JP7178243B2 - トンネル覆工体の施工方法 - Google Patents

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Description

本発明は、山岳トンネルや都市部に構築される開削トンネルなどにおける覆工体として、プレキャストコンクリート部材を用いたトンネル覆工体の施工方法に関する。
従来より、山岳トンネル工法では、掘削直後に掘削された岩盤面に吹付けによって吹付けコンクリートを施工した後、切羽後方側に設置されたセントル(覆工コンクリート用移動型枠)において、吹付けコンクリートの内周面に沿って防水シートを張設し、前記セントルに備えられた断面アーチ型からなる型枠を移動配置して、防水シートと型枠との間に覆工用コンクリートを打設する方法が広く用いられていた。
打設作業は、作業員が狭隘なセントルの中に入って、コンクリートの圧送圧で暴れるホースをしっかりと掴みながらコンクリートを流し込むとともに、打ち上がりに応じてホースの付け替えなどを行う大変な苦渋作業であった。また、コンクリートの締固めにおいても、作業員が狭隘なセントルの中に入って、コンクリートの水和熱による高温環境下でバイブレーターを振り回しながら作業を行う大変な苦渋作業であった。また、天端部の打設では、そのほとんどの範囲を目視することが不可能なため、締固め不足あるいは締固め度合いのばらつきが発生しやすく、このような締固めの不具合は空洞の発生、強度のばらつき、表面の仕上がり不良などに大きく影響するため、コンクリートの品質上の問題が発生することが多かった。
このため、近年では、既設トンネルの補修・補強を中心として、覆工体としてプレキャストコンクリート部材を用いてトンネル覆工体を構築する方法が採用されるようになってきた。
例えば、下記特許文献1では、コンクリート版の一面に鉄筋を突出したハーフプレキャスト版を使用し、このハーフプレキャスト版を、突出した鉄筋群をトンネルの地山側に向けた状態で、必要な間隔を介して配置し、ハーフプレキャスト版とトンネルの地山側との間に、コンクリートを充填するトンネルの覆工方法が開示されている。
また、下記特許文献2では、トンネル外に設置した組立架台において複数の円弧型のPC覆工板を前後左右に接合一体化して複数スパン分のアーチ型組立覆工板を組立て、車体上に設けた支持架台上に前記組立覆工板を支持し、この状態で車体をトンネル内に予め設置した側壁に沿って走行させて覆工部まで移動し、先行して据付けた前記組立覆工板に接合すると共に、左右の下端において前記側壁上に据付けるトンネル覆工板の据付け工法が開示されている。
更に、下記特許文献3では、新設トンネルの壁面脚部近傍位置に、トンネル延長方向に沿ってレール基礎と支保工支持基礎とを設け、前記レール基礎上面に、球状体を収容可能な凹所を有するレールを連続設置し、該レールの凹所に複数の球状体を分散して配置し、前記新設トンネルの掘削進行に追従して前進する切羽直近のトンネル壁面を支保する円弧状のアーチ版を、切羽後方にて仮組みし、前記レール内の球状体の転動を利用して前記切羽直近まで移動し、アーチ版脚部を前記レール基礎上から前記支保工支持構造上に移動設置するとともに、キーアーチを連結してアーチ版頂部を本組みしてアーチ閉合する方法が開示されている。
特開平11-71996号公報 特開平8-210099号公報 特開2004-324139号公報
しかしながら、上記特許文献1記載の方法では、プレキャスト版をトレーラー等に積んで坑内の覆工場所まで運搬する必要があるが、覆工場所まで運搬し終えた後の前記トレーラーを坑内で転回することができないため、前記トレーラーを坑内で長距離にわたって後進させる必要があり、車両通行の障害があるとともに後進時の安全性の低下等の懸念があった。
また、プレキャスト版を覆工場所にて架設するには、プレキャスト版を掴んで3次元に回転及び移動させることのできる治具を有する油圧ショベルを改良した架設専用機械などを使用して、プレキャスト版を把持し、3次元的に角度及び位置を調整しながら所定の配置場所に所定の角度で取り付け、先行して据え付けたプレキャスト版に接合するという作業を繰り返すものであり、6m/日程度の進捗に止まるため架設の効率化が課題だった。
また、上記特許文献2記載の方法では、トンネル坑外に設置した組立架台においてアーチ型組立覆工板を組立て、この組立覆工板を車体に設けられた支持架台によって支持した状態でトンネル坑内の覆工場所まで移動しているため、組立架台上で組み立てた組立覆工板を、トンネル坑内に移動するための支持架台上に盛替える作業が必要になるとともに、組立架台上で組み立てた組立覆工板を支持架台でトンネル坑内の覆工場所まで移動させるのに支持架台をトンネル坑外と覆工場所まで何度も往復させなければならないため、その移動時間が進捗を低下させることから移動方法の効率化が課題だった。
更に、上記特許文献3記載の方法では、アーチ版をレールに沿って施工場所まで移動した後、覆工場所において、アーチ版脚部をレール基礎上から支保工支持構造上に、ジャッキ、ウインチ等の移動装置によって移動設置する必要があるとともに、頂部にキーアーチを挿入する手間がある。
また、覆工コンクリートとしてプレキャスト版を用いた従来の施工では、接合面が水平となるSLより上半側だけをプレキャスト化の対象とし、これより下半側に現場打ちの側壁コンクリートを設ける構造が多かったため、必ずしも充分な生産性の向上が見込めない問題があった。
