JP4056284B2 - 基板処理装置および基板処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウエハやLCD基板等の基板に液処理や液処理後の熱的処理等の所定の処理を施す基板処理装置と基板処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、半導体デバイスの製造工程では、半導体ウエハにおいて半導体デバイスが形成されるウエハの表面の清浄度を高く維持する必要がある。このために、種々の製造プロセスの前後でウエハの表面の洗浄が行われている。特に、フォトリソグラフィ工程においては、ウエハの表面および裏面の洗浄は不可欠である。そこで、従来より、例えば、略水平に載置されて面内回転するウエハの上面に洗浄液を供給しながら回転するブラシをウエハの上面に当接させ、このブラシをウエハの中心部と周縁部との間で往復移動させることによって、ウエハの上面に付着したパーティクル等の汚染物質を除去するスクラブ洗浄が行われている。
【0003】
このようなスクラブ洗浄を行う洗浄処理装置に対するウエハの搬入出は、複数のウエハを略水平姿勢で鉛直方向に一定間隔で収容可能な容器を用いて行われる。容器に収容されるウエハは、ウエハの表面と裏面を区別するために、その表面が上面となるように(以下このような状態を「表向き」という)揃えて収容されている。
【0004】
このような洗浄処理装置においては、先ず容器の所定スロットからウエハが取り出されて装置内に搬入される。その後にレシピに合わせてウエハを所定のタイミングで反転させて、ウエハの表裏面の洗浄処理と洗浄処理後の乾燥処理等を行う。このような種々の処理は、ウエハの表面または裏面のどちらが上面となっているかを認識しながら行われる。最後に、処理が終了したウエハは、ウエハが表向きとなっている状態で容器の元のスロットに戻されている。通常の運転では、容器に収容されていた全てのウエハが、処理の終了後に元の容器の元のスロットに戻され、これにより全工程が終了する。
【0005】
ところが、例えば、処理中に地震や強風等の天災や人為的ミスによって洗浄処理装置の電源が落ちて洗浄処理装置がシャットダウンしてしまった場合には、容器に収容されていた全てのウエハについて処理を終了することができない。この場合には、再び洗浄処理装置を起動させた際に、洗浄処理装置内に存在する全てのウエハを回収しなければならない。このようなウエハの回収は、ウエハの表面と裏面の区別をすることなく、容器の空きスロットに回収することによって行われていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ウエハを裏面が上面となっている状態(以下このような状態を「逆向き」という)で容器に収容すると、容器内に設けられたウエハを保持するための棚板とウエハの表面とが擦れる。この場合には、ウエハに傷が生じてウエハが利用不可能となる。また、ウエハの再処理の開始にあたっては、容器に回収された基板の状態をオペレータが目視により確認して、ウエハを表向きに揃える必要がある。この場合には、オペレータの負担が大きくなり、生産性も低下する。さらに、ウエハをオペレータが手作業で取り扱うために、取り落とし等によってウエハが破損するおそれもある。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、基板の表面が損傷することを回避しながら装置内に存在する基板を回収することができる基板処理装置と基板処理方法を提供することを目的とする。また、本発明は、オペレータの負担を軽減する基板処理装置と基板処理方法を提供することを目的とする。さらに、本発明は、装置内に存在する基板の回収や基板に対する所定の処理の再開を容易ならしめる基板処理装置と基板処理方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の第1の観点によれば、基板に対して所定の処理を施すとともに、その中で基板の反転が行われる装置本体と、前記装置本体内で基板を搬送する基板搬送手段と、前記装置本体内に存在する基板を検出する基板検出手段と、前記装置本体の電源遮断時に前記装置本体内に存在する基板の位置およびこの基板の向きが表向きか逆向きかに関する情報を記憶し、次に前記装置本体に電源が投入された際にこの記憶された情報が取り出される記憶手段と、前記装置本体に電源が投入された際に前記基板検出手段が検出した検出情報と前記記憶手段から取り出された情報とを照合して、これらの情報に相違がある場合に警報を発する警報手段と、前記警報を解除する警報解除手段と、前記装置本体内に存在する基板を前記装置本体外の所定位置に回収するように前記基板搬送手段を制御する制御手段と、前記制御手段に基板回収を開始する指令を発する回収開始手段と、を具備し、前記警報解除手段によって警報が解除され、かつ、前記装置本体内の基板が表向きで回収されることが確認された後に、前記回収開始手段は基板回収の指令を前記制御手段に発し、前記警報解除手段は、前記警報手段によって警報が発せられた基板に関する情報を修正して基板情報を確定し、基板情報の確定後に前記警報を解除する情報修正手段を具備し、前記制御手段は、前記情報修正手段によって確定された基板情報に基づいて前記装置本体内に存在する基板を装置本体外の所定位置に回収するように前記基板搬送手段を制御することを特徴とする基板処理装置、が提供される。
【0009】
本発明の第2の観点によれば、基板に対して所定の処理を施すとともに、その中で基板の反転が行われる装置本体と、前記装置本体内で基板を搬送する基板搬送手段と、前記装置本体の電源遮断時に前記装置本体内に存在する基板の位置およびこの基板の向きが表向きか逆向きかに関する情報を記憶し、次に前記装置本体に電源が投入された際にこの記憶された情報が取り出される記憶手段と、前記装置本体に電源が投入された際に前記記憶手段から取り出された情報を操作する情報操作手段と、前記情報操作手段によって得られた基板情報に基づいて基板を装置本体外の所定位置に回収するように前記基板搬送手段を制御する制御手段と、前記制御手段に基板回収を開始する指令を発する回収開始手段と、を具備し、前記装置本体内の基板が表向きで回収されることが確認された後に前記回収開始手段は基板回収の指令を前記制御手段に発し、前記情報操作手段は、前記記憶手段から取り出された所定位置に基板が存在していることを示すデータを削除し、または前記記憶手段から所定位置に基板が存在していないことを示すデータが取り出された場合に前記所定位置に基板が存在するデータを追加し、または前記記憶手段から取り出された所定位置に存在する基板の向きが表向きか逆向きかに関するデータが実際の基板の向きと異なっている場合に前記データを修正することができることを特徴とする基板処理装置、が提供される。
【0012】
本発明の第3の観点によれば、基板の表面および裏面に対して所定の処理を行い、その中で基板を搬送する基板搬送手段を備えた基板処理装置における基板処理方法であって、基板処理装置の電源遮断時に前記基板処理装置内に存在する基板の位置およびこの基板の向きが表向きか逆向きかに関する情報をメモリに記憶する工程と、前記記憶工程後に最初に前記基板処理装置に電源が投入された際に、前記メモリに記憶された情報を取り出す工程と、前記取り出し工程において取り出された情報を前記基板処理装置内の実際の基板状態と一致するように修正し、基板情報を確定する工程と、前記確定工程において確定された基板情報に基づいて、前記基板処理装置内に存在する基板を前記基板搬送手段により表向きで前記基板処理装置外の所定位置に搬出する工程と、を有することを特徴とする基板処理方法、が提供される。
【0013】
本発明の第4の観点によれば、基板の表面および裏面に対して所定の処理を行い、その中で基板を搬送する基板搬送手段を備えた基板処理装置における基板処理方法であって、基板処理装置の電源遮断時に前記基板処理装置内に存在する基板の位置およびこの基板の向きが表向きか逆向きかに関する情報をメモリに記憶する工程と、前記記憶工程後に最初に基板処理装置に電源が投入された際に、前記メモリに記憶された情報を取り出し、また、前記基板処理装置内に存在する基板を検出する工程と、前記検出工程において前記メモリから取り出された情報と前記基板処理装置内で検出された基板の位置情報とを照合して、これらの情報に相違がない場合には基板情報を確定し、これら情報に相違がある場合には前記メモリから取り出された情報を前記基板処理装置内の実際の基板状態と一致するように修正して基板情報を確定し、前記基板情報に基づいて前記基板処理装置内に存在する基板を前記基板搬送手段により表向きで前記基板処理装置外の所定位置に搬出する工程と、を有することを特徴とする基板処理方法、が提供される。
【0014】
本発明の第5の観点によれば、基板の表面および裏面に対して所定の処理を行い、その中で基板を搬送する基板搬送手段を備えた基板処理装置における基板処理方法であって、基板処理装置の電源遮断時に前記基板処理装置内に存在する基板の位置およびこの基板の向きが表向きか逆向きかに関する情報をメモリに記憶する工程と、前記記憶工程後に最初に基板処理装置に電源が投入された際に、前記メモリに記憶された情報を取り出し、また、前記基板処理装置内に存在する基板を検出する工程と、前記メモリから取り出された情報と前記基板処理装置内で検出された基板の位置情報とを照合して、これらの情報に相違点または不明点がある場合に警報を発する工程と、オペレータによって前記基板処理装置内の実際の基板状態を示す基板情報を確定し、前記警報を解除する工程と、前記解除工程において確定された基板情報に基づいて、前記基板処理装置内に存在する基板を前記基板搬送手段により表向きで基板処理装置外の所定位置に搬出する工程と、を有し、前記検出工程では前記メモリから取り出された情報および前記基板処理装置内で検出された基板の位置をモニタに表示し、前記解除工程では前記モニタに表示された情報をモニタ画面上で編集し、前記搬出工程では前記モニタ画面から前記基板搬送手段の動作を制御する制御部へ基板回収の指令を送ることを特徴とする基板処理方法、が提供される。
【0017】
このような本発明の基板処理装置と基板処理方法によれば、基板処理装置の電源が遮断されてその後に最初に再起動した際に、基板処理装置内に存在する基板の位置と向きを容易に把握することができる。これにより、オペレータは必要に応じて基板の表面と裏面の別を確認し、所定の処理手順にしたがった操作を行えば、容易に基板をその向きを揃えて回収することができる。また、自動回収も行うことができる。こうして基板の損傷が防止され、また、オペレータの負担が軽減される。また、オペレータが直接に基板を取り扱う際の基板の取り落とし等の発生を防止することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の基板処理装置の実施態様について説明する。本実施態様では、本発明を半導体ウエハ(ウエハ)の搬送、洗浄、乾燥を一貫して行うように構成された洗浄処理システムに適用した場合について説明することとする。
【0019】
図1は洗浄処理システム1の概略構造を示す平面図であり、図2はその側面図である。これら図1および図2に示されるように、洗浄処理システム1は、ウエハWに洗浄処理および洗浄処理後の熱的処理を施す基板洗浄処理部3と、複数枚、例えば25枚のウエハWが鉛直方向に所定の間隔で略水平に収容可能な容器(FOUP F;Front Opening Unified Pod)を載置するための載置台11が設けられたイン・アウトポート4と、載置台11に載置されたフープFと基板洗浄処理部3との間でウエハの受け渡しを行うウエハ搬送装置(CRA)13が備えられたウエハ搬送部5から構成されている。洗浄処理システム1の本体装置は、基板洗浄処理部3とウエハ搬送部5からなる。
【0020】
