JP4057158B2 - 基板搬送装置およびそれを備えた基板処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、搬送アームにより半導体ウエハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、光ディスク用基板等の基板(以下「基板」という。)の保持や受け渡しを行う基板搬送装置およびそれを備えた基板処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来からレジスト膜形成処理や現像処理を行う基板処理装置においては、成膜処理部、現像処理部等の他、加熱処理部や冷却処理部等の各種処理部間を基板搬送ロボットによって処理対象である基板を受け渡しつつ一連の処理を行っている。このような基板処理装置における基板搬送ロボットの例としては、搬送アームを2本備え、それぞれが独立して進退可能に設けられたものが挙げられる。そして、この様な基板搬送ロボットでは基板を加熱処理部や冷却処理部に搬出入する際、複数の搬送アームがそれぞれそれら処理部の高温または常温雰囲気内に進入して基板の受け渡しを行ったり、そのようにして受け取った基板を保持して処理部間を移動したりする。
【0003】
ところで、上記のように搬送アームが加熱処理部の高温雰囲気内に進入したり、そこから加熱されて高温となった基板を受け取って保持することにより搬送アーム自体が熱せられる。そして、その後、そのように熱せられた搬送アームが冷却処理部内の常温の基板を受け取ると、搬送アームに蓄積されていた熱が基板を加熱して基板の精密な温度管理が行えなくなり、例えばその基板がレジストパターンの現像工程の途中であった場合などは現像ムラの原因となるなど、処理済み基板の品質を悪化させるという問題あった。
【0004】
そのため、こういった問題を解決する方法として以下の2通りの装置が用いられている。すなわち、
▲1▼加熱処理部と冷却処理部間の基板の受け渡しを行う基板搬送ロボットと冷却処理部と成膜処理部あるいは現像処理部間の基板の受け渡しを行う基板搬送ロボットとを個別に設ける。
【0005】
▲2▼上記2本の搬送アーム以外に冷却処理部からのみ基板の受け取り、成膜処理部あるいは現像処理部に基板の搬送を行う搬送アームをさらに設ける。
【0006】
というものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、▲1▼の技術の場合には少なくとも2機の基板搬送ロボットを備えるため、それら自体により、またそれらが互いに干渉しないで基板の受け渡しが行えるようにそれぞれの移動のための搬送路を設ける必要があるため、装置構成が大型化し基板処理装置全体としての占有面積が大きくなるとともに、装置の製造コストの増加という問題が生じていた。
【0008】
また、▲2▼の技術の場合にも搬送アームの本数が増えるため、それらの進退機構およびその制御の複雑化や装置の製造コストの増加という問題が生じていた。
【0009】
この発明は、従来技術における上述の問題の克服を意図しており、基板の精密な温度管理および処理済み基板の品質の向上を実現しつつ、装置構成の大型化および複雑化を抑え、装置の製造コストを抑えることができる基板搬送装置およびそれを備えた基板処理装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、この発明の請求項1に記載の装置は、搬送アームにより基板の保持や受け渡しを行う基板搬送装置であって、前記搬送アームが、基板を保持する基板保持部と、前記基板保持部が取り付けられた基部と、を備え、前記搬送アームは、上下に2つ設けられており、前記2つの搬送アームの間に冷却板が設けられており、前記2つの搬送アームのうちの少なくとも1つの搬送アームには、前記基板保持部から前記基部に亙って冷媒の封入された冷却流路が設けられており、前記冷却板には、冷媒の封入されたヒートパイプが設けられていることを特徴とする。
また、この発明の請求項2に記載の装置は、請求項1に記載の基板搬送装置であって、前記2つの搬送アームのそれぞれは、待機状態と進出状態との間で進退移動し、前記待機状態における前記2つの搬送アームの間に前記冷却板が設けられており、前記ヒートパイプは、前記待機状態において上下に配置された前記2つの搬送アームに保持される基板と重なる領域に受熱部を有するとともに、前記待機状態において上下に配置された前記2つの搬送アームに保持される基板から外れた領域に放熱部を有することを特徴とする。
【0015】
