JP4058953B2 - 薄肉部品の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄肉部品の製造方法に関し、特に、少量生産に好適な薄肉部品の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
薄肉部品を少量生産する場合、従来では、部品の複製型を製作し、複製型に樹脂を含浸させた例えば炭素繊維を積層し、積層樹脂に複製型の形状を転写して製作するのが一般的であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の製造方法では、樹脂含浸繊維を複製型に積層するものであるため、金属部品には適用できず、金属部品であれば可能な焼き付け塗装ができない不具合があった。
【0004】
また、複製型が必要であり、部品のCADデータから加工のためのNCデータを作成し樹脂等を加工して製作する等製作費用が高価となり、また、複製型の製作から部品の製作までの期間が長くなる不具合もあった。
【0005】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、金属部品に適用可能な薄肉部品の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、ブロック材から切削により薄肉部品を製造する薄肉部品の製造方法において、加工テーブル上に固定されたブロック材の一方の面から切削することで薄肉部品の一方側を加工し、上記加工により取り除いた加工部分に混練材を充填し固化させ、固化した混練材の表面をブロック材の他方の面と平行に面加工し、面加工された混練材表面が加工テーブル面に接触するようブロック材を反転させて固定し、ブロック材の他方の面の周縁部の複数箇所を切削し、切削部分に混練材を充填して固化させることによって、その混練材と前記一方の面側の加工部分に充填固化させた混練材とを連結させて薄肉部品を保持させ、その後に残余の部分を切削することで薄肉部品の他方側を加工し、次いで前記混練材を加工後の薄肉部品より離脱させることを特徴とする。前記ブロック材の他方の面を切削するときには、ブロック材は混練材を介して加工テーブル上に支持され、加工により薄肉部品が変形したり移動したりすることがない。また残余の部分の加工時には、加工部分に充填固化した混練材と一方に配置した混練材とで薄肉部品は保持される。
【0007】
第2の発明は、第1の発明において、前記ブロック材の周縁は、薄肉部品の一方側および他方側の加工時に残されて枠状となり、薄肉部品とは最終的に分離される枠体を形成することを特徴とする。ブロック材の周縁部に枠体が残され、枠体内に薄肉部品が配置される。
【0009】
第3の発明は、第2の発明において、前記薄肉部品の他方側の加工は、薄肉部品の周縁部と枠体とを連結した状態で実施し、前記加工後に前記連結部は他方側からの突き加工により切除することを特徴とする。薄肉部品の他方側の加工中は、薄肉部品は連結部を介して枠体に保持される。
【0010】
第4の発明は、第2または第3の発明において、前記枠体の内周面には、混練材と係合する窪み若しくは突起を加工形成することを特徴とする。混練材と枠体とは互に係合して混練材の離脱が防げる。
【0011】
第5の発明は、第2ないし第4の発明において、前記薄肉部品の他方側の加工は、薄肉部品の内周部を加工し、その後に周縁部を加工することを特徴とする。薄肉部品は枠体と一体となり、その状態で加工される。
【0012】
【発明の効果】
したがって、第1の発明では、薄肉部品の一方側の加工時にブロック材から取り除いた加工部分に混練材を充填し固化させ、固化した混練材の表面をブロック材の他方の面と平行に面加工するため、薄肉部品の他方側を加工時に固化した混練材が加工される薄肉部品を変形させることなく支持し、薄肉部品の形状精度を向上させることができる。また一方側に固化された混練材と他方側において固化された混練材とにより、加工される薄肉部品と枠体とが連結でき、薄肉部品を枠体へより確実に保持できる。
【0013】
