JP4057734B2 - 既設トンネルの拡幅工法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、既設トンネルを拡幅するためのトンネル拡幅工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
既設トンネルにおいて、トンネル覆工コンクリートの老朽化、通行車輌の大型化、運行列車の高速化、通行量の増大などの理由により、当該既設トンネルの拡幅を行う(以下、「拡幅工事」という)ことが数多く行われている。
従来、前記拡幅工事を行う代表的な方法としては、以下の二つの方法が存在していた。
【0003】
第一の方法は、図6(a)に示すように、既設トンネルT’の覆工コンクリ−トC’と拡幅すべき地山G’を同時に掘削し、最終的に、拡幅した壁面に覆工コンクリートK’を打設して拡幅工事を行うものである。しかし、この方法では、既設トンネルT’の内空部T’1内に、掘削機械、ズリ積み込み機械、ズリ搬出用トラックなどの各種作業用機械90を配設して作業を行うことになり、作業中は一般車輌に対し通行制限の措置を講じる必要がある。
【0004】
また、第二の方法は、図6(b)に示すように、既設トンネルT’の覆工コンクリートC’を残して拡幅すべき地山G’を掘削し、次に、拡幅した壁面に覆工コンクリートK’の打設を行い、最後に、既設トンネルT’の覆工コンクリートC’の解体・撤去を行うものである。しかし、当該方法においては、既設トンネルT’の覆工コンクリートC’は地山G’から直接地盤反力をとることができず、アーチ形状を有する覆工コンクリートC’が不安定となるため、覆工コンクリートC’の内側や外側に設けた補強材91,92により、その安定性を保つことが必要になる。このため、当該方法においても、既設トンネルT’の内空部T’1に設ける補強材92の存在により、車線数の減少を伴い、また、一時的とはいえ既設トンネルT’の覆工コンクリートC’の解体・撤去時に、前記の第一の方法と同様の通行制限の措置を講じる必要がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
既設トンネルは、そのほとんどが供用中である。そのため、従来の代表的な方法で拡幅工事を行う場合には、道路トンネルにおいては、車輌通行禁止、車線数の減少などの通行制限を伴うことになり、円滑な交通を妨げ、交通渋滞等を引き起こしてしまうという問題が生じていた。また、鉄道トンネルにおいては、列車運行規制を行うか、あるいは、夜間等の列車通行がない極めて短時間の中で、拡幅工事を実施することが必要になっていた。
【0006】
本発明は、前記のそれぞれの問題点を除くためになされたものであり、既設トンネルの拡幅工事中における長期間にわたる車輌および列車の通行制限をなくすことができるトンネル拡幅工法の提供を行うとともに、安全性および経済性にも優れたトンネル拡幅工法の提供を行うことを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
要するに請求項1記載の本発明は、既設覆工部を有する既設トンネルにおいて、前記既設覆工部の外周部を掘削し、拡幅した壁面を覆工した後、前記既設覆工部を除去する、既設トンネルの拡幅工法であって、
「(1)前記既設覆工部の外周部掘削時において、前記既設トンネルの内空部を侵すことなく、前記既設覆工部の安定性を保持する既設覆工部保持工程。
(2)前記既設覆工部の外周部掘削終了後および拡幅した壁面の覆工終了後、前記既設トンネルの内空部を遮蔽する遮蔽手段を設け、前記遮蔽手段の外側に存在する前記既設覆工部を除去する既設覆工部除去工程。」
の各工程を含むことを特徴としている。
ここで、前記既設覆工部の安定性を保持するための対策としては、既設覆工部を補強手段により構造的に補強すること、および、既設覆工部からの覆工材料の剥離防止を行うことが含まれる。
【0008】
したがって、本発明によれば、既設覆工部保持工程により、既設覆工部の外周部掘削時において、当該既設覆工部の安定性を確保することができるため、既設覆工部の内空部に設ける必要があった補強材を不要とすることができる。
また、既設覆工部除去工程により、既設覆工部の内空部を遮蔽する遮蔽手段を設け、前記遮蔽手段の外側に存在する前記既設覆工部を除去することで、既設覆工部を除去する際に、既設覆工部の内空部に各種の破砕物等が落下することを防止することができる。
