JP4055438B2 - 操舵・制動統合制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の旋回に係る制御を行なう、操舵・制動統合制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車において、車両の旋回状態がアンダーステア状態かオーバーステア状態かを検出して、その状態に応じて各輪の制動力を制御する技術(車両挙動制御)が開発されている。この技術では、例えばアンダーステア状態の場合には、アンダーステアの強さに応じて旋回内輪(後内輪又は前内輪)に制動力を付加するとともにエンジン出力も低減することによりアンダーステアを抑制するように制御する。
【0003】
なお、ステア状態の判断は、車速と操舵角度(ハンドル角)とから算出した計算ヨーレイトと、ヨーレイトセンサにより実測された実ヨーレイトとを比較することにより行なうことができる。つまり、実ヨーレイトが計算ヨーレイトとほぼ一致すればニュートラルステア状態であると判定することができ、実ヨーレイトが計算ヨーレイトよりも小さい場合には、アンダーステア状態であると判定することができる。
【0004】
また、アンダーステアの強さは、計算ヨーレイトと実ヨーレイトとの差(計算ヨーレイト−実ヨーレイト)に対応するので、車両挙動制御では、アンダーステア状態の場合に、旋回内輪にこの差(計算ヨーレイト−実ヨーレイト)に応じた制動力を付加するとともに、エンジン出力もこの差に応じて低減させることになる。
【0005】
一方、自動車において、車両の旋回状態がアンダーステア状態かオーバーステア状態かを検出して、アンダーステア状態の場合には、操舵反力を大きくするとともにドライバに「これ以上の旋回はできない」旨をアナウンスして、ドライバのハンドル切り込みを抑制させる技術(操舵抑制制御)も開発されている。
これは、アンダーステア状態の場合にさらにハンドルを切り込むと、アンダーステアが一層強まって車両の旋回限界の低下を招いてしまうので、これを回避しようとするためである。
【0006】
また、アンダーステアが強まってタイヤがグリップ限界を超えると操舵反力が抜けて(急激に小さくなって)しまうため、ドライバが過剰なハンドル切り込みをしてしまうおそれがあるが、アンダーステア状態の場合に操舵反力を大きくすれば、これを防ぐこともできる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、一つの車両に、上記の車両挙動制御と操舵抑制制御とを併用することが考えられる。
つまり、車両の旋回状態がアンダーステア状態かオーバーステア状態かを検出して、アンダーステア状態の場合には、車両挙動制御としてはアンダーステアの強さに応じて旋回内輪に制動力を付加するとともにエンジン出力も低減してアンダーステアを抑制し、操舵抑制制御としては操舵反力を大きくして、ドライバのハンドル切り込みを抑制させるのである。
【0008】
しかしながら、アンダーステア状態で操舵抑制制御として操舵反力を大きくすると、ドライバはハンドルを切り込みにくくなるため、車両のステア状態としてはアンダーステアが弱い状態になる。車両挙動制御では、アンダーステアの強さに応じて旋回内輪に制動力を付加するので、操舵抑制制御によってアンダーステアが弱くなると、車両挙動制御により加えられる制動力は小さくなり、それだけ、車両挙動制御の効果が発揮されなくなってしまう。
【0009】
本発明は、このような課題に鑑み案出されたもので、車両挙動制御と操舵抑制制御とをそれぞれ効果的に利用できるようにして、車両の旋回操作性を向上させることができるようにした、操舵・制動統合制御装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目標を達成するため、本発明の操舵・制動統合制御装置は、車両の旋回状態を判定する旋回状態判定手段と、ドライバの加える操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、上記ドライバの操舵操作に対する操舵反力を与える操舵反力制御手段と、車両の旋回制動力を制御する旋回制動力制御手段と、を備え、上記旋回状態判定手段が、車両の旋回状態がアンダーステア状態であると判定すると、上記操舵反力制御手段が、アンダーステアの強さに対応して操舵反力を加えるとともに、上記旋回制動力制御手段が、上記操舵トルク検出手段により検出された操舵トルクの大きさのうちの、上記操舵反力制御手段による操舵反力付与開始時における操舵トルクよりも大きくなった分に対応して上記旋回制動力を強めて上記アンダーステアを抑制するように構成されている(請求項1)。
