JP4057270B2 - プラスチック絶縁ケーブルの製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はプラスチック絶縁ケーブルの製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、導体上に架橋性熱可塑性樹脂(例えば、架橋ポリエチレン)を押出被覆して押出被覆層を形成し、この押出被覆層を加熱架橋してプラスチック絶縁ケーブルを製造する装置として、下記構成のものが開発され使用されるようになってきている。
【0003】
即ち、この製造装置は、導体上に押出機から押し出された架橋性熱可塑性樹脂を押出被覆して押出被覆層を形成するクロスヘッドと、クロスヘッドに配設されてクロスヘッドから押し出されたプラスチック絶縁ケーブルの押出被覆層を加熱して架橋する架橋管と、架橋管の後段に配設されてガス冷却媒体により前記押出被覆層を冷却する冷却管と、冷却管の終端部に配設されて前記ケーブルの押出被覆層との間の隙間をシールし、その隙間を通して冷却管内のガス冷却媒体が外部に漏出するのを防止するゴム製のエンドシールパッキンとを備えたものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記構成のプラスチック絶縁ケーブルの製造装置において、押出被覆層を加熱架橋した後、これをガス冷却媒体、例えば、不活性ガスである窒素ガスで乾式に冷却することは、前記ケーブルの押出被覆層中に水分が浸入して残留するのを抑えることが出来るので、ケーブルの電気特性を向上させるために有効である。
【0005】
しかしながら、このようなガス冷却媒体による乾式冷却方法では、前記ケーブルの押出被覆層の外表面とエンドシールパッキンとの間の潤滑性が殆どないため、エンドシールパッキンが早期に磨耗、破損し易い。エンドシールパッキンが磨耗、破損すると、冷却管内のガス冷却媒体が冷却管外へ漏出して、冷却管内のガス圧力が低下し、押出被覆層中にボイドが生じてケーブルの品質を悪化させるほか、架橋された押出被覆層を十分に冷却することができず、ケーブルの製造速度が遅くなる。
【0006】
そこで、冷却管内のガス冷却媒体が漏出するのを防止するために、エンドシールパッキンを早期に交換する必要が生じる。エンドシールパッキンを交換するためには、ケーブルの製造装置の運転を早期に停止しなければならない。
【0007】
そうすると、前記ケーブルの押出被覆層をエンドシールパッキンの交換無しで長時間連続して形成することが困難になり、中間で接続部のない長尺なプラスチック絶縁ケーブルを連続して製造することが出来なくなるという問題がある。
【0008】
この場合、長尺なケーブルを必要とする場合には、製造された短尺ケーブルを中間で接続することになるが、接続部の形成に手数を要してケーブルコストがアップするほか、接続部があると、これが嵩張るため、長尺なケーブルを巻取ドラムに巻き取って必要な箇所に輸送することが容易でなく、ケーブルの輸送コストもアップする。更に、接続部の数が多いと、接続部を収容するマンホールの数も増えて、その建設コストがアップし、ケーブル布設工事費用も増大する。このようなことから、長尺なプラスチック絶縁ケーブルを必要とする場合、短尺なケーブルしか製造できない製造装置は問題がある。
【0009】
また、この種のエンドシールパッキンの交換は一般に手数を要するので、製造装置の運転を停止する時間が長くなって装置の稼動率が低下し、プラスチック絶縁ケーブルを能率よく製造することができないという問題もある。
【0010】
このような問題を解決するために、エンドシールパッキンを2段階シール構造として一方のエンドシールパッキンに磨耗、破損の兆候が見られた時点で、他方のエンドシールパッキンに切り替えて冷却管内をシールし、その間に、磨耗した一方のエンドシールパッキンを交換するという手段も採用されている。
【0011】