一方、都市部において地中にトンネル構造物を構築するに当たって、開削工事によって掘削を行い、場所打ちコンクリートによってボックスカルバートで構築することが行われている。しかしながら、このようなボックスカルバートの施工は、一定の施工区間毎に、人手によって鉄筋を組み、型枠を設置し、コンクリートを打設し、防水処理を行うなどの工程を繰り返して構築されるのが一般的であり、多大な人員を必要とするとともに、躯体構築に長期間を要していた。従って、都市部における開削トンネル工事においても、プレキャストコンクリート部材を用いてトンネル覆工体を構築することにより工事の省力化と工程の短縮を図ることが強く望まれていたが、この場合にも山岳トンネルにおけるプレキャスト化と同様な問題が発生することが懸念されていた。
そこで本発明の主たる課題は、覆工体としてプレキャストコンクリート部材を用いたトンネル覆工体の施工方法であって、省力的、安全かつ迅速な施工を可能とし、覆工コンクリートの品質上の不具合をなくすことにある。
上記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、複数のプレキャストコンクリート部材をアーチ型に組み立ててアーチ型覆工体を完成させた後、このアーチ型覆工体の両脚部下端に走行装置を取り付け、トンネル長手方向中心線の少なくとも両側部に予め構築してある場所打ちコンクリート構造物の上面に敷設されたレール上を走行させることにより所定の設置場所まで運搬し、前記場所打ちコンクリート構造物に接合する手順を繰り返して構築するトンネル覆工体の施工方法であって、
前記アーチ型覆工体の両脚部下端は、一般部の覆工体厚よりも地山側に増厚した横断面形状を成し、この増厚した増厚部の下端に第1水平面部を形成し、
一方、前記場所打ちコンクリート構造物は、インバートコンクリート又は架台コンクリートから成るとともに、前記アーチ型覆工体の両脚部下端の第1水平面部に対向する部分に所定の空間を空けて第2水平面部を形成してあり、
前記アーチ型覆工体の第1水平面部に走行装置を取り付ける一方、前記場所打ちコンクリート構造物の第2水平面部にレールを敷設し、前記アーチ型覆工体を前記場所打ちコンクリート構造物に載置した状態では、前記空間に前記走行装置とレールとが配置され、これよりもトンネル空間側の前記アーチ型覆工体と前記場所打ちコンクリート構造物との接合面は可及的に隙間が小さく設定されており、
前記場所打ちコンクリート構造物には、トンネル方向に前記走行装置の配置間隔に合わせた間隔で前記空間とトンネル空間とを連通する切欠きを予め形成しておくとともに、前記走行装置を取り外し可能としておき、前記アーチ型覆工体を所定の設置場所まで運搬したならば、
(1)前記切欠きを通して前記アーチ型覆工体と前記場所打ちコンクリート構造物との間にジャッキを挿入する第1手順と、
(2)前記ジャッキにより前記アーチ型覆工体を上昇させ、前記走行装置を撤去する第2手順と、
(3)前記走行装置に代えて、前記アーチ型覆工体と前記場所打ちコンクリート構造物との間に支持材を挿入して盛替えを行った後、前記ジャッキを撤去する第3手順と、
(4)前記アーチ型覆工体と前記場所打ちコンクリート構造物との間の空間を充填するようにグラウト材を注入する第4手順と、により前記アーチ型覆工体の据え付けを行うことを特徴とするトンネル覆工体の施工方法が提供される。
上記請求項1記載の発明は、複数のプレキャストコンクリート部材をアーチ型に組み立ててアーチ型覆工体を完成させた後、このアーチ型覆工体の両脚部下端に走行装置を取り付け、トンネル長手方向中心線の少なくとも両側部に予め構築してある場所打ちコンクリート構造物の上面に敷設されたレール上を走行させることにより所定の設置場所まで運搬し、前記場所打ちコンクリートに接合する手順を繰り返して構築するトンネル覆工体の施工方法である。
このとき、前記アーチ型覆工体を移動するための走行装置及びレールを、前記アーチ型覆工体と場所打ちコンクリート構造物(インバートコンクリート又は架台コンクリート)との接合面に設置すると、図23に示されるように、アーチ型覆工体の接合面と場所打ちコンクリート構造物の接合面との間に100mm以上の隙間を設けなければならず、この隙間が大きくなるほど品質上の問題が生じる可能性が高くなっていた。したがって、この隙間は、例えば10~20mm程度のできる限り小さくする必要がある。
更に、トンネル標準示方書[山岳工法編]5.2では、覆工コンクリートとインバートコンクリートとの接合面は、両者の間で軸力を円滑に伝達できるように、インバートの軸線と直交するように設けなければならない旨が規定されている。このため、図23に示されるように、接合面は傾斜した斜面となり、このような傾斜した接合面に走行装置及びレールを設置して運搬するのが困難であるという問題もあった。
そこで、本発明では、前記アーチ型覆工体の両脚部下端は、一般部の覆工体厚よりも地山側に増厚した横断面形状を成し、この増厚した増厚部の下端に第1水平面部を形成し、一方、前記場所打ちコンクリート構造物は、前記アーチ型覆工体の両脚部下端の第1水平面部に対向する部分に所定の空間を空けて第2水平面部を形成してあり、前記アーチ型覆工体の第1水平面部に走行装置を取り付ける一方、前記場所打ちコンクリート構造物の第2水平面部にレールを敷設し、前記アーチ型覆工体を前記場所打ちコンクリート構造物に載置した状態では、前記空間に前記走行装置とレールとが配置されるようにしている。
このように、前記走行装置及びレールが前記アーチ型覆工体と場所打ちコンクリート構造物との接合面とは別に設けられた、前記アーチ型覆工体の第1水平面部と前記場所打ちコンクリート構造物の第2水平面部とが対向された空間に配置されているため、アーチ型覆工体と場所打ちコンクリート構造物との接合面の隙間を可及的に小さく設定することが可能となり、高品質の覆工体が得られるようになる。
