JP4060707B2 - 弁の操作装置 - Google Patents
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Description
本発明は、弁の開き位置を調整するための弁棒と、該棒に付属する駆動部とを備えた弁、特にタービン弁の操作装置に関する。
【0002】
タービン、特に蒸気タービンは、通常、例えば主蒸気弁、中間阻止弁、バイパス弁、高速閉鎖弁(非常遮断弁)として利用される多数の弁を備える。これら各弁の開き位置は、各材料流、ガス流又は蒸気流を調整するために使われ、例えば各弁に付属の弁棒にて調整される。かかる弁棒は、弁に付属する操作装置の構造部品である。操作装置には、特に操作力と速度につき非常に厳しい要件が課せられる。弁の高い信頼性のため、例えば操作装置は約200kNの操作力と約100m秒の操作時間を持つ必要があり、これは特に高速閉鎖要件にて存在する。
【0003】
従ってその弁は、通常油圧作動式調整弁として設計され、それに付属する操作装置は各々油圧装置を含んでいる。従って弁を作動するため、操作装置は、例えば中央液圧供給系を備える。しかしその中央液圧供給系に対し、複雑で、従って高価な配管系統が必要であり、この系統は高い運転確実性のため冗長に設計せねばならない。そのような複雑な供給系統を単純化すべく、欧州特許出願公開第0040732号明細書および1984年、シカゴで開催の「アメリカン パワー コンフェレンス(米国電力会議)」に提案されたW.キンダーマン、E.G.エゲナー、H.テルミューレン共著の論文“大形蒸気タービンにおけるコンパクトな弁操作制御装置”は、各々中央液圧系統を有する蒸気タービン弁の操作装置を開示する。この装置の液圧系統は、弁ハウジングに配置された小形の駆動ブロックに一体化され、これに伴い操作装置のエネルギ供給に関し、1つのケーブル系統しか必要としない。液体として油を利用すると、極端な悪条件下で油が発火し、蒸気タービンで火災を生ずる危険がある。火災防止の観点から、液体として難燃性液が採用される。しかし、そのような難燃性液は高価であり、鉱油系の液体に比べて安定性が悪いために、かなり高価な予防処置を必要とする。
【0004】
独国特許出願公開第1937198号明細書は、発電所や化学プラント等における流体の圧力および/又は流量を調整するための調整弁を開示する。該調整弁は弁棒を有し、この弁棒に弁座が取り付けられている。弁棒は中央回転点を中心として回転する梁を経て電動サーボモータに連結されている。これに伴い、弁を通る流体の量が調整される。弁棒にはまた、復帰ばねが作用している。
【0005】
欧州特許出願公開第0230849号明細書に、調整弁および止め弁が開示されている。この弁は、軸線に沿って移動できる弁体を有し、該弁体は軸線に沿って延びるピストンを備える。ピストンは“すぐ歯”ラックとして形成され、該ラックはロッドの縦歯に接触する。ロッドの軸線を中心とした回転により、弁体の軸方向移動が起る。ロッドは、電動機を経てロッド端にある歯により回される。
【0006】
独国特許出願公開第4446605号明細書に、弁棒に弁体を配置した蒸気タービン用の弁が開示されている。弁棒は電動機で駆動される。該電動機は電磁継手を経て弁棒に接続されている。弁はその自動自己閉鎖のために皿ばね装置を含む。電磁継手はねじブッシュに接続され、ブッシュは相対回転不能に案内される弁棒と共働し、その弁棒を軸方向に動かす。ねじブッシュをボールねじブッシュとして形成したことで、弁棒を小さな遊びと摩擦で作動させ得る。弁棒の相対回転不能な案内に伴い、ねじブッシュが回転した際に弁棒が単に軸方向に往復運動するので、並進作用形駆動装置は不要である。そのため、可逆回転式電動機で足りる。もっとも、例えば弁の閉鎖時に弁棒の片側端に続く弁体が、それに対応した密封座(弁座)に当たる際に損傷せず又は弁座を損傷させないよう、電動機はトルク止めを利用しなければならない。
【0007】
国際公開第98/13633号パンフレットに、タービンの弁の操作装置が記載されている。その場合、弁棒によって開き位置を調整し、特に火災の恐れが少ない状態で、弁の支障ない運転を保障する。そのために、弁棒を作動させる電動機を設けている。その弁棒はラック・アンド・ピニオン装置と電磁かみ合い継手を経て、電動機に接続されている。このパンフレットでは、操作装置とこれで操作される弁の運転確実性のため、弁棒に保持ばね装置を配置している。これは保持ばねを含み、該ばねはハウジング内に配置され、弁棒に取り付けた押圧板に作用する。操作装置は、保持ばねのばね力で弁を閉鎖する。その際、弁を開くべく電動機は保持ばねのばね力に抗して作用する。
【0008】
国際公開第99/49250号パンフレットに、弁、特に蒸気タービン弁に対する電気機械式操作装置が開示されている。この装置は弁棒とこれを作動させる電動機を備える。前記弁棒と電動機は伝達装置を経て接続されている。この伝達装置で、弁棒の軸方向変位に応じ変化するトルクが生ずる。弁棒は復帰ばね装置に接続され、弁閉鎖位置で既に、重ね皿ばね形蓄圧器として形成された復帰ばね装置の復帰力で負荷されている。操作装置の弁開放運動時、復帰ばね装置が一層締め付けられ、弁の開き位置で最大復帰力に達する。従って、弁の開き位置の調整時、国際公開第98/13633号パンフレットの記載に類似して、操作装置は、復帰ばね装置の大きな復帰力に抗し作動する必要がある。
【0009】
本発明の課題は、弁、特に蒸気タービン弁の操作装置を、火災の危険がなく、弁の確実で支障のない作動を保障でき、僅かな力の消費で弁の開き位置の調整ができるよう改良することにある。
【0010】
この課題は、本発明に基づき、弁の開き位置を調整する弁棒と、この弁棒に付属する駆動部とを備えた弁、特にタービン弁の操作装置において、駆動部が、引締め過程時にバイアスを与えられる蓄圧装置を経て弁棒に、蓄圧装置にバイアスが与えられた状態での開き位置の調整時にバイアスが不変であるよう連結されることで解決される。
【0011】
