JP4062361B2 - アーク溶接装置の制御方法およびアーク溶接装置 - Google Patents

アーク溶接装置の制御方法およびアーク溶接装置 Download PDF

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Description

本発明は、溶接ワイヤと溶接母材(ワーク)との間にアークを発生させて溶接出力制御を行うアーク溶接装置の制御方法およびアーク溶接装置に関するものである。
近年、消耗電極式アーク溶接装置では、スパッタの発生を抑制するために、短絡が開放されるのを予知して、短絡開放直前に溶接電流を低下させる、いわゆるネック検知制御を行い、アークが再発生する瞬間の溶接電流を低下させてアーク力を抑制していた。
従来の消耗電極式アーク溶接装置において、短絡状態となると、溶接出力を制御する制御回路は、短絡解放するため、所定の傾きに従い電流を増加させていく。そして、この電流の増加に伴って短絡部分のワイヤの溶融およびその溶融金属の母材側への移行が進み、溶接ワイヤと母材側溶融部との間でくびれ(いわゆるネック。以後ネックと言う。)が発生する。このネック部分では断面積が小さくなるため抵抗値が増加する。このため、ネックが生じてくると、短絡制御で電流増加を一定にしているにも関わらず溶接電圧の変化量が大きくなる。そして、この電圧変化量を検出することにより、ネック発生を検知してネック検知制御へと処理を移行する。
ここで、従来の消耗電極式アーク溶接装置では、後述するように溶接に適した出力を得るために交流電源を整流したものをスイッチングするためのスイッチング素子が設けられており、このスイッチング素子の影響により、溶接電圧はスイッチング素子のスイッチングに同期したリップル電圧が重畳され、このリップル電圧のためにネック検出確率が低下する場合があり、そのため、リップル電圧等のノイズを除去するものが知られている(例えば特許文献1参照)。
図8は上記した従来のアーク溶接装置の概略構成を示しており、81は交流電源を整流する第1の整流素子、82は第1の整流素子81の出力をスイッチングする第1のスイッチング素子、83は溶接負荷に電力を供給するとともに2次側補助巻線を設けた主変圧器、84は主変圧器83の出力を整流する第2の整流素子、85は主変圧器83の補助巻線の出力を整流する第3の整流素子、86は第2の整流素子84と出力端子間に設けられた第2のスイッチング素子、87は電流検出器、88は電圧検出器、89は電圧検出器88の出力と第3の整流素子85の出力との差分を演算する差動増幅回路、810は第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子を制御することにより溶接出力を制御する溶接制御回路である。
以上のように構成された溶接装置について、その動作を説明する。交流電源から供給された電力は第1の整流素子81により直流化される。直流化された電力は第1のスイッチング素子82により溶接状態に応じて必要な電力として主変圧器83へ入力される。主変圧器83の出力側から得られる大電流は第2の整流素子84により直流化され、第2のスイッチング素子86を介して溶接負荷へ電力供給される。溶接負荷へ流される溶接電流は電流検出器88により検出され、制御回路にフィードバックされる。また、溶接負荷へ印加される溶接電圧は、電圧検出器88により検出される。ここで、電圧検出器88により検出された溶接電圧は、第1のスイッチング素子82により生じるリップル成分を含んでおり、また、第3の整流素子85の出力は第1のスイッチング素子82のリップル成分を含んでいるので、この第3の整流素子85の出力と電圧検出器87の出力を差動増幅器89により差分演算することにより、溶接電圧に含まれるリップル成分を除去することができ、このようにしてリップル成分の除去された溶接電圧は、溶接制御回路810に入力さ
れて正確なネック部分の検出や溶接出力制御に利用される。
特開平10−180443号公報
