JP4061856B2 - 運転操作装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車体に対し移動可能に支持されるとともに運転者により操作される操作レバー等の操作部材の操作量に応じて車両の運転制御量を変更する運転操作装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、特開平10−226352号公報に記載されているように、車輪の向きを変える舵取機構に機械的に連結されていない操舵手段と、前記操舵手段の操舵角を検出する操舵角検出手段と、検出された操舵角に応じて前記舵取機構の舵角を増減制御するとともに、前記操舵角に基いて前記操舵手段に与えるべき反力を求め、求めた反力を前記操舵手段に与えることを指示するための反力指示信号を出力する制御手段と、反力指示信号に応じて反力を増減する反力増減手段と、前記制御手段の故障を検出したときに前記反力を所定の固定値とする反力固定手段とを備えた車両用操舵装置が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の技術においては、反力増減手段を構成する電動モータや同電動モータに通電する電流を制御するための駆動回路が過熱した場合、或いは、舵取機構の舵角を増減制御するための電動モータや同電動モータに通電する電流を制御するための駆動回路が過熱した場合についての具体的対策がなされていないため、これらが過熱して寿命が短くなるという問題がある。
【0004】
【本発明の概要】
本発明の運転操作装置は、上記課題に対処するためになされたものであって、車体に対し移動可能に支持されるとともに運転者により操作される操作部材と、前記操作部材の操作量を検出する操作量検出手段と、前記検出された操作部材の操作量に応じて車両の運転制御量を変更する運転制御手段と、付与される電流の大きさ及び向きに応じて前記操作部材に入力される運転者の操作力に抗する力である反力を発生する反力発生手段と、前記反力発生手段に付与される電流を制御する駆動回路と、前記検出された操作部材の操作量に応じて前記反力発生手段に付与される電流の大きさ及び向きを決定するとともに同決定された大きさ及び向きの電流を同反力発生手段に付与するように前記駆動回路に指示を与える反力制御手段とを備えた運転操作装置において、前記反力発生手段の温度又は前記駆動回路の温度を検出又は推定する温度検出推定手段と、前記検出又は推定された温度に応じて前記反力発生手段に付与される前記電流の大きさを所定の電流制限値以下に制限する電流制限手段を備えている。
【0005】
これによれば、運転者により操作部材が操作されると同操作部材の操作角(回動角度)又は同操作部材に付与される運転者の操作力等の操作部材の操作量が検出され、検出された操作部材の操作量に応じた電流が制御力発生手段に流され、操舵角やスロットル開度(スロットルバルブ開度)等の車両の運転制御量が変更される。また、検出された操作部材の操作量に応じて反力発生手段に付与される電流の大きさ及び向きが決定され、同決定された大きさ及び向きの電流が駆動回路を介して反力発生手段に付与されることで、同操作部材の操作量に応じた反力が同操作部材に付与される。そして、前記反力発生手段の温度又は前記駆動回路の温度が検出又は推定され、同検出又は推定された温度に応じて前記反力発生手段に付与される前記電流の大きさが所定の電流制限値以下に制限され、同反力発生手段又は同駆動回路の発熱量が抑制される。従って、反力発生手段又は駆動回路が長時間過熱状態となることを回避することができる。
【0006】
更に、前記電流制限手段は、前記検出又は推定された温度に応じて前記所定の電流制限値を決定するように構成されている。
【0007】
これによれば、反力発生手段又は駆動回路の温度に応じて適切に電流を制限して発熱量を抑制することが可能となるので、反力が過小となることを回避しながら反力発生手段又は駆動回路の過熱を回避することが可能となる。
【0008】
更に、前記電流制限手段は、車速を検出する車速検出手段と、検出された車速に応じて前記所定の電流制限値を補正する制限値補正手段とを含んでいる。
【0009】
これによれば、車速に応じて電流制限値を変化させ得るので、例えば、車速が高いほど前記電流制限値を大きくすることにより、高速走行時に適切な反力を確保して高速安定性を十分に維持しながら、反力発生手段又は駆動回路の過熱防止を図ることができる。
【0010】
一方、前記電流制限手段は、前記検出又は推定された温度が第1所定温度より高くなったときから前記所定の電流制限値を徐々に減少させるように構成されてもよい。
【0011】
これによれば、反力発生手段に付与される電流が徐々に減少するので、反力の急変を回避しながら反力発生手段又は駆動回路の過熱が長時間継続することを回避することができる。
【0012】
この場合、前記電流制限手段は、前記検出又は推定された温度が前記第1所定温度より高くなった後は、同検出又は推定された温度が同第1所定温度よりも低い第2所定温度より低くなったときから前記所定の電流制限値を徐々に増大させるように構成されている。
【0013】
これによれば、前記検出又は推定された温度が前記第1所定温度より高くなった後、同検出又は推定された温度が同第1所定温度よりも低い第2所定温度より低くなってから前記所定の電流制限値を徐々に増大させるので、反力発生手段又は駆動回路の温度が頻繁に第1所定温度を超えることがなく、同反力発生手段又は同駆動回路の過熱状態の再発を効果的に防止することができるとともに、電流制限値の増加・減少が頻繁に繰り返されることがないので、安定した反力を得ることができる。
【0014】
更に、電流制限値を徐々に減少又は増大させる場合において、前記電流制御手段は、車速を検出する車速検出手段と、検出された車速に応じて前記所定の電流制限値が減少又は増大されるときの変化速度を変更する変化速度変更手段とを含むことが好適である。
【0015】
これによれば、電流制限値の変化速度を車速に応じて変化させ得るので、例えば、車速が大きいほど同電流制限値の減少速度及び増大速度を小さく設定することにより、高速走行時に適切な反力を確保して高速安定性を十分に維持しながら、反力発生手段又は駆動回路の過熱防止を図ることができる。
【0016】
本明細書に開示された運転操作装置の他の特徴は、車体に対し移動可能に支持されるとともに運転者により操作される操作部材と、前記操作部材の操作量を検出する操作量検出手段と、付与される電流の大きさ及び向きに応じて前記車両の制御量を変更するための力を発生する制御力発生手段と、前記制御力発生手段に付与される電流を制御する制御力用駆動回路と、前記検出された操作量に応じて前記制御力発生手段に付与される電流の大きさ及び向きを決定するとともに同決定された大きさ及び向きの電流を同制御力発生手段に付与するように前記制御力用駆動回路に指示を与える制御力制御手段と、付与される電流の大きさ及び向きに応じて前記操作部材に入力される運転者の操作力に抗する力である反力を発生する反力発生手段と、前記反力発生手段に付与される電流を制御する駆動回路と、前記検出された操作部材の操作量に応じて前記反力発生手段に付与される電流の大きさ及び向きを決定するとともに同決定された大きさ及び向きの電流を同反力発生手段に付与するように前記駆動回路に指示を与える反力制御手段とを備えた運転操作装置において、前記制御力発生手段又は前記制御力用駆動回路の温度を検出又は推定する制御力用温度検出推定手段と、前記検出又は推定された前記制御力発生手段又は前記制御力用駆動回路の温度に応じて、前記反力発生手段に付与される電流の大きさを補正する反力補正手段とを備えたことにある。
【0017】
これによれば、検出された操作部材の操作量に応じた電流が制御力発生手段に流され、車両の操舵角やスロットルバルブ開度等の車両の運転制御量が変更されるとともに、同操作量に応じた反力が同操作部材に付与される。このとき、車両の制御量を変更するための制御力を発生する前記制御力発生手段又は同制御力発生手段に付与される電流を制御する制御力用駆動回路の温度が検出又は推定され、同検出又は推定された温度に応じて前記反力発生手段に付与される電流の大きさが補正される。
【0018】
従って、前記制御力発生手段又は同制御力発生手段に付与される電流を制御する制御力用駆動回路の温度状態が操作部材に対する反力として運転者に伝達されるため、同運転者は、例えば同制御力発生手段又は同制御力用駆動回路の温度が高温になっていることを認識することができる。
【0019】
