JP4052692B2 - 鋼製輸送用容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、波形又はリブ成形した鋼製方形薄板材からなる4枚のパネルを四角筒状に組み合わせて四側面パネルを構成した組立式鋼製輸送用容器に関し、詳しくは各パネル上下端に上下各カマチ材を非溶接又はリベット打ちなしで固着する側面パネル構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鋼製輸送用容器の側面パネル構造の一形態として、波形又は所定間隔にリブ成形した比較的薄い鋼製方形薄板材の周囲に比較的厚めの成形枠組を溶接又はリベット打ちにて固着したものが知られており、その一例を図6及び図7を参照して次に示す。図6において(1)は上カマチ材、(2)は下カマチ材、(3)(3)は一対の支柱、(4)はパネルで、又、図7(b)において( 5) はベース板である。
【0003】
上記上カマチ材(1)は長尺な厚めの方形鋼板を断面コ字状樋形に折曲成形してなり、下カマチ材(2)は長尺な厚めの方形鋼板を断面L字状樋形に折曲成形したものである。支柱(3)(3)は長尺な厚めの方形鋼板を断面コ字状に成形してなる樋部(3a)の片端縁に接合代( 3b) を一体に突設したものである。パネル( 4) は波形又は所定間隔にリブ成形した鋼製薄板材を方形に成形したものである。
【0004】
ベース板( 5) は、図7(b)に示すように、パネル( 4) と同様、波形又はリブ成形した鋼製方形薄板材からなり、平行配置された複数の長尺な脚材( 6) …上に載せて溶接等で固着したもので、4本の側面パネル固定用グリップアングル(7)を方形枠状に組み合わせて脚材( 6) …上に固着する。上記グリップアングル( 7) は、図7(c)に示すように、長尺な方形鋼板を断面コ字状樋形に折曲成形し、その一端縁部を内方に折曲して引っ掛け部(7a)を形成したものである。
【0005】
上記構成によれば、まず図6( a) に示すように、上下各カマチ材(1)(2)及び一対の支柱(3)(3)を上下左右に方形状に配置する。そして、図6(b)に示すように、上下各カマチ材(1)(2)の各左右端部を一対の支柱( 3)(3) の接合代(3b)(3b)上に載せて溶接又はリベット打ちして固着し、方形枠組を形成する。次に、図6( c) に示すように、パネル( 4) の上端を上カマチ材( 1) のコ字状樋形内に嵌合させ、且つ、下端を下カマチ材( 2) のL字状接合代に載せる。そこで、図6(d)に示すように、それぞれ結合箇所(P)…をスポット溶接又はリベット打ちして固着すると、一枚の方形枠組された側面パネル( 8) が形成される。
【0006】
そこで、図7(a)(d)(e)に示すように、まず2枚の側面パネル(8)…の各下端をベース板( 5) のグリップアングル( 7) の樋形内に上方から嵌合させて並行に植立させる。更に、図7(a)に示すように、植立された側面パネル( 8) …の支柱( 3) …に他の2枚の側面パネル( 8) …の各支柱( 3) …を嵌め合せ、グリップアングル(7)に上方から嵌合させて四角筒状に組み合わせると、四側面パネルが形成される。その後、図示しないが、四側面パネルの上方開口に蓋板を被せてベース板( 5) を底板とする組立式鋼製輸送用容器を形成する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
解決しようとする課題は、上下各カマチ材及び支柱にパネルを溶接又はリベットで固着しているため、溶接やリベット打ち工程に時間が掛かること、自動化する場合、溶接やリベット打ち設備が大型で複雑になること、塗装された薄板材は絶縁体のためスポット溶接不可になること、及び多数のスポット溶接点強度の信頼性確保のために相当の技術や管理が必要な点である。
【0008】
