JP4055552B2 - プライマー組成物、及び熱硬化型エラストマーの接着方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属、ガラス、セラミックス、セメント、モルタルなどの無機材料や、カーボン、プラスチックなどの有機材料からなる各種基材との接着性に優れ、かつ耐薬品性、耐熱水性に優れ、特に1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有し、かつ主鎖中にパーフルオロポリエーテル構造を有するポリマーを主成分とする熱硬化型エラストマー組成物用として好適なプライマー組成物、及びこれを用いた熱硬化型エラストマーの接着方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有し、かつ主鎖中にパーフルオロポリエーテル構造を有するポリマーを主成分とする熱硬化型エラストマー組成物は、耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性、耐水性などの特性に優れたエラストマー硬化物を与えるが、同時に離型性にも優れており、従ってその反面、接着させるのが困難な材料である。特開平9−95615号公報及び特開2002−105319号公報によれば、このエラストマー組成物にアルコキシシリル基、エポキシ基、カルボキシル基、及び酸無水物の構造を有する各種化合物(接着助剤)を内添することによって、金属、ガラス、セラミックス、プラスチックに接着させることが可能となった。しかし、これら接着助剤を添加すると、ゴムの機械的強度が低下したり、圧縮永久歪み特性が低下するなどの問題が生じる場合がある。
【0003】
これらの物性低下を招かずに各種基材と接着させるためには、接着助剤を内添せず、代わりにプライマーを使用する必要がある。
【0004】
プライマーとしては、シランカップリング剤を主体とするシラン系プライマーを使用することによって、各種基材に良好に接着させることができる。しかし、シラン系プライマーは硫酸やフッ酸などの酸によって侵害されやすく、耐薬品性が十分ではない。
【0005】
一方、合成ゴムを主成分とするプライマーや、アクリル樹脂を主成分とするプライマーは、耐薬品性に優れるが、前記エラストマー組成物との親和性に劣り、良好な接着性が得られない。
【0006】
ウレタン樹脂を主成分とするプライマーは、加水分解しやすく耐熱水性に劣る。エポキシ樹脂を主成分とするプライマーは、一般に接着性に優れるが、硬化剤としてアミン含有化合物やメルカプト含有化合物、触媒としてトリフェニルホスフィンなどのリン化合物が使用されている。前記熱硬化型エラストマー組成物には、白金属化合物を触媒とするヒドロシリル化反応によって硬化するタイプがあるが、この硬化系では、アミン化合物、硫黄化合物(メルカプトを含む)、リン化合物が白金属触媒の触媒毒となり、接着界面が硬化不良になってしまう。
【0007】
エポキシ樹脂でも、硬化剤に酸無水物を使用すれば、白金属触媒の触媒毒にはならず、良好な接着性も得られる。しかし、保存性の問題から主剤と硬化剤の2成分系にする必要があり、使用前に混合しなくてはならず、作業工程が煩雑になりやすい。
【0008】
【特許文献1】
特開平9−95615号公報
【特許文献2】
特開2002−105319号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、耐薬品性、耐熱水性に優れ、前記1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有し、主鎖中にパーフルオロポリエーテル構造を有するポリマーを主成分とする熱硬化型エラストマー組成物と各種基材とのバランスのよい接着性を与える1成分系のプライマー組成物、及びこれを用いた熱硬化型エラストマーの接着方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、(a)ポリエポキシド化合物、(b)有機チタン酸エステル類、(c)エポキシ基を有するシラン化合物又はシリコーンレジン化合物を必須成分とするプライマー組成物が、1成分系での使用が可能であり、耐薬品性、耐熱水性に優れ、特に1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有し、主鎖中にパーフルオロポリエーテル構造を有するポリマーを主成分とする熱硬化型エラストマー組成物のプライマーとして用いた場合、このエラストマー組成物と各種基材との間に良好な接着性を与えることを知見し、本発明をなすに至った。
【0011】
従って、本発明は、(a)1分子中に2個以上のエポキシ基を含有し、エポキシ当量が50〜1000g/eqの、フェノール又はクレゾールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテルであるポリエポキシド化合物、
(b)有機チタン酸エステル、
(c)γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン若しくはβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランであるエポキシ基を有するシラン化合物、又は該エポキシ基を有するシラン化合物と、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン若しくはフェニルトリエトキシシランとの部分加水分解物であるエポキシ基を有するシリコーンレジン化合物、