本明細書に開示された運転操作装置の他の特徴は、車体に対し移動可能に支持されるとともに運転者により操作される操作部材と、前記操作部材の操作量を検出する操作量検出手段と、付与される電流の大きさ及び向きに応じて前記車両の制御量を変更するための力を発生する制御力発生手段と、前記制御力発生手段に付与される電流を制御する制御力用駆動回路と、前記検出された操作量に応じて前記制御力発生手段に付与される電流の大きさ及び向きを決定するとともに同決定された大きさ及び向きの電流を同制御力発生手段に付与するように前記制御力用駆動回路に指示を与える制御力制御手段とを備えた運転操作装置において、前記制御力発生手段又は前記制御力用駆動回路の温度を検出又は推定する制御力用温度検出推定手段と、前記検出又は推定された前記制御力発生手段又は前記制御力用駆動回路の温度に応じて、前記制御力発生手段に付与される前記電流の大きさを所定の電流制限値以下に制限する電流制限手段を備えたことにある。
【0020】
これによれば、運転者により操作部材が操作されると同操作部材の操作角(回動角度)又は同操作部材に付与される運転者の操作力等の操作部材の操作量が検出され、検出された操作部材の操作量に応じた電流が制御力発生手段に流され、操舵角やスロットル開度等の車両の運転制御量が変更される。そして、前記制御力発生手段の温度又は前記制御力用駆動回路の温度が検出又は推定され、同検出又は推定された温度に応じて前記制御力発生手段に付与される電流の大きさが所定の電流制限値以下に制限され、同制御力発生手段又は同制御力用駆動回路の発熱量が抑制される。従って、制御力発生手段又は制御力用駆動回路が長時間過熱状態となることを回避することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明による車両の運転操作装置の一実施形態について説明する。この運転操作装置は、図1及び図2に示した操作部材としての操作レバー(ジョイスティック)10を備えている。操作レバー10は、車両の運転席近傍に設けられ、図1に矢印で示したように、運転者により全体を前後方向及び左右方向に傾動(回動)させられるようになっている。
【0022】
図2は、上記操作レバー10を含む操作レバー装置の概略斜視図を示している。上記操作レバー10は、円柱棒状のロッド10aと、同ロッド10aの上部外周に固定された円柱状の把持部10bとを備えている。ロッド10aは略中央部に球状部10cを備えていて、同球状部10cにて車体に対して左右及び前後方向に回動可能に支持されている。なお、ロッド10aの軸方向が鉛直上下方向に沿う場合、操作レバー10の回動位置はその回動方向中央位置である中立位置にあるものと定義される。
【0023】
また、ロッド10aには、同ロッド10aの車両左右方向の歪を同車両左右方向において操作レバー10に加えられる操作力FSとして検出する歪センサ(即ち、操作力センサ)10dと、同ロッド10aの車両前後方向の歪を同車両前後方向において同操作レバー10に加えられる操作力FZとして検出する歪センサ(即ち、操作力センサ)10eとが備えられている。上記操作力FS,FZは、操作レバー10の操作量(操作レバー10に加わる操作量)でもあり、従って、操作力センサ10d,10eは、操作部材の操作状態を示す操作量を検出する操作量検出手段の一部を構成している。
【0024】
操作レバー装置は、また、操作レバー10の車両左右方向の回動に対する反力(中立位置から車両左右方向に回動させようとする運転者の操作力に抗する力)を発生する左右方向反力発生機構(反力発生手段)20を備えている。この左右方向反力発生機構20は、ガイドプレート21、回転軸22、第1歯車23、第2歯車24、直流電動モータ(左右反力用モータ)25、及び操作部材の操作量検出手段としての操作角センサ(操作量センサ)26を備えている。
【0025】
ガイドプレート21は、L字状に屈曲されてなる板状部材であり、回転軸22が固定された面が鉛直面内に存在するように配置され、水平方向に存在するように配置される面に前記ロッド10aの直径より若干だけ大きい幅を有して車両前後方向に長手方向を有する溝21aが設けられていて、同溝内21a内をロッド10aが貫通するように構成されている。
【0026】
回転軸22は、その軸線が車両前後方向に沿うとともに、前記操作レバー10の球状部10cの中心を通るように車体に対して回転可能に支持されていて、中央部に第1歯車23を一体的に備えている。この第1歯車23は電動モータ25の回転軸に固定された第2歯車24に噛合している。
【0027】
以上の構成により、操作レバー10は車体に対して左右方向に(左右方向の面内で)回動可能に支持されるとともに、電動モータ25の回転により(電動モータ25の発生トルクにより)ガイドプレート21が回転軸22回りに回動し、これにより、操作レバー10に左右方向の反力が付与されるようになっている。
【0028】
操作角センサ(操作角検出手段)26は、回転軸22の端部位置において車体に固定されていて、同回転軸22の回転角を操作レバー10の左右方向の操作角θjとして検出するようになっている。この操作角センサ26の出力である操作角θjの値は、操作レバー10が左右方向の中立位置にあるときに「0」となるように調整されている。なお、操作角センサ26は、回転軸22の回転を直線運動に変換し、同変換後の直線変位量を検出するものであってもよく、回転軸22の回転とともに移動する左右方向反力発生機構20の他の部材の回転角変化を操作角θjとして検出するものであってもよい。
【0029】
更に、操作レバー装置は、操作レバー10の車両前後方向の回動に対する反力(中立位置から車両前後方向に回動させようとする運転者の操作力に抗する力)を発生する前後方向反力発生機構(反力発生手段)30を備えている。この前後方向反力発生機構30は、ガイドプレート31、回転軸32、第3歯車33、第4歯車34、直流電動モータ(前後反力用モータ)35、及び操作角センサ36を備えている。
【0030】
ガイドプレート31は、L字状に屈曲されてなる板状部材であり、回転軸32が固定された面が鉛直面内に存在するように配置され、水平方向に存在するように配置される面に前記ロッド10aの直径より若干だけ大きい幅を有して車両左右方向に長手方向を有する溝31aが設けられ、同溝内31a内をロッド10aが貫通するように構成されている。
【0031】
回転軸32は、その軸線が車両左右方向に沿うとともに、前記操作レバー10の球状部10cの中心を通るように車体に対して回転可能に支持されていて、中央部に第3歯車33を一体的に備えている。この第3歯車33は電動モータ35の回転軸に固定された第4歯車34に噛合している。
【0032】
以上の構成により、操作レバー10は車体に対して前後方向に(前後方向の面内で)回動可能に支持されるとともに、電動モータ35の回転により(電動モータ35の発生トルクにより)ガイドプレート31が回転軸32回りに回動し、これにより、操作レバー10に前後方向の反力が付与されるようになっている。
【0033】
また、操作角センサ(操作角検出手段)36は、回転軸32の端部位置において車体に固定されていて、同回転軸32の回転角を操作レバー10の前後方向の操作角θjyとして検出するようになっている。この操作角センサ36の出力である操作角θjyの値は、操作レバー10が前後方向の中立位置にあるときに「0」となるように調整されている。なお、操作角センサ36は、回転軸32の回転を直線運動に変換し、同変換後の直線変位量を検出するものであってもよく、回転軸32の回転とともに移動する前後方向反力発生機構30の他の部材の回転角変化を操作角θjyとして検出するものであってもよい。また、操作角θj,θjyは、操作レバー10の操作状態を示す操作量でもあり、従って、上記操作角センサ26,36は、操作部材の操作量を検出する操作量検出手段の一部を構成している。
【0034】
次に、本運転操作装置の電気制御装置について図3を参照しながら説明する。なお、図3は、説明を簡単にするため、左右方向の反力発生機構20の電動モータ25と操舵機構52を含む操舵角制御機構等を示すが、前後方向の反力発生機構30の電動モータ35、操作角センサ36、操作レバー10の前後方向の操作により変更される車両の内燃機関のスロットル開度及びブレーキアクチュエータ等の図示を省略している。
【0035】
この電気制御装置40は、マイクロコンピュータ41と、電動モータ25に所定の電流を流すための反力用駆動回路(スイッチング回路)42と、操舵用電動モータ51に所定の電流を流すための制御力用駆動回路(スイッチング回路)43とを備えている。
【0036】
