JP4052677B2 - 改質1,3−プロパンジオールベースポリエステル - Google Patents

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Description

発明の背景
本発明は、空気中で加熱された時にアクロレインを形成しにくい、ポリトリメチレンテレフタレートのような改質1,3−プロパンジオールベースポリエステル、およびそれらの製造法に関する。
ポリトリメチレンテレフタレートは、カーペットおよび織物産業での繊維用途で有用なポリエステルである。高分子量ポリトリメチレンテレフタレートの製造は、一般に、1,3−プロパンジオールとテレフタル酸(またはそのアルキルエステル)とを溶融縮合重合して低分子量重合体とし、続いて固相重合によって高分子量ポリエステルを生成することからなる。1,3−プロパンジオールは、アクロレインまたはエチレンオキシドのいずれからも誘導できるが、各々の場合、生成物である1,3−プロパンジオールは、一般に、カルボニル含有副産物を、50ppmから100ppm以上までの量で含有する。
本発明者は、重合工程の間に、このような副産物カルボニルの内の特定のものがアクロレインに転化され得、そして最終産物中のそれらの存在は、重合体の色に悪影響を及ぼす可能性があることを知見した。さらに、ポリトリメチレンテレフタレートが、固相重合の直前または完成重合体の乾燥時のように、約100℃より高い温度で空気中で加熱される場合、アクロレインがゆっくりと形成される。製造中および空気中で加熱する時に、アクロレインを生成する傾向が減少したポリトリメチレンテレフタレートと他の1,3−プロパンジオールベースポリエステルを製造するのが望ましい。
JP−51−142097によると、ヒンダードフェノールを導入することによって安定化ポリエステルを製造し得る。しかし、ポリエステルが黄化する傾向を減じるための問題が解決されていない。
したがって、改質1,3−プロパンジオールベースポリエステルの製造方法を提供するのが本発明の目的である。特定の態様では、空気中で加熱された時にアクロレインを生成する傾向が減少し、且つ低い黄化指数を有するポリトリメチレンテレフタレートの製造方法を提供することが本発明の目的である。
発明の要旨
本発明によって、改質1,3−プロパンジオールベースポリエステル組成物は、(a)(i)1,3−プロパンジオール、(ii)芳香族二酸またはそのアルキルエステル、(iii)式:
Figure 0004052677
(式中、各Rは、C1-30アルキルから独立に選択され、そして少なくとも1つのR基は、フェノール性水酸基に対してオルト位にあり;xは、1から4までの整数であり;Aは、C5-50ヒドロカルビルまたはヘテロカルビル基であり;そしてnは、1から4までの整数である)
で表されるヒンダードフェノール、及び任意に(iv)三価リン基含有芳香族有機ホスファイト(ArO)wP(式中、Arは、芳香族基であり、そしてwは、1から3までの整数である)を含有する重合反応混合物を調製すること;及び
(b)ヘキサフルオロイソプロパノール中で測定して少なくとも約0.8の固有粘度を示すポリエステル組成物を生成するのに十分な時間、副産物である水を除去しながら前記反応混合物を約180から約300℃までの範囲内の温度に維持することを特徴とする工程で製造される。
発明の詳細な説明
ここで使用される場合、「カルボニル」は、C=O化学基を含むか否かにかかわらず、ASTM E 411−70にしたがって、2,4−ニトロフェニルヒドラゾン誘導体に転化され、そして熱量計で測定されるような化合物を示す。このようなカルボニルは、アセタールおよび遊離カルボニル(例えば、アルデヒドおよびケトン)から誘導され、そしてC=Oに基づいてppmでここに示される。
ここで使用される場合、「1,3−プロパンジオールベースポリエステル」は、少なくとも1つのジオールを少なくとも1つの(好ましくは芳香族の)二酸またはそのアルキルエステルと反応させることによって製造されるポリエステルであって、前記ジオールの少なくとも50モルパーセントが1,3−プロパンジオールであるポリエステルを意味し、そして「ポリトリメチレンテレフタレート」(「PTT」)は、芳香族二酸の少なくとも50モルパーセントがテレフタル酸(またはそのアルキルエステル)であるような前記ポリエステルを意味する。他のジオールは、例えば、エチレングリコール、ビス(3−ヒドロキシプロピル)エーテルおよび1,4−ブタンジオールを包含しうる。他の二酸は、例えばイソフタル酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸を包含しうる。ポリトリメチレンテレフタレートの縮合重合により、通常、約4モルパーセントにも達するビス(3−ヒドロキシプロピル)エーテルが生成し、これは、実質的にコモノマーになってポリエステル鎖に組込まれる。
