JP4062198B2 - 燃料電池の加湿装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池の加湿装置に関し、詳しくは燃料電池の電極に供給する燃料ガスを加湿する加湿装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
固体高分子型燃料電池では、次式に示すように、アノードでは水素ガスを水素イオンと電子にする反応が、カソードでは酸素ガスと水素イオンおよび電子から水を生成する反応が行なわれる。
【0003】
アノード反応:H2 →2H+ +2e-
カソード反応:2H+ +2e- +(1/2)O2 →H2
【0004】
アノードで発生した水素イオンは、水和状態(H+・xH2O)となって電解質膜中をカソードに移動する。このため、電解質膜のアノード側表面付近では、水が不足する状態となり、上述の反応を連続して行なうには、この不足する水を補給する必要がある。固体高分子型燃料電池に用いられる電解質膜は、湿潤状態で良好な電気伝導性を有するが、含水率が低下すると、電解質膜の電気抵抗が大きくなって電解質として十分に機能しなくなり、場合によっては、電極反応を停止させてしまう。
【0005】
この水の補給は、燃料ガスを加湿することにより行なうのが一般的である。燃料ガスを加湿する装置としては、燃料ガスをバブリングして加湿する装置や、燃料ガスに加圧水を直接噴霧して加湿する装置(例えば、特開平5−54900号公報)、水蒸気を透過するガス拡散膜を介して燃料ガスを加湿する装置(例えば、特開平3−20971号公報)、四フッ化エチレン樹脂製の多孔質膜を介して燃料ガスを加湿する装置(例えば、特開平3−269958号公報)等が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの加湿装置では、いずれも加湿する水の量(加湿量)を適正かつ容易にコントロールすることができないという問題があった。バブリングして加湿する装置では、加湿量は、燃料ガスの温度や燃料ガスと水との接触時間等により定まり、燃料ガス量に対して所望の加湿量とはならない。燃料ガスに加圧水を直接噴霧して加湿する装置では、噴射量を制御することにより加湿量をコントロールすることができるが、噴霧ノズルの状態により噴霧状態が変化し、時には噴霧ノズルに異物が詰まり加湿できない場合を生じる。ガス拡散膜を用いて加湿する装置では、液相の水を用いることができず、水蒸気とするために水を加熱しなければならない。四フッ化エチレン樹脂製の多孔質膜を用いる加湿装置では、多孔質膜上で気化した水の量だけ多孔質膜に隣接した多孔体から液相の水が補給される構造であり、その補給される水量を精度よく調節或いは設定することは困難である。
【0007】
加湿量を調整できないこのような旧来の装置では、燃料ガスを過剰に加湿してしまうことがあり、この場合には、水蒸気が電極上で結露して電極を濡らし、電極への燃料ガスの供給を妨げ、燃料電池の性能を低下させてしまうという問題をも生じる。
【0008】
本発明の燃料電池の加湿装置は、こうした問題を解決し、加湿量を適正かつ容易にコントロールすることを目的としてなされ、次の構成を採った
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の燃料電池の加湿装置は、燃料電池の電極に供給される2種類の燃料である水素ガスと酸素ガスのうちの一方を含む燃料ガスを加湿する加湿装置であって、
前記燃料ガスの流路および水の流路に接し、該燃料ガスと該水との圧力差に応じて該水を透過する多孔膜と、
前記燃料ガスの流路内の燃料ガス圧を測定する圧力計と、
前記水の流路内の水圧を測定する圧力計と、
圧力差調整手段と、
を備え、
前記圧力差調整手段は、前記圧力差を設定し、前記燃料ガスと前記水のそれぞれの圧力計を用いて測定される圧力差が前記設定した圧力差になるように前記燃料ガスの圧力と前記水の圧力のうちの少なくとも一方を調整することを要旨とする。
【0010】