(d)溶剤
を必須成分とすることを特徴とする1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有し、かつ主鎖中にパーフルオロポリエーテル構造を有するポリマーを主成分とする熱硬化型エラストマー組成物用の1成分系のプライマー組成物、及び
基材上に、上記プライマー組成物を塗布し、上記基材に、1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有し、かつ主鎖中にパーフルオロポリエーテル構造を有するポリマーを主成分とする熱硬化型エラストマー組成物を接着させることを特徴とする熱硬化型エラストマーの接着方法
を提供する。
【0012】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
(a)ポリエポキシド化合物
本発明のプライマー組成物の第1必須成分[(a)成分]は、ポリエポキシド化合物である。このポリエポキシド化合物は、1分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物であり、芳香族、脂肪族、脂環族のいずれの化合物であってもよい。
【0013】
芳香族ポリエポキシドとしては、例えば、多価フェノールのポリグリシジルエーテル及び芳香族ポリグリシジルアミンが挙げられる。多価フェノールのポリグリシジルエーテルとしては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールBジグリシジルエーテル、ビスフェノールADジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ハロゲン化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル及びオクタクロロ−4,4’−ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテルなど、フェノール又はクレゾールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル、フェノールとグリオキザール、グルタールアルデヒド、又はホルムアルデヒドの縮合反応によって得られるポリフェノールのポリグリシジルエーテル、及びレゾルシンとアセトンの縮合反応によって得られるポリフェノールのポリグリシジルエーテルなど、及びピロガロールトリグリシジルエーテルなどが挙げられる。
【0014】
芳香族ポリグリシジルアミンを構成する芳香族アミンとしては、例えば、N,N−ジグリシジルアニリンなど、1,3−及び/又は1,4−フェニレンテトラグリシジルアミン、2,4−及び/又は2,6−トリレンテトラグリシジルアミン、4,4’−ジフェニルメタンテトラグリシジルアミン、m−及び/又はp−キシリレンテトラグリシジルアミン及びα,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンテトラグリシジルアミンなどが挙げられる。更に、芳香族系ポリエポキシドとしては、例えば、トリレンジイソシアネート又はジフェニルメタンジイソシアネートとグリシドールの付加反応によって得られるジグリシジルウレタン化合物、トリレンジイソシアネート又はジフェニルメタンジイソシアネートとグリシドール及びポリオールを反応させて得られるグリシジル基含有ポリウレタン(プレ)ポリマー及びビスフェノールAのアルキレンオキシド(エチレンオキシド又はプロピレンオキシド)付加物のジグリシジルエーテル体も含む。
【0015】
脂肪族ポリエポキシドとしては、例えば、脂肪族多価アルコールのポリグリシジルエーテル、脂肪族ポリカルボン酸のポリグリシジルエステル及び脂肪族ポリグリシジルアミンが挙げられる。脂肪族多価アルコールのポリグリシジルエーテルとしては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、テトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコール(オキシエチレン単位の数:2〜200)ジグリシジルエーテル、及びポリプロピレングリコール(オキシプロピレン単位の数:2〜200)ジグリシジルエーテルなど、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル及びグリセリントリグリシジルエーテルなど、及びペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル及びジペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ポリ(重合度2〜20)グリセリンポリグリシジルエーテルなどが挙げられる。脂肪族ポリグリシジルアミンとしては、例えば、エチレンジアミンのテトラグリシジルアミンが挙げられる。
【0016】
脂肪族ポリカルボン酸のポリグリシジルエステルとしては、例えば、コハク酸ジグリシジル、アジピン酸ジグリシジル、セバシン酸ジグリシジル及びアゼライン酸ジグリシジルなど、及びブタンテトラカルボン酸テトラグリシジルなどが挙げられる。
【0017】