【0011】
上記車両のエンジン出力を制御するエンジン出力制御手段をさらにそなえ、上記エンジン出力制御手段は、上記旋回状態判定手段によって車両の旋回状態がアンダーステア状態であると判定されると、上記操舵トルク検出手段により検出された操舵トルクの大きさのうちの、上記操舵反力制御手段による操舵反力付与開始時における操舵トルクよりも大きくなった分に対応して上記車両のエンジン出力を低下させて上記アンダーステアを抑制することが好ましい(請求項2)。
【0012】
さらに、上記操舵トルク検出手段により検出される操舵トルクとは、操舵系に基本的に発生するベース操舵反力と上記操舵反力制御手段により与えられる制御操舵反力とに抗して上記ドライバが加える操舵トルクであって、上記旋回制動力制御手段による上記旋回制動力の強化及び/又は上記エンジン出力制御手段によるエンジン出力の低下は、上記操舵反力制御手段により与えられる制御操舵反力に抗して上記ドライバが加える操舵トルク分に応じて行われることが好ましい
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面により、本発明の実施の形態について説明する。
図1〜図5は本発明の一実施形態に係る操舵・制動統合制御装置を示すもので、これらの図に基づいて図面に基づいて説明する。
本実施形態にかかる自動車(以下、車両という)の駆動系,制動系及び操舵系は、図1に示すように構成されている。
【0014】
つまり、エンジン1の出力は、駆動輪(ここでは、前輪の左右輪)2FL,2FRに送られ駆動輪2FL,2FRが回転するようになっている。このエンジン1は、図示しないスロットル弁の開度をECU(電子制御ユニット)10からの指令信号によって調整されるスロットルバイワイヤ方式に構成されている。ECU10では、通常はドライバのアクセル操作信号に応じてスロットル弁の開度を調整するが、特定の運転時にはドライバのアクセル操作以外の情報にも基づいてスロットル弁の開度を調整する。
【0015】
また、各車輪(つまり、前輪の左右輪及び後輪の左右輪)2FL,2FR,2RL,2RRには、ブレーキ装置(例えば、ブレーキディスクとこのブレーキディスクを把持するキャリパ等からなるディスクブレーキ装置)3FL,3FR,3RL,3RRがそれぞれ装備されている。各車輪のブレーキ装置3FL,3FR,3RL,3RRは、供給される油圧に応じた制動力を発揮するようになっており、各ブレーキ装置3FL,3FR,3RL,3RRへの油圧は、コントロールバルブ4を通じて制御される。
【0016】
なお、ここでは簡略化しているが、コントロールバルブ4は複数のバルブからなっており、このようなコントロールバルブ4はECU10によって制御され、各ブレーキ装置3FL,3FR,3RL,3RRを個別に制御できるようになっている。コントロールバルブ4は、通常はドライバのブレーキ操作に応じて作動するが、ECU10では、ドライバのブレーキ操作とは異なる態様でコントロールバルブ4を操作しうるようになっている。したがって、ブレーキング時にタイヤがロックしそうになるとそのタイヤのブレーキ力を弱めてタイヤロックを未然に防ぎ制動性を確保する、いわゆるABS(アンチロックブレーキシステム)に相当する制御も可能になっている。
【0017】
操舵系について説明すると、ステアリングシャフト5の一端にはステアリングホイール(以下、ハンドルという)5aが結合され、ステアリングシャフト5の他端にはラックアンドピニオン等の機構5bを介してタイロッド5cが連結されている。これにより、ハンドル5aを回転操作すると、ステアリングシャフト5が回転してタイロッド5cを移動させ、タイロッド5cの両端部に連結されたナックルアーム5dとともに操舵輪(ここでは、前輪の左右輪)2FL,2FRを転舵するようになっている。