第2の発明では、第1の発明の効果に加えて、ブロック材の周縁に加工されずに残る枠体が形成されるため、ブロック材の一方には加工により窪みが形成され、薄肉部品の一方に配置される混練材の充填作業を容易となる。また、固化した混練材の面加工も枠体を基準に容易となる。また、ブロック材の他方側の加工時には、枠体を利用して加工テーブルに固定でき、加工テーブルへの固定が容易に行える。
【0015】
第3の発明では、第2の発明の効果に加えて、薄肉部品の他方側の加工は、薄肉部品の周縁部と枠体との連結状態により行われ、薄肉部品の他方側の加工後に前記連結部は他方側からの突き加工により切除されるため、加工時の薄肉部品の保持を一層強固にできる。
【0016】
第4の発明では、第2または第3の発明の効果に加えて、枠体の内周面には、混練材と係合する窪み若しくは突起を加工形成するため、枠体と固化した混練材との結合が強化され、薄肉部品の保持機能をより強化できる。
【0017】
第5の発明では、第2ないし第4発明の効果に加えて、薄肉部品の他方側の加工は、薄肉部品の内周部を加工し、その後に周縁部を加工するため、加工時の薄肉部品の変形を一層抑制できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0019】
図1は、本発明を適用した薄肉部品の製造方法の一例を、工程(A)〜(E)毎に示すものである。本発明の薄肉部品の製造方法においては、金属のブロック材を一方から加工して薄肉部品Wの一方の面を加工し、次に、一方の面に混練材を充填固化し、固化した混練材の表面を面加工する工程を備える。次いで、ブロック材を反転し、薄肉部品Wの他方の面を加工し、最後に、固化した混練材を薄肉部品から離脱させて、薄肉部品を得るものである。
【0020】
図1(A)〜(E)に基づいて、薄肉部品の製造方法を説明する。先ず、薄肉部品Wを収容可能な金属のブロック材1を(A)に示すように、加工テーブルT上に固定し、一方から切削して薄肉部品Wの一方の面W1を加工する。図中ハッチングで示してした部分Gが切削により加工され、矢印のごとく切除される部分である。図中に点線で示す部分は、未だ加工していない薄肉部品Wの輪郭を示している。
【0021】
次いで、(B)に示すように、(A)の加工工程により切除された部分に混練材2を充填し、固化させる。次いで、混練材2の表面をブロック材1の他方の面1Aと平行面2Aとなるよう面加工する。図中のハッチングと点々とで示す部分Hが固化した混練材2を示す。
【0022】
次いで、(C)に示すように、面加工した面2AがテーブルTに接触するよう反転して固定する。次に、(D)に示すように、ブロック材1を他方の面から切削して薄肉部品Wの他方の面W2を加工する。図中ハッチングで示してした部分Jが切削により加工され、矢印のごとく切除される部分である。加工後は、(E)に示すように、薄肉部品Wの一方の面W1に固化した混練材2が付着した状態であり、混練材2を離脱させることで、薄肉部品Wの完成品が得られる。
【0023】
本実施の態様にあっては、薄肉部品Wの一方側W1の加工時にブロック材1から切除した加工部分に混練材2を充填し固化させ、固化した混練材2の表面2Aをブロック材の他方の面1Aと平行に面加工する。このため、薄肉部品Wの他方側W2を加工時に固化した混練材2が加工される薄肉部品Wを変形させることなく支持し、薄肉部品Wの形状精度を向上させることができる。
【0024】
図3〜図12は、本発明を適用した薄肉部品の製造方法の他の例を、図2に示す薄肉部品Wの製造を例として加工工程毎に示すものである。
【0025】
図2により、先ず薄肉部品Wの一例を説明する。図示する薄肉部品Wは、自動車のドアパネルを示す。ドアパネルは車体外方に面する表面を備える薄肉のプレートW5とプレートW5に連なりドア空間を構成するために裏面から起立させたフレームW6とからなる。フレームW6とプレートW5とは一体に形成される。
【0026】
本実施形態の加工工程においては、図3〜図5の各加工工程により薄肉部品Wの表面側(車体外側に面する)を加工し、図6、7の各加工工程により裏面側加工の準備加工を施し、図8の反転工程を経て、図9〜図13の各加工工程により薄肉部品Wの裏面側を加工する。以下、各加工工程を詳細に説明する。