本発明は、安全非常遮断装置を備えた通常の操作装置の場合、弁に連結した操作装置による弁の開き位置の調整が、かなり大きな力の消費の下でしか行えないという認識から出発する。それは、例えば皿ばね形蓄圧器をばねの復帰力に抗して作動させねばならないからである。操作装置の弁開放運動時に、ばねが締め付けられ、弁の開き位置でその最大復帰力に達する。これは、弁棒を駆動する駆動部の相応の出力設計を必要とする。調整過程と非常遮断装置に対する引締め過程とのこの種の固い連結様式のため、弁の開き位置を規定通りに変化・調整する際、常に、一般に非常に大きく変化する力を弁棒に与えねばならない。その必要な操作力は、例えば弁の開放時に連続的に増大し、弁閉鎖時にばね特性に応じて連続的に減少する。また、開き位置に保持する際、例えば弁全開時に、(最大)復帰力を補助的な処置で保持せねばならない。かかる弁の駆動部と該部に接続された継手要素、歯車要素および電動機要素は、それに応じ複雑な構成になる。
【0012】
これに対し本発明に基づく操作装置は、操作装置に付属する弁の開き位置の調整を、同時に高い運転信頼性の下で行える全く新たな方式を提供する。本発明に基づく操作装置の基本的な考えは、公知の形態での上述の欠点から出発し、開き位置の調整過程を蓄圧装置の引締め過程から分離、即ち切り離すことにある。駆動部は、引締め過程時にバイアスが与えられる蓄圧装置を経て弁棒に、蓄圧装置にバイアスが与えられた状態での開き位置の調整時にバイアスが不変であるように連結される。従って、蓄圧装置のバイアス並びに弁の開き位置の調整は、互いに独立し相互に干渉しない過程として設計できる。即ち、例えば弁の全閉時に蓄圧装置にバイアスを与え、その後、弁の開き位置は、蓄圧装置の蓄圧状態に何ら作用することなしに、弁棒に付属された駆動部によって調整できる。
【0013】
この結果、開き位置を調整するための力はかなり減少する。特に調整過程中の操作力は、引締め過程から切り離しているためほぼ一定である。駆動部並びに場合によってこの駆動部に付属する他の駆動構成要素、例えば歯車装置および/又は電動機は、特に調整過程時における要件に合わせて設計できる。つまり、引締め過程と調整過程との切り離しで、まず第1に、駆動部および場合により別の駆動構成要素を、各過程に的確に適合させるよう設計できる。これは、例えば駆動部を、引締め過程に対する出力段階と、調整過程に対するいまや非常に小さな出力段階との2段階に設計することで実現される。
【0014】
この場合、本発明の有利な実施態様では、開き位置の調整時、そのために与えるべき操作力がバイアスより小さい。この結果、調整過程時の力の消費はかなり減少し、これに応じ、調整過程で移動する構成要素、例えば弁棒や駆動部の機械的負荷が減少する。これら構成要素と、場合によりそれらに連結された構成要素との摩耗も同様に大きく低減し、このため、操作装置とこれにつながる弁の寿命が長くなる。開き位置の調整時の力消費が減ることで、公知の形態に比べ、操作装置に対し多くの調整過程数が得られる。
【0015】
他の好適な実施態様では、バイアス下に駆動部が、開き位置の調整時、蓄圧装置と共に移動するよう蓄圧装置に接続される。この実施態様で、蓄圧装置は駆動部と一緒に移動する。従ってまた、開き位置の調整時に駆動部が弁棒を駆動するので、弁棒の動きは蓄圧装置の動きと同期する。これに伴い、調整過程の全段階において、蓄圧装置、特にそれに蓄えられたバイアスの広範な有用性が生ずる。従って、弁の高速閉鎖時、蓄圧装置に蓄えられたバイアスを、いつでも直接、弁の高速閉鎖に利用できる。開き位置調整時の運動の同期に伴い、蓄圧装置全体が移動し、バイアスは不変のままにされる。
【0016】
バイアスを維持するため、引締め過程中に係止する係合要素を設けるとよい。引締め過程中、蓄圧装置にバイアスが与えられる。この際、それに応じたポテンシャルエネルギが蓄圧装置に蓄えられる。係合要素で蓄えたエネルギを維持し、例えば弁の高速閉鎖に対しいつでも利用できる。その係合要素は、必要持に瞬時に解放され、これにより蓄圧装置に蓄えられたポテンシャルエネルギが放出され、弁の高速閉鎖に利用される。もっとも係合要素の主目的は、開き位置の調整時に確実な運転を保障すべく、蓄圧装置に蓄えられたエネルギを長期間にわたり貯蔵することにある。また、係合要素の精確な形成と配置により、蓄圧装置での保有エネルギを予め決定できる。この際、引締め過程に対し、或る設定されたバイアスに応じた係合要素の係止位置を求め、構造的に予め考慮できる。
【0017】
係止された係合要素が、バイアスの少なくとも約50%を担うとよい。その場合、係合要素が蓄圧装置のできるだけ多くのバイアス分量を保持すると有利である。好適には、係合要素が蓄圧装置の全バイアスを担い、この結果、蓄圧装置に蓄えられた全ポテンシャルエネルギが係合要素によって保持され、同時に確保される。その蓄圧装置で保持されたバイアス分量の精確な選定は、各々の構造的条件並びに採用に対して重要な非常遮断要件に合わされる。
【0018】
特に有利な実施態様では、バイアスの約50%迄を保持する解除装置を設置する。該装置により、係合要素と組み合わせて、蓄圧装置に蓄えたバイアスエネルギの特に効果的な貯蔵と解放が行える。この際、大部分のバイアスを係合要素で保持し、解除装置がそれに応じ僅かなバイアスを保持すると有利である。
【0019】
蓄圧装置に蓄えられたポテンシャルエネルギは、例えば引外し基準に応じ、解除装置を経て解放するとよい。この装置は係合要素の一部として形成するか、それと無関係に設計する。従って解除装置により、例えば操作装置に接続された弁の高速閉鎖が始まる。この際、解除装置はそれが保持するバイアス分を解放し、自由になったエネルギを、蓄圧装置全体の弛緩過程を開始させるために用いる。このため、例えば係合要素が解放され、係合要素がその係止位置から外される。これは、例えば係合要素を、所定の最大保持バイアスを考慮に入れて形成することで、係合要素と解除装置への保持すべきバイアスの的確な割当て分配だけで有利に行える。その最大保持バイアス値を超過した際、係合要素が解放され、蓄圧装置に蓄えられたバイアスが瞬時にほぼ完全に放出される。
【0020】
係合要素と解除装置が保持すべきバイアスの割当て分配によって、係合要素と解除装置の各々の構造形態に、特に柔軟に適合可能である。この場合、一般に係合要素はバイアスの大部分を保持し、解除装置は単に引外しを開始させるための僅かなバイアス分量しか保持しない。このとき、係合要素と解除装置への巧みな割当て分配によって、引外し基準を柔軟に設定できる。