しかしながら、このような2段階シール構造では、シール構造が大型で複雑になるほか、エンドシールパッキンの磨耗、破損度合いの正確な検出が容易でないため、一方のパッキンが急激に磨耗、破損して、エンドシールパッキンの切り替えタイミングが遅れることがあり、ガス冷却媒体の漏出を確実に防止することが出来ないという問題がある。
【0012】
本発明は上記課題を解決するために生まれたもので、簡単なシール構造でエンドシールパッキンが早期に磨耗、破損するのを確実に防止すると共に、パッキンの交換無しで前記ケーブルの押出被覆層を長時間にわたり連続して形成して長尺なプラスチック絶縁ケーブルを途中で接続することなく連続的に製造することを可能にし、装置の稼働率を向上させてプラスチック絶縁ケーブルを能率よく製造することができるプラスチック絶縁ケーブルの製造装置を提供する。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載されたプラスチック絶縁ケーブルの製造装置は、導体上に押出機から押し出された架橋性熱可塑性樹脂を押出被覆して押出被覆層を形成するクロスヘッドと、クロスヘッドから押し出されたプラスチック絶縁ケーブルの押出被覆層を加熱して架橋する架橋管と、架橋管から導出された前記ケーブルの押出被覆層をガス冷却媒体により冷却する冷却管と、前記ケーブルの押出被覆層との間の隙間をシールし、冷却管内のガス冷却媒体の漏出を防止するエンドシールパッキンとを備えたプラスチック絶縁ケーブルの製造装置において、前記冷却管の後段側に前記ケーブルがエンドシールパッキンに入る手前で前記ケーブルの押出被覆層の外表面に液状石鹸を供給する液状石鹸供給機を配設し、前記液状石鹸供給機は、前記ケーブルがエンドシールパッキンに入る手前で前記ケーブルの押出被覆層の外表面に液状石鹸を供給する供給口と、液状石鹸を送り込む定量吐出ポンプと、液状石鹸を補給する液状石鹸補給タンクとを備え、前記液状石鹸を前記供給口に吐出させる圧力は前記冷却管内を加圧循環するガス冷却媒体の圧力よりも高く設定され、更に、エンドシールパッキンのケーブル出口側にパッキン押 えリングを配設したことを特徴とするものである。
【0014】
このような構成によると、プラスチック絶縁ケーブルの押出被覆層の外表面に液状石鹸の膜が形成されるので、押出被覆層の外表面とエンドシールパッキンとの間に潤滑性が出て来て、エンドシールパッキンが早期に磨耗するようなことがなくなる。そうすると、冷却管内のガス冷却媒体が早期に冷却管外へ漏出せず、冷却管の終端部を長時間安定してガスシールすることが可能になって、エンドシールパッキンをケーブルの製造途中で交換しなくて済み、製造装置の運転を早期に停止する必要がなくなる。これにより、プラスチック絶縁ケーブルの押出被覆層をエンドシールパッキンの交換無しで長時間連続して形成することが容易になり、中間で接続部のない長尺なプラスチック絶縁ケーブルを連続して製造することが出来る。
【0015】
また、エンドシールパッキンを交換する時期が遅くなるので、製造装置を連続運転する時間が長くなって、製造装置の稼動率が高くなり、プラスチック絶縁ケーブルを能率よく製造するができ、ケーブルコストを低減することができる。
【0016】
更に、冷却管内のガス冷却媒体の漏出防止手段として、エンドシールパッキンと液状石鹸供給機を組み合わせた構造のものを使用するので、エンドシールパッキン2段階シール構造に比較して冷却管内のガス冷却媒体漏出防止手段の構造及び取り扱いが簡単で、ガス冷却媒体の漏出を確実に防止できるほか、装置価格を安くすることもできる。
【0017】
また、本発明の製造装置は、前記液状石鹸供給機が、前記ケーブルがエンドシールパッキンに入る手前で前記ケーブルの押出被覆層の外表面に液状石鹸を供給する供給口と、液状石鹸を送り込む定量吐出ポンプと、液状石鹸を補給する液状石鹸補給タンクとを備えて構成されるものである。
【0018】
このような構成によると、液状石鹸供給機を構成する各部品を市場汎用品で調達することが可能になる。従って、該供給機を簡単、且つ、安価に製作することができ、更に小型で設置スペースも小さくなって、製造装置の製作費用をより低減させることができる。