また、前記走行装置及びレールがそれぞれ水平な第1水平面部及び第2水平面部に備えられているため、レールに沿って走行装置が走行しやすく、アーチ型覆工体の移動が容易にでき、安全かつ迅速な施工が可能となる。また、前記走行装置及びレールがそれぞれ水平な前記第1水平面部及び第2水平面部に備えられているため、アーチ型覆工体の接合面が水平なSLとなるように現場打ちの側壁コンクリートなどを設ける必要がなくなり、SLより下半側のインバートコンクリートまでの区間をプレキャスト化することにより、現場打ち部が低減でき、トンネル施工の生産性が向上できる。
更に、本発明に係る施工方法では、前記アーチ型覆工体を前記場所打ちコンクリート構造物に載置した状態で、前記空間に前記走行装置とレールとが配置され、これよりもトンネル空間側の前記アーチ型覆工体と前記場所打ちコンクリート構造物との接合面の隙間が可及的に小さく設定されているため、アーチ型覆工体の設置場所においてアーチ型覆工体を移動した状態とほぼ同じ状態で据え付けることができ、重機などを用いて別の基礎上に盛替える必要がなく、安全かつ迅速な施工が可能となる。
また、前記アーチ型覆工体を据え付ける手順は、前記場所打ちコンクリート構造物には、トンネル方向に前記走行装置の配置間隔に合わせた間隔で前記空間とトンネル空間とを連通する切欠きを予め形成しておくとともに、前記走行装置を取り外し可能としておき、前記アーチ型覆工体を所定の設置場所まで運搬したならば、
(1)前記切欠きを通して前記アーチ型覆工体と前記場所打ちコンクリート構造物との間にジャッキを挿入する第1手順と、
(2)前記ジャッキにより前記アーチ型覆工体を上昇させ、前記走行装置を撤去する第2手順と、
(3)前記走行装置に代えて、前記アーチ型覆工体と前記場所打ちコンクリート構造物との間に支持材を挿入して盛替えを行った後、前記ジャッキを撤去する第3手順と、
(4)前記アーチ型覆工体と前記場所打ちコンクリート構造物との間の空間を充填するようにグラウト材を注入する第4手順と、により前記アーチ型覆工体の据え付けを行うようにする。
請求項2に係る本発明として、前記アーチ型覆工体と前記場所打ちコンクリート構造物との接合面の隙間は10~20mmに設定されている請求項1記載のトンネル覆工体の施工方法が提供される。
上記請求項2記載の発明では、接合面に走行装置及びレールを取り付けた場合には、図23に示されるように、前記アーチ型覆工体と前記場所打ちコンクリート構造物との接合面の隙間が100mm程度になるのに対して、本施工方法では、接合面とは別の前記第1水平面部及び第2水平面部にそれぞれ走行装置及びレールを設けているため、前記接合面の隙間を10~20mmと可及的に小さく設定することが可能となる。
請求項3に係る本発明として、前記走行装置のトンネル空間側の上端又はその近傍を始点として、前記アーチ型覆工体及び前記場所打ちコンクリート構造物の軸線とほぼ直交する方向に前記アーチ型覆工体と前記場所打ちコンクリート構造物との接合面が設けられている請求項1,2いずれかに記載のトンネル覆工体の施工方法が提供される。
上記請求項3記載の発明では、前記アーチ型覆工体と場所打ちコンクリート構造物との間で軸力を円滑に伝達できるように、前記走行装置のトンネル空間側の上端又はその近傍を始点として、前記アーチ型覆工体及び前記場所打ちコンクリート構造物の軸線とほぼ直交する方向に前記アーチ型覆工体と前記場所打ちコンクリート構造物との接合面を設けている。
請求項に係る本発明として、前記走行装置を撤去する手順前に、前記アーチ型覆工体と前記場所打ちコンクリート構造物とに跨る内壁面位置に、前記アーチ型覆工体の脚部下端が地山側へ移動するのを防止するとともに、前記アーチ型覆工体と前記場所打ちコンクリート構造物との隙間を塞ぐ型枠を兼用する鋼材を配置する請求項1~3いずれかに記載のトンネル覆工体の施工方法が提供される。
上記請求項記載の発明では、前記走行装置を撤去した後、前記アーチ型覆工体の脚部下端が地山側へ移動するのを防止する役割と、前記アーチ型覆工体と前記現場打ちコンクリート構造物との隙間を塞ぐ型枠としての役割とを兼用する鋼材を、前記アーチ型覆工体の所定の内壁面位置に配置している。
以上詳説のとおり本発明によれば、複数のプレキャストコンクリート部材をアーチ型に組み立てたアーチ型覆工体からなるトンネル覆工体の施工において、省力的、安全かつ迅速な施工が可能となるとともに、覆工コンクリートの品質上の不具合をなくすことができるようになる。
本発明に係るトンネル覆工体の施工方法による山岳トンネル1(第1形態例)の横断面図である。 アーチ型覆工体2とインバートコンクリート4との接合面近傍を拡大した横断面図である。 アーチ型覆工体2と架台コンクリート7との接合面近傍を拡大した横断面図である。 アーチ型覆工体2の下端部を拡大した横断面図である。 アーチ型覆工体2とインバートコンクリート4との接合面近傍を拡大した横断面図(その2)である。 アーチ型覆工体2の設置場所におけるトンネル内面を示す斜視図である。 山岳トンネルにおけるトンネル覆工体の施工手順(その1)を示す斜視図である。 山岳トンネルにおけるトンネル覆工体の施工手順(その2)を示す斜視図である。 山岳トンネルにおけるトンネル覆工体の施工手順(その3)を示す斜視図である。 山岳トンネルにおけるトンネル覆工体の施工手順(その4)を示す斜視図である。 (A)~(D)は、アーチ型覆工体2の据付けの第1手順~第4手順を示す、アーチ型覆工体2の下端部を拡大した横断面図及びトンネル空間側から見た側面図である。 アーチ型覆工体2とインバートコンクリート4との接合面近傍を拡大した横断面図である。 本発明に係るトンネル覆工体の施工による開削トンネル(第2形態例)の横断面図(施工時)である。 図13のA部拡大図である。 開削によるトンネル覆工体の施工手順(その1)である。 開削によるトンネル覆工体の施工手順(その2)である。 開削によるトンネル覆工体の施工手順(その3)である。 開削によるトンネル覆工体の施工手順(その4)である。 開削によるトンネル覆工体の施工手順(その5)である。 開削によるトンネル覆工体の施工手順(その6)である。 開削によるトンネル覆工体の施工手順(その7)である。 開削によるトンネル覆工体の施工手順(その8)である。 従来のトンネル覆工体とインバートコンクリートとの接合面近傍を拡大した横断面図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