【0021】
解除装置を、特にコイルで電磁的に作動させるとよい。この際、解除装置は磁束の変化に応じ蓄圧装置におけるバイアスを解放する。磁束の変化とは、磁束の印加又は切断を意味する。これは、特に解除装置が閉じられた場合、即ち蓄圧装置のバイアスが保持された状態で、電流が供給又は遮断されるコイルにより実施される。磁束の相応の変化により、解除装置は要求に応じ種々に作動できる。
【0022】
特に有利な実施態様では、係合要素は、係合斜面体とかみ合い結合するための可撓性、特にばね弾性の舌片を備える。引締め過程中、係合要素の舌片は係合斜面体に接触し、その際舌片は係合斜面体に対し相対移動する。舌片の可撓性の、特にばね弾性的な形成に伴い、舌片と係合斜面体との間で特に効果的な接触が行われ、力が生ずる。そのため係合斜面体は、係合要素の舌片に対して、例えば傾斜平面を形成する接触面を備える。これに伴い、引締め過程中、舌片は傾斜平面に沿って滑り上がり、引締め過程の終了後に係止位置に係止し、係合斜面体とたわみ舌片とのかみ合い結合が生ずる。その係合斜面体は、駆動部の一部として形成するとよく、その場合、引締め過程中、係合斜面体を有する駆動部は、舌片を有する係合要素に対して相対移動する。引締め過程の終了後、かみ合い結合が生じ、その際舌片付き係合要素は係止位置に留まり、操作装置の蓄圧装置に相応のバイアスが加わる。可撓性の舌片は、弾性材料、例えば金属で作る。引締め過程に続き弁の開き位置を調整する際、蓄圧装置のバイアスは不変のままである。
【0023】
係合斜面体を円周方向で囲んで締め付ける多数の舌片を設けるとよい。この多数の舌片によって、係合要素の多重確保が行える。また、円周方向の締付けは一様な係止とバイアスの保持を保障し、好適には、引締め過程時に舌片と係合斜面体が相対運動する際に、例えば軸を案内するブッシュのように、円周側の案内が達成される。これにより引締め過程を、舌片と係合斜面体との接触面の範囲或いは個々の舌片における機械的応力集中を回避して、再現可能に一様に達成できる。この多数の舌片は、係合斜面体を有する駆動部の周りに同心的に配置するとよい。舌片の追加的な対称配置により、引締め過程中、特にかみ合い結合中或いは舌片と係合斜面体とのかみ合い中、特に一様な荷重受けと荷重分布が保障される。また、この舌片の対称配置で、蓄圧装置に特に一様なバイアスが生じ、この案内様式によって、高い確実性が得られる。
【0024】
他の有利な実施態様では、部分的に舌片で形成したコレットチャックを設け、該チャックで駆動部の周囲を締め付ける。例えば各々可撓性の特にばね弾性帯金又は薄板として形成した多数の舌片の場合、これら舌片は、コレットチャック又は薄板チャックの開放端を形成する。コレットチャックは駆動部の周囲を締め付け、その際、舌片の曲げ弾性特性により、コレットチャックと駆動部との間の接触面に対し垂直に、全周にわたり駆動部に作用する締付け力を駆動部に与える。
【0025】
この締付け作用で、コレットチャック又は薄板チャックが、駆動部に接続される。駆動部が係合斜面体をも有するなら、締付け力は引締め過程時にも、特に係止位置においても作用する。引締め過程の際、部分的に舌片で形成されたコレットチャックは、係合斜面体、特に駆動部に対して相対移動し、その際、同時にバイアスが蓄圧装置に与えられる。
【0026】
コレットチャック又は薄板チャックは、舌片や薄板を製造するために相応に加工(例えば打ち抜き)され、成形された弾性材料、例えば鋼板からなるとよい。
【0027】
コレットチャック内に、バイアスを蓄えるばね要素、特に皿ばねを配置するとよい。また、コレットチャック或いは薄板チャック内に、皿ばねから成る装置、例えば所謂重ね皿ばね装置を設ける。コレットチャック内へのばね要素の配置によって、コレットチャックは引締め過程時並びに弁の開き位置の調整時も閉じ込められている。この結果、引締め過程後、ばね要素に蓄えられたバイアスも、いわば閉じ込められる。その閉じ込め又は締付けは、例えば上述の解除装置による引外し時、閉じ込めたバイアス、即ちばね要素に蓄えられたばね力のように、周囲の締付けを緩め、この結果、ばね要素は瞬時に弛緩する。自由になったばねエネルギは、操作装置に結合された弁の高速閉鎖過程に利用される。この場合、弛緩するばね要素により、弁棒が瞬時に開き位置から閉鎖位置に動く。弁の(通常の)開き位置調整を行う前に、例えば運転確実性のため、ばね要素を改めて予め締め付けねばならず、その際、弁は、その閉鎖位置に留まる。引締め過程後に、弁の開き位置の調整を、コレットチャック内に閉じ込められ予め締め付けられたばね要素により、ばね要素のバイアスを変化することなしに行える。特に、弁棒を所望の開き位置に到達させるための、ばね要素の復帰力に抗した力の消費は不要である。これは、引締め過程が調整過程、即ち開き位置の調整から切り離されているからである。
【0028】
コレットチャックの底に、特にばね要素が弛緩する際に弁棒の運動を減衰させる減衰ピストンを設けるとよい。このピストンで、例えば弁の高速閉鎖時、即ち弁棒を開き位置から閉鎖位置に加速する際、最終位置減衰を達成し、かつまた、例えば開き位置の調整に応じ最終位置に到達する毎にも達成される。
【0029】
その減衰ピストンがコレットチャックの構成部品であると有利であり、これによって、コレットチャックは二重の機能を果たす。即ち、予め締め付けられたばね要素を収容し、高速閉鎖時に所望の最終位置減衰特性を保障する。この減衰ピストンは、それに付属し主減衰シリンダとも呼べる減衰シリンダ内を移動でき、これにより案内される。その際、減衰シリンダには、減衰するために補助的に、減衰液或いは液体、例えば油が供給される。
【0030】
減衰作用を高める他の実施態様では、以下に述べる処置を施す。
【0031】
特に有利な実施態様では、減衰ピストンに、最終位置減衰のための液圧減衰装置を一体化する。
【0032】
