物に取付けられる鋼線(例えばJISG3536に規定される7本よりのPC鋼より線)21を1又は2以上、例えば3本有している。
鋼線21は、上下方向に配置され、ジャッキ架台22に配置される支圧板23に載置されるジャッキ本体24によって把持されている。ジャッキ本体24には、鋼線21の上部を把持する筒状でくさび形のグリッパー25を有するプリングヘッド26と、鋼線21の下部を把持する筒状でくさび形のグリッパー27を有するアンカーヘッド28とが設けられている。グリッパー25、27は、プリングヘッド26及びアンカーヘッド28にそれぞれ設けられるグリッパーのくさび孔29、30に挿入することによって鋼線21を把持することができる。
また、グリッパー25、27の上部には、それぞれのグリッパー25、27の移動の上限を決めるグリッパープレート31、32が設けられている。支圧板23には貫通孔23aが設けられ、貫通孔23aに鋼線21が通るようにアンカーヘッド28が載置されている。また、支圧板23には、アンカーヘッド28の外側にジャッキチェア33が取付けられ、ジャッキチェア33の上部には油圧駆動の複動型のシリンダ34が設けられている。
また、プリングヘッド26の下部にはシリンダ34と対となり、油圧駆動によって上下するピストン部35を有するジャッキラム36が取付けられている。また、ジャッキラム36は中空(センターホール)となっており、その空間に鋼線21が通っている。シリンダ34には上部及び下部にそれぞれ作動油を供給する供給口37、38が設けられ、供給口37、38には供給口37、38にそれぞれ作動油を供給する配管39、40が取付けられている。また、シリンダ34の下部には圧力計41が設けられ、下部に供給される作動油の圧力を測定している。
図3(a)〜(d)を参照して、重量物の吊り上げ時のジャッキ20の作動状態について説明する。
グリッパー25、27で鋼線21を把持する場合は、グリッパー25をプリングヘッド26のくさび孔29に挿入する、及び/又は、グリッパー27をアンカーヘッド28のくさび孔30に挿入して行う。また、ジャッキラム36を摺動させる場合は、グリッパー25、27のいずれかをそれぞれプリングヘッド26のくさび孔29、アンカーヘッド28のくさび孔30から取り外し、作動油を配管39又は配管40から供給して行う。
グリッパー25、27で鋼線21を把持する場合は、グリッパー25をプリングヘッド26のくさび孔29に挿入する、及び/又は、グリッパー27をアンカーヘッド28のくさび孔30に挿入して行う。また、ジャッキラム36を摺動させる場合は、グリッパー25、27のいずれかをそれぞれプリングヘッド26のくさび孔29、アンカーヘッド28のくさび孔30から取り外し、作動油を配管39又は配管40から供給して行う。
まず、図3(a)に示すように、ジャッキラム36のピストン部35はシリンダ34の下部に配置され、グリッパー25はくさび孔29から外され、グリッパー27はくさび孔30に挿入され、ジャッキ本体24を固定している。なお、グリッパー25、27をそれぞれくさび孔29、30に挿入して、ジャッキ本体24を固定してもよい。次に、図3(b)に示すように、グリッパー25をくさび孔29に挿入し、グリッパー27をくさび孔30から取り外した後、配管40を介して、供給口38から作動油を供給して、ジャッキラム36を上昇させ、グリッパー25によって把持された鋼線21がジャッキラム36、プリングヘッド26と共に上昇し、鋼線21の下部に取付けられた重量物を上昇させる。
図3(c)に示すように、ジャッキラム36のピストン部35をシリンダ34の上端まで摺動させて、供給口38への作動油の供給を停止してジャッキラム36の上昇を停止する。更に、図3(d)に示すように、グリッパー27をくさび孔30に挿入し、グリッパー25をくさび孔29から取り外した後、配管39を介して、供給口37から作動油を供給して、ジャッキラム36を下降させる。グリッパー27によって鋼線21が把持されているので、鋼線21及び重量物は上昇及び下降しない。作動油の供給によって、ジャッキラム36のピストン部35をシリンダ34の下端まで摺動させて、ジャッキ本体24を図3(a)の状態に戻す。
以上、図3(a)〜(d)の動作を繰り返すことによって重量物を吊り上げることができる。また、これらの動作を逆にすることによって重量物を降ろすことができる。