マイクロコンピュータ41は、CPU41aと、入力インターフェース41bと、出力インターフェース41cと、EEPROM41d(Electrical Erasable PROM)とを含んでいて、CPU41aは、後述するプログラム及びマップ等を記憶したROM、及びCPU41aによるプログラムの実行時に一時的に演算値を記憶するRAMからなるメモリ41eを内蔵している。
【0037】
入力インターフェース41bは、バスを介してCPU41aに接続されるとともに、実際の操舵角(操舵角、タイヤ切れ角)Xを検出する操舵角センサ52a、駆動回路42の基板温度THEを検出する温度センサ42a、駆動回路43の基板温度TSEを検出する基板温度センサ43a、上記操作角センサ26、上記操作力センサ10d、及び車両状態量センサとしての車速Vを検出する車速センサ61と接続されていて、これらのセンサの検出値をCPU41aに供給するようになっている。
【0038】
入力インターフェース41bは、また、駆動回路42の抵抗42bの上流側と接続されていて、同抵抗42bの上流側電位を検出することで電動モータ25に流れる実際のモータ電流値(実モータ電流)HIをCPU41aに供給するとともに、駆動回路43の図示しない抵抗(抵抗42bと同様な抵抗)の上流側電位を検出することで電動モータ51に流れる実モータ電流SIをCPU41aに供給するようになっている。
【0039】
出力インターフェース41cは、バスを介してCPU41aに接続されるとともに、駆動回路42,43、及び常開(ノーマリー・オープン)型のリレー44に接続されていて、CPU41aからの指令に基づきこれらの状態を変更する信号を送出するようになっている。
【0040】
EEPROM41dは、車両バッテリ70からの電源の供給を受けない状態においてもデータを記憶・保持する記憶手段であり、バスを介してCPU41aと接続されていて、電源が供給されている状態にて同CPU41aから供給されるデータを格納するとともに、CPU41aの要求に応じて保持しているデータを同CPU41aに供給するようになっている。
【0041】
駆動回路42は、ゲートが出力インターフェース41cにそれぞれ接続されたMOSFETからなる4個のスイッチング素子Tr1〜Tr4と、抵抗42bとを備えている。スイッチング素子Tr1,Tr2の各ドレインは、車両に搭載されたバッテリ70の電源ラインLに上流側端子が接続されたリレー44の下流側端子に接続されていて、同スイッチング素子Tr1,Tr2のソースは、スイッチング素子Tr3,Tr4のドレインにそれぞれ接続され、同スイッチング素子Tr3,Tr4のソースは抵抗42bを介して接地されている。また、スイッチング素子Tr1とTr3との間は電動モータ25の一側に接続され、スイッチング素子Tr2とTr4との間は電動モータ25の他側に接続されている。
【0042】
以上の構成により、駆動回路42(即ち、電動モータ25)はリレー44がオン(閉成)したときにバッテリ70から電源の供給を受け得る状態となり、スイッチング素子Tr1,Tr4が選択的に導通状態(オン状態)とされたとき、電動モータ25に所定の方向の電流が流れて同電動モータ25は一方向に回転し、スイッチング素子Tr2,Tr3が選択的に導通状態とされたとき、電動モータ25に前記所定の方向と反対方向の電流が流れて同電動モータ25は他方向に回転する。また、リレー44がオフ(開成)したときには電動モータ25の電源供給経路が遮断され、同電動モータ25への通電は停止する。
【0043】
駆動回路43は、上記駆動回路42と同様の構成を有していて、出力インターフェース41cを介して与えられるCPU41aの指示に応じて操舵用モータ51に所定の電流を流すようになっている。これにより、操舵用モータ51が回転トルクを発生すると操舵機構52が作動し、所定の操舵角X(操舵角、タイヤ切れ角)が達成されるようになっている。なお、操舵機構52はラックバーを軸線方向に駆動し、同ラックバーにタイロッドを介して連結されている前輪を操舵するようになっている。
【0044】
前記バッテリ70の電源ラインLには、運転者によりオン(閉成)状態又はオフ(開成)状態に切換えられるイグニッションスイッチ45の一端が接続されている。イグニッションスイッチ45の他端はダイオードD1を介してCPU41a、入力インターフェース41b、出力インターフェース41c、及びEEPROM41dに接続されていて、イグニッションスイッチ45がオン状態とされたとき、それぞれに電源が供給されるようになっている。また、ダイオードD1の下流は、リレー44の下流側から前記ダイオードD1の下流側へ向う電流のみを許容するダイオードD2を介して前記リレー44の下流側端子と接続されていて、リレー44がオン状態とされたときは、イグニッションスイッチ45の状態にかかわらず、CPU41a、入力インターフェース41b、出力インターフェース41c、及びEEPROM41dに電源が供給されるようになっている。
【0045】
なお、図3においては省略されているが、実際には入力インターフェース41bに操作角センサ36及び操作力センサ10eが接続されるとともに、出力インターフェース41cには警告灯、電動モータ35に電流を付与するための駆動回路、及び他のアクチュエータが接続されている。
【0046】
次に、上記のように構成した運転操作装置の作動について、図4を参照して説明する。図4は、図3に示したCPU41aがプログラムを実行することにより達成する機能をブロック図で示したものであり、理解を容易にするために、各センサ、反力発生用の電動モータ25、操作レバー10を含む操作機構、駆動回路42,43、操舵用の電動モータ51、及び操舵機構52を併せて図示している。以下、各ブロック毎の機能について個別に説明し、その後、全体の作動の概略について説明する。
【0047】
(温度検出部B1、B2、B3、B4)
温度検出部B1は、駆動回路43のスイッチング素子の温度TMPSEを検出及び推定する温度検出推定手段(制御力用温度検出推定手段)を構成するものであって、基板温度センサ43aの検出する温度TSEを入力するとともに、駆動回路43から電動モータ51に流れる電流SIを入力し、図5に示した温度検出ルーチンを所定時間の経過毎に繰り返すことにより、駆動回路43のスイッチング素子温度TMPSEを検出・推定する。
【0048】
ここで、図5に示したルーチンについて説明すると、CPU41aはステップ500から処理を開始し、ステップ505に進んで同ステップ505に示した擬似積分を行って電流積分値INAを求める。次いで、CPU41aはステップ510に進んで、同ステップ510に示した擬似積分を行って電流積分値INBを求め、ステップ515に進んで、同ステップ515中に示した擬似積分を行って電流積分値INCを求める。なお、ステップ505〜515に示した数式において、Iは上記電動モータ51に流れる電流SIを示し、α1〜α3は互いに異なる0〜1までの所定の定数である。そして、CPU41aはステップ520に進み、同ステップ520中に示した式に従って基板温度TMP(実際には、基板温度TMPSE)を求め、ステップ595に進んで本ルーチンを一旦終了する。なお、ステップ520中の値Tは上記基板温度センサ43aの検出する温度TSEを表し、値kは電流積分値を二乗した値(INA2等)を電流値に換算するための係数である。
【0049】
このように、CPU41aは、基板温度センサ43aの検出する温度TSEと、電動モータ51に流れる電流SIを異なる定数α1〜α3を用いて擬似積分した値の二乗値とに基いて、駆動回路43のスイッチング素子温度TMPSEを検出・推定するので、基板温度センサ43aの検出する温度TSEと同スイッチング素子の温度の上昇傾向の差を補って同スイッチング素子の温度を正確に推定することができる。
【0050】
温度検出部B2は、電動モータ51の温度TMPSMを検出及び推定する温度検出推定手段(制御力用温度検出推定手段)を構成するものであって、駆動回路43から同電動モータ51に流れる電流SIを入力し、図5に示したルーチンと類似した温度検出ルーチン(図示省略)を所定時間の経過毎に繰り返すことにより、同電動モータ51の温度TMPSMを検出・推定する。具体的に述べると、CPU41aは図5に示したルーチンのステップ500〜515と同様のステップを実行する。この場合、Iは電動モータ51に流れる電流SIである。そして、CPU41aは、値k・(INA2+INB2+INC2)を計算し、この値を電動モータ51の温度TMPSMとして推定する。なお、この場合の定数α1〜α3及び係数kは、温度検出部B1が使用するそれらとは異なる値を有している。これによれば、電動モータ51に温度センサを設けることなく、同電動モータ51の温度を精度良く推定でき、装置の製造コストを低下することができる。