引締め過程時にバイアスが与えられる蓄圧装置を経て弁棒に、例えば電磁継手を経て連結された駆動部を備える本発明の操作装置の構造では、駆動部と弁棒とそれに続く弁体或いは閉鎖体との間に、剛体の結合、即ち継手が生ずる。非常遮断引外し時に、駆動部が弁棒から分離されたとき、蓄圧装置、例えば予め締め付けられた皿ばね装置のいまや自由になったエネルギが、弁体と接続された弁棒を閉鎖方向に加速する。その閉鎖速度は、通常4m/秒或いはそれ以上である。従って、弁棒とそれに続く弁体が弁座に損傷をひき起こす程に強く衝突するのを十分に防ぐために、例えば約10〜20%の開度範囲で、閉鎖速度を例えば0.5m/秒に減速する液圧減衰を考慮するとよい。
【0033】
この場合、一体形液圧減衰装置が最終位置での減衰に対し特に有効である。この最終位置減衰は、弁体付き弁棒が弁座に当たる瞬間に、弁棒とばね要素の固定継手を断ち、運動エネルギをかなり減少させる。その一体構造で、特に小形な構造が実現する。減衰ピストンは、減衰シリンダと共働し、一体形液圧減衰装置と共に、非常遮断状態において操作装置の特に確実で永続的な運転を可能にする。
【0034】
特に有利な実施態様では、液圧減衰装置が、第1密封室と、これとは別の第2密封室とを含み、開き位置に関係してそれらの密封室に各々液体、特に油が減衰のために供給され又はそこから排出される。
【0035】
その場合、第1密封室および第2密封室における液体の供給或いは排出を、各々それらの密封室の体積変化に伴い生ずる差圧により実行するとよい。これに伴い、差圧制御式一体形減衰装置が用意され、これは開き位置に特に適合した減衰を保障する。密封室内の圧力が、例えば減衰装置付き減衰ピストンと該ピストンを包囲する減衰シリンダで形成された中間室に存在する液体の圧力に相当する周囲圧より大きいか小さいかに応じて、問題となる密封室に関して正或いは負の差圧が生ずる。その結果、液体がその密封室に導入されるか、そこから排出、即ち押し出される。その差圧を形成するため、密封室の体積変化を利用すると、特に有利である。これは、調整過程の際に操作装置の各開き位置に応じて、体積変化が非常に簡単に得られるからである。
【0036】
第1密封室を第2密封室から空間的に分離するため、可動アクチュエータ板を設けるとよい。これに伴い密封室を空間的に互いに分離し、例えば第1密封室を操作装置の閉鎖方向に、第2密封室を開き方向に配置する。可動アクチュエータ板は、同時に密封室の体積変化を仲介する別の機能を担う。そのために、アクチュエータ板は間接又は直接的に、弁棒に接続される。
【0037】
有利な実施態様では、少なくとも片側の密封室に、液体絞り要素が隣接する。この結果、関連する密封室からの液体の流出が、該絞り要素を経てしか、又はほとんどその絞り要素を経てしかできない利点がある。該絞り要素を経て流出する液体、例えば油の時間的経過を予め決定できる。絞りから流出する油は、例えば操作装置のハウジング内部に形成された無圧の集合室で受けられる。
【0038】
他の有利な実施態様では、密封室に変形可能なシール要素を配置し、該要素の変形により、密封室の体積を変化させる。調整過程と調整状態、特に弁棒の運動方向に応じ、変形可能なシール要素が変形され、例えば圧縮又は伸ばされる。この結果、変形可能なシール要素に付属するシール面が、それに応じて増大・縮小する。このシール要素の変形による有効シール面積の変化は、関連する密封室の体積変化に直接関与し、密封室が縮小・増大する。このため、可動アクチュエータ板と共働して、各々他方の密封室が関連する密封室と逆に振る舞う。即ち、体積が増大し、その結果密封室が負圧の発生に伴い液体で充填されるか、体積が縮小し、その結果、その密封室から油を排出する。この実施態様では、例えばアクチュエータ板の両側に各々シール要素が設けられ、その第1の変形可能なシール要素は第1密封室、第2の変形可能なシール要素は第2密封室に付属する。
【0039】
シール要素に直接又は間接的に作用して、該要素の弾性を調整する調整要素、特に調整ねじを設けるとよい。その調整要素は変形可能なシール要素を例えば予め締め付け、これはシール要素の弾性特性を変化させる。この結果、密封室で生ずる体積変化と、これに伴い生ずる差圧が調整され、これは、一体形液圧減衰装置の減衰特性に相応して影響を与える。
【0040】
本発明に基づく操作装置は、好適には、蒸気タービンの弁用に形成される。他のタービン機械、例えばガスタービンの弁の操作装置にも同様に利用できる。高圧(300バール迄の圧力)、高温(650℃迄の温度)の主蒸気を供給すべく設計した弁に対する要求に基づき、本発明による操作装置は、蒸気タービン弁用、特に主蒸気の供給用に特に適する。
【0041】
しかし本発明に基づく構想の基本的な考えは、他の工業分野での弁に対する操作装置にも利用でき、例えば化学プラントにおける弁装置や、高温高圧流体を案内するパイプラインにおける弁装置として利用できる。
【0042】
以下図示の実施例を参照し、本発明を詳細に説明する。図は、理解し易くするため、本発明の説明にとって重要な操作装置の構成要素だけを、尺度を無視して示す。各図において、同一部分には同一符号を付している。
【0043】
図1は、弁、特にタービン弁の操作装置を縦断面図で示す。この装置は長手軸線37に沿って、順に弁(図1に図示せず)の開き位置を調整する弁棒3、蓄圧装置7および駆動部5を備える。この駆動部5、蓄圧装置7および弁棒3は、少なくとも部分的にハウジング29内に配置されている。蓄圧装置7はばね要素21を有し、該要素21は長手軸線37に沿って相互に配置された多数の皿ばね23A、23Bからなる。駆動部5は蓄圧装置7を経て弁棒3に連結されている。蓄圧装置7と弁棒3は、蓄圧装置7の底25に形成した減衰ピストン27で連結されている。そのため、弁棒3は減衰ピストン27に接続されている。減衰ピストン27は長手軸線37に沿った軸方向で蓄圧装置7を境界づけている。蓄圧装置7は、その長手軸線37の方向における減衰ピストン27と反対側端に、係合要素9を有する。この要素9は、長手軸線37に対し平行に延びる舌片15を有する。この舌片15は可撓性の、特にばね弾性の材料、例えば金属から成る。
【0044】