しかし、従来の溶接装置は、上記したように、この溶接装置自体を構成するスイッチング素子によるリップル成分の影響を除去して溶接出力の制御等を行うことが可能なものであったが、溶接装置自体が発するその他のノイズ、あるいは他の機器の影響によるノイズ、例えば、図9に示すように、複数の溶接装置により同一のワークに対して溶接が行われるており、一方の溶接装置1の出力制御のためのスイッチング動作により他方の溶接装置2の溶接電圧にノイズが発生する場合等においては、これらのノイズを十分に除去できないという課題を有していた。
そして、ノイズ除去ができなかった場合には、ネックの誤検出が生じてしまい、このネック誤検知により本来ネックではないにも関わらずネック検知制御を行ってしまうので、スパッタの発生を抑制することや良好な溶接結果を得ることが困難になるという課題を有していた。また、ノイズ等の状況によっては、短絡開放を誤検知してしまう場合もあった。
本発明は、ネック検出の誤判定あるいは短絡開放誤検知を防止するとともに、状況に適した溶接出力制御を行い、溶接状態を安定化させることによりスパッタ発生量を低減し、良好な溶接結果を得ることのできるアーク溶接装置の制御方法およびアーク溶接装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のアーク溶接装置の制御方法は、溶接電圧を検出するステップと、単位時間あたりの前記溶接電圧の変化量を算出するステップと、単位時間あたりの溶接電圧の変化量と第2の閾値とによる溶滴のくびれ検知をするステップとを有し、前記単位時間あたりの溶接電圧の変化量と第1の閾値との比較結果に基づいて、単位時間あたりの溶接電圧の変化量と第2の閾値とによる溶滴のくびれ検知を所定期間禁止するものである。
また、上記課題を解決するために、本発明のアーク溶接装置は、溶接電圧を検出する溶接電圧検出部と、前記溶接電圧検出部が検出する溶接電圧の単位時間あたりの変化量を算出する演算部と、第1の閾値および第2の閾値と前記演算部の演算結果とを比較する比較部とを備え、前記第1の閾値と前記演算部の算出結果との比較結果に基づいて、前記第2の閾値と前記演算部の演算結果とによる溶滴のくびれ検知を所定期間禁止するものである。
そして、上記本発明のアーク溶接装置の制御方法および本発明のアーク溶接装置は、溶接電圧の変化量に基づいてネック検知を禁止することにより、誤ってネック検知を行うことを防止して正確にネック判定を行うものである。
以上のように、本発明は、溶接電圧の変化量に基づいてネック検知を禁止する機能を有することにより、誤ってネック検知を行うことを防止して正確にネック判定を行うことができ、スパッタ発生を低減することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図1から図7を用いて説明する。
(実施の形態1)
図1は本実施の形態におけるアーク溶接装置の概略構成を示すブロック図であり、図1において、1は電力を供給する交流電源、2は交流電源1の出力を整流する第1の整流素子、3は第1の整流部2の出力を溶接に適した出力を得るためにスイッチングする第1のスイッチング素子、4は溶接負荷に電力供給する主変圧器、5は主変圧器4の出力を整流する第2の整流素子、6は一端を第2の整流素子5に接続された第2のスイッチング素子、7は第2のスイッチング素子6に並列に接続された抵抗、8は第2のスイッチング素子6と直列に接続され溶接電流出力を安定化させるためのリアクタ、9は溶接電流の出力量を検出する電流検出器、10は溶接電圧を検出する電圧検出器である。
また、19は溶接時に溶接ワイヤ部に生じるくびれ(以後ネックという)の発生を検出するネック検出手段であり、このネック検出手段19は、電圧検出器10の出力に基づいて電圧変化量を求める電圧変化量検出部11と、電圧変化量検出部11の出力に基づいて溶接中に短絡状態からアーク状態へ移行する際に発生するネックの検出判定を行うネック判定部12と、ネック判定部12の判定処理を禁止するネック検出禁止部13とから構成される。
また、14は電圧検出器10の出力に基づいて溶接状態におけるアーク状態あるいは短絡状態を検出するA/S判定部、20は溶接制御手段である。この溶接制御手段20は、溶接出力制御部15と、制御状態記憶部16と、タイマ部17とを備えている。なお、溶接出力制御部15は、電流検出器9の出力、電圧検出器10の出力、ネック検出手段19の出力、A/S判定部14からの出力に基づいて第1のスイッチング素子3および第2のスイッチング素子6を制御することで溶接出力を制御するものである。制御状態記憶部16は、溶接出力制御部15の溶接制御状態を一時的に記憶するものである。タイマ部17は、溶接出力制御部15からの指令に基づいて時間を計測するものである。