【0051】
温度検出部B3は、電動モータ25の温度TMPHMを検出及び推定する温度検出推定手段を構成するものであって、駆動回路42から同電動モータ25に流れる電流HIを入力し、図5に示したルーチンと類似した温度検出ルーチン(図示省略)を所定時間の経過毎に繰り返すことにより、同電動モータ25の温度TMPHMを検出・推定する。具体的に述べると、CPU41aは図5に示したルーチンのステップ500〜515と同様のステップを実行する。この場合、Iは電動モータ25に流れる電流HIである。そして、CPU41aは、値k・(INA2+INB2+INC2)を計算し、この値を電動モータ25の温度TMPHMとして推定する。なお、この場合の定数α1〜α3及び係数kは、温度検出部B1,B2が使用するそれらとは異なる値を有している。これによれば、電動モータ25に温度センサを設けることなく、同電動モータ25の温度を精度良く推定でき、装置の製造コストを低下することができる。
【0052】
温度検出部B4は、駆動回路42のスイッチング素子Tr1〜Tr4の温度TMPHEを検出及び推定する温度検出推定手段を構成するものであって、基板温度センサ42aの検出する温度THEを入力するとともに、駆動回路42から電動モータ25に流れる電流HIを入力し、図5に示したルーチンと類似した温度検出ルーチン(図示省略)を所定時間の経過毎に繰り返すことにより、同スイッチング素子Tr1〜Tr4の温度TMPHEを検出・推定する。具体的に述べると、CPU41aは図5に示したルーチンのステップ500〜515と同様のステップを実行する。この場合、Iは電動モータ25に流れる電流HIである。そして、CPU41aは、ステップ520に示した式と同様な式に従ってスイッチング素子温度TMPHEを推定する。なお、この場合の定数α1〜α3及び係数kは、温度検出部B1,B2,B3が使用するそれらとは異なり、またステップ520での温度TMPは温度TMPHMを、値Tは温度THEを表している。これによれば、電動モータ25に流れる電流(即ち、スイッチング素子Tr1〜Tr4を流れる電流)HIを用いて温度TMPHEを推定するので、基板温度センサ42aの検出する温度THEと同スイッチング素子Tr1〜Tr4の実際の温度の上昇傾向の差を補うことができ、同スイッチング素子Tr1〜Tr4の温度TMPHEを正確に推定することができる。
【0053】
(操舵角演算部B5)
操舵角演算部B5は、操作レバー10の操作状態(操作角θj、操作力FS等)に従って車輪の目標操舵角を決定し、これに応じた指示電流I*(電動モータ51に流すべき電流)を決定し、同決定した指示電流I*を電流制御部B10に出力する機能を有している。具体的に述べると、操舵角演算部B5は、実際の操舵角を検出する操舵角センサ52aの出力を操舵角検出部B6を介して操舵角Xとして入力し、車速センサ61の検出する車速を車速検出部B7を介して車速SPDとして入力する。また、操舵角演算部B5は、操作角センサ26の検出する操作角を操作角検出部B8を介して操作角θjとして入力するとともに、操作力センサ10dの検出する操作力を操作力検出部B9を介して操作力FSとして入力し、これらの入力値に基いて前記指示電流I*を決定して出力する。
【0054】
より具体的には、CPU41aは図6に示した目標操舵角演算ルーチンを所定時間の経過毎に実行することにより、操舵角演算部B5の機能を達成する。即ち、CPU41aは、所定のタイミングとなるとステップ600から処理を開始してステップ605に進み、同ステップ605にて操作角θjと同ステップ605内に示した目標基本舵角マップとに基いて目標基本舵角X1を決定する。そして、CPU41aはステップ610に進み、同ステップ610にて実際の操舵角Xと前記目標基本舵角X1との差(X−X1)と、同ステップ610内に示した電流I1マップとから電流I1を決定する。
【0055】
次に、CPU41aはステップ615に進み、操作力FSと同ステップ615内に示した補正舵角マップとに基いて補正舵角X2を決定し、ステップ620に進んで実際の操舵角Xと前記補正舵角X2との差(X−X2)と、同ステップ620内に示した電流I2マップとから電流I2を決定する。次いで、CPU41aはステップ625に進み、同ステップ625にて車速SPDと同ステップ625内に示したゲインマップとからゲインKVを決定する。ゲインKVは、0〜1までの値である。次に、CPU41aは、ステップ630に進み、同ステップ630内に示した数式(I*=KV・I1+(1−KV)・I2)に従って指示電流I*を求め、求めた指示電流I*を電流制御部B10に出力する。以上により、指示電流I*(即ち、目標とする操舵角)は、操作角θj、操作力FS、及び車速SPDの関数として決定される。なお、上記電流I1と上記電流I2との和(I1+I2)に上記ゲインKVを乗じた値を指示電流I*としてもよい。
【0056】
(電流制御部B10)
電流制御部B10は、PWM機能を含むとともに、前記操舵角演算部B5に加えて後述する電流制限値演算部B11,B12と接続されている。電流制御部B10は、前記指示電流I*を電流制限値演算部B11,B12から与えられる電流制限値ImaxSE、ImaxSMのうちの小さい制限値以下に制限することで最終的な指示電流I*を得るとともに、同制限を行った指示電流I*に応じて駆動回路43のスイッチング素子をオン・オフ駆動するタイミングを決定し、同タイミングに応じて同駆動回路43のスイッチング素子を制御する。
【0057】
これにより、前記指示電流I*に応じた電流が電動モータ51に流れ、同電動モータ51によって操舵機構52が作動されて車輪の操舵(操舵)が行われる。このように、操舵角演算部B5と電流制御部B10は、検出された操作量(操作角θj,操作力FS)に応じて車両の制御力発生手段(電動モータ51)に付与される電流の大きさ及び向きを決定するとともに同決定された大きさ及び向きの電流を同制御力発生手段に付与するように制御力用駆動回路43に指示を与える制御力制御手段を構成している。
【0058】
(電流制限値演算部B11,B12)
電流制限値演算部B11は、駆動回路43のスイッチング素子の過熱を防止するためのものであって、温度検出部B1から入力される駆動回路43のスイッチング素子の温度TMPSEに応じて前記電流制御部B10に入力される電流制限値ImaxSEを決定する機能を有している。
【0059】
より具体的には、CPU41aは図7に示した電流制限値演算ルーチンを所定時間の経過毎に実行することにより、電流制限値演算部B11の機能を達成する。即ち、CPU41aは、所定のタイミングとなるとステップ700から処理を開始してステップ705に進み、同ステップ705にて温度検出部B1の求めた駆動回路43のスイッチング素子温度TMP(ここでは、TMPSE)と、同ステップ705に示した電流制限値マップとに基いて電流制限値ImaxN(この場合は、スイッチング素子過熱防止用電流制限値ImaxSE)を決定し、ステップ795に進んで本ルーチンを一旦終了する。ステップ705内に示したように、電流制限値ImaxSEは、スイッチング素子温度TMPSEが大きいほど小さくなるように定められ、これにより同スイッチング素子に流れる電流(電動モータ51に流れる電流)が制限されて同素子の発熱が抑制され、同素子の過熱が防止される。
【0060】
電流制限値演算部B12は、電動モータ51の過熱を防止するためのものであって、温度検出部B2から入力される同電動モータ51の温度TMPSMに応じて前記電流制御部B10に入力される電流制限値ImaxSMを決定する機能を有している。
【0061】
より具体的には、CPU41aは図7に示した電流制限値演算ルーチンを所定時間の経過毎に実行する。この場合、ステップ705における温度TMPは電動モータ51の温度TMPSMであり、電流制限値ImaxNは電動モータ過熱防止用電流制限値ImaxSMである。ステップ705内に示したように、電流制限値ImaxSMは、電動モータ51の温度TMPSMが大きいほど小さくなるように定められ、これにより電動モータ51に流れる電流が制限されて同電動モータ51の発熱が抑制され、同電動モータ51の過熱が防止される。
【0062】
(反力演算部B13)