【0018】
そして、本操舵系には、トルクセンサ付き電動パワーステアリング21が用いられている。このトルクセンサ付き電動パワーステアリング21は、ステアリングシャフト5の中間部に装備されてハンドル入力トルクを検出する操舵トルクセンサ(操舵トルク検出手段)31と、ステアリングシャフト5の中間部に装備されてステアリングシャフト5に回転力(操舵アシスト力)を付与する電動モータ22と、トルクセンサ31等の情報に基づいて電動モータ22による操舵アシスト力を制御するECU10内の機能要素とをそなえている。電動モータ22は通常はハンドル操作力を軽くする操舵アシスト力を発揮するが、この操舵アシスト力とは逆に、ハンドル操作力を重くする操舵反力を付与することも可能になっている。
【0019】
本操舵・制動統合制御装置は、このような車両の駆動系,制動系及び操舵系を統合制御するものであり、車両の旋回状態を判定する機能要素(旋回状態判定手段)11と、ドライバの操舵操作に対する操舵反力を与える機能要素(操舵反力制御手段)12と、車両の旋回制動力を制御する機能要素(旋回制動力制御手段)13と、エンジン出力を制御する機能要素(エンジン出力制御手段)14と、ドライバの加える操舵トルクを検出する操舵トルクセンサ31とを備えて構成されている。なお、旋回状態判定手段11,操舵反力制御手段12,旋回制動力制御手段13,エンジン出力制御手段14の各機能要素は、いずれもECU10内に設けられている。
【0020】
そして、旋回状態判定手段11によって車両の旋回状態がアンダーステア状態であると判定されると、操舵反力制御手段12が、アンダーステアの程度に比例して操舵反力を高めるように操舵アシスト系(電動モータ22)を制御し、旋回制動力制御手段13が、操舵トルクセンサ31により検出された操舵トルクに対応して旋回制動力を強めるようにブレーキ系(コントロールバルブ4)を制御し、エンジン出力制御手段14が、操舵トルクセンサ31により検出された操舵トルクに反対応して上記車両のエンジン出力を低下させるようにエンジンの出力制御系(スロットルバルブ開度)を制御するようになっている。
【0021】
つまり、旋回状態判定手段11では、実ヨーレイトγRの大きさ|γR|と計算ヨーレイトγIの大きさ|γI|との偏差Δγ(=|γI|−|γR|)を、旋回状態を示すパラメータとして算出し、この偏差Δγが所定値以上の正の値(正の閾値Δγthよりも大きい値)であればアンダーステア状態であると判定し、所定値以下の負の値(負の閾値−Δγthよりも小さい値)であればオーバーステア状態であると判定するようになっている。勿論、いずれでもなければニュートラルステア状態であると判定することができる。
【0022】
なお、計算ヨーレイトγIは、車速Vとハンドル角θhとに基づいて、公知の手法によって演算で求めることができる。
このため、ECU10には、車速センサ(車速検出手段)32から車速Vが、ハンドル角センサ(ハンドル角検出手段)33からハンドル角θhが、それぞれ入力されるようになっている。また、ECU10には、上記操舵トルクセンサ31から検出された操舵トルクTSが、センサヨーレイトセンサ(ヨーレイト検出手段)34から検出された実ヨーレイトγRが、それぞれ入力されるようになっている。
【0023】
なお、後述する図2,図3では、左回りのヨーレイトγを負、右回りのヨーレイトγを正としており、左回りのヨーレイトγに対しては、偏差Δγを実ヨーレイトγRと計算ヨーレイトγIとの差(Δγ=γI−γR)として、偏差Δγが所定値以下の負の値(負の閾値:−Δγth)以下であればアンダーステア状態であると判定し、右回りのヨーレイトγに対しては、偏差Δγを実ヨーレイトγRと計算ヨーレイトγIとの差(Δγ=γI−γR)として、偏差Δγが所定値以下の正の値(正の閾値:Δγth)以上であればアンダーステア状態であると判定する。
【0024】
操舵反力制御手段12は、図2に示すように、旋回状態判定手段11により車両の旋回状態がアンダーステア状態であるとされた場合(偏差Δγが閾値Δγth以上になった場合)に、アンダーステアの強さ(偏差Δγの大きさ)に応じた大きさの操舵反力を付与するようになっている。具体的には、電動モータ22のモータ電流をアンダーステアの強さ(偏差Δγの大きさ)に応じた大きさに制御する。また、これとともに図示しない警報手段(例えば、スピーカ及びこのスピーカに音声信号を送るコントローラ等からなる)によって、ドライバに「これ以上の旋回はできない」旨をアナウンスするようになっている。これによって、アンダーステア時におけるドライバのハンドル切り込みを抑制させている。