以上のように構成されたアーク溶接装置についてその動作を説明する。
交流電源1から供給された電力は、第1の整流素子2により直流化され、第1のスイッチング素子3へ直流電源として供給される。第1のスイッチング素子3は、溶接出力制御部15によりオン/オフ制御され、これにより主変圧器4へ供給される電力が制御される。そして、主変圧器4に供給された電力は、第2の整流素子5により直流化され、溶接負荷に供給される。
ここで、通常の溶接時においては、第2のスイッチング素子6はオンされた状態であり、リアクタ8を介して溶接負荷に溶接電流が供給される。なお、急峻に溶接負荷に流れる溶接電流を低下させる必要が生じた場合(例えば、アーク状態から短絡状態になった場合やくびれ検知した場合等)、溶接出力制御部15は、第2のスイッチング素子6をオフして低インピーダンスの溶接電流供給路を遮断し、主変圧器4に蓄積されたエネルギーは、第2のスイッチング素子6に並列に接続された抵抗7を介してエネルギー消費される。
また、電流検出器9は、溶接負荷に供給される溶接電流を検出して溶接電流Iaとして出力し、電圧検出器10は、溶接負荷に印加された溶接電圧を検出して溶接電圧Vaとして出力する。
次に、図2を用いて、A/S判定部14の基本的な動作について説明する。
図2は、短絡溶接時における溶接電流(Ia)と溶接電圧(Va)の波形を示した模式図である。
A/S判定部14は、電圧検出器10により検出された溶接電圧Vaと、短絡判定のために設定されており図示しない記憶部に記憶されている短絡判定レベルVs0とを比較し、VaがVs0以下となる場合には溶接が短絡状態になったと判定して短絡状態を示すA/S信号を出力する。溶接出力制御部15は、A/S判定部14から短絡状態を示すA/S信号を受けると、第2のスイッチング素子6をオフすることにより短絡が生じることによる溶接電流の急激な増加を防止するとともに、溶接電流Iaを予め設定された短絡初期電流Is0まで低下するように制御する。その後、溶接出力制御部15は、電流を短絡初期電流Is0から所定の増加量で増加させることができるように第2のスイッチング素子をオンするとともに第1のスイッチング素子3を制御してスムーズな短絡解放を行うための短絡電流制御を行う。
また、A/S判定部14は、短絡状態と判定した後は、溶接電圧Vaと短絡開放判定のために設定されており図示しない記憶部に記憶されている短絡解放判定レベルVarcとを比較し、VaがVarc以上となった場合には溶接状態がアーク状態になったと判断してアーク状態を示すA/S信号を出力する。
次に、図3を用いて、ネック検出手段19におけるネック検出動作について説明する。
図3は短絡溶接時の溶接電流(Ia)と、溶接電圧(Va)と、溶接電圧変化量(dv/dt)の波形を示した模式図である。
ネック検出手段19を構成する電圧変化量検出部11は、所定時間あたりの溶接電圧Vaの変化量dv/dtを検出する。A/S判定部14からネック検出手段19に対して短絡状態を示す信号が入力されている場合において、ネック判定部12は、電圧変化量検出部11の出力である電圧変化量dv/dtと、図示しない記憶部に予め設定されたネック検出レベル値dVnとを比較し、電圧変化量dv/dtがネック検出レベル値dVnより大きい場合であり、かつ、後述するネック検出禁止部13がネック検出を禁止していない場合には、ネックが発生したとしてネックの発生を示すネック検出信号Snを出力する。なお、短絡初期状態(例えば溶接電流Iaが低い状態)においては、溶接電圧Vaの値が振動的となる場合があり、この時には電圧変化量dv/dtが大きくなりネック誤判定を生じる場合もあるので、ネック判定部12がネック判定を行う条件として、溶接電流Iaが予め設定されたネック電流レベルIn以上であることを追加してネック判定を行うようにすることが望ましい。
次に、上述したネック検出禁止部13の動作について、図1と図4を用いて説明する。なお、このネック検出禁止部13の動作はネックの誤検出を防止するためのものであり、本実施の形態におけるポイントとなるものである。