反力演算部B13は、車速検出部B7から車速SPDを入力するとともに、操作力検出部B9から操作力FSを入力し、これらの入力値に基いて最終目標反力FRMを決定し、同最終目標反力FRMに応じた反力が発生するように電動モータ25に流すべき指示電流IH*を決定し、同指示電流IH*を電流制御部B14に出力する機能を有している。また、反力演算部B13は、温度検出部B1,B2からスイッチング素子温度TMPSE,電動モータ51の温度TMPSMをそれぞれ入力するとともに、電流制限値演算部B11,B12から電流制限値ImaxSE,ImaxSMをそれぞれ入力し、これらの入力値に応じて最終目標反力FRMを適宜補正する。
【0063】
より具体的には、CPU41aは図8に示した反力演算ルーチンを所定時間の経過毎に実行することにより、反力演算部B13の機能を達成する。即ち、CPU41aは、所定のタイミングとなるとステップ800から処理を開始してステップ805に進み、同ステップ805にて操作角θjと、同ステップ805に示した基本反力FRKマップとに基いて基本反力FRKを決定する。この例では、基本反力FRKの絶対値は操作角θjの絶対値が大きいほど大きくなるように決定される。
【0064】
次いで、CPU41aはステップ810に進み、同ステップ810にて車速SPDと同ステップ810内に示したゲインマップとからゲインKRを決定する。ゲインKRは、車速SPDが大きいほど大きい値となるように決定され、これにより車速SPDが大きいほど反力が大きくなる。次に、CPU41aはステップ815に進み、同ステップ815にて操舵機構部報知用ゲインKWを決定する。この操舵機構部報知用(過熱報知用)ゲインKWは、電動モータ51の温度又は駆動回路43のスイッチング素子の温度が上昇していることを運転者に報知するため、電動モータ51の温度又は駆動回路43のスイッチング素子の温度が高いほど反力を大きくするように決定される。
【0065】
より具体的に述べると、CPU41aは電動モータ51の温度TMPSMと同ステップ815内に示されたKW1マップとから第1ゲインKW1を決定するとともに、駆動回路43のスイッチング素子の温度TMPSEと同ステップ815内に示されたKW2マップとから第2ゲインKW2を決定し、第1ゲインKW1と第2ゲインKW2のうち大きい方を操舵機構部報知用ゲインKWとして決定する。なお、KW1マップ及びKW2マップによれば、第1,第2ゲインKW1,KW2とも、温度TMPSM,温度TMPSEがそれぞれ大きいほど大きくなるとともに、何れも「1」より大きくなるように決定される。このように、ステップ815は、制御力発生手段(電動モータ51)又は制御力用駆動回路(駆動回路43)の温度に応じて、電動モータ25を含む反力発生手段に付与される電流の大きさを補正する反力補正手段の機能を達成している。
【0066】
次いで、CPU41aはステップ820に進み、同ステップ820にて反力発生機構部(反力機構部)20の過熱防止用ゲインKPを決定する。この反力機構部過熱防止用ゲインKPは、電動モータ25又は駆動回路42のスイッチング素子Tr1〜Tr4の過熱を防止するために、これらに流れる電流を抑制する係数であって、同電動モータ25の温度TMPHM、又は同スイッチング素子Tr1〜Tr4の温度TMPHEが高いほど反力を小さくするように決定される。
【0067】
より具体的に述べると、CPU41aは電動モータ25の温度TMPHMと同ステップ820内に示されたKP1マップとから第3ゲインKP1を決定するとともに、駆動回路42のスイッチング素子Tr1〜Tr4の温度TMPHEと同ステップ820内に示されたKP2マップとから第4ゲインKP2を決定し、第3ゲインKP1と第4ゲインKP2のうち小さい方を反力機構部過熱防止用ゲインKPとして決定する。なお、KP1マップ及びKP2マップによれば、第3,第4ゲインKP1,KP2は温度TMPHM,TMPHEがそれぞれ大きいほど小さくなるとともに、何れも「1」より小さくなるように決定される。
【0068】
次に、CPU41aはステップ825に進んで、同ステップ825にて最終目標反力FRMを同ステップ825内に示した式(FRM=FRK・KR・KW・KP)に従って決定し、続くステップ830にて最終目標反力FRMを得るための指示電流IH*を求め、求めた指示電流IH*を電流制御部B14に出力する。
【0069】
(電流制御部B14)
電流制御部B14は、PWM機能を含んでいて、前記反力演算部B13に加え、後述する電流制限値演算部B15,B16と接続されている。そして、電流制御部B14は、前記指示電流IH*を電流制限値演算部B15,B16から与えられる電流制限値ImaxHE、ImaxHMのうちの小さい制限値以下に制限した指示電流IH*を得るとともに、同制限を行った指示電流IH*に応じて駆動回路42のスイッチング素子Tr1〜Tr4をオン・オフ駆動するタイミングを決定し、同タイミングに応じて同スイッチング素子Tr1〜Tr4を制御する。これにより、前記指示電流IH*に応じた電流が電動モータ25に流れ、同電動モータ25によって反力発生機構20が作動されて操作レバー10に反力が付与される。
【0070】
(電流制限値演算部B15,B16)
電流制限値演算部B15は、電動モータ25の過熱を防止するためのものであって、温度検出部B3から入力される同電動モータ25の温度TMPHMに応じて前記電流制御部B14に入力される電流制限値ImaxHMを決定する機能を有している。
【0071】
より具体的には、CPU41aは図7に示した電流制限値演算ルーチンを所定時間の経過毎に実行する。この場合、ステップ705における温度TMPは電動モータ25の温度TMPHMであり、電流制限値ImaxNは電動モータ過熱防止用電流制限値ImaxHMである。これにより電動モータ25に流れる電流が制限されて同電動モータ25の発熱が抑制され、同電動モータ25の過熱が防止される。
【0072】
電流制限値演算部B16は、スイッチング素子Tr1〜Tr4の過熱を防止するためのものであって、温度検出部B4から入力される同スイッチング素子Tr1〜Tr4の温度TMPHEに応じて前記電流制御部B14に入力される電流制限値ImaxHEを決定する機能を有している。
【0073】
より具体的には、CPU41aは図7に示した電流制限値演算ルーチンを所定時間の経過毎に実行する。この場合、ステップ705における温度TMPはスイッチング素子Tr1〜Tr4の温度TMPHEであり、電流制限値ImaxNはスイッチング素子Tr1〜Tr4の保護用電流制限値ImaxHEである。これによりスイッチング素子Tr1〜Tr4(即ち、電動モータ25)に流れる電流が制限されて同スイッチング素子Tr1〜Tr4の発熱が抑制され、同スイッチング素子Tr1〜Tr4の過熱が防止される。
【0074】
(全体の作動)
以上、説明した各ブロックの機能が達成されて、本実施形態の運転操作装置は電動モータ25,51、及び駆動回路42,43(のスイッチング素子)の過熱を防ぎながら、少なくとも操作レバー10の操作角θjに応じた操舵角制御を行うとともに、同操作レバー10に適切な反力を与える。また、電動モータ51又は駆動回路43(のスイッチング素子)の温度が上昇したときには、操作レバー10に付与される反力が大きくされるので、運転者はそのような状態が生じていることを反力の変化から認識することができ、例えば、車両を停車させる等の適切な対応をとることができる。
【0075】
なお、電流制限値演算部B15,B16と、上記反力演算部B13について実施される図8のステップ820は、何れもが電動モータ25と駆動回路42のスイッチング素子Tr1〜Tr4の過熱防止のために設けられているから、電流制限値演算部B15,B16又はステップ820の何れか一方を省略してもよい。
【0076】
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
【0077】
(電流制限値演算部B15,B16の第1変形例)
図9は、CPU41aが実行することにより、上記電流制限値演算部B15,B16の第1変形例の機能を達成する電流制限値演算ルーチンを示している。以下、このルーチンについて電流制限値演算部B15を代表例として説明する。
【0078】
CPU41aは図9に示したルーチンを所定時間の経過毎に実行している。従って、所定のタイミングになるとステップ900から処理を開始し、ステップ905に進んで温度検出部B3の求めた電動モータの温度TMP(ここでは、TMPHM)と、同ステップ905に示した電流制限値マップとに基いて電流制限基本値Imax0N(この場合は、Imax0HM)を決定する。次いで、CPU41aはステップ910に進んで、同ステップ910にて車速SPDと同ステップ910内に示したゲインマップとに基いてゲインKLを決定する。ゲインKLは、常に「1」より小さい値であるが、車速SPDの増大とともに増加するような値となるように決定される。その後、CPU41aはステップ915に進み、同ステップ915内に示した式(ImaxN=KL・Imax0N)に従って電流制限値ImaxN(この場合は、ImaxHM)を求め、ステップ995に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0079】