脂環族ポリエポキシドとしては、例えば、ビニルシクロヘキセンジオキシド、リモネンジオキシド、ジシクロペンタジエンジオキシドなど、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、エチレングリコールビスエポキシジシクロペンチルエール、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペートなどが挙げられる。また、脂環族系としては、前記芳香族系ポリエポキシドの核水素添加物も含む。
【0018】
これらのポリエポキシドのうち、耐薬品性、耐熱水性の観点から、好ましいのは芳香族ポリエポキシドであり、特にフェノール又はクレゾールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテルが最も好ましい。また、ポリエポキシドのエポキシ当量は、通常50〜1000g/eqであり、好ましいのは100〜500g/eqである。
【0019】
(b)有機チタン酸エステル類
本発明のプライマー組成物の第2必須成分[(b)成分]は、有機チタン酸エステル類である。有機チタン酸エステル類としては、有機チタン酸エステル、チタンのキレート化合物、チタンのケイ酸エステルによるキレート化合物、チタネート系カップリング剤、これらの部分加水分解縮合物が挙げられる。有機チタン酸エステル類の具体例としては、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラキス(2−エチルヘキシル)チタネート、テトラステアリルチタネート、テトラメチルチタネート、ジエトキシビス(アセチルアセトナト)チタン、ジイソプロピルビス(アセチルアセトナト)チタン、ジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)チタン、イソプロポキシ(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、ジ(2−エチルヘキソキシ)ビス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、ジ−n−ブトキシビス(トリエタノールアミナト)チタン、テトラアセチルアセトネートチタン、ヒドロキシビス(ラクタト)チタン及びこれらの加水分解縮合物等を挙げることができる。
【0020】
上記の有機チタン酸エステル類の内、下記一般式(1)
Ti(OR1)4 (1)
(式中、R1は、それぞれ独立に、炭素数1〜10の置換もしくは非置換の1価炭化水素基である。)
で表される化合物は、架橋性に優れ、また接着性改善効果が特に高いためより好ましい。なお、R1の1価炭化水素基としては、アルキル基、アルコキシアルキル基、アルケニル基、アリール基等が挙げられる。
【0021】
上記有機チタン酸エステル類は1種類のみで使用してもよいし、2種類以上混合使用してもよい。
【0022】
有機チタン酸エステル類(b)の配合量は、ポリエポキシド化合物(a)100重量部に対して1〜200重量部が好ましく、5〜100重量部がより好ましい。有機チタン酸エステル類の配合量がこの範囲を下回ると被膜形成速度が遅くなることがあり、また被膜が十分に形成し難くなる場合がある。一方、有機チタン酸エステル類の配合量がこの範囲を上回ると、オープンタイムが短くなりすぎて作業性が悪くなることがあり、また貯蔵安定性が低下する場合がある。
【0023】
(c)エポキシ基を有するシラン化合物又はシリコーンレジン化合物
本発明の第3必須成分[(c)成分]は、エポキシ基を有するシラン化合物又はシリコーンレジン化合物である。エポキシ基含有シラン化合物としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等を挙げることができる。
【0024】
エポキシ基含有シリコーンレジン化合物としては、前記エポキシ基含有シラン化合物の部分加水分解物、前記エポキシ基含有シラン化合物と各種シラン化合物との部分加水分解物等を挙げることができる。ここで、各種シラン化合物は、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0025】
上記のエポキシ基を有するシラン化合物又はシリコーンレジン化合物は1種類のみで使用してもよいし、2種類以上混合使用してもよい。
【0026】
上記のエポキシ基を有するシラン化合物又はシリコーンレジン化合物(c)の配合量は、ポリエポキシド化合物(a)100重量部に対して0.1〜50重量部が好ましく、1〜30重量部がより好ましい。シラン化合物又はシリコーンレジン化合物の配合量がこの範囲を下回ると被膜の初期強度が弱くなる場合がある。一方、配合量がこの範囲を上回ると、耐薬品性が悪くなることがある。
【0027】
(d)溶剤
本発明においては、プライマー組成物をプライマー塗布作業に適した粘度に調節するために溶剤を用いる。溶剤は本発明の(a)成分〜(c)成分を溶解するものであればよく、その種類は特に限定されない。かかる溶剤の具体例としては、トルエン、キシレン、ヘプタン、ヘキサン、石油系溶媒等の炭化水素系溶剤、トリクロロエチレン等のハロゲン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶剤、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等のシリコーン系溶剤が例示される。これらの溶剤は、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0028】
