JP4054686B2 - デジタル放送受信装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、デジタル放送受信装置に関し、一般的な据え置き型の受信装置及び車載端末、携帯電話又はPDA(Personal Digital Assistants)等の携帯端末に内蔵される移動型のデジタル放送受信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、全国で視聴されているアナログ地上放送に代わる新しい放送として、地上デジタル放送に関する準備が進められている。地上デジタル放送は、2003年に関東、近畿及び東海の3大都市圏において放送が開始され、2006年には放送エリアが全国に拡大される計画である。これに伴い、現行のアナログ放送は2011年には廃止される予定である。
【0003】
上記地上デジタル放送の技術規格ISDB(Integrated Services Digital Broadcasting)−Tでは、多数の搬送波(キャリア)を使うOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing、直交周波数分割多重)方式が、変調方式として採用されている。OFDM方式は、建物における反射などに起因して複数の伝播経路(マルチパス)が形成されることによるゴースト妨害が抑制できる。また、ISDB−Tでは、キャリア間隔を規定する伝送モードやキャリア毎の変調方式、有効シンボル長毎に設ける時間軸方向のガードインターバルがそれぞれ複数規定されており、極めて多数の信号形式が規格の上では許容されている。実際には多数の信号形式の中から、固定受信や移動受信などのサービス形態に応じて、最適な信号形式が選択される。
【0004】
また、ISDB−Tでは、1つのチャンネル(帯域幅約5.6MHz)を13セグメント(1セグメント=約430kHz)に分割し、セグメント単位で変調方式を変えることができる。これにより、1つのチャンネルで、音声放送及びハイビジョン放送、または、標準固定放送及び移動体放送というように、放送局は任意に信号構成を決めることができる。
【0005】
さらに、ISDB−Tは、時間軸方向のインターリーブを取り入れており、利用する電波も移動体への伝送に適していることから、車載テレビなどの移動受信機やPDA及び携帯電話などの携帯端末においても安定した受信が可能となることが大きな特徴の1つとして挙げられる。今後、このような移動受信を想定したサービスも大いに期待されている。
【0006】
車載テレビ等の移動受信装置においては、ある程度表示容量の大きなディスプレイを搭載可能であり、十分な電力供給源も備わっていることから、小型軽量化に対する要求や低消費電力化に対する要求もそれほど大きくないため、広帯域の受信に対応可能である。図9は、地上デジタル放送サービスに用いられるデータセグメントの構成例を示す図である。図9に示すように、データセグメント801には、1セグメントの音声受信帯域803と、6セグメントの移動体受信帯域804と、6セグメントのSDTV(Standard Definition TV、標準テレビ)受信帯域805とを含む合計13セグメントが割り当てられている。上記のような車載テレビにおいては、上記データセグメントを利用した放送サービスより、十分な情報量を得ることができる。尚、データセグメント801は、周波数軸の伝送スペクトル(OFDMセグメント)802に変換されるが、この際、音声受信803に対応する1セグメント受信の部分806(A階層)は、13セグメントの中央のセグメントに配置される。
【0007】
図10は、地上デジタル放送サービスの他のデータセグメントの構成例を示す図である。図10に示すように、データセグメント901には、1セグメントの携帯受信帯域903及び12セグメントのハイビジョンTV受信帯域904とを含む13セグメントが割り当てられている。図8に示す形態と同様に、データセグメント901は、周波数軸の伝送スペクトル(OFDMセグメント)902に変換されるが、この際、携帯受信帯域903に対応する1セグメント受信帯域の部分905(A階層)は、13セグメントの中央のセグメントに配置されるようになっている。
【0008】
なお、図10に示す構成では、データセグメント901において、携帯受信903以外の12セグメント全てをハイビジョンTV受信904に割り当てているが、この12セグメントをSDTV受信2チャンネル分に分割して割り当てるなど、様々な形態の放送サービスが考えられている。
【0009】
上記のように、地上デジタル放送は、移動受信や携帯受信に適した方式を採用しており、一般的に、電波の伝送経路における様々な電波障害の影響を受け、ノイズ、画面の欠落、同期異常が発生し易いアナログテレビ放送に比べると移動等による環境の変化に影響されずに安定した受信が可能となる。
【0010】
