JP3888993B2 - トンネル拡幅方法 - Google Patents
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Description
前記既設トンネルの現行車線の通行を確保しながら、既設トンネルの外側領域において新設トンネル断面の上半部分を掘削する第1工程と、
前記既設トンネルの現行車線の通行を確保しながら、前記新設トンネル断面の上半掘削に後続して、又は前記上半掘削を終えた後、新設トンネル断面の他方側下半部分を掘削する第2工程と、
前記新設トンネル断面の掘削を終えたならば、該新設トンネルの他方側空間内に車線を確保した状態で、左右交互に既設トンネルの片側車線の通行を確保しながら、既設トンネルの覆工体を片側づつ順に取り壊しする第3工程と、からなることを特徴とするトンネル拡幅方法が提供される。
前記既設トンネルの現行車線の通行を確保しながら、既設トンネルの外側領域において新設トンネル断面の上半部分を掘削する第1工程と、
前記既設トンネルの現行車線の通行を確保しながら、前記新設トンネル断面の上半掘削に後続して、又は前記上半掘削を終えた後、新設トンネル断面の他方側下半部分を掘削する第2工程と、
前記新設トンネル断面の掘削を終えたならば、該新設トンネルの他方側空間内に車線を確保した状態で、既設トンネル内に防護兼用移動ステージを搬入し、少なくとも既設トンネルの取り壊し箇所に前記防護兼用移動ステージを設置するとともに、該防護兼用移動ステージの内側に車線を確保した状態で前記既設トンネルの取り壊しを行う第3工程と、からなることを特徴とするトンネル拡幅方法が提供される。
図1に示されるように、新設トンネル2の掘削に先がけて、既設トンネル1の補強を行う。既設トンネル1の補強は、中央分離帯位置に車線を仕切る防護壁4を設置し、既設トンネル1の内空間側より片側車線の通行を確保しながら、片側づつ順に行うようにする。補強方法は、例えば波板等の鋼板を壁面に沿って配設した後、この鋼板と壁面との間にモルタル類を充填することにより補強体3を構築する方法や、鋼アーチ材をトンネル長手方向に適宜の間隔で周方向に沿って設置し補強体3を構築する方法、およびこれらの組合せなどの補強方法を採用することができる。なお、この補強は既設トンネル1のコンクリート覆工体が厚く十分な耐力を有する場合には省略することができる。
既設トンネル1の補強を完了したならば、図2に示されるように、防護壁4を撤去し、新設トンネル2の掘削に入る。掘削は新設トンネル2断面を上半と下半とに分けて掘削する。掘削を上半・下半に分割する理由は、既設トンネル1の上部側地盤の掘削は、施工基面(掘削重機の設置面)が高くないと掘削が不可能若しくは困難であるためと、後述の側壁補強工程の施工が困難となるためである。そして、上半掘削を終えた部分から順に掘削壁面に対してモルタル又はコンクリート5Aの吹付けを行い、天井アーチ面の補強を図るとともに、場合によってはトンネル半径方向にロックボルト(図示せず)の打設を行うようにする。この第1工程の掘削は既設トンネル1には影響しないため、現行車線の通行を確保しながら施工が可能である。
新設トンネル2断面の上半掘削を終えた部分から順に、図3に示されるように、新設トンネル2計画断面の一方側側壁部の補強を上半掘削空間からトンネル長手方向に沿って行う。この側壁補強工程は、後段の既設トンネル1の取り壊しの際、地山が崩壊するのを防止するために行うものであり、地山が十分に強固である場合には省略が可能である。側壁補強工法としては、フォアパイリングによる先受工、ロックボルト補強工、薬液注入工、曲線パイプ補強工、プレライニング工、フットパイル工などを挙げることができる。図示例は曲線ロッドによる曲線削孔機6を上半掘削空間に設置し、側壁部に向けて削孔を行い、セメント系充填材を注入することにより柱列状に補強杭7をトンネル方向に適宜の間隔をおいて設置する工法の例である。なお、この第1A工程も既設トンネル1には影響しないため、現行車線の通行をそのまま確保することが可能である。
前記新設トンネル2断面の上半掘削に後続して、又は前記上半掘削を終えた後、図4に示されるように、新設トンネル2断面の他方側下半部分を掘削する。下半掘削を終えた部分から順に掘削側壁面に対してモルタル又はコンクリート5Bの吹付けを行い側面の補強を図るとともに、場合によってはトンネル半径方向にロックボルト(図示せず)の打設を行うようにする。この第2工程の掘削も既設トンネル1には影響しないため、現行車線の通行を確保しながら施工が可能である。なお、上半掘削に後続して下半掘削を行う場合には、上半掘削に平行して同時作業的に下半掘削を行ってもよいし、人手、ズリ出し等の問題により上半掘削と下半掘削とを交互に行うようにしてもよい。
以上の工程で新設トンネル2の掘削をすべて完了したならば、図5に示されるように、新設トンネル2内に防護壁8を設置し、新設トンネル2の他方側空間に車線を確保した状態で、既設トンネル1内に防護壁4を設置し、図6及び図7に示されるように、左右交互に片側車線の通行を確保しながら、既設トンネル1の覆工体9A、9Bの取り壊しを片側づつ順に行う。この第3工程においても、前記新設トンネル2内に確保した車線と、既設トンネル1内に確保した車線とにより、現行車線数と同じように、上下車線の通行を確保することが可能である。