フープFに対するウエハWの搬入出はフープFの1側面に設けられた搬入出口を通して行われる。フープFにはこの搬入出口を開閉する蓋体が設けられている。また、フープFの内壁にはウエハWを鉛直方向に一定間隔で保持するための棚板が設けられ、ウエハWを収容するスロット1〜スロット25が形成されている。ウエハWは、ウエハWの表面(半導体デバイスを形成する面をいうものとする)が上面(ウエハWを水平に保持した場合に上側となっている面をいうものとする)となっている状態(表向きの状態)で、各スロットに1枚ずつ収容される。
【0021】
イン・アウトポート4の載置台11上には、例えば、3個のフープFを水平面のY方向に並べて載置することができるようになっている。フープFは搬入出口が設けられている側面をイン・アウトポート4とウエハ搬送部5との境界壁91側に向けて載置される。境界壁91においてフープFの載置場所に対応する位置には窓部92が形成されている。窓部92をシャッター等により開閉する窓部開閉機構12が、各窓部92に対してウエハ搬送部5側に設けられている。
【0022】
この窓部開閉機構12はフープFの蓋体をも保持することができ、これにより窓部92の開閉と同時にフープFの搬入出口を開閉することができるようになっている。フープFが載置台11の所定位置に載置されていないときに窓部開閉機構12が動作しないように、窓部開閉機構12にインターロックを設けることが好ましい。窓部92を開口してフープFのウエハ搬入出口とウエハ搬送部5とを連通させると、ウエハ搬送部5に設けられたウエハ搬送装置(CRA)13のフープFへのアクセスが可能となる。これによりウエハWの搬送が可能な状態となる。
【0023】
各窓部92の上部には図示しないウエハ検査装置が設けられている。ウエハ検査装置は、フープF内に収容されたウエハWの枚数と状態をスロット毎に検出する。このようなウエハ検査装置は、窓部開閉機構12に装着してもよい。
【0024】
ウエハ搬送部5に設けられたウエハ搬送装置(CRA)13は、Y方向とZ方向に移動可能であり、かつ、X−Y平面内で回転(θ方向)自在に構成されている。ウエハ搬送装置(CRA)13はウエハWを把持する搬送ピック13aを有し、この搬送ピック13aはX方向にスライド自在となっている。これにより搬送ピック13aは、載置台11に載置された全てのフープFの任意の高さのスロットにアクセスし、また、基板洗浄処理部3に設けられた2台のウエハ受渡ユニット(TRS)14a・14bにアクセスすることができる。
【0025】
ウエハ搬送装置(CRA)13には、搬送ピック13aがウエハWを保持しているかどうかを検出するウエハ検出センサ(図示せず)が取り付けられている。このウエハ検出センサは、フープFの所定のスロットからウエハWを搬出し、また、所定のスロットにウエハWを搬入することを可能とする位置センサとしても機能する。つまり、ウエハ検出センサは、フープFのスロットを認識することもできるようになっている。
【0026】
基板洗浄処理部3は、ウエハWを反転させる2台のウエハ反転ユニット(RVS)14c・14dと、ウエハ搬送部5との間で基板の受け渡しを行うためにウエハWを一時的に載置する2台のウエハ受渡ユニット(TRS)14a・14bとを有する受渡/反転部(TRS/RVS)14を備えている。また、基板洗浄処理部3は、洗浄処理後のウエハWを加熱処理する3台のホットプレートユニット(HP)16a〜16cと、加熱されたウエハWを冷却する冷却ユニット(COL)16dとを有する加熱/冷却部(HP/COL)16を備えている。
【0027】
さらに基板洗浄処理部3は、ウエハWにスクラブ洗浄を施す4台のスクラブ洗浄ユニット(SCR)21a〜21dと、基板洗浄処理部3に設けられたこれら各ユニットの全てにアクセス可能であり、これら各ユニットの間でウエハWの搬送を行う主ウエハ搬送装置(PRA)15と、を有している。
【0028】
ウエハ受渡ユニット(TRS)14a・14bと、ウエハ反転ユニット(RVS)14c・14dと、スクラブ洗浄ユニット(SCR)21a〜21dの各ユニットには、各ユニット内にウエハWが存在するか否かを検出するウエハ検出センサ(図示せず)が設けられている。なお、ホットプレートユニット(HP)16a〜16cと冷却ユニット(COL)16dにウエハ検出センサを設けることも当然に可能である。
【0029】
基板洗浄処理部3には、洗浄処理システム1全体を稼働させるための電源である電装ユニット(EB)18と、洗浄処理システム1内に設けられた各種ユニットおよび洗浄処理システム1全体の動作・制御を行う機械制御ユニット(MCB)19と、スクラブ洗浄ユニット(SCR)21a〜21dに送液する所定の洗浄液を貯蔵する薬液貯蔵ユニット(CTB)17と、が設けられている。電装ユニット(EB)18は主電源(図示せず)と接続される。基板洗浄処理部3の天井部には、ウエハWを取り扱う各ユニットおよび主ウエハ搬送装置(PRA)15に、清浄な空気をダウンフローするためのフィルターファンユニット(FFU)22が設けられている。
【0030】
薬液貯蔵ユニット(CTB)17と電装ユニット(EB)18と機械制御ユニット(MCB)19を基板洗浄処理部3の外側に設置することによって、または外部に引き出すことによって、この面(Y方向側面)から受渡/反転部(TRS/RVS)14と主ウエハ搬送装置(PRA)15と加熱/冷却部(HP/COL)16のメンテナンスを行うことが可能である。
【0031】
図3は受渡/反転部(TRS/RVS)14におけるウエハ受渡ユニット(TRS)14a・14bと、ウエハ反転ユニット(RVS)14c・14dの配置を、X方向に隣接する主ウエハ搬送装置(PRA)15および加熱/冷却部(HP/COL)16とともに示した断面図である。受渡/反転部(TRS/RVS)14においては、下側にウエハ受渡ユニット(TRS)14a・14bが2段に積み重ねられ、ウエハ受渡ユニット(TRS)14b上にウエハ反転ユニット(RVS)14c・14dがさらに2段積み重ねられている。
【0032】
例えば、下段のウエハ受渡ユニット(TRS)14aはイン・アウトポート4側から基板洗浄処理部3側へ搬送するウエハWを載置するために用い、一方、上段のウエハ受渡ユニット(TRS)14bは基板洗浄処理部3側からイン・アウトポート4側へ搬送するウエハWを載置するために用いることができる。
【0033】
また、下段のウエハ反転ユニット(RVS)14cはウエハWを表向きの状態からその裏面(半導体デバイスを形成しない面をいう)が上面となっている状態(逆向きの状態)へウエハWを反転させるために用い、一方、上段のウエハ反転ユニット(RVS)14dはウエハWを逆向きの状態から表向きの状態へウエハWを反転させるために用いることができる。
【0034】
フィルターファンユニット(FFU)22からのダウンフローの一部は、ウエハ受渡ユニット(TRS)14a・14bの内部およびウエハ反転ユニット(RVS)14c・14dの内部に導かれた後に、ウエハ搬送部5に向けて流出する構造となっている。これによりウエハ搬送部5から基板洗浄処理部3へのパーティクル等の侵入が防止されるため、基板洗浄処理部3の清浄度が保持される。
【0035】
主ウエハ搬送装置(PRA)15は、垂直壁51a・51bおよびこれらの間の側面開口部51cを有し、Z方向に延在する筒状支持体51と、その内側に筒状支持体51に沿ってZ方向に昇降自在に設けられたウエハ搬送体52と、を有している。筒状支持体51はモータ53の回転駆動力によって回転可能となっており、それに伴ってウエハ搬送体52も一体的に回転されるようになっている。
【0036】
ウエハ搬送体52は、搬送基台54と、搬送基台54に沿って前後に移動可能な3本の主ウエハ搬送アーム55・56・57とを備えており、主ウエハ搬送アーム55〜57は、筒状支持体51の側面開口部51cを通過可能な大きさを有している。これら主ウエハ搬送アーム55〜57は、搬送基台54内に内蔵されたモータおよびベルト機構によりそれぞれ独立して進退移動することが可能となっている。ウエハ搬送体52は、モータ58によってベルト59を駆動させることにより昇降自在である。なお、符号60は駆動プーリー、61は従動プーリーである。また、主ウエハ搬送装置(PRA)15にはウエハWを保持しているかどうかを検出するウエハ検出センサ(図示せず)が取り付けられている。
【0037】
加熱/冷却部(HP/COL)16は、主ウエハ搬送装置(PRA)15を挟んで受渡/反転部(TRS/RVS)14の反対側に設けられている。加熱/冷却部(HP/COL)16では、ウエハWの強制冷却を行う1台の冷却ユニット(COL)16dの上に、強制加熱/自然冷却を行うホットプレートユニット(HP)16a〜16cが3台積み重ねられている。
【0038】
スクラブ洗浄ユニット(SCR)21a〜21dは、上下2段の各段に2台ずつが配置されている。例えば、上段に配置された2台のスクラブ洗浄ユニット(SCR)21c・21dはウエハWの表面洗浄用に用いられ、下段に配置された2台のスクラブ洗浄ユニット(SCR)21a・21bはウエハWの裏面洗浄用に用いられる。この場合において、例えば、表面洗浄用のスクラブ洗浄ユニット(SCR)21c・21dにおいては、ウエハWを略平行に保持して回転させるスピンチャックとして、真空吸引力を用いてウエハWを保持するものが好適に用いられる。また、裏面洗浄用のスクラブ洗浄ユニット(SCR)21a・21bにおいては、ウエハWの外周を機械的に把持してウエハWを保持するスピンチャックが好適に用いられる。
【0039】
次に、上述した洗浄処理システム1によるウエハWの洗浄処理工程の一態様について以下に説明する。ここで、ウエハ受渡ユニット(TRS)14aはイン・アウトポート4側から基板洗浄処理部3側へ搬送するウエハWを載置するために用い、ウエハ受渡ユニット(TRS)14bは基板洗浄処理部3側からイン・アウトポート4側へ搬送するウエハWを載置するために用いるものとする。また、ウエハ反転ユニット(RVS)14cは表向きのウエハWを逆向きになるように反転させるために用い、ウエハ反転ユニット(RVS)14dは逆向きになっているウエハWを表向きに反転させるために用いるものとする。さらに、スクラブ洗浄ユニット(SCR)21c・21dをウエハWの表面洗浄用に用い、スクラブ洗浄ユニット(SCR)21a・21bをウエハWの裏面洗浄用に用いるものとする。
【0040】
図4は、以下に説明する洗浄処理工程を簡略的に示した工程説明図(フローチャート)である。最初に、25枚のウエハWが表向きの状態で収容されているフープFを載置台11に載置する(ステップ1)。次に、窓部開閉機構12によって窓部92およびフープFの搬入出口を開口する。続いてフープFの所定のスロットにあるウエハWをウエハ搬送装置(CRA)13を用いてフープFから搬出し(ステップ2)、ウエハ受渡ユニット(TRS)14aに搬送する(ステップ3)。
【0041】
主ウエハ搬送装置(PRA)15は、ウエハ受渡ユニット(TRS)14aからウエハWを搬出し、表面の洗浄処理用のスクラブ洗浄ユニット(SCR)21c・21dのいずれかへ搬送する(ステップ4)。そこでウエハWのスクラブ洗浄処理が行われる(ステップ5)。
【0042】
ステップ5の処理が終了したウエハWは、主ウエハ搬送装置(PRA)15によって、ホットプレートユニット(HP)16a〜16cのいずれかへ搬送されてそこで加熱乾燥処理が施され(ステップ6)、続いて冷却ユニット(COL)16dに搬送されて冷却処理される(ステップ7)。
【0043】
冷却処理されたウエハWを、主ウエハ搬送装置(PRA)15により、ウエハ反転ユニット(RVS)14cへ搬送する(ステップ8)。ウエハ反転ユニット(RVS)14cでは、表向きのウエハWが逆向きとなるようにウエハWを180°反転させる(ステップ9)。ステップ9の処理によって逆向きとされたウエハWは、主ウエハ搬送装置(PRA)15によってスクラブ洗浄ユニット(SCR)21a・21bのいずれかへ搬送され(ステップ10)、そこでウエハWの裏面のスクラブ洗浄処理が行われる(ステップ11)。
【0044】