しかしながら、地上デジタル放送であっても、受信環境によっては電波の受信電力が微弱である場合、ノイズの重畳が著しい場合などあり、特に、受信信号の強度が時間とともに変化するようなフェージングの影響が大きい環境下では、良好な映像を再生することができないこともある。
【0011】
このような受信環境の劣化に対処するために、受信装置内で受信状態を検出し、これに応じて放送内容を自動的に切り替える方式などが採用されている。(例えば、特許文献1〜3までに記載のデジタル放送受信装置。)
【0012】
【特許文献1】
特開平9-107303号公報
【特許文献2】
特開2002-176594号公報
【特許文献3】
特開2002-218341号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
デジタル放送の受信の際に特に問題となるのは、デジタル放送受信装置ではアナログ放送のような「ほどほどに映る」、「見にくいがある程度は映る」というような中間的な受信状況が存在せず、実質的には、受信可能状態と受信不可能状態のいずれか一方の状態のみかしか存在しない、すなわち、受信の可否に関する明確な閾値が存在する点である。アナログ放送の場合には、視聴者が受信状況の中間状態を確認しやすいため、映像が乱れた場合には、画面を見ながらアンテナの方向を調整したり受信装置の位置を変えたりすることにより、受信に適した環境をその場で検索することも可能である。
【0014】
しかしながら、デジタル放送においては、視聴者が放送を受信できない場合に、上述のようなデジタル的な受信及び表示特性により、現在の受信環境がどの程度放送受信に適した環境であるのか、或いは、どの程度放送受信に不適な状態にあるのかなどを判断することが難しく、従って、例えば、どの方向に場所を移動すれば受信可能になるかなどに関する判断が難しいという問題があった。
【0015】
本発明の目的は、少なくともデジタル放送を受信できない場合において、現在の受信状況に関するより詳細な情報を得ることができるデジタル放送受信装置を提供することである。
【0016】
なお、本発明は対象を地上デジタル放送に限ったものではなく、一般のデジタル放送全てを対象とするものである。特に移動体・携帯端末向け放送に大きな効果が期待され、例えば、2004年日本でサービス開始予定の2.6GHz衛星デジタル音声放送(モバイル放送)が対象として挙げられる。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は、デジタル放送の受信感度パラメータを検出する手段と、前記受信感度パラメータに基づく受信状況を表示する手段とを有するデジタル放送受信装置であって、少なくともデジタル放送を受信できない場合において、前記受信状況を表示することを特徴とするデジタル放送受信装置を提供するものである。
【0018】
これによって、視聴者は現在の受信環境下における受信状況を把握することが可能となり、環境調整による受信の可否の判断、受信に好適な環境の検索が可能となる。本発明において、前記受信感度パラメータは、受信電力及びC/N比のうち少なくとも1つを含むのが好ましい。
【0019】
また、前記受信感度情報は、受信電力と、C/N比と、該受信電力及びC/N比から算出される総合感度とを含んでいてもよい。この場合、前記総合感度には、前記受信電力及びC/N比のうち感度が低い方の値のみをパラメータとして用いて算出したものを用いることができる。
【0020】
さらに、前記デジタル放送受信装置は、BERを検出する手段を有しており、前記BERを判断基準として、前記受信感度パラメータに基づいた受信状況を表示することもできる。
【0021】
デジタル放送において受信状況を判断するためのパラメータとしては、受信電力とC/N比(Carrier to Noise Rate)が一般に知られている。これらの値は変調方式や符号化率によって受信に要する下限値が異なっている。
【0022】
また、デジタル放送において映像信号を誤りなし(擬似エラーフリー)で伝送するためには、RS(リードソロモン)符号復号出力のBER(Bit Error Rate、誤り率)の値が1x10-11以下である必要がある。このためには、ビタビ復号出力のBERの値が2x10-4であることが必要となる。
【0023】
例えば、ガウス雑音環境下において、QPSK符号化率1/2の場合の所要C/N比は4.9dBであり、16QAM符号化率1/2の場合の所要C/N比は11.5dBである。また、受信電力の所要電界強度に関しては、固定受信の場合で約60dBμV/mが要求される。
【0024】
本発明によれば、それぞれのパラメータの値をモニタすることにより、受信できない要因を推察することが可能となる。
例えば、車で移動中、受信電力は十分であるがC/N比が低い場合は、速度を落とせば受信できる可能性が高く、街中で受信電力が低い場合は、電波遮蔽物のない場所、または遮蔽物があった場合でも反射波や定在波が受信できる場所へ移動するなどの方針を得ることができる。
【0025】
