JP4063346B2 - 洗浄剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、精密部品に付着した切削油、プレス油、引き抜き油などの各種油、ワックス、グリース、液晶等の汚れの除去性、及びリンス性に優れ、かつ環境汚染がなく、しかも安全性の高い洗浄剤に関する。特に、液晶の汚れの除去及びそのリンス性に適する。
【0002】
【従来の技術】
精密部品の一つである液晶セルの構造は、2枚のガラス等の基板を、その周縁部でシール材により10μm以下のギャップで接着し、液晶を入れるための液晶室が形成されている。また、シール材で囲まれたこの液晶室の外側には、ガラス等の基板が10μm以下という微少ギャップで向かい合った空間部が存在する。液晶セル製造の際、上記液晶室に液晶を封入する工程において、本来液晶が入って欲しくない上記空間部にも毛細管現象で液晶が入ってしまう。上記空間部には透明電極に信号を印加するための電極端子がある。この電極端子は絶縁されていなければならないが、上記空間部に液晶が入った状態では絶縁不良を起こしてしまう。従来、このようなことを回避するための液晶の洗浄や付着した各種油、ワックス、グリース等の汚れの除去には、トリクロロトリフルオロエタン等のフロン系溶剤、トリクロロエチレン、トリクロロエタン、テトラクロロエチレン等の塩素系溶剤、オルソケイ酸ソーダ等のアルカリ物質に界面活性剤を配合した水系洗浄剤等が用いられてきた。しかし、これらの洗浄剤のうちフロン系及び塩素系溶剤は、高洗浄力かつ難燃性であるが、オゾン層破壊等の環境汚染の原因となり、その使用が問題となっている。また、水系洗浄剤は洗浄力不足が問題となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、精密部品に付着した各種油、ワックス、グリース、液晶等の汚れに対し高度な洗浄力を有し、かつ環境汚染がなく、しかも引火等の危険性も少ない洗浄剤を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、鋭意検討した結果、以下の(a)〜(d)成分を一定の割合で含有する洗浄液が、上記目的を達成できることを見いだした。
即ち、本発明は、
1.(a)炭素数8〜16のオレフィン系炭化水素、(b)下記式(1)で表される3−メチル−3−アルコキシブタノール、(c)界面活性剤及び(d)水、からなり、(a):(b):(c)の重量比が(10〜50重量%):(5〜40重量%):(20〜70重量%)であり、(a)+(b)+(c)100重量部に対して(d)が20〜4000重量部である事を特徴とする精密部品用洗浄剤。
【0005】
【化2】
Figure 0004063346
【0007】
上記1に記載の精密部品用洗浄剤を用い、液晶セルの洗浄方法
に関するもので、精密部品に付着した切屑油、プレス油、引き抜き油などの各種油、ワックス、グリース、液晶等の汚れの除去性、及びリンス性に優れ、かつ環境汚染がなく、しかも安全性の高い精密部品用洗浄剤である。
以下に、本発明について、詳細に説明する。
【0008】
成分(a)の炭化水素は、炭素数8〜16のオレフィン系炭化水素であり、単独で用いても混合して用いてもどちらでもよい。炭素数が8より少ないと引火点が低すぎて問題となり、炭素数が16より多いと上記洗浄剤組成物を配合する際、均一な液組成を保つのが困難になり問題となる。成分(a)の具体例としては、オクテン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセン、テトラデセン、ペンタデセン、ヘキサデセン、シクロオクテン、リモネン、ピネン等の単独またはこれらの混合物が挙げられる。
【0009】
成分(b)の3−メチル−3−アルコキシブタノールの製造方法としては、例えば、4.4−ジメチル−1.3−ジオキサンのメタノリシスにより得られる、3−メチルブタン−1.3−ジオールと炭素数1〜5の一級アルコールを、スルホン酸系強酸性イオン交換樹脂等の酸性触媒の存在下反応させる方法等がある。成分(b)の具体例としては、3−メチル−3−メトキシブタノール、3−メチル−3−エトキシブタノール、3−メチル−3−プロポキシブタノール、3−メチル−3−ブトキシブタノール等が挙げられる。(b)は1種類のみ単独で使用してもよいし、2種類以上を混合して使用してもよい。
【0010】
成分(c)の界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤を単独又は混合して用いる。特にノニオン系界面活性剤が好ましい。更に好ましくは、HLB=4〜15のノニオン系界面活性剤がよい。成分(c)の界面活性剤、特にノニオン系界面活性剤の具体例としては、ポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)エーテル、ポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)フェノールエーテル、ポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキル(またはアルケニル)アミン、ポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)アミド、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン縮合型界面活性剤等が挙げられる。