これによれば、電流制限値ImaxHMは、電動モータ25の温度TMPHMが大きいほど小さくなるように定められるので、同温度TMPHMが大きくなると同電動モータ25に流れる電流が減少され、同電動モータ25の過熱が防止される。また、ゲインKLにより電流制限値ImaxHMは車速SPDが大きいほど大きくなるので、車速SPDが大きい高速走行時には電動モータ25に流れる電流が過小とならず、比較的大きな反力が操作レバー10に付与される。この結果、車両の走行安定性が容易に維持される。
【0080】
なお、電流制限値演算部B16の第1変形例は、CPU41aが図9に示したルーチンと同様なルーチンを実行することにより達成される。この場合、同図9のルーチンにおける温度TMPは駆動回路42のスイッチング素子Tr1〜Tr4の温度TMPHEであり、電流制限値Imax0Nは電流制限値Imax0HEであり、電流制限値ImaxNは電流制限値ImaxHEである。
【0081】
これにより、電流制限値ImaxHEは、駆動回路42のスイッチング素子Tr1〜Tr4の温度TMPHEが大きいほど小さくなるように定められるので、同温度TMPHEが大きくなると同スイッチング素子Tr1〜Tr4(即ち、電動モータ25)に流れる電流が減少され、同スイッチング素子Tr1〜Tr4の過熱が防止される。また、ゲインKLにより電流制限値ImaxHEは車速SPDが大きいほ大きくなるので、車速SPDが大きい高速走行時にはスイッチング素子Tr1〜Tr4(即ち、電動モータ25)に流れる電流が過小とならず、比較的大きな反力が操作レバー10に付与される。この結果、車両の走行安定性が容易に維持される。
【0082】
(電流制限値演算部B15,B16の第2変形例)
図10は、CPU41aが実行することにより、上記電流制限値演算部B15,B16の第2変形例の機能を達成する電流制限値演算ルーチンを示している。以下、このルーチンについて電流制限値演算部B15を代表例として説明する。
【0083】
CPU41aは同ルーチンを所定時間の経過毎に実行している。従って、所定のタイミングになるとステップ1000から処理を開始し、ステップ1005に進んで温度検出部B3の求めた電動モータ25の温度TMP(ここでは、TMPHM)が所定の閾値温度TMP0(第1所定温度)より大きいか否かを判定する。この閾値温度TMP0は、電動モータ25に流れる電流を制限することにより同電動モータ25の発熱量を低下させるべき温度に設定されている。
【0084】
いま、車両を長時間停車した後に同車両の運転を開始したとすると、図示しないイニシャルルーチンが実行されて、電流制限値ImaxNの値は最大側ガード値TGUH(正常時に電動モータ25に通電される最大電流値以上の値)に設定される。また、電動モータ25の温度TMPHMは通常の温度である。従って、電動モータ25の温度TMPHMは閾値温度TMP0より小さいので、CPU41aはステップ1005にて「No」と判定してステップ1010に進み、同ステップ1010にてフラグF1の値が「1」であるか否かを判定する。このフラグF1の値は、電動モータ25の温度TMPHMが前記閾値温度TMP0を超えたときに1にセットされ、同温度TMPHMが前記閾値温度TMP0より低い閾値温度TMP1(第2所定温度)より小さくなったとき「0」にリセットされる。従って、現段階ではフラグF1の値は「0」であるから、CPU41aはステップ1010にて「No」と判定してステップ1015に進む。
【0085】
CPU41aは、ステップ1015にて電流制限値ImaxN(ここでは、ImaxHM)を微小量Δiuだけ増加し、続くステップ1020にてImaxNが同ImaxNの最大側ガード値IGUHより大きくなったか否かを判定する。現段階においては、電流制限値ImaxNの値は最大側ガード値IGUHより微小量Δiuだけ大きくなっている。従って、CPU41aはステップ1020にて「Yes」と判定してステップ1025に進み、同ステップ1025にてImaxNの値を最大側ガード値IGUHに設定し、ステップ1095に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0086】
このような処理は、電動モータ25の温度TMPHMが閾値温度TMP0を超えない限り繰り返されるので、電流制限値ImaxNは最大側ガード値IGUHに固定される。従って、電動モータ25に流れる電流は、電流制限値ImaxNによっては実質的に制限されない。
【0087】
その後、運転が継続されて電動モータ25の温度TMPHMが閾値温度TMP0より大きくなったとすると、CPU41aは所定のタイミングにてステップ1005に進んだとき、同ステップ1005にて「Yes」と判定してステップ1030に進み、同ステップ1030にてフラグF1の値を「1」に設定する。
【0088】
次いで、CPU41aはステップ1035に進み、同ステップ1035にて電流制限値ImaxNの値を所定の微小量Δidだけ減少し、続くステップ1040にて同電流制限値ImaxNの値が最小側ガード値IGUL(IGUL<IGUH)より小さくなったか否かを判定する。現段階では、電流制限値ImaxNは、最大側ガード値IGUHから微小量Δidだけ減少されたのみであるから、最小側ガード値IGULよりも大きい。従って、CPU41aはステップ1040にて「No」と判定してステップ1095に進み、同ステップ1095にて本ルーチンを一旦終了する。
【0089】
このような処理は、電動モータ25の温度TMPMHが閾値温度TMP0を超えている限り繰り返される。従って、ステップ1035の処理により電流制限値ImaxNの値は所定時間毎に微小量Δidだけ減少される。この結果、電動モータ25に流れる電流も時間経過に応じて徐々に減少変化する。そして、電流制限値ImaxNの値が最小側ガード値IGULより小さくなると、CPU41aはステップ1040にて「Yes」と判定してステップ1045に進み、同ステップ1045にて電流制限値ImaxNの値を最小側ガード値IGULとする。
【0090】
以降においては、電動モータ25の温度TMPMHが閾値温度TMP0を超えている限り、CPU41aはステップ1005,1030,1035,1040,1045,1095と進むので、電流制限値ImaxNの値は最小側ガード値IGULに固定され、電動モータ25に流れる電流は同最小側ガード値IGULに応じた値となる。
【0091】
このように電動モータ25に流れる電流が制限された結果、同電動モータ25の温度TMPHMが下降して閾値TMP0より小さくなると、CPU41aはステップ1005に進んだとき、同ステップ1005にて「No」と判定してステップ1010に進む。この場合、フラグF1の値は先のステップ1030にて「1」に設定されているから、CPU41aはステップ1010にて「Yes」と判定してステップ1050に進み、同ステップ1050にて電動モータ25の温度TMPHMが閾値TMP1より低下したか否かを判定する。現段階では、電動モータ25の温度TMPHMは閾値TMP1を下回るまでは低下してないので、CPU41aはステップ1050にて「No」と判定し、ステップ1035以降に進む。この結果、電流制限値ImaxNの値は最小側ガード値IGULと一致するか、最小側ガード値IGULより大きい範囲では所定時間に微小量Δidだけ減少する。このような処理は、電動モータ25の温度TMPHMが閾値TMP1より小さくなるまで繰り返される。
【0092】
更に時間が経過すると、電動モータ25の温度TMPHMは閾値TMP1より小さくなる。従って、CPU41aはステップ1050に進んだとき、同ステップ1050にて「Yes」と判定してステップ1055に進み、同ステップ1055にてフラグF1の値を「0」にリセットする。
【0093】
次いで、CPU41aはステップ1015に進んで電流制限値ImaxNの値を微小量Δiuだけ増大し、ステップ1020及びステップ1025にて同電流制限値ImaxNの値を最大側ガード値IGUHにガードする。このような処理は、電動モータ25の温度TMPHMが再び閾値温度TMP1を上回るまで繰り返される。従って、電流制限値ImaxNは最大側ガード値IGUHより小さい範囲において所定時間に微小量Δiuだけ増大され、これにより電動モータ25に流れる電流が徐々に増大されて行く。