また、本発明において、前記デジタル放送受信装置は、位置情報を検出もしくは外部から入力する手段をさらに有しており、前記位置情報および前記受信感度パラメータに基づいた受信状況を表示することを特徴とする。
【0026】
これにより、まず受信を試みる受信装置が放送サービスエリア内に位置するか否かを判断することが可能となる。サービスエリア外であれば、直接受信不可能である旨の表示を行い、サービスエリア内であれば受信感度パラメータに基づいた受信状況を表示できる。
【0027】
この時、前記デジタル放送受信装置が、位置に対応した受信可能な放送局一覧データを保有していれば、上記受信状況表示を簡易に行うことができる。なお、位置に対応した放送局一覧データは、必ずしも受信装置が固定データとして内部に保有している必要はなく、通信回線を利用して配信先から最新情報を取得することも可能である。
【0028】
また、本発明のデジタル放送受信装置においては、前記受信感度パラメータが放送受信に必要な値を下回ると、受信状況を自動的に表示するようにすることができる。このとき、前記受信状況として、「サービスエリア外です」、「電波が届いていません」、「ノイズの影響で受信できません」等コメントが表示されるようにしてもよい。
【0029】
また、本発明のデジタル放送受信装置は、表示画面とは独立に前記受信状況を表示する表示部を備えていることができる。これにより、映像および受信状況を同時に表示でき、映像を見ながら受信状況を確認することが可能となるだけでなく、メイン画面を表示することなく、簡易に受信状況のみを確認することも可能となる。
【0030】
尚、本発明のデジタル放送受信装置は、例えば、携帯電話端末、車載用端末、据え置き型デジタル放送受像機、携帯情報通信端末(PDA等)などに内蔵して用いるのが好ましい。
また、地上デジタル放送や衛星を利用したモバイル放送も受信可能なデジタル放送受信装置であっても良い。
【0031】
【発明の実施の形態】
本発明に係るデジタル放送受信装置は、とりわけ、デジタル放送を移動端末で受信する視聴者であって、放送を受信可能な場所を探して移動する視聴者に対して、どの方向に移動すれば良いかの判断指針となる情報を提供することができる装置である。固定式のデジタル放送受信装置、特にアンテナを装備する据え置きテレビ装置についても、屋内のある場所に設置して受信が出来なかった場合に、その屋内において受信可能な場所が存在する否か、存在する場合には、その場所に関する情報を提示することができる装置である。
【0032】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態によるデジタル放送受信装置について説明する。尚、以下においては、デジタル放送受信装置の例として地上デジタル放送の受信装置について説明を行うが、他のデジタル放送受信装置、例えば、衛星デジタル放送等の受信装置に対してもこれらの技術が適用可能である。
【0033】
まず、本発明の第1の実施の形態によるデジタル放送受信装置について携帯電話端末に内蔵されている地上デジタル放送受信装置を例にして説明する。図1は、本実施の形態による地上デジタル放送受信装置の構成例を示す機能ブロック図である。図1に示すように、本実施の形態による地上デジタル放送受信装置を備えた携帯端末100は、第1のアンテナ101と、チューナ102と、OFDM復調器103と、デコーダ部104と、主記憶部106と、メモリ107と、制御部109と、第2のアンテナ110と、w−CDMA処理部112と、音声信号処理部115と、映像信号処理部118と、を有している。さらに、地上デジタル放送受信装置100は、二次記憶媒体105と、タイマー108と、マイク116と、スピーカ117と、ディスプレイ119とを備えている。w−CDMA処理部112は、ベースバンド処理部113と、電話音声処理部(AD/DA)114と、を有している。
【0034】
上記の地上デジタル放送受信装置を備えた携帯端末100の動作について説明する。第1のアンテナ101により受信された地上デジタル放送信号は、チューナ102、OFDM復調器103、デコーダ部104を経由して音声信号と映像信号とに復元され、音声信号は音声信号処理部115を経由してスピーカ117により再生され、映像信号は映像信号処理部118へ入力され、ディスプレイ119に表示される。
【0035】
また、第2のアンテナ110から受信された携帯電話通信信号は、RF処理部111と、ベースバンド処理部113と電話音声処理部114とを有するw−CDMA処理部112とを通してスピーカ117により出力される。マイク116により入力された音声は、逆にw−CDMA処理部112、RF処理部111を通して第2のアンテナ110から送信される。
【0036】
上記携帯電話端末100において、携帯電話通信信号を通じてインターネット接続する場合には、携帯電話通信信号に含まれる通信情報は、ベースバンド処理部113からデコーダ部104及び映像信号処理部118を経由しディスプレイ119に表示される。制御部109は、この携帯電話端末100の各構成要素を制御する。上記以外の構成要素に関しては、一般的な地上デジタル放送受信装置と同様である。