また、本発明の製造装置は、前記液状石鹸を前記供給口に吐出させる圧力は前記冷却管内を加圧循環するガス冷却媒体の圧力よりも高く設定され、更に、エンドシールパッキンのケーブル出口側にパッキン押えリングを配設したので、エンドシールパッキンは前記ケーブルの長手方向の軸線に対して垂直になるように変形し、エンドシールパッキンの内孔の内径が縮径し、エンドシールパッキンと前記ケーブルの押出被覆層との間の隙間が良好にシールされ、冷却管内のガス冷却媒体が外部に漏出するのが防止され、架橋管及び冷却管内のガス圧力が大気圧より高い一定の圧力に保持される。
【0019】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態を図面により詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態である、カテナリー型輻射加熱架橋、ガス冷却の架橋手段を用いたプラスチック絶縁ケーブルの製造装置を示す。この製造装置は、図1から明らかなように、導体13上に押出機15から押し出された架橋性熱可塑性樹脂(例えば、架橋ポリエチレン)を押出被覆して押出被覆層19(図2参照)を形成するクロスヘッド11と、クロスヘッド11に配設されてクロスヘッド11から押し出されたプラスチック絶縁ケーブル17の押出被覆層19を加熱して架橋する架橋管21と、架橋管21の後段に配設されて架橋管21から導出された前記ケーブル17の押出被覆層19をガス冷却媒体により冷却する冷却管23と、冷却管23の終端部に配設されて前記ケーブル17の押出被覆層19との間の隙間をシールし、その隙間を通して冷却管23内のガス冷却媒体25が外部に漏出するのを防止する複数枚のゴム製のエンドシールパッキン27とを備える。
【0020】
更に詳細に説明すると、クロスヘッド11の入口側には、サプライスタンド29からメータリングキャプスタン31を介してクロスヘッド11内に導入される導体13を必要な温度に加熱する誘導加熱方式等の導体余熱機33が配設されている。前記押出機15は、導体13上に、内側から順に内部半導電層を押出被覆する内導押出機15b、絶縁層を押出被覆する絶縁層押出機15a、外部半導電層を押出被覆する外導押出機16cで構成され、各押出機15b、15a、15cがそれぞれ独立してクロスヘッド11に連結される。クロスヘッド11において、各押出機15b、15a、15cから押し出された架橋性熱可塑性樹脂(例えば、架橋ポリエチレン)を主体とする内部半導電層、絶縁層及び外部半導電層が、導体余熱機33で加熱された導体13上に3層同時に押出被覆されて押出被覆層19が形成され、未架橋のプラスチック絶縁ケーブル17となる。このプラスチック絶縁ケーブル17は架橋管21内に導入され、架橋管21内を挿通する過程で押出被覆層19が加熱架橋される。
【0021】
前記架橋管21はカテナリー形状をしており、クロスヘッド11に連結されてその斜め下方に配設される。架橋管21の外周面には、架橋管21を加熱するために、例えば、電気ヒータ35が架橋管21に接触しながら架橋管21を覆うように、その長手方向に沿って複数箇所にわたり配設される。そして、加熱された架橋管21から出て来る輻射熱により、架橋管21内を挿通するプラスチック絶縁ケーブル17の押出被覆層19を加熱架橋することが出来るようになっている。また、架橋管21内には例えば、窒素ガスのような不活性ガスが加圧充填され、押出被覆層19の架橋に伴う発泡を抑えている。
【0022】
前記冷却管23は架橋管21の後段にNULLゾーン37を介して連結されて配設される。冷却管23内には、不活性ガス、例えば、窒素ガスからなるガス冷却媒体25が冷却管23外に配設されたブロアー39で加圧されながら供給、循環される。そして、架橋管21で加熱架橋され、冷却管23内に導入されて挿通するプラスチック絶縁ケーブル17の前記押出被覆層19を冷却するようになっている。また、冷却管23で熱交換されて温度上昇したガス冷却媒体25は、同じく冷却管23外に配設された熱交換器40で冷却され、押出被覆層19を冷却する能力の低下を防止している。