そのため、本発明によれば、拡幅工事中において、一般車輌の通行制限をなくすことが可能となる。
【0009】
また、請求項2記載の既設トンネルの拡幅工法は、請求項1記載の既設トンネルの拡幅工法において、前記既設覆工部の壁面変位の計測を行うことにより、前記既設覆工部の安全性を確認しながら、前記既設トンネルの拡幅を行うことを特徴としている。
ここで、前記既設覆工部の壁面変位の計測は、当該既設トンネル壁面にレーザー測距儀を設置し、当該装置により行うことが好ましいものである。
【0010】
したがって、本発明を用いて、既設覆工部の壁面変位の計測を行うことにより、当該既設覆工部の安全性の確認を行うことができるため、一般車輌の通行が行われている既設トンネルにおいて、より安全に拡幅工事を行うことが可能となる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
ここで、実施形態の説明に先立ち、本発明の既設トンネル拡幅工法を適用する既設道路トンネル(以下、「既設トンネル」という)について、簡単に説明する。
【0012】
◎既設トンネルの概要
図5に示すように、地山G内に、楕円形状の既設トンネルTが形成されている。当該既設トンネルTの壁面は、アーチ形状に形成されたコンクリートで覆工されている。前記既設トンネルTにおけるコンクリートによる覆工部を、既設覆工部Cと称することにする。ここで、既設トンネルTの拡幅は、前記既設トンネルTの断面形状と略相似形である断面形状であって、所望の幅員となるように行うものである。
さらに、原則的に、拡幅工事中には、既設トンネルTの内空部T1を一般車輌Sが通行している。
【0013】
◎既設トンネルTの拡幅工法
図5に示すように、本発明に係る既設トンネルTの拡幅工法の考え方は、既設覆工部Cを、既設トンネルT内を通行している一般車輌Sに対する防御部材として使用しながら、当該既設覆工部Cの外周部G1の掘削を行い、拡幅した壁面を覆工して拡幅覆工部Kを形成した後、既設覆工部Cを除去するものである。すなわち、本発明は、まず、既設覆工部Cの外周部G1を掘削(以下、「外周部掘削工程」という)して、拡幅した壁面を覆工した(以下、「拡幅壁面覆工工程」という)後、前記既設覆工部Cを除去する工法であり、既設覆工部保持工程と、既設覆工部除去工程を含むものである。
以下に、各工程について詳説する。
【0014】
○外周部掘削工程
本工程は、既設覆工部Cの外周部G1を、所望の幅員に対応するまで掘削する工程であり、既存の各種掘削工法を用いることができる。
【0015】
○既設覆工部保持工程
本工程は、前記外周部掘削工程の実施時において、一般車輌Sの円滑な通行を確保するため、前記既設トンネルTの内空部T1を侵すことなく、既設覆工部Cの安定性を保持する工程である。ここで、「既設トンネルTの内空部T1を侵すことなく」とは、当該内空部T1に一般車輌Sの通行を阻害する部材や装置等を設けたり、当該内空部T1で種々の作業を行うことがないようにすることを意味する。
【0016】
既設覆工部Cの安定性を保持するための対策としては、当該既設覆工部Cを補強手段により構造的に補強すること、および、既設覆工部Cからの覆工材料の剥離防止に関する対策を行うことが含まれる。
なお、本工程は、既設覆工部Cを形成する覆工コンクリートの状態が非常に良く、地山Gからの反力が得られなくても作業に支障がない場合には、既に既設覆工部Cの保持が達成されていると考えられるため、本工程を必ずしも行う必要はない。その意味において、本工程は任意工程であると考えることもできる。
また、外周部掘削工程の当初は、本工程を行わない場合であっても、既設覆工部Cの外周部G1を掘削することに伴い、当該既設覆工部Cを補強する必要性が生じる場合も存在する。そのような場合には、事後的に、本工程を実施することは言うまでもない。
【0017】
1)既設覆工部Cの構造的補強
既設覆工部Cの構造的補強は、既設覆工部Cを既存の各種工法を使用して補強することにより、既設覆工部Cのアーチ作用を適切に維持させ、その安定性を確保することを目的として行うものである。実際に作業を行う場合には、既設トンネルT内を通行する一般車輌Sの走行を妨害しないように、既設覆工部Cの外周部G1側から行うことが必要である。
