JP3632228B2 - 燃料電池の加湿装置および加湿制御装置並びに加湿装置の製造方法 - Google Patents

燃料電池の加湿装置および加湿制御装置並びに加湿装置の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、燃料電池の電極に供給する材料ガスを加湿する燃料電池の加湿装置と、その加湿量を制御する燃料電池の加湿制御装置と、その加湿装置の製造方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池の一つである固体高分子型燃料電池では、次式に示すように、アノードでは水素ガスを水素イオンと電子にする反応が、カソードでは酸素ガスと水素イオンおよび電子から水を生成する反応が行なわれる。
【0003】
アノード反応:H→2H+2e
カソード反応:2H+2e+(1/2)O→H
【0004】
アノードで発生した水素イオンは、水和状態(H・xHO)となって電解質膜中をカソードに移動する。このため、電解質膜のアノード側表面付近では、水が不足する状態となり、上述の反応を連続して行なうには、この不足する水を補給する必要がある。固体高分子型燃料電池に用いられる電解質膜は、湿潤状態で良好な電気伝導性を有するが、含水率が低下すると、電解質膜の電気抵抗が大きくなって電解質として十分に機能しなくなり、場合によっては、電極反応を停止させてしまう。
【0005】
この水の補給は、燃料ガスを加湿することにより行なうのが一般的である。燃料ガスを加湿する装置としては、燃料ガスをバブリングして加湿する装置がよく知られている。ところが、例えば電気自動車に搭載された燃料電池スタックへこのバブリング加湿装置を用いようとすると、大容積のバブラーを用意し、電気ヒータで加熱しなければならず、容積、消費エネルギーの点で現実的とは言いがたい。
【0006】
そこで、他の加湿装置として、四フッ化エチレン樹脂製の多孔質膜を介して燃料ガスを加湿する装置(例えば、特開平3−269958号公報)が提案されている。これは、水とガスを多孔質膜をはさんで流し、水の圧力をガスの圧力よりも高くすることにより、圧力差によって、多孔質膜を介して水をガス側に透過させて、しかも、その多孔質膜の表面で水を気化することにより、ガスを加湿しようとするものである。
【0007】
こうした多孔質膜を用いた加湿装置は、固体高分子型燃料電池スタック内部に組み込んだり、固体高分子型燃料電池スタックの外側に一体として組み付けたりすることが可能であり、加湿部をコンパクト化することができ、さらには、燃料電池の反応に伴う発熱を水の気化のための熱として使うことができるので、電気ヒータのような加熱手段を必要とせず、消費エネルギーの点でも優れている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この加湿装置では、水を良好な水蒸気の状態ではなく、水滴の状態でしか供給することができないといった問題があった。この加湿装置では、四フッ化エチレン樹脂製といった撥水性の多孔質膜を用いているために、ガス流路側に通過してきた水は、多孔質膜のガス側の表面で球状の水滴になってしまう。この水滴はガスとの接触面積が少ないために、なかなか気化できず、次々に多孔質膜を通過して供給される水を受けて、さらに大きな水滴に成長する。そして、ついには、重力で落下するか、ガスに吹き飛ばされるかして、多量の水滴となって飛散する。こうして、加湿する水は期待される水蒸気の状態とならず、多量の水滴となってアノードに供給される。
【0009】
同じ水でありながら、水滴の状態で加湿がなされると、アノードにおいて、濡れ過ぎの状態となって電極基材の細孔を閉塞させることになる。この結果、アノードへの燃料ガスの拡散を阻害し、その固体高分子型燃料電池の出力の低下を招いた。
【0010】
特開平3−269958号公報には、四フッ化エチレン樹脂製の多孔質膜として、住友電工社製のフロロポアと、ジャパンゴアテックス社製の膜を用いた実施例が記載されていることから、本発明者はこの膜を用いて実験を行なってみた。この実験では、これらの膜の中で、市販されている最も孔径が小さく、かつ厚みの厚い製品、即ち、多孔質膜として最も水を通過させにくい製品を使った。結果は、それでも水滴の状態で水が供給されるばかりで、期待される良好な水蒸気は発生しなかった。
【0011】
この発明の燃料電池の加湿装置は、こうした問題に鑑みてなされたもので、水を良好な水蒸気の状態で供給可能とすることにより、供給電極が濡れ過ぎの状態となることを防ぎ、延いては燃料電池の出力の低下を防止することを目的としている。
【0012】
一方、この発明の燃料電池の加湿制御装置は、加湿量を最適に調整することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成すべく、前記課題を解決するための手段として、以下に示す構成をとった。
【0014】
即ち、本発明の燃料電池の加湿装置は、
燃料電池を備える燃料電池スタックと共に用いられて、前記燃料電池の電極に供給する材料ガスを加湿する加湿装置であって、
水の流路と前記材料ガスの流路とに接し、該水と該材料ガスとの圧力差に応じて該水を透過する多孔質膜を備えるとともに、
前記多孔質膜は親水性を有した、直径10 −8 mないし10 −7 mの孔を多数有するポリオレフィン系(C 2n )樹脂フィルムであり、
さらに、
前記燃料電池と別体に組付けられたことを、その要旨としている。
【0015】
請求項記載の燃料電池の加湿装置は、
燃料電池の電極に供給する材料ガスを加湿する加湿装置であって、
水の流路と前記材料ガスの流路とに接し、該水と該材料ガスとの圧力差に応じて該水を透過する多孔質膜を備えるとともに、
前記多孔質膜は、親水性を有し、かつ、シリコーンにて孔径が狭められた孔を多数有するものであることを、その要旨としている。
請求項記載の燃料電池の加湿装置は、
燃料電池の電極に供給する材料ガスを加湿する加湿装置であって、
水の流路と前記材料ガスの流路とに接し、該水と該材料ガスとの圧力差に応じて該水を透過する多孔質膜を備えるとともに、
前記多孔質膜は、親水性を有する多孔質のフィルムであり、該フィルムを屈曲させて立体的に配置された構成であることを、その要旨としている
【0016】
本発明の燃料電池の加湿制御装置は、
燃料電池の電極に供給する材料ガスの加湿量を制御する加湿制御装置であって、
水の流路と前記材料ガスの流路とに接し、該水と該材料ガスとの圧力差に応じて該水を透過する多孔質膜と、
前記水の流路の水圧を検出する水圧検出手段と、
前記材料ガスの流路のガス圧を検出するガス圧検出手段と、
前記燃料電池の運転状態を検出する運転状態検出手段と、
該検出した燃料電池の運転状態から前記燃料電池が必要とする前記材料ガス中の必要水蒸気量を算出する必要水蒸気量算出手段と、
該算出した必要水蒸気量から前記水と材料ガスとの理想的な圧力差を算出する理想圧力差算出手段と、
前記水圧検出手段で検出した水圧と前記ガス圧検出手段で検出したガス圧とに基づいて、該水と材料ガスとの圧力差が前記理想的な圧力差となるように前記水圧または前記ガス圧の少なくともいずれか一方を制御する制御手段と
を備えたことを、その要旨としている。
【0017】
こうした構成の燃料電池の加湿制御装置において、前記運転状態検出手段は、燃料電池の温度を検出する温度検出手段を備えた構成としてもよい、また、前記運転状態検出手段は、燃料電池のインピーダンスを検出するインピーダンス検出手段を備えた構成としてもよい。さらに、前記運転状態検出手段は、燃料電池から排出される前記材料ガスの流量を検出するガス流量検出手段を備えた構成としてもよいし、燃料電池の負荷電流を検出する電流検出手段を備えた構成としてもよい。
【0018】
さらに、前記構成の燃料電池の加湿制御装置において、さらに、前記燃料電池の停止時を判定する停止時判定手段と、該停止時が判定されたとき、前記水と材料ガスとの圧力差を所定の圧力差以上の大きな圧力差となるように前記水圧または前記ガス圧の少なくともいずれか一方を制御する停止時制御手段とを備えた構成としてもよい。
【0019】
本発明の燃料電池の加湿装置の製造方法は、
請求項3記載の燃料電池の加湿装置を製造する方法であって、
シリコーン接着剤を有機溶剤で希釈する工程と、
該希釈されたシリコーン接着剤の溶液を前記多孔質膜を用いて加圧下でろ過する工程と、
を備えることを、その要旨としている。
【0020】
【作用】
以上のように構成された請求項1記載の燃料電池の加湿装置によれば、多孔質膜が親水性を有していることから、多孔質膜を透過して材料ガス側表面に染み出た水は、多孔質膜に対して大きな接触面積で接する。このため、多孔質膜と材料ガスとの双方から熱を受けることができることから、その水は容易に気化して、良好な水蒸気の状態で材料ガス中に供給される。これに対して、従来の撥水性の多孔質膜では、多孔質膜の材料ガス側表面に染み出てきた水は、球状の水滴となってしまうことから、多孔質膜に対して点でしか接することができず、このため、その水滴は多孔質膜から熱を受けることができず、気化されない。
【0021】
請求項記載の燃料電池の加湿装置によれば、孔径を狭めることで、多孔質膜から透過する水の量が少なくなる。このため、加湿量が多すぎてそのままでは使用できない多孔質膜を使用することが可能となる。
【0022】
請求項記載の燃料電池の加湿装置によれば、多孔質膜が、屈曲させて立体的に配置されていることから、少ない容積の加湿装置でより表面積の大きい多孔質膜を組み込むことが可能となる。このため、少ない容積の加湿装置でより大きな加湿量を実現する。