ステップ11の処理が終了したウエハWは、主ウエハ搬送装置(PRA)15によって、ウエハ反転ユニット(RVS)14dへ搬送され(ステップ12)、そこでウエハWが表向きとなるようにウエハWの反転処理が行われる(ステップ13)。ステップ13によって表向きとなったウエハWは、主ウエハ搬送装置(PRA)15によって、ウエハ反転ユニット(RVS)14dからホットプレートユニット(HP)16a〜16cのいずれかへ搬送され、そこでウエハWに加熱乾燥処理が施される(ステップ14)。続いて主ウエハ搬送装置(PRA)15は、ウエハWを冷却ユニット(COL)16dに搬送し、そこでウエハWは冷却処理される(ステップ15)。
【0045】
冷却処理されたウエハWは、主ウエハ搬送装置(PRA)15によって冷却ユニット(COL)16dからウエハ受渡ユニット(TRS)14bへ搬送される(ステップ16)。ウエハ受渡ユニット(TRS)14bに載置された洗浄処理の終了したウエハWは、ウエハ搬送装置(CRA)13によってフープF内の所定のスロットに戻される(ステップ17)。なお、上述したステップ6とステップ7の工程およびステップ14とステップ15の工程は省略することができる。
【0046】
上述したステップ1〜ステップ17の工程による洗浄処理を行うために、洗浄処理システム1に電源投入して洗浄処理システム1を起動させた際には、洗浄処理システム1を構成する各ユニットが正常な動作を行うことが可能な状態にあるかどうかを調べる動作確認と、各ユニットや搬送装置にウエハWが存在していないかどうかの確認作業とを行う初期化処理(イニシャライズ処理)が行われる。
【0047】
このときに洗浄処理システム1内にウエハWが存在している場合(このようなウエハWを以下「エクストラウエハ」という)には、エクストラウエハが洗浄処理の開始の妨げとなるために、エクストラウエハを載置台11に載置されたフープFに戻す回収処理を行う必要が生ずる。
【0048】
エクストラウエハが存在する理由としては、洗浄処理システム1の稼働中に地震や台風等の自然災害による停電によって不可避的に洗浄処理システム1の電源が落ちてしまった場合や、基板洗浄処理部3においてトラブルが発生した際にオペレータが安全性確保のために洗浄処理システム1の電源を意図的に落とした場合等が挙げられる。
【0049】
なお、正常に洗浄処理が終了した後に洗浄処理システム1の稼働を停止させるために電源を落とした場合においても、次に洗浄処理システム1を起動したときには、イニシャライズ処理を行う必要がある。その際にエクストラウエハの有無の確認を行うことは、洗浄処理システム1の運転の安全性を確保する点からも必要である。
【0050】
エクストラウエハの回収処理の際に、例えば、エクストラウエハが逆向きでフープFに戻された場合には、搬送ピック13aにエクストラウエハが保持された際にエクストラウエハの表面に傷が生じたり、フープF内に設けられた棚板とエクストラウエハの表面とが擦れ合ってエクストラウエハに傷が生ずるおそれがある。この場合にはエクストラウエハを製品として使用できなくなる可能性が大きくなる。そこで、このような問題を回避するために、エクストラウエハの回収処理は、エクストラウエハを表向きの状態でフープFに戻すことが望ましい。
【0051】
洗浄処理システム1に電源を投入して洗浄処理システム1を起動させた際に、洗浄処理システム1内にエクストラウエハが存在する場合のエクストラウエハの各ユニット別の回収順序は、原則として(1)ウエハ搬送装置(CRA)13、(2)ウエハ受渡ユニット(TRS)14a・14b、(3)主ウエハ搬送装置(PRA)15、(4)ウエハ反転ユニット(RVS)14c・14d、(5)スクラブ洗浄ユニット(SCR)21a〜21d、(6)ホットプレートユニット(HP)16a〜16c、(7)冷却ユニット(COL)16dの順である。
【0052】
ウエハ搬送装置(CRA)13はウエハWを反転させる機能を有しておらず、フープFとウエハ受渡ユニット(TRS)14a・14bとの間でウエハWを略水平な状態で搬送するために、ウエハ搬送装置(CAR)13の搬送ピック13aは、必ずウエハWを表向きの状態で搬送する。したがって、搬送ピック13aがエクストラウエハを保持している場合には、そのエクストラウエハはそのままフープFの空スロットに搬入される。
【0053】
ウエハ受渡ユニット(TRS)14a・14bにエクストラウエハが存在している場合にも、エクストラウエハは表向きの状態である。したがって、これらのエクストラウエハは、ウエハ搬送装置(CRA)13によってウエハ受渡ユニット(TRS)14a・14bから搬出され、フープFの空のスロットに搬入される。
【0054】
このようにして、最初にウエハ受渡ユニット(TRS)14a・14bにエクストラウエハが回収され、それらにエクストラウエハが存在しない状態とする。これにより、基板洗浄処理部3内に多くのエクストラウエハが存在する場合には、一時的にエクストラウエハをウエハ受渡ユニット(TRS)14a・14bに退避させることが可能となる。
【0055】
主ウエハ搬送装置(PRA)15がエクストラウエハを保持していた場合には、(a−1)エクストラウエハが表向きの場合と、(a−2)エクストラウエハが逆向きの場合、の2通りの場合がある。この(a−1)の場合には、主ウエハ搬送装置(PRA)15は保持しているエクストラウエハをウエハ受渡ユニット(TRS)14a・14bのいずれかに搬送し、ウエハ搬送装置(CRA)13がウエハ受渡ユニット(TRS)14a・14bからエクストラウエハを取り出してフープFの所定のスロットへ収容する。
【0056】
また(a−2)の場合には、まず、主ウエハ搬送装置(PRA)15が保持しているエクストラウエハをウエハ反転ユニット(RVS)14c・14dのいずれかに搬送して、そこでエクストラウエハの表裏を反転させてエクストラウエハを表向きとする。次いで、主ウエハ搬送装置(PRA)15は、エクストラウエハをウエハ反転ユニット(RVS)14c・14dからウエハ受渡ユニット(TRS)14a・14bのいずれかに搬送する。その後にウエハ搬送装置(CRA)13がウエハ受渡ユニット(TRS)14a・14bからエクストラウエハを取り出してフープFの所定のスロットへ収容する。
【0057】
ウエハ反転ユニット(RVS)14c・14dにエクストラウエハが存在した場合には、ウエハWを表向きから逆向きに反転させるユニットと、その逆の反転を行うユニットとを使い分けている場合であっても、ウエハWは反転処理の前後で表向きまたは逆向きのどちらにもなり得る。また、反転処理の途中で洗浄処理システム1の稼働が停止した場合にはエクストラウエハが表向きであるか逆向きであるかは不明となる。
【0058】
つまり、ウエハ反転ユニット(RVS)14c・14dにおいては、(b−1)エクストラウエハが表向きである場合と、(b−2)エクストラウエハが逆向きである場合と、(b−3)エクストラウエハの向き(表面または裏面のどちらが上面になっているか)が不明となる場合と、がある。
【0059】
この(b−1)の場合には、まず、主ウエハ搬送装置(PRA)15がエクストラウエハをウエハ反転ユニット(RVS)14c・14dからウエハ受渡ユニット(TRS)14a・14bのいずれかへ搬送する。その後にウエハ搬送装置(CRA)13がそこからエクストラウエハを取り出して、フープFの所定のスロットへ収容する。
【0060】
また、(b−2)の場合には、まず、その場でエクストラウエハの反転処理を行ってエクストラウエハを表向きとする。その後に主ウエハ搬送装置(PRA)15がエクストラウエハをウエハ反転ユニット(RVS)14c・14dからウエハ受渡ユニット(TRS)14a・14bのいずれかへ搬送する。次いで、ウエハ搬送装置(CRA)13がそこからエクストラウエハを取り出してフープFの所定のスロットへ収容する。
【0061】
さらに(b−3)の場合には、まず、主ウエハ搬送装置(PRA)15によってウエハ反転ユニット(RVS)14c・14dにあるエクストラウエハを、一旦、裏面洗浄用のスクラブ洗浄ユニット(SCR)21a・21bのいずれかに搬送する。次に、オペレータがエクストラウエハが載置された状態を目視観察して、エクストラウエハの向きを判断する。
【0062】
この目視観察において、オペレータがエクストラウエハが表向きとなっていると判断した場合には、このエクストラウエハは主ウエハ搬送装置(PRA)15によってウエハ受渡ユニット(TRS)14a・14bのいずれかに搬送される。一方、エクストラウエハが逆向きとなっていると判断した場合には、このエクストラウエハは主ウエハ搬送装置(PRA)15によってウエハ反転ユニット(RVS)14c・14dのいずれかに搬送され、そこで反転処理が行われ、その後に主ウエハ搬送装置(PRA)15によってそこからウエハ受渡ユニット(TRS)14a・14bのいずれかに搬送される。ウエハ受渡ユニット(TRS)14a・14bに搬入されたエクストラウエハは、ウエハ搬送装置(CRA)13によってフープFの所定のスロットに搬入される。
【0063】
スクラブ洗浄ユニット(SCR)21c・21dは表面洗浄用として用いられているために、スクラブ洗浄ユニット(SCR)21c・21dにエクストラウエハが存在した場合には、必ずそのエクストラウエハは表向きとなっている。したがって、スクラブ洗浄ユニット(SCR)21c・21dに存在するエクストラウエハは、主ウエハ搬送装置(PRA)15によってウエハ受渡ユニット(TRS)14a・14bのいずれかに搬送され、その後にウエハ搬送装置(CRA)13によってウエハ受渡ユニット(TRS)14a・14bから取り出され、フープFの所定のスロットに収容される。
【0064】
スクラブ洗浄ユニット(SCR)21a・21bは裏面洗浄用として用いられているために、スクラブ洗浄ユニット(SCR)21a・21bにエクストラウエハが存在した場合には、必ずそのエクストラウエハは逆向きとなっている。したがって、スクラブ洗浄ユニット(SCR)21a・21bに存在するエクストラウエハは、主ウエハ搬送装置(PRA)15によってウエハ反転ユニット(RVS)14c・14dのいずれかに搬送され、そこで反転処理が行われて表向きにされた後に、主ウエハ搬送装置(PRA)15によってウエハ受渡ユニット(TRS)14a・14bのいずれかに搬送され、さらにウエハ搬送装置(CRA)13によってフープFの所定のスロットに収容される。
【0065】
スクラブ洗浄ユニット(SCR)21a〜21dを、表面洗浄用と裏面洗浄用とに区別することなく使用している場合には、エクストラウエハが表向きの場合には、前述したスクラブ洗浄ユニット(SCR)21c・21dにエクストラウエハが存在している場合に準じてエクストラウエハを回収する。一方、エクストラウエハが逆向きとなっている場合には、前述したスクラブ洗浄ユニット(SCR)21a・21bにエクストラウエハが存在している場合に準じてエクストラウエハを回収する。ここで、エクストラウエハの向きが不明である場合には、まず、オペレータがエクストラウエハの向きを目視観察して確認する。オペレータはその確認結果に基づいて適切な回収方法を決定し、エクストラウエハの回収を行う。
【0066】
ホットプレートユニット(HP)16a〜16cと冷却ユニット(COL)16dにエクストラウエハが存在する場合には、図4を参照しながら先に説明した洗浄処理工程によれば、エクストラウエハは表向きとなっている。したがって、ホットプレートユニット(HP)16a〜16cと冷却ユニット(COL)16dにエクストラウエハが存在する場合には、上述した表面洗浄用のスクラブ洗浄ユニット(SCR)21c・21dにエクストラウエハが存在していた場合に準じて回収することができる。
【0067】
なお、ホットプレートユニット(HP)16a〜16cと冷却ユニット(COL)16dの回収順序を入れ替えてもよい。つまり、冷却ユニット(COL)16dのエクストラウエハを回収した後に、空いた冷却ユニット(COL)l6dにホットプレートユニット(HP)16a〜16cのエクストラウエハを搬入し、そこでエクストラウエハを冷却した後に、フープFに回収してもよい。この場合には、回収するフープF内で他のウエハに対する熱影響を低減することができる。
【0068】