また、この発明の請求項3に記載の装置は、請求項1または請求項2に記載の基板搬送装置であって、前記冷却流路および前記ヒートパイプは、中心の空洞を覆う網状のウィックと、前記ウィックを覆う螺旋管とを備え、前記ウィックと前記螺旋管との間に前記冷媒が浸透される。
さらに、この発明の請求項4に記載の装置は、基板の加熱処理部を含む複数の基板処理部と、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の基板搬送装置を用いて構成され、複数の基板処理部に対して基板の受け渡しを行う基板搬送部と、を備える。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
<1.第1の実施の形態>
<<1−1.第1の実施の形態の装置構成>>
本発明の実施の形態を図1〜図7に基づいて以下に説明する。なお、図1〜図6には水平面をX−Y面とし、鉛直方向をZ軸方向とする3次元座標系X−Y−Zが定義されている。
【0018】
図1は本発明の第1の実施の形態である基板処理装置100を示す斜視図である。図1に示すように、基板処理装置100は、複数のプロセス装置、例えば基板Wにレジストを塗布する塗布ユニット1と、基板Wの現像処理を行う現像ユニット2と、基板Wの加熱処理を行う加熱ユニット3aと、基板Wの冷却処理を行う冷却ユニット3b(なお、加熱ユニット3aおよび冷却ユニット3bを併せて熱処理ユニット3と呼ぶとともに、塗布ユニット1、現像ユニット2および熱処理ユニット3を併せて「処理ユニット1〜3」という。)と、順次各処理ユニット1〜3に基板Wを給排する基板搬送部として機能する基板搬送ロボット6とを備え、図示しない基板収容カセットから未処理の基板Wを取り出して上記基板搬送ロボット6に基板Wを引き渡すと共に、処理済み基板Wを当該基板搬送ロボット6から受け取り、再び基板収容カセットに収容する基板移載ロボット5を付設している。また、第1の実施の形態における基板搬送ロボットを示す斜視図である図2に示すように、上記基板搬送ロボット6は、上段アーム10および下段アーム11(以下、併せて「搬送アーム10,11」という。)が基板Wを支持し、搬送アーム10,11を支持する基台20が上記処理ユニット1〜3間を自走、および所要の処理ユニット1〜3の方へ向くように旋回し、搬送アーム10,11が基台20からプロセス装置へ向けて進退自在に構成され、予め設定された作動プログラムに基づき、各処理ユニット1〜3に基板Wを所定のタクトタイムで順次配送するように構成されている。
【0019】
つぎに、上記基板搬送ロボット6の具体的な構成を図1〜図6に基づいて説明する。なお、図2〜図4は第1の実施の形態における上記基板搬送ロボット6を示す図であって、図2は斜視図、図3は一部断面正面図、図4は図2のIV−IV線矢視断面図であり、図5および図6はそれぞれ冷却板25および搬送アーム10,11におけるヒートパイプ250および110,111の配置を示す平面図である。
【0020】
基板搬送ロボット6は図示しない水平、垂直および旋回駆動機構によって、X軸方向の並進、Z軸方向の昇降およびZ軸方向を軸としての旋回が自在(図1参照)なように構成された基台20の両側面には、スライドレール21,21が延設されている。これらスライドレール21,21には、それらに対して摺動自在な断面凹状のスライド部材22,22が嵌め合わされており、スライド部材22,22の外方には、それぞれ支持部材23,24が固定されている。これら支持部材23,24のうち支持部材23上には、未処理ないし処理済みの基板Wを前記各処理ユニット1〜3に供給ないし取り出しをする上段アーム10が固定される一方、支持部材24上には未処理ないし処理済みの基板Wを各処理ユニット1〜3へ供給ないし取り出しをする下段アーム11が固定されている。
【0021】
これら両搬送アーム10,11の構造は、図2および図6に示すように内径が上記基板Wより若干大きくなるように形成された円弧状の基板保持部10a,11aと、この基板保持部10a,11aを支持する基部10b,11bとが一体となった金属(熱伝導性のよい材質)製部材から構成されている。そして、上記基板保持部10a,11aの内周面には各々3本の支持ピン26…が設けられており、この支持ピン26…上に基板Wが載置されて搬送されることになる。
【0022】
また、上記支持部材23の高さは、上記支持部材24の高さより若干高くなるように構成されているので、上段アーム10と下段アーム11との間には若干の隙間が形成されることになる。そして、その隙間には、前記基台20上に設けられた固定用部材28に、その下面が固定された冷却板25が設けられている。なお、この冷却板25の詳細は後述する。
