JP4063966B2 - 易染性ポリエステル繊維 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、常圧状態で濃色に染色可能で、染色後の光による退色が少なく、耐光性に優れた易染性ポリエステル繊維に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステル繊維、特に、ポリエチレンテレフタレート(PET)を主成分とするものは、高結晶性で高軟化点を有するため、強度、伸度等の機械的特性はもとより、耐熱性、耐薬品性等に優れた性能を示し、産業資材、衣料用品分野に幅広く利用されている。
しかしながら、濃色に染色しにくい、ピリングが発生しやすい、静電気を帯びやすい、吸湿性が低い等の短所も有している。特に、濃色に染色することが困難であり、この欠点は、ポリエステル繊維の用途範囲を著しく狭めている。
【0003】
一般に、ポリエステル繊維を染色する場合は、繊維構造中にある疎水基の影響を受けるため分散染料を使用する。その際、ポリエステル繊維は結晶性が高く、構造が緻密であるため、120〜130℃の高温高圧下で染色を行う方法や、あるいはキャリアーを用いて110℃前後の温度または常圧沸騰状態で染色を行う方法を用いている。
【0004】
しかしながら、高温高圧下で染色を行う方法では、染色に使用される機械装置の操作が煩雑であることや、エネルギー的にコストが高いこと等の問題がある。また、他種の繊維と混紡した繊維とすると、同浴染色を高温高圧下で行うと、他種の繊維(特に、羊毛やポリウレタン繊維等)がへたり等の物性低下を起こすという問題もある。
【0005】
また、キャリアーを用いる染色方法では、染色助剤としてのキャリアーは、一般に有害な物質が多いため、取扱いが難しく、したがって、排水処理等にコストがかかるという問題がある。さらに、キャリアーが繊維中の染料の染着座席を奪ってしまうために、濃色に染色することが難しかったり、染料のマイグレーションが発生しやすく、染色時に染班が生じる原因となる等の欠点がある。
【0006】
さらに、分散染料での染色性向上をねらったポリエステル繊維として、イソフタル酸、アジピン酸、ポリアルキレングリコール類等を共重合したものも提案されている。例えば、特公昭57−25646号公報には、平均分子量が300〜4000のポリエチレングリコールを共重合したポリエステルよりなる繊維が記載されている。
【0007】
しかしながら、ポリアルキレングリコール類はその構造中にエーテル結合を有しているため、得られる繊維は耐光性が悪くなりやすく、色調が変化したり、染色後に色があせるという問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような問題点を解決するものであって、キャリアー等を用いることなく、分散染料で染色する際に常圧状態で十分に濃色に染色することが可能で、染色後も十分な機械的物性(強度、伸度等)を保持し、かつ耐光性に優れる易染性ポリエステル繊維を提供することを技術的な課題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、平均分子量400〜2000のポリアルキレングリコールが2〜10重量%含有され、かつ、酸化セリウムと、タルクあるいはシリカからなり、表面が不定形シリカで被覆された平均粒子径0.1〜3.0μmの粒子が0.05〜5重量%含有されているポリアルキレンテレフタレートからなるポリエステル繊維であって、測定周波数10Hzにおける力学的損失正接tanδが最大を示す温度が60〜90℃であり、80℃染色時の黒色明度と、130℃染色時の黒色明度の差が5以下、20時間のカーボンフェード照射による耐光試験後の黒色明度の保持率が85%以上であることを特徴とする易染性ポリエステル繊維を要旨とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明においてベースとなるポリエステルは、ポリアルキレンテレフタレートであり、具体的には、PET、ポリブチレンテレフタレート(PBT)が好ましい。