図5は、上述した一連の洗浄処理およびイニシャライズ処理とエクストラウエハの回収処理を行う際に、洗浄処理システム1内に設けられた各処理ユニットおよび搬送装置の制御を行う機械制御ユニット(MCB)19の構成の一例を示した説明図である。洗浄処理システム1においては、予め設定されたレシピに基づいて装置制御部(CPU)71により制御が行われる。
【0069】
装置制御部(CPU)71にはメモリ(記憶装置)74が接続されている。このメモリ74には、所望の洗浄処理に対応する洗浄レシピと、イニシャライズ処理に対応するイニシャライズレシピ、およびエクストラウエハの回収処理に対応する回収レシピ、が記録されている。また、操作部73において所望の洗浄レシピおよびその他の条件を選択し、その信号を装置制御部(CPU)71に送ることによって、レシピコントローラ72が所望の洗浄レシピを選択するとともに、装置制御部(CPU)71が、その処理レシピおよび設定情報に基づいて各ユニットおよび搬送装置を制御する。
【0070】
洗浄処理システム1内におけるウエハWの位置とウエハWの向きは、装置制御部(CPU)71が各ユニットおよび搬送装置へ送った制御信号の履歴と、ウエハ搬送装置(CRA)13と主ウエハ搬送装置(PRA)15に備えられたウエハ検出センサからの信号とによって知ることができる。メモリ74はこの制御信号の履歴をウエハ情報として記憶する。メモリ74によるウエハ情報の記憶には、必要に応じてウエハ反転ユニット(RVS)14c・14dとスクラブ洗浄ユニット(SCR)21a〜21dに設けられたウエハ検出センサからの信号を用いることができる。
【0071】
装置制御部(CPU)71にはモニタ75が接続されており、例えば、モニタ75の画面から操作部73の操作を行うことによって所望の洗浄レシピおよび他の条件を選択することができるようになっている。また、モニタ75には、装置制御部(CPU)71が各ユニットおよび搬送装置へ送った制御信号の履歴に基づいて、洗浄処理システム1内での処理の進行の様子をリアルタイムに表示させることが可能である。
【0072】
装置制御部(CPU)71に所定の信号を送るウエハ情報操作部76および回収開始部77は、イニシャライズ処理時に洗浄処理システム1内に存在するエクストラウエハを、フープFに回収する処理を行うときに用いられる。ウエハ情報操作部76は、エクストラウエハの回収レシピの変更やエクストラウエハに関する情報の修正等を行い、この修正された情報が装置制御部(CPU)71へ送られる。回収開始部77はエクストラウエハの回収開始指示を装置制御部(CPU)71に発信する。
【0073】
以下、図5に示した洗浄処理システム1の制御系を用いたエクストラウエハの回収処理の一態様について、ウエハ情報操作部76および回収開始部77の使用態様を含めてより詳細に説明する。
【0074】
図6はエクストラウエハの回収手順の一態様を示した説明図である。ここでは、メモリ74が、洗浄処理システム1内において処理が行われている際のウエハWの位置と向きを記憶するが、どのフープFのどのスロットから搬出したウエハWがどの処理ユニットにおいてどの向きにあるという情報までは記憶しておらず、また、ホットプレートユニット(HP)16a〜16cと冷却ユニット(COL)16dについてのウエハ情報を記憶していないものとする。なお、メモリ74に記憶されるエクストラウエハの向きは、ウエハ反転ユニット(RVS)14c・14dによるウエハWの反転処理の回数によって判断される。
【0075】
エクストラウエハの第1の回収態様について以下に説明する。まず、洗浄処理システム1に電源投入して洗浄処理システム1を起動する(ステップ101)。これにより自動的にイニシャライズ処理のレシピがメモリ74から取り出されて、洗浄処理システム1のイニシャライズ処理が行われる。このイニシャライズ処理時には、前回の洗浄処理システム1の電源遮断時にメモリ74に保存されていた洗浄処理システム1内のウエハ情報が取り出され、その結果がモニタ75に表示される(ステップ102)。また、メモリ74からエクストラウエハの回収レシピが取り出されて、メモリ74から取り出されたウエハ情報に適用される。オペレータはモニタ75に表示されたウエハ情報を必要に応じて適切なウエハ情報に修正し(ステップ103)、その後にエクストラウエハの回収を開始する(ステップ104)。
【0076】
図7は、メモリ74から取り出されたウエハ情報にエクストラウエハの回収レシピを適用した結果としてモニタ75に表示される画面を模式的に示した説明図である。エクストラウエハが存在するウエハ情報がメモリ74から取り出された場合には、エクストラウエハが存在するユニットを示す欄に、ウエハ情報が表示される。
【0077】
回収レシピには、エクストラウエハが存在する可能性があるウエハ搬送装置(CRA)13や主ウエハ搬送装置(PRA)15、スクラブ洗浄ユニット(SCR)21a〜21d等のユニットからのエクストラウエハの回収順序を予め設定しておく。その回収順序にしたがって、実際に存在するエクストラウエハに自動的にW1、W2、W3と通し番号を付与する。
【0078】
このとき、エクストラウエハが表向きとなっているときには、例えば、「W1」と表示され、エクストラウエハが逆向きとなっているときには、例えば「W1R」と表示され、エクストラウエハの向きが不明なときには、例えば、「W1?」と表示される。
【0079】
さらに、エクストラウエハがどのフープFから搬出されたかは不明である。このために、各エクストラウエハには、回収先のフープFのスロット位置が自動的に付与される。図7においては回収先のフープFはフープF1のみであり、例えば、スロット番号はウエハの通し番号の後ろに「S1」と表される。なお、エクストラウエハのモニタ75上での画面表示は、このような例に限定されるものではなく、例えば、表示色を変えたり、反転文字を使用する等の方法を用いることができる。
【0080】
図7は、載置台11に1個のフープF1のみが載置されており、フープF1に15箇所の空きスロットがあること((S:15)の表示))を示している。このフープF1の検出は、例えば、窓部開閉機構12のインターロックによる窓部開閉機構12の動作の実行可否によって行われる。また、空きスロットの検出は、例えば、窓部92に対して設けられたウエハ検査装置によって行われる。このフープF1は、エクストラウエハの搬出元となっているものであってもよく、エクストラウエハを回収するために専用に準備されたものであってもよい。ここではフープF1を後者の場合として説明する。
【0081】
図7においては「CRA 13」と表示された欄に何らウエハ番号が表示されていないことから、ウエハ搬送装置(CRA)13の搬送ピック13aはエクストラウエハを保持しておらず、ウエハ受渡ユニット(TRS)14a・14bにもエクストラウエハは存在していないことがわかる。
【0082】
スクラブ洗浄ユニット(SCR)21c・21dにはそれぞれエクストラウエハW1・W2が存在しているが、前述したように洗浄処理システム1においては、スクラブ洗浄ユニット(SCR)21c・21dはウエハWの表面洗浄用として用いているため、エクストラウエハW1・W2は表向きとなっていることを示す表示がされている。また、エクストラウエハW1・W2は、それぞれフープF1のスロット11・12へ回収されるように設定されている。
【0083】
スクラブ洗浄ユニット(SCR)21aにはエクストラウエハは存在していないが、スクラブ洗浄ユニット(SCR)21bには、フープF1のスロット13に回収される予定のエクストラウエハW3が存在している。スクラブ洗浄ユニット(SCR)21bはウエハWの裏面洗浄用として用いられているために、エクストラウエハW3は「W3R」と表示されて、逆向きとなっていることが示されている。
【0084】
ウエハ反転ユニット(RVS)14c・14dには、それぞれフープF1のスロット14・15に回収が予定されているエクストラウエハW4・W5が存在している。このうちエクストラウエハW5については、その向きが不明であることを示す「W5?」の表示がなされている。これは、洗浄処理システム1の電源遮断が、反転処理の前後のどちらで行われたが不明であるために、エクストラウエハW5の向きが不明となっていることによる。
【0085】
また、主ウエハ搬送装置(PRA)15はフープF1のスロット16に回収が予定されているエクストラウエハW6を保持している。このエクストラウエハW6については、どのユニットからウエハWを搬出したのかが不明であるために、その向きが不明であることを示す「W6?」の表示がなされている。
【0086】
これらのエクストラウエハW1〜W6を、前述した処理ユニットごとの回収手順にしたがってフープF1の所定のスロットに順次回収するが、この回収処理に先立って、向きが不明であるエクストラウエハについて、ウエハ情報を確定する必要がある。また、例えば、洗浄処理システム1が停止している間に、オペレータが手動でエクストラウエハを洗浄処理システム1内から搬出等した場合には、モニタ75に表示されたウエハ情報はメモリ74に記憶されていたウエハ情報に基づいているために、モニタ75に表示されたウエハ情報と実際に洗浄処理システム1内に存在するエクストラウエハの状態とが相違するものとなってしまう。このような場合には、ウエハ情報を修正する必要が生ずる。さらにエクストラウエハの回収先のスロットを変更等したい場合も生じ得る。
【0087】
このようなウエハ情報の編集は、ウエハ情報操作部76を操作することによって行うことができる。例えば、洗浄処理システム1においては、オペレータがモニタ75の画面上からウエハ情報操作部76を操作することによって、「エクストラウエハの削除」と、「エクストラウエハの追加」と、「エクストラウエハの表裏反転」と、「エクストラウエハの回収先スロットの変更」などのウエハ情報の編集を行うことができる(図6のステップ103)。
【0088】
エクストラウエハの削除機能は、メモリ74から取り出されたウエハ情報によれば、エクストラウエハがある位置に存在している状態が示されているが、実際にはその位置にはエクストラウエハが存在しない場合に、そのエクストラウエハについてのデータを削除する機能である。
【0089】
エクストラウエハの追加機能は、メモリ74から取り出されたウエハ情報によれば、エクストラウエハがある位置には存在していない状態が示されているが、実際にその位置にエクストラウエハが存在している場合に、その位置にエクストラウエハが存在するデータを追加する機能である。
【0090】
エクストラウエハの表裏反転機能は、実際には表向きとなっているエクストラウエハに対して、メモリ74からエクストラウエハが逆向きとなっているというウエハ情報が取り出されてモニタ75に表示されている場合に、このウエハ情報をエクストラウエハの正しい状態を表示するように修正する機能である。同様に、エクストラウエハの表裏反転機能によって、逆向きのエクストラウエハについて、メモリ74からエクストラウエハが表向きとなっているウエハ情報が取り出されてモニタ75に表示されている場合にも、ウエハ情報が修正される。スロット変更機能は、自動的に付与された回収先のスロット位置の変更を行う機能である。
【0091】
図8は、エクストラウエハの削除機能を使用する場合を例として、このデータ編集時のモニタ75の表示の変化を示した説明図である。図8(a)は初期画面であり、ウエハ情報は図7に示されているものと同じである。この図8(a)の状態においては、モニタ75の下欄に「データ編集」「ウエハ回収」の表示がある。ウエハ情報操作部76におけるウエハ情報の変更は、この「データ編集」の表示を選択することで開始することができる。また、回収開始部77によるウエハ回収の開始指令は、この「ウエハ回収」の表示を選択することによって開始される。
【0092】
例えば、オペレータが洗浄処理システム1内を目視した結果、主ウエハ搬送装置(PRA)15がエクストラウエハW6を保持していないことが確認された場合には、まず、このエクストラウエハW6のデータを削除する。図8(a)に示されるモニタ75の下欄にある「データ編集」の表示を選択すると、図8(b)に示されるように、モニタ75の下欄に、「ウエハ削除」、「ウエハ追加」、「表裏反転」、「スロット変更」の各表示が現れる。