ここで、前記加湿装置において、前記多孔膜は、直径10-8mないし10-7mの孔を多数有するポリオレフィン系(Cn2n)樹脂フィルムである構成とすることもできる。また、前記加湿装置において、前記多孔膜の前記燃料ガスの流路側に設けられ、該多孔膜を透過した水を該燃料ガスに気化させる親水層を備えた構成とすることもできる。この親水層は、前記多孔膜にラミネートした不織布である構成とすることもできる。
【0011】
【作用】
以上のように構成された本発明の燃料電池の加湿装置は、多孔膜が、圧力差調整手段により設定され調整された燃料ガスと水との圧力差に応じて水を透過する。透過した水は、気化して水蒸気となり燃料ガスと混合する。この結果、多孔膜を透過する水量の調整が可能となり、ひいては燃料ガスの加湿量の調整が可能となる。
【0012】
ここで、多孔膜の燃料ガスの流路側に多孔膜を透過した水を燃料ガスに気化させる親水層を備えた加湿装置とすれば、燃料ガスと水との接触面積が大きくなり、加湿能力が増す。特に、親水層を多孔膜にラミネートした不織布とすれば、製造も容易となる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以上説明した本発明の構成・作用を一層明らかにするために、以下本発明の好適な実施例について説明する。図1は、本発明の燃料電池の加湿装置の実施例を適用した固体高分子型燃料電池10の概略構成を例示した模式図である。固体高分子型燃料電池10は、単電池のセル100と冷却水流路200とをその厚み方向に複数積層してなる発電ゾーン20と、水素ガスを加湿する水素ガス加湿層300および酸素含有ガスを加湿する酸素含有ガス加湿層400からなる加湿ゾーン30と、水素ガス加湿層30で水素ガスの加湿量を制御する制御装置800とを備える。
【0014】
セル100は、その構造の概略を例示した図2のように、電解質膜110と、この電解質110を両側から挟んでサンドイッチ構造とするカソード120およびアノード130と、このサンドイッチ構造を両側から挟むと共にカソード120およびアノード130とでカソード側燃料およびアノード側燃料の流路を形成する集電極140および150と、集電極140および150の外側に配置されセル100を積層した際の隔壁をなすセパレータ160とにより構成されている。
【0015】
電解質膜110は、高分子材料、例えばフッ素系樹脂により形成されたイオン交換膜であり、湿潤状態で良好な電気電導性を示す。カソード120およびアノード130は、炭素繊維からなる糸で織成したカーボンクロスにより形成されており、このカーボンクロスには、触媒としての白金または白金と他の金属からなる合金等を担持したカーボン粉がクロスの隙間に練り込まれている。集電極140および150は、多孔質でガス透過性を有する気孔率が40ないし80%のポーラスカーボンにより形成されている。集電極140は、カソード120の表面とでカソード燃料の酸素含有ガスの流路をなすと共にカソード120で生成する水の集水路をなす酸素ガス流路148を形成する。また、集電極150は、アノード130の表面とでアノード燃料の水素ガスと水蒸気との混合ガスの流路をなす水素ガス流路158を形成する。セパレータ160は、カーボンを圧縮してガス不透過としたガス不透過カーボンにより形成されており、電解質膜110,電極120,130,集電極140および150により構成されるセルをその厚み方向に積層する際の隔壁をなす。
【0016】
水素ガス加湿層300は、その構造の概略を例示した図3のように、水素ガス加湿層300の中央層を形成する水流路構造体305と、水流路構造体305の両側に配置して水流路構造体305とで水流路308を形成すると共に水流路308の水を透過する水透過層310と、水透過層310の外側に配置され水素ガス加湿層300の外層をなすと共に水透過層310とで水素ガス流路348を形成するガス流路構造体340とにより構成されている。以下に、さらに詳しく説明する。
【0017】