ポリアルキレンテレフタレートは、本質的な効果を損なわない限り、少量の共重合成分を含有していてもよく、これらの共重合成分としては、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸成分、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸成分、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAやビスフェノールSのアルキレンオキサイド付加物等のグリコール成分、4-ヒドロキシ安息香酸、ε−カプロラクトン等のヒドロキシカルボン酸成分が挙げられる。
【0011】
そして、本発明においては、ポリエステルに易染性を付与するためにポリアルキレングリコールを含有させる。常圧状態で特に100℃以下で十分濃色に染色するためには、平均分子量400〜2000のポリアルキレングリコールを用い、ポリエステル中の含有量が2〜10重量%、好ましくは4〜8重量%となるように添加することが必要である。
なお、本発明において、ポリアルキレングリコールは、末端をエーテル化したものやエステル化したものを含むものである。
【0012】
ポリアルキレングリコールの平均分子量が400未満であると、十分な染色性が得られず、平均分子量が2000を超えると、耐光性が低下して染色後の光による退色が著しくなり、また、ポリエステルとの相溶性が悪くなり、紡糸時の操業性が著しく低下する。
また、ポリエステル中のポリアルキレングリコールの含有量が2重量%未満であると十分な染色性が得られず、10重量%を超えると、ポリエステルの物性が低下して紡糸時の操業性が著しく低下したり、耐光性が低下して染色後の光による退色が著しくなる。
【0013】
ポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール、これらの共重合体やポリテトラメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。
【0014】
ポリエステルにポリアルキレングリコールを含有させる方法としては、ポリエステルの製造時(エステル交換またはエステル化反応の初期から重縮合反応の初期までの任意の段階)にポリアルキレングリコールを添加してもよいし、紡糸時にポリエステルとポリアルキレングリコールを混合して紡糸してもよい。後者の場合、ポリエステルとポリアルキレングリコールとを予め、一軸または二軸の混練機を用いて溶融混練してマスターバッチを製造し、これを紡糸時に添加してもよいし、紡糸時に両者を溶融混合しながら紡糸してもよい。
【0015】
本発明においては、上記のようなポリアルキレングリコールを含有させたポリエステルに、平均粒子径3.0μm以下の酸化セリウム粒子を0.05〜5重量%含有させる。酸化セリウム粒子は、紫外線吸収効果があり、耐光剤としての働きをするものであって、これを含有させることによって、ポリアルキレングリコールを含有したポリエステルの耐光性を高め、染色後の光による退色を防ぐことが可能となる。
【0016】
さらに、本発明においては、耐光剤としての酸化セリウム粒子を、酸化セリウムとタルクあるいは酸化セリウムとシリカからなり、表面が不定形シリカで被覆された平均粒子径0.1〜3.0μmの粒子とすることが好ましい。
【0017】
酸化セリウムとタルク又は酸化セリウムとシリカ(表面を被覆する不定形シリカを除く)との割合は、重量比で15:85〜50:50とすることが好ましい。酸化セリウムの割合があまり少ないと紫外線を吸収して耐光性を向上させる効果が不十分となり、逆に多すぎるとポリエステルの明度が低下しやすい。
【0018】
また、粒子の表面を被覆する不定形シリカの量は、粒子の15〜25重量%とすることが好ましい。不定形シリカの量が多すぎると酸化セリウムによる紫外線吸収効果が損なわれやすく、一方、少なすぎると粒子の機械的強度が低くなり、また、酸化セリウムの表面活性が強くなって、光分解や熱分解の触媒作用を生じることがある。
【0019】