【0025】
この操舵反力付与制御は、アンダーステア状態の場合にさらにハンドルを切り込むと、アンダーステアが一層強まって車両の旋回限界の低下を招いてしまうので、これを回避しようとするためとともに、アンダーステアが強まってタイヤがグリップ限界を超えると操舵反力が抜けて(急激に小さくなって)しまうため、ドライバが過剰なハンドル切り込みをしてしまうおそれがあり、これを防ぐために行なう。
【0026】
旋回制動力制御手段13は、図3に示すように、旋回状態判定手段11により車両の旋回状態がアンダーステア状態であるとされた場合(偏差Δγが閾値Δγth以上になった場合)に、このとき操舵トルクセンサ(操舵トルク検出手段)31により検出されるドライバの加えた操舵トルクTSの大きさに応じて旋回内輪(後内輪及び/又は前内輪)に制動力を付加する。この旋回制動力付加制御は、アンダーステア状態の場合に旋回内輪に制動力を付加することによって車両の回頭を促進して、アンダーステアを抑制しようとするものである。
【0027】
旋回制動力制御手段13は、図3に示すように、旋回状態判定手段11により車両の旋回状態がアンダーステア状態であるとされた場合(偏差Δγが閾値Δγth以上になった場合)に、このとき操舵トルクセンサ31により検出されるドライバの加えた操舵トルクTSの大きさに応じてスロットルバルブ開度を小さくしてエンジン出力を低減する。このエンジン出力低減制御は、タイヤから路面へ伝達される駆動トルクを弱めればアンダーステアが弱まるという特性に着目し、エンジン出力を低減してタイヤから路面へ伝達される駆動トルクを弱めるようにして、アンダーステアを抑制しようとするものである。
【0028】
特に、旋回制動力付加制御及びエンジン出力低減制御では、ドライバの加えた操舵トルクTSの大きさに応じて制御を行なうが、本実施形態では、操舵トルクセンサ31により検出される操舵トルクTSが、操舵反力付与の開始時における操舵トルクT S0 よりも大きくなった分(=TS−TS0)に応じて、旋回制動力を与えるとともにエンジン出力を低減するようになっている。
【0029】
つまり、操舵反力の付与を開始すると、ドライバがハンドルを保持しようとするだけでも、操舵反力付与分だけドライバの加える操舵トルクTSは増加する。本実施形態では、この操舵トルク増加分ΔTSが所定値(微小な値)ΔTSth以上になった場合、旋回制動力制御手段13では、この操舵トルク増加分ΔTSと比例するように旋回内輪側に制動力(即ち、旋回制動力)を付与し、旋回制動力制御手段13では、エンジン出力の大きさがこの操舵トルク増加分ΔTSと反比例するようにエンジン出力を低減するのである。
【0030】
これによって、操舵反力が付与されてもドライバがこれに対抗すれば、そのとき加える操舵トルクに応じて、旋回制動力が発揮されるとともにエンジン出力が低減されて、車両のアンダーステアが抑制されるようになっているのである。
本発明の一実施形態としての操舵・制動統合制御装置は、上述のように構成されているので、例えば図4に示すように、操舵・制動統合制御が行なわれる。
【0031】
つまり、車速V,ハンドル角θh,実ヨーレイトγRを読み込んで(ステップS10)、計算ヨーレイトγIを算出し、この計算ヨーレイトγIと実ヨーレイトγRとの差Δγを算出する(ステップS20)。そして、差Δγの大きさ|Δγ|を閾値Δγthと比較して(ステップS30)、差Δγの大きさ|Δγ|が閾値Δγthよりも大きければ、偏差Δγの大きさ(アンダーステアの強さ)に応じた操舵反力を計算し出力して、これに応じて操舵反力を制御する(ステップS40)。
【0032】
操舵反力を制御する場合、さらに、ステップS50に進み、操舵トルクTSの読み込みを行ない(ステップS50)、操舵反力付与の開始時における操舵トルクTS0よりも大きくなった分の偏差ΔTS(=TS−TS0)の計算を行なう(ステップS60)。