【0093】
新たに表示される「ウエハ削除」の表示を選択した後、削除すべきエクストラウエハの番号「W6」をキーボード(図示せず)から入力したり、またはモニタ75の画面上でエクストラウエハW6の番号部分に触れると、図8(c)に示すように削除を確認するメッセージが表示される。ここで図8(c)に示される「YES」の表示に触れる等することにより、エクストラウエハW6が削除される。これによってモニタ75の画面は図8(d)に示す状態となる。
【0094】
「ウエハ追加」、「表裏反転」、「スロット変更」についても、同様な対話式操作によってウエハ情報を修正することができる。図7に示した場合では、ウエハ反転ユニット(RVS)14dのエクストラウエハW5に関する情報を確定させる必要がある。このウエハ情報が確定し、ウエハ情報の編集を行う必要がなくなった後に、図8(a)に示される「ウエハ回収」の部分に触れる等することで、エクストラウエハの回収が開始される。
【0095】
なお、エクストラウエハの回収処理(図6のステップ104)の方法としては、“モニタ75の画面上で最初に「ウエハ回収」を選択した後に1枚のエクストラウエハを選択することにより、この選択されたエクストラウエハが定められたスロットに回収される”という操作を全てのエクストラウエハに対して行う方法がある。
【0096】
また、エクストラウエハの別の回収方法としては、モニタ75の画面上で「ウエハ回収」を選択すると、装置制御部(CPU)71が回収レシピにしたがってエクストラウエハを連続的に所定のスロットに収納するように、主ウエハ搬送装置(PRA)15等を制御する方法等がある。
【0097】
図7に示したウエハ情報を修正して得られたウエハ情報に基づいて、連続的にエクストラウエハを回収する場合には、例えば、主ウエハ搬送装置(PRA)15が保持していたエクストラウエハW6は削除されているので、最初に、ウエハ反転ユニット(RVS)14c・14dに存在していたエクストラウエハW4・W5がそれぞれ指定された空きスロット14・15に収納される。続いて、スクラブ洗浄ユニット(SCR)21c・21dに存在するエクストラウエハW1・W2が指定された空きスロット11・12に収納される。最後に、スクラブ洗浄ユニット(SCR)21bに存在していたエクストラウエハW3が指定された空きスロット13に収納されて、エクストラウエハの回収処理が終了する。
【0098】
モニタ75に表示されたエクストラウエハの回収処理が終了した後には、ホットプレートユニット(HP)16a〜16cと冷却ユニット(COL)16dの個々に対して主ウエハ搬送装置(PRA)15によるエクストラウエハの搬出動作を行う。このときにエクストラウエハが主ウエハ搬送装置(PRA)15に保持されたかどうかを、主ウエハ搬送装置(PRA)15に取り付けられたウエハ検出センサにより確認する。ホットプレートユニット(HP)16a〜16cと冷却ユニット(COL)16dには、ウエハWは表向きの状態で搬入されているために、主ウエハ搬送装置(PRA)15がエクストラウエハを検出した場合には、そのエクストラウエハはウエハ受渡ユニット(TRS)14a・14bに搬送され、さらにウエハ搬送装置(CRA)13によってフープFの所定の空きスロットに戻される。
【0099】
なお、モニタ75に表示されたエクストラウエハの回収処理を開始する前に、エクストラウエハを保持していない主ウエハ搬送装置(PRA)15をホットプレートユニット(HP)16a〜16cと冷却ユニット(COL)16dにアクセスさせて、これらの各ユニットからエクストラウエハを搬出する動作を行い、その結果、主ウエハ搬送装置(PRA)15がエクストラウエハを保持した場合には、空いているウエハ受渡ユニット(TRS)14a・14b等にエクストラウエハを搬送してウエハ情報を追加し、他のエクストラウエハW1等とともに、フープF1へ回収することもできる。
【0100】
また、複数のフープFが載置台11に載置されている場合には、エクストラウエハの回収先のフープFを選択する機能をウエハ情報操作部76に付与することもできる。さらに、エクストラウエハを複数のグループに分割して、グループごとに異なるフープFに収納するようにすることも可能である。例えば、図8に示したモニタ75の画面において「スロット変更」を選択すると、回収先のフープの番号とそのスロット番号を選択することができるようにしておき、選択した回収先に既にウエハWが収納されている場合には、そのスロットにエクストラウエハが収納されないように、エラーメッセージを表示させる等することができる。
【0101】
上述したエクストラウエハの回収方法を用いた場合には、オペレータは必要に応じてウエハWの向きを確認し、所定の処理手順にしたがったウエハ情報操作部76の操作を行うことによって、容易にウエハWをその向きを揃えて回収することができる。これによりウエハWの損傷が防止されるとともに、オペレータは手作業でフープF内のウエハWを入れ替える等する必要がないために、オペレータの負担が低減される。また、人為的なウエハWの取り扱いミスを無くすことができる。
【0102】
次に、機械制御ユニット(MCB)19の別の実施形態である機械制御ユニット(MCB)19´の構成を示す説明図を図9に示す。機械制御ユニット(MCB)19´は、機械制御ユニット(MCB)19が有していたウエハ情報操作部76を有していないが、警報装置78aと警報装置78bおよび警報解除部79とを有している。機械制御ユニット(MCB)19´において、装置制御部(CPU)71、レシピコントローラ72、操作部73、メモリ74、モニタ75は、機械制御ユニット(MCB)19の場合と同様の機能を有する。
【0103】
警報装置78aは、イニシャライズ処理時にメモリ74から取り出されたウエハ情報と、実際にウエハ検出センサが検出したエクストラウエハの位置情報とに相違がある場合に、相違が生じている処理ユニットまたは搬送装置ごとに警報を発する。この警報によってオペレータは容易にエクストラウエハの位置を知ることができ、ウエハ情報を確定することができる。この警報の発令方法としては、例えば、モニタ75の画面表示による方法や音声による方法が挙げられる。また、警報装置78aは、回収するエクストラウエハの枚数に応じた空きスロットがフープFに存在しない場合にも警報を発する。
【0104】
また、警報装置78bは、ウエハ搬送装置(CRA)13と主ウエハ搬送装置(PRA)15および特定の処理ユニット、例えば、ウエハ反転ユニット(RVS)14c・14dとスクラブ洗浄ユニット(SCR)21a〜21dにエクストラウエハが存在する場合に警報を発する。この警報により、例えば、ウエハ搬送装置(CRA)13または主ウエハ搬送装置(PRA)15がエクストラウエハを保持した状態において、別のエクストラウエハが存在する処理ユニットへアクセスすることが禁止される。これによりエクストラウエハの破損や、ウエハ搬送装置(CRA)13や主ウエハ搬送装置(PRA)15の損傷を防止することができる。
【0105】
ウエハ反転ユニット(RVS)14c・14dにエクストラウエハが存在していることを示す警報によって、オペレータは、別のエクストラウエハが逆向きで別の処理ユニットに存在していても、その別のエクストラウエハをウエハ反転ユニット(RVS)14c・14dに搬送して反転処理を行うことができないということを、容易に認識することができる。これによりエクストラウエハの損傷等を防止することができる。
【0106】
スクラブ洗浄ユニット(SCR)21a〜21dにエクストラウエハが存在する場合には、洗浄液をウエハWに供給している途中で洗浄処理システム1がシャットダウンした場合が考えられる。この場合には、エクストラウエハは洗浄液によって濡れた状態にあるおそれがある。このような状態でエクストラウエハを主ウエハ搬送装置(PRA)15に移し替えた場合には、主ウエハ搬送装置(PRA)15が濡れてしまい、動作不良を起こすおそれがある。そこで、スクラブ洗浄ユニット(SCR)21a〜21dにエクストラウエハが存在する場合に警報を発することによって、オペレータは、例えば、エクストラウエハに洗浄処理を施してスピン乾燥を行った後に、スクラブ洗浄ユニット(SCR)21a〜21dから搬出する、等の対処を容易に取ることができる。
【0107】
なお、スクラブ洗浄ユニット(SCR)21a〜21dにエクストラウエハが存在する場合には、自動的に、自動的にリンス液(純水)がエクストラウエハに吐出されて簡易的な洗浄処理が行われ、その後にスピン乾燥が行われるようにすることも好ましい。
【0108】
先に述べたように、エクストラウエハの向きが不明な場合には、裏面洗浄用のスクラブ洗浄ユニット(SCR)21a・21bにそのエクストラウエハを搬入してエクストラウエハの向きを確定する必要がある。しかし、裏面洗浄用のスクラブ洗浄ユニット(SCR)21a・21bに最初からエクストラウエハが存在している場合には、別の処理ユニット等に存在しているエクストラウエハをさらに裏面洗浄用のスクラブ洗浄ユニット(SCR)21a・21bに搬入することはできない。オペレータはこのような状況を、警報装置78による警報によって容易に認識することができる。
【0109】
警報解除部79は、警報装置78a・78bによって発せられた警報を解除する。回収開始部77によるエクストラウエハの回収指令は、警報解除部79によって全ての警報が解除された状態において装置制御部(CPU)71に発信することができるようになっている。つまり、警報解除部79による警報解除操作は、エクストラウエハの回収処理に用いられるウエハ情報を確定する操作でもある。例えば、警報装置78a・78bによる警報はモニタ75の画面に表示され、警報解除部79の操作はモニタ75の画面上から行うか、または、キーボードや各処理ユニットのマニュアル操作ボタン等から行うことができるようになっている。
【0110】
図10は機械制御ユニット(MCB)19´を用いた場合のエクストラウエハの回収手順の一態様を示した説明図である。ここで、メモリ74は洗浄処理システム1内において処理が行われている際のウエハWの位置と向きを記憶するが、どのフープFのどのスロットから搬出したウエハWがどのユニットにおいてどの向きにあるという情報までは記憶されておらず、また、ホットプレートユニット(HP)16a〜16cと冷却ユニット(COL)16dについてのウエハ情報を記憶していないものとする。
【0111】
洗浄処理システム1に電源投入して洗浄処理システム1を起動する(ステップ201)とイニシャライズ処理が開始され、このイニシャライズ処理時には、前回の洗浄処理システム1の電源遮断時にメモリ74に保存されていた洗浄処理システム1内のウエハ情報が取り出されて、その結果がモニタ75に表示される(ステップ202)。また、ウエハ検出センサによって検出されたエクストラウエハが検出される(ステップ203)。
【0112】
前述したように、洗浄処理システム1においては、ウエハ検出センサが設けられているウエハ受渡ユニット(TRS)14a・14b、ウエハ反転ユニット(RVS)14c・14d、スクラブ洗浄ユニット(SCR)21a〜21d、ウエハ搬送装置(CRA)13、主ウエハ搬送装置(PRA)15では、エクストラウエハの有無を検出することができる。しかし、ウエハ検出センサが設けられていないホットプレートユニット(HP)16a〜16cと冷却ユニット(COL)16dについては、エクストラウエハの有無は不明である。
【0113】
メモリ74から取り出されたウエハ情報とウエハ検出センサによって検出された検出結果は照合される(ステップ204)。その結果、これらの情報に相違がある場合には、ウエハ検出センサによる検出結果が優先して表示され、警報装置78aによって警報が発せられる(ステップ205)。これは、ウエハ検出センサの検出結果が実際の洗浄処理システム1内の状態を反映しているからである。例えば、メモリ74から取り出されたウエハ情報にはある位置にエクストラウエハが存在する内容が記憶されているが、ウエハ検出センサがその位置においてエクストラウエハを検出しなかった場合には、エクストラウエハはその位置にないと判断され、その結果がモニタ75の画面に表示される。