【0027】
先ず、図3〜図7により薄肉部品Wの表面側の加工工程について説明する。図3に示すように、薄肉部品Wとしてのドアパネルを包含する金属のブロック材1を準備する。このブロック材1は破線で図示するように上下面から切削加工することで薄肉部品を形成できる大きさのものを準備する。
【0028】
次いで、図4に示すように、ブロック材1を加工機械のテーブルT上にセットする。ブロック材1は、予め薄肉部品Wの表面側W1があるように載置される。ブロック材1は、その周縁の複数箇所を止め具3によりテーブルT側へ締め付けてテーブルTに固定する。ブロック材1の周縁には薄肉部品Wを内方に包含する枠体4を構成する。
【0029】
次いで、図5に示すように、加工機械の加工工具5Aによりブロック材1を破線範囲M1に亙り切削し、薄肉部品Wの表面側W1を加工する。この加工の範囲M1は、薄肉部品Wの周縁を越えて外側まで延長している。但し、ブロック材1の周縁の未加工部分である枠体4は存在させる。この枠体4は、背面側W2の加工時にブロック材1自体の強度を確保するものである。上記加工工程により、薄肉部品Wの表面側W1の加工が完了する。
【0030】
次いで、裏面側W2の加工のために、図6、7の準備加工がなされる。図6の加工工程においては、粉粒体と樹脂および硬化剤を混練りした混練材2を上記加工により窪んだ部分に充填し、化学反応等により混練材2を固化させる。混練材2としては、例えば、粉粒体として硅砂、樹脂として鋳造用のアルカリフェノール樹脂を使用し、アルカリフェノール樹脂に専用の硬化剤を使用する。充填する分量は、樹脂の硬化時の収縮を見込んで、加工された窪みを満たす分量より若干多めにして盛り上がるようにするのがよい。
【0031】
この表面側混練材2の固化後に、図7に示すように、切削工具若しくは研削工具等の加工工具5Bにより、盛り上がっている表面側混練材2の表面2Aをブロック材1の枠体4と同一面となるよう加工する。これにより、ブロック材1の表面側の加工工程が完了する。
【0032】
次いで、薄肉部品W裏面側W2の加工のために、図8に示すように、ブロック材1が反転され、前工程で加工された混練材表面2Aとその周縁の枠体4とをテーブルT表面に接触させて、同じくブロック材1を加工機械のテーブルT上にセットする。ブロック材1は、その周縁の複数箇所を止め具3によりテーブルT側へ締め付けてテーブルTに固定する。この状態においては、未だ加工されていない薄肉部品Wの裏面側W2に位置するブロック材1の裏面が上方となる。
【0033】
この時点から薄肉部品Wの裏面側W2の加工がなされる。ここでの加工は、薄肉部品Wの周縁の複数箇所を加工して加工部分の外周側に表面側固化混練材2の背面を露出させる。次いで、当該加工部分に裏面側混練材を充填し固化させ、この裏面側固化混練材と表面側固化混練材2とにより、ブロック材1の周縁の枠体4と薄肉部品Wとを連結する。この連結状態において、薄肉部品Wの残余の加工がなされる。
【0034】
先ず、図9に示すように、薄肉部品Wの周縁W7を複数箇所M2〜M5において周縁W7の外側部分も含めて加工工具5Aによりハッチングした範囲において加工する。薄肉部品Wの周縁W7の外側部分は先の工程によって充填された表面側固化混練材2が存在する。外側部分は前記表面側固化混練材2が露出するまで加工される。加工する複数箇所M2〜M5は、図9(A)に示すように、薄肉部品Wの周縁に均等に配置することが望ましい。加工する箇所数、加工幅は、製造すべき薄肉部品Wの形状、大きさにより変更して設定する。この加工において、薄肉部品WはテーブルTとの間で表面側固化混練材2およびブロック材1の枠体4により変形することなく保持される。なお、図9(B)において、薄肉部品Wの裏面側が輪郭部分まで加工部分M6に亙って加工されているが、このように薄肉部品の輪郭部分まで加工してもよい。
【0035】