【0023】
請求項記載の燃料電池の加湿制御装置によれば、運転状態検出手段により検出した燃料電池の運転状態から燃料電池が必要とする材料ガス中の必要水蒸気量を、必要水蒸気量算出手段により算出し、その必要水蒸気量から水と材料ガスとの理想的な圧力差を、理想圧力差算出手段により算出する。そして、制御手段により水圧またはガス圧の少なくともいずれか一方を制御することにより、水と材料ガスとの圧力差をその理想的な圧力差に制御する。多孔質膜は制御手段により制御されたその理想的な圧力差に応じて水を透過する。透過した水は、気化して水蒸気となり材料ガスに供給される。この結果、多孔質膜を透過する水量が燃料電池の運転状態に応じて理想的に定まる。
【0024】
請求項記載の燃料電池の加湿制御装置によれば、温度検出手段により検出した燃料電池の温度に応じて、必要水蒸気量算出手段により、材料ガス中の必要水蒸気量が算出される。このため、燃料電池の温度が高いほど、ガス中の飽和水蒸気量が多くなるので、燃料電池の温度の上昇に応じて必要水蒸気量を高めることが可能となり、その結果、燃料電池の温度の上昇に応じて加湿量が増大する。
【0025】
請求項記載の燃料電池の加湿制御装置によれば、インピーダンス検出手段により検出した燃料電池のインピーダンスに応じて、必要水蒸気量算出手段により、材料ガス中の必要水蒸気量が算出される。インピーダンスが高いほど、膜−電極接合体つまり燃料電池セルが乾いているので、インピーダンスの上昇に応じて水圧とガス圧との圧力差を大きくして加湿量を増大させる。
【0026】
請求項記載の燃料電池の加湿制御装置によれば、ガス流量検出手段により検出した燃料電池からの材料ガスの流量に応じて、必要水蒸気量算出手段により、材料ガス中の必要水蒸気量が算出される。ガス流量が高いほど、燃料電池で必要となる加湿水量が多くなるので、ガス流量の上昇に応じて水圧とガス圧との圧力差を大きくして加湿量を増大させる。
【0027】
請求項記載の燃料電池の加湿制御装置によれば、電流検出手段により検出した燃料電池の負荷電流に応じて、必要水蒸気量算出手段により、材料ガス中の必要水蒸気量が算出される。負荷電流に応じて燃料電池のガス流量は決定されることから、ガス流量と同様、負荷電流が高いほど、燃料電池で必要となる加湿水量が多くなるので、ガス流量の上昇に応じて水圧とガス圧との圧力差を大きくして加湿量を増大させる。
【0028】
請求項記載の燃料電池の加湿制御装置によれば、停止時判定手段により、燃料電池の停止時が判定されたとき、水と材料ガスとの圧力差を所定の圧力差以上の大きな圧力差となるように水圧またはガス圧の少なくともいずれか一方を、停止時制御手段により制御する。
【0029】
請求項10記載の加湿装置の製造方法によれば、有機溶剤で希釈されたシリコーン接着剤の溶液を、多孔質膜を用いて加圧下でろ過することにより、溶媒のみは多孔質膜を通過させ、シリコーン接着剤の一部は多孔質膜表面及び内部に残留させるように働く。
【0030】
【実施例】
以上説明した本発明の構成・作用を一層明らかにするために、以下本発明の好適な実施例について説明する。
【0031】
図1は、本発明の燃料電池の加湿装置を適用した第1実施例としての固体高分子型燃料電池のスタック(以下、燃料電池スタックと呼ぶ)1の概略構成図である。燃料電池スタック1は、複数の単電池のセル10を備える発電ユニット100と、水素ガスを加湿する水素ガス加湿器110および酸素含有ガス(空気)を加湿する酸素含有ガス加湿器120からなる加湿ユニット200とを備える。発電ユニット100は2つのエンドプレート300,310の間に締め付けボルト312,314により組み付けられており、さらに一方のエンドプレート310と第3のエンドプレート320との間に加湿ユニット200が締め付けボルト322,324により組み付けられている。
【0032】
発電ユニット100は、セル10を複数(この実施例では3つ)積層し、その積層方向の両側に冷却水流路20,30を設け、さらに冷却水流路20,30の外側に集電板40,50を設けた構成である。
【0033】
セル10の構成について次に説明する。セル10は、図2の構造図に示すように、電解質膜11と、この電解質膜11を両側から挟んでサンドイッチ構造とするガス拡散電極としてのカソード12およびアノード13と、このサンドイッチ構造を両側から挟みつつカソード12およびアノード13とで酸素含有ガスおよび燃料ガスの流路を形成するセパレータ14,15とにより構成されている。
【0034】
電解質膜11は、高分子材料、例えばフッ素系樹脂により形成されたイオン交換膜であり、湿潤状態で良好な電気電導性を示す。カソード12およびアノード13は、炭素繊維からなる糸で織成したカーボンクロスにより形成されており、このカーボンクロスには、触媒としての白金または白金と他の金属からなる合金等を担持したカーボン粉がクロスの隙間に練り込まれている。セパレータ14,15は、ち密質のカーボンプレートにより形成されている。カソード12側のセパレータ14は、カソード12の表面とで材料ガスである酸素含有ガスの流路をなすと共にカソード12で生成する水の集水路をなす酸素ガス流路14pを形成する。また、アノード13側のセパレータ15は、アノード13の表面とで燃料ガスである水素ガスと水蒸気との混合ガスの流路をなす水素ガス流路15pを形成する。
【0035】
これがセル10の基本的な構成であり、セル10の外側に配設された集電板40,50(図1)はこれらセル10のカソード12およびアノード13の集電極の役割を果たす。集電板40,50は、銅(Cu)により形成されている。なお集電板40とエンドプレート300との間、集電板50とエンドプレート310との間には、絶縁板60,70が介在している。
【0036】
水素ガス加湿器110の構成について次に説明する。水素ガス加湿器110は、図3の構造図に示すように、多孔質膜111と、この多孔質膜111を両側から挟みつつ水素ガスおよび水の流路を形成するセパレータ113,115とにより構成されている。
【0037】
多孔質膜111は、ポリオレフィン系の多孔質のフィルムであって、親水性を備えるとともに、空孔率が50[%]以上で、平均孔径が0.05[μm]程度のものである。この多孔質膜111は、フィルムを境とした両側の圧力差に応じて水を透過するものである。多孔質膜111は、例えば、旭化成工業から商品名「ハイポア1000」として入手することができる。
【0038】
セパレータ113,115は、カーボンを圧縮してガス不透過とした緻密質のカーボンプレートにより形成されている。セパレータ113,115の多孔質膜111側の表面には、平行に配列された複数の凸部が設けられており、複数の凸部と多孔質膜111とで複数の水素ガス流路113pおよび水流路115pを形成する。また、セパレータ113,115と多孔質膜111とは、Oリング116,117によりシールされており、また、多孔質膜111の長手方向の両側はシール部材118,119によりシールされている。
【0039】
なお、実施例ではセパレータ113をガス不透過カーボンにより形成したが、水素ガスに侵されない材質かつ熱伝導性に優れている材質であれば如何なる材質により形成してもかまわない。また、セパレータ115は水に対して安定な材質でかつ熱伝導性に優れてい材質であれば如何なる材質により形成しても構わない。
【0040】
こうして構成された水素ガス加湿器110は、水素ガスの循環路C1中に前述した水素ガス流路113pが位置し、水の循環路C2中に前述した水流路115pが位置するように配設される。この結果、水流路115pを流れる水の圧力と水素ガス流路113pを流れる水素ガスの圧力との差に応じて水流路115p中の水が多孔質膜111を透過する。この透過した水は、多孔質膜111表面で気化して水素ガスを加湿する。
【0041】
燃料電池のセル10に用いられる酸素含有ガスを加湿する酸素含有ガス加湿器120は、前述した水素ガス加湿器110と同一の多孔質膜121およびセパレータ123,125(図1)を備えており、セパレータ123の酸素ガス流路123pに酸素含有ガスが流される。したがって、酸素含有ガス加湿器120は、水流路125pを流れる水の圧力と酸素ガス流路123pを流れる酸素含有ガスの圧力との差に応じて水流路125p中の水が多孔質膜121を透過する。この透過した水は、多孔質膜121表面で気化して酸素含有ガスを加湿する。
【0042】
次に、セル10の燃料ガスおよび酸素含有ガスの流路14pおよび15p,冷却水流路20,水素ガス加湿器110の水流路115pおよび水素ガス流路113p,酸素含有ガス加湿器120の水流路125pおよび酸素ガス流路123p等の接続状態について説明する。発電ユニット100の冷却水流路20,30の入口は、水通路510,ポンプ500を介して図示しない貯水槽に接続されており、冷却水流路20,30の出口は、水通路520を介して水素ガス加湿器110の水流路115pおよび酸素含有ガス加湿器120の水流路125pの入口に接続されている。したがって、発電ユニット100で冷却水として用いられた水が、水素ガス加湿器110の水流路115pおよび酸素含有ガス加湿器120の水流路125pへ供給される。また、両水流路115p,125pの出口は、水通路530を介して図示しない熱交換器および貯水槽に接続されている。
【0043】
なお、ポンプ500には、ポンプ500の回転数を可変する電動機500aが設けられている。この電動機500aは、外部からの制御信号に基づく回転数でポンプ500を駆動する。したがって、ポンプ500の回転数を変えることで、冷却水流路20および水流路115p,125p内の水圧を調整することができる。