【0037】
図2は、図1に示す携帯電話端末100のOFDM復調器103の内部構成例を示す機能ブロック図である。図2に示すように、OFDM復調器103は、直交復調部201と、位相補正部202と、FFT部203と、フレーム同期部204と、検波部205と、周波数・時間デインターリーブ部206と、ビットデインターリーブ部207と、ビタビ復号部208と、バイトデインターリーブ部209と、エネルギー拡散部210と、TS再生部211と、RS復号部212と、を有している。
【0038】
直交復調部201には、図1に示す携帯電話端末100のチューナ102でIF(中間周波数)信号に変換された放送信号がデジタル化されて入力される。直交復調部201に入力された放送信号は、位相補正部202、FFT部203、フレーム同期部204を経て、検波部205に入力する。検波部205では、放送信号のC/N(Carrier to Noise)比に関するパラメータが検出され、検出されたC/N信号がC/N出力部213を介して出力される。
【0039】
一方、検波部205から出力されるTS(Transport Stream)信号は、周波数・時間デインターリーブ部206、ビットデインターリーブ部207、ビタビ復号部208、バイトデインターリーブ部209、エネルギー拡散部210、TS再生部211、RS(Reed-Solomon)復号部212を経て、BER(Bit Error Rate、誤り率)に関するパラメータはBER出力部214を介して図1に示す携帯電話端末の制御部109に出力され、TS信号はTS出力部215を介してデコーダ部104(図1)に出力される。
尚、RS復号をオフにしてBERを出力し、BERの値がある基準値を満たす場合にRS復号をオンにしてTSを出力するように設定することも可能である。
【0040】
また、後述するように受信映像と受信感度とを同時に表示させる場合には、C/N比とRS(Reed-Solomon)復号後のBERを検出し、TSも常にデコーダ部104に送出しておくことも可能である。受信電力に関しては、直交復調部201よりも前段側に配置されたチューナからの出力IFを制御するAGC(Auto Gain Control)の値から判断できる。
尚、図2に示すOFDM復調器103内の各構成要素は、一般的なOFDM復調器に含まれる構成要素と同様であり、それぞれの構成要素に関する説明は省略する。
【0041】
次に、上記のように構成された本実施の形態によるデジタル放送受信装置において、受信したデジタル放送及び受信感度情報を表示するための技術について説明する。図3は、本実施の形態によるデジタル放送受信装置を内蔵した携帯電話端末の表示画面の構成例を示す図である。図3(a)は、携帯電話端末のメニュー画面の表示例である。図3(a)に示す表示画面には、電池残量、通信感度等を表示する第1表示部301と、メニュー選択項目を表示する第2表示部302と、が表示されている。第2表示部302に表示されるメニュー選択項目は、TV、ウェブ、メール、住所録及びスケジュールの項目を含んでいる。
【0042】
以下、表示部302において、TVを選択した場合、すなわち、本実施の形態によるデジタル放送受信装置を利用して地上デジタル放送を受信することを選択した場合について、本携帯電話端末の表示例を説明する。上記したその他のメニュー選択項目については、一般的な携帯電話端末に含まれている機能と同様であるため、本明細書中においては説明を省略する。
【0043】
図3(a)に示すメニュー画面においてTVを選択しTV選局を行うと、図3(b)に示す通信・放送表示画面が表示される。通信・放送表示画面は、第1表示部301と、図3(a)における第2表示部302に対応する放送表示部303及び通信表示部304を含んで構成される。放送表示部303には受信した地上デジタル放送のコンテンツ自体が表示されており、通信表示部304にはコンテンツに付随して送信されるコンテンツ関連情報及びデータ放送などが表示される。コンテンツ関連情報は、例えば、A選手の個人データ、他球場の結果、Hawksホームページなどの関連情報を選択して表示させることができる。
【0044】
通信表示部304において「感度」を選択すると、図3(c)に示す放送・受信感度表示画面が表示される。受信感度表示画面305は、放送の受信感度を棒グラフ状に表示している。本実施の形態による表示例では、例えば、受信感度100が、放送を正常に受信可能な基準値とする。尚、受信電力とC/N比とのうちのいずれを受信感度として選択するかに関して、より低い値を有する方を選択し、低い方の値であっても必要な基準値(この値を100とした)を満たす場合に放送が正常に受信させていると判断するように構成するのが好ましい。
【0045】