次いで、図10に示すように、加工部分に粉粒体と樹脂との裏面側混練材7を充填し固化させる。この状態においては、加工部分に充填された裏面側固化混練材7はブロック材1の周縁の枠体4と薄肉部品Wの加工部分とを連結する。また、この裏面側固化混練材7は薄肉部品Wの表面側W1に充填された表面側固化混練材2と連結してブロック材1の周縁の枠体4と薄肉部品Wとを連結する。
【0036】
次いで、薄肉部品Wの残余の部分が図11〜13に示す工程により加工される。この場合、先ず、薄肉部品Wの内周部分を加工し、次いで、周縁部分W7を加工することが望ましい。即ち、薄肉部品Wの外周部分がブロック材1の周縁の枠体4にブロック材1自体によって連結された状態で内周部分を加工することで加工時のズレや変形を防止できる。
【0037】
図11の加工工程においては、薄肉部品Wの裏面側W2の内周部分M7を加工し、必要に応じて、図12に示すように、干渉部分M8に対しては斜め方向からの加工が加工工具5Cにより行われる。勿論この場合においても、薄肉部品WはテーブルTとの間で表面側固化混練材2およびブロック材1の枠体4により変形することなく保持される。
【0038】
次いで、図13に示すように、薄肉部品Wの裏面側W2の周縁部分W7を加工する。この加工においては、裏面側固化混練材7が存在する部分は、加工済みであり、残余の部分M9を加工する。この部分M9の加工において、薄肉部品Wの周縁W7の外側まで拡大して加工することで、表面側固化混練材2の裏面側を露出させる。これにより、薄肉部品Wとブロック材1の周縁の枠体4とが分離される。
【0039】
引き続き、ブロック材1の枠体4と薄肉部品Wとを連結している裏面側固化混練材7および表面側固化混練材2を夫々除去して薄肉部品Wを枠体4から取り出し、固化した各混練材2、7を除去することで、図2に示す完成した薄肉部品Wが得られる。
【0040】
なお、上記実施の態様において、表面側混練材2外周および裏面側混練材7外周が枠体4の内面に単に面接触により連結されるものについて説明したが、図14に示すように、枠体4に窪み4A、4Bを形成して、混練材2、7を充填した時に混練材2、7が窪み4A、4Bに入り込み硬化することで、混練材2、7と枠体4との結合強度を高めるようにしてもよい。この場合、図示しないが、窪み4A、4Bでなく突起を枠体4に形成してもよく、要するに、表面側混練材2の外周と枠体4の内周とが係合するようにすればよい。
【0041】
本実施の態様にあっては、図1で示す実施態様により得られる効果に加えて、以下に記載する効果を奏することができる。即ち、ブロック材1の周縁に加工されずに残る枠体4が形成されるため、ブロック材1の一方には窪みが加工により形成され、薄肉部品Wの一方に配置される混練材2の充填作業を容易とする。また、固化した混練材2の面加工も枠体4を基準に容易となる。また、ブロック材1の他方側の加工時には、枠体4の部分を利用して加工テーブルTに固定でき、加工テーブルTへの固定が容易に行える。
【0042】
薄肉部品Wの他方側の加工は、先ず周縁部分W7の複数箇所M2〜M5を加工し、加工部分に混練材7を充填し固化させ、その後に残余の部分を加工するため、一方側に固化された混練材2と他方側において固化された混練材7とにより、加工される薄肉部品Wと枠体4とが連結でき、薄肉部品Wを枠体4へより確実に保持できる。
【0043】
薄肉部品Wの他方側の加工は、薄肉部品Wの内周部分M7、M8を加工し、その後に周縁部分M9を加工するため、加工時の薄肉部品Wの変形を一層抑制できる。
【0044】
図15〜図21は、本発明を適用した薄肉部品の製造方法の更に他の実施の態様を示し、ブロック材1の枠体4と薄肉部品Wとの分離方法が第1の実施態様と相違している。なお、製造しようとする薄肉部品Wは第1の実施の態様と同一のものであり、第1実施の態様と同一工程は簡略に説明する。
【0045】
本実施の加工工程においては、図15〜18の各加工工程により薄肉部品Wの表面側を加工し、図19の反転工程を経て、図20、21の各加工工程により薄肉部品Wの裏面側を加工する。以下、各加工工程を詳細に説明する。
【0046】