【0044】
水素ガス加湿器110のセパレータ113に形成された水素ガス流路113pの入口は、水素ガス通路540,ブロワ550を介して水素ガス貯蔵槽(図示せず)に接続されており、水素ガス流路113pの出口は、水素ガス通路560を介してセル10のセパレータ15に形成された水素ガス流路15pの入口に接続されている。したがって、水素ガス流路15pには、水素ガスと水蒸気との混合ガスが流入する。また、水素ガス流路15pの出口は、水素ガス通路570を介して水素ガス回収槽(図示せず)に接続されている。
【0045】
酸素含有ガス加湿器120のセパレータ123に形成された酸素ガス流路123pの入口は、酸素ガス通路580を介してブロワ590に接続されており、酸素ガス流路123pの出口は、酸素ガス通路592を介してセル10のセパレータ14に形成された酸素ガス流路14pの入口に接続されている。したがって、酸素ガス流路14pには、酸素含有ガスと水蒸気との混合ガスが流入する。また、酸素ガス流路14pの出口は、酸素ガス通路594を介して外部大気と接続されている。
【0046】
こうして構成された燃料電池スタック1は、上述した化学反応により化学エネルギを直接電気エネルギに変換するが、加湿ユニット200で加湿された材料ガス(水素ガスおよび酸素含有ガス)により、この化学反応がスムーズに行なわれている。
【0047】
すなわち、セル10のアノード13では、水素が水素イオンと電子となる反応が行なわれ、生じた水素イオンが、アノード13付近の水と結合して水和状態となって電解質膜11内を移動する。このため、そのままでは電解質膜11のアノード13付近で水が不足するが、この不足は、水素ガスと水蒸気との混合ガス中の水蒸気により補給される。この結果、電解質膜11は常に湿潤状態となり、水素イオンは電解質膜11内をスムーズに移動することができ、陰極反応がスムーズに行なわれる。カソード12では、水素イオンと電子と酸素とにより水を生成する反応が行なわれる。酸素含有ガスと水蒸気の混合ガス中の水蒸気は、運転開始直後の電解質膜11の湿潤状態を確保すると共にカソード12とセパレータ14等との接触抵抗を低減させる。
【0048】
以上詳述したように、この第1実施例の燃料電池スタック1では、燃料電池に供給する材料ガスである水素ガスおよび酸素含有ガスを水素ガス加湿器110および酸素含有ガス加湿器120で加湿している。この水素ガス加湿器110は、多孔質膜111が親水性を有するポリオレフィン系のものであることから、多孔質膜111を透過してきた水は、多孔質膜111に対して大きな接触面積で接する。このため、多孔質膜111と水素ガスとの双方から熱を受けることができることから、その水を容易に気化して、水滴の状態でなく良好な水蒸気の状態で水素ガス中に含ませることができる。このため、水素ガスの供給先であるセル10のアノード13が濡れ過ぎの状態となり、燃料電池スタック1の出力が低下するのを防止することができる。
【0049】
また、酸素含有ガス加湿器120も、多孔質膜121が親水性を有するポリオレフィン系のものであることから、多孔質膜121を透過してきた水を容易に気化して、水を水滴の状態でなく良好な水蒸気の状態で酸素含有ガス中に含ませることができる。このため、水素ガスの供給先であるセル10のカソード12の濡れ過ぎを防止することができる。
【0050】
なお、多孔質膜111の一例として旭化成工業のハイポア1000を使って、加湿量の測定をした結果を図4のグラフに示した。この実験の条件は、カソード12に供給する酸素含有ガスを空気とし、その圧力を1.5気圧とし、燃料電池のガス利用率を100[%]、燃料電池の電流密度を0.3[A/cm]としている。この実験では、測定範囲内において、霧状の良好な水蒸気を得ることができるとともに、図4のグラフに示すように、多孔質膜111に作用する圧力差△Pと加湿量Wとの関係を、△Pが0.2〜1[kgf/cm]の時、Wが0.01〜1[ミリリットル/cm・分]の範囲とすることができた。これは固体高分子型燃料電池を電気自動車の用途に適用する際の実用的な範囲である。
【0051】
水の通過量の異なる各種の多孔質膜を用意し実際にどのように加湿されるかを実験してみた。その観察結果を次に示した。
【0052】
加湿量が0.001[ミリリットル/cm・分] 程度では、加湿量が少なく、ガスは加湿されているのか否か目視で判断できない。
加湿量が0.01[ミリリットル/cm・分] 程度では、ガスは加湿され、薄い霧状の良好な水蒸気が得られる。
加湿量が0.1[ミリリットル/cm・分] 程度では、ガスは加湿され、霧状の良好な水蒸気が得られる。
加湿量が1[ミリリットル/cm・分] 程度では、ガスは加湿され、濃い霧状の良好な水蒸気が得られる。
加湿量が10[ミリリットル/cm・分] 程度では、ガスは加湿されているものの、多数の水滴が飛散してきて、霧状の水蒸気は得られない。
加湿量が100[ミリリットル/cm・分] 程度では、ガスではなく、水が吹き出すかのごとく多量の水が飛散してきて、水蒸気の状態ではない。
【0053】
即ち、良好な加湿を実現できるのは、加湿量が0.01〜1[ミリリットル/cm・分]の範囲であり、このことからも、前述したハイポア1000を用いた加湿装置では良好な加湿を行なうことができることがわかる。
【0054】
なお、この第1実施例の燃料電池スタック1では、発電ユニット100と加湿ユニット200とが別体に組み付けられていることから、次のような効果を奏する。まず、第1に、発電ユニット100と加湿ユニット200とが別体となっていることから、発電ユニット100と加湿ユニット200との締め付け圧力(トルク)を別々の大きさにすることができるという効果を奏する。
【0055】
発電ユニット100の締め付け圧力は、燃料電池からガス漏れが発生しないようにすること、燃料電池のセル抵抗(電池抵抗)が発電に支障のない程度にまで低下すること、の2点から決められる。通常はガスシールはわずかな締め付け圧力で確保できるので、実際においては、セル抵抗値によって締め付け圧力が決められる。一方、加湿ユニット200の締め付け圧力は、発電をしているわけではないから、その締め付け圧力は、ガスシール性のみから決められる。
【0056】
加湿装置が発電ユニットと一体になって組み付けられた従来の構成では、セル抵抗で決められる締め付け圧力、つまり、大きな締め付け圧力で、締め付けられることから、加湿装置側に支障が生じた。本実施例のように、加湿装置において多孔質膜を用いた場合、膜が薄く、強度も低いことから、加湿装置を大きな締め付け圧力で締め付けた場合、多孔質膜が、ガス流路、水流路の溝のエッジに強く押しつけられて、その多孔質膜が破れてしまった。
【0057】
これに対してこの第1実施例では、加湿ユニット200の締め付け圧力は、発電ユニット100の締め付け圧力の制限を何等受けることがないことから、前述したような大きな締め付け圧力で加湿ユニット200を締め付ける必要がない。従って、多孔質膜の破損を防ぐことができる。
【0058】
また、この第1実施例の燃料電池スタック1は、発電ユニット100と加湿ユニット200とが別体に組み付けられていることから、その補修が容易であるという効果を奏する。例えば、電池特性に異常が見つかったときに、従来は、発電部分は勿論のこと加湿装置を含め、完全に分解する必要があった。これに対して、この実施例では、発電ユニット100と加湿ユニット200とが別々に組み付けられているため、発電ユニット100と加湿ユニット200とをそれぞれ単独で分解することが出来、その補修が容易である。
【0059】
一般に、発電ユニット100と加湿ユニット200とを別体にすると、両者100,200は、熱的にも隔離されることから、燃料電池本体の熱を加湿ユニットに伝えることができない。このため、加湿ユニット200において加湿の効率を低下させることになるが、この第1実施例では、燃料電池本体の冷却に用いた冷却水を水流路115p,125pに利用していることから、発電ユニット100と加湿ユニット200とを熱的に結合させることができる。従って、加湿ユニット200において加湿の効率低下を引き起こすこともない。
【0060】
なお、この第1実施例では、水素ガス加湿器110の水流路115p(および酸素含有ガス加湿器120の水流路125p)を循環路として発電ユニット100の冷却水流路20に連結していたが、これに替えて、水流路115pを冷却水流路20と別系統の流路として、水流路115pの出口側を閉じた構造としてもよい。
【0061】
この第1実施例では、多孔質膜111として、ポリオレフィン系のフィルムを用いていたが、これに替えて、セルロース系、ポリアミド系、ポリスルホン系、ポリプロピレン系を用いる構成としてもよい。要は、制御可能な圧力差でもって0.01〜1[ミリリットル/cm・分]の範囲の加湿量を得られる親水性の多孔質膜であればどのようなものであってもよい。ここで言う、親水性の多孔質膜とは、多孔質膜の表面に水滴が付着したときの水滴の形状によって、撥水性の多孔質膜と区別できるものである。即ち、撥水性の多孔質膜の表面においては、水滴はまさに水滴、つまり球状となって付着するが、親水性の膜の表面においては、水滴は球状になることなく、膜表面に平面的に広がるのである。なお、親水性の多孔質膜を定量的に示すと、膜の表面に水滴が付着した際の、水滴と多孔質膜表面との接触角度が、好ましくは30度以下の場合を親水性の多孔質膜と定めるものとする。
【0062】