長手軸線37の方向において、蓄圧装置7の係合要素9に、操作装置1の駆動部5が接している。駆動部5への蓄圧装置7の連結は、舌片15と駆動部5の外表面45の接触で行われている。駆動部5と蓄圧装置7とのもう1つの連結は、ばね要素21の圧力面47を経ての接触により行われている。その圧力面47は、長手軸線37に沿って延びる駆動部5のラム49の外表面45と接触している。従って必要に応じて、例えば引締め過程時に、長手軸線37の方向に圧力面47を経てばね要素21に力Fが与えられる。駆動部5は係合斜面体17を有し、この係合斜面体17は、駆動部5の円周にわたりその外表面45に形成されている。係合要素9と係合斜面体17は互いに接し、係合要素9は、与えるべき力Fの方向において係合斜面体17の後ろに配置されている。係合要素9は舌片15で係合斜面体17の外表面45に接し、かみ合い結合をなしている。駆動部5はコイル13を含む解除装置(引外し装置)11を備える。コイル13は、駆動部5に一体に組み入れられ、電流を供給される。なお、解除装置11を駆動部5と別個に配置し、非一体形構造にしてもよい。
【0045】
長手軸線37の方向で、減衰ピストン27に減衰シリンダ31が接し、該シリンダ31は減衰ピストン27を、隙間51を空けた状態で包囲している。ここで減衰ピストン27は、長手軸線37の方向で、与えるべき力Fの方向に関し衝突位置、即ち終端位置にある。従って、減衰ピストン27に接続された弁棒3は閉鎖位置にある。その際、弁棒3に結合された弁体(円錐状弁体、図示せず)が、操作装置1に結合された弁座(図示せず)に気密に接している。弁棒3に付属するタービン弁により調整すべき流体は、この弁棒3の閉鎖位置53でその流れを遮断される。従って弁の閉鎖中、流体、例えば蒸気タービン用の高温蒸気は供給されない。操作装置1の図1に示す調整状態で、ばね要素21は弛緩している。弁1が閉じ、蓄圧装置7が弛緩しているこの調整状態は、例えば操作装置1とそれに属する弁の高速閉鎖の完了後に生ずる。
【0046】
高速閉鎖の後、弁の開き位置を調整するため、まず蓄圧装置7に設定可能なバイアスがかけられる。蓄圧装置7の引締め過程を図2に詳細に示す。図2は、蓄圧装置7の引締め過程中の、図1の操作装置1の調整状態を示している。引締め過程において、力Fを、駆動部5を経てばね要素21の圧力面47に与えることで、蓄圧装置7のばね要素21にバイアスが与えられる。このため、ばね要素21、即ちこれを形成する皿ばね23A、23Bが圧縮される。同時に、ラム49が力Fの方向に手軸線37に対し平行に移動する。この停止した蓄圧装置7に対する駆動部5の変位に伴い、係合要素9の舌片15の弾力的な曲げ離し又は押し広げが行われる。その相対移動時、舌片15は係合斜面体17との接触を維持し、線形移動時係合斜面体17の輪郭を追従する。係合斜面体17は、上り側面33と、長手軸線37の方向でこの上り側面33に続く下り側面35とを持つ。駆動部5の外表面45は、上り側面33と下り側面35に沿い、係合要素9、特に可撓性のばね弾性舌片15に対する反作用面を形成する。係合要素9は舌片15の他にもう1つの舌片15Aを持つ。両舌片15、15Aは、引締め過程中に係合斜面体17に沿って滑り、長手軸線37に対し直角の平面内で押し開かれる。ばね要素21のばね特性に基づき力Fが更に増大した際、舌片15、15Aは再び係合斜面体17の下り側面35に沿って徐々に滑り落ち、最終的に係合要素9を係止する迄引締め過程が続き、係合要素9がその係止位置に達する。最終的な係止位置に達すると(図3参照)、引締め過程が終り、蓄圧装置7にバイアスFVが加わる。同時に操作装置1は、これに結合した弁の開き位置Dを調整すべく運転準備態勢(運転状態)である調整状態に入る。係合要素9は係止位置で、可撓性のばね弾性舌片15、15Aで係合斜面体17とかみ合い結合する。従って係合要素9が係止され、舌片15、15Aは解除装置11に密着する。
【0047】
次に図3を用い、運転位置での操作装置1の機能、即ち蓄圧装置7にバイアスFVが与えられた状態での操作装置1の機能を説明する。この運転位置で、予め圧縮されたばね要素21が、減衰ピストン27の底25と駆動部5のラム49との間に閉じ込められる。電磁コイル13への給電に伴い、解除装置11が動作する。舌片15、15Aに、少なくとも部分的に磁性材料を用いると、舌片15、15Aは活動中の電磁コイル13により吸引・保持される。この状態で、蓄圧装置7の圧縮されたばねエネルギ21が閉じ込められ、舌片15、15Aは係合斜面体17を円周方向で締め付ける。この結果、相応数の舌片15、15Aにおいて(例えば図5、図6参照)、舌片15、15Aにより部分的に形成されたコレットチャック19が生ずる。このチャック19は駆動部5の周囲を締め付ける。バイアスFVを蓄えるばね要素21が、コレットチャック19内に配置される。駆動部5は弁棒3に、引締め過程時にバイアスFVが与えられる蓄圧装置7を介して、蓄圧装置7にバイアスが与えられた状態での開口位置の調整時に、そのバイアスFVが変わらないよう連結されている。閉鎖位置53に対し、図3に示す操作装置1は開き位置Dにあり、減衰ピストン27は長手軸線37に沿って完全に減衰シリンダ31から出ている。その開き位置Dを調整・変化するため、操作力FS、FS′が必要である。この操作力FS、FS′は駆動部5を経て、蓄圧装置7とこれに結合された弁棒3に伝達される。長手軸線37上で減衰シリンダ31から離れる方向に向いた操作力FSにより、開き位置Dの増大が達成される。この操作力FSと逆向きの、即ち長手軸線37上で減衰シリンダ31の方向に向う操作力FS′により、開き位置Dが小さくされる。従って、その開き位置Dの調整で、操作装置1で操作される弁を通る流量を精確に調整できる。
【0048】
蓄圧装置7は駆動部5に、開き位置Dの調整時にバイアスFV下で駆動部5が蓄圧装置7と一緒に移動するよう接続されている。弁棒3が蓄圧装置7の減衰ピストン27に接続されているので、弁棒3は駆動部5で仲介された操作力FS、FS′に追従する。開き位置Dの調整時に、そのために与えるべき操作力FS、FS′は、バイアスFVより小さい。従って開き位置Dの調整は、通常の操作装置よりかなり小さな操作力FS、FS′で行える。特に本発明に基づく構想では、蓄圧装置7にバイアスを与える引締め過程を本来の開き位置Dの調整から分離し、これに伴い、引締め過程と調整過程を互いに独立させ得る。開き位置Dの調整時、予め締め付けられた蓄圧装置7のバイアスFVは不変であり、これに対し、ばね蓄圧器による通常の操作装置の場合、開き位置Dを調整するために復帰力に抗して作動せねばならない。この場合、開き位置Dは閉鎖位置53と一致すること、即ちD=0とすることができる。