【0023】
さらに、前記基台20の下部には下段アーム駆動用のモータ30が設けられており、このモータ30の軸には駆動ローラ31が固定されている。さらに、前記スライドレール21の下部両端部近傍には、従動ローラ33,33が設けられており、また上記駆動ローラ31の近傍にはガイドローラ34が設けられている。そして、上記4つのローラ31,33,33,34間にはワイヤ35が巻架されており、このワイヤ35の両端は上記支持部材24の下端に固定されている。これにより前記モータ30を駆動すると支持部材24(下段アーム)が進退することになる。
【0024】
一方、上記下段アーム駆動用のモータ30とは反対側の基台20の側面には、上段アーム駆動用のモータ40と、上記と同様に配置された各ローラおよびワイヤ(図示せず)とが設けられ、これによって支持部材23(上段アーム10)が進退するような構造となっている。なお、搬送アーム10,11が、図2に示す状態のように、処理ユニット1〜3へ進出していない状態が待機状態であり、図3に2点鎖線で示す状態が進出状態である。そして搬送アーム10,11は両状態間を矢符のように進退するのである。
【0025】
<<1−2.第1の実施の形態の特徴>>
つぎに、本発明の特徴について実施の形態に即して説明していく。
【0026】
図5に示すように冷却板25は、その内部に図示のように冷却板25を冷却するヒートパイプ250が埋め込まれた金属(熱伝導性のよい材質)製の板状部材であり、図5に示すように、平面視において一短辺を円弧としたほぼ長方形状をなしており、かつ前記両搬送アーム10,11より若干大きくなるように形成されている。
【0027】
また、冷却板25内部には、その両端が放熱部250a、中間が受熱部250b、それらの間が断熱部250cとなっているヒートパイプ250が設けられている。そして、冷却板25内には、待機状態における搬送アーム10,11およびそれらに保持される基板Wに重なる部分である受熱領域AA1を覆うようにヒートパイプ250の受熱部250bが設けられており、そのX軸の負側においてヒートパイプ250の断熱部250cが設けられ、さらに冷却板25のX軸の負側端部付近の放熱領域EA1においてヒートパイプ250の両端の放熱部250aがY軸方向に延設されている。
【0028】
同様に、図6に示すように上段アーム10および下段アーム11のそれぞれの内部にも、その一端が放熱部110a,120a、他端が受熱部110b,120b、それらの間が断熱部110c,120cとなっている、ヒートパイプ250と同様の構造を持つ2本のヒートパイプ110,120が設けられている。そして、搬送アーム10,11それぞれの基板保持部10a,11aの受熱領域AA2内にはそれらに沿ってヒートパイプ110,120の受熱部110b,120bが位置し、それにつながる基部10b,11b内にはヒートパイプ110,120の断熱部110c,120cが位置し、さらに基部10b,11b内のX軸の負側端部付近の放熱領域EA2においてヒートパイプ110,120の放熱部110a,120aがY軸方向に延設されている。
【0029】
また、ヒートパイプ250および110,120の構造を示す断面図である図7に示すように、ヒートパイプ250および110,120には中心に空洞CAが設けられ、それを覆うように金属細線による網状のウィック251および111,121が設けられ、さらにそれを覆うように螺旋状の襞をもつ螺旋管252および112,122が設けられている。そして、螺旋管252および112,122の襞の稜線にウィック251および111,121が接触している。そしてウィック251および111,121と螺旋管252および112,122の間には作動液Fが浸透されている。さらに、螺旋管252および112,122を覆うように上記断熱部250cのみに断熱性の管壁253および113,123が設けられており、放熱部250aおよび110a,120aならびに受熱部250bおよび110b,120bには管壁253および113,123は設けられていない。
【0030】
つぎに、この様なヒートパイプ250および110,120による放熱の原理の概略を説明する。
【0031】