本発明の第2実施例について次に説明する。図5は、第2実施例の燃料電池の加湿器600の構造図である。この図5に示すように、この第2実施例の燃料電池の加湿器600は、第1実施例の水素ガス加湿器110と比較して、多孔質膜602とセパレータ604,606との間に多孔質のカーボンのシート608,610を設けた点が相違する。なお、両シート608,610の長手方向の両外側には、緻密性のカーボンからなるシール部材612〜615が接合されており、その方向へのガス漏れを防いでいる。なお、図5中には詳しく示さなかったが、第1実施例の水素ガス加湿器110と同じようにOリングを用いてさらにシール性を高めた構成としてもよい。
【0063】
以上のように構成された第2実施例では、多孔質膜111はシート608,610により覆われる。多孔質膜111は、数十〜数百ミクロンと薄い為、そのままでは多孔質膜111に作用する圧力差ΔPにより破損する恐れがあるが、このようにシート608,610で覆うことにより、多孔質膜111の破損を確実に防止することができる。
【0064】
なお、シート608,610は、ガスや水の透過性に優れ、且つある程度の強度があるものであれば、どのようなものでもよく、多孔質のカーボンに替えて、発泡質のカーボン、発泡ニッケル、ガラス、或いはメッシュ状のシートとしてもよい。
【0065】
本発明の第3実施例について次に説明する。図6は、第3実施例の燃料電池の加湿器700の構造図である。この図6に示すように、この第3実施例の燃料電池の加湿器700は、第1実施例の水素ガス加湿器110と比較して、多孔質膜702が屈曲させて立体的に配置されている点が相違する。なお、図6中には詳しく示さなかったが、第1実施例の水素ガス加湿器110と同じようにOリングを用いてシール性を高めた構成となっている。
【0066】
以上のように構成された第3実施例では、多孔質膜702が屈曲させて立体的に配置されていることから、少ない容積の加湿装置でより表面積の大きい多孔質膜を組み込むことが可能となる。多孔質膜702を屈曲させると加湿装置の1枚当りの厚みは増えるが、加湿装置の枚数を増すよりも、一つの加湿装置で多量の加湿する方が、トータルの加湿部分の厚みは減らすことができる。このため、少ない容積の加湿装置でより大きな加湿量を実現することができる。
【0067】
なお、この第3実施例において、多孔質膜702の破損を防止するために、第2実施例と同様に多孔質膜702にサポート用のフィルムを沿わした構成としてもよい。
【0068】
本発明の第4実施例について次に説明する。図7は、第4実施例の燃料電池の加湿器800の構造図である。この図7に示すように、この第4実施例の燃料電池の加湿器800は、第1実施例の水素ガス加湿器110と比較して、多孔質膜802の形状が相違する。この多孔質膜802は、四角形の筒状の形状をしており、その内部を水を流す水流路804とし、その外部には第2実施例と同じサポート用のフィルム806を設けた。セパレータ808,810で形成する流路808p,810pは、双方ともガス(水素ガスまたは酸素含有ガス)用の流路とする。なお、図7中には詳しく示さなかったが、第1実施例の水素ガス加湿器110と同じようにOリングを用いてシール性を高めた構成となっている。
【0069】
以上のように構成された第4実施例では、多孔質膜802が3次元構造となっていることから、より広い表面積で加湿を実現することができ、よりコンパクト性に優れている。なお、この実施例では、多孔質膜802の外側の両流路808p,810pに水素ガスまたは酸素含有ガスのいずれか一方の流す構成としたが、これに替えて、一方の流路に水素ガスを他方の流路に酸素含有ガスを流す構成としてもよい。この構成により、一つの加湿装置で、アノード13に供給する水素ガスと、カソード12に供給する酸素含有ガスとの両方に同時に加湿を行なうことができる。
【0070】
前述した第1ないし第4実施例では、多孔質膜111(602,702,802)として「ハイポア1000」を用いることで良好な加湿を得ていたが、これに替えて、ポリオレフィン系であっても径孔が大きすぎるフィルムを用いた場合、加湿量過多となることがある。そこでこうした径孔が大きすぎるフィルムを、孔の一部を塞いだり、孔径を狭めたりすることにより、最適な多孔質膜に変身させる技術について、次に説明する。
【0071】
多孔質膜として孔径0.80ミクロン、多孔度72%、厚さ125ミクロンの親水性セルロースタイプメンブランフィルタ、例えばアドバンテック製C080Aを使用する。付加型反応で重合する、熱硬化型シリコーン接着剤、例えば、東レダウコーニングシリコーン製のCY52−227使用する。これらを用いて次の手順で作業を行なう。
【0072】
▲1▼シリコーン接着剤を有機溶剤(キシレンまたはトルエン)で希釈する。シリコーン接着剤と有機溶剤の重量比は、1:100〜2:100程度とする。この際、全量のシリコーン接着剤に、少量ずつ徐々に有機溶剤を加えながら攪拌し、希釈する。ここで、順序を逆にして、全量の有機溶剤の中に、少量ずつ徐々にシリコーン接着剤を加えながら攪拌すると、うまく希釈できないので注意する。
▲2▼有機溶剤で希釈されたシリコーン接着剤溶液を、室温で、真空脱泡して、溶液中の気泡を取り除く。
▲3▼多孔質膜を加圧ろ過用ホルダにセットし、このシリコーン接着剤溶液を加圧ろ過することにより、溶媒のみは多孔質膜を通過し、シリコーン接着剤の一部が多孔質膜表面及び内部に残留する。
▲4▼この状態の多孔質膜を室温で30分ほど自然乾燥させた後、60〜80[℃]で30分加熱乾燥させて、多孔質膜表面及び内部に残留していた有機溶剤を完全に気化させる。
▲5▼次に120[℃]で1時間加熱して、多孔質膜の表面及び内部に残留していたシリコーン接着剤を硬化させる。
【0073】
このようにして処理した多孔質膜は、処理前に比べ、表面及び内部の孔の一部がシリコーン接着剤によって塞がれるとともに、大部分の孔の径がシリコーン接着剤によって狭めらる。従って、処理後の多孔質膜の加湿量は、処理前に比べて大幅に小さくなる。
【0074】
このように処理することにより、加湿量が多すぎて、うまく加湿出来ない多孔質膜も第1実施例ないし第4実施例の多孔質膜として使用できるようになるのである。
【0075】
なお処理後の加湿量は、シリコーン接着剤と有機溶剤の比率、つまり、希釈率と、多孔質膜を加圧ろ過用ホルダにセットし、シリコーン接着剤溶液を加圧ろ過するする際の、多孔質膜の面積と、シリコーン接着剤溶液の体積の比率、つまり、単位面積当りのろ過量により、決めることが出来るので、使用する多孔質膜の処理前の加湿量と、所望の加湿量の値から適当に決めることが出来る。
【0076】
本発明の燃料電池の加湿制御装置を適用した第5実施例としての燃料電池システムについて、次に説明する。図8は、その燃料電池システムの概略構成図である。同図に示すように、燃料電池システムは、第1実施例と同じ燃料電池スタック1と、この燃料電池スタック1における水素ガス加湿器110による水素ガスの加湿量を制御する制御系1100とを備える。
【0077】
制御系1100は、発電ユニット100の温度を検出する熱電対からなる温度センサ1105と、加湿ユニット200の水素ガス流路113pへ供給する水素ガスの圧力を検出する第1の圧力センサ1110と、水流路115pへ供給する水の圧力を検出する第2の圧力センサ1120とを備えている。制御系1100は、さらに、これらセンサ1105,1110,1120と接続される電子制御ユニット1200を備える。
【0078】
電子制御ユニット1200は、マイクロコンピュータを中心とした論理回路として構成され、詳しくは、予め設定された制御プログラムに従って所定の演算等を実行するCPU1210、CPU1210で各種演算処理を実行するのに必要な制御プログラムや制御データ等が予め格納されたROM1220、同じくCPU1210で各種演算処理を実行するのに必要な各種データが一時的に読み書きされるRAM1230、第1の圧力センサ1110および第2の圧力センサ1120からの検出信号を入力する入力インターフェース1240、CPU1210での演算結果に応じて電動機500aに制御信号を出力する出力インターフェース1250を備えている。
【0079】
こうした構成の電子制御ユニット1200によって、温度センサ1105,第1の圧力センサ1110および第2の圧力センサ1120からの出力信号に応じて電動機500aが制御されて、水素ガス加湿器110による加湿量が調整される。
【0080】
この加湿量は多孔質膜111を境とした圧力差△Pを調整することにより制御される。以下、この圧力差△Pを制御する圧力差制御ルーチンについて、図9のフローチャートに沿って詳しく説明する。この圧力差制御ルーチンは、ROM1220にプログラムの形で記憶されており、発電ユニット100の運転開始後、所定時間毎(例えば10msec毎)に実行される。
【0081】
本ルーチンが実行開始されると、まずCPU1210は、温度センサ1105により検出される発電ユニット100の温度Tと、第1の圧力センサ1110により検出される水素ガス圧Phと、第2の圧力センサ1120により検出される水圧Pwとを入力インターフェース1240を介して読み込む(ステップS100)。次に、その読み込んだ温度Tに基づいて燃料電池スタック1の発電ユニット100が必要とする必要水蒸気量Hを算出する(ステップS110)。
【0082】
この必要水蒸気量Hの算出は、予めROM1220に格納しておいた温度Tと必要水蒸気量Hとの相関を示すマップAを用いて行なう。マップAの一例を図10に示した。図10に示すように、このマップAは、温度Tの上昇につれて加湿量Hが大きくなるように設定されている。ステップS110では、ステップS100で読み込んだ温度TをマップAに照らし合わせて必要水蒸気量Hを求める。