【0049】
操作装置1と該装置で駆動される弁、特に蒸気タービン弁の運転確実性の向上のため、駆動部5は弁棒3に、引締め過程時にバイアスFVを与えられる蓄圧装置7を経て連結している。蓄圧装置7はばね要素21を含み、予め締め付けられたばね要素21がコレットチャック19内に配置され、弁棒3に固定された減衰ピストン27に作用する。そのバイアスFVは、特に減衰ピストン27の底25に作用する。操作装置1は、ばね要素21のばね力が必要な場合、操作装置1で駆動される弁の高速閉鎖をひき起こすよう設計されている。かかる閉鎖過程時、減衰ピストン27は弁棒3と共に弛緩するばね要素21で加速され、閉鎖位置53に置かれる。この所謂高速閉鎖過程は、解除装置11が舌片15、15Aを解放することで始まる。そのため、解除装置11の電磁コイル13を通る電流を遮断する。その遮断に伴い、バイアスFVに基づき係合要素9が係合斜面体17から解放され、コレットチャック19全体と一緒に、閉鎖位置53の方向に加速される。停電時とこれに伴う電磁コイル13の非励磁時、操作装置1と該装置1で操作される弁の自動自己閉鎖が保障される(図4参照)。
【0050】
図4は、自動自己閉鎖後の操作装置1の調整状態を示す。この状態は、蓄圧装置7、特にばね要素21が弛緩された、図1に示す操作装置1の調整状態に相当する。高速閉鎖に伴い、弁棒3は閉鎖位置53にあり、操作装置1に付属する弁(図4に図示せず)は閉じている。開き位置Dの調整のため、まず蓄圧装置7があらためて長手軸線37に対し平行な力Fを駆動部5に与えることで、バイアスFVを与えられる。その引締め過程の詳細は既に図1に関連して述べた。
【0051】
高速閉鎖時の減衰特性を改善するため、減衰ピストン27と減衰シリンダ31との間の隙間51に、少なくとも部分的に減衰液55が供給される。その減衰液55は例えば圧油であり、これは同時に操作装置1のハウジング29内に配置された可動構成要素の潤滑に資する。また弁棒3は、減衰シリンダ31とハウジング29に対し、各シール要素41、39により密封されている。このシール要素39、41は、隙間51とハウジング29から減衰液55が流出するのを防ぐ。また、シール要素39、41は弁棒3を案内し、従ってこの弁棒3は、一様に再現可能に、開き位置Dを調整でき、必要なら、例えば高速閉鎖時に閉鎖位置に置ける。開き位置Dを調整するため、駆動部5に、図示しない別の駆動構成要素も結合できる。これは例えば歯車装置とこれを駆動する電動機である。電動機はトルクを生じ、該トルクが、例えば多段歯車装置、例えばマイタ歯車装置を経て、ボール・ナット形駆動装置として形成された駆動部5を駆動する。この結果、電動機の回転運動が駆動部5の線形運動に変換される。電動機の利用で、操作装置1と共に、弁に対する電気機械式操作装置が生ずる。駆動部5を線形運動させるため、例示したボール・ナット形駆動装置の外に、別の、例えばクランク円板や偏心円板による駆動装置も利用できる。従って本発明の構想は、種々の歯車装置に非常に柔軟に適合する。更に操作装置1は種々の弁に有効に適用できる。これは蒸気タービン弁やガスタービン弁に、或いは操作装置1の安全で確実な作動を保障せねばならない、例えば化学工業の工業設備の弁に利用される。
【0052】
図5と図6は、コレットチャック19の異なった実施例を、明瞭化のため図4のV−V線に沿った断面図で各々示している。その断面は長手軸線37に対し直角に延び、従ってその断面平面は、第1軸線57とこの軸線に対し直角に延びる第2軸線59で規定されている。図5は、駆動部5の周囲を締め付ける4つの舌片15、15A、15B、15Cを示す。そのうち、舌片15、15Aは第1軸線57、残りの舌片15C、15Bは第2軸線59に沿って配置されている。舌片15Cは舌片15Bに、舌片15は舌片15Aに、各軸線57、59において対向して位置し、ここでは駆動部5が周りを締め付けられている。各舌片15、15A、15B、15Cは、駆動部5の外表面45に接触し、その外表面5に締付け力或いは把握力を与えている。
【0053】
図6は、より多数の舌片15、15A〜15Gを備えた実施例を示す。これら舌片は、駆動部5の周りに同心的に、かつ円周方向に対称に配置されている。この対称配置により、特に一様な力分布と負荷吸収ができ、引締め過程時、舌片15、15A〜15Gを有する係合要素9が、特に良好に係合斜面体17と係合する。更に、引締め過程時、コレットチャック19は駆動部5、特にラム49および係合斜面体17に対し、特に同じように相対運動する。
【0054】
図7は、蓄圧装置7の引締め過程を示す図2の部分VIIを拡大して示す。引締め過程時、蓄圧装置7のばね要素21にバイアスが加わる(図2参照)。図7に詳細に示す如く、減衰ピストン27の特に効果的な最終位置減衰作用のため、液圧減衰装置61が一体化されている。液圧減衰装置61は第1密封室63Aと、この室と別の第2密封室63Bとを持つ。減衰のため、第1密封室63Aと第2密封室63Bに各々液体65、例えば油が供給・排出される。第1密封室63Aを第2密封室63Bから空間的に分離すべく、可動アクチュエータ板67が設けられている。この板67は弁棒3に固く結合され、その結果弁棒3の運動がアクチュエータ板67を直接運動させる。第1密封室63Aにシール要素71A、第2密封室63Bにシール要素71Bが各々設けられている。シール要素71A、71Bは変形可能、即ちある弾性可撓特性を有し、例えばビトン(Viton)Oリングとして実現される。可動アクチュエータ板67の運動中、その運動方向に応じてシール要素71A、71Bが変形される。シール要素71A、71Bの変形により、密封室63A、63Bの体積変化が起こる。第1密封室63Aおよび/又は第2密封室63Bでの液体65の供給と排出は、各々それら密封室63A、63Bでの体積変化に伴う差圧により生じる。この差圧は、各密封室63A、63Bと周囲圧の間に生ずる。該周囲圧は、例えばハウジング29の内部にかかり、シールひれ41を経て第1密封室63Aに向かう圧力勾配が生ずる。第2密封室63Bは絞り要素69で境界づけられ、その寸法、特に横断面積により、第2密封室63Bへの液体の供給と排出が時間的に精確に決定される。減衰装置61はまた、例えば調整ねじの形をとる調整要素73を備える。調整要素73でシール要素71A、71Bの変形量が予め設定され、この結果、シール要素71A、71Bの弾性と、それに伴い減衰特性が設定される。可動アクチュエータ板67は、減衰ピストン27の内部にほぼ中央に心合わせして配置され、変形可能な両シール要素71A、71B間に、両側がかみ合い結合して置かれている。