本実施の形態による携帯電話端末において、放送の受信感度が所定の値より低いため放送が正常に受信できない場合には、例えば、図3(d)〜図3(f)までに示す受信不能時の表示画面のいずれかが表示される。受信不能時の放送表示部303には、放送コンテンツの代わりに位置情報や受信感度パラメータが表示される。図3(d)では、受信不能時の第1の表示画面として「サービスエリア外です」とのメッセージと、受信感度に関する棒グラフとが表示されている。図3(e)では、受信不能時の第2の表示画面として「ノイズのため受信できません」とのメッセージと、C/Nの棒グラフとが表示されている。C/Nは基準値100に対してそれよりも低い値である約70の値が表示されている。図3(f)では、受信不能時の第3の表示画面として「電波が弱く受信できません」とのメッセージと、受信電力の棒グラフとが表示されている。受信電力は基準値100に対してそれよりも低い値である約70の値が表示されている。このように、「サービスエリア外です」等のメッセージが位置情報や受信感度パラメータを元に表示されるようになっている。
【0046】
本実施の形態によるデジタル放送受信装置は、携帯電話端末に内蔵されるものであるため、視聴者が移動することにより放送の受信感度が逐次変化することになる。したがって、正常に放送を受信している図3(b)又は図3(c)の表示画面と、受信不能時の図3(d)から図3(f)までの表示画面とは、受信状況に応じて自動的に切り替わるようになっているのが好ましい。
【0047】
本実施の形態によるデジタル放送受信装置では、放送表示部303と受信感度表示部305とを別領域に表示させるため、受信環境が悪い場合には、受信感度表示部305により受信感度の変化を見ながらアンテナの向きや受信位置を調整することが可能であるという利点もある。
【0048】
図4は、上記の携帯電話端末において、視聴者がデジタル放送の受信を選択してから、映像表示が行われるまでの動作及び受信感度の変化による表示画面の切り替えの動作の流れを示すフローチャート図である。尚、以下において、携帯電話端末側の動作は、図1に示す制御部109により制御されているものとして説明する。
【0049】
まず、視聴者は、図3(a)に示すメニュー画面においてTVを受信するための選択ボタンであるTVを選択し(ステップ401)、次いで、受信チャンネル、表示形態等を選択する(ステップ402)。携帯電話端末にGPS等による位置情報検出機能が設けられている場合又は受信位置を前もって端末に登録している場合には、選択したチャンネルに関する放送の有無、すなわち、受信位置がサービスエリア内にあるか否かを判定する(ステップ403)。ステップ403において、受信位置がサービスエリア外であればその旨を表示する(ステップ404)。サービスエリア内であれば、携帯電話端末はチューナ102(図1)及びOFDM復調器103(図1)から得られる受信感度情報(後に説明する)を検出する(ステップ405)。携帯電話端末は、さらに、この受信感度情報に基づいて、現在の受信感度が上記で選択したチャンネルの放送を受信するのに必要な所定の基準値を満たしているか否かを判定し(ステップ406)、基準を満たしていれば映像を表示する(ステップ407)。
【0050】
現在の受信感度、例えば受信電力とC/N比とが、ともに所定の基準値を満たさない場合、又は、いずれか一方の値が基準値に達していない場合(ステップ408、ステップ410)には、図3の(d)〜図3(f)に示すように、受信不能時の表示画面例に従って、受信不能である旨のメッセージを表示する(ステップ409、411及び412)とともに、受信感度情報を表示する。視聴者は、受信感度情報を見ながら、放送受信に適したアンテナの方向や受信位置などを検索し、より適した位置を求めることができる。
【0051】
次に、本実施の形態によるデジタル放送受信装置において、受信感度を測定する方法について説明する。受信感度パラメータとして、受信電力と受信信号のC/N比とを用いた例について説明する。図1において、チューナ102は受信電力を検出し、OFDM復調器103(図2に示すC/N比出力部213において)受信信号のC/N比を検出し、それぞれを制御部109に出力するように構成されている。また、OFDM復調器103は、受信信号のBERを図2のBER出力部214から図1の制御部109に出力するように構成されている。
【0052】
図1に示す制御部109は、入力されたC/N比、BERなどの情報を所定の基準と照らし合わせて受信感度情報を算出し、映像信号処理部118を通してディスプレイ119に出力する。ここで、受信感度情報を算出するための基準については、様々な実施態様が考えられる。例えば、受信電力及びC/N比の各パラメータについては、放送に用いられている各変調方式に対応した受信基準値を100%に設定し、一般的な変動幅に応じて値も妥当な範囲で変化するように換算値を求め、これをパラメータとして表示させることもできる。このようにすれば、各パラメータが実質的に2値しか表示できないために、受信状況の改善のための具体的な指針を得ることができない状況を回避することができる。
【0053】