【0083】
続いて、その求めた必要水蒸気量Hに基づいて水圧と水素ガス圧との設定差圧△Psetを定める(ステップS120)。必要水蒸気量Hと設定差圧△Psetとは、互いの対数logH,log△Psetが図11に示すようにリニアに変化する相関をもち、計算により必要水蒸気量Hから設定差圧△Psetが求められる。
【0084】
続いて、CPU1210は、ステップS100で読み込んだ水圧Pwから水素ガス圧Phを減じて差圧△Pを求める(ステップS130)。その後、この差圧△Pと設定差圧△Psetとの差の絶対値を求め、この絶対値と閾値Prefとを比較する(ステップS130)。ここで、閾値Prefは、差圧△Pが設定差圧△Psetから許容される圧力差の最大値である。この閾値Prefは、ポンプ500の回転数を制御できる最小値等により定められる。
【0085】
差圧△Pと設定差圧△Psetとの差の絶対値が閾値Pref以下のときには、適正な加湿量を得るのに適切な圧力差の範囲内であると判断して本ルーチンを終了する。閾値Prefより大きいときには、差圧△Pと設定差圧△Psetとの差に制御ゲインKを乗じて回転数増減量△Fを求め(ステップS150)、CPU1210から出力インターフェース1250を介して電動機500aに制御信号を出力して、ポンプ500の回転数を回転数増減量△Fだけ増減させる(ステップS160)。こうして水圧Pwと水素ガス圧Phとの差圧△Pを設定差圧△Psetに制御して、適正な加湿量とする。
【0086】
以上説明した第5実施例の加湿制御装置によれば、温度センサ1105により検出された発電ユニット100の温度Tに基づいて必要水蒸気量Hを算出し、この必要水蒸気量Hに応じて、多孔質膜111に作用する圧力差△Pを理想的な圧力差に制御する。このため、この加湿制御装置では、多孔質膜111を透過する水量を発電ユニット100の温度Tに応じて理想的に定めることができる。即ち、燃料電池の温度が高いほど、水素ガス中の飽和水蒸気量は多くなるので、多孔質膜111にかかる圧力差△Pを大きくして水素ガスの加湿量を増大させることができる。従って、発電ユニット100へ供給する水素ガスの加湿を適正に行なうことができる。
【0087】
本発明の第6実施例について次に説明する。この第6実施例は、第5実施例と比較して、そのハードウェアは、温度センサ1105に替えて、発電ユニット100のインピーダンスZを検出するインピーダンスセンサを設けた点が相違しており、その他の構成は同じものである。一方、そのソフトウェアは、電子制御ユニット1200で実行する圧力差制御ルーチンにおけるステップS110の処理の内容が相違する。
【0088】
本実施例の圧力差制御ルーチンにおけるステップS110では、インピーダンスセンサで検出したインピーダンスZに基づいて発電ユニット100が必要とする必要水蒸気量Hを算出している。
【0089】
この必要水蒸気量Hの算出は、予めROM1220に格納しておいたインピーダンスZと必要水蒸気量Hとの相関を示すマップBを用いて行なう。マップBの一例を図12に示した。図12に示すように、このマップBは、インピーダンスZの対数値logZの上昇につれリニアに加湿量Hが大きくなるように設定されている。このステップでは、インピーダンスZをマップBに照らし合わせて必要水蒸気量Hを求める。この必要水蒸気量Hを求めるステップの処理を終えると、第5実施例と同様に、ステップS130以後の処理を実行する。
【0090】
以上説明した第6実施例の加湿制御装置によれば、インピーダンスセンサにより検出された発電ユニット100のインピーダンスZに基づいて必要水蒸気量Hを算出し、この必要水蒸気量Hに応じて、多孔質膜111に作用する圧力差△Pを理想的な圧力差に制御する。このため、この加湿制御装置では、多孔質膜111を透過する水量を発電ユニット100のインピーダンスZに応じて理想的に定めることができる。即ち、インピーダンスが高いほど発電ユニット100のセル10が乾いた状態となるので、圧力差△Pを大きくして水素ガスの加湿量を増大させることができる。従って、発電ユニット100へ供給する水素ガスの加湿を適正に行なうことができる。
【0091】
本発明の第7実施例について次に説明する。この第7実施例は、第5実施例と比較して、そのハードウェアは、温度センサ1105に替えて、発電ユニット100から排出される燃料ガスの流量を検出するガス流量センサを設けた点が相違しており、その他の構成は同じものである。一方、そのソフトウェアは、電子制御ユニット1200で実行する圧力差制御ルーチンにおけるステップS110の処理の内容が相違する。
【0092】
本実施例の圧力差制御ルーチンにおけるステップS110では、ガス流量センサで検出したガス流量Mに基づいて発電ユニット100が必要とする必要水蒸気量Hを算出している。
【0093】
この必要水蒸気量Hの算出は、予めROM1220に格納しておいたガス流量Mと必要水蒸気量Hとの相関を示すマップCを用いて行なう。マップCの一例を図13に示した。図13に示すように、このマップCは、ガス流量Mの上昇につれ湿量Hがリニアに大きくなるように設定されている。このステップでは、ガス流量MをマップCに照らし合わせて必要水蒸気量Hを求める。この必要水蒸気量Hを求めるステップの処理を終えると、第5実施例と同様に、ステップS130以後の処理を実行する。
【0094】
以上説明した第7実施例の加湿制御装置によれば、ガス流量センサにより検出された発電ユニット100から排出されるガス流量Mに基づいて必要水蒸気量Hを算出し、この必要水蒸気量Hに応じて、多孔質膜111に作用する圧力差△Pを理想的な圧力差に制御する。このため、この加湿制御装置では、多孔質膜111を透過する水量を発電ユニット100のガス流量Mに応じて理想的に定めることができる。即ち、ガス流量が高いほど発電ユニット100で必要となる加湿水量は多くなるので、圧力差△Pを大きくして水素ガスの加湿量を増大させることができる。従って、発電ユニット100へ供給する水素ガスの加湿を適正に行なうことができる。
【0095】
本発明の第8実施例について、次に説明する。この第8実施例は、第5実施例と比較して、そのハードウェアは、温度センサ1105に替えて、発電ユニット100の負荷電流を検出する電流センサを設けた点が相違しており、その他の構成は同じものである。一方、そのソフトウェアは、電子制御ユニット1200で実行する圧力差制御ルーチンにおけるステップS110の処理の内容が相違する。
【0096】
本実施例の圧力差制御ルーチンにおけるステップS110では、電流センサで検出した負荷電流Iに基づいて発電ユニット100が必要とする必要水蒸気量Hを算出している。
【0097】
この必要水蒸気量Hの算出は、予めROM1220に格納しておいた負荷電流Iと必要水蒸気量Hとの相関を示すマップDを用いて行なう。マップDの一例を図14に示した。図14に示すように、このマップDは、負荷電流Iの上昇につれ湿量Hがリニアに大きくなるように設定されている。このステップでは、負荷電流IをマップCに照らし合わせて必要水蒸気量Hを求める。この必要水蒸気量Hを求めるステップの処理を終えると、第5実施例と同様に、ステップS130以後の処理を実行する。
【0098】
以上説明した第8実施例の加湿制御装置によれば、電流センサにより検出された発電ユニット100の負荷電流Iに基づいて必要水蒸気量Hを算出し、この必要水蒸気量Hに応じて、多孔質膜111に作用する圧力差△Pを理想的な圧力差に制御する。このため、この加湿制御装置では、多孔質膜111を透過する水量を発電ユニット100の負荷電流Iに応じて理想的に定めることができる。即ち、負荷電流に応じて燃料電池からのガス流量は決定されることから、ガス流量Mと同様、負荷電流Iが高いほど発電ユニット100で必要となる加湿水量は多くなるので、圧力差△Pを大きくして水素ガスの加湿量を増大させることができる。従って、発電ユニット100へ供給する水素ガスの加湿を適正に行なうことができる。
【0099】
前記第5ないし第8実施例では、必要水蒸気量Hの算出を、燃料電池の温度、インピーダンス、負荷電流、または燃料電池から排出される水素ガスガスの流量に基づいて行なっていたが、これに替えて、必要水蒸気量Hを常に一定の値としてもよい。燃料電池が定常状態で駆動している場合、必要な水蒸気量Hは比較的安定した量となることから、その燃料電池固有に定めた一定の値を必要水蒸気量Hと定めても、比較的精度高く加湿量を制御することができる。
【0100】
また、前記第5ないし第8実施例では、必要水蒸気量Hの算出を、燃料電池の温度、インピーダンス、負荷電流およびガス流量の内のいずれか一つに基づいて行なっていたが、これらの内の2つ以上のパラメータを用いて必要水蒸気量Hの算出を行なうように構成してもよい。
【0101】
据置用途のりん酸型燃料電池や、溶融炭酸塩型燃料電池や、固体電解質型燃料電池では、出力一定状態で連続的に運転することが前提になっているが、固体高分子型燃料電池を電気自動車に適用する場合には、電気自動車は当然のことながら、走行、停止、加速、制動を繰り返すことになり、固体高分子型燃料電池の運転状態もそれに応じて複雑に変化する。こうしたことから、固体高分子型燃料電池を電気自動車に適用する場合には、より精度の高い制御を行なう必要がある。このため、2つ以上のパラメータを用いて必要水蒸気量Hの算出を行なうことにより、より精度が高く、安定で、高効率で当該固体高分子型燃料電池を運転することが可能になる。