受熱部250bおよび110b,120b(冷却板25における受熱領域AA1および搬送アーム10,11における受熱領域AA2)において熱せられた作動液Fは蒸発し潜熱(気化熱)を伴って、空洞CAを通って放熱部250aおよび110a,120a(冷却板25における放熱領域EA1および搬送アーム10,11における放熱領域EA2)に至り、そこで潜熱を放出して液化する。そして放出された潜熱は放熱部250aおよび110a,120aの表面を通じて外部に放出される一方、液化した作動液Fはウィック251および111,121内を毛細管現象により再度受熱部250bおよび110b,120bに向かって移動していく。このような一連の工程を常時繰り返すことによって、受熱領域AA1およびAA2に位置する受熱部250bおよび110b,120bによって受け取った熱がヒートパイプ250および110,120を介して高い熱伝導率で伝導することによって放熱部250aおよび110a,120aに至り、それらの位置する放熱領域EA1またはEA2で放熱されることにより、結果的に受熱領域AA1またはAA2が冷却される。
【0032】
なお、このヒートパイプ250および110,120は管壁253および113,123ならびに螺旋管252および112,122がテフロン(登録商標)樹脂製、ウィック251および111,121が金属製であることにより可撓性を備えており、さらに螺旋管252および112,122を設けることにより折り曲げて配置しても、その作動液Fはその移動を阻害されず、ウィック251および111,121を介して螺旋管252および112,122の襞に沿って移動できるものとなっている。
【0033】
そこで、この装置では搬送アーム10,11内および冷却板25内においてヒートパイプ250および110,120を上記のように折り曲げて配置し、効率よく受熱および放熱することができるように張り巡らせている。
【0034】
ところで、上記基板搬送ロボット6は各処理ユニット1〜3のいずれかに対して、基板Wの受け渡しを行う場合には、モータ40または30を駆動して上段アーム10または下段アーム11の基板保持部10a,11aを、対象とするいずれかの処理ユニット1〜3内に進入(進出状態)させて基板Wの受け渡しを行った後、その搬送アーム10,11を後退させて図2および図3に示す待機位置に戻すのであるが、上記対象とする処理ユニット1〜3が加熱ユニット3aである場合には、その加熱ユニット3aに対して受け渡しを行った搬送アーム10,11は熱せられる。
【0035】
しかし、この装置では搬送アーム10,11内に上記のようにヒートパイプ110,120が設けられており、基板保持部10a,11aで受け取った熱を直ちにその搬送アーム10,11の放熱部110a,120aに導き放熱するので基板保持部の温度上昇が抑えられる。そのため、次にその搬送アーム10,11が基板Wの受け渡しを行うために冷却ユニット3bに進入しても、その搬送アーム10,11はさほど高温になっていないので、冷却ユニット3b内の冷却されて常温近くまで温度が低下している基板Wを取り出す場合やその逆の場合等にも、その基板Wや冷却ユニット3bの内部雰囲気にあまり熱的影響を与えない。
【0036】
また、加熱ユニット3aに搬送アーム10,11のうちのいずれかが基板Wを渡すために進入した後、後退して待機位置に位置する場合にも、その搬送アーム自体は上記の理由によりあまり高温になっていないため、冷却板25や他方の搬送アーム10,11にあまり熱的影響を及ぼさない。また、第1の実施の形態では搬送アーム10,11に冷却流路として内部にウィック251および111,121等による図7に示す構造を備えたヒートパイプ110,120を用いているので、後述する第2および第3の実施の形態における簡単な構造の冷却流路と比較して冷却効率がよい。
【0037】
また、加熱ユニット3aにおいて搬送アーム10,11が高温の基板Wを保持して取り出した後に後退して待機位置に位置する場合にはその基板W(以下、これを「発熱側」という。)からの熱放射は、それに対向する冷却板25の受熱領域AA1に至り、それを加熱する。しかし、この冷却板25は上記のようにヒートパイプ250をその内部に備え、それにより冷却板25自体を冷却しているため、その温度はあまり上昇することはない。
【0038】
そのため、この冷却板25は上記の発熱側からの熱放射を遮断し、他方の常温の搬送アーム10,11やそれに常温の基板Wが保持されている場合にはその基板W(以下、これらを併せて「受熱側」という。)に至るのを阻止するとともに、冷却板25自体が熱せられて、2次的な熱放射により受熱側を熱することが少ないので発熱側と受熱側との熱的影響を抑えることができる。
【0039】
