JP3916117B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動機によりステアリング系に補助操舵トルクを付加する電動パワーステアリング装置に関し、詳しくは、車速センサの故障の際にも安全でかつ違和感のない操舵フィーリングを得ることができる電動パワーステアリング装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両のステアリング装置として、ステアリングホイールの操舵時に電動機による補助操舵トルクをステアリング系に付加して運転者の操舵力を軽減する、いわゆる電動パワーステアリング装置が近年普及しつつある。この種の電動パワーステアリング装置は、通常、ステアリング系の操舵トルクの増大に伴ない増大し、かつ、車速の増大に伴ない減少する基本特性の補助操舵トルクを電動機に発生させるように構成されている。
【0003】
前記の電動パワーステアリング装置においては、ステアリングホイールの操作に伴なうステアリング系の操舵トルクの方向および大きさを操舵トルクセンサにより検出し、また、車両の速度を車速センサにより検出し、これらの検出信号に応じて電動機に流す目標電流値を制御装置により設定し、この目標電流値に対して前記電動機に流れる実際の電流値が収束するように制御している。
【0004】
このため、車速センサに断線等の故障が発生すると、電動機による補助操舵トルクを車速の増大に応じて減少補正させることができなくなり、車両の高速走行時には補助操舵トルクが過剰となる。そこで、車速センサが故障した場合のフェールセーフ対策として、特開昭60−80967号公報に記載のパワーステアリング装置においては、車速センサの故障時に擬似的車速信号を生成し、この車速信号を以って電動機による補助操舵トルクを減少補正している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記の公報に記載されたフェールセーフ対策では、車両の加速状態または減速状態に拘わらず、常に一定勾配で所定の車速まで増大もしくは減少する擬似的車速信号によって電動機による補助操舵トルクを補正している。このため、車両の加速状態では電動機による補助操舵トルクの大きさを実際の車速に応じて減少させることができないという問題があった。また、車両の減速状態では補助操舵トルクの大きさを実際の車速に応じて増加させることができないという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、車速センサの故障の際に、車両の加速状態をエンジン回転数より推定して補助操舵トルクの大きさを減少させることにより安全な操舵フィーリングを得ることができ、また、車両の減速状態をエンジン回転数より推定して補助操舵トルクの大きさを増加させることにより違和感のない操舵フィーリングを得ることができる電動パワーステアリング装置を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するため、本発明は、車両のステアリング系に補助操舵トルクを付加する電動機と、ステアリング系の操舵トルクを検出する操舵トルクセンサと、車両の速度を検出する車速センサと、車両のエンジン回転数を検出するエンジン回転数センサと、少なくとも前記操舵トルクセンサおよび車速センサの検出信号に基づいて前記電動機に流す目標電流値を設定し、かつ、この目標電流値により前記電動機の駆動を制御する制御装置とを備えた電動パワーステアリング装置において、前記制御装置は、前記目標電流値を設定する目標電流値設定部と、この目標電流値設定部に対して前記車速センサの検出信号に基づく制御車速信号を所定時間毎に更新して出力する制御車速設定部とを有し、この制御車速設定部は、前記エンジン回転数センサの検出信号に基づき、前記車速センサが故障した際には、その直前に更新された制御車速信号値を基準値としてこれにエンジン回転数に応じて増減する加算値または減算値を所定時間毎に順次加算または減算補正し、その補正値を制御車速信号値として前記目標電流値設定部に所定時間毎に更新して出力する構成としたことを手段としている。
【0008】