以上、図3(a)〜(d)の動作を繰り返すことによって重量物を吊り上げることができる。また、これらの動作を逆にすることによって重量物を降ろすことができる。
次に、図1を参照して、センターホール型ジャッキ20を使用した転炉の補修方法について説明する。
(第1工程)
図1(f)に示すトラニオン機構13及び転炉本体11aにおいて、トラニオン機構13を残して、予め耐火物、内容物、及び付属物を取り除いて鉄皮のみとなった転炉本体11a、すなわち炉体上部A、炉底部C、及び炉体中央部Bを除去する。なお、トラニオン機構13は、トラニオン機構13の旋回手段を備え対となるトラニオン支持部に支持されている。
(第1工程)
図1(f)に示すトラニオン機構13及び転炉本体11aにおいて、トラニオン機構13を残して、予め耐火物、内容物、及び付属物を取り除いて鉄皮のみとなった転炉本体11a、すなわち炉体上部A、炉底部C、及び炉体中央部Bを除去する。なお、トラニオン機構13は、トラニオン機構13の旋回手段を備え対となるトラニオン支持部に支持されている。
(第2工程)
図1(a)に示すように、補修後又は新たに製作された炉体上部D及び炉体中央部Eを組み立てる。なお、炉体上部D及び炉体中央部Eは外側の鉄皮だけで形成されている。まず、炉体上部Dの上部を下側にして架台50の上に配置し、その上に炉体中央部Eの上部を下側にして溶接して取付ける。炉体上部D及び炉体中央部Eの移動はクレーン51によって行っている。次に、図1(b)に示すように、組み立てた炉体上部D及び炉体中央部Eをその軸心が垂直状態となるように交換台車52に載せて、トラニオン機構13の筒体部12の軸心を垂直にした状態で、トラニオン機構13の直下に配置する。
図1(a)に示すように、補修後又は新たに製作された炉体上部D及び炉体中央部Eを組み立てる。なお、炉体上部D及び炉体中央部Eは外側の鉄皮だけで形成されている。まず、炉体上部Dの上部を下側にして架台50の上に配置し、その上に炉体中央部Eの上部を下側にして溶接して取付ける。炉体上部D及び炉体中央部Eの移動はクレーン51によって行っている。次に、図1(b)に示すように、組み立てた炉体上部D及び炉体中央部Eをその軸心が垂直状態となるように交換台車52に載せて、トラニオン機構13の筒体部12の軸心を垂直にした状態で、トラニオン機構13の直下に配置する。
(第3工程)
図1(c)に示すように、交換台車52の中央部(すなわち、筒状となった組み立てた炉体上部D及び炉体中央部Eの軸心付近)に、その上端が少なくとも筒体部12よりも高くなるようにジャッキ架台22を設置する。ジャッキ架台22は、直方体状の架構54を4つ縦に重ねて形成している。ジャッキ架台22の上端四隅にはそれぞれセンターホール型のジャッキ20が取付けられ、ジャッキ20にそれぞれ設けられた鋼線21は、炉体中央部Eの内壁に設けられた4つの吊り上げ用のブラケット55に取付けられている。
図1(c)に示すように、交換台車52の中央部(すなわち、筒状となった組み立てた炉体上部D及び炉体中央部Eの軸心付近)に、その上端が少なくとも筒体部12よりも高くなるようにジャッキ架台22を設置する。ジャッキ架台22は、直方体状の架構54を4つ縦に重ねて形成している。ジャッキ架台22の上端四隅にはそれぞれセンターホール型のジャッキ20が取付けられ、ジャッキ20にそれぞれ設けられた鋼線21は、炉体中央部Eの内壁に設けられた4つの吊り上げ用のブラケット55に取付けられている。
ジャッキ架台22の上部にはジャッキ20に作動油を供給する油圧ポンプ56が載置されている。次に、図1(d)に示すように、ジャッキ20によって、組み立てた炉体上部D及び炉体中央部Eを引き上げて、傾動軸15が所定位置になるように炉体中央部Eを筒状体12の内側に配置し、炉体中央部Eと筒体部12を複数のブラケット14を介して固定する。
(第4工程)
図1(e)に示すように、ジャッキ20、ジャッキ架台22、交換台車52、ブラケット55、及び油圧ポンプ56を除去した後、炉体中央部Eを筒体部12に固定した状態で、トラニオン支持部に設けられたトラニオン機構13の旋回手段によって傾動軸15を実質180度旋回させる。更に、架台58を有する交換台車59に垂直状態で載せられた補修後又は新たに製作された炉底部F(鉄皮のみである)をトラニオン機構13の直下、すなわち炉体中央部Eの直下に配置する。なお、交換台車59の代わりに交換台車52を使用してもよく、架台58の代わりに架台54の上部に炉底部Fに合わせて形成された固定台を取付けたものを使用してもよい(以下、同様である)。