尚、受信電力及びC/N比の各パラメータを総合評価して受信感度情報を算出する場合には、例えば、ビタビ復号後のBER値を検出し、この値が擬似エラーフリーとなる閾値 BER=2×10-4であるときの受信状態を受信感度100%の基準とすることができる。このように、BER値を利用しない場合には、C/N比と受信電力とに、予め導出してある計算式(例えば、C/N比と受信電力との重み付けを行うような計算式)を適用して、受信感度を算出することもできる。あるいは、より簡易な方法としては、C/N比と受信電力とのうち条件の悪い方を選択し、その値を受信感度情報としてもよい。
【0054】
次に、上記実施の形態によるデジタル放送受信装置における表示形態の変形例について図面を参照して説明する。図5(a)〜図5(d)までは、図3に示す形態とは別の受信感度情報の表示形態を示す図である。尚、図5にそれぞれ示す表示例は、携帯電話端末の表示画面のほぼ全面に表示され、例えば、図3(b)の通信・放送表示画面及び図3(c)の放送・受信感度表示画面を表示させていた場合において、ユーザが操作することにより、或いは、受信感度等に基づいて自動的に、表示画面が図5に示す各表示例に切り替えられるようにすることができる。
【0055】
図5(a)に示す表示例1では、C/N比(C/N)、受信電力(Power)及びこれらを総合評価した受信感度(Total)のそれぞれを棒グラフ状に表示している。また、図5(b)に示す表示例2では、上記総合評価した受信感度のみを棒グラフ状に表示している。これらの表示形態によれば、視聴者は現在の受信状態を示すパラメータをある程度連続的に変化する表示に基づいて把握することが可能となり、これらの表示に基づいて、携帯電話端末のアンテナの位置や受信位置などを変更してみることにより、より好ましい受信環境を探索することができる。
【0056】
図5(c)に示す表示例3では、受信電力及びC/N比を二次元的にマッピングして表示している。縦軸に受信電力(power)を、横軸にC/N(比)をとっている。図5(c)中、ポイント502は現在の受信状況を示している。斜線を施した領域は受信可能領域を示している。図5(c)に示す表示に基づいて、視聴者は受信電力とC/N比とに関してより良い受信環境を2次元的な情報に基づいて探索することができる。
【0057】
図5(d)に示す表示例4では、現在までの受信感度を時間(time)軸に沿って表示している。これによれば、同じ受信位置でも受信感度に時間依存性がある場合、あるいは気象条件や様々な環境条件により受信感度が変化する場合などに、受信感度の変化のパターンを知ることが可能となり、より良い受信環境を得る際の指針を得ることができる。
【0058】
以上、本実施形態のデジタル放送受信装置における受信感度情報の表示例を示したが、受信感度情報の表示方法は、これらの他にも、表示端末の種類、使用形態、視聴者の好み等で様々なパターンが考えられる。
【0059】
図6(A)及び図6(B)に、他の表示例を示す。図6(A)及び図6(B)に示す表示例は、同時に表示画面に表示されても良いし、切り替えスイッチなどにより切り替え表示されるように構成されていても良い。図6(A)は、表示画面上に地図1001を表示させた状態を示している。この地図1001上に、携帯電話端末が移動してきた軌跡1003が表示されており、例えば所定の時間毎にP1〜P5までの位置に携帯電話端末が存在していたことが表示されている。図10(B)は、P1からP5までのそれぞれの位置における受信電力とC/N比とが数値として表示されている。尚、位置情報と受信電力及びC/N比とは、メモリに格納しておくことができる。一定時間毎に位置情報と受信情報とを対応付けて取得しメモリに記憶させておく。図6(A)及び図6(B)のような表示を参照することにより、視聴者は、現在位置P5に対していずれの方向に移動すれば受信状態が良くなるかを推定するための情報を得ることができる。
【0060】
以上に説明したように、本実施の形態によるデジタル放送受信装置によれば、受信環境が悪化した場合に、視聴者は、画面に表示される受信感度情報に基づいて、放送受信に適した状態を検索することが可能である。また、受信していた放送が突然表示されなくなった場合に、その原因が受信状況に起因するものであることを視聴者に知らせることができ、視聴者にある程度の安心感を与えることもできる。
【0061】
次に、本発明の第2の実施の形態によるデジタル放送受信装置について図面を参照しつつ説明する。本実施の形態においては、主として屋内で使用される据え置き型の地上デジタル放送受信装置を対象とする。尚、本実施の形態によるデジタル放送受信装置は、表示画面の形態において特徴を有するものであるが、その他の構成及び動作に関しては、第1の実施の形態によるデジタル放送受信装置とほぼ同様である。
【0062】