また、発熱側近傍の雰囲気は加熱されるが、とりわけ、下段アーム11が上記発熱側としての高温の基板Wを保持し、上段アーム10が受熱側である状態で両搬送アーム10,11が待機位置にある場合には、対流により発熱側の熱せられた雰囲気が上昇して、受熱側へ向かうことになる。しかし、発熱側と受熱側との間には上記のように冷却される冷却板25が設けられているため、発熱側の高温雰囲気の熱は受熱側に直接至ることがない。そのため上記熱放射の遮断効果と相まって、発熱側と受熱側との熱的影響を一層抑えることができる。
【0040】
そして、以上により、基板Wの温度管理を精密に行うことができるので、例えばレジストパターンの現像工程における基板温度の不均一による現像ムラの発生を抑えるなどといった処理済みの基板Wの品質を向上させることができる。
【0041】
また、基板搬送ロボット6にはヒートパイプ110,120を備えた搬送アーム10,11を備えるので、加熱ユニット3aおよび冷却ユニット3bのいずれと基板Wの受け渡しを行っても基板Wに熱的影響を及ぼすことが少ないので、加熱ユニット3aと冷却処理ユニット3bとの間の搬送を行う基板搬送ロボットと、冷却ユニット3bと塗布ユニット1又は現像ユニット2との間を搬送する基板搬送ロボットとを個別に設けたり、冷却ユニット3bからのみ基板Wを受け取る専用の搬送アーム等、3本以上の搬送アームを設ける必要がないので、上記効果を実現しながら前者では基板処理装置100全体としての占有面積を抑えることができるのに加えて、両者とも装置構成を小型化および簡略化し、装置の制御を容易にするとともに製造コストを抑えることができる。
【0042】
さらに、この基板搬送ロボット6では冷却板25および搬送アーム10,11の冷却にヒートパイプ250および110,120を用いているので、ヒートポンプ等で冷却する場合のように冷媒を送受する配管等を搬送アーム10,11や冷却板25の外部に設けられた放熱手段等に連結する必要がないので、基板搬送ロボット6の移動によるそれらの配管の破損が生じることがなく、信頼性の高い装置とすることができる。
【0043】
<2.第2の実施の形態>
図8は第2の実施の形態における基板搬送ロボット7を示す斜視図である。また、図9はその基板搬送ロボット7の搬送アーム70の構造を示す図であり、図9(a)は搬送アーム70の平面図であり、図9(b)は図9(a)におけるB−B部分断面図である。以下、これらの図をもとに、第2の実施の形態における基板搬送ロボット7の詳細について説明していく。
【0044】
第2の実施の形態の基板処理装置は図1に示す第1の実施の形態の基板処理装置100において基板搬送ロボット6の代わりに基板搬送ロボット7を備える以外は全く同様の構成となっている。また、第2の実施の形態における基板搬送ロボット7は第1の実施の形態の基板搬送ロボット6と同様に搬送アーム70、基台75および基台駆動機構77等を備えている。なお、図8には説明の便宜上1本の搬送アーム70しか図示されていないが、第2の実施の形態における基板搬送ロボット7も第1の実施の形態における基板搬送ロボット6と同様に搬送アーム70が上下に2本設けられており、各搬送アーム70の進退機構も第1の実施の形態の基板搬送ロボット6と同様の構成となっている。また、処理済の基板Wの処理ユニット1〜3のいずれかからの取り出しと、未処理の基板Wの処理ユニット1〜3のいずれかへの搬入とを一度に行える点も、第1の実施形態の基板搬送ロボット6と同様である。そして、図1および図8において共通の3次元座標系X−Y−Zを用いて示すように、第1の実施の形態と同様に基台駆動機構77によって基台75はY軸方向の並進、Z軸方向の昇降およびZ軸方向を軸としての旋回が自在なものとなっている。
【0045】
また、図9(a)に示すように、搬送アーム70の内部には第1の実施の形態のヒートパイプ110,120の代わりに、基板保持部70aから基部70bにかけて、内部に冷媒CLが封入された空洞からなる冷却流路CRが設けられている。ところで、搬送アーム70は溝71aを備えた下部71と、それと一致する輪郭を有し、下部71の上面を覆うように取り付けられた蓋部72とを備え、上記溝71aの上部開口UOは蓋部72によって閉じられて上記空洞を形成している。そして、下部71および蓋部72は金属(熱伝導性のよい材質)製となっている。なお、図9(a)では理解を容易にするため蓋部72を破断線Lによって一部除去した状態で図示している。
【0046】
そして、図9(b)に示すように、空洞内の冷媒CLはその液面と蓋部72との間に間隙を有する量に調節されている。また、冷媒CLとしては具体的には第2の実施の形態ではフロリナートを用いている。このような冷却流路CRにより、この基板搬送ロボット7では搬送アーム70を冷却する。以下、この搬送アーム70の冷却原理を説明する。