図4は短絡溶接時の溶接電流(Ia)と溶接電圧(Va)と溶接電圧変化量(dv/dt)の波形およびA/S信号の状態を示した模式図である。図4では、ノイズあるいは外
乱により溶接電圧Vaの波形が波状に変動している箇所がある例を示している。なお、この変動の要因としては、溶接装置内で発生したノイズあるいは外部の機器からのノイズや外乱、例えば、本実施の形態に示す溶接装置と他の溶接装置とを用いて同一の溶接部材に対して溶接を行っている場合に、他の溶接装置における出力制御のためのスイッチング動作等により本実施の形態の溶接装置の溶接電圧にノイズが発生する場合などが挙げられる。
短絡溶接時において、短絡制御時には溶接電流Iaが徐々に増加されていくため、溶接電圧Vaは単調的な増加傾向を示すが、ノイズあるいは外乱の影響により、図4に示すように、溶接電圧Vaに一度低下してその後上昇して再度低下するといったような波状の変動が生じてしまう場合がある。この場合、ネックが生じていないにも関わらずネックが生じていると誤検知してしまうことがある。以下に、このようなノイズ等による電圧変動が生じた場合のネック誤検知を防ぐための動作について説明する。
ノイズ等の影響により変動(一度低下してその後上昇して再度低下して元に戻る)した溶接電圧Vaにおいては、電圧が一度低下するため、電圧変化量検出部11の出力であるdv/dtは負の値となり、図示しない記憶部に予め記憶されているくびれ(ネック)誤検知を防ぐための閾値dVe(負の値の閾値)よりも小さな値(絶対値としては大)となる。ネック検出禁止部13はこの電圧変化量検出部11の出力を入力とし、dVe(負の値の閾値)と比較する。そして、dv/dtがdVe(負の値の閾値)より小さい場合には、この時点から所定時間の間(Td)ネック検知禁止信号をネック判定部12に出力し、ネック判定部12によるネック判定を禁止させる。ここで、ネック判定の禁止としては、所定時間の間ネック判定部12でdv/dtとdVnとの比較を行わないとしてもよいし、比較は行うがdv/dtがdVnより大きな場合であってもネック検出信号Snを出力しないようにしてもよい。
以上により、ノイズや外乱により溶接電圧Vaに変動が生じた場合であっても、誤ってネック判定してしまうことを防止でき、正確にネック判定を行うことができることでスパッタ発生を低減することが可能となる。
なお、ネック検出禁止部13がネック検知禁止信号を出力するタイミングは、dv/dtがdVe(負の値の閾値)より小さくなった時としたが、dv/dtがdVeより小さくなった後にdVeより大きくなった時点としてもよく、この時点から所定時間ネック検知禁止信号を出力するようにしてもよい。
また、ネック検知を禁止する所定の時間は、例えば、ノイズの要因となるスイッチング素子等のスイッチング時間などを加味して設定したり、実験等に基づいて決定するようにしてもよい。
また、ネック禁止期間中にもネック検出禁止部13によるdv/dtとdVeの比較を行い、再度dv/dtがdVeより小さくなった時点あるいはdv/dtがdVeより大きくなった時点から所定時間ネック検知を禁止するようにしてもよい。
参考例1
参考例において、実施の形態1と同様な箇所については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。また、図1に示す溶接装置の構成および動作についての説明も省略している部分があるが、本参考例で示していないものについては基本的には実施の形態1と同様である。本参考例は、ノイズあるいは外乱により溶接電圧Vaの波形が変動した場合のネック誤検知の影響を低減するための制御について、図1と図5を用いて説明する。
実施の形態1と異なるのは、ノイズ等の影響による溶接電圧の変動が、実施の形態1で示したような、一度低下してその後上昇して再度低下して元に戻るといったような電圧変動(ノイズ)ではなく、上昇してその後低下する凸状の電圧変動(ノイズ)、すなわち、dv/dtがdVeより小さくならない場合のネック誤検知の影響を低減するようにした点である。