水流路構造体305は、カーボンを圧縮してガス不透過としたガス不透過カーボンにより形成されている。水流路構造体305は、所定の厚みの枠形状をしており、その厚み方向の両側を水透過層310で挟まれることにより水流路308を形成する。この水流路308は、水流路構造体305と水透過層310とをシール部材306によりシールすることにより水密となっている。なお、実施例では水流路構造体305をガス不透過カーボンにより形成したが、水に対して安定な材質であれば如何なる材質により形成してもかまわない。
【0018】
水透過層310は、ポリプロピレン製で孔径10-8ないし10-7の孔を多数有するフィルム状のマイクロポーラスフィルム312と、このマイクロポーラスフィルム312のガス流路構造体340側の表面にラミネートした親水層314とからなる。
【0019】
マイクロポーラスフィルム312は、フィルムを境とした両側の圧力差に応じて水を透過する。マイクロポーラスフィルム312に作用する圧力とマイクロポーラスフィルム312を透過する水量との関係の一例を表わしたグラフを図4に示す。図中、直線Aは、最大孔径0.25×0.075μm,空孔率45%,厚み25μmのマイクロポーラスフィルムが、その表面を界面活性剤により親水処理された場合に示す特性であり、直線Bは、最大孔径0.125×0.05μm,空孔率38%,厚み25μmのマイクロポーラスフィルムが、その表面を界面活性剤により親水処理された場合に示す特性である。マイクロポーラスフィルムの両側に作用する燃料ガスと水の圧力差に対して、このフィルムを透過する水の量は、マイクロポーラスフィルムの孔径や空孔率,厚み,フィルムの表面状態によって定まる。マイクロポーラスフィルム312は、例えば、ダイセル化学工業から商品名「セルガード」として入手することができる。
【0020】
親水層314は、ポリプロピレンを材料とした不織布からなり、マイクロポーラスフィルム312を透過した水と水素ガスとの接触面積を大きくして、加湿能力を高める。なお、実施例では、親水層314を備えた水透過層310としたが、親水層314のない構成でもかまわない。
【0021】
ガス流路構造体340は、ガス不透過カーボンにより形成されている。ガス流路構造体340の水透過層310側の表面には、平行に配列された複数の凸部342が設けられており、複数の凸部342と水透過層310とで複数の水素ガス流路348を形成する。また、ガス流路構造体340と水透過層310は、シール部材346によりシールされている。なお、実施例ではガス流路構造体340をガス不透過カーボンにより形成したが、水素ガスに侵されない材質であれば如何なる材質により形成してもかまわない。
【0022】
また、水素ガス加湿層300の水流路308と水素ガス流路348には、水流路308内の水圧を測定する圧力計309と、水素ガス流路348内の水素ガス圧を測定する圧力計349とが設けられており、圧力計309および圧力計348は、制御装置800に接続されている。
【0023】
こうして構成された水素ガス加湿層300は、水流路308を流れる水の圧力と水素ガス流路348を流れる水素ガスの圧力との差に応じて水流路308の水がマイクロポーラスフィルム312を透過する。この透過した水は、親水層314で水素ガス中に気化して水素ガスを加湿する。
【0024】
固体高分子型燃料電池10に用いられる燃料ガスのうち酸素含有ガスを加湿する酸素含有ガス加湿層400は、水素ガス加湿層300を構成する水流路構造体305,水透過層310およびガス流路構造体340と同一の水流路構造体405,水透過層410およびガス流路構造体440を備え、水素ガス加湿層300の水流路408および水素ガス流路348に相当する水流路408および酸素ガス流路448とを有する。また、水透過層410は、水透過層310と同様にマイクロポーラスフィルム412と親水層414とから構成されている。したがって、酸素含有ガス加湿層400は、水流路408を流れる水の圧力と酸素ガス流路448を流れる酸素含有ガスの圧力との差に応じて水流路408の水がマイクロポーラスフィルム412を透過する。この透過した水は、親水層414で酸素含有ガス中に気化して酸素含有ガスを加湿する。
【0025】