これらの耐光剤粒子は、平均粒子径を3.0μm以下とすることが必要で、さらには、0.1〜3.0μmのものであることが好ましい。3.0μmを超えるものでは紫外線吸収効果が低下して耐光性が悪くなったり、ポリエステルの色調が悪化する。0.1μm未満のものは製造が難しく、コストが嵩むばかりか、凝集を起こしやすくなってポリエステルへの分散性も低下しやすい。
【0020】
そして、耐光剤粒子は、ポリエステルに対し0.05〜5重量%含有されている。含有量が0.05重量%未満であると、十分な耐光性が得られず、5重量%を超えると粒子が凝集しやすくなって紡糸操業性を悪化させるばかりか、ポリエステルの色調を悪化させることもあり、好ましくない。
【0021】
このような耐光剤粒子をポリエステル中に含有させるには、耐光剤粒子をエチレングリコールや1,4-ブタンジオール等のグリコールに分散させてポリエステルの合成時(エステル交換またはエステル化反応の初期から重縮合反応の初期までの任意の段階)に添加したり、また、予め耐光剤粒子を多量に含有したポリエステル(マスターバッチ)を調製し、これを紡糸時に添加することが好ましい。
【0022】
そして、本発明の繊維を構成するポリアルキレングリコールと耐光剤粒子を含有するポリエステルの製造方法としては、例えば次のような方法により製造することができる。
テレフタル酸とジオールを直接エステル化させて、ポリエステルオリゴマーを合成し、これにアルキレングリコールと耐光剤粒子のジオール分散液を添加し、重縮合反応を行う。
【0023】
重縮合反応は、通常、アンチモン、ゲルマニウム、スズ、チタン、亜鉛、アルミニウム、コバルト等の金属化合物の存在下で、0.12〜12hPa程度の減圧下、220〜290℃の温度で、極限粘度が0.5以上となるまで行うことが好ましい。
また、効果を阻害しない範囲であれば、ヒンダードフェノール系化合物のような抗酸化剤、コバルト化合物、蛍光剤、染料のような色調改良剤、二酸化チタンのような顔料等の添加物を含有させてもよい。
【0024】
次に、得られたポリエステルを常法により乾燥し、通常の溶融紡糸機台に供給してポリエステルの融点より20℃以上高い温度で溶融紡糸し、糸条を冷却後に未延伸糸または半未延伸糸としていったん捲き取るか、あるいは、捲き取ることなく、引き続いて延伸、熱処理等を行い、繊維を得る。なお、本発明の効果が損なわれない限り、他の成分との複合繊維としてもよい。
さらに、ポリエステル繊維の形態は長繊維としても短繊維としてもよく、必要に応じて、捲縮加工、仮撚加工、薬液による処理等の後加工を施して用いることもできる。
【0025】
そして、上記のようなポリエステルからなる本発明のポリエステル繊維は、測定周波数10Hzにおける力学的損失正接tanδが最大を示す温度(以下、Tmaxという)が60〜90℃であることが好ましい。一般に、Tmaxは、繊維の非晶部分の分子の易動性に対応しており、ポリアルキレングリコールの分子量が大きく、かつ、含有量が多くなるほどこの値が小さくなり、染料が繊維の非晶部分に入りやすくなり、染色性が向上する。
【0026】
Tmaxが90℃を超えると染色性改善効果が小さくなり、より高い温度での染色が必要となるので好ましくない。しかし、この値は低ければよいというものでもなく、ポリアルキレングリコールの分子量が大きくなりすぎたり、含有量が多すぎたりすると、60℃を下回るようになり、繊維の力学物性、耐熱性の低下等の問題が生じる。
【0027】
さらに、本発明のポリエステル繊維は、80℃染色時の黒色明度(以下L80と略す)と、130℃染色時の黒色明度(以下L130と略す)の差が5以下であることが好ましい。L80とL130の差が5を超える場合は、130℃染色時の発色に対する80℃染色時の発色が不十分であり、100℃以下の常圧状態で十分濃色に染色されていない状態である。
【0028】
なお、L80とL130の値は、次の方法で測定した値である。繊維を筒編みし、60℃で20分の精練を行った後、下記の条件で染色温度を80℃と130℃に変更して60分染色した後、80℃で20分の還元処理を行い、風乾後に小型ピンテンターを用いて150 ℃で1分の熱セットをした後、4枚重ねのサンプル片を作成し、L値を色彩色差計(ミノルタ社製CR-100)で測定する。