【0114】
図11は、メモリ74から取り出されたウエハ情報とウエハ検出センサが検出したウエハ情報にエクストラウエハの回収レシピを適用した結果、モニタ75に表示される画面を模式的に示した説明図である。ここで、回収レシピとしては、エクストラウエハに対して自動的に番号付けを行い、この番号順に所定のフープFにおける空きスロットの上から順番にエクストラウエハを収納する内容のものが用いられたとする。
【0115】
図11は、載置台11に3個のフープF1〜F3が載置されているが、空きスロットがあるのはフープF1のみであり、フープF1には5箇所の空きスロットがあることを示している。後述するように、洗浄処理システム1内には6枚のエクストラウエハが存在していることから、回収スロットの数が不足している。このために警報装置78aによる警報が発せられている。
【0116】
ウエハ搬送装置(CRA)13とウエハ受渡ユニット(TRS)14a・14bにはエクストラウエハは存在していない。したがってウエハ搬送装置(CRA)13については警報も発令されていない。
【0117】
主ウエハ搬送装置(PRA)15はエクストラウエハW1を保持しているが、その向きが不明であることを示す「W1?」の表示がされている。「W1?」の表示の後ろの「−0」という連番表示は、メモリ74から取り出されたウエハ情報に主ウエハ搬送装置(PRA)15がエクストラウエハを保持しているという情報がなかったことを示している。つまり、実際には主ウエハ搬送装置(PRA)15にエクストラウエハW1が存在し、かつ、エクストラウエハW1はその向きが不明であり、その結果として「W1?−0」の表示がなされている。また、主ウエハ搬送装置(PRA)15については、警報装置78a・78bによる二重の警報、例えば、「W1?−0」の表示点滅と、音声等による警報が発せられている。
【0118】
このエクストラウエハW1については、例えば、エクストラウエハが存在していないスクラブ洗浄ユニット(SCR)21aにエクストラウエハW1を搬入してオペレータがその向きを判断し、エクストラウエハW1に関するウエハ情報を確定する(ステップ206)とともに、警報解除部79を操作することによって警報装置78aに基づく警報を解除し、さらにエクストラウエハW1を主ウエハ搬送装置(PRA)15に戻す操作を行う。
【0119】
ウエハ反転ユニット14cには表向きのエクストラウエハW2が存在し、また、ウエハ反転ユニット14dには逆向きのエクストラウエハW3が存在しており、ともに、例えば、「W2」と「W3R」の表示が点滅する等の警報装置78bによる警報が発せられている。また、スクラブ洗浄ユニット(SCR)21c・21dには、それぞれエクストラウエハW4・W5が存在しており、例えば、「W4」と「W5」の表示が点滅する等の警報装置78bによる警報が発せられている。同様に、スクラブ洗浄ユニット(SCR)21bには逆向きのエクストラウエハW6が存在しており、同様に「W6R」の表示が点滅する等の警告が発せられている。
【0120】
オペレータは、警報装置78bによって警報が発せられている処理ユニット等を確認して警報を解除する(ステップ207)。次に、フープF1には空きスロットが5箇所しかないために、全てのエクストラウエハW1〜W6をフープF1に回収することはできないことを示す警報が警報装置78aによって発せられている。このために、例えば、フープF1を載置台11から搬出して、必要数の空のスロットがあるフープFに置き換える等の処置を行って回収先スロット数に関する警報を解除する。こうして、回収開始部77からエクストラウエハW1〜W6の回収開始の指令を装置制御部(CPU)71に送って、回収作業が開始される(ステップ208)。エクストラウエハW1〜W6の回収は、与えられた番号の小さい順から自動的に行われる。
【0121】
その後には、ホットプレートユニット(HP)16a〜16cと冷却ユニット(COL)16dの個々に対して主ウエハ搬送装置(PRA)15によるエクストラウエハの搬出動作を行う。ホットプレートユニット(HP)16a〜16cと冷却ユニット(COL)16dには、ウエハWは表向きで搬入されているために、主ウエハ搬送装置(PRA)15がエクストラウエハを検出した場合には、そのエクストラウエハはウエハ受渡ユニット(TRS)14a・14bに搬送され、さらにウエハ搬送装置(CRA)13によってフープFの所定の空きスロットに戻される。
【0122】
機械制御ユニット(MCB)19´によるエクストラウエハの回収手順は、図12のフローチャートに示すように変形することが可能である。この回収手順では、エクストラウエハの情報を全て確定させずに、エクストラウエハの有無は確定させるが、エクストラウエハの向きが確定されていない状態で、エクストラウエハの回収を開始する。
【0123】
まず、洗浄処理システム1を起動する(ステップ301)。これにより、メモリ74に記憶されたウエハ情報によるエクストラウエハの位置および向きがモニタ75に表示される(ステップ302)。また、ウエハ検出センサによってエクストラウエハが検出される(ステップ303)。さらに、メモリ74から取り出されたウエハ情報とウエハ検出センサによる検出結果との照合が行われる(ステップ304)。
【0124】
次に、エクストラウエハの有無を確認する(ステップ305)。メモリ74から取り出したウエハ情報とウエハ検出センサによるエクストラウエハの検出結果が異なる場合には、ウエハ検出センサによる検出結果を採用する。こうして、エクストラウエハの有無が確定するが、その向きはまだ全てのエクストラウエハについては確定していない。
【0125】
メモリ74から取り出したウエハ情報とウエハ検出センサによるエクストラウエハの検出結果が異なる場合には、警報が発令されるため、オペレータはエクストラウエハの向きを確認することなく、この警報を解除し、さらに、エクストラウエハの回収開始を指示する(ステップ306)。
【0126】
エクストラウエハの回収は、先に述べたように、原則として、(1)ウエハ搬送装置(CRA)13、(2)ウエハ受渡ユニット(TRS)14a・14b、(3)主ウエハ搬送装置(PRA)15、(4)ウエハ反転ユニット(RVS)14c・14d、(5)スクラブ洗浄ユニット(SCR)21a〜21d、(6)ホットプレートユニット(HP)16a〜16c、(7)冷却ユニット(COL)16dの順で行われる。
【0127】
例えば、ウエハ搬送装置(CRA)13とウエハ受渡ユニット(TRS)14a・14bのエクストラウエハは表向きであることが確定しているため、容易に回収を行うことができる(ステップ307)。しかし、次の主ウエハ搬送装置(PRA)15がエクストラウエハを保持していた場合には、そのエクストラウエハの向きは不明である場合がある。そこで、警報を発令して(ステップ308)、オペレータによるエクストラウエハの向きの確認を行い(ステップ309)、続いて警報の解除を行う(ステップ310)。オペレータはモニタ75に表示されたウエハ情報を確認作業結果に基づいて修正し、主ウエハ搬送装置(PRA)15がエクストラウエハを回収する(ステップ311)。
【0128】
以降、エクストラウエハの向きが明らかに表向きの場合には、そのままの状態でそのエクストラウエハを回収する。またエクストラウエハの向きが明らかに逆向きの場合には、反転処理を行った後にそのエクストラウエハを表向きで回収する。さらに、エクストラウエハの向きが不明な場合には、ステップ308〜311の手順にしたがってそのエクストラウエハを表向きで回収する(ステップ312)。これにより全てのエクストラウエハの回収作業が終了する(ステップ313)。
【0129】
以上、本発明の実施の態様について説明してきたが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、上記説明においては、メモリ74から取り出されたウエハ情報またはウエハ検出センサによる検出結果にエクストラウエハの回収を開始するにあたって何らかの障害が生じている場合について説明した。しかし、このような障害が発生していない場合には、自動的にイニシャライズ処理が終了した後に、エクストラウエハを回収させることが可能である。
【0130】
また、洗浄処理システム1において、スクラブ洗浄ユニット(SCR)21a〜21dを表面洗浄用と裏面洗浄用とに分けて用いた場合には、スクラブ洗浄ユニット(SCR)21a〜21dに関するウエハ情報をメモリ74に記憶させる必要はなく、ウエハ検出センサによるウエハ検出結果にのみ基づいてエクストラウエハの有無とその向きを確定することができる。
【0131】
また、搬送ピック13aが保持しているエクストラウエハとウエハ受渡ユニット(TRS)14a・14bに存在するエクストラウエハは、必ず表向きとなる。このため搬送ピック13aおよびウエハ受渡ユニット(TRS)14a・14bに関するウエハ情報をメモリ74に記憶させる必要はなく、ウエハ検出センサによるウエハ検出結果にのみ基づいてエクストラウエハの有無とその向きを確定することができる。
【0132】
換言すれば、スクラブ洗浄ユニット(SCR)21a〜21dと、ウエハ搬送装置(CRA)13と、ウエハ受渡ユニット(TRS)14a・14bについては、メモリ74にウエハ情報が記憶されていても、そのウエハ情報を用いることなく、ウエハ検出センサからのエクストラウエハの検出情報のみを用いることによって、エクストラウエハを回収することができる。
【0133】
さらにまた、洗浄処理システム1において、例えば、機械制御ユニット(MCB)19に、機械制御ユニット(MCB)19´に設けられている警報装置78a・78bおよび警報解除部79を設けてもよい。この場合には、警報解除部79にはウエハ情報を確定させる機能を持たせないで単純に警報解除の機能だけを持たせ、また、ウエハ情報の修正と確定はウエハ情報操作部76によって行うことが好ましい。このような構成とすることによって、オペレータはウエハ検出センサによる検出結果からエクストラウエハが存在する位置を容易に把握することが可能となる。また、メモリ74から取り出されたウエハ情報によって、ウエハWの向きを容易に確認することができる。オペレータは、ウエハ情報操作部76を操作することによって、警報が発せられている処理ユニットや搬送装置におけるウエハ情報を適切に修正し、回収先のスロット位置の変更等を行い、さらに警報解除部79から警報解除を行って、エクストラウエハの回収開始することが可能となる。これによりオペレータの負担はさらに軽減される。
【0134】
上記説明においては、モニタ75の画面にホットプレートユニット(HP)16a〜16cと冷却ユニット(COL)16dに関するエクストラウエハの情報を表示しなかった。しかし、ホットプレートユニット(HP)16a〜16cと冷却ユニット(COL)16dにウエハ検出センサを設けるか、または、主ウエハ搬送装置(PRA)15の動作からホットプレートユニット(HP)16a〜16cと冷却ユニット(COL)16dに対するウエハWの搬入出履歴をメモリ74に記憶させることも可能である。これによってホットプレートユニット(HP)16a〜16cと冷却ユニット(COL)16dに存在するエクストラウエハについても、その他の処理ユニット等にエクストラウエハが存在する場合と同様の手順にしたがって所定のフープFの所定のスロットに回収することが可能である。
【0135】
また、上記説明においては、洗浄処理システム1の電源遮断時に洗浄処理システム1内に存在するウエハWに関して、メモリ74に記憶されるのはウエハWの位置と向きに関する情報のみであった。そこで、これらに加えて、あるウエハWについての、ウエハ搬送装置(CRA)13がどのフープFのどのスロットから取り出したものであるかという情報と、ウエハ反転ユニット(RVS)14c・14dにおける処理の回数から判断されるウエハWの向きに関する情報と、ウエハ搬送装置(CRA)13と主ウエハ搬送装置(PRA)15の動きを記憶することによるそのウエハWの洗浄処理システム1内で移動履歴情報とをメモリ74に記憶して、イニシャライズ処理時にこれらの情報を取り出すことができるようにすれば、エクストラウエハを搬出元のフープFのスロットに戻すことも可能となる。