本発明の目的は、波形又はリブ成形した鋼製方形薄板材からなる側面パネルと上下カマチ材との固着箇所に溶接やリベット打ちを出来るだけ排除した鋼製輸送用容器を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、波形又はリブ成形した鋼製方形薄板材からなる4枚のパネルの各上下端に上下各カマチ材を固着した側面パネルを四角筒状に組み合わせて四側面パネルを構成した組立式鋼製輸送用容器において、板材を樋形状に成形して上記上下各カマチ材を形成し、上記上カマチ材及び下カマチ材の内方に、上記パネルの上端部及び下端部をそれぞれ押し込んで嵌合させると共に、その嵌合に伴って、上記上カマチ材及び下カマチ材のそれぞれの一端縁部を内方に折曲成形して形成された各引っ掛け部が、上記パネルの上端縁部及び下端縁部をそれぞれ折曲成形して形成された各段差部に引っ掛かることにより、上記パネルの上端部及び下端部に上記上カマチ材及び下カマチ材がそれぞれ固着されてなる側面パネルが形成されていることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明に係る鋼製輸送用容器の実施の形態を図1〜図5を参照して以下に説明する。まず図1において(10)はパネル、(11)は上カマチ材、(12) は下カマチ材である。
【0011】
上記パネル(10) は、図1(a) に示すように、波形成形した鋼製方形薄板材からなり、その上下端縁部を折曲してヘミング加工し、段差部(被係合部)(10a)(10b)を形成する。上記段差部(10a)(10b)はパネル上下端縁部を一つ折りしたものであるが、図1(b)に示すパネル( 13) のように、その上下端縁部を二つ折りしてヘミング加工して段差部(13a)(13b)を形成しても良い。
【0012】
上カマチ材(11) は、図1(b) に示すように、長尺な鋼板を断面コ字状樋形に折曲成形し、且つ、一端縁部を内方に折曲成形して引っ掛け部(係合部)(11a) を形成したものである。下カマチ材(12)は、図1( b) に示すように、上カマチ材(11) と同様、長尺な鋼板を断面コ字状樋形に折曲成形し、且つ、一端縁部を内方に折曲成形して引っ掛け部(係合部)(12a) を形成したものである。
【0013】
上記構成に基づき本発明の動作を次に説明する。まず図1( c) に示すように、パネル(10) の上端部を上カマチ材(11)に押し込むと、上カマチ材( 11) の引っ掛け部( 11a) が押し広げられ、パネル(10) が上カマチ材( 11) の樋形内に嵌合する。そして、パネル( 10) が樋形内の所定位置に収まると、図1( d) に示すように、段差部( 10a) が引っ掛け部( 11a) に引っ掛かってパネル( 10) の上端部に上カマチ材( 11) が固着される。それによりパネル( 10) に上カマチ材( 11)を固着する際、溶接及びリベット打ちは不要となる。
【0014】
同様に、パネル(10) の下端部を下カマチ材(12)に嵌合させると共に、図1( d) に示すように、段差部( 10a) を引っ掛け部( 12a) に引っ掛け、パネル( 10) に下カマチ材( 12)を固着する。それにより、パネル( 10) に下カマチ材( 12)を固着する際、溶接及びリベット打ちは不要となる。
【0015】
次に、図1( e) に示すように、パネル(10) の左右両端及び上下各カマチ材( 11) (12) に支柱( 3) …を溶接又はリベット打ちで固着すると、方形枠組された側面パネル( 14) が形成される。この時、図2( a)(b) に示す波形パネル( 15) のように、左右両端に支柱( 15a) …を波形と一体成形すれば、支柱(15a)の固着においても溶接やリベット打ちは不要となる。
【0016】
又、図2( c) に示すように、所定間隔でリブ成形した鋼製方形薄板材からなるパネル(16) の上下各端縁部を折曲してヘミング加工して段差部( 16a) (16b)を設けても良い。又は、図2( d) に示すように、所定間隔でリブ成形した鋼製方形薄板材からなるパネル(17) の上下各端縁部(下端縁部のみ図示)の引っ掛け部分を部分的に折曲してヘミング加工して段差部( 17b) を設けても良い。
【0017】
そこで、枠組された側面パネルをボルトや嵌め込み式等によりベース板( 5) に固定すると、四側面パネルを形成して筐体を形成する。この時、上下各カマチ材( 11)(12) とパネル( 10) の接合強度は輸送用容器の強度を保持する上で重要な役割を持っている。例えばパネル(10) によってベース板( 5) を吊り上げる強度、筐体内で内圧を受けた時にパネル(10)が下カマチ材(12)から外れない強度、段積みされて揺動した時にパネル(10)が横ずれして外れない強度が必要である。そのため、上下各カマチ材(11)( 12) とパネル(10) は連続してそれぞれ固着されることが望ましく、本発明においても嵌合固着箇所は連続的に設けられて固着強度を確保している。