本発明の電動パワーステアリング装置では、操舵トルクセンサがステアリング系の操舵トルクの検出信号を出力し、制御車速設定部が車両の速度に応じた車速センサの検出信号に基づく制御車速信号を所定時間毎に更新して出力することにより、目標電流値設定部が前記操舵トルクの検出信号および制御車速信号に基づいて電動機に流す目標電流値を設定する。そして、この目標電流値により、制御装置が電動機の駆動を制御する。その際、車速センサが故障すると、制御車速設定部は、車速センサの故障直前に更新された制御車速信号を基準値としてこれにエンジン回転数に応じて増減する加算値または減算値を所定時間毎に順次加算または減算補正し、その補正値を制御車速信号値として前記目標電流値設定部に所定時間毎に更新して出力し、かつ、前記加算値または減算値の大きさを、前記車速センサが故障してイグニッションスイッチがオフされた状態からイグニッションスイッチがオンされた場合の値よりも、前記車速センサが故障してからイグニッションスイッチがオフされるまでの場合の値を大きく設定する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明に係る電動パワーステアリング装置の実施の形態を説明する。参照する図面において、図1は一実施形態の電動パワーステアリング装置が適用されたステアリング系の構成図、図2は一実施形態の電動パワーステアリング装置のブロック構成図である。
【0010】
一実施形態の電動パワーステアリング装置を説明するに当たり、まず、この電動パワーステアリング装置が適用されたステアリング系の構造を図1により説明する。このステアリング系は、いわゆるラック・ピニオン式のステアリング系であり、ステアリングホイール1に一体に連結されたステアリングシャフト2の下端部は、連結軸3を介して相互に連結された一対のユニバーサルジョイント4,4を介して操舵トルクセンサ5の入力軸5Aに連結されている。そして、この操舵トルクセンサ5の出力軸には、ラック・ピニオン機構6のピニオン6Aが一体に形成されている。
【0011】
前記ラック・ピニオン機構6は、ピニオン6Aに噛み合うラック歯6Bが形成されたラック軸6Cを備え、このラック軸6Cの両端部には、車両の左右の前輪7,7に付設されたナックルアーム(図示省略)がタイロッド8,8を介してそれぞれ連結されている。そして、前記ラック軸6Cには、これと同軸にボールネジ機構9のボールネジ部9Aが形成され、このボールネジ部9Aに噛み合うボールナット9Bは、前記ラック軸6Cが貫通する状態でその周囲に配置された電動機10のロータ10Aに固定されている。
【0012】
ここで、図1および図2に示すように、一実施形態の電動パワーステアリング装置は、図示しない変速機出力軸の回転数を検出する車速センサ11と、少なくともこの車速センサ11および前記操舵トルクセンサ5の検出信号を入力する制御装置12と、この制御装置12の出力信号を入力する電動機駆動回路13と、この電動機駆動回路13から前記電動機10に供給される電流値を検出してその信号を前記制御装置12に出力する電流センサ14と、図示しないエンジンのクランクシャフトの回転数を検出してその信号を前記制御装置12に出力するエンジン回転数センサ15と、イグニッションスイッチのオン・オフ信号を前記制御装置12に出力するイグニッションスイッチ16とを備えている。
【0013】
操舵トルクセンサ5は、入力軸5Aと出力軸であるピニオン6Aとの間の捩れ角に応じた操舵トルクの方向および大きさを検出し、その検出信号である操舵トルク信号TSを制御装置12に出力する。また、前記車速センサ11は、図示しない変速機出力軸の回転数に応じた車速信号VPを制御装置12に出力する。
【0014】
電流センサ14は、直流サーボモータからなる前記電動機10に直列に接続された抵抗またはホール素子を備えており、電動機10に流れる電流の方向および大きさに応じたモータ電流信号(検出電流値信号)IMを制御装置12に出力する。また、前記エンジン回転数センサ15は、図示しないエンジンのクランクシャフトの回転数に応じたエンジン回転数信号NEを制御装置12に出力する。そして、イグニッションスイッチ16は、そのオン・オフに応じたイグニッション信号IGを制御装置12に出力する。
【0015】