【0136】
図4に示した処理レシピに準じて洗浄処理が行われることが明らかであって、ウエハWの洗浄処理システム1内での移動履歴情報がメモリ74に記憶されている場合には、エクストラウエハの回収処理を行うことなく、洗浄処理を再開させることも可能である。例えば、表面洗浄用のスクラブ洗浄ユニット(SCR)21c・21dに存在するエクストラウエハについては、表面洗浄処理を最初から行い、次に、処理レシピにしたがって裏面洗浄や乾燥処理を行った後に、所定のフープFに収納することができる。
【0137】
また、裏面洗浄用のスクラブ洗浄ユニット(SCR)21a・21bにおいて検出されたエクストラウエハについては、表面が汚染されている可能性があるために、スピン乾燥を施した後に、再び表面洗浄用のスクラブ洗浄ユニット(SCR)21c・21dに戻して表面洗浄の再処理を行うことが好ましい。この場合には、その後に裏面洗浄をやり直して乾燥処理を行い、所定のフープFの所定のスロットに回収するといった操作を行えばよい。
【0138】
ホットプレートユニット(HP)16a〜16cや冷却ユニット(COL)16dにエクストラウエハが存在する場合には、少なくともエクストラウエハの表面の洗浄処理は終了していることとなるが、再度、表面の洗浄処理から始まる一連の処理を行ってもよいし、または裏面の洗浄処理から始まる一連の処理を行ってもよい。
【0139】
さて、先に説明した(a−2)の場合、つまり、洗浄処理システム1に電源を投入して洗浄処理システム1を起動させた際に、主ウエハ搬送装置(PRA)15がエクストラウエハを保持しており、そのエクストラウエハが逆向きである場合において、さらにウエハ反転ユニット(RVS)14c・14dのいずれにも既にエクストラウエハが存在する場合には、主ウエハ搬送装置(PRA)15からウエハ反転ユニット(RVS)14c・14dへのウエハWの受け渡しは、以下の方法によって行うことができる。
【0140】
つまり、主ウエハ搬送装置(PRA)15は、主ウエハ搬送アーム55・56・57を有しているので、構造上は3枚のウエハを持つことができる。しかし、主ウエハ搬送装置(PRA)15が再起動時にエクストラウエハを持っている数として考えられるのは0枚または1枚または2枚であり、3枚という状態はあり得ない。何故なら、主ウエハ搬送装置(PRA)15はウエハWの入れ替え動作しか行わないので、0枚または1枚という場合が多く、2枚存在するのは、ある処理ユニットへのウエハWの入れ替え作業の途中で洗浄処理システム1の電源が落ちたとき、つまり、処理ユニット内のウエハWを主ウエハ搬送装置(PRA)15が取り出し、主ウエハ搬送装置(PRA)15が別の処理ユニットへウエハWを搬入する前に電源が落ちたときであり、まれな現象だからである。
【0141】
したがって、ウエハ反転ユニット(RVS)14c・14dのいずれかのエクストラウエハを主ウエハ搬送装置(PRA)15の空いているアームで受け取り、その後に空いたウエハ反転ユニット(RVS)14c・14dのいずれかにエクストラウエハを搬送して(a−2)の作業を行うことができる。
【0142】
なお、主ウエハ搬送装置(PRA)15が最大2枚のウエハしか持つことができない場合(例えば、主ウエハ搬送装置(PRA)15は通常動作では最大2枚のウエハWを待てればよいので、主ウエハ搬送装置(PRA)15の運転ソフト上、最大で2枚しか持てない場合)には、主ウエハ搬送装置(PRA)15が2枚のエクストラウエハを持っていて、ウエハ反転ユニット(RVS)14c・14dのいずれにもエクストラウエハが存在したならば、回収を中止するか、またはエクストラウエハの向きを考慮することなく回収してもよい。回収中止の場合には、オペレータが回収作業を行う。主ウエハ搬送装置(PRA)15が一度に3枚のウエハを持つことが運転ソフト上できる場合には、どのような場合においても(a−2)の動作が可能である。
【0143】
先に説明した(b−2)の場合、つまり、洗浄処理システム1に電源を投入して洗浄処理システム1を起動させた際に、ウエハ反転ユニット(RVS)14c・14dにエクストラウエハが存在し、そのエクストラウエハの向きが不明である場合において、さらに裏面洗浄用のスクラブ洗浄ユニット(SCR)21a・21bのいずれにも既にエクストラウエハが存在する場合は、次のようにしてエクストラウエハの回収を行うことができる。
【0144】
つまり、主ウエハ搬送装置(PRA)15の空いているアームが裏面洗浄用のスクラブ洗浄ユニット(SCR)21a・21bのいずれかのエクストラウエハを取り出し、空いた裏面洗浄用のスクラブ洗浄ユニット(SCR)21a・21bのいずれかにウエハ反転ユニット(RVS)14c・14dにあるエクストラウエハを搬送し、オペレータが表裏を目視観察する。その後の回収方法は先に説明した通りである。
【0145】
主ウエハ搬送装置(PRA)15がウエハWを3枚保持することができれば、洗浄処理システム1の再起動時にエクストラウエハが主ウエハ搬送装置(PRA)15に2枚、スクラブ洗浄ユニット(SCR)21a・21bに各1枚、ウエハ反転ユニット(RVS)14c・14dに各1枚存在していても、問題なくエクストラウエハを全て表向きで回収することができる。
【0146】
しかし、主ウエハ搬送装置(PRA)15が、運転ソフトの都合でウエハを同時に2枚しか持つことができない場合には、エクストラウエハが主ウエハ搬送装置(PRA)15に2枚、スクラブ洗浄ユニット(SCR)21a・21bに各1枚、ウエハ反転ユニット(RVS)14c・14cに各1枚存在すると、エクストラウエハを全て表向きで回収することができない。
【0147】
この場合には、スクラブ洗浄ユニット(SCR)21a・21bのいずれかのエクストラウエハをオペレータ自身で回収し、スクラブ洗浄ユニット(SCR)21a・21bのいずれかを空の状態にすることにより、他のエクストラウエハを全て表向きに回収することができる。なお、スクラブ洗浄ユニット(SCR)21a・21bは、洗浄処理システム1の外側でかつ下段に配置されているために、オペレータはスクラブ洗浄ユニット(SCR)21a・21bのいずれかからエクストラウエハを取り出しやすい。これに対して、ウエハ反転ユニット(RVS)14c・14dは、洗浄処理システム1の中央に位置しているために、オペレータはウエハ反転ユニット(RVS)14c・14dからエクストラウエハを取り出し難い。
【0148】
例えば、洗浄処理システム1のイニシャライズ処理を行っても不具合が発生している処理ユニットが存在する場合、例えば、ユニット駆動用のエア用力の停止や処理液の供給停止、ユニットへの電力供給の停止などによる不具合が生じている場合には、その処理ユニットのイニシャライズ処理を行うことができない。このために、その処理ユニットにエクストラウエハが存在してもそれを回収できない事態が生ずる。
【0149】
このような場合には、まずイニシャライズ処理が終了していない処理ユニットを除く処理ユニットに存在する回収が可能なエクストラウエハについて1回目の回収動作を行う。次に、装置電源を落とすことなく処理ユニットで発生している不具合をオペレータが手動修復し、その後に装置電源を落とすことなく再度イニシャライズ処理を行う。これにより、洗浄処理システム1内に存在するエクストラウエハの2回目の回収動作を行うことが可能となる。このような手順を踏むことにより、洗浄処理システム1の電源を入れて起動した後に、再び装置電源を落とすことなく、全てのエクストラウエハを回収することができる。
【0150】
メモリ74はウエハWの位置と向きを記憶するが、さらにどのフープFのどのスロットから搬出したウエハWかという情報を記憶させてもよい。エクストラウエハを回収する際には、この情報を用いてフープFへのエクストラウエハの搬入スロットを決定してもよい。例えば、搬出スロットと同じスロットに回収してもよく、またはオペレータが指定するスロットまたは回収レシピにしたがって装置制御部(CPU)71が割り当てた所定のスロットに回収してもよい。
【0151】
上記説明においては、基板として半導体ウエハを取り上げたが、基板はLCD基板等であってもよい。また本発明の基板処理装置と基板処理方法は、レジスト塗布処理装置や現像処理装置等、基板の両面を処理する装置および方法にも適用することが可能である。
【0152】
【発明の効果】
上述の通り、本発明の基板処理装置と基板処理方法によれば、基板処理装置の電源が遮断されてその後に最初に再起動した際に、基板処理装置内に存在する基板の位置と向きを容易に把握することができる。これにより、オペレータは必要に応じて基板の表面と裏面の別を確認し、所定の処理手順にしたがった操作を行えば、容易に基板をその向きを揃えて回収することができる。また、自動回収も行うことができる。こうして基板の損傷が防止され、また、オペレータの負担が軽減されるという効果が得られる。また、オペレータが直接に基板を取り扱う際の基板の取り落とし等の発生を防止することができるという効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】洗浄処理システムの概略構造を示す平面図。
【図2】図1記載の洗浄処理システムの側面図。
【図3】受渡/反転部、主ウエハ搬送装置および加熱/冷却ユニットの配置を示す断面図。
【図4】洗浄処理工程を簡略に示したフローチャート。
【図5】図1記載の洗浄処理システムにおける機械制御ユニット(MCB)の構成の一態様を示す説明図。
【図6】洗浄処理システムの起動時におけるエクストラウエハの回収の一態様を示す説明図。
【図7】洗浄処理システムの起動時においてモニタに表示される内容の具体例を模式的に示す説明図。
【図8】データ編集時のモニタの表示の変化を示す説明図。
【図9】洗浄処理システムにおける機械制御ユニット(MCB)の構成の別の態様を示す説明図。
【図10】洗浄処理システムの起動時におけるエクストラウエハの回収の別の態様を示すフローチャート。
【図11】洗浄処理システムの起動時においてモニタに表示される内容の具体例を模式的に示す別の説明図。
【図12】洗浄処理システムの起動時におけるエクストラウエハの回収のさらに別の態様を示すフローチャート。
【符号の説明】
1;洗浄処理システム
3;基板洗浄処理部
4;イン・アウトポート
5;ウエハ搬送部
13;ウエハ搬送装置
14;受渡/反転部(TRS/RVS)
14a・14b;ウエハ受渡ユニット(TRS)
14c・14d;ウエハ反転ユニット(RVS)
15;主ウエハ搬送装置(PRA)
16;加熱/冷却部(HP/COL)
16a〜16c;ホットプレートユニット(HP)
16d;冷却ユニット(COL)
19・19´;機械制御ユニット(MCB)
21a〜21d;スクラブ洗浄ユニット(SCR)
71;装置制御部(CPU)
72;レシピコントローラ
73;操作部
74;メモリ
75;モニタ
76;ウエハ情報操作部
77;回収開始部
78a・78b;警報装置
79;警報解除部
W;半導体ウエハ(基板)
F;フープ(基板収容容器)
Claims (19)
- 基板に対して所定の処理を施すとともに、その中で基板の反転が行われる装置本体と、
前記装置本体内で基板を搬送する基板搬送手段と、
前記装置本体内に存在する基板を検出する基板検出手段と、
前記装置本体の電源遮断時に前記装置本体内に存在する基板の位置およびこの基板の向きが表向きか逆向きかに関する情報を記憶し、次に前記装置本体に電源が投入された際にこの記憶された情報が取り出される記憶手段と、
前記装置本体に電源が投入された際に前記基板検出手段が検出した検出情報と前記記憶手段から取り出された情報とを照合して、これらの情報に相違がある場合に警報を発する警報手段と、
前記警報を解除する警報解除手段と、