ヒンダードフェノールの好ましいクラスは、式:
Figure 0004052677
(式中、各Rは、独立に、メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、t−アミル、2−フェニル−2−プロピルなどを含めたC1-12アルキル部分であり;xは、1または2であり;R’は、−(CH2)−またはアルキル置換メチレンであり;yは、1から約20までの整数であり;Eは、酸素または窒素であり;Gは、直接結合、水素または一価、二価、三価または四価の直鎖または分岐鎖C1-30ヒドロカルビルまたはヘテロカルビル、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ヘキシル、イソデシル等のようなC1-10アルキルであり;そしてnは、Gの価数に対応する整数である)
で表されるエステルまたは酸である。RおよびR’基は、構造
Figure 0004052677
で示されるとおり、連結できること、およびアルコール基(OY)は、低分子量一官能性アルコールに限定されるのでなくて、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシルなどのような高級アルコール、および1,6−ヘキサンジオール、ペンタエリトリトールのようなジ−、トリ−およびテトラオールを包含できる。
Gの例としては、R、−(CH2m−、−[(CH2 mO]z(CH2m−、
Figure 0004052677
(式中、R’’’は、C1-20の直鎖または分岐鎖ヒドロカルビルであり;各mは、独立に、2から約12までの整数であり;rは、0から5までの整数であり;およびzは、1から約10までの整数である)が挙げられる。このようなヒンダードフェノールの特定の例としては、それぞれ、Irganox1076、Irganox1010、Irganox259、Irganox245およびIrganox3114(「Irganox」は、商標である)として市販で入手可能な、オクタデシル3−(3,5−ジ−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス(メチレン(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート))メタン、1,6−ヘキサメチレン−ビス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、トリエチレングリコールビス(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート)および1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,4−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオンが挙げられる。1,2−ビス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル)ヒドラジン(Irganox1024)およびN,N’−ヘキサメチレンビス−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド)(Irganox1098)のような関連のヒンダードフェノール性アミドおよび窒素含有エステルは、本発明の末端キャップ(end-capped)ポリエステルを形成するのに使用できるが、このような化合物は、重合体に強い色を与える傾向にあるので好まれない。
ヒンダードフェノールの量は、一般に、重合反応混合物中に存在する芳香族二酸モノマー(またはエステル)に対するヒンダードフェノールのモル比が、二酸のモル当たり約0.0005ミリモルから約5ミリモル/モルまでであり、好ましくは約0.005から約0.5ミリモル/モルまでであるようなものである。
ある種のヒンダードフェノールが、ポリトリメチレンテレフタレートの色を増大させるか、または重合体の分子量を減少させる場合があるが、ヒンダードフェノールの好ましい基(E=酸素)は、色をほとんど、またはまったく増大させない。重合体の色を減少させる傾向にある有機ホスファイトと組合せて使用される場合、ヒンダードフェノールの色における影響は、しばしば最小限である。
ポリエステルおよびコポリエステルを含めた本発明の改質1,3−プロパンジオールベースポリエステルは、部分的に、ヒンダードフェノール性酸またはエステルのフェノールまたはフェノール性残余物がエステル結合を介して重合鎖の一方または両方の末端に結合されているオリゴマー鎖またはポリマー鎖で形成される。