〔第1形態例〕
本発明に係るトンネル覆工体の施工方法により構築したトンネル1は、図1~図6に示されるように、工場などで製造された複数のプレキャストコンクリート部材をアーチ型に組み立てたアーチ型覆工体2をトンネル方向に連続設置することにより、トンネル内面の覆工が行われている。
本施工方法は、新設トンネルの覆工コンクリート用として使用してもよいし、既設トンネルの既設覆工の内側に新規の覆工を追加する補修工法用として使用してもよい。以下の第1形態例では、新設の山岳トンネルに使用した場合について説明する。
新設の山岳トンネルの施工では、最初に、切羽近傍にホイールジャンボ、吹付け機、ホイールローダなどのトンネル施工用重機が配置され、掘削施工が行われる。掘削方法の違いにより全断面掘削工法、上部半断面先進工法、ロングベンチカット、ショートベンチカット、ミニベンチカット等のベンチカット工法などが存在するが、いずれにしてもトンネル掘削施工手順は、概ね掘削機械による機械掘削又は穿孔・装薬・発破の手順による発破掘削→ズリ搬出→鋼製支保工3の建込み→吹付けコンクリート施工→ロックボルト打設の工程を順に段階的に踏むことにより行われている。なお、前記支保工建込み、吹付けコンクリート施工およびロックボルト打設は、地山状況、トンネル施工方法および掘削方法等の違いによって省略されたり、順序が入れ替わることがある。また、前記吹付けコンクリートの内空面側には防水シート(図示せず)が張設される。
トンネル掘削後、地山条件などに応じて、トンネル底面に逆アーチ型に成形されたインバートコンクリート4が設置される。インバート工は、大型ブレーカやバックホウなどによるインバート掘削を行った後、コンクリートを打設して現場打ちのインバートコンクリート4を構築することにより、トンネルの底部の支保を行うものである。各区間の地山条件などによって、図1及び図2に示されるように、インバートコンクリート4を施工する区間と、図3に示されるように前記インバートコンクリート4を施工しない区間とが存在する。インバートコンクリート4を施工しない区間では、図3に示されるように、インバートコンクリート4の両側部(特に、後段で詳述する前記アーチ型覆工体2との接合面5及び第2水平面部8)と同形状の架台コンクリート7が設置される。前記架台コンクリート7は、前記アーチ型覆工体2との接合部を構成するとともに、後述するレール9を前記インバートコンクリート4から連続して敷設するための基礎となるものであり、現場打ちコンクリートによって施工される。
上記のようにして掘削されたトンネル内面の表面ライニングを行う方法として、本発明に係るトンネル覆工体の施工方法が用いられる。本施工方法は、図7~図10に示されるように、複数のプレキャストコンクリート部材2a、2a…をアーチ型に組み立ててアーチ型覆工体2を完成させた後、このアーチ型覆工体2の両脚部下端にそれぞれ走行装置12を取り付け、トンネルの少なくとも両側部に予め構築してある場所打ちコンクリート構造物(前記インバートコンクリート4又は架台コンクリート7のことであり、以下代表的に「インバートコンクリート4」という。)の上面に敷設されたレール9上を走行させることにより前記アーチ型覆工体2をトンネル坑内の所定の設置場所まで運搬し、前記場所打ちコンクリート構造物に接合する手順を繰り返してトンネル覆工体を構築する。
前記プレキャストコンクリート部材2aは、工場などの高度な品質管理下で生産されたコンクリート部材であるため、現場打ちのコンクリートに比べて品質に優れている。このため、構築された覆工体の強度が向上できるとともに、トンネル施工の作業性が改善される。前記プレキャストコンクリート部材2aは、現場打ちコンクリートとした場合の断面仕様を満足する複鉄筋構造とするのが望ましい。
前記アーチ型覆工体2は、複数の前記プレキャストコンクリート部材2a、2a…をアーチ型に組み立てて構成したものであり、トンネル1の上半アーチ及びインバートコンクリート4までの下半アーチ部分を形成している。前記アーチ型覆工体2は、トンネル方向に所定長さ毎に分割して形成され、所定の設置場所まで運搬したアーチ型覆工体2を先行して設置したアーチ型覆工体2に接続することにより、トンネル全長に亘って覆工体が構築されるようになっている。前記アーチ型覆工体2,2同士のトンネル長手方向の接続は、トンネル用セグメントで用いられているワンタッチジョイント方式でも良いが、接続部における水密性を確保するためにPC鋼線やPC鋼棒などの緊張材を用いて連結するのが望ましい。なお、前記アーチ型覆工体2は、トンネル周方向に沿って複数のプレキャストコンクリート部材2a…を連結した構造とするのが好ましい。
図2及び図3に示されるように、前記アーチ型覆工体2の両脚部下端はそれぞれ、一般部の覆工体厚Tよりも地山側に増厚した横断面形状を成し、この増厚した増厚部17の下端に、該アーチ型覆工体2を移動する際の支持面となる第1水平面部11を形成してある。前記増厚部17は、前記一般部(該増厚部17以外の一般的な部分であり、プレキャストコンクリート部材2aの中間部分)よりも厚く形成された部分であり、図2に示されるように、一般部の外周線をアーチ型の曲線に沿って接合面まで延長した仮想の延長線(図中の二点鎖線)より地山側に増厚された部分である。前記増厚部17は、トンネル1のSLより下半側の中間位置から下端に向けて徐々に厚みを増加させた横断面形状とするのが好ましく、この横断面形状をした増厚部17がトンネル方向のほぼ全長に亘って形成されている。前記増厚部17の下端には、トンネル1の横断面視で所定の幅を有する水平方向に沿う前記第1水平面部11がアーチ型覆工体2のほぼ全長に亘って形成されている。