もう少し詳しく説明すると、dv/dtがdVeより小さくならないので前述したようなdv/dtとdVeとの比較によるネック検知禁止処理を行うことができず、ノイズや溶接環境の変化(例えば、シールドガス/ワイヤ送給状態の乱れや、油膜等による母材(ワーク)の表面状態の変化等)による電圧変動であってもネック検知してしまうが、このようにノイズ等による電圧変動をネック検知してしまった場合に溶接性に与える影響を低減するためのものである。
なお、上昇してその後低下して通常状態に戻る電圧変動(ノイズ)は、図5には明示していないが、これは凸状の変動である。
ここで、まず、ネック誤検知ではない、すなわち、ネック検知が行われ、その後の所定時間内にアークに移行する正常の移行の場合の処理について説明する。
ネック検出手段19によりネックが検出された場合の溶接出力制御部15の動作について、図1と図5を用いて説明する。図5は、ネック検出された場合のネック検知制御による溶接電流(Ia)と溶接電圧(Va)の波形を示した模式図である。
溶接出力制御部15は、ネック判定部12からネック検出信号Snを受けると、素早く溶接電流Iaが予め設定されたネック制御電流In0となるように第2のスイッチング素子6をオフして溶接電流IaをIn0まで低下させる。その後、溶接出力制御部15は、第2のスイッチング素子6をオンするとともに第1のスイッチング素子3を制御し、溶接電流Iaが所定時間あるいはアーク状態となるまでの間In0となるよう制御し、A/S判定部14からのアーク状態判定出力を待つ。
また、溶接出力制御部15はネック検出された時点における制御状態(例えば、電流値、電流の増加量、短絡開始からの経過時間等)を制御状態記憶部16に記憶させるとともに、タイマ部17に計測開始指令を出力し、タイマ部17による時間計測を開始させる。溶接出力制御部15は、タイマ部17が計時する予め設定された時間Tn内にA/S判定部14からアーク状態を示すA/S信号を受けると、アーク長を適正な値に保つようにアーク時の溶接出力制御を行う(図5の実線で示す波形となる制御)。
次に、ネック誤検知した場合、すなわち、ノイズや溶接環境の変化等により生じた電圧変動によるネック検知が行われ、その後の所定時間内にアークに移行しなかった場合の処理について説明する。
上述したタイマ部17による時間計測を開始させた後の処理について、タイマ部17が計測する予め設定されたTn時間内にA/S判定部14からアーク状態である信号が入力されなかった場合には、溶接出力制御部15は、タイマ部17の動作を停止させるとともに、制御状態記憶部16に記憶しておいた制御状態に従い、再度短絡時の溶接電流制御を再開し、A/S判定部14からのアーク状態を示すA/S信号を待つ(図5の点線で示す波形となる制御)。また、この場合、入力されるA/S信号がアーク状態を示すものとなるまでの間は、ネック判定部14が出力するネック検出信号Snを無視するようにすることで、制御状態記憶部16に記憶しておいた制御状態に従って再度短絡時の溶接電流制御
を再開することによる溶接電圧への影響にて溶接電圧が変動したとしても、誤ってネック検知と判断してしまうことを防ぐことができる。
なお、時間Tnは、ネック検知から短絡開放までの時間を実験的に計測するなどして決定してもよい。
以上により、溶接電圧Vaが変動した場合にネック状態の検出を誤った場合においても、強制的な短絡解放を行うことがなく短絡制御に戻すことで、ネック誤検出によるスパッタの発生を抑制することができるとともに溶接状態に適した溶接制御を実現することができ、良好な溶接結果を得ることができる。
次に、所定時間Tn内にアーク状態へ移行しなかった場合、上記したように再度短絡時の溶接電流制御を再開する、すなわち、ネック電流制御から短絡制御へ移行するが、このネック電流制御から短絡制御へ移行することに影響されて溶接電圧が変動してしまい、これにより誤って短絡開放を検知してしまわないための制御について、図6を用いて説明する。
ネック検出された後、Tn時間内にA/S判定部14からアーク状態である信号が入力されなかった場合には、溶接出力制御部15は、タイマ部17の動作を停止させるとともに、制御状態記憶部16に記憶しておいた制御状態に従って再度短絡時の溶接電流制御を再開させ、タイマ部17を動作(Tsを計測)させるとともにA/S判定を無効とする。そして、この状態において溶接出力制御部15は、溶接状態を短絡状態として強制的に処理する。