図7は、本実施の形態によるデジタル放送受信装置の表示画面の構成例を示す図である。本実施の形態によるデジタル放送受信装置は、映像表示部601と、アンテナ602と、スピーカ603と、を有しており、主要な内部構成に関しては、図1及び図2に示す構成とほぼ同様である。図7において、図7(a)に示す放送受信可能時には受信した映像が画面に表示されるが、図7(b)に示す放送受信不能時には、受信感度情報が画面に表示される。図7(b)に示す受信感度情報は、図5(a)の表示例1にならった表示例を示すものであるが、他の図5(b)における表示例2〜図5(d)における表示例4に沿った表示形態としてもよく、あるいはそれ以外の表示形態をとすることも可能である。また、図7(a)に示す画面と図7(b)に示す画面との切り替えは、受信感度により自動的に切り替わるようにしてもよく、あるいは視聴者の操作により切り替わるようにしてもよい。
【0063】
本実施の形態によるデジタル放送受信装置を用いると、屋内においていずれの場所に受信装置を配置するかを決める場合に、受信感度情報に基づいて受信に適した設置位置を探索することが可能である。例えば、受信電力は十分であるがC/N比が低いことがわかった場合には、ノイズを発生させる原因となりそうな家電から離れた場所や周りに妨害物のない見通しのいい場所に設置位置を移動するようにし、受信電力が低いことがわかった場合には、窓際や、反射波、定在波が受信できる場所に設置位置を移動させるようにすることができる。また、受信していた放送が突然表示されなくなった場合に、その原因が受信状況に起因するものであることを視聴者に知らせることができ、視聴者にある程度の安心感を与えることもできる。
【0064】
次に、本発明の第3の実施の形態によるデジタル放送受信装置について図面を参照して説明する。本実施の形態によるデジタル放送受信装置は、携帯情報通信端末(PDAなど)に内蔵される地上デジタル放送受信装置である。尚、本実施形態のデジタル放送受信装置は、表示画面の形態において特徴を有するものであるが、その他の構成及び動作は、第1実施の形態によるデジタル放送受信装置とほぼ同様である。
【0065】
図8は、本実施の形態によるデジタル放送受信装置の表示画面の構成例を示す図である。本実施の形態によるデジタル放送受信装置は、放送表示部701と、通信表示部702と、受信感度表示バー703と、操作部704と、を有しており、内部構成は、図1及び図2に示す装置と同様である。
【0066】
尚、本実施の形態においても、上記の第1の実施形態と同様、受信環境が悪化した場合に、視聴者は、画面に表示される受信感度情報に基づいて、放送受信に適した状態を検索することが可能である。
【0067】
【表1】
【0068】
さらに、例えば、操作部704を操作することにより、表1に示す放送局一覧データを表示させることができるように構成されていても良い。表1に示すように、放送局一覧データは、放送局毎にサービスエリアを範囲情報として表示させることができる。これを、現在位置情報と比較することにより、どの放送局の放送を現在受信可能か、どの位置ではどの放送局の放送を受信可能であるかなどの情報を得ることができる。他の実施の形態においても、同様の表示をさせることが可能である。尚、表1では、放送局のサービスエリアの範囲情報が記載の便宜上矩形になっているが、一般的には円形により画定された範囲内になることが多い。
【0069】
以上、説明したように、本発明の各実施の形態によるデジタル放送受信装置によれば、視聴者は、現在の受信環境下における受信感度情報を把握することが可能となり、受信環境が悪い場合に、受信可能となる基準値からどの程度外れた状況にあるのか、さらには何が要因で受信ができないのかを知ることが可能となる。
【0070】
以上、本発明のデジタル放送受信装置の各実施の形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、様々な変更を加えることが可能である。
【0071】
【発明の効果】
本発明のデジタル放送受信装置によれば、視聴者は、現在の受信環境下における受信感度情報を把握することが可能となり、受信環境が悪い場合に、受信可能となる基準値からどの程度外れた状況にあるのか、さらには何が要因で受信ができないのかを知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるデジタル放送受信装置を内蔵した携帯電話端末の構成を示す機能ブロック図である。
【図2】図1に示す携帯電話端末のOFDM復調器の内部構成を示す機能ブロック図である。
【図3】図1に示す携帯電話端末の表示画面の構成例を示す図である。
【図4】図1に示す携帯電話端末において、視聴者がデジタル放送の受信を選択してから、映像表示が行われるまでの動作、及び受信感度の変化による表示画面の切り替えの動作の流れを示すフローチャート図である。
【図5】図1に示す携帯電話端末の表示画面において、受信感度情報の他の表示形態(変形例)を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態によるデジタル放送受信装置における受信状況表示画面の例であり、図6(A)は視聴者が移動してきた軌跡を地図上に表示させた表示画面の例を示す図であり、図6(B)は、複数の地点における受信情報の表示例である。