【0023】
前記複数枚のエンドシールパッキン27は、図2に詳細に示すように、プラスチック絶縁ケーブル17の押出被覆層19の外径よりも若干大き目の内径の内孔27aを有している。そして、内孔27a側がケーブル出口側(プラスチック絶縁ケーブル17の走行方向の下流側)に若干傾斜するように形成され、前記ケーブル17の長手方向に沿って重ね合わせて構成される。
【0024】
更に、エンドシールパッキン27のケーブル出口側にはパッキンダイと呼ばれるパッキン押えリング41がケーブル長手方向にスライド可能に配設され、これをエンドシールパッキン27側に移動させて該パッキン27の裏面に押し付け、エンドシールパッキン27を前記ケーブル17の長手方向の軸線に対して垂直になるように変形させることにより、エンドシールパッキン27の内孔27aの内径を縮径させ、エンドシールパッキン27と前記ケーブル17の押出被覆層19との間の隙間をシールする。このようにして、冷却管23内のガス冷却媒体25が外部に漏出するのを防止し、架橋管21及び冷却管23内を気密にして、これら管内のガス圧力を大気圧より高い一定の圧力に保持するようになっている。
【0025】
ところで、このようなガス冷却媒体25による押出被覆層19の乾式冷却方法では、前記ケーブル17の押出被覆層19の外表面とエンドシールパッキン27との間に潤滑性が殆どないため、エンドシールパッキン27が早期に磨耗、破損し、エンドシールパッキン27の早期交換を余儀なくされる。
【0026】
そこで、本発明においては、前記冷却管23の後段側に、前記ケーブル17がエンドシールパッキン27に入る手前で、前記ケーブル17の押出被覆層19の外表面に液状石鹸45を供給する液状石鹸供給機43が配設される。
【0027】
液状石鹸供給機43は、図2に詳細に示すように、前記ケーブル17がエンドシールパッキン27に入る手前で、前記ケーブル17の押出被覆層19の外表面に液状石鹸45を供給する、例えば、ノズル状の供給口47と、液状石鹸45を供給口47側に向けて送り込む、ギヤポンプ、往復ピストン駆動型ポンプ等の定量吐出ポンプ49と、前記定量吐出ポンプ49に向けて液状石鹸45を補給する液状石鹸補給タンク51とを備えている。供給口47は冷却管23の内部に配設され、定量吐出ポンプ49と液状石鹸補給タンク51は冷却管23の外側に配設され、供給口47、定量吐出ポンプ49及び液状石鹸補給タンク51の間は液状石鹸を流通させる配管53で接続されている。定量吐出ポンプ49で液状石鹸45を供給口47に吐出させる圧力は冷却管23内を加圧循環されるガス冷却媒体25の圧力よりも高く設定されている。なお、冷却管23の底部には、前記押出被覆層19の外表面に供給された液状石鹸45の余り分を回収して外部に排出するか循環再使用するためのトラップ(図示省略)を設けるようにしてもよい。
【0028】
この液状石鹸供給機43により、前記供給口47から液状石鹸45を滴下させ、前記ケーブル17がエンドシールパッキン27に入る手前で、好ましくは、エンドシールパッキン27に入る直前で、押出被覆層19の外表面に液状石鹸45を供給する。そうすると、エンドシールパッキン27の内孔27a縁部が前記ケーブル17の押出被覆層19の外表面に供給された液状石鹸45を押出被覆層19の外周面に均等に塗布させる液状石鹸絞りダイスのような働きをして、押出被覆層19の外周面に液状石鹸45の薄膜が形成され、押出被覆層19の外表面とエンドシールパッキン27との間に潤滑性が出て来る。
【0029】