先ず、図15、図16により薄肉部品Wの表面側の加工について説明する。図15に示すように、破線で図示するように各面から切削加工することで薄肉部品Wを形成できる大きさのブロック材1を加工機械のテーブルT上にセットする。ブロック材1は、予め薄肉部品Wの表面側があるように載置される。ブロック材1は、その周縁の複数箇所を止め具3によりテーブルT側へ締め付けてテーブルTに固定する。ブロック材1の周縁部分は薄肉部品Wを内方に包含する枠体4を構成する。
【0047】
次いで、図16に示すように、加工機械の加工工具5Aによりブロック材1を破線の範囲M1で切削加工し、薄肉部品Wの表面側を加工する。この加工の際に、薄肉部品Wの周縁W7を越えて外側まで延長して加工する。但し、ブロック材1の周縁の未加工部分である枠体4を存在させる。そして、窪みの枠体4側の壁面を斜め方向から加工工具5Cにより加工し、壁面に外周側に凹む溝8をインバース加工する。上記加工工程により、薄肉部品Wの表面側の加工が完了する。
【0048】
次に、図17、18により、裏面側の加工のための準備加工がなされる。図17に示すように、粉粒体と樹脂および硬化剤を混練りした混練材2を上記加工により窪んだ部分に盛り上がるように充填し、化学反応等により混練材2を固化させる。混練材2は枠体4の溝8にも充填されるため、混練材2の固化により混練材2とブロック材1とはより一層強固に一体化する。
【0049】
次いで、図18の加工工程において、混練材1の表面2Aを図7と同様にブロック材1の枠体4と同一面となるよう加工し、図19の反転工程において、ブロック材1を反転させてテーブルT上に固定する。
【0050】
引き続いて、薄肉部品Wの裏面側の加工が、図20、21においてなされる。図20の加工工程において、枠体4を除いて薄肉部品Wの裏面の外周部および内周部の全体を加工M10する。薄肉部品Wの周縁W7は薄肉部9により枠体4の内周に連結した状態に加工する。勿論、薄肉部品Wの裏面に干渉部分が存在する場合には、図12に示す要領で斜め方向からの加工がなされる。この加工工程においても、薄肉部品WはテーブルTとの間で表面側固化混練材2およびブロック材1の枠体4により変形することなく保持される。
【0051】
図21の加工工程においては、図21(A)に示すように、薄肉部品Wの周縁部W7の複数箇所の残存部10を残して薄肉部品Wの周縁部W7を加工し、薄肉部品Wと枠体4との間を切削加工M11する。この切削加工M11は、図21(B)に示すように、表面側混練材2の裏面に到達するまで切り込む。この状態においては、薄肉部品Wと枠体4との間は複数箇所に配置した残存部10のみで連結されている。続いて、残存部10を同様にして上から加工工具5Aにより突き加工で切除する。これにより、薄肉部品Wとブロック材1の周縁の枠体4とが分離される。引き続いて、ブロック材1の枠体4と薄肉部品Wとを連結している表面側固化混練材2を除去して薄肉部品Wをブロック材1から取り出し、固化した混練材2を除去することで、図2に示す完成した薄肉部品Wが得られる。この加工工程においても、薄肉部品WはテーブルTとの間で表面側固化混練材2およびブロック材1の枠体4との残存部10により変形することなく保持される。
【0052】
本実施の態様にあっては、図3〜図13に記載の実施の態様による効果に加えて、下記に記載した効果を奏することができる。即ち、薄肉部品Wの他方側である裏面側の加工は、薄肉部品Wの周縁部W7と枠体4との連結状態により行われ、その加工後に前記連結部である残存部10は他方側からの突き加工により切除されるため、加工時の薄肉部品Wの保持を一層強固にできる。
【0053】
枠体4の内周面には、混練材2と係合する窪み8を加工形成するため、枠体4と固化した混練材2との結合が強化され、薄肉部品Wの保持機能をより強化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す薄肉部品の製造方法の工程を(A)〜(E)に分けて示す工程図。
【図2】本発明の他の実施形態を説明するために用いられる薄肉部品の平面図(A)および側面図(B)。
【図3】本発明の他の実施形態の金属のブロック材を示す平面図(A)および側面図(B)。
【図4】ブロック材の加工テーブルへの固定状態を示す側面図。
【図5】薄肉部品の一方の面の加工状態を示す側面図。