【0055】
この形成により、弁棒の線形運動方向に応じ、片側の変形可能なシール要素71A、71Bが変形される。図7に示すように、シール要素71Bが押された場合、その有効シール面が増大し、第2密封室73Bは、液体に対し有用な体積が小さくなる。図示の調整過程の際、可動アクチュエータ板67の反対側でシール要素71A、例えばビトン・Oリングがアクチュエータ板67から離れる。このシール要素71Aに付属した第1密封室63Aの体積が増大し、発生した差圧、ここでは負圧に基づき、第1密封室63Aに液体65が充填される。変形可能な、即ち弾性のシール要素71A、71Bの変形は、シール要素71A、71Bが減衰ピストン27に接触することで制限される。減衰ピストン27は、言わば一体形減衰装置61を包囲し、特にアクチュエータ板67並びにこのアクチュエータ板67の両側に配置され各々の密封室63A、63Bに付属した変形可能なシール要素71A、71Bを包囲している。
【0056】
図7は、蓄圧装置7にバイアスFVがかけられ、弁が閉鎖位置にある調整状態を示す(図2の説明も参照)。通常、蒸気タービン弁に利用する際、その弁は構造的に、作用する蒸気圧が弁を閉鎖位置に保つよう設計される。
【0057】
それに対比して図8と図9に、各々操作装置1の弁開放過程中の状態を示す。この調整過程を示す図3を模して、図8は操作装置1の弁開放過程の始まりを示す。この際、操作装置1は弁を閉じたままに保つ密封力に抗して作動する。これは、例えば蒸気タービンの用途で、蒸気圧が弁棒3に付属する弁体(図8に図示せず)に加わっているので、その蒸気圧で仲介された密封力である。この密封力に抗した操作装置1の機械的作動のため、減衰ピストン27は、第1密封室63Aにあるシール要素71Aと接触する。その際、減衰ピストン27と可動アクチュエータ板67が接触する迄、減衰ピストン27がシール要素71Aを変形させる。同時に、第2密封室63B内にあるシール要素71Bは抜重され、シール要素71Bが可動アクチュエータ板67から離れ、もはや第2密封室63Bを密封しない。これは第2密封室63Bの体積が増大する。この密封室63Bでの体積増大に伴い、負圧、即ち周囲圧に対する差圧が生じ、この結果、第2密封室63Bにより多くの液体65が充填される。
【0058】
図9は、図3の部分VIIIにおける操作装置1の調整状態を示す。従って図9は、操作装置1が弁棒3を減衰ピストン27と共に長手軸線37の方向において減衰シリンダ31から出ている開き位置の詳細を示す。これに伴い、一体形液圧減衰装置61も、同様に減衰ピストン27と共に長手軸線37に沿って繰り出される。調整過程中、即ち繰り出し中、弁棒3はこれに接続された可動アクチュエータ板67と共に、変形可能な、特に弾性のシール要素71A、71Bを経てかみ合い結合で保持され、同時に案内される。その他に、シールひれとして形成したシール要素39、41が設けられ、これら要素39、41を経て弁棒3が密封して案内される。従って、図9に示すような開放過程の際、第1密封室63A内に配置されたシール要素71A並びにアクチュエータ板67の反対側に配置された第2密封室63B内のシール要素71Bは、各々アクチュエータ板67と接触し、かつ減衰ピストン27で形成された密封室63A、63Bの境界面と接触する。この結果両シール要素71A、71Bは、各々の密封室63A、63Bにおいて或る弾性応力の下でバイアスされ、アクチュエータ板67と減衰ピストン27で形成された内側境界面により挟み込まれている。その場合、アクチュエータ板67は減衰ピストン27に接触せず、変形可能なシール要素71A、71Bにより中央に保持される。この構成により、場合により生ずる振動が、密封室63A、63Bへの液体65、例えば圧油の充填と、弾性シール要素71A、71Bとにより減衰される利点がある。かかる振動は、操作装置1が蒸気タービンに採用されている場合、おそらく部分的に開いた弁により励起され、操作装置1に、特にその一体形減衰装置61付き減衰ピストン27に伝達される。
【0059】
図10は図4の部分Xに関する。この図は、自動自己閉鎖後又は高速閉鎖後の操作装置1の調整状態を示す。この状態は、蓄圧装置7、特にばね要素21が弛緩した、図1に示し既に上述した操作装置1の調整状態にほぼ相当する。高速閉鎖に伴い、弁棒3は閉鎖位置53(図4参照)にあり、操作装置1に付属した弁(図4、図10に図示せず)は閉じている。高速閉鎖中、減衰ピストン27はばね要素21の自由になったポテンシャルエネルギにより長手軸線37に沿って閉鎖方向に加速される。
【0060】