そして、偏差ΔTSを閾値ΔTSthと比較して(ステップS70)、偏差ΔTSが閾値ΔTSthよりも大きければ、偏差ΔTSに応じた旋回制動力を計算し出力して、これに応じて旋回制動力を制御するとともに(ステップS80)、偏差ΔTSに応じたスロットル開度を計算し出力して、これに応じてエンジン出力(スロットル開度)を制御する(ステップS90)。
【0033】
このようにして、車両の操舵状態が一定以上のアンダーステア状態になると、操舵反力が付与されるため、ドライバの更なるハンドルの切り込みが抑制される。
特に、アンダーステアの程度に比例して操舵反力を高めることは、ドライバに車両がアンダーステアであること及びその程度を知らせることができ、ドライバに適切な運転操作を案内することができる。
【0034】
したがって、アンダーステア状態の場合にさらにハンドルを切り込むと、アンダーステアが一層強まって車両の旋回限界の低下を招いてしまうが、これが回避される。また、アンダーステアが強まってタイヤがグリップ限界を超えると操舵反力が抜けて(急激に小さくなって)しまうことがあるが、これも防止されるため、ドライバが過剰なハンドル切り込みをしてしまうおそれも回避できる。
【0035】
これにより、道路のカーブから直線に戻る部分を走行する場合や、S字カーブを走行する場合に、ハンドル操作を容易にできるようになり、ドライバがより用意に運転操作を行なえるようになる。
一方、操舵反力が付与されると、ドライバがハンドルを保持しようとするだけでも、操舵反力付与分だけドライバの加える操舵トルクTSは増加するので、この操舵トルク増加分ΔTSに応じて旋回内輪側に制動力(即ち、旋回制動力)が付与されるとともに、エンジン出力が低減されるので、車両のアンダーステアが抑制され、ニュートラルステアに近づき、ドライバの意思に応じた旋回動作を行なえるようになる。
【0036】
また、操舵トルクに応じて、旋回制動力を付与したりエンジン出力を低減したりすると、ハンドル角に応じて作動させる場合よりも、応答性が高くなり、車両のアンダーステアの抑制を速やかに行なえる効果もある。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0037】
例えば、図5に示すように、操舵系に、トルクセンサ31で検出した操舵トルクに応じてECU10によって操舵反力を制御できる油圧パワーステアリング機構(例えば、車速感応型油圧パワーステアリング機構)40を設け、これを用いて上記の操舵反力付与制御を行なうようにしてもよい。
また、図6に示すように、操舵系を、ハンドルと操舵輪との間が機械的に連結されないで、ECU10によってステアリングアクチュエータ51を制御するステアバイワイヤ方式50として、これを用いて上記の操舵反力付与制御を行なうようにしてもよい。
【0038】
また、車両のアンダーステア時に、エンジン出力の低減は行なわないで、操舵反力と旋回制動力とを付与するだけで対応することも考えられる。
さらに、上記実施形態では、エンジン出力抑制をスロットル開度の低減で行なっているが、燃料供給量の抑制や休筒など、他の制御要素を用いてエンジン出力を行なってもよい。
【0039】
また、旋回制動力の付与は、前後の両方の内輪にしているか、前後のいずれかの内輪にしてもよい。
操舵トルクに応じて、旋回制動力を付与したりエンジン出力を低減したりすると、ハンドル角に応じて作動させる場合よりも、応答性が高くなり、車両のアンダーステアの抑制を速やかに行なえる効果もある。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の操舵・制動統合制御装置によれば、旋回状態判定手段によって車両の旋回状態がアンダーステア状態であると判定されると、操舵反力制御手段が、アンダーステアの強さ対応して操舵反力を加えるので、アンダーステアが強いほどドライバによるハンドルの切り込みを抑制することができる。
【0041】