なお、本工程は、通常、既設トンネルTの外周部G1を所定の幅員に拡幅掘削した後に、行うものである。
【0018】
図1(a)は、既設覆工部Cの構造的補強方法の第1実施形態を示したものである。当該実施形態は、既設覆工部Cの状態がやや危険と考えられる場合の対策であり、当該既設覆工部Cの外周面C1を鉄筋11と吹付けコンクリート12により補強したものである。
なお、前記第1実施形態の場合と比較して、既設覆工部Cの状態が良好な場合には、単に、当該既設覆工部Cの外周面C1を吹付けコンクリート12のみで補強することにより対応可能である。
【0019】
図1(b)は、既設覆工部Cの構造的補強方法の第2実施形態を示したものである。この場合は、前記第1実施形態の場合と比較して、既設覆工部Cの状態が危険である場合の対策である。
当該実施形態では、既設覆工部Cの外周面C1を高張力ケーブル21で緊締するとともに、さらに吹付けコンクリート22、あるいは鉄筋コンクリートで補強するものである(図中には、吹付けコンクリート22の場合のみを示している)。
前記高張力ケーブル21の緊張力は、既設覆工部Cにおける脚部の外側面に設けられたターンバックル24により与えられており、当該ターンバックル24の先端部は、地中に固定されているロックボルト25に固着されている。
【0020】
既設覆工部Cの外周面C1には、凹凸が存在する。そのため、前記高張力ケーブル21の緊締を行う際には、高張力ケーブル21と既設覆工部Cの間に、所定の間隔で砂を袋詰めにしたサンドバック23を介挿させることにより、高張力ケーブル21が既設覆工部Cに及ぼす力の作用点を明確にすることが行われる。
さらに、従来から実施されている方法のように、既設覆工部Cの外側から補強材を設けることや、既設覆工部Cの脚部の変位を阻止するために根固めコンクリートを打設することなどを必要に応じて実施することもできる。
【0021】
2)覆工材料の剥離防止
応力集中や覆工材料の劣化に起因して、既設覆工部Cの内周面C2にすでに亀裂が入っている場合がある。このような場合、拡幅工事中に、既設トンネルTの内空部T1内に既設覆工部Cを構成する覆工材料の剥離物が落下し、大事故の原因となる可能性がある。本工程における作業は、このような既設覆工部Cからの覆工材料の剥離防止に関する対策を目的とするものである。
【0022】
覆工材料の剥離防止の対策においても、通常一般的に用いられている各種工法を使用することができる。例えば、図2に示すように、既設覆工部Cに、外周面C1から内周面C2に向かって穿孔を行い、被覆材33を既設覆工部Cの内周面C2に被覆し、ボルト31とナット32により固定する。この際、前記ボルト31は、既設覆工部Cの外周面C1方向から貫通孔C3に螺入し、内周面C2側に設けたナット32に螺合する。
前記被覆材33は、剥離物の落下性状に応じて、ベアリングプレート、金網、高強度繊維布などを選択することができる。
さらに、施工現場の状態により、被覆材33と、既設覆工部Cを一体化させる必要がある場合には、樹脂吹き付けなどを併用することも行われる。
【0023】
なお、本方法において、被覆材33の既設トンネルT内ヘの搬入作業、および、当該被覆材33の既設覆工部Cへの固定作業時には、一時的ではあるが既設トンネルT内での作業が必要となるため、当該既設トンネルT内を通行する一般車輌Sの通行制限を行うことが必要となる。しかし、前記穿孔作業は、既設トンネルTの外周面C1側から行うことが可能であり、また、被覆材33は軽量であることから作業は簡単であり、短時間で行うことができる。したがって、長期間に渡り、一般車輌Sの通行制限を行う必要はないため、従来工法の有していた大きな問題は生じない。
【0024】
○拡幅壁面覆工工程
本工程は、外周部掘削工程の終了後、拡幅した壁面に覆工コンクリートを打設し、拡幅覆工部Kを形成する工程である。本工程は、既存の各種工法を用いることができる。
【0025】
○既設覆工部除去工程
前記外周部掘削工程および拡幅壁面覆工工程の終了後には、既設覆工部Cの解体・撤去を実施することになるが、この場合も、既設トンネルTの内空部T1内に、既設覆工部Cの構成材料であるコンクリートの破砕物(以下、「破砕物」という)を落下させないようにしなければならない。