【0047】
冷却流路CRにおける上記空洞内の液体の冷媒CLは基板保持部70aにおいて、保持される基板Wにより熱せられた搬送アーム70の熱を潜熱(気化熱)として奪って気化する。これにより基板保持部70aにおける冷却流路CR内の気圧が上昇する。これに対し、搬送アーム70の基部70b内の空洞内の気体の冷媒CLは逆に基部70bに潜熱を与えて液化する。これによりその位置での空洞内の気圧は低下する。すなわち、基板保持部70a側の冷却流路CR内の気圧は上昇し、基部70b側の空洞内の気圧は低下するため、基板保持部70a側の気体の冷媒CLは空洞内を基部70b側に移動する。
【0048】
逆に、基板保持部70aにおける空洞内の液体の冷媒CLは上記のように基板Wの熱により盛んに気化するためその体積が減少する。また基部70b側の空洞内の気体の冷媒CLは上記のように盛んに液化するため、その位置の液体の冷媒CLはその体積を増す。したがって、液体の冷媒CLは空洞内を基部70b側から基板保持部70a側へ移動することになる。以上から、空洞内の冷媒CLは空洞内を循環することによって基板保持部70aの熱を奪い、その熱を基部70bにおいて放出するため、搬送アーム70は冷却されるのである。
【0049】
さらに、この搬送アーム70の基部70bの後端(図9のX軸負側端)には多数のフィン73aが設けられて放熱促進部73を形成している。各フィン73aは図中のX−Z面内において長方形である板状部材であり、このような多数のフィン73aにより、大気にふれる表面積を多くして冷媒CLから放出される潜熱を大気に放出し易いものとなっている。
【0050】
以上説明したように、第2の実施の形態によれば、搬送アーム70内に上記のような冷却流路CRが設けられており、基板保持部70aで受け取った熱を直ちに基部70b、とりわけ、その後端の放熱促進部73に導いて放熱するので基板保持部70aの温度上昇が抑えられる。したがって、次にその搬送アーム70が基板Wの受け渡しを行うために冷却ユニット3bに進入しても、その搬送アーム70はさほど高温になっていないので、冷却ユニット3b内の冷却されて常温近くまで温度が低下している基板Wを取り出す場合やその逆の場合等にも、その基板Wや処理ユニット1〜3、とりわけ冷却ユニット3bの内部雰囲気にあまり熱的影響を与えない。
【0051】
また、冷却流路CRが基板保持部70aから基部70bに亙って内部に設けられた空洞に冷媒CLが封入された簡単な構造であるため、装置の制御を容易に行えるとともに製造コストを抑えることができる。
【0052】
また、空洞が溝71aと当該溝71aの開口部を閉じる蓋部72とから形成されるため、空洞をくり貫いて形成する場合に比べて、容易に形成することができるので、装置の製造コストをさらに抑えることができる。
【0053】
また、基部70bが外部への放熱を促進する放熱促進部73を備えるため、より効率的に搬送アーム70を冷却することができる。
【0054】
そして、以上により、第2の実施の形態の基板処理装置により基板処理を行う場合に、基板Wの温度管理を精密に行うことができるので、例えばレジストパターンの現像工程における基板温度の不均一による現像ムラの発生を抑えるなどといった処理済みの基板Wの品質を向上させることができる。
【0055】
また、基板搬送ロボット7には冷却流路CRを備えた搬送アーム70を備えるので、加熱ユニット3aおよび冷却ユニット3bのいずれと基板Wの受け渡しを行っても基板Wに熱的影響を及ぼすことが少ないので、加熱ユニット3aと冷却処理ユニット3bとの間の搬送を行う基板搬送ロボットと、冷却ユニット3bと塗布ユニット1又は現像ユニット2との間を搬送する基板搬送ロボットとを個別に設けたり、冷却ユニット3bからのみ基板Wを受け取る専用の搬送アーム等、3本以上の搬送アームを設ける必要がないので、上記効果を実現しながら前者では基板処理装置全体としての占有面積を抑えることができるのに加えて、両者とも装置構成を小型化および簡略化し、装置の製造コストを抑えることができる。
【0056】
さらに、この基板搬送ロボット6では搬送アーム70の冷却に冷却流路CRを用いているので、ヒートポンプ等で冷却する場合のように冷媒を送受する配管等を搬送アーム10,11や冷却板25の外部に設けられた放熱手段等に連結する必要がないので、基板搬送ロボット6の移動によるそれらの配管の破損が生じることがなく、信頼性の高い装置とすることができる。
【0057】
<3.第3の実施の形態>