【0102】
2つ以上のパラメータを用いて必要水蒸気量Hの算出をどのように行なうかを、第9実施例として詳細に説明する。ここでは、パラメータとして、インピーダンスZと負荷電流Iとを用いた場合を例にあげて説明する。
【0103】
パラメータとしてインピーダンスZを用いた第6実施例では、負荷電流I=大→△P=大、負荷電流I=小→△P=小、なる論理で制御している。一方、パラメータとして負荷電流Iを用いた第8実施例では、インピーダンスZ=大→△P=大、インピーダンスZ=小→△P=小、なる論理で制御している。
【0104】
ところが、燃料電池スタックにおいて、必ずしも負荷電流I=大の時にインピーダンスZ=大になるわけもなく、負荷電流I=小の時にインピーダンスZ=小になるわけもない。これは、先にも述べたように、電気自動車用途に固体高分子型燃料電池を適用するとその運転条件は刻々と変化するからである。
【0105】
そこで、前記第6実施例の論理と第8実施例の論理とを組み合わせることにより、
負荷電流I=大で、かつインピーダンスZ=大→△P=大、
負荷電流I=小で、かつインピーダンスZ=小→△P=小、
とするが、
負荷電流I=大で、インピーダンスZ=小
負荷電流I=小で、インピーダンスZ=大
では、△Pは変化させず、しばらく様子を見るような制御をさせるのである。
【0106】
これは、例えば、負荷電流I=大で、インピーダンスZ=小の時には、負荷電流Iは大きくなるから加湿量を増やさなくてはならないが、既にインピーダンスZが低く、濡れすぎの傾向があるから、このまま加湿量を増やすと、完全に濡れすぎになり、当該燃料電池が失速してしまう可能性があるからである。しばらく様子を見る中で、インピーダンスZがしだいに回復して、負荷電流I=大で、かつインピーダンスZ=大の状態になれば、その時点で、△P=大の制御をすればよい。
【0107】
また、負荷電流I=小で、インピーダンスZ=大の時には、負荷電流Iは小さくなるから加湿量を減らさなくてはならないが、既にインピーダンスZが大きく、乾きすぎの傾向があるから、このまま加湿量を減らすと、完全に乾きすぎになり、当該固体高分子型燃料電池が失速してしまう可能性があるからである。しばらく様子を見る中で、インピーダンスZがしだいに回復して、負荷電流I=小で、かつインピーダンスZ=小の状態になれば、その時点で、△P=小の制御をすればよい。
【0108】
したがって、こうした論理に従って、インピーダンスZおよび負荷電流Iから必要水蒸気量Hを算出すればよい。具体的には、
負荷電流I=大で、かつインピーダンスZ=大→H=大、
負荷電流I=小で、かつインピーダンスZ=小→H=小、
負荷電流I=大で、かつインピーダンスZ=小→H=変化させず
負荷電流I=小で、かつインピーダンスZ=大→H=変化させず
の関係を示す、インピーダンスZ、負荷電流Iおよび必要水蒸気量Hを3軸とする3次元のマップを用いて算出する。
【0109】
こうした構成の第9実施例によれば、より的確に水素ガスの加湿を行なうことができ、延いては精度の高い固体高分子型燃料電池の制御が可能となる。
【0110】
前記第5実施例ないし第9実施例では、アノード側ガス系統、即ち、水素ガス系統のみに着目して説明をしたが、ポンプ500の回転数を増減することで酸素含有ガス加湿器120側の水圧Pwも同時に調整されることから、カソード側ガス系統、即ち酸素含有ガス系統についても、水素ガス系統同様、適正な加湿量とすることができる。
【0111】
また、前記第5実施例ないし第9実施例では、水圧Pwと水素ガス圧Phとの差圧△Pをポンプ500の回転数を変えることにより調整したが、ブロワ550の加圧量を変えることにより水素ガス圧Phを調整する構成としてもよい。また、ポンプ500の回転数およびブロワ550の加圧量の双方を変えることにより調整する構成も好適である。さらに、前述した実施例では酸素含有ガスの加湿量は、水素ガスの加湿量の調整に伴って調整される構成としたが、ブロワ590の加圧量を調整することにより水素ガスの加湿量とは独立に調整する構成も好適である。
【0112】
本発明の第10実施例について次に説明する。固体高分子型燃料電池が大型化すると、加湿ユニット200も、1枚のプレートでは必要な加湿量を加湿できないので、複数枚の加湿プレートを並列に接続して、加湿量を確保する必要がある。一般には固体高分子型燃料電池スタックのセル枚数の5枚から10枚に対して、加湿ユニットのプレートが1枚必要になるので、出力が数kW〜数十kWに達する大型の固体高分子型燃料電池スタックでは、セル枚数は数百枚の規模になり、従って、加湿プレートの枚数も数十枚に達することになる。
【0113】
このような大規模な加湿システムにおいては、全ての加湿プレートに対して、同時に加湿量を制御しようとすると、大きな容量の水加圧ポンプを制御しなければならない。特に、固体高分子型燃料電池と2次電池(例えば鉛電池)を組み合わせたシステム(固体高分子型燃料電池ハイブリッドシステムとも呼ばれる)では、大きな負荷の変動や、短期的な負荷の変動は2次電池によって吸収させることができるので、燃料電池自体は比較的一定の運転条件で運転することが出来る。そこで、こうした用途のために、図15に示すように、この加湿システム2000では、システム全体としては大型の水加圧ポンプ2010で水を供給しつつ、一部の加湿ユニット2100には、小型の水加圧ポンプ2020を使い、固体高分子型燃料電池(発電ユニット100)の負荷変動にともなう加湿量の変動をこの小型の水加圧ポンプ2020で起動的に対応しようとするものである。
【0114】
この第10実施例によれば、加圧の応答性が上がり、水加圧ポンプ全体の消費電力も少なくすることが出来る。なお、図15ではシステムの構成を分かりやすく説明するために、加湿ユニット2100,2200,2300が独立しているように書いたが、加湿ユニット2100〜2300は一体になって、互いに熱的に結合していることが望ましい。従って、第1実施例と同様に、発電ユニット100で用いた冷却水を加湿ユニット2100〜2300にも流して、発電ユニット100で発生した熱を加湿部に伝えるようにするのが望ましい。
【0115】
本発明の第11実施例について次に説明する。自動車の搭載した固体高分子型燃料電池においては、停止時に固体高分子型燃料電池の温度Tを速やかに下げる必要がある。そこで、この第11実施例では、これまで説明してきた加湿ユニット200を用いて燃料電池の温度Tを低下させる構成について示す。
【0116】
この第11実施例の加湿制御装置は、第5実施例としての燃料電池システムと同じハードウェアおよびソフトウェアの構成を備える。さらに、この実施例の加湿制御装置は、電子制御ユニット1200で実行される制御処理として、図16で示す停止制御ルーチンも実行する。以下、この停止制御ルーチンについて詳しく説明する。この停止制御ルーチンは、ROM1220にプログラムの形で記憶されており、発電ユニット100の運転開始後、所定時間毎(例えば50msec毎)に実行される。
【0117】
この停止制御ルーチンが実行されると、まずCPU1210は、発電ユニット100の停止時か否かを判定する(ステップS200)。この判定は、例えば、負荷側から負荷の停止を指示する指令を受けたか否かから判定する。ここで、発電ユニット100の停止時であると判定されると、固体高分子型燃料電池(発電ユニット100)の停止を行なう(ステップS210)。この固体高分子型燃料電池の停止を行なう処理は、発電ユニット100を一般的な手法で冷却する処理も含まれており、さらには、材料ガス(水素ガスおよび酸素含有ガス)の圧力を降圧される処理も含まれている。
【0118】
続いて、水通路510に設けられたポンプ500の電動機500aに制御信号を出力して、ポンプ500の加圧力を現在の状態で保持する(ステップS220)。ステップS210で水素ガス圧Ph(および酸素含有ガス圧)が降圧したにも拘らず、ステップS220により水圧Pwは一定圧となることから、結果として、多孔質膜111に作用する圧力差ΔPは所定圧以上の大きな圧力差となり、多孔質膜111を通過して、水流路115pからガス流路113pに流れ込む加湿水の量が増大される。この結果、発電ユニット100の内部に大量の水分が供給されて、この水分の気化熱により、発電ユニット100をさらに一層冷却する。
【0119】
ステップS220の実行後、所定時間経過したか否かを判定し(ステップS230)、その時間経過するまで、ステップS220の処理を繰り返して、発電ユニット100の冷却を継続する。所定時間が経過すると、この停止制御ルーチンの処理を一旦終了する。
【0120】
以上詳述したように、この第11実施例によれば、発電ユニット100の停止時に、水素ガス加湿器110および酸素含有ガス加湿器120を用いて、水素ガスおよび酸素含有ガスに供給する加湿量を積極的に増大させる。このため、その増大した水分の気化熱により、発電ユニット100を早急に冷却することができる。
【0121】
なお、この実施例において、水圧Pwを積極的に昇圧させて圧力差ΔPを所定圧以上の大きな圧力差とすることにより、加湿量を増大させる構成としてもよい。また、この実施例では、アノードガス系統およびカソードガス系統の双方を加湿の対象としていたが、カソードガス系統またはカソードガス系統のどちらか一方を加湿の対象としても構わない。
【0122】
なお、前記第11実施例は、発電ユニット100の通常の停止時における処理について述べていたが、緊急停止時においては次に示す処理を行なう。
【0123】