制御装置12は、前記操舵トルクセンサ5、車速センサ11、電流センサ14、エンジン回転数センサ15、イグニッションスイッチ16等との間の入出力インターフェースI/O、および、操舵トルクセンサ5、電流センサ14から入力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータの他、各種のデータやプログラムを記憶しているROM、各種のデータ等を一時記憶するRAM、各種の演算処理を行うCPU等をハードウェアとして備えている。また、ソフトウェア構成として、図2に示すように、制御車速設定部12A、目標電流値設定部12B、偏差演算部12C、PID制御部12DおよびPWM信号生成部12Eを備えている。一方、前記電動機駆動回路13は、ゲート駆動回路13Aおよびブリッジ回路13Bにより構成されている。
【0016】
前記制御装置12の制御車速設定部12Aには、車速センサ11から出力される車速信号VP、エンジン回転数センサ15から出力されるエンジン回転数信号NEおよびイグニッションスイッチ16から出力されるイグニッション信号IGが入力される。この制御車速設定部12Aは、後述するように、車速センサ11からの車速信号VPに基づいて設定した制御車速信号VELを目標電流値設定部12Bに出力する。
【0017】
目標電流値設定部12Bには、前記制御車速設定部12Aからの制御車速信号VELと共に、前記操舵トルクセンサ5から出力される操舵トルク信号TSがデジタル信号に変換されて入力される。この目標電流値設定部12Bは、ステアリング系の操舵トルクの増大に伴ない増大し、かつ、車速の増大に伴ない減少する基本特性の補助操舵トルクを電動機10に発生させるための目標電流値信号ITを、前記操舵トルク信号TSおよび制御車速信号VELをアドレスとするデータエリアから検索し、検索した目標電流値信号ITを偏差演算部12Cに出力する。
【0018】
前記偏差演算部12Cには、目標電流値信号ITの他に、前記電流センサ14から出力されるモータ電流信号IMがデジタル信号に変換されて入力される。この偏差演算部12Cは、目標電流値信号ITとモータ電流信号IMとの偏差を演算し、その偏差信号ΔIをPID制御部12Dに出力する。
【0019】
前記PID制御部12Dは、前記偏差信号ΔIに対して比例(P)、積分(I)、微分(D)等の処理を施すことにより、その偏差がゼロに収束するように前記電動機10の駆動を制御するための駆動制御信号SOをPWM信号生成部12Eに出力する。そして、このPWM信号生成部12Eは、前記駆動制御信号SOに基づいて電動機10をPWM(パルス幅変調)運転するためのPWM信号VOを生成し、これを電動機駆動回路13のゲート駆動回路13Aに出力する。
【0020】
一方、前記電動機駆動回路13のゲート駆動回路13Aは、前記PWM信号VOに基づいてブリッジ回路13Bをスイッチング駆動する。このブリッジ回路13Bは、図3に示すように、直流12Vの電源(車載バッテリ)と電動機10との間にブリッジ回路を構成する4個のパワーFET(電界効果トランジスタ)T1,T2,T3,T4を備えている。そして、前記ゲート駆動回路13Aは、偏差信号ΔIの大きさに応じた駆動信号を偏差信号ΔIの極性に応じてパワーFET(T1,T2)のゲートG1,G2の何れか一方に出力し、他方にはオフ信号を出力する。その際、パワーFET(T3,T4)のゲートG3,G4の何れか一方にオン信号を出力し、他方にオフ信号を出力する。例えば、パワーFET(T1)のゲートG1に駆動信号を出力する場合には、パワーFET(T4)のゲートG4にオン信号を出力し、他のパワーFET(T2,T3)のゲートG2,G3にはオフ信号を出力する。
【0021】
ここで、前記制御装置12の制御車速設定部12Aは、図4に示すように、制御車速更新部12A1、故障判定部12A2、フェールセーフ部12A3、制御車速フェード係数検索部12A4および制御車速選択部12A5により構成されている。以下、これらの機能について順次説明する。
【0022】
制御車速更新部12A1は、車速に応じて変化する車速センサ11からの車速信号VP(km/h)を例えば0.01秒毎に順次入力する。そして、例えば10回目に入力した車速信号VPを制御車速信号VEL(km/h)としてフェールセーフ部12A3および制御車速選択部12A5に0.1秒毎に更新して出力する。