以上の工程で新設トンネル2の掘削をすべて完了したならば、図8及び図9に示されるように、既設トンネル1内に防護兼用移動ステージ10を搬入し、少なくとも既設トンネル1の取り壊し箇所に前記防護兼用移動ステージ10を設置する。そして、前記防護兼用移動ステージの内側に車線を確保しながら前記既設トンネル1の覆工体9の取り壊しを行う。従って、前記新設トンネル2内に確保した車線と、前記既設トンネル1内に確保した車線とにより、上下車線の通行を確保することが可能である。
前記第3工程の既設トンネル1の取り壊しが完了したならば、図10に示されるように、新設トンネル2内に少なくとも現行車線数を確保しながら、移動セントル15により新設トンネル2の内面に覆工体16を構築するようにする。
(1)上記形態例では、既設トンネルの補強に際し、既設トンネル1の内空間側より片側車線の通行を確保しながら、片側づつ順に行うようにしたが、図11に示されるように、防護兼用の移動架台17を既設トンネル1内に搬入し、走行車輌の通行を確保しながら補強体3を構築するようにしてもよい。
(2)上記形態例では、既設トンネルの補強に際し、既設トンネル1の内空間側より片側車線の通行を確保しながら、片側づつ順に行うようにしたが、トンネル長が短い等、短期間で取り壊し工事が完了するような場合には、一時的に交通止めを行い、一気に既設トンネル1の補強を行うようにしてもよい。
(3)上記形態例では、第3工程で既設トンネル1の取り壊しを左右交互に行うようにしたが、トンネル長が短い等、短期間で取り壊し工事が完了するような場合には、一時的に新設トンネル2内に確保した片側車線のみとし、一気に既設トンネル1の取り壊しを行うようにしてもよい。
(4)上記形態例では、既設トンネルの補強工程時に設置した防護壁4を第1工程時に撤去するようにしたが、この防護壁4は既設トンネルの補強体ともなるため、第3工程時までそのまま残置してもよい。
(5)上記形態例において、防護壁4,8は、トンネル内を左右の空間に仕切るように、防護壁上端を天井面に接合するようにしたが、上端を天井面に接合させることなく起立状態で固定されるものであってもよい。
Claims (5)
- 既設トンネル断面に対して新設トンネルの計画断面を、既設トンネルの一方側壁と新設トンネル計画断面の一方側壁とがほぼ一致するように又は近接するように片側に偏心させて計画し、
前記既設トンネルの現行車線の通行を確保しながら、既設トンネルの外側領域において新設トンネル断面の上半部分を掘削する第1工程と、
前記既設トンネルの現行車線の通行を確保しながら、前記新設トンネル断面の上半掘削に後続して、又は前記上半掘削を終えた後、新設トンネル断面の他方側下半部分を掘削する第2工程と、
前記新設トンネル断面の掘削を終えたならば、該新設トンネルの他方側空間内に車線を確保した状態で、左右交互に既設トンネルの片側車線の通行を確保しながら、既設トンネルの覆工体を片側づつ順に取り壊しする第3工程と、からなることを特徴とするトンネル拡幅方法。 - 既設トンネル断面に対して新設トンネルの計画断面を、既設トンネルの一方側壁と新設トンネル計画断面の一方側壁とがほぼ一致するように又は近接するように片側に偏心させて計画し、
前記既設トンネルの現行車線の通行を確保しながら、既設トンネルの外側領域において新設トンネル断面の上半部分を掘削する第1工程と、
前記既設トンネルの現行車線の通行を確保しながら、前記新設トンネル断面の上半掘削に後続して、又は前記上半掘削を終えた後、新設トンネル断面の他方側下半部分を掘削する第2工程と、
前記新設トンネル断面の掘削を終えたならば、該新設トンネルの他方側空間内に車線を確保した状態で、既設トンネル内に防護兼用移動ステージを搬入し、少なくとも既設トンネルの取り壊し箇所に前記防護兼用移動ステージを設置するとともに、該防護兼用移動ステージの内側に車線を確保した状態で前記既設トンネルの取り壊しを行う第3工程と、からなることを特徴とするトンネル拡幅方法。 - 前記第1工程の前工程として、既設トンネルを内空間側より覆工体の補強を行う既設トンネルの補強工程を有する請求項1、2いずれかに記載のトンネル拡幅方法。
- 前記第1工程と第2工程との間に、新設トンネル断面の上半掘削を終えた部分から順に、新設トンネル計画断面の一方側側壁部の補強を上半掘削空間からトンネル長手方向に沿って行う側壁補強工程を有する請求項1〜3いずれかに記載のトンネル拡幅方法。
- 前記第3工程の既設トンネルの取り壊しが完了したならば、新設トンネル内に少なくとも現行車線数を確保しながら、移動セントルにより新設トンネルの内面に覆工体を構築する第4工程を有する請求項1〜4いずれかに記載のトンネル拡幅方法。
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