ここで言う緊急時というのは、固体高分子型燃料電池の温度が異常上昇した時(冷却系統が機能せず熱暴走の恐れが生じた時)を言う。固体高分子型燃料電池が熱暴走したときには、ガス系統と電気系統(負荷への電気系統)を直ちに遮断する必要があるが、これらを直ちに遮断したとしても、固体高分子型燃料電池スタック自体の熱容量のために、スタックの温度(電池温度)を直ちに下げることが難しい。
【0124】
この緊急時の対応の仕方は、固体高分子型燃料電池の緊急停止時のガス系統の制御方法により異なってくる。緊急停止時にガス系統のバルブを閉鎖し、緊急停止が作動した状態で、いわばガスを閉じこめてしまうような制御をする場合については、水圧Pwを昇圧させて、圧力差ΔPを大きくし、多孔質膜111を通過して、水流路115pからガス流路113pに流れ込む加湿水の量を増大させる。
【0125】
一方、緊急停止時にガス系統の安全弁からガスを開放し(排気系統へ排気する)、ガスを放出して大気圧にするような制御をする場合には、固体高分子型燃料電池の緊急停止とともに、ガスの圧力は降圧されるが、この時に、加湿水の水ポンプの加圧圧力を降圧させずに保持するのである(第11実施例の方法)。
【0126】
こうして発電ユニット100の緊急停止時においても、発電ユニット100のより早い冷却が可能となる。
【0127】
さらに他の実施例について説明する。
前述した第5ないし第11実施例では、水素ガス加湿器110および酸素含有ガス加湿器120により発電ユニット100に供給する材料ガスの加湿を調整していたが、これに換えて、水素ガス加湿器110(および酸素含有ガス加湿器120)を迂回するバイパス流路を設け、このバイパス流路を通過する乾燥ガスと水素ガス加湿器110からの加湿ガスとの混合比率を調整することにより、材料ガスの加湿を制御する構成としてもよい。
【0128】
燃料電池の加湿装置についての他の実施例を以下説明する。メンブランフィルタ(ろ過膜)を用いた従来の加湿装置では、加湿量が多すぎるために、固体高分子型の燃料電池スタックに必要な加湿量を供給するための加湿面積(ガス、水両方の流路に接する面積)は少なくてよい。しかしながら、このような少ない面積では、水流路側からガス流路側に通過してきた、液体の水を気体の水にしようとしても、少ない面積に比較的多量の液体の水が存在しているために、例え、燃料電池スタックの発熱が熱伝達されていたとしても容易に気化することはできない。この状態で、ガス流路にガスが流れていると、液体の水はガスに吹き飛ばされて飛散し、燃料電池スタックのガス入口に、求められる水蒸気の状態ではなく、水滴の状態で供給されてしまう。
【0129】
以下に説明する実施例の加湿装置は、少ない加湿面積において、比較的多量の水が存在している状況下でも、この水を水蒸気の状態に気化させるための構成である。図17は、そうした燃料電池の加湿装置としての第12実施例のガス加湿器の一部分の構造を示す構造図である。なお、図17の(イ)は、(ロ)のA−A線断面図である。図17の(ロ)は、(イ)のB−B線断面図である。
【0130】
図17に示すように、ガス加湿器3000は、複数(図では一つだけ表示)の多孔質膜3100とその多孔質膜3100を側面から保持するプレート3110とから、前記第1実施例の多孔質膜111に相当する中心層を形成し、その中心層を第1実施例と同じセパレータ3113,3115で挟持することでガス流路3113p,3115pを形成する。さらに、その中心層とガス流路3113p側のセパレータ3113との間に、この多孔質膜3100(以下、第1多孔質膜と呼ぶ)よりもさらに多孔質な第2多孔質膜3200を設ける。
【0131】
第1多孔質膜3100としては、孔径1ミクロン、多孔度83%、厚さ35ミクロンの親水性フッ素系精密ろ過膜を使用する。第2多孔質膜3200としては、孔径55ミクロン、多孔度55%、厚さ2ミリの多孔質カーボン板を使用する。プレート3110としては熱伝導性が優れた緻密質カーボン板を使用する。
【0132】
こうして構成されたガス加湿器3000では、第1多孔質膜3100を水流路3115p側からガス流路3113p側に通過した水(加湿水)は第1多孔質膜3100と第2多孔質膜3200の界面に析出する。その界面に析出した水は、第2多孔質膜3200の中に浸透して第2多孔質膜3200全体に広がりながら、第2多孔質膜3200のガス流路側表面からガスの中に気化していく。第2多孔質膜3200は第1多孔質膜3100に比べ、面積が大きいから、気化にともなって局部的に熱が奪われることがなく、第2多孔質膜3200のガス流路側表面からガスの中に気化させることができる。
【0133】
したがって、第1多孔質膜3100として、孔径1ミクロン、多孔度83%、厚さ35ミクロンの親水性弗素系精密ろ過膜を使用する場合、第2多孔質膜3200と組み合わせることで、水を良好な水蒸気の状態に気化させることができる。このため、水素ガスの供給先である燃料電池のアノードの濡れすぎを防いで、燃料電池の出力が低下するのを防止することができる。
【0134】
なお、この第2多孔質膜3200は、その中心層のセパレータ3115側の全表面に設けられているが、これに換えて、各第1多孔質膜3100からガス流路3113pの下流側に向かって一定の範囲に限って設けられた構成としてもよい。この構成によっても、第2多孔質膜3200は第1多孔質膜3100に比べ、面積が大きいから、気化にともなって局部的に熱が奪われることがなく、第2多孔質膜3200のガス流路側表面からの気化を促進させることができる。
【0135】
第13実施例について次に説明する。図18は、第13実施例のガス加湿器の一部分の構造を示す説明図である。なお、図18の(イ)は、(ロ)のC−C線断面図である。図18の(ロ)は、(イ)のD−D線断面図である。
【0136】
図18に示すように、この第13実施例のガス加湿器4000は、第12実施例のガス加湿器3000と比較して、第2多孔質膜3200の構成が相違し、その他の構成については同一である(同一の部分には第12実施例と同じ番号を付けた)。即ち、第12実施例のガス加湿器3000では、第2多孔質膜3200の上にガス流路があるのに対して、この実施例のガス加湿器400では、ガス流路3113pそのものが第2多孔質膜4200になっている。
【0137】
なお、第2多孔質膜4200は、ガス流路3113pの全域に渡って充填されているではなく、各第1多孔質膜3100からガス流路3113pの下流側に向かって一定の範囲に限って充填されている。この第2多孔質膜4200は、ガス流路3113p側に設けられた多孔質膜3111よりもさらに多孔質なもので、前述した第12実施例の第2多孔質膜3200と比べてもさらに多孔質なものとなっている。具体的には、第2多孔質膜4200としては、孔径1.5ミリ、多孔度95%の発泡ニッケル板を使用する。
【0138】
こうして構成されたガス加湿器4000では、第1多孔質膜3100のガス流路側に析出した水(加湿水)は、ガスにより吹き飛ばされて、第2多孔質膜4200の中に付着する。第2多孔質膜4200は水が析出した地点を含めて、ガスの流れの下流側に設置されているので、水は第2多孔質膜4200全体に広がりながら、第2多孔質膜4200の中を不規則に流れる(乱流)ガスの中に気化していく。第2多孔質膜4200は第1多孔質膜3100に比べ、面積も大きいから、気化にともなって局部的に熱が奪われることがなく、第2多孔質膜4200の内部で、ガスの中に気化させることができる。
【0139】
したがって、この第13実施例のガス加湿器4000では、前記第12実施例と同様に、水を良好な水蒸気の状態に気化させることができ、水素ガスの供給先である燃料電池のアノードの濡れすぎを防いで、燃料電池の出力が低下するのを防止することができる。
【0140】
なお、前記第13実施例のガス加湿器4000において、図19に示すように、ガス流路3113pを形成するセパレータ3113の内部に加熱用の電気ヒータ4500を内蔵する構成としてもよい。図19において、(イ)は(ロ)のE−E線断面図であり、(ロ)は(イ)のF−F線断面図である。この構成により、水流路3115p側からガス流路3113p側に第1多孔質膜3100を通過してきた水の気化を、電気ヒータの発熱により助けることができる。このため、水をより一層良好な水蒸気の状態に気化させることができる。なお、この気化の促進の結果、第13実施例の構成に比べて、第2多孔質膜4200の体積を小さくすることができ、これにより加湿器をより一層小型化できるという副次的な効果を奏する。
【0141】
さらに、この電気ヒータ4500を用いた構成では、第2多孔質膜4200より下流側の水滴状態を検出し、その検出結果に応じて電気ヒータ4500のオン/オフを制御する構成としてもよい。この構成により、より一層的確な加湿を行なうことができる。
【0142】
以上本発明の実施例について説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【0143】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の燃料電池の加湿装置では、多孔質膜が親水性を有するものであることから、多孔質膜を透過してきた水を容易に気化して、水を水滴の状態でなく良好な水蒸気の状態で材料ガス中に含ませることができる。このため、材料ガスの供給先である燃料電池の電極が濡れ過ぎの状態となり、燃料電池の出力が低下するのを防止することができる。
【0144】
また、シリコーンにて孔径を狭めた構成とすれば、多孔質膜から透過する水の量を少なく調整することができることから、加湿量が多すぎてそのままでは使用できないような多孔質膜であっても使用できる。