【図7】本発明の第2の実施の形態によるデジタル放送受信装置を内蔵した据え置き型受信装置の表示画面の構成例を示す図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態によるデジタル放送受信装置を内蔵した携帯情報通信端末の表示画面の構成例を示す図である。
【図9】地上デジタル放送サービスの一形態を示す構成図である。
【図10】地上デジタル放送サービスの他の形態を示す構成図である。
【符号の説明】
101…アンテナ、102…チューナ、103…OFDM復調器、104…デコーダ部、105…二次記憶媒体、106…主記憶部、107…メモリ、108…タイマー、109…制御部、110…アンテナ、111…RF処理部、112…w-CDMA処理部、113…ベースバンド処理部、114…電話音声処理部、115…音声信号処理部、116…マイク、117…スピーカ、118…映像信号処理部、119…ディスプレイ、201…直交復調部、202…位相補正部、203…FFT部、204…フレーム同期部、205…検波部、206…周波数・時間デインターリーブ部、207…ビットデインターリーブ部、208…ビタビ復号部、209…バイトデインターリーブ部、210…エネルギー拡散部、211…再生部、212…復号部、213…C/N比出力部、214…BER出力部、215…TS出力部、301…電池残量・通信感度等表示部、302…メニュー選択項目表示部、303…放送表示部、304…通信表示部、305…受信感度表示部、501…表示画面、502…視聴者現在地ポイント、601…映像表示部、602…アンテナ、603…スピーカ、701…放送表示部、702…通信表示部、703…受信感度表示バー、704…操作部。
Claims (15)
- デジタル放送の受信感度パラメータを検出する受信感度パラメータ検出手段と、
前記受信感度パラメータ検出手段により検出された前記受信感度パラメータに基づく受信状況を表示する受信状況表示手段と、
位置情報を取得する位置情報取得手段と、を有し、
前記受信状況表示手段は、前記受信状況のパラメータをデジタル放送が受信可能となる受信感度パラメータの基準値と比較可能な形態で表示することを特徴とするデジタル放送受信装置。 - 前記受信状況表示手段は、時間軸を用いて前記受信状況のパラメータを変化するように表示することを特徴とする請求項1に記載のデジタル放送受信装置。
- 前記受信状況表示手段は、位置情報と対応付けて前記受信状況のパラメータを表示することを特徴とする請求項1に記載のデジタル放送受信装置。
- 前記受信状況表示手段は、受信映像表示と前記受信状況のパラメータ表示とを切り替えて表示することを特徴とする請求項1に記載のデジタル放送受信装置。
- 前記受信状況表示手段は、デジタル放送が受信できない要因を表示することを特徴とする請求項1に記載のデジタル放送受信装置。
- 前記位置情報取得手段により得られた位置情報から放送サービスの有無を表示することを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項に記載のデジタル放送受信装置。
- 前記受信感度パラメータは、前記デジタル放送の受信電力又はC/N比のうち少なくともいずれか一方を含むことを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項に記載のデジタル放送受信装置。
- さらに、位置と受信可能な放送局との対応関係を示す放送局一覧データを保持していることを特徴とする請求項1から7までのいずれか1項に記載のデジタル放送受信装置。
- さらに、複数の時間において取得した前記受信状況を記憶する第1記憶部を有することを特徴とする請求項1から8までのいずれか1項に記載のデジタル放送受信装置。
- さらに、複数の地点において取得した前記受信状況を記憶する第2記憶部を有することを特徴とする請求項1から9までのいずれか1項に記載のデジタル放送受信装置。
- 請求項1から10までのいずれか1項に記載のデジタル放送受信装置を含んでいることを特徴とする携帯電話端末。
- 請求項1から10までのいずれか1項に記載のデジタル放送受信装置を含んでいることを特徴とする据え置き型デジタル放送受像機。
- 請求項1から10までのいずれか1項に記載のデジタル放送受信装置を含んでいることを特徴とする携帯通信端末。
- 請求項1から10までのいずれか1項に記載のデジタル放送受信装置を含んでおり、地上デジタル放送を受信可能であることを特徴とする車載用デジタル放送受信機。
- 請求項1から5までのいずれか1項に記載の前記位置情報取得手段とともに、或いは、前記位置情報取得手段に代えて、位置情報を入力する位置情報入力手段を有していることを特徴とするデジタル放送受信装置。
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