次に、セル100の燃料ガスの流路148および158,冷却水流路200,水素ガス加湿層300の水流路308および水素ガス流路348,酸素含有ガス加湿層400の水流路408および酸素ガス流路448等の接続状態について説明する。発電ゾーン20の冷却水流路200の入口は、水通路520,ポンプ500を介して図示しない貯水槽に接続されており、冷却水流路200の出口は、水通路522を介して水素ガス加湿層300の水流路308および酸素含有ガス加湿層400の水流路458の入口に接続されている。したがって、発電ゾーン20で冷却水として用いられた水が、水素ガス加湿層300の水流路308および酸素含有ガス加湿層400の水流路458へ供給される。また、水流路308および水流路458の出口は、水通路524を介して図示しない熱交換器および貯水槽に接続されている。
【0026】
また、ポンプ500には、ポンプ500の回転数を可変する電動機510が設けられている。この電動機510は、制御装置800に接続されており、制御装置800からの制御信号に基づいて回転数でポンプ500を駆動する。したがって、ポンプ500の回転数を変えることで、冷却水流路200および水流路308内の水圧を調整することができる。
【0027】
水素ガス加湿層300のガス流路構造体340に形成された水素ガス流路348の入口は、水素ガス通路620,ブロワ600を介して水素ガス貯蔵槽(図示せず)に接続されており、水素ガス流路348の出口は、水素ガス通路622を介してセル100の集電極150に形成された水素ガス流路158の入口に接続されている。したがって、水素ガス流路158には、水素ガスと水蒸気との混合ガスが流入する。また、水素ガス流路158の出口は、水素ガス通路624を介して水素ガス回収槽(図示せず)に接続されている。
【0028】
酸素含有ガス加湿層400のガス流路構造体440に形成された酸素ガス流路448の入口は、酸素ガス通路720を介してブロワ700に接続されており、酸素ガス流路448の出口は、酸素ガス通路722を介してセル100の集電極140に形成された酸素ガス流路148の入口に接続されている。したがって、酸素ガス流路148には、酸素含有ガスと水蒸気との混合ガスが流入する。また、酸素ガス流路148の出口は、酸素ガス通路724を介して外部大気と接続されている。
【0029】
制御装置800は、マイクロコンピュータを中心とした論理回路として構成され、詳しくは、予め設定された制御プログラムに従って所定の演算等を実行するCPU810、CPU810で各種演算処理を実行するのに必要な制御プログラムや制御データ等が予め格納されたROM820、同じくCPU810で各種演算処理を実行するのに必要な各種データが一時的に読み書きされるRAM830、圧力計308および圧力計349からの検出信号を入力する入力処理回路840、CPU810での演算結果に応じて電動機510に制御信号を出力する出力処理回路850を備えている。
【0030】
こうして構成された固体高分子型燃料電池10は、上述した化学反応により化学エネルギを直接電気エネルギに変換するが、加湿ゾーン30で加湿された燃料ガスにより、この化学反応がスムーズに行なわれている。
【0031】
すなわち、アノード130では、水素が水素イオンと電子となる反応が行なわれ、生じた水素イオンが、アノード130付近の水と結合して水和状態となって電解質膜110内を移動する。このため、そのままでは電解質膜110のアノード130付近で水が不足するが、この不足は、水素ガスと水蒸気との混合ガス中の水蒸気により補給される。この結果、電解質膜110は常に湿潤状態となり、水素イオンは電解質膜110内をスムーズに移動することができ、アノード反応がスムーズに行なわれる。カソード120では、水素イオンと電子と酸素とにより水を生成する反応が行なわれる。酸素含有ガスと水蒸気の混合ガス中の水蒸気は、運転開始直後の電解質膜110の湿潤状態を確保すると共にカソード120と集電極140等との接触抵抗を低減させる。
【0032】