【0023】
故障判定部12A2は、制御車速更新部12A1と同様に、車速に応じて変化する車速センサ11からの車速信号VPを例えば0.01秒毎に順次入力する。そして、この故障判定部12A2は、前回入力した車速信号をVP1とし、今回入力した車速信号をVPとし、重み変換係数をGとしたとき、次式(1)により車両の車速変化度VPGを演算する。
VPG=(VP−VP1)×G………(1)
【0024】
前記故障判定部12A2は、(1)式による車速変化度VPGが2.5G以上のときには車速センサ11が故障したものと推定し、その故障推定信号NG’をフェールセーフ部12A3に出力する。そして、この故障推定信号NG’が出力され、かつ、車速センサ11からの車速信号VPが0km/hを示す状態が例えば5秒間継続すると、故障判定部12A2は、車速センサ11が故障したものと判定し、その故障判定信号NGをフェールセーフ部12A3に出力する。
【0025】
フェールセーフ部12A3は、故障判定部12A2から故障推定信号NG’を入力すると、制御車速更新部12A1から入力した前回の制御車速信号VEL1を制御車速信号VELとして制御車速選択部12A5に出力する。また、フェールセーフ部12A3は、故障判定部12A2から故障判定信号NGを入力すると、次式(2)により補正した制御車速信号VELを制御車速選択部12A5に出力する。なお、次式(2)において、VEL1は制御車速更新部12A1から入力した前回の制御車速信号、Aは例えば0.1秒毎の車速変化度を示す単位係数(1km/h/0.1s)、Kneは制御車速フェード係数検索部12A4から入力する制御車速フェード係数を示している。
VEL=VEL1+(A×Kne)………(2)
【0026】
制御車速フェード係数検索部12A4は、エンジン回転数NE(rpm)をアドレスとするデータエリアに例えばK1,K2,K3の3種からなる制御車速フェード係数Kneを格納している。この制御車速フェード係数検索部12A4は、前記エンジン回転数センサ15からのエンジン回転数信号NEおよびイグニッションスイッチ16からのイグニッション信号IGを入力することにより、そのエンジン回転数信号NEに対応した制御車速フェード係数Kne(K1,K2,K3)の何れかを瞬時に検索し、これを前記フェールセーフ部12A3に出力する。
【0027】
前記制御車速フェード係数Kneの変化特性は、図5のグラフに示すように設定されている。制御車速フェード係数K1は、前記故障判定部12A2が車速センサ11の故障を判定した以後、イグニッションスイッチ16がオフされ、その後、イグニッションスイッチ16がオンされる車両の始動時の5分間の暖機時間に対応した係数である。この制御車速フェード係数K1は、エンジン回転数NEが例えば2,000(rpm)のときに「K1=0」となる所定の傾きの1次増加関数として設定されている。また、制御車速フェード係数K2は、前記暖機時間が経過した以後に対応した係数であり、前記制御車速フェード係数K1と同じ傾きで、かつ、エンジン回転数NEが例えば1500(rpm)のアイドル回転数のときに「K2=0」となる1次増加関数として設定されている。さらに、制御車速フェード係数K3は、前記故障判定部12A2が車両の走行中に車速センサ11の故障を判定してからイグニッションスイッチ16がオフされるまでの期間に対応した係数であり、前記制御車速フェード係数K1,K2より傾きが大きく、かつ、エンジン回転数NEが例えば1500(rpm)のアイドル回転数のときに「K3=0」となる1次増加関数として設定されている。
【0028】
制御車速選択部12A5は、通常、制御車速更新部12A1から入力した制御車速信号VELをそのまま目標電流値設定部12Bに出力し、フェールセーフ部12A3から制御車速信号VELを入力すると、その制御車速信号VELを選択して目標電流値設定部12Bに出力する機能を有する。
【0029】