前記第1水平面部11は、トンネル1の横断面視で、少なくとも前記走行装置12が取付け可能な幅を有しており、前記走行装置12の取付け幅とほぼ同等に形成するのが好ましい。これにより、前記アーチ型覆工体2の背面側(地山側)に形成される鋼製支保工3との空間を小さくすることができ、裏込コンクリートの厚さを薄くすることが可能となる。
前記走行装置12のトンネル空間側の上端又はその近傍を始点として、前記アーチ型覆工体2及びインバートコンクリート4の軸線とほぼ直交する方向に前記アーチ型覆工体2とインバートコンクリート4との接合面が設けられている。前記アーチ型覆工体2においては、図2に示されるトンネル1の横断面視で、前記第1水平面部11のトンネル空間側の端部を始点として、トンネル空間側に所定の方向に延びる接合面6が形成されている。
図2に示されるように、前記接合面6の幅は、アーチ型覆工体2の一般部の覆工体厚T(図中では二点鎖線からなる延長線によって一般部の外周線が表されている。)と同等以上で形成するのが好ましい。これにより、接合面6におけるインバートコンクリート4との接合強度を高めることができる。なお、図5に示されるように、地山状況によってはアーチ型覆工体2の一般部の覆工体厚T’が小さな区間が存在するが、この場合には、前記接合面6の幅を一般部の覆工体厚T’より地山側に延長して、図2に示される一般部の覆工体厚Tの区間と同じ幅の接合面6とするのが好ましい。したがって、前記接合面6の幅は、覆工体厚Tが最も大きくなる区間を基準に、トンネル全長に亘って一定の幅で形成するのが好ましく、これにより、前記接合面6の地山側の端部を始点として、水平方向に延びる前記第1水平面部11がトンネル1の全長に亘って同一面に形成され、アーチ型覆工体2をレール9に沿って滑らかに移動させることができるようになる。
前記接合面6が延びる方向は、上述のトンネル標準示方書[山岳工法編]5.2に準じて、アーチ型覆工体2とインバートコンクリート4との間で軸力が円滑に伝達できるように、アーチ型覆工体2及びインバートコンクリート4の軸線とほぼ直交して設けるのが望ましい。
一方、前記インバートコンクリート4には、図2に示されるように、アーチ型覆工体2の両脚部下端の前記第1水平面部11に対向する部分に、所定の空間18を空けて第2水平面部8が形成されている。前記第2水平面部8は、前記第1水平面部11より地山側に延在して形成されるとともに、前記第1水平面部11に対向する部分にはレール9が敷設され、前記第1水平面部11より地山側に延在した部分には鋼製支保工3が支持されている。
また、前記インバートコンクリート4には、前記第2水平面部8のトンネル空間側の端縁を始点として、略鉛直方向に起立した、前記空間18のトンネル空間側の壁面を構成する壁部19が形成されている。また、前記壁部19の上端を始点として、前記アーチ型覆工体2及びインバートコンクリート4の軸線とほぼ直交する方向に、前記アーチ型覆工体2との接合面5が形成されている。前記接合面5が延びる方向は、上述のアーチ型覆工体2の接合面6が延びる方向と同様に、上述のトンネル標準示方書[山岳工法編]5.2に準じて、アーチ型覆工体2とインバートコンクリート4との間で軸力が円滑に伝達できるように、アーチ型覆工体2及びインバートコンクリート4の軸線とほぼ直交して設けるのが望ましい。
前記空間18は、対向して配置された前記第1水平面部11及び第2水平面部8によって上下が区切られるとともに、トンネル空間側が前記インバートコンクリート4の壁部19によって区切られた、地山側の側面が開放する略矩形状の空間部分である。前記空間18は、トンネルの全長に亘って連続して形成されている。
前述の通り、前記アーチ型覆工体2の第1水平面部11には、前記走行装置12が取り付けられる一方、前記インバートコンクリート4の第2水平面部8には、前記レール9が敷設される。前記アーチ型覆工体2を前記インバートコンクリート4に載置した状態では、前記空間18に前記走行装置12とレール9とが配置され、これよりもトンネル空間側の前記アーチ型覆工体2の接合面6とインバートコンクリート4の接合面5とは可及的に隙間が小さく設定されている。
このように、前記走行装置12及びレール9が、前記アーチ型覆工体2とインバートコンクリート4との接合面とは別の、前記アーチ型覆工体2の第1水平面部11とインバートコンクリート4の第2水平面部8とが対向して配置された空間18に配置されているため、アーチ型覆工体とインバートコンクリートとの接合面に走行装置及びレールを設置した場合に比べて、アーチ型覆工体2とインバートコンクリート4との接合面の隙間Sを可及的に小さく設定することが可能となり、高品質の覆工体が得られるようになる。
また、前記走行装置12及びレール9がそれぞれ前記接合面5、6の傾斜に関係のない水平な第1水平面部11及び第2水平面部8に備えられているため、走行装置12がレール9に沿って走行しやすく、アーチ型覆工体2の移動が容易にでき、安全かつ迅速な施工が可能となる。また、前記走行装置12及びレール9がそれぞれ水平な第1水平面部11及び第2水平面部8に備えられているため、アーチ型覆工体の接合面を水平なSLとするため、インバートコンクリートからSLまでの区間に現場打ちの側壁コンクリートなどを設ける必要が無くなり、SLより下半側のインバートコンクリート4までの区間をプレキャスト化することが可能となり、現場打ちコンクリート部が低減することにより、トンネル施工の生産性が向上できる。