【図6】薄肉部品の一方の面の加工により生じた窪みへ混練材を充填し、固化した状態を示す側面図。
【図7】図6に示す固化した混練材の面加工を示す側面図。
【図8】反転させてブロック材を加工テーブルに固定した状態を示す側面図。
【図9】薄肉部品の周縁の複数箇所の加工工程を示す平面図(A)、および、断面図(B)。
【図10】図9での加工部分に混練材を充填して固化させた状態を示す平面図(A)、および、断面図(B)。
【図11】薄肉部品の裏面側の内周部分の加工工程を示す断面図。
【図12】図11の加工工程中に必要に応じて干渉部分に対して実施される斜め方向からの加工工程を示す断面図。
【図13】薄肉部品の残る周縁部分の加工工程を示す平面図(A)、および、断面図(B)。
【図14】枠体内面形状の変形例を示す断面図。
【図15】本発明の更に他の実施形態の金属のブロック材の加工テーブルへの固定状態を示す側面図。
【図16】薄肉部品の一方の面の加工状態を示す側面図。
【図17】薄肉部品の一方の面の加工により生じた窪みへ混練材を充填し、固化した状態を示す側面図。
【図18】図17に示す固化した混練材の面加工を示す側面図。
【図19】反転させてブロック材を加工テーブルに固定した状態を示す側面図。
【図20】薄肉部品の裏面側の周縁部を残して行われる加工工程を示す断面図。
【図21】薄肉部品の周縁部の加工工程を示す平面図(A)、および、断面図(B)。
【符号の説明】
W 薄肉部品
W1 薄肉部品の表面側(薄肉部品の一方側)
W2 薄肉部品の裏面側(薄肉部品の他方側)
1 ブロック材
2 表面側混練材(混練材)
3 止め具
4 枠体
4A、8 窪み
5A、5B、5C 加工工具
7 裏面側混練材(混練材)
9 薄肉部
10 残存部(連結部)
Claims (5)
- ブロック材から切削により薄肉部品を製造する薄肉部品の製造方法において、
加工テーブル上に固定されたブロック材の一方の面から切削することで薄肉部品の一方側を加工し、
上記加工により取り除いた加工部分に混練材を充填し固化させ、
固化した混練材の表面をブロック材の他方の面と平行に面加工し、
面加工された混練材表面が加工テーブル面に接触するようブロック材を反転させて固定し、
ブロック材の他方の面の周縁部の複数箇所を切削し、切削部分に混練材を充填して固化させることによって、その混練材と前記一方の面側の加工部分に充填固化させた混練材とを連結させて薄肉部品を保持させ、その後に残余の部分を切削することで薄肉部品の他方側を加工し、
次いで前記混練材を加工後の薄肉部品より離脱させる
ことを特徴とする薄肉部品の製造方法。 - 前記ブロック材の周縁は、薄肉部品の一方側および他方側の加工時に残されて枠状となり、薄肉部品とは最終的に分離される枠体を形成する
ことを特徴とする請求項1に記載の薄肉部品の製造方法。 - 前記薄肉部品の他方側の加工は、薄肉部品の周縁部と枠体とを連結した状態で実施し、前記加工後に前記連結部は他方側からの突き加工により切除する
ことを特徴とする請求項2に記載の薄肉部品の製造方法。 - 前記枠体の内周面には、混練材と係合する窪み若しくは突起を加工形成する
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の薄肉部品の製造方法。 - 前記薄肉部品の他方側の加工は、薄肉部品の内周部を加工し、その後に周縁部を加工する
ことを特徴とする請求項2ないし請求項4のいずれか一つに記載の薄肉部品の製造方法。
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CN101210723B (zh) * | 2006-12-28 | 2013-01-02 | 株式会社半导体能源研究所 | 空气吹淋装置、建筑物、以及花粉过敏症减少系统 |
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JP2003225832A (ja) | 2003-08-12 |
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