【0011】
本発明の洗浄剤において、成分(a):(b):(c)の重量比は、(10〜50重量%):(5〜40重量%):(20〜70重量%)である。成分(a)が10重量%より少ないと洗浄力が不足する。また、成分(a)が50重量%より多いとリンス性が悪くなる。成分(b)が5重量%より少ないと上記洗浄剤組成を配合する際、均一な液組成を保つことが困難となる。また、成分(b)が40重量%より多くなると洗浄力が低下する。成分(c)が20重量%より少ないと上記洗浄剤組成を配合する際、均一な液組成を保つことが困難となり、また洗浄剤のリンス性が悪くなる。また、成分(c)が70重量%より多いと洗浄剤の粘度が高くなりすぎて問題となる。成分(d)の配合量としては、成分(a)+(b)+(c)100重量部に対して20〜4000重量部である。成分(a)+(b)+(c)100重量部に対して、成分(d)が20重量部より少ないと洗浄剤の引火性が問題となる。また、4000重量部より多いと洗浄力が不足する。
【0012】
本発明の精密部品用洗浄剤は、上記の(a)〜(d)成分を混合することにより製造することができる。また、本発明の精密部品用洗浄剤にはその効力を損なわない範囲で必要に応じて、公知の任意成分を配合することができる。たとえば、アルカノールアミン等の防錆剤、フェノール系の酸化防止剤、消泡剤、液安定性を保つためのアルコール類、グリコール類等の溶剤などが配合できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。しかし本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0014】
【実施例1〜10】
表1に示す組成の洗浄剤を調合し、これを水で10倍に希釈したものを洗浄液とした。その液晶及び切削油の洗浄性、また、これらのリンス性を以下に示す方法で評価した。その結果を表1に示す。
1、液晶洗浄性評価
液晶セルのシール材で囲まれた液晶室の外側にある空間部(ギャップ6μm)に、液晶(ZLI−4792、メルクジャパン社製)を塗布し、10分間放置することにより空間部を液晶で満たした。この液晶汚れのついた液晶セルを各洗浄液中、40℃で4分間超音波洗浄(47KHz、80W)した。超音波洗浄後の液晶セルの空間部を微分干渉顕微鏡で観察し、各洗浄液の液晶汚れ洗浄性を評価した。
【0015】
液晶洗浄性評価基準
◎:空間部に液晶汚れがまったく残らない
○:空間部に液晶汚れが極微量に残る
△:空間部に液晶汚れが少量残る
×:空間部に液晶汚れが多量に残る
2、液晶洗浄後リンス性評価
続いて、このセルを純水中、40℃で4分間超音波リンス(47KHz、80W)した。続いて60℃で4分間乾燥した。以上の操作後の液晶セルの空間部を微分干渉顕微鏡で観察し、各洗浄液のリンス性を評価した。
【0016】
リンス性評価基準
◎:洗浄剤残渣まったく残らない
○:洗浄剤残渣が極微量に残る
△:洗浄剤残渣が少量残る
×:洗浄剤残渣が多量に残る
3、切削油洗浄性評価
切削油を、ステンレス製金属板に塗布し、各洗浄剤中40℃で4分間超音波洗浄(47KHz、80W)した。その際の汚れ除去性を目視評価した。
【0017】
切削油洗浄性評価基準
◎:ステンレス製金属板に切削油がまったく残らない
○:ステンレス製金属板に切削油が極微量に残る
△:ステンレス製金属板に切削油が少量残る
×:ステンレス製金属板に切削油が多量に残る
4、切削油洗浄後リンス性評価
続いて、このステンレス製金属板を純水中、40℃で4分間超音波リンス(47KHz、80W)した。さらに60℃で4分間乾燥した後リンス性を目視評価した。
【0018】
リンス性評価基準
◎:洗浄剤残渣まったく残らない
○:洗浄剤残渣が極微量に残る
△:洗浄剤残渣が少量残る
×:洗浄剤残渣が多量に残る
【0019】
【比較例1〜10】
表2に示す組成の洗浄剤を調合し、これを水で10倍に希釈したものを洗浄液とした。その液晶及び切削油の洗浄性、また、これらのリンス性を、実施例と全く同様に実施して評価した。その結果を表2に示す。
【0020】
【表1】
Figure 0004063346
【0021】
【表2】
Figure 0004063346
【0022】
【発明の効果】
本発明の洗浄剤は精密部品に付着した切削油、プレス油、引き抜き油等各種油、ワックス、グリース、液晶等の汚れに対する洗浄力に優れ、リンス性も優れ、かつ環境汚染がなく、しかも安全性の高いものである。

Claims (2)

  1. (a)炭素数8〜16のオレフィン系炭化水素、(b)下記式(1)で表される3−メチル−3−アルコキシブタノール、(c)界面活性剤及び(d)水、からなり、(a):(b):(c)の重量比が(10〜50重量%):(5〜40重量%):(20〜70重量%)であり、(a)+(b)+(c)100重量部に対して(d)が20〜4000重量部である事を特徴とする精密部品用洗浄剤。
    Figure 0004063346
  2. 請求項1に記載の精密部品用洗浄剤を用い、液晶セルの洗浄方法
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