以上のように構成された一実施形態の電動パワーステアリング装置においては、図1に示すステアリングホイール1の操作に伴ない、操舵トルクセンサ5がステアリング系に発生する操舵トルクの方向および大きさを検出し、その検出した操舵トルク信号TSを図2に示す制御装置12の目標電流値設定部12Bに出力する。また、車速センサ11が車両の速度を検出し、その検出した車速信号VPを制御装置12の制御車速設定部12Aに出力する。さらに、エンジン回転数センサ15がそのエンジン回転数信号NEを制御装置12の制御車速設定部12Aに出力し、イグニッションスイッチ16がそのイグニッション信号IGを制御装置12の制御車速設定部12Aに出力する。
【0030】
制御装置12においては、図4に示す制御車速設定部12Aの制御車速更新部12A1が車速センサ11からの車速信号VPを制御車速信号VELとしてフェールセーフ部12A3および制御車速選択部12A5に0.1秒毎に更新して出力する。そして、制御車速選択部12A5は、通常、制御車速更新部12A1から入力した制御車速信号VELを選択して図2に示す目標電流値設定部12Bに出力する。
【0031】
前記目標電流値設定部12Bは、操舵トルクセンサ5からの操舵トルク信号TSおよび制御車速設定部12Aからの制御車速信号VELを入力することにより、ステアリング系の操舵トルクの増大に伴ない増大し、かつ、車速の増大に伴ない減少する基本特性の補助操舵トルクを電動機10に発生させるための目標電流値信号ITを瞬時に検索し、その目標電流値信号ITを偏差演算部12Cに出力する。
【0032】
偏差演算部12Cは、目標電流値設定部12Bからの目標電流値信号ITと、電流センサ14からのモータ電流信号IMとの偏差信号ΔIをPID制御部12Dに出力し、PID制御部12Dは前記偏差をゼロに収束させるための駆動制御信号SOをPWM信号生成部12Eに出力し、PWM信号生成部12Eは駆動制御信号SOに応じたPWM信号VOを電動機駆動回路13に出力する。そして、電動機駆動回路13が制御装置12からのPWM信号VOに応じて電動機10を回転駆動することにより、図1に示すステアリング系においては、ボールネジ機構9を介してラック軸6Cに補助操舵力が付与され、ステアリングホイール1の操舵トルクが軽減される。
【0033】
ここで、車両の走行中に前記車速センサ11に断線などの故障が発生すると、図4に示す制御車速設定部12Aにおいては、車速センサ11から故障判定部12A2に入力する車速信号VPが急変して「0値(0km/h)」となる。この場合、車速が例えば20km/h以上であると、通常、前記の式(1)で演算される車速変化度VPGが2.5G以上となるため、故障判定部12A2は車速センサ11が故障したものと推定して故障推定信号NG’をフェールセーフ部12A3に出力する。その結果、フェールセーフ部12A3は制御車速更新部12A1から入力した前回の制御車速信号VEL1を制御車速信号VELとして制御車速選択部12A5に出力し、制御車速選択部12A5はこの制御車速信号VELを目標電流値設定部12Bに出力する。
【0034】
従って、車速センサ11の故障が推定されると、その直前の制御車速信号VEL1に応じて目標電流値設定部12Bが目標電流値信号ITを補正するのであり、電動機10による補助操舵トルクの急変が防止され、違和感のない操舵フィーリングが得られる。
【0035】
そして、車速センサ11の故障が推定され、かつ、車速センサ11からの車速信号VPが0km/hを示す状態が例えば5秒間が経過すると、故障判定部12A2は車速センサ11が故障したものと判定して故障判定信号NGをフェールセーフ部12A3に出力する。その結果、フェールセーフ部12A3は、エンジン回転数信号NEに対応した制御車速フェード係数K3を制御車速フェード係数検索部12A4から入力し、この制御車速フェード係数K3を前記の式(2)に代入して演算した制御車速信号VELを制御車速選択部12A5に出力する。そして、制御車速選択部12A5は、この制御車速信号VELを選択して目標電流値設定部12Bに出力する。
【0036】
従って、車両の走行中に車速センサ11の故障が判定されると、目標電流値設定部12Bは、図6に示すように故障直前の制御車速信号VEL1から制御車速フェード係数K3に応じた勾配で変化する制御車速信号VELに応じて目標電流値信号ITを補正する。このため、電動機10による補助操舵トルクの大きさは、車速センサ11の故障直前の大きさからエンジン回転数NEに応じて変化するのであり、補助操舵トルクの急変が防止され、違和感のない操舵フィーリングが得られる。