このような改質ポリエステルは、1,3−プロパンジオールおよび芳香族二酸(またはそのアルキルエステル)を含有する重合反応混合物中に、そのヒンダードフェノールを組込み、そして所望の分子量の重合体が達成されるまで、重合反応を継続させることによって製造できる。このようなポリエステルの内の1つのクラスは、式:
Figure 0004052677
(式中、pは、約4から約2500、好ましくは約40から約250である)
によって表すことができる。このクラスの1つの特定の具体例は、式:
Figure 0004052677
(式中、ポリトリメチレンテレフタレート組成物は、特定のヒンダードフェノール性基で一方の末端がキャップされたポリエステル鎖を含む)
で表すことができる。
組成物の全ての重合鎖が、アクロレイン生成を減少させる1,3−プロパンジオールベースポリエステルのためのヒンダードフェノール性基を含むことを必要としない。平均で、重合体分子当たり約0.000002から約2、好ましくは約0.00002から約1.0のヒンダードフェノール性末端基を用いて有利な結果が達成されると予測される。繊維にグレードのポリトリメチレンテレフタレートについては、重合体分子当たりのヒンダードフェノール性末端基の平均数は約0.001から約0.01の範囲、または100から1000重合体分子当たり約1である。
ポリエステルを製造するのに多数の方法が知られている。このような方法は、バッチ式であってもまたは連続式であってもよく、そして1つまたは複数の段階を使用し得る。最近、好まれる方法は、溶融重合とそれに続く固相重合を含む2段階の縮合重合法である。
第一段階である溶融重縮合は、「加圧段階」、続いて「真空段階」の2つの段階を含む。加圧段階では、通常、二酸の反応の場合には追加の触媒の不在下で、約230から約300℃、好ましくは約240から約270℃の範囲内の温度で、約138〜約1379kPa(20〜200psi)の範囲内、好ましくは345kPa(50psi)の高圧の、好ましくは窒素ガス下で、過剰モルのジオールを、芳香族二酸(またはそのアルキルエステル)と反応させる。副産物として生成される水はオーバーヘッド蒸留のような適切な手段によって除去する。重合条件は、ヘキサフルオロイソプロパノール中で測定して、約0.3より低い、通常約0.05から約0.25の範囲内の固有粘度(i.v.)を示す比較的低い分子量のポリエステルが生成するように選択される。
溶融重合ステージ(段階)の真空段階として、圧力が減少され、そしてチタンまたはスズ化合物のような重縮合触媒が添加される。好ましい触媒は、ポリエステルの重量に基づいて、10から200ppmのチタンの範囲内の量で一般に存在するチタンブトキシドのようなチタンアルコキシドである。
第一段階の低分子量産物を、少なくとも0.5まで出発物質の固有粘度を増加させるのに有効な時間、大気圧より低い圧力下で、240から300℃までの範囲内の温度で加熱する。反応中、副産物としてさらに生成する水を過剰のジオールと一緒にオーバーヘッドで除去する。
アクロレイン生成に対するポリエステルの最大限の抵抗性を与えるために、ヒンダードフェノールを、溶融重合法の加圧段階で重合反応混合物に添加する。あるいは、ヒンダードフェノールは、真空段階で、または固相の前の重合溶融物に添加できるが、しかし、高真空条件下での添加は、特に低級アルキルヒンダードフェノール性エステルを用いた場合、低い程度のポリエステルの改質を生じる可能性がある。
ヒンダードフェノールを、(トランス)エステル化を介して重合体鎖に結合させる。副産物である水(例えば、酸から得られる)またはアルキルアルコール(例えば、エステルから得られる)は、反応条件下で1,3−プロパンジオールの沸点より低い温度で副産物が沸騰する場合、容易に蒸留して除去させることができる。重合生成混合物中の残渣の一官能性アルコールは、重合体鎖を終了させ、それにより最終的な重合体分子量を減少させ得る。この理由のため、重合反応混合物から副産物である水またはアルコールを比較的容易に除去し得るので、ヒンダードフェノール性酸または低級アルキルエステル(メチル、エチル、プロピル、ヘキシルのような)が最も好ましい。
第一ステージの溶融産物を冷却し、固形化し、そして任意にペレットに形成させる。その後、重合体を、減圧および/または不活性ガス蒸気下で、一般に(ポリトリメチレンテレフタレートについて)、180℃より高い、好ましくは200℃より上の温度で、標的の重合体の融点より低い高温で固形形態(「固相状態」)で重縮合させる。固相重合を、一般に約4時間またはそれ以上の時間行って、繊維用途のための、少なくとも0.8、一般に0.95から1.15までの範囲内の固有粘度(i.v.)を示す改質ポリトリメチレンテレフタレートを生じる。
