JP2007138046A - 洗浄剤組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】光学部品の研磨工程などで使用されるアスファルトピッチやワックスなどの固定剤や樹脂系の保護膜に対する洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】本発明の洗浄剤組成物は、(A)炭素数6〜14のα−オレフィンと、(B)SP値が9〜14で粘度(25℃)が10mPa・s以下のグリコールエーテルをそれぞれ含有する。洗浄剤組成物全体に対する(A)成分および(B)成分の配合割合を、それぞれ30〜80重量%および20〜70重量%とすることが望ましい。さらに、酸化防止剤を添加することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、洗浄剤組成物に係り、特に、レンズやプリズムなどの光学部品に付着した汚れや保護膜の洗浄に好適に使用される洗浄剤組成物に関する。
レンズやプリズムなどの光学部品の切削・研磨の工程においては、光学部品を保持台に固定するために、アスファルトピッチやワックスが固定剤として使用されている。また、輸送などの際に製品を保護するために、表面にアスファルトピッチやワックスが塗布される。さらに、光学部品の片面の研磨時には、もう一方の面の保護のために、フェノール系樹脂やアクリル系樹脂などの保護膜を形成することが行われている。
そのため、これらの光学部品を次工程に移行させる際や、あるいは工程が終了し実際に製品として用いられる場合には、光学部品に付着しているアスファルトピッチやワックスなどの固定剤、ならびにフェノール系樹脂などの保護膜を除去する必要がある。そして、これらの洗浄・除去のために、従来は、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、塩化メチレン、パークロロエチレンなどの塩素系溶剤が使用されてきた。
しかし、これらの塩素系溶剤は、地球環境や人体に対して悪影響を与えるため、できる限り使用を避けることが求められている。また、これらの塩素系溶剤に代わるものとして使用が検討されている代替フロンにしても、オゾン層破壊とそれに伴う地球温暖化が懸念されることから、将来的には全廃される方向にある。
近年、これらの塩素系溶剤や代替フロンに代わるアスファルトピッチやワックスなどの洗浄剤として、次のようなものが提案されている。すなわち、ジアルキレングリコールアルキルエーテル類を配合したワックス用洗浄剤(例えば、特許文献1参照)や、特定のアルコールとプロピレングリコールアルキルエーテルおよび/またはジプロピレングリコールアルキルエーテルを混合した洗浄剤(例えば、特許文献2参照)が提案されている。
しかし、これらの洗浄剤はいずれもワックスの溶解性に優れているものの、アスファルトピッチや前記した保護膜に対する溶解性が十分でなかった。
また、特定の芳香族化合物と脂肪族化合物とを特定の割合で混合した溶剤を主成分とする光学部品用洗浄剤も提案されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、この洗浄剤組成物は、ワックスおよびアスファルトピッチの溶解性には優れているが、樹脂系の保護膜の洗浄にはかなりの時間を要していた。さらに、芳香族系の化合物は不快な臭気を伴うばかりでなく、人体に対する影響の面で多くの問題があった。そして、そのような作業環境の悪化などの問題を解決するため、芳香族化合物の配合をできるだけ少なくすることも考えられるが、その場合は十分な洗浄力を発揮することができなかった。
特開平7−247499号公報 特開平9−025496号公報 特開平8−254602号公報
本発明は、これらの問題を解決するためになされたもので、光学部品の製造工程などで使用される、アスファルトピッチやワックスなどの固定剤や樹脂系の保護膜のいずれに対しても優れた除去性能を発揮する洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
本発明の洗浄剤組成物は、(A)炭素数6〜14のα−オレフィンの1種または2種以上と、(B)溶解度パラメータ(SP値)が9〜14で25℃における粘度が10mPa・s以下であるグリコールエーテルの1種または2種以上を、それぞれ含有することを特徴としている。
本発明の洗浄剤組成物によれば、レンズやプリズムなどの光学部品に付着したアスファルトピッチやワックスなどの固定剤、およびフェノール系樹脂やアクリル系樹脂などの保護膜に対して、優れた溶解、除去力を有し、良好な洗浄性能を発揮することができるうえに、塩素系溶剤や芳香族化合物を含まず、地球環境や人体に対して悪影響を与えることがない。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の実施形態の洗浄剤組成物は、(A)炭素数6〜14のα−オレフィンの1種または2種以上と、(B)溶解度パラメータ(SP値)が9〜14で粘度(25℃)が10mPa・s以下であるグリコールエーテルの1種または2種以上をそれぞれ含有する。
実施形態の洗浄剤組成物において、(A)成分であるα−オレフィンは、炭素数が6〜14より好ましくは8〜12である分子末端に二重結合を有するオレフィンである。
炭素数が6未満のα−オレフィンは、引火点が−26℃未満と低いので、安全面から使用が不適当である。炭素数が14を超えるα−オレフィンでは、洗浄力が劣る場合があり好ましくない。
炭素数6〜14のα−オレフィンとしては、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセンなどが例示される。これらを単独でまたは組み合わせて使用することができる。これらの中でも、1−デセン、1−ドデセンは臭気が少ないため、使用が好ましい。
(B)成分であるグリコールエーテルは、溶解度パラメータ(SP値)が9〜14であり、かつ10mPa・s以下の粘度を有するものである。ここで、SP値は、分子の有極性に関連するパラメータの一つであり、蒸発潜熱法および分子引力定数法のいずれかの方法を用いて求めることができる。SP値の測定方法について特に制限はなく、いずれかの方法で求めたSP値が9〜14の範囲にあればよい。一般には、沸点が測定できる物質については蒸発潜熱法で求められた値を用い、沸点が測定できないか測定しにくい物質であって化学構造式が既知の物質については、分子引力定数法による値を使用する。また、粘度は25℃における値である。