本工程は、前記拡幅壁面覆工工程終了後、既設トンネルTの内空部T1を遮蔽する遮蔽手段を設け、当該遮蔽手段の外側に存在する既設覆工部Cを除去することにより、既設トンネルTの内空部T1内の安全性を確保しながら、その作業を行うものである。
【0026】
本工程について説明する前に、本工程で使用する遮蔽手段である破砕用架台40について、図4を参照して説明する。
当該破砕用架台40は、前方部の鋼製シールド41と、後方部の作業架台42から構成されている。鋼製シールド41は、既設覆工部Cの下部に設けられ、既設トンネルTの内空部T1に破砕物が落下しないようにするための遮蔽手段である。当該鋼製シールド41は、空間的制限を有する既設トンネルTの内空部T1を最大限に有効利用するために、既設覆工部Cの内空部T1側に隙間なく設置されることが好適である。そのため、既設覆工部Cの形状であるアーチ形状と略等しい形状に形成されている。また、前記鋼製シールド41は、長手方向に、作業を行うに足りるだけの所望の長さを有している。
さらに、作業架台42は、その上部に破砕機M、および、ずり搬送用の設備(図示せず)等を載置し、既設覆工部Cの破砕作業を行うための作業部である。当該作業架台42は門型断面を有しており、破砕作業時当初は、その前面部42aが既設覆工部CのアーチクラウンC4の部位に当接する形態に設けられている。そして、鋼製シールド41と作業架台42は、その中間部において連結材44により一体となっている。
【0027】
また、前記鋼製シールド41と作業架台42の所定位置には、移動手段である車輪43が付設されている。当該車輪43は、電動機などの駆動手段(図示せず)により回動するように構成されており、破砕用架台40は、既設トンネルTの長手方向に移動自在になっている。
前記破砕用架台40は、前記のように形成されているため、前記既設トンネルTの内空部T1を遮蔽するとともに、当該内空部T1に、一般車輌Sを通過させることができるようになっている。
【0028】
次に、本工程の作業手順について説明する。
図4に示すように、既設トンネルTの入口方向(図中右方向)から、破砕用架台40を鋼製シールド41が前方になる向きで、既設覆工部Cの下方に進入させる。
所定位置にまで、鋼製シールド41を進入させた後、破砕機Mを作業架台42の前方位置に移動させる。そして、当該鋼製シールド41上の既設覆工部CCを、破砕機Mにより破砕し、ずり搬送設備(図示せず)を用いて破砕物を、既設トンネルTの坑外に搬出する。このとき、破砕物は、鋼製シールド41が存在することにより、既設トンネルTの内空部T1に落下することがないため、一般車輌Sの通行を阻害することがなく、その作業を行うことができる。
【0029】
所定区間における鋼製シールド41上の既設覆工部CCの除去が終了した後、破砕用架台40を移動させ、トンネル区間の全長にわたって、同様の作業を行うことになる。
【0030】
前記作業により除去される既設覆工部Cは、主に、上部に位置する部分のみであり、既設覆工部Cの側面部は、別の破砕機により破砕される。しかし、この場合であっても、前記破砕用架台40により、既設覆工部Cの側面部は遮蔽されているため、既設トンネルTの内空部T1内に破砕物が飛散等することはなく、一般車輌Sに影響を及ぼすことはない。
【0031】
なお、破砕用架台40は、前記実施形態のように、既設トンネルTの内空部T1側に隙間がなく設置されることが作業上効率的である。しかし、既設トンネルTの断面が比較的大きい場合には、一般車輌Sの通行を妨げない位置に設けるものであればよいことはもちろんである。
【0032】
○安全性の確保
本発明の既設トンネルの拡幅工法は、前記のようにアーチ形状である既設覆工部Cを通行車輌Sに対する防御部材として採用している。一般にアーチ形状は、非常に安定性の高い構造形式であるが、本発明の工法における拡幅工事では、作業の進行に伴い、このような条件はさまざまに変化する。しかも、前記各工程の作業中において、既設トンネルTの内空部T1内を一般車輌Sが通行している。したがって、既設覆工部Cの崩壊等が生じると、大惨事になりかねないことになる。
そのため、施工場所付近における既設覆工部Cの壁面変位の計測を行うことにより、前記既設覆工部Cの安全性を確認しながら、前記既設トンネルTの拡幅を行う必要がある。
当該既設覆工部Cの壁面変位の計測は、従来から使用されている各種の計測装置を用いることが可能である。しかし、特に、一般車輌Sの通行障害を起こさないレーザー測距儀51を使用することにより、非常に精度の高い、良好なデータを、簡易かつ容易に得ることができる。