ポリエステル製造法は、少なくとも1つの真空段階を含むので、任意に選択されたヒンダードフェノール性エステルに対応するヒンダードフェノール性酸は、1,3−プロパンジオールより高い沸点を示すのが好ましく、それは、真空下で反応混合物から酸が除去されるのを防ぐ助けをする。したがって、最も好ましいヒンダードフェノール性エステルは、対応する酸が、重合反応条件下で1,3−プロパンジオールより高い沸点、好ましくは240℃から300℃の範囲内の沸点を示し、そして(トランス)エステル化副産物(水または低級アルキルアルコール)は、1,3−プロパンジオールより低い沸点を示すものである。
最も好ましいクラスのヒンダードフェノール性酸/エステルは、フェノール性水酸基に対してオルト位にある少なくとも1つのR基が、t−ブチル、t−アミルまたは2−フェニル−2−プロピルであり;xは、1または2であり;Eは酸素であり;yは、1または2であり;R’は、−(CH2)−またはアルキル置換メチレンであり;nは、1であり;およびGは、HまたはC1-8アルキルである、上記式によって規定されるものである。3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドリキシフェニル)プロピオン酸のような酸の使用は、副産物として水を生成する利点を示す。エステル反応のアルコール副産物は、重合反応混合物に追加的連鎖停止剤を導入する。酸の別の利点は、1,3−プロパンジオール中のその高い可溶性である。
ある種のヒンダードフェノール性酸/エステルによるポリトリメチレンテレフタレートの改質は、重合体の色を増加させるか、または重合体の分子量を減少させる場合があるが、好ましい基のヒンダードフェノール性酸/エステルは、特に、有機ホスファイトと組合せて使用される時に色をほとんど、またはまったく増強させない。芳香族有機ホスファイト添加剤は、有機ホスファイトが、酸素原子を介してリンに結合した少なくとも1つのC6-20芳香族環を含み、そしてwは、1から3までの整数である、三価のリン基(ArO)wPを含有する。好ましい有機ホスファイト添加剤は、一般式I−V:
Figure 0004052677
(式中、各LおよびL’は、C1-20ヒドロカルビルおよびヘテロカルビルから独立に選択され;bは、1から3までの整数であり;sは、0から6までの整数であり;Arは、C6-20置換または非置換芳香族基であり;Jは、直接結合または−CH2−、−CHR’−、−S−、−SO−、−SO2−、−PO(OR’)−、−PO2−、−PR’−、−CO−等のような二価結合基(ここで、R’は、C1-20ヒドロカルビルである)であり;Qは、フッ素または−Ar−、−O−のような二価の連結基、−CH2−および−CH2CH2−等のようなアルキリデンであり;Tは、水素またはC1-20ヒドロカルビルまたはヘテロカルビル基であり;そしてwは、1から3までの整数である)
で表される芳香族有機ホスファイトから選択される。好ましい有機ホスファイトの具体例は、それぞれ(「Irgafos」は商標である)Irgafos168、Ultranox626およびIrgafos12として市販で入手可能な、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスファイトおよび2−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ−[d,f][1,3,2]−ジオキサホスフェピン−6−イル]オキシ]−N,N−ビス[2−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ−[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−6−イル]オキシ]−エチル]エタンアミンである。
使用される場合、有機ホスファイト化合物は、重合法の溶融ステージの加圧段階で添加するのが好ましい。リン含有化合物は、ジオールと二酸を合せたた重量に基づいて、0.01から0.5重量%、好ましくは0.05から0.3重量%の範囲内の量で縮合反応混合物中に存在する。触媒活性における逆効果の可能性があるので、過剰量のホスファイトは好ましくない。重合反応混合物中への有機ホスファイトの取込により、ポリエステルとの(トランス)エステル化反応を生じる可能性があるが、任意のこのような反応は、本発明の組成物で達成しうる有効な結果に影響を及ぼさない。
本発明の方法にしたがって製造された重合体組成物は、色に関しては白色または白色に近い。当該重合体を、繊維に紡糸し得るかまたは成形して製品とし得るが、いずれの場合も、空気中で加熱される時アクロレインが生成しにくい。
実施例1:改質PTTの製造