この溶剤の配合量は、(a)成分〜(c)成分の合計量100重量部に対して10〜500重量部が好ましい。溶剤の配合量がこの範囲を下回るとプライマー組成物の粘度が高くなりすぎる場合がある。一方、溶剤の配合量がこの範囲を上回ると十分な接着性が得られないことがある。
【0029】
(e)その他の成分(充填剤など)
また、本発明のプライマー組成物には、必要に応じて各種充填剤を用いてもよい。これら充填剤の具体例としては、木粉、パルプ、木綿チップ、アスベスト、ガラス繊維、炭素繊維、マイカ、クルミ殻粉、もみ殻粉、グラファイト、ケイソウ土、白土、ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、カーボンブラック、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、クレー、タルク、酸化チタン、酸化セリウム、炭酸マグネシウム、石英粉末、アルミニウム微粉末、酸化鉄、フリント粉末、亜鉛末などが挙げられる。これらの充填剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0030】
更に、本発明のプライマー組成物には、必要に応じて各種添加剤を添加してもよい。このような添加剤としては、例えば、老化防止剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、オゾン劣化防止剤、貯蔵安定性向上剤、シランカップリング剤などの接着性付与剤、各種顔料、染料等を挙げることができる。
【0031】
熱硬化型エラストマー組成物
本発明のプライマー組成物は、各種熱硬化型エラストマー組成物などに対するプライマーとして使用できるが、特に、1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有し、かつ主鎖中にパーフルオロポリエーテル構造を有するポリマーを主成分とする熱硬化型エラストマー組成物用のプライマー組成物として好適に使用される。ここで、この熱硬化型エラストマー組成物としては、上記ポリマーに加え、1分子中に少なくとも2つ、好ましくは3つ以上のSiH基を有する化合物と、白金族触媒とを用いて、ヒドロシリル化反応によって加熱硬化させるエラストマー組成物が挙げられ、この種のエラストマー組成物は、特許第2990646号公報、特開平11−116684号公報、特開2002−12769号公報等に記載してあるものを挙げることができる。また、上記ポリマーに有機過酸化物を加えてパーオキサイド架橋により硬化するものとしては、例えば、特開2000−7835号公報、特願2002−001257号等に記載してあるものを挙げることができる。
【0032】
塗布方法、使用方法
本発明のプライマー組成物は、鉄、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、亜鉛、金、銀、銅などの各種金属、及び各種基材の表面をこれらの金属でメッキ処理した物、アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、カーボン、ガラス、セラミックス、セメント、スレート、大理石や御影石などの石材、モルタル等の無機材料等と、上記熱硬化型エラストマー組成物とを強固に接着させることができる。
【0033】
本発明のプライマー組成物は、通常採用されているコーティング法、例えば、刷毛塗り法、スプレーコーティング法、ワイヤバー法、ブレード法、ロールコーティング法、ディッピング法などを用いて基材にコーティングできる。
【0034】
本発明のプライマー組成物は、通常常温にて1〜60分、好ましくは5〜30分風乾後、50〜180℃(好ましくは80〜150℃)で1〜60分(好ましくは5〜30分)加熱することにより強固な被膜を形成できる。
【0035】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記例でMeはメチル基を示す。
【0036】
[製造例1](熱硬化型エラストマー組成物(A)の具体例)
下記式(2)
【化1】
で表されるポリマー(粘度8500cs、平均分子量22000、ビニル基量0.009モル/100g)100重量部にヘキサメチルジシラザンで処理された比表面積130m2/gの煙霧質シリカ20重量部を加え、混合、熱処理の後三本ロールミル上にて混合し、更に、下記式(3)
【化2】
で表される含フッ素有機ケイ素化合物2.49重量部、塩化白金酸をCH2=CHSiMe2OSiMe2CH=CH2で変性した触媒のトルエン溶液(白金濃度0.5重量%)0.2重量部及びエチニルシクロヘキサノールの50%トルエン溶液0.4重量部を加え、混合し、組成物(A)を作製した。この組成物を150℃で10分間加熱したところ、硬化し、ゴムになることを確認した。
【0037】
[実施例1]
撹拌機付き容器にフェノールノボラック型エポキシ樹脂(数平均分子量800、エポキシ当量170)70重量部、テトラノルマルブトキシチタネート20重量部、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン10重量部、トルエン80重量部、酢酸エチル30重量部を投入し、均一溶解してプライマー組成物Iを調製した。
【0038】
[実施例2]