このとき、旋回制動力制御手段が、上記操舵トルク検出手段により検出された操舵トルクの大きさのうちの、上記操舵反力制御手段による操舵反力付与開始時における操舵トルクよりも大きくなった分に対応して上記旋回制動力を強めて上記アンダーステアを抑制するので、ドライバがハンドルを更に切り込まないでも上記操舵反力に抗してハンドルを保持しようとすれば、相応の操舵トルクが入力されることになり、この操舵トルクに比例して上記旋回制動力を高められる。すなわち、アンダーステア時に操舵反力を高めたからといって旋回制動力が付与されにくくなることはなく、操舵反力を高めるのとともに旋回制動力を必要に応じて高めることができ、ドライバの意思に応じて車両を旋回させることができるようになる。
【0042】
また、不必要なハンドルの切り込みが抑制されるため、ハンドルの戻し遅れを減少させることもでき、道路のカーブから直線に戻る部分を走行する場合や、S字カーブを走行する場合に、ハンドル操作を容易にできるようになる。
さらに、アンダーステアの程度に比例して操舵反力を高めることは、ドライバに車両がアンダーステアであること及びその程度を知らせることができ、ドライバに適切な運転操作を案内することができる。
【0043】
車両の旋回状態がアンダーステア状態であると判定されると、操舵トルク検出手段により検出された操舵トルクの大きさのうちの、上記操舵反力制御手段による操舵反力付与開始時における操舵トルクよりも大きくなった分に対応して車両のエンジン出力を低下させれば、車両のアンダーステアを解消し易くなり、車両のステア特性を向上させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる操舵・制動統合制御装置の全体構成を示す説明図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる操舵・制動統合制御装置による操舵反力制御を説明するグラフである。
【図3】本発明の一実施形態にかかる操舵・制動統合制御装置による旋回用制動制御を説明するグラフである。
【図4】本発明の一実施形態にかかる操舵・制動統合制御装置による操舵・制動統合制御を説明するフローチャートである。
【図5】本発明に適用しうる操舵系の他の構成を示す模式図である。
【図6】本発明に適用しうる操舵系のさらに他の構成を示す模式図である。
【符号の説明】
1 エンジン
2FL,2FR,2RL,2RR 車輪
3FL,3FR,3RL,3RR ブレーキ装置
4 コントロールバルブ
5 ステアリングシャフト
5a ステアリングホイール(ハンドル)
10 ECU(電子制御ユニット)
11 旋回状態判定手段
12 操舵反力制御手段
13 旋回制動力制御手段
14 エンジン出力制御手段
21 トルクセンサ付き電動パワーステアリング
22 電動モータ
31 トルクセンサ
32 車速センサ
33 ハンドル角センサ
34 ヨーレイトセンサ

Claims (2)

  1. 車両の旋回状態を判定する旋回状態判定手段と、
    ドライバの加える操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、
    上記ドライバの操舵操作に対する操舵反力を与える操舵反力制御手段と、
    車両の旋回制動力を制御する旋回制動力制御手段と、を備え、
    上記旋回状態判定手段によって車両の旋回状態がアンダーステア状態であると判定されると、上記操舵反力制御手段が、アンダーステアの強さに対応して操舵反力を加えるとともに、上記旋回制動力制御手段が、上記操舵トルク検出手段により検出された操舵トルクの大きさのうちの、上記操舵反力制御手段による操舵反力付与開始時における操舵トルクよりも大きくなった分に対応して上記旋回制動力を強めて上記アンダーステアを抑制する
    ことを特徴とする、操舵・制動統合制御装置。
  2. 上記車両のエンジン出力を制御するエンジン出力制御手段をそなえ、
    上記エンジン出力制御手段は、上記旋回状態判定手段によって車両の旋回状態がアンダーステア状態であると判定されると、上記操舵トルク検出手段により検出された操舵トルクの大きさのうちの、上記操舵反力制御手段による操舵反力付与開始時における操舵トルクよりも大きくなった分に対応して上記車両のエンジン出力を低下させて上記アンダーステアを抑制する
    ことを特徴とする、請求項1記載の操舵・制動統合制御装置
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