蒸留カラム、コンデンサーおよび収集容器を装着した600mlステンレス鋼の加圧反応器に、約70ppm(C=Oとして)の総カルボニル含量を示す133.2g(1.75モル)の1,3−プロパンジオール、207.7g(1.25モル)のテレフタル酸、0.17gのIrgafos168(有機ホスファイト、0.05重量%)および0.04gの3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸(0.013重量%、0.144ミリモル)を加えた。反応器を窒素で345−552kPa(50−80psi)に加圧し、5回圧力開放して脱気し、続いて138kPa(20psi)まで再加圧し、そして250℃まで加熱した。345kPa(50psi)で、2時間圧力を維持し、その後、以降1時間毎に69kPa(10psi)ずつ低下させた。総計約6時間の後、全ての残りの圧力を開放させ、そして水性蒸留物を秤量した。溶融産物を槽に注ぎ、そして冷却した。
生成物オリゴマー(140g)および0.072gのチタンブトキシド(Tiに基づいて80ppm)を、500mLの3首フラスコに加えた。フラスコを窒素で脱気し、反応器に少量の窒素の流れで約20kPa(200ミリバール)まで排気し、そして油浴で攪拌しながら260℃まで加熱した。圧力を、約0.2kPa(2ミリバール)より低くまで減少させた。3時間後、反応混合物を冷却し、そして重合体を単離した。
ヘキサフルオロイソプロパノール中で重合体の固有粘度(i.v.)を測定した。重合体の黄化指数(YI)を、ASTM D−1925にしたがった反射率によって成形プラーク上で測定した。結果を表1に示す。重合体の重量当たりppmでアクロレインを測定した。
実施例2:未改質PTTの比較製造
有機ホスファイトまたはヒンダードフェノール性酸を添加しない以外は、実施例1の重合を繰り返した。試験結果を表1に示す。比較重合体は、実施例1で製造された重合体のものより空気中で加熱された時に、実質的にいっそう多くのアクロレインを形成した。
この実施例で記述されるとおり製造される重合体のサンプルを液体窒素温度で粉砕し、20メッシュで篩にかけ、そして微細粉末を1:1:1のヘキサン:メタノール:クロロホルム溶液で抽出した。逆相高速液体クロマトグラフィー(ダイオードアレーUV検出器:250nm)によって、フェノール性エステルまたは酸は検出されなかった。
実施例3:ヒンダードフェノール性エステルで改質したPTTの製造
0.065gのIrganox1076(0.122ミリモル)をヒンダードフェノール性酸の代わりに使用する以外は、実施例1の重合を繰り返した。表1に示されるとおり、空気中でのアクロレイン形成は、実施例1の重合体のものと類似した。
この実施例で記述されるとおり製造される重合体のサンプルを液体窒素温度で粉砕し、20メッシュで篩にかけ、そして微細粉末を1:1:1のヘキサン:メタノール:クロロホルム溶液で抽出した。逆相高速液体クロマトグラフィー(ダイオードアレーUV検出器:250nm)によって、フェノール性エステルまたは酸は検出されなかった。
実施例4:ヒンダードフェノール性エステルで改質したPTTの製造
有機フォスファイトを除外し、そして比較的多量(8.5g、16ミリモル)のヒンダードフェノールIrganox1076を使用する以外は、実施例3の重合を繰り返した。オリゴマーおよび重合体は、実施例3のものよりいっそう色が濃く、いくらかの固形物が、水性蒸留物中で収集され、そして最終重合体の分子量は、実質的に減少された。
重合体のサンプルを液体窒素温度で粉砕し、20メッシュで篩にかけ、そして微細粉末をヘキサン:メタノール:クロロホルムの1:1:1溶液で抽出した。逆相高速液体クロマトグラフィー(ダイオードアレーUV検出器:280nm)によって、抽出可能なIrganox1076は検出されなかった。
重合の第一の段階で生成されるオリゴマーのサンプルで粉砕し、そして微細粉末を、ヘキサン:メタノール:クロロホルムの1:1:1溶液で抽出した。Iraganox1076またはその親のヒンダードフェノール性酸は、逆相高速液体クロマトグラフィー(UV検出器)による抽出で検出不可能であった。質量分光分析法と組合せた液体クロマトグラフィー(LC−MS)による分析は、ヒンダードフェノール性酸で末端キャップしたポリトリメチレンテレフタレートオリゴマーに対応する336、484、542、690、748および896のm/zを示す種の存在を示した。ヒンダードフェノール性エステルなしの実施例2で製造した対照の同様の分析は、予測どおり、これらの分子量で任意の有効なオリゴマー性種を示さなかった。
これらの結果は、基本的に全てのヒンダードフェノール性エステルが、トランスエステル化を経ること、そしてヒンダードフェノール性酸部分が重合体に結合することを示す。
エステルから誘導されたヒンダードフェノール性酸およびC18アルコールの両方が、重合体鎖を終了させて重合体の分子量を減少させ得る一官能性種であるので、比較的多量のエステルで得られた低分子量の最終重合体は、エステルのトランスエステル化反応と調和する。