SP値が9〜14であり、かつ粘度(25℃)が10mPa・s以下であるグリコールエーテルとしては、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、3−メトキシブタノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルなどが例示される。これらを単独でまたは組み合わせで使用することができる。
実施形態においては、(A)成分であるα−オレフィンの配合割合を、(A)成分の合計で洗浄剤組成物全体に対して30〜80重量%、より好ましくは40〜70重量%とし、(B)成分であるグリコールエーテルの配合割合を、(B)成分の合計で洗浄剤組成物全体に対して20〜70重量%、より好ましくは30〜60重量%とする。
実施形態の洗浄剤組成物には、さらに酸化防止剤を、組成物全体の30〜100ppmの割合で添加することができる。酸化防止剤としては、特に種類は限定されず公知のものを使用することができるが、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールのようなモノフェノール系の酸化防止剤や、2,5−ジ−t−アミルハイドロキノンのようなハイドロキノン系の酸化防止剤の使用が好ましい。このような酸化防止剤を添加した場合には、加温洗浄を行っても洗浄剤組成物の劣化が生じにくく、良好な洗浄性能を発揮することができる。
実施形態の洗浄剤組成物は、あらゆる洗浄用途に使用することができるが、ワックスやアスファルトピッチのような鉱物系の汚れに対する溶解・除去性が良好であるばかりでなく、フェノール系樹脂、アクリル系樹脂の保護膜の溶解性にも優れているので、特にレンズやプリズムのような光学部品の洗浄に最も優れた効果を発揮する。
次に、具体的実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例の組成を表す表中の数値は、特に記載がない限り重量部を示す。
実施例1〜4、比較例1〜13
表1および表2に示す各成分を同表に示す組成で混合し、洗浄剤組成物を調製した。そして、得られた洗浄剤組成物について、アスファルトピッチ洗浄性能、ワックス洗浄性能、および保護膜洗浄性能を、それぞれ以下に示すようにして評価した。
[アスファルトピッチ洗浄性能の評価]
アスファルトピッチが塗布されたガラス製光学レンズ(φ30mm)を、各洗浄剤組成物中に浸漬し、室温で3分間の超音波洗浄を行った。洗浄終了後レンズを取り出し、使用した洗浄剤組成物と同一組成を有する新液ですすぎ、温風で乾燥させた後、以下の基準で洗浄性を評価した。
◎:完全に洗浄されている。
○:ほとんど洗浄されているが、一部汚れの残留や再付着が見られる。
△:洗浄が不十分であり、汚れの残留が明らかである。
×:全く洗浄されていない。
[ワックス洗浄性能の評価]
ワックスが塗布されたガラス製光学レンズ(φ30mm)を、各洗浄剤組成物中に浸漬し、室温で3分間の超音波洗浄を行った。洗浄終了後レンズを取り出し、使用した洗浄剤組成物と同一組成を有する新液ですすぎ、温風で乾燥させた後、以下の基準で洗浄性を評価した。
◎:完全に洗浄されている。
○:ほとんど洗浄されているが、一部汚れの残留や再付着が見られる。
△:洗浄が不十分であり、汚れの残留が明らかである。
×:全く洗浄されていない。
[保護膜洗浄性能の評価]
フェノール系樹脂からなる保護膜が塗布されたガラス製光学レンズ(φ30mm)を、各洗浄剤組成物中に浸漬し、室温で3分間の超音波洗浄を行った。洗浄終了後レンズを取り出し、使用した洗浄剤組成物と同一組成を有する新液ですすぎ、温風で乾燥させた後、以下の基準で洗浄性を評価した。
◎:完全に洗浄されている。
○:ほとんど洗浄されているが、一部保護膜の残留や再付着が見られる。
△:洗浄が不十分であり、明らかに残留保護膜が見られる。
×:全く洗浄されていない。
これらの評価結果を表1および表2に示す。
Figure 2007138046
Figure 2007138046
表に示す評価結果から明らかなように、実施例1〜4の洗浄剤組成物によれば、レンズに付着したアスファルトピッチやワックス、フェノール系樹脂の保護膜を完全に溶解・除去し洗浄することができる。
本発明の洗浄剤組成物によれば、アスファルトピッチやワックスなど鉱物系の汚れに対する洗浄力が良好であるばかりでなく、フェノール系樹脂などの保護膜に対する溶解性にも優れているので、レンズやプリズムのような光学部品の洗浄に優れた効果を発揮する。

Claims (5)

  1. (A)炭素数6〜14のα−オレフィンの1種または2種以上と、(B)溶解度パラメータ(SP値)が9〜14で25℃における粘度が10mPa・s以下であるグリコールエーテルの1種または2種以上を、それぞれ含有することを特徴とする洗浄剤組成物。
  2. 前記(A)α−オレフィンの洗浄剤組成物全体に対する配合割合が、前記(A)成分の合計で30〜80重量%であり、かつ前記(B)グリコールエーテルの洗浄剤組成物全体に対する配合割合が、前記(B)成分の合計で20〜70重量%であることを特徴とする請求項1記載の洗浄剤組成物。
  3. さらに、酸化防止剤を含むことを特徴とする請求項1または2記載の洗浄剤組成物。
  4. アスファルトピッチ、ワックスおよび樹脂系汚れの少なくとも1種の除去に使用されるものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の洗浄剤組成物。
  5. 光学部品の洗浄に使用されるものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の洗浄剤組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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