その場合、加速すべき質量、特に弁棒3とこれに結合された弁体(図示せず)とアクチュエータ板67との合計質量の慣性のため、長手軸線37上で閉鎖位置と反対側の第2密封室63Bのシール要素71Bが変形する。その変形は、減衰ピストン27により形成された第2密封室63Bを境界づける境界面と、アクチュエータ板67との間でシール要素71Bを締め付けることで生じる。これに対し図10に示す調整状態では、第1密封室63Aのシール要素71Aに殆ど応力がなく、変形していない。第2密封室63Bのシール要素71Bの変形に伴い、直接第2密封室63Bの有効体積が減少する。その結果、第2密封室63Bから液体65が押し出される。しかし液体65は第2密封室63Bから、図10内に矢印で示すように、液体絞り要素69を経て流出する。高速閉鎖時、弁棒3が最終的な閉鎖位置53に到達した際(図4参照)、減衰ピストン27とばね要素21の慣性質量が、その運動エネルギに基づき、まず第2密封室63Bのシール要素71Bを一層変形させる。閉鎖位置53への到達後の弁棒3によるこの変形は、減衰ピストン27とアクチュエータ板67が接触する迄続く。この接触迄、第2密封室63Bから液体絞り要素69を経て液体65が流出する。液体絞り要素69の寸法、特に絞り要素69の断面形状についての寸法が、この液体流出の時間的経過を決定し、これによって、この運転状態における減衰装置61の最終位置減衰性能を決定する。液体絞り要素69を経て第2密封室63Bから流出する液体65は、例えばハウジング29により境界づけられた無圧の集合室(図示せず)で受けられる。従って、非常遮断引外し時、減衰ピストン27に一体化された減衰装置61により、操作装置1に対する最終位置減衰作用を著しく改善できる。上述のように、減衰装置61は、特に閉鎖位置53に到達した際の衝撃エネルギを的確に減少させる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に基づく弁の操作装置の縦断面図。
【図2】 図1と異なった状態にある操作装置の断面図。
【図3】 図1および図2と異なった状態にある操作装置の断面図。
【図4】 図1、図2、図3と異なった状態にある操作装置の断面図。
【図5】 図4におけるV−V線に沿った操作装置の断面図。
【図6】 異なった形のコレットチャックを備えた操作装置の図5に相当した断面図。
【図7】 減衰ピストンに一体化された液圧減衰装置を備えた操作装置の図2の部分VIIに相当した詳細図。
【図8】 減衰ピストンに一体化された液圧減衰装置を備えた操作装置の、蓄圧装置にバイアスが与えられた状態での開き位置の調整時における図3における部分VIIIに相当した詳細図、
【図9】 操作装置の異なった状態の図8に相当した図。
【図10】 非常遮断引外し後の一体形減衰装置の図4における部分Xに相当した詳細図。
【符号の説明】
1 操作装置、3 弁棒、5 駆動部、7 蓄圧装置、9 係合要素、11 解除装置、13 電磁コイル、15 舌片、17 係合斜面体、19 コレットチャック、21 ばね要素、27 減衰ピストン、63 密封室、65 液体(圧油)、67 アクチュエータ板、69 液体絞り要素、71 シール要素
Claims (17)
- 弁の開き位置(D)を調整する弁棒(3)と、該弁棒に属する駆動部(5)とを備えた弁の操作装置であって、
前記弁棒(3)と駆動部(5)とは、ばね要素(21)を備えて引締め過程時にバイアス(F V )を与えられる蓄圧装置(7)を経て相互に結合され、
前記蓄圧装置(7)は、引締め過程後、バイアス(F V )をばね要素(21)に印加して長手軸(37)に対し平行な力を駆動部(5)に与え、
引締められた蓄圧装置(7)は、開き位置の調整時、バイアス(F V )を一定に保持し、
バイアス(F V )を保持した状態で、駆動部(5)は蓄圧装置(7)と、駆動部(5)が蓄圧装置(7)と開き位置(D)の調整時一緒に動き得るように結合され、
前記バイアス(F V )の保持のために係合要素が設けられ、該要素が引締め過程時に係止されるものにおいて、
前記係合要素(9)が、係合傾斜体(17)とのかみ合い結合のために可撓性の舌片(15、15A、15B)を備えることを特徴とする弁の操作装置。 - 開き位置(D)の調整時に付与すべき操作力(FS、FS′)がバイアス(FV)より小さいことを特徴とする請求項1記載の装置。
- 係止された係合要素が、バイアス(F V )の少なくとも約50%を保つことを特徴とする請求項1記載の装置。
- バイアス(FV)の約50%迄保持する解除装置(11)を備えることを特徴とする請求項1記載の装置。
- 解除装置(11)が、コイル(13)で電磁的に作動されることを特徴とする請求項4記載の装置。
- 係合斜面体(17)を円周方向に囲み、締め付ける多数の舌片(15、15A、…15G)を備えることを特徴とする請求項1記載の装置。
- 部分的に舌片(15、15A、…15G)で形成されたコレットチャック(19)を備え、該チャック(19)が駆動部(5)の周囲を締め付けることを特徴とする請求項6記載の装置。
- コレットチャック(19)内に、バイアス(F V )を蓄えるばね要素(21)が配置されたことを特徴とする請求項7記載の装置。
- コレットチャック(19)の底(25)が、ばね要素(21)が弛緩した際に弁棒(3)の運動を減衰すべく利用される減衰ピストン(27)を有することを特徴とする請求項8記載の装置。
- 減衰ピストン(27)に、最終位置減衰用の液圧減衰装置(61)が一体化されたことを特徴とする請求項9記載の装置。
- 液圧減衰装置(61)が、第1密封室(63A)と該密封室(63A)とは別の第2密封室(63B)を含み、開き位置に関係してそれら密封室(63A、63B)に、各々液体(65)が減衰のために供給されるか、そこから排出されることを特徴とする請求項10記載の装置。
- 第1密封室(63A)と第2密封室(63B)での液体(65)の供給又は排出が、各々それらの密封室(63A、63B)の体積変化に伴う差圧により生じることを特徴とする請求項11記載の操作装置。
- 密封室(63A、63B)を空間的に分離する可動アクチュエータ板(67)を備えることを特徴とする請求項11又は12記載の装置。
- 少なくとも片側の密封室(63A、63B)に、液体絞り要素(69)が隣接することを特徴とする請求項11から13の1つに記載の装置。
- 密封室(63A、63B)に変形可能なシール要素(71A、71B)が配置され、該要素の変形により、密封室(63A、63B)の体積が変化することを特徴とする請求項11から14の1つに記載の装置。
- シール要素(71A、71B)に直接又は間接的に作用して、該要 素の弾性を調整する調整要素(73)を備えることを特徴とする請求項15記載の装置。
- 操作される弁が蒸気タービンの弁であることを特徴とする請求項1から16の1つに記載の装置。
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