実施例5:ヒンダードフェノール性酸で改質したPTTの製造
有機フォスファイトを除外し、そして比較的多量(0.87g、3.1ミリモル)のヒンダードフェノール性プロピオン酸を使用する以外は、実施例1の重合を繰り返した。重合体の分子量は、実施例2で製造されるものと比較してある程度減少された。
重合体のサンプルを液体窒素温度で粉砕し、20メッシュで篩にかけ、そして微細粉末をSoxhlet抽出器で4時間アセトニトリルで抽出した。アセトニトリル溶媒の蒸散の後、残渣を少量の溶媒に取り、そして逆相高速液体クロマトグラフィー(UV検出器)によって分析した。ヒンダードフェノール性酸の標準溶液との比較によって、基本的に、検出可能なヒンダードフェノール性酸は抽出物中に検出されなかった。これは、基本的に全てのヒンダードフェノール性酸がカルボン酸基を介して重合体に結合していることと一致する。
同様に、第一の(加圧)段階で形成された重合体の抽出は、LC−MSによって分析されたオリゴマーを供した。質量スペクトルのデータは、PTTオリゴマーに結合したヒンダードフェノール性酸を含有する種、例えば、336、484、542、690、748、896のm/zと一致した。
実施例6:比較のフェノール性酸の使用
酸を、0.03gの3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸(0.12ミリモル)と置き換えた以外は、実施例1のように重合を行った。驚くべきことに、生じる重合体のアクロレイン生成に対する抵抗性は改善されず、それによりフェノール性水酸基に対してパラ位のメチレン基が、所望の効果を達成するために必要とされることが示唆される。
Figure 0004052677
実施例7:改質PTT同定の確認
0.025重量%のIrganox1076および0.05%のIrgafos168を用いた実施例1の工程によって製造される大規模試験(6.8−9.1kg/バッチ[15−201bs/バッチ])から真空ステージの間に収集された蒸留物を、ガスクロマトグラフィー/質量分光分析法によって分析し、そして約0.06から0.13%のC18アルコール(C1837OH)を含有することが見い出されたが、それは、Irganox1076のエステル結合の切断が生じたこと、及び少なくともIrganox1076のアルコール基の一部が、1,3−プロパンジオールと一緒に重合混合物から蒸留したことを示す。このステージで除去される1,3−プロパンジオールの予測量に基づいて、蒸留物で観察されるC18アルコールの量は理論的に、使用されるIrganox1076から利用可能な総アルコールのおよそ25%から約60%であった。さらに、LC−MSは、336から542までのこの蒸留物中の少量であるが検出可能な量の低分子量オリゴマーが、ヒンダードフェノール性酸の末端キャップを含むオリゴマーと一致することを示した。
蒸留物は、高速液体クロマトグラフィー(逆相、UV検出器)によって、親のヒンダードフェノール性酸[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸]についても分析したが、約10ppm未満の酸(酸の標準溶液に基づいた概算検出制限)が見られた。したがって、Irganox1076の基本的に全てのヒンダードフェノール性酸部分が重合体に残り、そして酸とポリエステル鎖の間の提起されたエステル化反応と一致する。
これらの蒸留物も、Irgafos168有機ホスファイトから生じる約0.8から1.1%の2,4−ジ−t−ブチルフェノールを含有した。
添加されたIrganox1076なしの対照重合からの蒸留物は、検出可能なC18アルコールを含まず、そして10ppm未満(上限)のヒンダードフェノール性酸を含んだ。この対照重合体の抽出は、検出可能なヒンダードフェノール性酸/エステルまたは末端キャップオリゴマーを含有しなかった。
実施例8:種々の工程の比較
Irganox1076を第一(加圧)段階で、または第二(真空)段階で添加する工業用設計の一連の試験で、Irgafos168(24および48ppm P)およびIrganox1076(0.025および0.05重量%)を用いた大規模装置(バッチ当たり約6.8−9.1kg)(15−20lb)の重合体)で、実施例1の重合を繰り返した。重合体をペレット化し、そして>200℃で加熱することによって固相重合により高分子量(固有粘度(i.v.)=1以上)まで進行させた。最終重合体産物を空気中で(175℃で6時間)加熱したときに生成したアクロレインは、Irganox1076を第一(加圧)段階で添加した重合体については平均して56ppmであり、そしてIrganox1076を第二(真空)段階で加えて製造された重合体については平均して75ppmであった。重合体にIrganox1076またはIrgafos168のいずれも添加せずに製造した対照試験では、得られた重合体を同じ条件下で空気中で加熱した場合、190−200ppmのアクロレインが生成した。これらの結果は、重合のいずれかの段階でヒンダードフェノール性エステルを添加すると、重合体を空気中で加熱した時のアクロレインの生成が減少すること、および第一(加圧)段階での添加がある程度より有効であることを示す。