次に、水素ガス加湿層300での加湿量の制御を図5に基づいて説明する。図5は、制御装置800のCPU810で実行される差圧制御ルーチンを例示したフローチャートである。この差圧制御ルーチンは、ROM820に記憶されており、固体高分子型燃料電池10が運転された後、所定時間毎(例えば10msec毎)に実行される。
【0033】
本ルーチンが実行されると、まずCPU810は、圧力計309により測定される水圧Pwと圧力計349により測定される水素ガス圧Phとを入力処理回路840を介して読み込む(ステップS100)。次に、固体高分子型燃料電池10が要求する加湿量W*に基づいて水圧と水素ガス圧との設定差圧ΔPsetを定める(ステップS110)。加湿量W*は、固体高分子型燃料電池10の運転状態等により求められるものである。続いて、ステップS100で読み込んだ水圧Pwから水素ガス圧Phを減じて差圧ΔPを求め(ステップS120)、この差圧ΔPと設定差圧ΔPsetとの差の絶対値と閾値Prefと比較する(ステップS130)。ここで、閾値Prefは、差圧ΔPが設定差圧ΔPsetから許容される圧力差の最大値である。この閾値Prefは、ポンプ500の回転数を制御できる最小値等により定められる。
【0034】
差圧ΔPと設定差圧ΔPsetとの差の絶対値が閾値Pref以下のときには、適正な加湿量を得るのに適切な差圧であると判断して本ルーチンを終了する。閾値Prefより大きいときには、差圧ΔPと設定差圧ΔPsetとの差に制御ゲインKを乗じて回転数増減量ΔFを求め(ステップS140)、CPU810から出力処理回路850を介して電動機510に制御信号を出力して、ポンプ500の回転数を回転数増減量ΔFだけ増減させる(ステップS150)。こうして水圧Pwと水素ガス圧Phとの差圧ΔPを設定差圧ΔPsetにして適正な加湿量とする。
【0035】
次に、固体高分子型燃料電池10の特性を具体例を用いて説明する。図6は、固体高分子型燃料電池10の電流密度と電圧との関係の一例を例示したグラフである。図中曲線Cは、次の固体高分子型燃料電池10が示す運転特性である。この固体高分子型燃料電池10の発電ゾーン20は、電解質膜110としてデュポン社製Nafion膜(商品名)を用い、白金0.4mg/cm2 を担持したカーボンクロスのカソード120およびアノード130とをホットプレス法により電解質膜110に圧着し、電極面積144cm2 として形成したセル100を50セル積層して構成されている。また、加湿ゾーン30は、図4の直線Aの特性を持つマイクロポーラスフィルム312にポリプロピレン製の不織布をラミネートし、透過面積144cm2 として形成した水透過層310,410を用いた水素ガス加湿層300および酸素含有ガス加湿層400により構成されている。燃料ガスおよび冷却水の運転条件は、水素ガスの圧力および酸素含有ガスの圧力は共に2kg/cm2 で、冷却水の圧力は2.2kg/cm2 である。
【0036】
燃料ガスの圧力と冷却水の圧力との差である0.2kg/cm2 は、固体高分子型燃料電池10を電流密度1A/cm2で運転しても十分な補給水を得ることができることを意味する。すなわち、この固体高分子型燃料電池10を電流密度1A/cm2 で運転するには、水素ガスは理論流量50リットル/min、ストイキ比1.3として65リットル/minが必要となる。この場合、水素イオンが電解質膜110内を3分子の水と水和した状態で移動し、カソード120で生成する水が電解質膜110内へ拡散することを考慮して、水素イオン1個に対して0.2分子の水が不足すると仮定すれば、電解質膜110で不足する水量は、約22g/minとなり、単位面積(1cm2 )当たりに換算するとの0.08g/minとなる。この透過流量を得るマイクロポーラスフィルム312の圧力は、図4の直線Aから0.19kg/cm2 と求められる。したがって、圧力差0.2kg/cm2 は、固体高分子型燃料電池10を電流密度1A/cm2 で運転しても十分な水を補給し得る値である。
【0037】