その結果、押出被覆層19の外表面とエンドシールパッキン27との間の接触摩擦抵抗が大きく減少するので、製造装置の運転中にエンドシールパッキン27が早期に磨耗するようなことがなくなる。そして、冷却管23内のガス冷却媒体25が早期に冷却管23外へ漏出せず、冷却管23の終端部を長時間安定してガスシールすることが可能になるから、エンドシールパッキン27を前記ケーブル17の製造途中で交換しなくて済み、製造装置の運転を早期に停止する必要がなくなる。これにより、プラスチック絶縁ケーブル17の押出被覆層19をエンドシールパッキン27の交換無しで長時間連続して形成することが容易になり、中間で接続部のない長尺なプラスチック絶縁ケーブル17を連続して製造することが出来るようになる。更に、押出被覆層19とエンドシールパッキン27との間に介在された液状石鹸45がシール剤の働きもするので、冷却管23内のガス冷却媒体25の漏出をより確実に防止する効果が得られ、製造装置の性能をより向上させることが出来る。
【0030】
また、液状石鹸供給機43が上記のような供給口47、定量吐出ポンプ49及び液状石鹸補給タンク51等を組み合わせて構成されていると、このような構成部品は、入手が容易で値段の安い市場汎用品であるから、簡単に安く製作できるほか、小型で設置スペースも小さくて済み、従って、製造装置の価格をより低減させることができる。
【0031】
なお、前記液状石鹸45としては、種々の組成のものが開発され、各種の洗浄剤やボディーシャンプ、ハンドソープ等に広く利用されている。本発明に使用する液状石鹸45としては、この中で、例えば、ヤシ脂肪酸、パーム脂肪酸、牛脂脂肪酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等の一種若しくは複数混合した材料油脂5〜30重量%を適量の水酸化カリウムで中和し、これにアニオン界面活性剤、非イオン系界面活性剤等の添加剤を加え、更に潤滑油と同程度の粘性が得られるように精製水で希釈したものを使用するのが望ましい。
【0032】
また、エンドシールパッキン27を通過後、冷却管23外へ出て来たプラスチック絶縁ケーブル17の押出被覆層19の外表面には、液状石鹸45の薄膜が残着しているが、この薄膜は、例えば、冷却管23の後段にエアーブロー手段(図示省略)をタンデムに配設して、押出被覆層19の外表面にエアーを吹き付け、エアーで吹き飛ばすことにより容易に除去することが可能である。従って、前記ケーブル17の架橋、冷却作業の後工程において、前記薄膜を洗浄して除去する煩雑な作業が不要となるので、液状石鹸45の使用は有効である。
【0033】
これに対して、前記液状石鹸45の代わりに、潤滑油を使用することも考えられるが、エンドシールパッキン27を通過した後の前記押出被覆層19の外表面に残着している潤滑油の薄膜、即ち、油膜を前記エアーブロー手段で吹き飛ばして除去することは容易でない。このため、前記ケーブル17の架橋、冷却の後工程において、別の設備でその油膜を洗浄して除去する作業が新たに必要となり、作業工程が増えるので好ましくない。
【0034】
なお、図1において、55は冷却管23の後方に配設され、架橋、冷却されてエンドシールパッキン27から出て来たプラスチック絶縁ケーブル17を所定の張力及び速度で引き取る無限軌道式の引取機、57は引取機55で引き取られた架橋済みのプラスチック絶縁ケーブル17を巻き取る巻取スタンドである。本発明の上記実施形態の製造装置は以上のような構成になっている。
【0035】
上記製造装置を用いてプラスチック絶縁ケーブル17を製造する場合には、先ずサプライスタンド29より引き出した導体13の先端にリードワイヤー(図示省略)を接続すると共に、このリードワイヤーを、前記クロスヘッド11、架橋管21、冷却管23及び引取機55を通して、その先端を巻取スタンド57の巻取ドラム58に引き留める。そして、引取機55、巻取スタンド57等を駆動させて、前記リードワイヤーを引き取り、巻取スタンドに巻き取る。
【0036】
次に、前記リードワイヤーの引取りに伴い、サプライスタンド29から引き出されて走行する導体13を前記導体余熱機33に導入して所定温度に加熱する。次いで、この導体13をクロスヘッド11に導入して、導体13上に押出機15から押し出された架橋性熱可塑性樹脂、例えば、架橋ポリエチレンを押出被覆して押出被覆層19を形成し、未架橋のプラスチック絶縁ケーブル17を得る。