前記装置本体内に存在する基板を前記装置本体外の所定位置に回収するように前記基板搬送手段を制御する制御手段と、
前記制御手段に基板回収を開始する指令を発する回収開始手段と、
を具備し、
前記警報解除手段によって警報が解除され、かつ、前記装置本体内の基板が表向きで回収されることが確認された後に、前記回収開始手段は基板回収の指令を前記制御手段に発し、
前記警報解除手段は、前記警報手段によって警報が発せられた基板に関する情報を修正して基板情報を確定し、基板情報の確定後に前記警報を解除する情報修正手段を具備し、
前記制御手段は、前記情報修正手段によって確定された基板情報に基づいて前記装置本体内に存在する基板を装置本体外の所定位置に回収するように前記基板搬送手段を制御することを特徴とする基板処理装置。 - 前記情報修正手段は、前記基板検出手段が所定位置において基板を検出していないにもかかわらず前記記憶手段から前記所定位置に基板が存在していることを示すデータが取り出された場合に前記データを削除し、または前記基板検出手段が所定位置において基板を検出しているにもかかわらず前記記憶手段から前記所定位置に基板が存在していないことを示すデータが取り出された場合に前記所定位置に存在する基板の状態を示すデータを追加し、または前記記憶手段から取り出された所定位置に存在する基板の向きが表向きか逆向きかに関するデータが実際の基板の向きと異なっている場合に前記データを修正することができることを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
- 基板に対して所定の処理を施すとともに、その中で基板の反転が行われる装置本体と、
前記装置本体内で基板を搬送する基板搬送手段と、
前記装置本体の電源遮断時に前記装置本体内に存在する基板の位置およびこの基板の向きが表向きか逆向きかに関する情報を記憶し、次に前記装置本体に電源が投入された際にこの記憶された情報が取り出される記憶手段と、
前記装置本体に電源が投入された際に前記記憶手段から取り出された情報を操作する情報操作手段と、
前記情報操作手段によって得られた基板情報に基づいて基板を装置本体外の所定位置に回収するように前記基板搬送手段を制御する制御手段と、
前記制御手段に基板回収を開始する指令を発する回収開始手段と、
を具備し、
前記装置本体内の基板が表向きで回収されることが確認された後に前記回収開始手段は基板回収の指令を前記制御手段に発し、
前記情報操作手段は、前記記憶手段から取り出された所定位置に基板が存在していることを示すデータを削除し、または前記記憶手段から所定位置に基板が存在していないことを示すデータが取り出された場合に前記所定位置に基板が存在するデータを追加し、または前記記憶手段から取り出された所定位置に存在する基板の向きが表向きか逆向きかに関 するデータが実際の基板の向きと異なっている場合に前記データを修正することができることを特徴とする基板処理装置。 - 前記装置本体内の全ての基板は、表向きで回収されることが確認された後に各基板が連続して前記装置本体外の所定位置に回収されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の基板処理装置。
- 前記装置本体は、複数の基板を所定間隔で収納可能な容器の搬入出を行う容器搬入出部と、基板の表面または裏面に対して所定の液処理を施す液処理ユニットおよび基板を反転させる反転ユニットを有する基板処理部と、前記容器搬入出部と前記基板処理部との間で基板を搬送する基板搬送部と、を有し、
前記基板搬送手段は、前記基板処理部において基板の搬送を行う第1の基板搬送装置と、前記基板搬送部において基板の搬送を行う第2の基板搬送装置と、を有し、
前記制御手段は、前記装置本体内に存在する基板を前記容器搬入出部に載置された容器に回収するように前記第1の基板搬送装置および前記第2の基板搬送装置を制御することを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。 - 前記警報手段は、前記装置本体に電源が投入された際に、前記基板検出手段が前記液処理ユニット、前記反転ユニット、前記第1の基板搬送装置または前記第2の基板搬送装置において基板を検出した場合に警報を発することを特徴とする請求項5に記載の基板処理装置。
- 前記制御手段は、前記基板検出手段が検出した検出情報と前記記憶手段から取り出された情報とを照合した結果に異常がない場合に、基板の回収手順と基板を回収する容器における基板収容スロットを自動的に定めて、前記回収開始手段からの指令によって前記第1の基板搬送装置および前記第2の基板搬送装置を制御して基板の回収を行う請求項5または請求項6に記載の基板処理装置。
- 前記警報解除手段は、前記警報手段によって警報が発せられた基板に関する情報を修正して基板情報を確定し、基板情報の確定後に前記警報を解除する情報修正手段を具備し、
前記制御手段は、前記情報修正手段によって確定された基板情報に基づいて前記装置本体内に存在する基板を前記容器搬入出部に載置された容器へ回収するように前記第1の基板搬送装置および前記第2の基板搬送装置を制御することを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか1項に基板処理装置 - 前記情報修正手段は、前記基板検出手段が所定位置で基板を検出していないにもかかわらず前記記憶手段から前記所定位置に基板が存在していることを示すデータが取り出された場合に前記データを削除し、または前記基板検出手段が所定位置で基板を検出しているにもかかわらず前記記憶手段から前記所定位置に基板が存在していないことを示すデータが取り出された場合に前記所定位置にある基板の状態を示すデータを追加し、または前記記憶手段から取り出された所定位置にある基板の向きが表向きか逆向きかに関するデータが実際の基板の向きと異なっている場合に前記データを修正し、または基板を回収する容器における基板収容スロットを変更し、または基板の回収順序を変更することができることを特徴とする請求項8に記載の基板処理装置。
- 前記情報修正手段は、前記記憶手段から取り出された情報を表示可能なモニタを具備し、
前記モニタに表示された情報をモニタ画面上で編集して、前記モニタの画面から前記回収開始手段による基板回収の指令を前記制御手段に送ることができることを特徴とする請求項8または請求項9に記載の基板処理装置。 - 前記装置本体は、複数の基板を所定間隔で収納可能な容器の搬入出を行う容器搬入出部と、基板の表面または裏面に対して所定の液処理を施す液処理ユニットおよび基板を反転させる反転ユニットを有する基板処理部と、前記容器搬入出部と前記基板処理部との間で基板を搬送する基板搬送部と、を有し、
前記基板搬送手段は、前記基板処理部において基板の搬送を行う第1の基板搬送装置と、前記基板搬送部において基板の搬送を行う第2の基板搬送装置と、を有し、
前記制御手段は、前記情報操作手段によって得られた基板情報に基づいて前記装置本体内に存在する基板を前記容器搬入出部に載置された容器へ回収するように前記第1の基板搬送装置および前記第2の基板搬送装置を制御することを特徴とする請求項3に記載の基板処理装置。 - 前記情報操作手段は、前記記憶手段から取り出された所定位置に基板が存在していることを示すデータを削除し、または前記記憶手段から所定位置に基板が存在していないことを示すデータが取り出された場合に前記所定位置に基板が存在するデータを追加し、または前記記憶手段から取り出された所定位置に存在する基板の向きが表向きか逆向きかに関するデータが実際の基板の向きと異なっている場合に前記データを修正し、または基板を回収する容器における基板収容スロットを変更し、または基板の回収順序を変更することができることを特徴とする請求項11に記載の基板処理装置。
- 前記情報操作手段は、前記記憶手段から取り出された情報を表示可能なモニタを具備し、
前記モニタに表示された情報をモニタ画面上で編集して、前記モニタの画面から前記回収開始手段による基板回収の指令を前記制御手段に送ることができることを特徴とする請求項11または請求項12に記載の基板処理装置。 - 前記記憶手段は、前記反転ユニットによる基板の反転処理の回数によって前記基板処理部に存在する基板の向きを判断してその状態を記憶することを特徴とする請求項5から請求項13のいずれか1項に記載の基板処理装置。
- 前記装置本体内に存在する基板は、基板の表面を上面とした状態で前記容器搬入出部に載置された容器に回収されることを特徴とする請求項5から請求項14のいずれか1項に記載の基板処理装置。
- 前記液処理ユニットは基板の表面または裏面に対して洗浄処理を施す枚葉式洗浄ユニットであって、前記枚葉式洗浄ユニットは多段に積み重ねられていることを特徴とする請求項5から請求項15のいずれか1項に記載の基板処理装置。
- 基板の表面および裏面に対して所定の処理を行い、その中で基板を搬送する基板搬送手段を備えた基板処理装置における基板処理方法であって、
基板処理装置の電源遮断時に前記基板処理装置内に存在する基板の位置およびこの基板の向きが表向きか逆向きかに関する情報をメモリに記憶する工程と、
前記記憶工程後に最初に前記基板処理装置に電源が投入された際に、前記メモリに記憶された情報を取り出す工程と、
前記取り出し工程において取り出された情報を前記基板処理装置内の実際の基板状態と一致するように修正し、基板情報を確定する工程と、
前記確定工程において確定された基板情報に基づいて、前記基板処理装置内に存在する基板を前記基板搬送手段により表向きで前記基板処理装置外の所定位置に搬出する工程と、
を有することを特徴とする基板処理方法。 - 基板の表面および裏面に対して所定の処理を行い、その中で基板を搬送する基板搬送手段を備えた基板処理装置における基板処理方法であって、
基板処理装置の電源遮断時に前記基板処理装置内に存在する基板の位置およびこの基板の向きが表向きか逆向きかに関する情報をメモリに記憶する工程と、
前記記憶工程後に最初に基板処理装置に電源が投入された際に、前記メモリに記憶された情報を取り出し、また、前記基板処理装置内に存在する基板を検出する工程と、
前記検出工程において前記メモリから取り出された情報と前記基板処理装置内で検出された基板の位置情報とを照合して、これらの情報に相違がない場合には基板情報を確定し、これら情報に相違がある場合には前記メモリから取り出された情報を前記基板処理装置内の実際の基板状態と一致するように修正して基板情報を確定し、前記基板情報に基づいて前記基板処理装置内に存在する基板を前記基板搬送手段により表向きで前記基板処理装置外の所定位置に搬出する工程と、
を有することを特徴とする基板処理方法。 - 基板の表面および裏面に対して所定の処理を行い、その中で基板を搬送する基板搬送手段を備えた基板処理装置における基板処理方法であって、
基板処理装置の電源遮断時に前記基板処理装置内に存在する基板の位置およびこの基板の向きが表向きか逆向きかに関する情報をメモリに記憶する工程と、
前記記憶工程後に最初に基板処理装置に電源が投入された際に、前記メモリに記憶された情報を取り出し、また、前記基板処理装置内に存在する基板を検出する工程と、
前記メモリから取り出された情報と前記基板処理装置内で検出された基板の位置情報とを照合して、これらの情報に相違点または不明点がある場合に警報を発する工程と、
オペレータによって前記基板処理装置内の実際の基板状態を示す基板情報を確定し、前記警報を解除する工程と、
前記解除工程において確定された基板情報に基づいて、前記基板処理装置内に存在する基板を前記基板搬送手段により表向きで基板処理装置外の所定位置に搬出する工程と、
を有し、
前記検出工程では前記メモリから取り出された情報および前記基板処理装置内で検出された基板の位置をモニタに表示し、前記解除工程では前記モニタに表示された情報をモニタ画面上で編集し、前記搬出工程では前記モニタ画面から前記基板搬送手段の動作を制御する制御部へ基板回収の指令を送ることを特徴とする基板処理方法。
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