更に、本発明に係る施工方法では、前記アーチ型覆工体2をインバートコンクリート4に載置した状態で、前記空間18に走行装置12とレール9とが配置され、これよりもトンネル空間側の前記アーチ型覆工体2とインバートコンクリート4との接合面5、6は可及的に隙間Sが小さく設定されているため、アーチ型覆工体2を移動した状態と基本的にほぼ同じ状態で据え付けることができ、重機などを用いて移動に用いた基礎から別の基礎上に盛替える必要がなく、安全かつ迅速な施工が可能となる。
図2に示されるように、前記アーチ型覆工体2とインバートコンクリート4との接合面の隙間Sは、10~20mmに設定するのが好ましい。前記隙間Sをこの寸法範囲とすることにより、グラウト材が充填しやすくなるとともに、覆工体の品質が高度に維持できるようになる。
前記アーチ型覆工体2とインバートコンクリート4との接合面における接合は、これらの接合面の隙間にグラウト材を注入するだけでもよいが、より強固な連結を可能とするため、鉄筋継手などによる連結構造を採用するのがよい。前記鉄筋継手などによる連結構造としては、公知の連結構造を制限無く採用できるが、本発明に係るプレキャスト覆工コンクリートの施工方法では、アーチ型覆工体2の接合面6とインバートコンクリート4の接合面5との隙間を所定の隙間に保持した状態で、アーチ型覆工体2をトンネル坑内の設置場所まで側方に移動して運搬するため、インバートコンクリート4又はアーチ型覆工体2の接合面から鉄筋等が突出していると、アーチ型覆工体2の移動の邪魔になるという問題がある。このため、これらの連結には、アーチ型覆工体2及びインバートコンクリート4のいずれか一方の部材に鉄筋が収容された状態でアーチ型覆工体2を運搬し、トンネル坑内の所定の設置場所においてアーチ型覆工体2を据え付けた後、前記鉄筋を他方の部材に設けられた継手用の凹部に向けて延出させるとともに、アーチ型覆工体2及びインバートコンクリート4に跨って配置し、これらの隙間をグラウト材で充填する方法を採用するのが好ましい。
図6に示されるように、前記インバートコンクリート4には、トンネル方向に前記アーチ型覆工体2の両脚部下端に取り付けられた走行装置12の配置間隔に合わせた間隔で、前記空間18とトンネル空間とを連通する切欠き26が予め形成されている。前記切欠き26は、後段で詳述するように、所定の設置場所まで運搬したアーチ型覆工体2を据え付ける際、アーチ型覆工体2とインバートコンクリート4との間に配置するジャッキ23を挿入したり、走行装置12を撤去したりするのに用いられる作業用の開口部である。前記切欠き26は、インバートコンクリート4の上端から前記第2水平面部8とほぼ同一面まで切り欠いた部分である。
前記第2水平面部8に敷設されるレール9は、詳細には図4に示されるように、少なくとも底部9aと、前記底部9aの地山側端部に起立する側壁部9bとを備えたトンネル方向に長い断面略L字型の鋼製部材であり、前記底部9aがトンネル方向に間隔を空けて配置された複数のアンカーボルト10などによってインバートコンクリート4に固定されている。前記レール9は、少なくとも上面が開放されていればよく、断面コの字型の溝型鋼によって構成してもよい。前記底部9aの内面は、走行装置12が滑らかに走行できるように、表面が平坦な水平面となっている。
前記レール9は、トンネル坑内のほぼ全長に亘って敷設されるとともに、図7に示されるように、坑口からトンネル坑外に延在して設けられている。坑口からトンネル坑外に延在した部分のレール9は、トンネル坑外に設置された前記架台コンクリート7などに敷設するのが好ましい。
前記第1水平面部11に取り付けられる走行装置12としては、前記アーチ型覆工体2がかなりの重量物であるため、超重量物の運搬に適したローラ装置、例えば、株式会社椿本チエイン製の商品名「タフコロ」(登録商標)を使用するのが好ましい。また、図4に示されるように、前記走行装置12の地山側には、前記レール9の側壁部9bに係合して地山側への横荷重を支持するとともに、アーチ型覆工体2の運搬に伴う摩擦を軽減するガイドローラや摩擦軽減シートなどの支持部材13を配置するのが好ましい。前記走行装置12によるアーチ型覆工体2の支持部がSLより下半アーチ側に位置するため(図1)、アーチ型覆工体2の移動に伴って該アーチ型覆工体2が外側に開くおそれがあり、このような横荷重の支持用及び運搬時の摩擦軽減用として、前記支持部材13を設けるのが好ましい。
前記走行装置12は、前記アーチ型覆工体2に対して取り外し可能に設置するのが好ましい。これにより、アーチ型覆工体2をトンネル坑内の所定の設置場所まで移動した後、走行装置12を容易に回収することができ、回収した走行装置12を後続のアーチ型覆工体2の運搬用として利用に供することができるようになる。前記走行装置12をアーチ型覆工体2に取り外し可能に設置するには、公知の手段を広く採用できるが、例えば、図4に示されるように、前記走行装置12の上面に上方に突出する係止凸部14を設けるとともに、アーチ型覆工体2の前記第1水平面11の表面に、前記係止凸部14が嵌合可能な受け凹部15を設け、前記係止凸部14と受け凹部15との係脱により、前記走行装置12がアーチ型覆工体2に対して着脱可能に設けられるようにすることができる。なお、前記アーチ型覆工体2の前記水平面11の表面には、前記受け凹部15が備えられた鋼板16を埋設しておくのが好ましい。
前記走行装置12は、トンネル坑内への運搬に当たってトンネル方向に複数に分割されたアーチ型覆工体2のそれぞれについて、少なくとも4箇所、好ましくは4~8箇所程度設けるのがよい。
次に、本発明に係るトンネル覆工体2の施工手順について、図7~図11に基づいて詳細に説明する。