【0037】
引き続いて、このケーブル17を架橋管21に導入して架橋管内を挿通させ、押出被覆層19を加圧下で輻射加熱し架橋する。その後、前記ケーブル17を同圧力に加圧されている冷却管23内に導入し、前記ケーブル17の押出被覆層19を循環するガス冷却媒体25、例えば、窒素ガスで加圧冷却して押出被覆層19を硬化させる。
【0038】
そして、前記ケーブル17の押出被覆層19がエンドシールパッキン27に入り手前に到達したら、これをセンサ(図示省略)で検出して、液状石鹸供給機43を作動させ、定量吐出ポンプ49から定量の液状石鹸45を加圧吐出させ、供給口47から前記押出被覆層19の外表面に滴下、供給する。このようにして押出被覆層19の外表面に液状石鹸45が塗布、付着されたプラスチック絶縁ケーブル17をエンドシールパッキン27の内孔27aに挿通させる。そして、エンドシールパッキン27のパッキン押えリング41による押し付けと前記ケーブル17の押出被覆層19との間に介在する液状石鹸45により、冷却管23内のガス冷却媒体25が冷却管23外へ漏出するのを確実に防止する。また、押出被覆層19の外表面とエンドシールパッキン27との間に潤滑性が出て来て、エンドシールパッキンが早期に磨耗するのを防止し、長時間安定してガスシールする。
【0039】
次に、エンドシールパッキン27から出て来たプラスチック絶縁ケーブル17の押出被覆層19の外表面に残着する液状石鹸45の薄膜を必要に応じてエアーブローにより吹き飛ばして除去し、引取機55で引き取り、巻取スタンド57の巻取ドラム58に巻き取る。以上のような方法で本発明の製造装置を用い、プラスチック絶縁ケーブル17を製造する。
【0040】
なお、本発明に係るプラスチック絶縁ケーブル17の製造装置は前記実施形態のものだけに限定されるものではない。例えば、架橋管21は前記カテナリー形状の傾斜型ではなく、垂直型や横型に配設するようにしてもよい。また、架橋管21を加熱する電気ヒータ35は架橋管21の内部に設けるようにしてもよい。また、架橋管21の加熱はヒータ以外に通電加熱、ガス、液体による流体加熱、誘導加熱等を利用又は併用するようにしてもよい。また、架橋管21内に不活性ガス、無機溶融塩等のガス、液体による流体を供給、循環させて押出被覆層19自体を直接架橋するようにしてもよい。更に架橋管21自体を押出被覆層19に密着した加熱ロングダイにして、これをクロスヘッド11に直結し、導体13上に押出被覆層19を形成しながら架橋する手段、その他、超音波や放射線を利用して架橋するような手段を用いてもよい。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の請求項1に記載されたプラスチック絶縁ケーブルの製造装置によると、導体上に押出機から押し出された架橋性熱可塑性樹脂を押出被覆して押出被覆層を形成するクロスヘッドと、クロスヘッドから押し出されたプラスチック絶縁ケーブルの押出被覆層を加熱して架橋する架橋管と、架橋管から導出された前記ケーブルの押出被覆層をガス冷却媒体により冷却する冷却管と、前記ケーブルの押出被覆層との間の隙間をシールし、冷却管内のガス冷却媒体の漏出を防止するエンドシールパッキンとを備えたものにおいて、前記冷却管の後段側に前記ケーブルがエンドシールパッキンに入る手前で前記ケーブルの押出被覆層の外表面に液状石鹸を供給する液状石鹸供給機を配設したので、プラスチック絶縁ケーブルの押出被覆層の外表面とエンドシールパッキンとの間に潤滑性が出て来て、エンドシールパッキンが早期に磨耗するようなことがなくなる。
【0042】