図1(e)に示すように、ジャッキ20、ジャッキ架台22、交換台車52、ブラケット55、及び油圧ポンプ56を除去した後、炉体中央部Eを筒体部12に固定した状態で、トラニオン支持部に設けられたトラニオン機構13の旋回手段によって傾動軸15を実質180度旋回させる。更に、架台58を有する交換台車59に垂直状態で載せられた補修後又は新たに製作された炉底部F(鉄皮のみである)をトラニオン機構13の直下、すなわち炉体中央部Eの直下に配置する。なお、交換台車59の代わりに交換台車52を使用してもよく、架台58の代わりに架台54の上部に炉底部Fに合わせて形成された固定台を取付けたものを使用してもよい(以下、同様である)。
次に、図1(f)に示すように、炉体中央部Eの内部に取付けた図示しないチェーンブロックで炉底部Fを引き上げ、炉体中央部Eの下部と炉底部Fの上部を合わせて溶接して転炉本体11aを形成する。転炉本体11aは、鉄皮の内側に耐火煉瓦等の耐火物を内張りし、冷却配管等を取付け、更に炉体上部Dの上部に炉体防滓用のカバー60を被せる。なお、炉底部Fを鉄皮のみとして引き上げたが、炉底部Fに冷却配管、LD−OB配管カバー等を取付けて引き上げてもよい。
なお、第1工程で、炉体上部A、炉体中央部B、及び炉底部Cを解体する場合、炉底部Cを炉体中央部Bから分離して、架台58を有する交換台車59で搬出し、炉体上部A及び炉体中央部Bをトラニオン機構13を実質180度回転させた後、ジャッキ20及び油圧ポンプ56を上部に設けたジャッキ架台22を交換台車52の中央部に設置して、炉体上部A及び炉体中央部Bを下降させて、交換台車52に載せて除去してもよい。
本発明は、前記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲での変更は可能であり、例えば、前記した実施の形態や変形例の一部又は全部を組み合わせて本発明の転炉の補修方法を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
例えば、前記実施の形態の転炉の補修方法において、組み立てた炉体上部D及び炉体中央部Eの引き上げには、センターホール型のジャッキを使用したが、組み立てた炉体上部D及び炉体中央部Eを取付けるトラニオン機構の上方に設けられている梁等に取付けられるチェーンブロック等によって引き上げてもよい。
また、炉体上部D及び炉体中央部Eを組み立ててトラニオン機構に取付けた後、炉底部Fを炉体中央部Eに取付けたが、炉体中央部E及び炉底部Fを組み立ててトラニオン機構に取付けた後、炉体中央部Eの上部が下方となるように旋回手段によって180度回転させ、炉体上部Dを交換台車に垂直状態で載せてトラニオン機構の直下に配置し、炉体上部Dを炉体中央部Eに取付け、更に旋回手段によって180度回転させてもよい。
10:転炉、11:炉体本体、11a:転炉本体、12:筒体部、13:トラニオン機構、14:ブラケット、15:傾動軸、20:ジャッキ、21:鋼線、22:ジャッキ架台、23:支圧板、23a:貫通孔、24:ジャッキ本体、25:グリッパー、26:プリングヘッド、27:グリッパー、28:アンカーヘッド、29、30:くさび孔、31、32:グリッパープレート、33:ジャッキチェア、34:シリンダ、35:ピストン部、36:ジャッキラム、37、38:供給口、39、40:配管、41:圧力計、50:架台、51:クレーン、52:交換台車、54:架構、55:ブラケット、56:油圧ポンプ、58:架台、59:交換台車、60:カバー
Claims (5)
- 筒体部を有するトラニオン機構及び該トラニオン機構の内側に装着される炉体中央部Bを備える炉体本体と、該炉体中央部Bの上に設けられる炉体上部Aと、前記炉体中央部Bの下に設けられる炉底部Cとを有する転炉の補修方法であって、
前記トラニオン機構の旋回手段を備え対となるトラニオン支持部に補修前の転炉を支持した状態で、前記トラニオン機構を残して、前記炉体上部A、前記炉底部C、及び前記炉体中央部Bを除去する第1工程と、