【0094】
以上、説明したように、電流制限値演算部B15の第2変形例によれば、電動モータ25の温度TMPMHが閾値温度TMP0を超えると、その時点からの経過時間に応じて電流制限値ImaxNが徐々に減少され、同電動モータ25に流れる電流も漸減する。また、電動モータ25の温度TMPMHが閾値温度TMP0より小さい閾値温度TMP1を下回ると、その時点からの経過時間に応じて電流制限値ImaxNが徐々に増大され、同電動モータ25に流れる電流が徐々に増大する。従って、電動モータ25の過熱を防止できるとともに、反力が急激に変更することがないので、車両の安定した走行を確保することができる。また、閾値TMP1は閾値TMP0より小さいので、電動モータ25の過熱を確実に防止するとともに、反力の減少・増大を繰り返して操舵フィーリングが悪化することを回避することができる。
【0095】
なお、電流制限値演算部B16の第2変形例は、CPU41aが図10に示したルーチンを実行することにより達成される。この場合、同図10のルーチンにおける温度TMPは駆動回路42のスイッチング素子Tr1〜Tr4の温度TMPHEであり、電流制限値Imax0Nは電流制限値Imax0HEであり、電流制限値ImaxNは電流制限値ImaxHEである。
【0096】
(電流制限値演算部B15,B16の第3変形例)
図11は、CPU41aが所定時間の経過毎に実行することにより、上記電流制限値演算部B15,B16の第3変形例の機能を達成する電流制限値演算ルーチンを示している。この図11に示したルーチンは、図10に示したルーチンのステップ1035,1050,1015を、それぞれステップ1135,1150,1115に置換したルーチンである。従って、以下においては、この相違点について電流制限値演算部B15を例にとって説明し、他のステップについては図10と同一の符号を付して説明を省略する。
【0097】
ステップ1135は、電流制限値ImaxNを減少させるためのステップである。ステップ1035では電流制限値ImaxNが所定の微小電流Δidだけ減少されていたのに対し、ステップ1135では同電流制限値ImaxNが車速SPDに応じて変化する量f(SPD)だけ減少される。この量f(SPD)は、図12に示したように、車速SPDが増大するに従って減少する。
【0098】
この結果、電動モータ25の温度TMPMHが閾値温度TMP0を超えると、その時点からの経過時間に応じて電流制限値ImaxN(=ImaxHM)が車速SPDが大きいほど緩慢に減少される(車速SPDが小さいほど速く減少される。)。従って、車速SPDが大きい領域では反力が比較的大きい値に保たれるとともに、反力の変化も小さいので、車両の安定した高速走行が容易に確保される。
【0099】
ステップ1150は、電流制限値ImaxNを減少させている状態から増大させ始める時点を決めるステップであり、ステップ1050では電動モータ25の温度TMPHMが閾値TMP1を下回ったか否かを判定していたのに対し、ステップ1150では同温度TMPHMが車速SPDに応じて変化する閾値温度g(SPD)(<TMP0)を下回ったか否かを判定するようにしている。閾値温度g(SPD)は、図13に示したように、車速SPDの増大とともに大きくなるように設定されている。
【0100】
この結果、車速SPDが大きい場合には、同車速SPDが小さい場合に比べて電流制限値ImaxNの増大が早期に開始されるので、反力が比較的大きい値に留まるとともに、同反力が通常の値に早期に復帰する。従って、車両の安定した高速走行が容易に確保される。
【0101】
ステップ1115は、電流制限値ImaxNを増大させるためのステップである。ステップ1015では電流制限値ImaxNが所定の微小電流Δiuだけ増大されていたのに対し、ステップ1115では同電流制限値ImaxNが車速SPDに応じて変化する量h(SPD)だけ増大される。この量h(SPD)は、図14に示したように、車速SPDが増大するに従って増大する。
【0102】
この結果、電動モータ25の温度TMPMHが閾値温度TMP0を超えたのちに電流が減少され、その後、同温度TMPMHが閾値温度g(SPD)を下回ると、その時点からの経過時間に応じて電流制限値ImaxN(=ImaxHM)が車速SPDが大きいほど速く増大される(車速SPDが小さいほど緩慢に増大される。)。従って、車速SPDが大きい領域では反力が早期に復帰するので、車両の安定した高速走行が容易に確保される。なお、上記図10のステップ1035,1050,1050の何れか一つ、又は任意の二つを、それぞれ対応するステップ1135,1150,1115で置換してもよい。
【0103】
なお、電流制限値演算部B16の第3変形例は、CPU41aが図11に示したルーチンを実行することにより達成される。この場合、同図11のルーチンにおける温度TMPは駆動回路42のスイッチング素子Tr1〜Tr4の温度TMPHEであり、電流制限値Imax0Nは電流制限値Imax0HEであり、電流制限値ImaxNは電流制限値ImaxHEである。
【0104】
(反力演算部B13の変形例)
図15は、CPU41aが所定時間の経過毎に実行することにより、上記反力演算部B13の変形例の機能を達成する反力演算ルーチンを示している。以下、図8に示したステップについては同図8と同一の符号を付して詳細な説明を省略するとともに、同図8との相違点を中心に説明する。
【0105】
CPU41aは、ステップ1500から処理を開始すると、ステップ805〜815を実行し、基本反力FRK、ゲインKR、及び操舵機構部報知用ゲインKWを決定する。次いで、CPU41aはステップ1505に進み、同ステップ1505にて反力機構部過熱防止用調整量βを決定する。具体的に説明すると、CPU41aは電動モータ25の温度TMPHMとステップ1505に示したβ1調整量マップとから第1調整量β1を求めるとともに、駆動回路42のスイッチング素子Tr1〜Tr4の温度TMPHEと同ステップ1505に示したβ2調整量マップとから第2調整量β2を求める。そして、CPU41aは、第1調整量β1と第2調整量β2とのうちの大きい方を調整量βとして決定する。
【0106】
次いで、CPU41aは図16に示したステップ1510に進み、同ステップ1510にて暫定反力FRMZを同ステップ1510内に示した式(FRMZ=FRK・KR・KW)に従って求め、続くステップ1515にて同暫定反力FRMZが「0」より大きいか否かを判定する。
【0107】
このとき、暫定反力FRMZが「0」より大きいとすると、CPU41aはステップ1515にて「Yes」と判定してステップ1520に進み、同ステップ1520にて暫定反力FRMZから上記調整量βを減じた値を新たな暫定反力FRMZとする。そして、ステップ1525にて新たな暫定反力FRMZが「0」より大きいか否かを判定し、「0」より大きければステップ1530に直接進む。また、ステップ1525にて新たな暫定反力FRMZが「0」以下であると判定される場合には、ステップ1535に進んで同暫定反力FRMZを「0」とした後にステップ1530に進む。
【0108】
他方、前記ステップ1515において「No」と判定される場合、即ち、暫定反力FRMZが負の場合には、CPU41aはステップ1540に進み、同ステップ1540にて暫定反力FRMZの絶対値(|FRMZ|)から上記調整量βを減じた値の符号を逆転した値(−(|FRMZ|−β))を新たな暫定反力FRMZとして設定し、続くステップ1545にて同新たな暫定反力FRMZが「0」より小さいか否かを判定する。
【0109】
このとき、新たな暫定反力FRMZが「0」より小さければ、CPU41aはステップ1545にて「Yes」と判定してステップ1530に進み、新たな暫定反力FRMZが「0」以上であれば、同ステップ1545にて「No」と判定してステップ1550に進み、同新たな暫定反力FRMZの値を「0」に設定する。
【0110】
このようにCPU41aは、暫定反力FRMZの方向(符号)が変化しない範囲で同暫定反力FRMZから上記調整量βを減じた後ステップ1530に進み、同ステップ1530にて暫定反力FRMZを正規の反力FRMとして設定する。そして、ステップ1555に進んで正規の反力FRMと同ステップ1555内に示した指示電流マップとから指示電流IH*を決定し、同決定した指示電流IH*を電流制御部B14に出力する。