先ずはじめに、トンネル坑外にて前記アーチ型覆工体2を組み立ててトンネル坑内の所定の設置場所まで移動する手順について説明する。
図7に示されるように、トンネル坑外の坑口近傍に、脚部に備えられたジャッキ21によって昇降可能なアーチ架台20と、プレキャストコンクリート部材2aを吊り下げるクレーン車22とを配備する。前記ジャッキ21によってアーチ架台20を上昇させた状態で、前記アーチ架台20上に複数のプレキャストコンクリート部材2a、2a…を組み立ててアーチ型覆工体2を完成させる。そして、この組み立てたアーチ型覆工体2の両脚部下端に、前記走行装置12を取り付ける。
次いで、図8に示されるように、前記ジャッキ21によってアーチ架台20を降下させ、前記走行装置12をレール9上に配置し、アーチ型覆工体2をアーチ架台20から取り外す。これにより、前記アーチ型覆工体2が独立してレール9上を走行可能となる。
その後、図9に示されるように、前記アーチ型覆工体2をレール9上を走行させて、トンネル坑内の所定の設置場所まで運搬する(図10)。図示例では、アーチ型覆工体2の両脚部にそれぞれ1人ずつ配置した作業員が人力によってトンネル坑内まで押しているが、リフトローラ、ウインチ又は牽引車などを用いて運搬してもよい。
アーチ型覆工体2を所定の設置場所まで運搬したならば、以下の手順に従ってインバートコンクリート4に据え付ける。
(1)第1手順として、図11(A)に示されるように、前記インバートコンクリート4に形成された切欠き26を通して、前記アーチ型覆工体2とインバートコンクリート4との間にジャッキ23を挿入する。
(2)第2手順として、図11(B)に示されるように、前記ジャッキ23によりアーチ型覆工体2を上昇させ、前記走行装置12を撤去する。
(3)第3手順として、図11(C)に示されるように、前記走行装置12に代えて、前記アーチ型覆工体2とインバートコンクリート4との間に支持材24を挿入して盛替えを行った後、図11(D)に示されるように、前記ジャッキ23を撤去する。前記支持材24は、前記アーチ型覆工体2とインバートコンクリート4との接合面の隙間を所定の寸法に保持するためのものであり、鋼製のブロック材などで構成されている。
(4)第4手順として、前記アーチ型覆工体2とインバートコンクリート4との間の空間を充填するようにモルタル等のグラウト材を注入する。前記グラウト材を注入する際は、褄部及びトンネル空間側の開口部(アーチ型覆工体2とインバートコンクリート4との接合面の隙間部分及び前記切欠き26)に型枠を設置し、前記型枠に設けられた注入孔からグラウト材を注入する。このとき、レール9は撤去することなくそのまま埋め殺しとする。
前記第3手順と第4手順との間に、上述のアーチ型覆工体2とインバートコンクリート4との接合面の鉄筋継手などによる連結を行ってもよい。
前記アーチ型覆工体2の運搬の際には、前記走行装置12の地山側に設けられたガイドローラ13がレール9の側壁部9bに沿ってガイドすることにより、アーチ型覆工体2の脚部下端が地山側へ移動するのが防止されているが、前記走行装置12の撤去に伴ってアーチ型覆工体2の脚部下端が地山側へ移動するおそれがある。そこで、前記走行装置12を撤去する手順前に、図12に示されるように、前記アーチ型覆工体2とインバートコンクリート4とに跨る内壁面位置に、前記アーチ型覆工体2の脚部下端が地山側へ移動するのを防止するとともに、前記アーチ型覆工体2とインバートコンクリート4との隙間を塞ぐ型枠を兼用する鋼材25を配置するのが好ましい。前記鋼材25としては、図示例のように、アーチ型覆工体2の脚部下端が地山側へ移動する際の横荷重に対する十分な耐力を有する溝形鋼を用いるのが好ましいが、L形鋼や平鋼などを用いてもよい。前記鋼材25は、アーチ型覆工体2の脚部下端にアンカーボルト25aなどによって固定され、アーチ型覆工体2のジャッキアップ時などの変位に対応できるように、インバートコンクリート4には固定されていない。
ある一定の区間で前記アーチ型覆工体2の据付けが完了したならば、アーチ型覆工体2の天端に設けられた注入孔(図示せず)から、アーチ型覆工体2と防水シートとの間にコンクリート等の裏込材を注入する。
〔第2形態例〕
次に、本発明に係るトンネル覆工体の施工方法を都市部における開削トンネルに適用した場合について、図13~図22に基づいて詳述する。
図13に示されるように、開削トンネル工事においては、親杭横矢板工法などにより土留めを行いながら地盤の掘削を行い、親杭、矢板、切梁、腹起こし、覆工板などで構築された架設構造物30内でトンネル覆工体の構築が行われる。
基本的には、前述した山岳トンネルでの覆工体構造をそのまま踏襲することで良いが、図14に示される要部拡大図に示されるように、開削トンネル工事の場合は、吹付けコンクリートや鋼製支保工による支保工を有しないため、トンネル型覆工体2の地山側に鋼製支保工13は存在せず、トンネル型覆工体2の外側には土砂が埋め戻されることになる。その以外の構造については、山岳トンネルの場合と同様であるため、図14において第1形態例と同符号を付して説明を省略する。
一方、都市部における開削トンネルでの施工方法は、施工条件の違いから前記山岳トンネルとは異なる点を有するため、開削トンネルにおけるトンネル覆工体の施工手順について以下に詳述する。
《開削工事におけるトンネル覆工体の施工手順》
図15に示されるように、掘削部の内部においては、インバートコンクリート4の上面に敷設されたレール9、9の中間位置にアーチ型覆工体2を組立てるためのアーチ架台20が設置される。また、開削工事領域内の覆工板上又は図示例のように、開削工事の隣接位置に作業ヤードを確保し、プレキャストコンクリート部材2aを荷取りするためのクレーン22を配置する。また、前記アーチ型覆工体2を組立てるためのアーチ架台20の上部は、仮設構造物30の覆工板を撤去してプレキャストコンクリート部材2aを吊り降ろすための開口部が形成されている。