撹拌機付き容器にフェノールノボラック型エポキシ樹脂(数平均分子量800、エポキシ当量170)70重量部、テトライソプロポキシチタネート12重量部、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン10重量部、トルエン80重量部、酢酸エチル30重量部、イソプロピルアルコール5重量部を投入し、均一溶解してプライマー組成物IIを調製した。
【0039】
[実施例3]
撹拌機付き容器にクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(数平均分子量900、エポキシ当量185)70重量部、テトラノルマルブトキシチタネート20重量部、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとメチルトリメトキシシランとの部分加水分解物(25℃粘度;40mm2/s、エポキシ当量280)15重量部、トルエン100重量部、酢酸エチル30重量部を投入し、均一溶解してプライマー組成物IIIを調製した。
【0040】
[比較例1]
撹拌機付き容器にテトラエトキシシラン60重量部、テトラノルマルブトキシチタネート20重量部、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン15重量部、ビニルトリメトキシシラン15重量部、リグロイン200重量部を投入し、均一溶解してシラン系のプライマー組成物IVを調製した。
【0041】
上記実施例1〜3及び比較例1のプライマー組成物I〜IVをSUS314のテストピース(100mm×25mm×1mm)上に刷毛で塗布し、室温にて15分風乾し、120℃で15分加熱処理した。このプライマー表面上に、100mm×2mm×2mmのビード状になるような型をあてて、製造例1の加熱硬化型エラストマー組成物(A)を注入し、150℃で30分加熱硬化させた。これらの一体成形物をJIS K 6854−1に準じて90度剥離接着強さ試験機にて接着強度を測定した。
更に、これらの一体成形物を5%のフッ酸水溶液に90℃で70時間浸漬し、浸漬後の剥離接着強度を同様な方法で測定した。結果を表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
表1の結果から、本発明のプライマー組成物I〜III及び比較例のシラン系プライマー組成物IVは、初期においては、いずれも良好な接着性を示している。しかし、フッ酸水溶液浸漬後は、プライマー組成物I〜IIIが接着性を保持していて耐薬品性、耐熱水性が良好であるのに対し、シラン系プライマー組成物IVは接着性が極度に低下しており、耐薬品性に劣る。
【0044】
【発明の効果】
本発明のプライマー組成物は、金属、ガラス、セラミックス、セメント、モルタルなどの無機材料や、カーボン、プラスチックなどの有機材料からなる各種基材との接着性に優れ、かつ耐薬品性、耐熱水性に優れ、1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有し、かつ主鎖中にパーフルオロポリエーテル構造を有するポリマーを主成分とする熱硬化型エラストマー組成物用として使用される。
Claims (5)
- (a)1分子中に2個以上のエポキシ基を含有し、エポキシ当量が50〜1000g/eqの、フェノール又はクレゾールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテルであるポリエポキシド化合物、
(b)有機チタン酸エステル、
(c)γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン若しくはβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランであるエポキシ基を有するシラン化合物、又は該エポキシ基を有するシラン化合物と、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン若しくはフェニルトリエトキシシランとの部分加水分解物であるエポキシ基を有するシリコーンレジン化合物、
(d)溶剤
を必須成分とすることを特徴とする1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有し、かつ主鎖中にパーフルオロポリエーテル構造を有するポリマーを主成分とする熱硬化型エラストマー組成物用の1成分系のプライマー組成物。 - (b)成分の配合量が(a)成分100重量部に対して1〜200重量部である請求項1記載のプライマー組成物。
- (c)成分の配合量が(a)成分100重量部に対して0.1〜50重量部である請求項1又は2記載のプライマー組成物。
- (d)成分の配合量が(a)成分〜(c)成分の合計量100重量部に対して10〜500重量部である請求項1、2又は3記載のプライマー組成物。
- 基材上に、請求項1乃至4のいずれか1項記載のプライマー組成物を塗布し、上記基材に、1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有し、かつ主鎖中にパーフルオロポリエーテル構造を有するポリマーを主成分とする熱硬化型エラストマー組成物を接着させることを特徴とする熱硬化型エラストマーの接着方法。
Priority Applications (1)
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