【0037】
ここで、前記制御車速フェード係数K3はエンジン回転数NEに応じて増減するため、車両の急激な加速時に車速センサ11が故障判定された場合、制御車速フェード係数K3はエンジン回転数NEに応じた大きな値となり、制御車速信号VELは一層急な勾配でVMaxまで変化する。このため、電動機10による補助操舵トルクの大きさを車両の加速状態に応じて迅速に減少させることができ、一層安全な操舵フィーリングを得ることができる。反対に、車両の緩やかな加速時に車速センサ11の故障が判定された場合、制御車速フェード係数K3はエンジン回転数NEに応じた小さな値となり、制御車速信号VELは一層緩い勾配でVMaxまで変化する。このため、電動機10による補助操舵トルクの大きさを車両の緩やかな加速状態に応じて緩慢に減少させることができ、一層違和感のない操舵フィーリングを得ることができる。更に、車両の減速時に車速センサ11の故障が判定された場合、制御車速フェード係数K3は負の値となり、制御車速信号VELは0km/hまで変化する。このため、電動機10による補助操舵トルクの大きさを車両の減速状態に応じて増加させることができ、違和感のない操舵フィーリングを得ることができる。
【0038】
一方、前記の故障判定部12A2が車速センサ11の故障を判定した以後、イグニッションスイッチ16がオフされ、その後、イグニッションスイッチ16がオンされる車両の始動時の5分間の暖機時間においては、制御車速フェード係数検索部12A4は、入力されるイグニッション信号IGに応じて図5に示す制御車速フェード係数K1をフェールセーフ部12A3に出力する。また、前記の暖機時間が経過した以後においては、制御車速フェード係数検索部12A4は、図5に示す制御車速フェード係数K2をフェールセーフ部12A3に出力する。その結果、フェールセーフ部12A3は、エンジン回転数信号NEに対応した制御車速フェード係数K1またはK2を前記の式(2)に代入する。この場合、式(2)のVEL1の項を「0」とみなして演算した制御車速信号VELを制御車速選択部12A5に出力する。そして、制御車速選択部12A5は、この制御車速信号VELを選択して目標電流値設定部12Bに出力する。
【0039】
従って、車速センサ11の故障が判定された以後の車両の始動時には、目標電流値設定部12Bは、図7に示すように0値から制御車速フェード係数K1またはK2に応じた勾配で変化する制御車速信号VELに応じて目標電流値信号ITを補正する。このため、電動機10による補助操舵トルクの大きさは、据切り操舵が可能な大きさからエンジン回転数NEに応じて変化するのであり、違和感のない操舵フィーリングが得られる。
【0040】
なお、一実施形態の電動パワーステアリング装置において、図5に示す前記制御車速フェード係数K3の変化特性をエンジン回転数NEが例えば600(rpm)のときに「K3=0」となる1次増加関数として設定すれば、制御車速フェード係数K3は常に正の値となる。このため、車速センサ11の故障が判定されると、制御車速信号VELは故障直前の制御車速信号VEL1から常にVMax側へ移行する。従って、電動機10による補助操舵トルクの大きさは、車速センサ11の故障直前の大きさから漸次減少されるのであり、車速センサ11の故障時には、常に電動機10による補助操舵トルクの付加を中止させることもできる。
【0041】
また、車両の変速機の変速比を検出するセンサを別途設け、図5の制御車速フェード係数Kneをエンジン回転数NEと変速機の変速比から求めるようにすれば、実際の車速をより正確に推定できる。
【0042】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明の電動パワーステアリング装置においては、操舵トルクセンサがステアリング系の操舵トルクの検出信号を出力し、制御車速設定部が車両の速度に応じた車速センサの検出信号に基づく制御車速信号を所定時間毎に更新して出力することにより、目標電流値設定部が前記操舵トルクの検出信号および制御車速信号に基づいて電動機に流す目標電流値を設定する。そして、この目標電流値により、制御装置が電動機の駆動を制御する。その際、車速センサが故障すると、制御車速設定部は、車速センサの故障直前に更新された制御車速信号を基準値としてこれにエンジン回転数に応じて増減する加算値または減算値を所定時間毎に順次加算または減算補正し、その補正値を制御車速信号値として前記目標電流値設定部に所定時間毎に更新して出力する。