【0111】
この反力演算部B13の変形例によれば、調整量βが電動モータ25の温度TMPHM、又は駆動回路42のスイッチング素子Tr1〜Tr4の温度TMPHEが高いほど大きくなるように決定されるので、指示電流IH*がこれらの温度の上昇に伴って小さくされ、電動モータ25又は駆動回路42のスイッチング素子の過熱状態が継続することを回避し得る。
【0112】
以上、説明したように、本発明による実施形態とその変形例によれば、電動モータ25,51、駆動回路42,43(のスイッチング素子)の温度が、許容温度以上となる状態が継続しないので、これらの寿命を延ばすことができる。また、高速走行時には低速走行時よりも反力が大きくなるように制御されるので、高速走行時の走行安定性を高く維持できる。
【0113】
なお、上記実施形態とその変形例において、操舵角演算部B5、電流制御部B10、及び駆動回路43は、操作部材の操作量に応じて車両の運転制御量である操舵角を変更する運転制御手段を構成している。反力演算部B13は、検出された操作部材の操作量に応じて反力発生手段の電動モータ25に付与される電流の大きさ及び向きを決定するとともに、同決定された大きさ及び向きの電流を同反力発生手段に付与するように駆動回路42に指示を与える反力制御手段を構成している。電流制限値演算部B15,B16及び電流制御部B14は、温度検出部B3,B4にて検出又は推定された温度に応じて前記反力発生手段に付与される前記電流の大きさを所定の電流制限値(ImaxHM,ImaxHE)以下に制限する電流制限手段を構成している。
【0114】
更に、図9に示したルーチンのステップ910は、検出された車速に応じて前記電流制限値を補正する制限値補正手段の機能を達成している。図11のステップ1135、1115は、検出された車速に応じて前記電流制限値が減少又は増大されるときの変化速度を変更する変化速度変更手段の機能を達成している。
【0115】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、通常時の操舵角制御は操作力FS、又は操作角θjの時間微分値を考慮して行ってもよく、電動モータ25に流れる電流は、所謂目標トルクに対するPI制御又はPID制御により決定してもよい。
【0116】
また、上記操作力センサ10dは、回転軸22をトーションバーで構成し、第1歯車23とガイドプレート21との相対ねじれ角を検出するトルクセンサ(トルク検出手段、又は操舵トルク手段)で代用することもできる。同様に、操作力センサ10eは、回転軸32をトーションバーで構成し、第3歯車33とガイドプレート31との相対ねじれ角を検出するトルクセンサ(トルク検出手段)で代用することもできる。
【0117】
更に、上記実施形態においては、電動モータ25,35が大きなトルクを発生するほど、操作レバー10の反力が大きくなるように構成されていたが、バネ部材等の機械的な付勢力付与手段により、操作レバー10が中立位置に常に復帰するように付勢力を与え、これにより同操作レバー10の操作に対して反力を発生させ、その反力を電動モータ25,25の発生トルクにより減少させることで、所望の反力を同操作レバー10に付与するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る運転操作装置の操作レバーの概略図である。
【図2】 図1に示した操作レバーを含む操作レバー装置の概略斜視図である。
【図3】 本発明の実施形態に係る運転操作装置の電気制御装置を示すブロック図である。
【図4】 図3に示したCPUにより達成される機能を表したブロック図である。
【図5】 図3に示したCPUが実行する温度検出ルーチンを示したフローチャートである。
【図6】 図3に示したCPUが実行する目標舵角演算ルーチンを示したフローチャートである。
【図7】 図3に示したCPUが実行する電流制限値演算ルーチンを示したフローチャートである。
【図8】 図3に示したCPUが実行する反力演算ルーチンを示したフローチャートである。
【図9】 図3に示したCPUが実行する別の電流制限値演算ルーチンを示したフローチャートである。
【図10】 図3に示したCPUが実行する別の電流制限値演算ルーチンを示したフローチャートである。
【図11】 図3に示したCPUが実行する別の電流制限値演算ルーチンを示したフローチャートである。
【図12】 図11に示したルーチンの処理において参照されるマップである。
【図13】 図11に示したルーチンの処理において参照されるマップである。
【図14】 図11に示したルーチンの処理において参照されるマップである。
【図15】 図3に示したCPUが実行する別の反力演算ルーチン(2)の前半部を示したフローチャートである。
【図16】 図3に示したCPUが実行する別の反力演算ルーチン(2)の後半部を示したフローチャートである。
【符号の説明】
10…操作レバー、10d…操作力センサ、20…左右方向反力発生機構、25…電動モータ(反力発生用電動モータ)、26,36…操作角センサ、40…電気制御装置、41…マイクロコンピュータ、42…駆動回路(反力発生用)、42a…基板温度センサ、43…駆動回路(制御力用)、43a…基板温度センサ、51…電動モータ(制御力用電動モータ、制御力発生用電動モータ、操舵用電動モータ)、52…操舵機構、52a…操舵角センサ、61…車速センサ、B1〜B4…温度検出部、B5…操舵角演算部、B6…操舵角検出部、B7…車速検出部、B8…操作角検出部、B9…操作力検出部、B10…電流制御部、B11,B12,B15,B16…電流制限値演算部、B13…反力演算部、B14…電流制御部。
Claims (3)
- 車体に対し移動可能に支持されるとともに運転者により操作される操作部材と、
前記操作部材の操作量を検出する操作量検出手段と、
前記検出された操作量に応じて車両の運転制御量を変更する運転制御手段と、
付与される電流の大きさ及び向きに応じて前記操作部材に入力される運転者の操作力に抗する力である反力を発生する反力発生手段と、
前記反力発生手段に付与される電流を制御する駆動回路と、
前記検出された操作部材の操作量に応じて前記反力発生手段に付与される電流の大きさ及び向きを決定するとともに同決定された大きさ及び向きの電流を同反力発生手段に付与するように前記駆動回路に指示を与える反力制御手段と、
前記反力発生手段の温度又は前記駆動回路の温度を検出又は推定する温度検出推定手段と、
前記検出又は推定された温度に応じて前記反力発生手段に付与される前記電流の大きさを所定の電流制限値以下に制限する電流制限手段と、
を備えた運転操作装置において、
前記電流制限手段は、前記検出又は推定された温度に応じて前記所定の電流制限値を決定する手段と、車速を検出する車速検出手段と、検出された車速に応じて前記所定の電流制限値を補正する制限値補正手段とを含む運転操作装置。 - 車体に対し移動可能に支持されるとともに運転者により操作される操作部材と、
前記操作部材の操作量を検出する操作量検出手段と、
前記検出された操作量に応じて車両の運転制御量を変更する運転制御手段と、
付与される電流の大きさ及び向きに応じて前記操作部材に入力される運転者の操作力に抗する力である反力を発生する反力発生手段と、
前記反力発生手段に付与される電流を制御する駆動回路と、
前記検出された操作部材の操作量に応じて前記反力発生手段に付与される電流の大きさ及び向きを決定するとともに同決定された大きさ及び向きの電流を同反力発生手段に付与するように前記駆動回路に指示を与える反力制御手段と、
前記反力発生手段の温度又は前記駆動回路の温度を検出又は推定する温度検出推定手段と、
前記検出又は推定された温度に応じて前記反力発生手段に付与される前記電流の大きさを所定の電流制限値以下に制限する電流制限手段と、
を備えた運転操作装置において、
前記電流制限手段は、前記検出又は推定された温度が第1所定温度より高くなったときから前記所定の電流制限値を徐々に減少させるとともに、同検出又は推定された温度が前記第1所定温度より高くなった後は、同検出又は推定された温度が同第1所定温度よりも低い第2所定温度より低くなったときから前記所定の電流制限値を徐々に増大させるように構成された運転操作装置。 - 請求項2に記載の運転操作装置において、
前記電流制御手段は、車速を検出する車速検出手段と、検出された車速に応じて前記所定の電流制限値が減少又は増大されるときの変化速度を変更する変化速度変更手段とを含む運転操作装置。
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