図中曲線Dは、曲線Cの特性を示す固体高分子型燃料電池10と水透過層310のみが異なる固体高分子型燃料電池が、同一の燃料ガスおよび冷却水の運転条件で運転したときに示す運転特性である。この固体高分子型燃料電池の水透過層310は、マイクロポーラスフィルム312のみで構成され、親水層314のないものである。また、図中曲線Eは、曲線Cの特性を示す固体高分子型燃料電池10の発電ゾーン20と同一構成で、固体高分子型燃料電池10の加湿ゾーン30に代えて水素ガスおよび酸素含有ガスをバブリングする加湿装置を用いた固体高分子型燃料電池が、曲線Cと同一の条件で運転したときに示す運転特性である。
【0038】
図示するように、水透過層310を用いた固体高分子型燃料電池(曲線Cおよび曲線D)は、バブリングにより加湿した固体高分子型燃料電池(曲線E)に比較して、電流密度の全領域において内部抵抗が小さく、高い電圧を示す。特に高電流密度領域では、顕著な差を示す。親水層314を備えた水透過層310を用いた固体高分子型燃料電池10(曲線C)は、マイクロポーラスフィルム312のみで親水層314のない水透過層310を用いた固体高分子型燃料電池(曲線D)に比して電流密度の全領域で高い電圧を示す。
【0039】
以上説明した固体高分子型燃料電池10では、水透過層310にマイクロポーラスフィルム312を用いたので液相の水を透過して、燃料ガスを加湿することができる。また、マイクロポーラスフィルム312の透過水量は、マイクロポーラスフィルム312に作用する燃料ガスの圧力と水の圧力との差によって定まるので、圧力差を調整することにより加湿量を容易にコントロールすることができる。したがって、固体高分子型燃料電池10の運転状態に応じて圧力差を制御して加湿量をコントロールすることも可能である。
【0040】
また、マイクロポーラスフィルム312の表面にポリプロピレン製の不織布をラミネートして親水層314を設けたので、燃料ガスと水との接触面積を大きくすることができ、加湿能力を高めることができる。この結果、加湿ゾーン30を小型化できる。さらに、燃料ガスを加湿する水に固体高分子型燃料電池10の冷却水を用いたので、固体高分子型燃料電池10の構造をシンプルとすることができ、小型化および低コスト化することができる。このように固体高分子型燃料電池を小型化およびシンプル化することができるので、自動車等の移動体に搭載する電池として有効なものとなる。
【0041】
なお、本実施例では、加湿装置を加湿ゾーン30として固体高分子型燃料電池本体の発電ゾーン20と一体としたが、固体高分子型燃料電池本体と別体とする構成も好適である。また、実施例では、燃料ガスを加湿する水に発電ゾーン20の冷却水を用いたが、加湿専用の水を用いる構成も差し支えない。さらに、実施例では、燃料ガスを加湿するのに水素ガス加湿層300と酸素含有ガス加湿層400とを設けそれぞれに水の流路を形成したが、水の流路を挟む二つのガス流路構造体により形成される流路の一方を水素ガスの流路とし、他方を酸素ガスの流路とした構成も好適である。もとより、セル100および冷却水流路200からなる発電ゾーン20は、如何なる積層数および冷却水流路200の配置であってもかまわない。
【0042】
また、本実施例では、固体高分子型燃料電池10に水素ガス貯蔵槽(図示せず)から水素ガスを供給したが、メタノール改質等により水素リッチガスを生成して固体高分子型燃料電池10に供給する構成も好適である。この場合、固体高分子型燃料電池10内への水素リッチガスの流入温度を通常の加湿器を用いる場合に比べて若干高め(例えば、90℃程度)としておき、気化熱によって水素ガス温度が所定温度(例えば80℃)以下となるのを防止するのが望ましい。メタノール改質にて生成される水素リッチガスの温度は、通常200℃〜300℃であり、固体高分子型燃料電池10の作動温度よりかなり高温なので、温度を下げるために熱交換器等を備えている。よって、この熱交換器等の設定温度を高めに設定することで水素リッチガスの流入温度を調節し得る。
【0043】
本実施例では、水圧Pwと水素ガス圧Phとの差圧ΔPをポンプ500の回転数を変えることにより調整したが、ブロワ600の加圧量を変えることにより調整する構成、ポンプ500の回転数およびブロワ600の加圧量を変えることにより調整する構成も好適である。また、本実施例では酸素含有ガスの加湿量は、水素ガスの加湿量の調整に伴って調整される構成としたが、ブロワ700の加圧量を調整することにより水素ガスの加湿量とは独立に調整する構成も好適である。