【0033】
図3は、実施の一形態を示したものであり、既設覆工部Cの内周面C2に、所定位置に架台52を付設し、当該架台52上に壁面変位を検出するためのレーザー測距儀51を設置したものである。当該レーザー測距儀51は、データ解析手段(図示せず)に接続されており、常時、壁面変位の観測を行っている。
前記各レーザー測距儀51により、壁面変位の大きい箇所P1,P2,P3を検出した場合には、前記既設覆工部保持工程等の各種の安全対策を迅速に講じることが可能となる。
【0034】
以上、本発明の既設トンネル拡幅工法の好適な実施形態を例示して説明した。しかし、本発明は、前記実施例で示した既設トンネル拡幅工法に限られず、前記構成を有する各種の方法において適用可能であることは言うまでもない。
また、通常既設トンネルTは、所定の区間長を有しているため、一定区間毎に前記各工程を並行して行うことが一般的である。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、既設覆工部保持工程により、既設覆工部の外周部掘削時における当該覆工部の安定性を確保することができるため、既設覆工部の内空部に設ける必要があった補強材を不要とすることが可能となる。
また、既設覆工部除去工程により、既設覆工部の内空部を遮蔽する遮蔽手段を設け、前記遮蔽手段の外側に存在する前記既設覆工部を除去することで、既設覆工部を除去する際に、既設覆工部の内空部に各種の破砕物等が落下することを防止することができる。
そのため、本発明によれば、拡幅工事中において、一般車輌の通行制限をなくすことが可能となる。
【0036】
また、本発明を用いて、既設覆工部の壁面変位の計測を行うことにより、当該既設覆工部の安全性の確認を行うことができるため、一般車輌の通行が行われている既設トンネルにおいて、より安全に拡幅工事を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の既設トンネル拡幅工法における既設覆工部保持工程(既設覆工部の構造的補強)を示す正断面図であり、(a)は第1実施形態、(b)は第2実施形態である。
【図2】本発明の既設トンネル拡幅工法における既設覆工部保持工程(覆工材料の剥離防止)の第3実施形態である。
【図3】本発明の既設トンネル拡幅工法において、既設覆工部に壁面変位の計測装置を設置した状態を示す正断面図である。
【図4】本発明の既設トンネル拡幅工法における既設覆工部除去工程を示す図であり、(a)は側断面図、(b)はA−A断面図、(c)はB−B断面図である。
【図5】本発明の既設トンネルを示す正断面図である。
【図6】(a)、(b)ともに、従来の既設トンネル拡幅工法の概要を示す正断面図である。
【符号の説明】
T 既設トンネル
T1 内空部
G 地山
G1 外周部
C 既設覆工部
C1 外周面
C2 内周面
K 拡幅覆工部
11 鉄筋
12 吹付けコンクリート
21 高張力ケーブル
22 吹付けコンクリート
23 サンドバック
24 ターンバックル
25 ロックボルト
33 被覆材
40 破砕用架台
41 鋼製シールド
42 作業架台
51 レーザー測距儀
52 架台

Claims (2)

  1. 既設覆工部を有する既設トンネルにおいて、前記既設覆工部の外周部を掘削し、拡幅した壁面を覆工した後、前記既設覆工部を除去する、既設トンネルの拡幅工法であって、
    (1)前記既設覆工部の外周部掘削時において、前記既設トンネルの内空部を侵すことなく、前記既設覆工部の安定性を保持する既設覆工部保持工程。
    (2)前記既設覆工部の外周部掘削終了後および拡幅した壁面の覆工終了後、
    前記既設トンネルの内空部を遮蔽する遮蔽手段を設け、
    前記遮蔽手段の外側に存在する前記既設覆工部を除去する既設覆工部除去工程。
    の各工程を含むことを特徴とする既設トンネルの拡幅工法。
  2. 前記既設覆工部の壁面変位の計測を行うことにより、前記既設覆工部の安全性を確認しながら、前記既設トンネルの拡幅を行うことを特徴とする請求項1記載の既設トンネルの拡幅工法。
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