<染色条件>
【0029】
また、本発明のポリエステル繊維は、20時間のカーボンフェード照射による耐光試験後の黒色明度の保持率が85%以上であることが好ましい。この保持率が85%未満では耐光性が十分でなく、染色後の退色が著しくなる。
【0030】
なお、耐光試験後の黒色明度保持率は、次の方法で測定し、求めた値である。上記の染色条件(染色温度80℃)で作成したサンプル片を、サンシャインウエザーメーター(スガ試験機社製WEL-6XS-HC-B・EC型)により62℃、70%RHで20時間のカーボンフェード照射を行い、色彩色差計(ミノルタ社製CR-100)で照射前後のL値を測定し、次式により求める。
明度保持率(%)=(照射前のL値/照射後のL値)×100
【0031】
【作用】
本発明のポリエステル繊維が優れた染色性と耐光性を備えている理由は明らかではないが、発明者らは次のように考えている。
本発明のポリエステル繊維は、平均分子量400〜2000のポリエステルとの相溶性に優れたポリアルキレングリコールを用いているために、親水性のソフトセグメントが効率よくポリエステルの分子鎖に組み込まれており、ポリエステルの疎水性が緩和されるとともに、緻密な分子構造が一部緩和されて染料が繊維中に入りやすくなり、常圧状態で100 ℃以下でも濃色に染色することが可能となる。その結果、Tmaxが染色性と力学物性を両立する最適な値となり、L80とL130の差が5以下の染色性に優れた繊維となる。
また、特に耐光剤粒子として、酸化セリウムとタルクあるいはシリカからなり、表面が不定形シリカで被覆されたものを用いることにより、酸化セリウムとタルクあるいは酸化セリウムとシリカとからなる粒子が紫外線エネルギーを吸収し、かつ吸収することにより発生するラジカルは粒子を被覆しているシリカが遮断するため、ポリエステルのラジカルによる分解を抑制する。したがって、ポリアルキレングリコールを含有したポリエステルの耐光性を高め、染色後の退色を防止することが可能となり、L80の耐光試験後の保持率が85%以上となるものと推定される。
【0032】
【実施例】
次に、実施例により本発明を具体的に説明する。
なお、測定法や評価は次のとおりに行った。
(a)極限粘度(〔η〕)
フェノールとテトラクロロエタンとの等重量混合物を溶媒とし、温度20℃で測定した。
(b)強伸度
オリエンティック社製テンシロンRTC-1210型を用い、50cmの試料を50cm/分の速度で引張試験を行い、そのストレスーストレイン曲線から求めた。
(c)Tmaxの測定
レオメトリックサイエンテフィック社製RSA-iiソリッドアナライザーを用い、20〜160℃の範囲において、昇温速度5℃/分、測定周波数10Hzでtanδ曲線を測定し、Tmaxを求めた。
(d)L80、L130
前記の方法で測定した。なお、染色物のL値は、その値が低いほど色が濃いことを示す。すなわち、L値が低いほど染色性がよく、染料が繊維中に多く吸尽されていることになる。
(e)耐光試験後の黒色明度保持率
前記の方法で測定し、算出した。
【0033】
また、実施例及び比較例で使用した耐光剤粒子は次の5種類のものである。
A:酸化セリウムとタルクとからなる粒子の表面を不定形シリカで被覆したもので、酸化セリウム/タルク/不定形シリカの重量比が30/52/18のもの(日本無機化学工業社製 セリガードT-3018)
B:酸化セリウムとシリカとからなる粒子の表面を不定形シリカで被覆したもので、酸化セリウム/シリカ/不定形シリカの重量比が30/52/18のもの(日本無機化学工業社製 セリガードS-3018)
C:酸化セリウムとタルクとからなる粒子の表面を不定形シリカで被覆したもので、酸化セリウム/タルク/不定形シリカの重量比が20/62/18のもの(日本無機化学工業社製 セリガードT-2018)
D:シリカ粒子(富士シリシア社製 サイリシア310 )
E:タルク粒子(ファイザーMSP社製 マイクロタルクCP10−40)