このようにすることで、溶接電圧のレベルが比較的大きい(Varcに近い)状態でネック電流制御から短絡制御へ移行され、この移行の影響を受けて溶接電圧が変動してVarcを越える大きさになったとしても、Ts時間A/S判定を無効としているので短絡開放と判定することはない、すなわち、誤って短絡開放を検知してしまうことはなくなり、安定した溶接を行うことができる。
また、タイマ部17の値が所定のTs時間経過した後は、溶接出力制御部15は、A/S判定部14からのA/S信号を有効として短絡開放を判定可能な状態とし、溶接状態がアーク状態となるまで短絡処理を続行する。
なお、溶接出力制御部15は、ネック電流制御から短絡制御へ移行した時点、すなわち、Ts時間の計測を開始した時点から、アーク状態になったことを示すA/S信号が入力されるまでの間は、ネック判定部12が出力するネック検出信号Snを無視するものとする。
このようにすることで、ネック電流制御から短絡制御へ移行することに影響されて溶接電圧が変動し、ネック検知と判定してしまう電圧変動量になったとしても、誤ってネック制御を行うことがないので、安定した溶接を行うことができる。
参考例2
参考例において、実施の形態1または参考例1と同様な箇所については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。また、図1に示す溶接装置の構成および動作についての説明も省略している部分もあるが、本参考例で示していないものについては基本的には実施の形態1と同様である。
実施の形態1または参考例1と異なるのは、ノイズあるいは外乱により溶接電圧Vaの波形が変動した場合に、図7に示すように電圧の変動が大きく、短絡開放誤検知が生じる場合に、溶接状態に適した溶接制御を実現して良好な溶接結果を得るようにした点である。
図1と図7を用いて、本参考例における、短絡状態からアーク状態へ移行する場合の溶接出力制御部15の制御について説明する。
図7は、短絡状態からアーク状態へ移行する場合の、制御される溶接電流(Ia)および溶接電圧(Va)の波形を示した模式図である。そして、図7に示すように、電圧波形には、短期間ではあるが短絡開放判定レベルVarcを越える電圧変動が生じており、これはノイズあるいは外乱によるものである。
以下に、本参考例における溶接装置の制御について示す。
上記ノイズ等による大きな電圧変動により、A/S判定部14はアーク状態を示す信号を出力し、溶接制御出力部15はこの信号を受けると、直前に行っていた制御状態を制御状態記憶部16に記憶させるとともにタイマ部17に計測開始指令を送りタイマ部17に時間計測を開始させる。
その後、溶接出力制御部15は、タイマ部17が計測する所定の時間Ta内にA/S判定部14から短絡状態を示すA/S信号を受けると、すなわち、溶接電圧が短絡状態に戻っていると、タイマ部17の動作を停止させるとともに、制御状態記憶部16に記憶しておいた制御状態に従い、短絡時の溶接電流制御を再開する。
以上により、ノイズ等の影響による電圧変動により誤って短絡開放と判定した場合であったも、その後、短絡時の電流制御に戻すことができるので、短絡開放誤検知の影響を抑制し、安定した溶接を行うことができる。
次に、正常にネックが検知されてネック制御が行われ、その後正常に短絡開放が行われた後の制御について説明する。
正常に短絡が開放された時点でタイマ部17によるTa時間の計測を開始し、Ta時間の間はアーク状態を継続させ、タイマ部17による時間計測が予め設定された所定の時間Taを越えた状態において、A/S判定部14からアーク状態を示すA/S信号を受けると、溶接出力制御部15はタイマ部17の動作を停止させ、前回のアーク状態になった時に制御状態記憶部16に記憶しておいた制御状態を破棄し、アーク状態における溶接制御を行う。なお、これ以降において再びA/S判定部14から短絡状態を示すA/S信号を受けた場合は、短絡状態になったとして短絡時の処理を短絡初期の制御より行う。
以上により、一度アーク状態と判定した後に一定期間アーク状態を発生させることが可能となり、アーク不安定な状況を低減することによりスパッタ発生を低減することが可能となる。