【0018】
尚、嵌め込み式により側面パネルを固定する場合において、図3( a) に示すように、パネル(10) に下カマチ材(12) を嵌合結合して従来のグリップアングル(7) に取り付ける際、下カマチ材(12) にグリップアングル(7) との引っ掛かり部分がないため、直接、取り付けることがことが出来ない。
【0019】
そのため、図3( b) に示すように、引っ掛け部( 18a) を有する断面L字状アングル材( 18b) と断面L字状アングル材( 18c) とを接合面で溶接等により組み合わせ、又はアルミや樹脂等の押出し成形により両者一体成形して下カマチ材(18)を形成し、グリップアングル(7) との引っ掛かり部分( 18d) を下面に設ける。
【0020】
そこで、図3( b) に示すように、パネル(10) に下カマチ材( 18) を嵌合固着した後、図3( c) (d)に示すように、下カマチ材(18) をグリップアングル( 7) に上方から嵌め込んで内部に収めると、引っ掛かり部分(18d) が引っ掛け部( 7a) に引っ掛かってグリップアングル( 7) に取り付けられる。
【0021】
又は、図3(e)に示すように、下カマチ材(18)に替えて引っ掛け部(19a)を有する断面L字状アングル材( 19b) と断面L字状アングル材( 19c) とを一体成形して下カマチ材(19)を形成しても良い。
【0022】
又は、図3(f)に示すように、グリップアングル(7’)を断面コ字状樋形の一端縁部を下面に平行に折曲して引っ掛け部(7a’)を形成した形状にすれば、図3(g)(h)に示すように、図3(a)の(12)の下カマチ材のまま嵌合させることが出来る。
【0023】
尚、図4(b)に示すように、パネル(10)と上カマチ材(11)との間の接触部(C)において十分な摩擦抵抗が確保出来ない場合、図4(a)の図示矢印に示すように、パネル(10)が左右に横ずれする。そこで、接触部(C)の摩擦抵抗を大きくするため、例えば図4(c)(d)に示すように、上カマチ材(11)のパネル(10)との接触面となる上面内側に摩擦抵抗部材(20)、例えば接着剤、粘着テープ、厚紙テープ、ウレタンフォームテープ、ホットメルト剤等を全長又は断続的に被着する。
【0024】
又は、図4(e)(f)に示すように、上カマチ材(11)の上面内側に摩擦抵抗部材(20)として多数の突起(21)を下方に向けて突設する。又は、図4(g)(h)に示すように、厚紙やビニールシート等のシート材(22)を間に挟んでパネル(10)を上カマチ材(11)に嵌め込む。
【0025】
又は、図5(a)に示すように、上カマチ材(11)にパネル(10)を嵌め込んだ時、図5(b)に示すように、パネル(10)の波高が上カマチ材(11)の溝幅に対して小さくて横方向に隙間(S)が生じると、図5(c)に示すように、パネル(10)が横ずれする。そのため、図5(d)に示すように、隙間(S)が生じないようにしてパネル(10)の横ずれを防止する。更に、図5(e)に示すように、パネル(10)の中間位置(M)でスポット溶接又はリベット打ちして横ずれを防止する。
【0026】
【発明の効果】
本発明によれば、波形又はリブ成形した鋼製方形薄板材からなる4枚のパネルの各上下端に上下各カマチ材を固着した側面パネルを四角筒状に組み合わせて四側面パネルを構成した組立式鋼製輸送用容器において、板材を樋形状に成形して上記上下各カマチ材を形成し、上記上カマチ材及び下カマチ材の内方に、上記パネルの上端部及び下端部をそれぞれ押し込んで嵌合させると共に、その嵌合に伴って、上記上カマチ材及び下カマチ材のそれぞれの一端縁部を内方に折曲成形して形成された各引っ掛け部が、上記パネルの上端縁部及び下端縁部をそれぞれ折曲成形して形成された各段差部に引っ掛かることにより、上記パネルの上端部及び下端部に上記上カマチ材及び下カマチ材がそれぞれ固着されてなる側面パネルが形成されているから、溶接やリベット打ち箇所が可及的に削減されて工程時間が短縮され、且つ、設備がコンパクトになる。又, 塗装された薄板材も固着可能となり、更に接合強度の信頼性確保が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明に係る鋼製輸送用容器の実施の形態を示すパネルの斜視図。
(b)は本発明に係るパネルと上下各カマチ材を示す要部斜視図。