【0145】
多孔質膜を屈曲させて立体的に配置した構成とすれば、少ない容積の加湿装置でより大きな加湿量を実現することができ、装置のコンパクト化を図ることができる。
【0146】
以上説明した本発明の燃料電池の加湿制御装置によれば、多孔質膜を透過する水量を燃料電池の運転状態に応じて理想的に定めることができる。このため、燃料電池へ供給する材料ガスの加湿を適正に行なうことができる。
【0147】
燃料電池の運転状態を、燃料電池の温度とした構成、燃料電池のインピーダンスとした構成、燃料電池から排出される材料ガスの流量とした構成、燃料電池の負荷電流とした構成によれば、これらのパラメータに応じて、燃料電池へ供給する材料ガスの加湿を適正に行なうことができる。
【0148】
請求項10記載の加湿制御装置によれば、燃料電池の停止時において、多孔質膜に接する水と材料ガスとの圧力差が大きな圧力差となり、多孔質膜を通過して、水の流路から材料ガスの流路に流れ込む水の量が増大される。この結果、燃料電池の内部に大量の水分が供給されて、この水分の気化熱により、燃料電池を冷却することができる。即ち、燃料電池の停止時において、この加湿制御装置を利用して、燃料電池を早急に冷却することができる。
【0149】
本発明の加湿装置の製造方法では、シリコーン接着剤の一部を多孔質膜表面及び内部に残留させることができる。このため、多孔質膜は、シリコーンにて孔径が狭められた孔を多数有するものとなり、この結果、多孔質膜から透過する水の量を少なく調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の燃料電池の加湿装置を適用した第1実施例としての燃料電池スタックの概略構成図である。
【図2】燃料電池のセルの構造図である。
【図3】水素ガス加湿器110の構造図である。
【図4】多孔質膜111における圧力差△Pと加湿量との相関を示すグラフである。
【図5】第2実施例の燃料電池の加湿器600の構造図である。
【図6】第3実施例の燃料電池の加湿器700の構造図である。
【図7】第4実施例の燃料電池の加湿器800の構造図である。
【図8】本発明の燃料電池の加湿制御装置を適用した第5実施例としての燃料電池システムの概略構成図である。
【図9】その燃料電池システムの電子制御ユニット1200により実行される圧力差制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図10】燃料電池の温度Tと必要水蒸気量Hとの相関を示すグラフである。
【図11】必要水蒸気量Hと設定差圧△Psetとの相関を示すグラフである。
【図12】第6実施例で用いたインピーダンスZと必要水蒸気量Hとの相関を示すグラフである。
【図13】第7実施例で用いたガス流量Mと必要水蒸気量Hとの相関を示すグラフである。
【図14】第8実施例で用いた負荷電流Iと必要水蒸気量Hとの相関を示すグラフである。
【図15】第10実施例としての燃料電池の加湿システムを示す概略構成図である。
【図16】第11実施例における電子制御ユニットで実行される停止制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図17】第12実施例のガス加湿器3000の一部分の構造を示す構造図である。
【図18】第13実施例のガス加湿器4000の一部分の構造を示す構造図である。
【図19】第13実施例の変形例の構造図である。
【符号の説明】
1…燃料電池スタック
10…セル
11…電解質膜
12…カソード
13…アノード
14…セパレータ
14p…酸素ガス流路
15…セパレータ
15p…水素ガス流路
20,30…冷却水流路
20…冷却水流路
40,50…集電板
60,70…絶縁板
100…発電ユニット
110…水素ガス加湿器
111…多孔質膜
113…セパレータ
113p…ガス流路
113p…水素ガス流路
115…セパレータ
115p…水流路
116,117…Oリング
118,119…シール部材
120…酸素含有ガス加湿器
121…多孔質膜
123,125…セパレータ
123p…酸素ガス流路
125p…水流路
200…加湿ユニット
300…エンドプレート
310…エンドプレート
312,314…ボルト
320…第3のエンドプレート
322,324…ボルト
400…ガス加湿器
500…ポンプ
500a…電動機
510…水通路
520…水通路
530…水通路
540…水素ガス通路
550…ブロワ
560…水素ガス通路
570…水素ガス通路
580…酸素ガス通路
590…ブロワ
592…酸素ガス通路
594…酸素ガス通路
600…加湿器
602…多孔質膜
604,606…セパレータ
608,610…シート
612〜615…シール部材
700…加湿器
702…多孔質膜
800…加湿器
802…多孔質膜
804…水流路
806…フィルム
808,810…セパレータ
808p,810p…流路
1100…制御系
1105…温度センサ
1110…第1の圧力センサ
1120…第2の圧力センサ
1200…電子制御ユニット
1210…CPU
1220…ROM
1230…RAM
1240…入力インターフェース
1250…出力インターフェース
2000…加湿システム
2010…水加圧ポンプ
2020…水加圧ポンプ
2100〜2300…加湿ユニット
3000…ガス加湿器
3020…プレート
3100…第1多孔質膜
3110…プレート
3113…セパレータ
3113p…ガス流路
3115…セパレータ
3115p…水流路
3200…第2多孔質膜
4000…ガス加湿器
4200…第2多孔質膜
4500…電気ヒータ
C1…循環路
C2…循環路
H…必要水蒸気量
I…負荷電流
M…ガス流量
Ph…水素ガス圧
Pw…水圧
T…温度
Z…インピーダンス
ΔP…圧力差

Claims (10)

  1. 燃料電池を備える燃料電池スタックと共に用いられて、前記燃料電池の電極に供給する材料ガスを加湿する加湿装置であって、
    水の流路と前記材料ガスの流路とに接し、該水と該材料ガスとの圧力差に応じて該水を透過する多孔質膜を備えるとともに、
    前記多孔質膜は親水性を有した、直径10 −8 mないし10 −7 mの孔を多数有するポリオレフィン系(C 2n )樹脂フィルムであり、
    さらに、
    前記燃料電池と別体に組付けられたことを特徴とする燃料電池の加湿装置。
  2. 燃料電池の電極に供給する材料ガスを加湿する加湿装置であって、
    水の流路と前記材料ガスの流路とに接し、該水と該材料ガスとの圧力差に応じて該水を透過する多孔質膜を備えるとともに、
    前記多孔質膜は、親水性を有し、かつ、シリコーンにて孔径が狭められた孔を多数有するものである燃料電池の加湿装置。
  3. 燃料電池の電極に供給する材料ガスを加湿する加湿装置であって、
    水の流路と前記材料ガスの流路とに接し、該水と該材料ガスとの圧力差に応じて該水を透過する多孔質膜を備えるとともに、
    前記多孔質膜は、親水性を有する多孔質のフィルムであり、該フィルムを屈曲させて立体的に配置された構成である燃料電池の加湿装置。
  4. 燃料電池の電極に供給する材料ガスの加湿量を制御する加湿制御装置であって、
    水の流路と前記材料ガスの流路とに接し、該水と該材料ガスとの圧力差に応じて該水を透過する多孔質膜と、
    前記水の流路の水圧を検出する水圧検出手段と、
    前記材料ガスの流路のガス圧を検出するガス圧検出手段と、
    前記燃料電池の運転状態を検出する運転状態検出手段と、
    該検出した燃料電池の運転状態から前記燃料電池が必要とする前記材料ガス中の必要水蒸気量を算出する必要水蒸気量算出手段と、
    該算出した必要水蒸気量から前記水と材料ガスとの理想的な圧力差を算出する理想圧力差算出手段と、
    前記水圧検出手段で検出した水圧と前記ガス圧検出手段で検出したガス圧とに基づいて、該水と材料ガスとの圧力差が前記理想的な圧力差となるように前記水圧または前記ガス圧の少なくともいずれか一方を制御する制御手段と
    を備えた燃料電池の加湿制御装置。
  5. 前記運転状態検出手段は、燃料電池の温度を検出する温度検出手段を備えたものである請求項記載の燃料電池の加湿制御装置。
  6. 前記運転状態検出手段は、燃料電池のインピーダンスを検出するインピーダンス検出手段を備えたものである請求項記載の燃料電池の加湿制御装置。
  7. 前記運転状態検出手段は、燃料電池から排出される前記材料ガスの流量を検出するガス流量検出手段を備えたものである請求項記載の燃料電池の加湿制御装置。
  8. 前記運転状態検出手段は、燃料電池の負荷電流を検出する電流検出手段を備えたものである請求項記載の燃料電池の加湿制御装置。
  9. 請求項記載の燃料電池の加湿制御装置であって、
    さらに、
    前記燃料電池の停止時を判定する停止時判定手段と、
    該停止時が判定されたとき、前記水と材料ガスとの圧力差を所定の圧力差以上の大きな圧力差となるように前記水圧または前記ガス圧の少なくともいずれか一方を制御する停止時制御手段と
    を備える燃料電池の加湿制御装置。
  10. 請求項記載の燃料電池の加湿装置を製造する方法であって、
    シリコーン接着剤を有機溶剤で希釈する工程と、
    該希釈されたシリコーン接着剤の溶液を前記多孔質膜を用いて加圧下でろ過する工程と、
    を備える加湿装置の製造方法。
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