図15に示されるように、トレーラ31によって運搬されたプレキャストコンクリート部材2aをクレーン22によって荷取りし吊り上げたならば、図16及び図17に示されるように、プレキャストコンクリート部材2a、2a…を開口部から吊り降ろし、アーチ架台20上に設置する作業を繰り返すことによって1リング分のアーチ型覆工体2を完成させるとともに、組み立てたアーチ型覆工体2の両脚部下端に前記走行装置12を取り付ける。
完成させたアーチ型覆工体2は、ジャッキ21によってアーチ架台20を降下させ、前記走行装置12をレール9上に配置し、アーチ型覆工体2をアーチ架台20から取り外す。これにより、前記アーチ型覆工体2が独立してレール9上を走行可能となるため、次のアーチ型覆工体2の組立て作業に邪魔にならないように少しだけ水平方向に移動させておく。
そして、図18に示されるように、次の1リング分のアーチ型覆工体2を同様の手順により完成させたならば、図19に示されるように、レール9上に盛替えし、既に完成させてあるアーチ型覆工体2とトンネル長手方向に連結し、2リング分のアーチ型覆工体2,2を完成させる。アーチ型覆工体2,2のトンネル軸方向の連結は、トンネル用セグメントで用いられているワンタッチジョイント方式でも良いが、接合部における水密性を確保するためにPC鋼線やPC鋼棒などの緊張材を用いて連結するのが望ましい。設置場所までのレール9上の移動は複数リング分の、図示例では2リング分のアーチ型覆工体2を一組として行う。
図20に示されるように、一組のアーチ覆工体2をレール9上を走行させて、所定の設置場所まで運搬したならば、山岳トンネル施工の例で述べたように、前記第1手順から第4手順に従って、走行装置12を撤去しながらインバートコンクリート4に据え付ける。
図21に示されるように、すべてのアーチ型覆工体2の設置を完了させたならば、図22に示されるように、トンネル覆工体2の外周部に土砂を埋め戻してトンネルを完了させる。
1…トンネル、2…アーチ型覆工体、3…鋼製支保工、4…インバートコンクリート、5・6…接合面、7…架台コンクリート、8…第2水平面部、9…レール、10…アンカーボルト、11…第1水平面部、12…走行装置、17…増厚部、18…空間、23…ジャッキ、24…支持材、25…鋼材、26…切欠き

Claims (4)

  1. 複数のプレキャストコンクリート部材をアーチ型に組み立ててアーチ型覆工体を完成させた後、このアーチ型覆工体の両脚部下端に走行装置を取り付け、トンネル長手方向中心線の少なくとも両側部に予め構築してある場所打ちコンクリート構造物の上面に敷設されたレール上を走行させることにより所定の設置場所まで運搬し、前記場所打ちコンクリート構造物に接合する手順を繰り返して構築するトンネル覆工体の施工方法であって、
    前記アーチ型覆工体の両脚部下端は、一般部の覆工体厚よりも地山側に増厚した横断面形状を成し、この増厚した増厚部の下端に第1水平面部を形成し、
    一方、前記場所打ちコンクリート構造物は、インバートコンクリート又は架台コンクリートから成るとともに、前記アーチ型覆工体の両脚部下端の第1水平面部に対向する部分に所定の空間を空けて第2水平面部を形成してあり、
    前記アーチ型覆工体の第1水平面部に走行装置を取り付ける一方、前記場所打ちコンクリート構造物の第2水平面部にレールを敷設し、前記アーチ型覆工体を前記場所打ちコンクリート構造物に載置した状態では、前記空間に前記走行装置とレールとが配置され、これよりもトンネル空間側の前記アーチ型覆工体と前記場所打ちコンクリート構造物との接合面は可及的に隙間が小さく設定されており、
    前記場所打ちコンクリート構造物には、トンネル方向に前記走行装置の配置間隔に合わせた間隔で前記空間とトンネル空間とを連通する切欠きを予め形成しておくとともに、前記走行装置を取り外し可能としておき、前記アーチ型覆工体を所定の設置場所まで運搬したならば、
    (1)前記切欠きを通して前記アーチ型覆工体と前記場所打ちコンクリート構造物との間にジャッキを挿入する第1手順と、
    (2)前記ジャッキにより前記アーチ型覆工体を上昇させ、前記走行装置を撤去する第2手順と、
    (3)前記走行装置に代えて、前記アーチ型覆工体と前記場所打ちコンクリート構造物との間に支持材を挿入して盛替えを行った後、前記ジャッキを撤去する第3手順と、
    (4)前記アーチ型覆工体と前記場所打ちコンクリート構造物との間の空間を充填するようにグラウト材を注入する第4手順と、により前記アーチ型覆工体の据え付けを行うことを特徴とするトンネル覆工体の施工方法。
  2. 前記アーチ型覆工体と前記場所打ちコンクリート構造物との接合面の隙間は10~20mmに設定されている請求項1記載のトンネル覆工体の施工方法。
  3. 前記走行装置のトンネル空間側の上端又はその近傍を始点として、前記アーチ型覆工体及び前記場所打ちコンクリート構造物の軸線とほぼ直交する方向に前記アーチ型覆工体と前記場所打ちコンクリート構造物との接合面が設けられている請求項1,2いずれかに記載のトンネル覆工体の施工方法。
  4. 前記走行装置を撤去する手順前に、前記アーチ型覆工体と前記場所打ちコンクリート構造物とに跨る内壁面位置に、前記アーチ型覆工体の脚部下端が地山側へ移動するのを防止するとともに、前記アーチ型覆工体と前記場所打ちコンクリート構造物との隙間を塞ぐ型枠を兼用する鋼材を配置する請求項1~3いずれかに記載のトンネル覆工体の施工方法。
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