【0043】
すなわち、本発明の電動パワーステアリング装置によれば、車速センサの故障直前に更新された制御車速信号を基準値としてこれにエンジン回転数に応じて増減する加算値を所定時間毎に順次加算補正し、その補正値を制御車速信号値として前記目標電流値設定部に所定時間毎に更新して出力することにより、エンジン回転数が大きくなる車両の加速時に車速センサが故障した場合には、制御車速信号を前記基準値から急な勾配で増大させ、電動機による補助操舵トルクの大きさを車両の加速状態に応じて迅速に減少させることができ、安全な操舵フィーリングを得ることができる。また、反対にエンジン回転数が小さくなる車両の減速時に車速センサが故障した場合には、制御車速信号を前記基準値から減少させ、電動機による補助操舵トルクの大きさを車両の減速状態に応じて増加させることができ、違和感のない操舵フィーリングを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る電動パワーステアリング装置が適用されたステアリング系の構成図である。
【図2】一実施形態に係る電動パワーステアリング装置のブロック構成図である。
【図3】一実施形態に係る電動パワーステアリング装置のブリッジ回路の回路図である。
【図4】一実施形態に係る電動パワーステアリング装置の制御車速設定部のブロック構成図である。
【図5】一実施形態に係る電動パワーステアリング装置の制御車速設定部がデータ処理する制御車速フェード係数の特性グラフである。
【図6】一実施形態に係る電動パワーステアリング装置の制御車速設定部が出力する制御車速の変化の特性を示すグラフである。
【図7】一実施形態に係る電動パワーステアリング装置の制御車速設定部が出力する制御車速の変化の他の特性を示すグラフである。
【符号の説明】
1 :ステアリングホイール
2 :ステアリングシャフト
5 :操舵トルクセンサ
6 :ラック・ピニオン機構
9 :ボールネジ機構
10 :電動機
11 :車速センサ
12 :制御装置
12A:制御車速設定部
12B:目標電流値設定部
12C:偏差演算部
12D:PID制御部
12E:PWM信号生成部
13 :電動機駆動回路
13A:ゲート駆動回路
13B:ブリッジ回路
14 :電流センサ
15 :エンジン回転数センサ
16 :イグニッションスイッチ
Claims (1)
- 車両のステアリング系に補助操舵トルクを付加する電動機と、ステアリング系の操舵トルクを検出する操舵トルクセンサと、車両の速度を検出する車速センサと、車両のエンジン回転数を検出するエンジン回転数センサと、少なくとも前記操舵トルクセンサおよび車速センサの検出信号に基づいて前記電動機に流す目標電流値を設定し、かつ、この目標電流値により前記電動機の駆動を制御する制御装置とを備えた電動パワーステアリング装置において、
前記制御装置は、前記目標電流値を設定する目標電流値設定部と、この目標電流値設定部に対して前記車速センサの検出信号に基づく制御車速信号を所定時間毎に更新して出力する制御車速設定部とを有し、
この制御車速設定部は、前記エンジン回転数センサの検出信号に基づき、前記車速センサが故障した際には、その直前に更新された制御車速信号値を基準値としてこれにエンジン回転数に応じて増減する加算値または減算値を所定時間毎に順次加算または減算補正し、その補正値を制御車速信号値として前記目標電流値設定部に所定時間毎に更新して出力すること、
かつ、前記加算値または減算値の大きさを、前記車速センサが故障してイグニッションスイッチがオフされた状態からイグニッションスイッチがオンされた場合の値よりも、前記車速センサが故障してからイグニッションスイッチがオフされるまでの場合の値を大きく設定すること
を特徴とする電動パワーステアリング装置。
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