図10は第3の実施の形態の基板処理装置における基板搬送ロボット8の搬送アーム80の平面図である。以下、図10をもとに、第3の実施の形態における基板処理装置について説明していく。
【0058】
第3の実施の形態の基板処理装置は、その基板搬送ロボット8の搬送アーム80の構造が図8および図9に示す第2の実施の形態の基板処理装置の基板搬送ロボット7と異なる以外は全く同様の構成となっている。
【0059】
第3の実施の形態の装置における基板搬送ロボット8の搬送アーム80は第2の実施の形態の基板搬送ロボット7と比較して、冷却流路CRの中間部CRb(参照符号一部省略)を基部80b内に多数本設けており、基板保持部80a内の冷却流路CRの受熱部CRaにおいて熱せられた第2の実施の形態と同様の冷媒CLが冷却流路CRの上記中間部CRbを通過中にも基部80b表面から放熱し易いものとなっている。また、複数の中間部CRbはそれに垂直かつ後述する放熱促進部83に平行に設けられた冷却流路CRの放熱部CRcに連結されている。
【0060】
また、第3の実施の形態における搬送アームの放熱促進部83は第2の実施の形態におけるそれと同様の多数のフィン83a(参照符号一部省略)を基部80bの後端(X軸負側端)から外部に突出した状態で取り付けたものとなっている。
【0061】
このような構成であるため、第3の実施の形態によれば第2の実施の形態と同様の効果を有する他、冷却流路CRが多数の中間部CRbを備えているので、より放熱作用が良好で、より効率的に搬送アーム80を冷却することができる。さらに、それにより、基板のより精密な温度管理、および処理済みの基板のさらなる品質の向上を実現することができる。
【0062】
<4.変形例>
上記第1および第2の実施の形態において基板搬送部およびそれを備えた基板処理装置の一例を示したが、この発明はこれに限られるものではない。
【0063】
例えば、上記第1の実施の形態における基板搬送ロボット6では冷却板を備えるものとしたが、冷却板を備えない構成としてもよい。その場合にも搬送アーム自体が高温になることが少ないので互いの熱的影響を抑えることができ、上記実施の形態と同様に基板Wの精密な温度管理、および処理済みの基板Wの品質の向上を実現しつつ、装置構成を小型化および簡略化し、装置の製造コストを抑えることができ、さらに、信頼性の高い装置とすることができる。また、逆に第2および第3の実施の形態の基板搬送ロボット7,8において上下2段の搬送アームの間に第1の実施の形態と同様の冷却板を設けてもよい。その場合には、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0064】
また、上記第1の実施の形態における基板搬送ロボット6では内部にヒートパイプを備える搬送アームとして上段アーム10および下段アーム11の2本を備えるものとしたが、ヒートパイプまたは冷却流路を備える搬送アームを1本とし、他方の搬送アームはそれらを備えないものとしたり、逆にそれらを有する搬送アームを3本以上備えるものとしてもよい。すなわち、この発明では、従来のように搬送アーム間の熱分離を目的として搬送アームの本数を増加させる必要はなくなるが、搬送シーケンス上の目的などで3本以上の搬送アームを設けてあるような場合に、それらに対してこの発明を適用することを禁ずるものではない。搬送装置が複数台存在する場合にも同様である。
【0065】
また、上記第1の実施の形態における基板搬送ロボット6では、冷却板25および搬送アーム10,11に螺旋状の襞を持つ螺旋管252および112,122を備えることにより可撓性を備えたヒートパイプ250および110,120を図5,図6のように設けるものとしたが、螺旋管252および112,122の代わりに筒状の管を備えた可撓性を持たない通常のヒートパイプを冷却板25および搬送アーム10,11内に直線状に設ける等のその他の構成であってもよい。
【0066】
また、第2および第3の実施の形態における搬送アームでは、冷却流路CRの空洞を下部の溝と蓋部とを併せることによって形成するものとしたが、搬送アームを上部と下部の互いに接合する面のそれぞれの対応する位置に同じ幅の溝を設けて、それらを重ね併せることによって空洞を形成するものとしてもよい。
【0067】
さらに、第2および第3の実施の形態では搬送アーム7,8に放熱促進部として多数のフィンを設けたが、放熱促進部としてファンを設けて基部を空冷するもの等その他の手段を用いてもよい。