【0044】
以上本発明の実施例について説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の燃料電池の加湿装置では、多孔膜に作用する燃料ガスの圧力と水の圧力との差を調整することにより多孔膜を透過する水量を容易に調整することができるという効果を奏する。したがって、燃料ガスの加湿を適正に行なうことができる。
【0046】
また、親水層を備えた加湿装置とすれば、燃料ガスと水との接触面積を大きくすることができ、加湿能力を高めることができる。この結果、装置を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例である燃料電池の加湿装置を備えた固体高分子型燃料電池10の構造の概略を例示したのブロック図である。
【図2】 セル100の構造の概略を例示した構造図である。
【図3】 水素ガス加湿層300の構造の概略を例示した構造図である。
【図4】 マイクロポーラスフィルム312に作用する圧力と透過する水量との関係の一例を表わしたグラフである。
【図5】 制御装置800のCPU810で実行される差圧制御ルーチンを例示したフローチャートである。
【図6】 固体高分子型燃料電池10の電流密度と電圧との関係の一例を例示したグラフである。
【符号の説明】
10…固体高分子型燃料電池
20…発電ゾーン
30…加湿ゾーン
100…セル
110…電解質膜
120…カソード
130…アノード
140…集電極
148…酸素ガス流路
150…集電極
158…水素ガス流路
160…セパレータ
200…冷却水流路
300…水素ガス加湿層
305…水流路構造体
306,346…シール部材
308…水流路
309…圧力計
310…水透過層
312…マイクロポーラスフィルム
314…親水層
340…ガス流路構造体
342…凸部
348…水素ガス流路
349…圧力計
400…酸素含有ガス加湿層
405…水流路構造体
408…水流路
410…水透過層
412…マイクロポーラスフィルム
414…親水層
440…ガス流路構造体
448…酸素ガス流路
500…ポンプ
510…電動機
520,522,524…水通路
600,700…ブロワ
620,622,624…水素ガス通路
720,722,724…酸素ガス通路
800…制御装置
810…CPU
820…ROM
830…RAM
840…入力処理回路
850…出力処理回路

Claims (4)

  1. 燃料電池の電極に供給される2種類の燃料である水素ガスと酸素ガスのうちの一方を含む燃料ガスを加湿する加湿装置であって、
    前記燃料ガスの流路および水の流路に接し、該燃料ガスと該水との圧力差に応じて該水を透過する多孔膜と、
    前記燃料ガスの流路内の燃料ガス圧を測定する圧力計と、
    前記水の流路内の水圧を測定する圧力計と、
    圧力差調整手段と、
    を備え、
    前記圧力差調整手段は、前記圧力差を設定し、前記燃料ガスと前記水のそれぞれの圧力計を用いて測定される圧力差が前記設定した圧力差になるように前記燃料ガスの圧力と前記水の圧力のうちの少なくとも一方を調整する、加湿装置。
  2. 前記多孔膜は、直径10-8mないし10-7mの孔を多数有するポリオレフィン系(Cn2n)樹脂フィルムである請求項1記載の加湿装置。
  3. 請求項1または2記載の加湿装置であって、前記多孔膜の前記燃料ガスの流路側に設けられ、前記多孔膜を透過した水と前記燃料ガスとの接触面積を大きくする親水層を備えた加湿装置。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載の加湿装置であって、
    前記燃料ガス圧は水素ガス圧である、加湿装置。
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