また、ノイズ等によるアーク状態の誤判定に対しても適切に溶接制御することが可能となり、良好な溶接結果を得ることができる。
なお、実施の形態1と参考例1と参考例2で用いた、Is0、Varc、Vs0、In0、In、といったものは、実験等に基づいて決定すればよい。
本発明のアーク溶接装置の制御方法およびアーク溶接装置は、溶接電圧の変化量に基づ
いてネック検知を禁止することにより、ノイズ等によって溶接電圧が変動した場合であっても、誤ってネック検知を行うことを防止して正確にネック判定を行うことができるので、例えば、ノイズ等の影響が多い場所で使用するものとして産業上有用である。
本発明の実施の形態1と参考例1と参考例2におけるアーク溶接装置の概略構成を示すブロック図 本発明の実施の形態1における短絡溶接時における溶接電流と溶接電圧の波形を示す模式図 本発明の実施の形態1における短絡溶接時の溶接電流と溶接電圧と溶接電圧変化量の波形およびA/S信号の状態を示す模式図 本発明の実施の形態1における短絡溶接時の溶接電流と溶接電圧と溶接電圧変化量の波形およびA/S信号の状態を示す模式図 参考例1におけるネック検出された場合のネック検知制御による溶接電流と溶接電圧の波形を示す模式図 参考例1における短絡溶接時における溶接電流と溶接電圧の波形を示す模式図 参考例2における短絡状態からアーク状態へ移行する場合の制御される溶接電流および溶接電圧の波形を示す模式図 従来のアーク溶接装置の概略構成を示すブロック図 一方の溶接装置のスイッチングが他の溶接装置の電圧波形に影響を与える例を示す模式図
符号の説明
1 交流電源
2 第1の整流素子
3 第1のスイッチング素子
4 主変圧器
5 第2の整流素子
6 第2のスイッチング素子
7 抵抗
8 リアクタ
9 電流検出器
10 電圧検出器
11 電圧変化量検出部
12 ネック判定部
13 ネック検出検知部
14 A/S判定部(アーク/短絡判定部)
15 溶接出力制御部
16 制御状態記憶部
17 タイマ部
19 ネック検出手段
20 溶接制御手段

Claims (6)

  1. 溶接電圧を検出するステップと、単位時間あたりの前記溶接電圧の変化量を算出するステップと、単位時間あたりの溶接電圧の変化量と第2の閾値とによる溶滴のくびれ検知をするステップとを有し、前記単位時間あたりの溶接電圧の変化量と第1の閾値との比較結果に基づいて、単位時間あたりの溶接電圧の変化量と第2の閾値とによる溶滴のくびれ検知を所定期間禁止するアーク溶接装置の制御方法。
  2. 第1の閾値は溶滴のくびれ誤検知を防ぐための負の閾値であり、第2の閾値は溶滴のくびれを検出するための正の閾値であり、溶接電圧の変化量が第1の閾値より小さい場合には、前記第2の閾値と溶接電圧の変化量とによる溶滴のくびれ検知を所定期間禁止する請求項1記載のアーク溶接装置の制御方法。
  3. くびれ検知を禁止している所定期間中に、再度溶接電圧の変化量が第1の閾値より小さくなった場合には、その時点から所定期間前記第2の閾値と溶接電圧の変化量とによる溶滴のくびれ検知を禁止する請求項2記載のアーク溶接装置の制御方法。
  4. 溶接電圧を検出する溶接電圧検出部と、前記溶接電圧検出部が検出する溶接電圧の単位時間あたりの変化量を算出する演算部と、第1の閾値および第2の閾値と前記演算部の演算結果とを比較する比較部とを備え、前記第1の閾値と前記演算部の算出結果との比較結果に基づいて、前記第2の閾値と前記演算部の演算結果とによる溶滴のくびれ検知を所定期間禁止するアーク溶接装置。
  5. 第1の閾値は溶滴のくびれ誤検知を防ぐための負の閾値であり、第2の閾値は溶滴のくびれを検出するための正の閾値であり、演算部の算出結果が第1の閾値より小さい場合には、前記第2の閾値と前記演算部の演算結果とによるくびれ検知を所定期間禁止する請求項4記載のアーク溶接装置。
  6. くびれ検知を禁止している所定期間中に、再度演算部の算出結果が第1の閾値より小さくなった場合には、その時点から所定期間前記第2の閾値と前記演算部の演算結果とによる溶滴のくびれ検知を禁止する請求項5記載のアーク溶接装置。
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