【0068】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1および請求項1に従属する請求項2〜4に記載の発明によれば、基板保持部から基部に亙って冷媒の封入された冷却流路が設けられているため、搬送アームが保持する基板に与える熱的影響を抑えることができるので、基板の保持や受け渡しに際して、基板の精密な温度管理、および処理済み基板の品質の向上を実現することができる。
また、請求項1および請求項1に従属する請求項2〜4に記載の発明によれば、一方の搬送アームからの熱放射を遮断し、他方の搬送アームやそれに保持された基板に、その熱が至るのを阻止することができる。したがって、2つの搬送アームの相互の熱的影響を抑えることができ、基板の精密な温度管理を実現することができる。
【0073】
また、請求項4の発明によれば、基板の加熱処理部を含む複数の基板処理部と、請求項1ないし請求項3の発明を用いた基板搬送部を備えるため、搬送アームが保持する基板に与える熱的影響を抑えることができるので、基板の精密な温度管理、および処理済みの基板の品質の向上を実現することができる。さらに、上記効果を得るために余分な搬送アームを備えたり、余分な基板搬送部を備える必要がないので、装置構成の大型化および複雑化を抑え、装置の製造コストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態である基板処理装置を示す斜視図である。
【図2】第1の実施の形態における基板搬送ロボットを示す斜視図である。
【図3】第1の実施の形態における基板搬送ロボットの一部断面側面図である。
【図4】図2のIV−IV線矢視断面図である。
【図5】第1の実施の形態における基板搬送ロボットの冷却板のヒートパイプの配置を示す平面図である。
【図6】第1の実施の形態における基板搬送ロボットの搬送アームのヒートパイプの配置を示す平面図である。
【図7】ヒートパイプの断面図である。
【図8】第2の実施の形態における基板搬送ロボットを示す斜視図である。
【図9】第2の実施の形態の基板搬送ロボットの搬送アームの構造を示す図である。
【図10】第3の実施の形態の基板搬送ロボットの搬送アームの平面図である。
【符号の説明】
1〜3 処理ユニット(「基板処理部」)
3a 加熱ユニット
3b 冷却ユニット
6,7.8 基板搬送ロボット(「基板搬送装置」,「基板搬送部」)
10,11 上段アーム,下段アーム(それぞれ「搬送アーム」)
70,80 搬送アーム
10a,11a,70a,80a 基板保持部
10b,11b,70b,80b 基部
73,83 放熱促進部
71a 溝
72 蓋部(71と併せて空洞)
100 基板処理装置
250,110,120 ヒートパイプ
CR 冷却流路
CL 冷媒
W 基板
Claims (4)
- 搬送アームにより基板の保持や受け渡しを行う基板搬送装置であって、
前記搬送アームが、
基板を保持する基板保持部と、
前記基板保持部が取り付けられた基部と、
を備え、
前記搬送アームは、上下に2つ設けられており、
前記2つの搬送アームの間に冷却板が設けられており、
前記2つの搬送アームのうちの少なくとも1つの搬送アームには、前記基板保持部から前記基部に亙って冷媒の封入された冷却流路が設けられており、
前記冷却板には、冷媒の封入されたヒートパイプが設けられていることを特徴とする基板搬送装置。 - 請求項1に記載の基板搬送装置であって、
前記2つの搬送アームのそれぞれは、待機状態と進出状態との間で進退移動し、
前記待機状態における前記2つの搬送アームの間に前記冷却板が設けられており、
前記ヒートパイプは、前記待機状態において上下に配置された前記2つの搬送アームに保持される基板と重なる領域に受熱部を有するとともに、前記待機状態において上下に配置された前記2つの搬送アームに保持される基板から外れた領域に放熱部を有することを特徴とする基板搬送装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の基板搬送装置であって、
前記冷却流路および前記ヒートパイプは、
中心の空洞を覆う網状のウィックと、
前記ウィックを覆う螺旋管と
を備え、
前記ウィックと前記螺旋管との間に前記冷媒が浸透されることを特徴とする基板搬送装置。 - 基板の加熱処理部を含む複数の基板処理部と、
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の基板搬送装置を用いて構成され、前記複数の基板処理部に対して基板の受け渡しを行う基板搬送部と、
を備えることを特徴とする基板処理装置。
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