【0034】
実施例1
PETオリゴマーの存在するエステル化反応缶にテレフタル酸とエチレングリコールとのモル比1/1.6のスラリーを連続的に供給し、温度250℃、圧力0.1MPaG、滞留時間8時間の条件で、エステル化反応を行い、反応率95%のPETオリゴマーを連続的に得た。
このPETオリゴマー50.25 kgを重縮合反応缶に移送し、平均分子量600のポリエチレングリコールを3.62kgと、抗酸化剤として「イルガノックス245」(日本チバガイギー社製、ヒンダードフェノール系抗酸化剤)を50g添加し、60分間撹拌混合した。その後、耐光剤粒子A(平均粒子径2.0 μm)の含有量が0.25重量%となる量のエチレングリコールスラリー、二酸化チタンの含有量が0.4 重量%となる量のエチレングリコールスラリー、全酸成分1モルに対し3×10-4モルの三酸化アンチモンをそれぞれ添加し、重縮合反応缶内の温度を30分間で275℃に昇温し、圧力を徐々に減じて60分後に1.2hPa以下とした。この条件で、撹拌しながら4時間重縮合反応を行い、常法により払い出してペレット化した。
次に、このペレットを常法により乾燥した後、通常の溶融紡糸装置を用いて紡糸温度290℃で溶融紡糸し、1400m/分の速度で未延伸糸を捲き取った。この未延伸糸を延伸機に供給し、80℃で予熱した後、温度150℃のヒートプレートに接触させながら3.5倍に延伸、熱処理して捲き取り、75d/36fのフィラメントヤーンを得た。
【0035】
実施例2〜5、比較例1〜7
ポリエチレングリコールの分子量、含有量及び耐光剤粒子の種類、粒子径、含有量を表1に示すように種々変更した以外は、実施例1と同様に行った。
【0036】
実施例及び比較例で得られたポリエステルの〔η〕と、フィラメントヤーンの物性、評価を表1にまとめて示す。
【0037】
【表1】
【0038】
表1から明らかなように、実施例1〜5では、製糸、操業性が良好で、得られた繊維は、Tmaxが60〜90℃であり、L80とL130の差が5以下と優れた易染性を有しており、かつ、耐光試験後の黒色明度の保持率も85%以上と光による退色が少なく、耐光性に優れていた。また、強伸度にも優れていた。
一方、比較例1ではポリエチレングリコールの分子量が小さすぎたために、比較例3ではポリエチレングリコールの含有量が少なすぎたために、得られた繊維はTmaxが大きくなりすぎ、L80とL130の差が大きく、十分な染色性が得られなかった。比較例2ではポリエチレングリコールの分子量が大きすぎたために、比較例4ではポリエチレングリコールの含有量が多すぎたために、ともに得られた繊維は、強伸度の物性に劣るものであり、耐光試験後の黒色明度の保持率も85%未満で、耐光性に劣るものであった。比較例5では、耐光剤粒子の含有量が多すぎたために紡糸時のパック圧の上昇速度が速く、操業性が極めて悪かった。また、比較例6、7は耐光剤粒子が適切でないため、得られた繊維はいずれも耐光試験後の黒色明度の保持率も85%未満で、耐光性に劣るものであった。
【0039】
【発明の効果】
本発明のポリエステル繊維は、分散染料で染色する際に、常圧状態で十分に濃色に染色することが可能で、かつ染色後の光による退色が少なく耐光性に優れ、強度、伸度等の機械的物性にも優れている。
Claims (1)
- 平均分子量400〜2000のポリアルキレングリコールが2〜10重量%含有され、かつ、酸化セリウムと、タルクあるいはシリカからなり、表面が不定形シリカで被覆された平均粒子径0.1〜3.0μmの粒子が0.05〜5重量%含有されているポリアルキレンテレフタレートからなるポリエステル繊維であって、 測定周波数10Hzにおける力学的損失正接tanδが最大を示す温度が60〜90℃であり、80℃染色時の黒色明度と、130℃染色時の黒色明度の差が5以下、20時間のカーボンフェード照射による耐光試験後の黒色明度の保持率が85%以上であることを特徴とする易染性ポリエステル繊維。
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