Claims (7)

  1. (a)(i)ジオールの少なくとも50モルパーセントが1,3−プロパンジオールである少なくとも1つのジオール、(ii)芳香族二酸またはそのアルキルエステル、(iii)式:
    Figure 0004052677
    (式中、各Rは独立に、メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、t−アミル、2−フェニル−2−プロピル等を含めたC1-12アルキル部分であり;xは、1または2であり;R’は、−(CH2)−またはアルキル置換メチレンであり;yは、1から20までの整数であり;Eは酸素または窒素であり;Gは、直接結合、水素、または一価、二価、三価もしくは四価の直鎖もしくは分岐鎖C1-30ヒドロカルビルまたはヘテロカルビルであり;そしてnは、Gの価数に対応する整数(但し、Gが直接結合である場合、n=2であり、Eは窒素である)である)で表されるヒンダードフェノール、および(iv)三価リン基含有芳香族有機ホスファイト(ArO)wP(式中、Arは、芳香族基であり、そしてwは、1から3までの整数である)を含有する重合反応混合物を調製し、そして
    (b)ヘキサフルオロイソプロパノール中で測定して少なくとも0.8の固有粘度を示すポリエステル組成物を生成するのに十分な時間、副産物である水を除去しながら前記反応混合物を180から300℃までの範囲内の温度に維持することを特徴とする、空気中で加熱された時のアクロレイン生成に対する抵抗性を増大させた1,3−プロパンジオールベースポリエステル組成物を製造する方法。
  2. GがC 1-10 アルキルである請求項1に記載の方法。
  3. Gがメチル、エチル、プロピル、ヘキシル、又はイソデシルである請求項1に記載の方法。
  4. (a)0.05から0.25の範囲内の固有粘度を示す1,3−プロパンジオールベースポリエステルを含有する中間反応生成混合物を生成するのに十分な時間、大気圧より大きな圧力下で、230から300℃の範囲内の温度に前記重合反応混合物を維持し;
    (b)縮合重合触媒を前記中間反応生成混合物に添加し、そして少なくとも0.5の固有粘度を示す1,3−プロパンジオールベースポリエステルを生成するのに十分な時間、大気圧より小さな圧力下で、240から300℃の範囲内の温度に触媒含有中間反応生成混合物を維持し、そして
    (c)少なくとも0.8の固有粘度を示すポリエステル組成物を生成するのに十分な時間、180℃より高い温度に固相で前記ポリエステルを加熱する
    段階を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. ヒンダードフェノール性エステルが、オクタデシル・3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス−(メチレン(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート))メタン、1,6−ヘキサメチレン・ビス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、トリエチレングリコール・ビス(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート)および1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオンから構成される群から選択される請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. ヒンダードフェノール性酸が、3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸である請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  7. ヒンダードフェノール性エステルが、二酸のモル当たり0.005から0.5ミリモルの範囲内の量で重合反応混合物中に存在する請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
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