これにより、冷却管内のガス冷却媒体が早期に冷却管外へ漏出せず、冷却管の終端部を長時間安定してガスシールすることが可能になって、エンドシールパッキンをケーブルの製造途中で交換しなくて済む。従って、製造装置の運転を早期に停止する必要がなくなり、プラスチック絶縁ケーブルの押出被覆層をエンドシールパッキンの交換無しで長時間連続して形成することが容易になり、中間で接続部のない長尺なプラスチック絶縁ケーブルを連続して製造することが出来る。
【0043】
また、エンドシールパッキンを交換する時期が遅くなるので、製造装置を連続運転する時間が長くなって、製造装置の稼動率が高くなり、プラスチック絶縁ケーブルを能率よく製造するができ、ケーブルコストを低減することができる。
【0044】
更に、エンドシールパッキン2段階シール構造に比較して冷却管内のガス冷却媒体漏出防止手段の構造及び取り扱いが簡単で、ガス冷却媒体の漏出を確実に防止できるほか、装置価格を安くすることもできる。
【0045】
また、本発明のプラスチック絶縁ケーブルの製造装置によると、前記液状石鹸供給機は、エンドシールパッキンに入る手前で前記ケーブルの押出被覆層の外表面に液状石鹸を供給する供給口と、液状石鹸を送り込む定量吐出ポンプと、液状石鹸を補給する液状石鹸補給タンクとを備えて構成されるので、液状石鹸供給機を構成する各部品を市場汎用品で調達することが可能になる。従って、該供給機を簡単、且つ、安価に製作することができ、更に小型で設置スペースも小さくなって、製造装置の製作費用をより低減させることができる。
また、本発明の製造装置は、前記液状石鹸を前記供給口に吐出させる圧力は前記冷却管内を加圧循環するガス冷却媒体の圧力よりも高く設定され、更に、エンドシールパッキンのケーブル出口側にパッキン押えリングを配設したので、押出被覆層との間の隙間が良好にシールされ、架橋管及び冷却管内のガス圧力が大気圧より高い一定の圧力に保持される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す概要図である。
【図2】本発明の主要部である液状石鹸供給機とエンドシールパッキン部分を示す断面図である。
【符号の説明】
11 クロスヘッド
13 導体
15 押出機
15a 絶縁層押出機
15b 内導押出機
15c 外導押出機
17 プラスチック絶縁ケーブル
19 押出被覆層
21 架橋管
23 冷却管
25 ガス冷却媒体
27 エンドシールパッキン
27a 内孔
29 サプライスタンド
31 メータリングキャプスタン
33 導体余熱機
35 電気ヒータ
37 NULLゾーン
39 ブロアー
40 熱交換器
41 パッキン押えリング
43 液状石鹸供給機
45 液状石鹸
47 供給口
49 定量吐出ポンプ
51 液状石鹸補給タンク
53 配管
55 引取機
57 巻取スタンド
58 巻取ドラム
Claims (1)
- 導体上に押出機から押し出された架橋性熱可塑性樹脂を押出被覆して押出被覆層を形成するクロスヘッドと、クロスヘッドから押し出されたプラスチック絶縁ケーブルの押出被覆層を加熱して架橋する架橋管と、架橋管から導出された前記ケーブルの押出被覆層をガス冷却媒体により冷却する冷却管と、前記ケーブルの押出被覆層との間の隙間をシールし、冷却管内のガス冷却媒体の漏出を防止するエンドシールパッキンとを備えたプラスチック絶縁ケーブルの製造装置において、
前記冷却管の後段側に前記ケーブルがエンドシールパッキンに入る手前で前記ケーブルの押出被覆層の外表面に液状石鹸を供給する液状石鹸供給機を配設し、
前記液状石鹸供給機は、前記ケーブルがエンドシールパッキンに入る手前で前記ケーブルの押出被覆層の外表面に液状石鹸を供給する供給口と、液状石鹸を送り込む定量吐出ポンプと、液状石鹸を補給する液状石鹸補給タンクとを備え、
前記液状石鹸を前記供給口に吐出させる圧力は前記冷却管内を加圧循環するガス冷却媒体の圧力よりも高く設定され、
更にエンドシールパッキンのケーブル出口側にパッキン押えリングを配設したことを特徴とするプラスチック絶縁ケーブルの製造装置。
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