補修後又は新たに製作された炉体上部D及び炉体中央部Eを組み立て、前記トラニオン機構の筒体部をその軸心を垂直にした状態で、前記組み立てた炉体上部D及び炉体中央部Eを前記トラニオン機構の直下に配置する第2工程と、
前記組み立てた炉体上部D及び炉体中央部Eを引き上げて、前記トラニオン機構の所定位置に前記炉体中央部Eを配置し、該炉体中央部Eを前記トラニオン機構に固定する第3工程と、
前記炉体中央部Eを前記トラニオン機構に固定した状態で、前記トラニオン機構を実質180度旋回させ、前記炉体中央部Eの下端に補修後又は新たに製作された炉底部Fを固定する第4工程とを有することを特徴とする転炉の補修方法。 - 請求項1記載の転炉の補修方法において、前記第3工程で、前記組み立てた炉体上部D及び炉体中央部Eの引き上げには、センターホール型のジャッキを使用することを特徴とする転炉の補修方法。
- 請求項1及び2のいずれか1項に記載の転炉の補修方法において、前記第2工程で前記組み立てた炉体上部D及び炉体中央部Eを垂直状態で交換台車に載せて前記トラニオン機構の直下に配置することを特徴とする転炉の補修方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の転炉の補修方法において、前記第4工程での前記炉底部Fを交換台車に垂直状態で載せて前記トラニオン機構の直下に配置することを特徴とする転炉の補修方法。
- 筒体部を有するトラニオン機構及び該トラニオン機構の内側に装着される炉体中央部Bを備える炉体本体と、該炉体中央部Bの上に設けられる炉体上部Aと、前記炉体中央部Bの下に設けられる炉底部Cとを有する転炉の補修方法であって、
前記トラニオン機構の旋回手段を備え対となるトラニオン支持部に補修前の転炉を支持した状態で、前記トラニオン機構を残して、前記炉体上部A、前記炉底部C、及び前記炉体中央部Bを除去する第1工程と、
補修後又は新たに製作された炉体中央部E及び炉底部Fを組み立て、前記トラニオン機構の筒体部をその軸心を垂直にした状態で、前記組み立てた炉体中央部E及び炉底部Fを前記トラニオン機構の直下に配置する第2工程と、
前記組み立てた炉体中央部E及び炉底部Fを引き上げて、前記トラニオン機構の所定位置に前記炉体中央部Eを配置し、該炉体中央部Eを前記トラニオン機構に固定する第3工程と、
前記炉体中央部Eを前記トラニオン機構に固定した状態で、前記トラニオン機構を実質180度旋回させ、前記炉体中央部Eの下端に補修後又は新たに製作された炉体上部Dを固定する第4工程とを有することを特徴とする転炉の補修方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2004096165A JP2005281752A (ja) | 2004-03-29 | 2004-03-29 | 転炉の補修方法 |
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JP2004096165A Pending JP2005281752A (ja) | 2004-03-29 | 2004-03-29 | 転炉の補修方法 |
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JP (1) | JP2005281752A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR101201773B1 (ko) | 2010-12-23 | 2012-11-15 | 주식회사 포스코 | 노 설비의 설치 방법 |
CN104439877A (zh) * | 2014-10-08 | 2015-03-25 | 甘肃酒钢集团西部重工股份有限公司 | 一种转炉托圈的修复方法 |
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2004
- 2004-03-29 JP JP2004096165A patent/JP2005281752A/ja active Pending
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