(c)は本発明に係る上カマチ材とパネルの嵌合作業を示す部分側断面図。
(d)は本発明に係る上下各カマチ材とパネルの嵌合状態を示す側断面図。
(e)は本発明に係る枠組された側面パネルの斜視図。
【図2】(a)は本発明に係るパネルの他の一例を示す側面図。
(b)は図2( a) のパネルの斜視図。
(c)は本発明に係るリブ成形されたパネルの一例を示す部分斜視図。
(d)は本発明に係るリブ成形されたパネルの他の一例を示す部分斜視図。
【図3】(a)は本発明に係るパネルと下カマチ材の一例を示す側断面図。
(b)は本発明に係るパネルと下カマチ材の他の一例を示す側断面図。
(c)は図3( b) の下カマチ材とグリップアングルとの嵌合作業を示す側断面図。
(d)は図3( b) の下カマチ材とグリップアングルとの嵌合状態を示す側断面図。
(e)は本発明に係る下カマチ材の他の一例を示す側断面図。
(f)はグリップアングルの他の一例を示す側断面図。
(g)は図3( a) の下カマチ材と図3(f)のグリップアングルとの嵌合作業を示す側断面図。
(h)は図3( a) の下カマチ材と図3(f)のグリップアングルとの嵌合作業を示す側断面図。
【図4】(a)は本発明に係るパネルの横ずれを示す斜視図。
(b)は本発明に係るパネルと上カマチ材の接触部を示す側面図。
(c)は図4 (b)の接触部の摩擦抵抗部材の一例を示す部分斜視図。
(d)は図4 (c)の接触部の摩擦抵抗部材の側面図。
(e)(f)は図4 (b)の接触部の摩擦抵抗部材の他の一例を示す部分斜視図と側面図。
(g)(h)は図4 (b)の接触部の摩擦抵抗部材の他の一例を示す部分斜視図と側面図。
【図5】(a)は上カマチ材に嵌合されたパネルを示す部分斜視図。
(b)は上カマチ材とパネルとの横方向の隙間を示す平面図。
(c)は図5(b)の隙間によって生じたパネルの横ずれを示す平面図。
(d)は図5(b)の隙間を排除して横ずれを防止したパネルを示す平面図。(e)はパネル横ずれを防止するためにスポット溶接又はリベット打ちしたパネルを示す斜視図。
【図6】(a)は従来の上下各カマチ材と支柱を示す斜視図。
(b)は従来の上カマチ材と支柱との接合部分を示す部分斜視図。
(c)は従来の方形枠組にパネルを嵌合する作業を示す斜視図。
(d)は従来の枠組された側面パネルを示す斜視図。
(e)はカマチ材と支柱との溶接固着箇所を示す部分斜視図。
【図7】(a)は従来の鋼製輸送用容器の組立作業を示す斜視図。
(b)はベース板の一例を示す斜視図。
(c)はグリップアングルの一例を示す部分斜視図。
(d) は従来の下カマチ材をグリップアングルに取り付ける作業を示す側断面図。
(e)は従来の下カマチ材とグリップアングルとの取り付け状態を示す側断面図。
【符号の説明】
10 パネル
10a 被係合部
10b 被係合部
11 上カマチ材
11a 係合部
12 下カマチ材
12a 係合部
Claims (3)
- 波形又はリブ成形した鋼製方形薄板材からなる4枚のパネルの各上下端に上下各カマチ材を固着した側面パネルを四角筒状に組み合わせて四側面パネルを構成した組立式鋼製輸送用容器において、
板材を樋形状に成形して上記上下各カマチ材を形成し、上記上カマチ材及び下カマチ材の内方に、上記パネルの上端部及び下端部をそれぞれ押し込んで嵌合させると共に、その嵌合に伴って、上記上カマチ材及び下カマチ材のそれぞれの一端縁部を内方に折曲成形して形成された各引っ掛け部が、上記パネルの上端縁部及び下端縁部をそれぞれ折曲成形して形成された各段差部に引っ掛かることにより、上記パネルの上端部及び下端部に上記上カマチ材及び下カマチ材がそれぞれ固着されてなる側面パネルが形成されていることを特徴とする鋼製輸送用容器。 - 上カマチ材のパネルとの接触面となる上面内側に摩擦抵抗部材を付設したことを特徴とする請求項1に記載の鋼製輸送用容器。
- 波形又はリブ成形した鋼製方形薄板材からなる4枚のパネルの各左右両端に支柱を一体成形したことを特徴とする請求項1または2に記載の鋼製輸送用容器。
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JP09764797A JP4052692B2 (ja) | 1997-04-15 | 1997-04-15 | 鋼製輸送用容器 |
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