JP3250865B2 - ポリエステル樹脂成形品 - Google Patents

ポリエステル樹脂成形品

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JP3250865B2 JP11737193A JP11737193A JP3250865B2 JP 3250865 B2 JP3250865 B2 JP 3250865B2 JP 11737193 A JP11737193 A JP 11737193A JP 11737193 A JP11737193 A JP 11737193A JP 3250865 B2 JP3250865 B2 JP 3250865B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は熱可塑性ポリエステル樹
脂組成物を成形してなる成形品に関し、詳しくは、極め
て優れた耐熱安定性、溶融安定性、高温長期物性を有す
るポリエステル樹脂成形品に関するものである。
【0002】本発明の樹脂成形品は、自動車、機械、建
築、電気・電子機器及びその他の諸工業の分野で、外装
部品、機構部品等として好適に用いられ、特に高温下で
の加工安定性に優れ、且つ優れた樹脂間の密着性と気密
性を有する為、多重成形材料等に好適に用いられる。
【0003】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】結晶性
熱可塑性ポリエステル樹脂は、機械的性質、電気的性
質、その他物理的・化学的特性に優れ、且つ加工性が良
好であるがゆえにエンジニアリングプラスチックとして
自動車、電気・電子部品等の広範な用途に使用されてい
る。
【0004】一方、近年、自動車、電気・電子部品には
多種多様の特性が求められており、その特性付与手法の
一つとして異種材料を組み合わせた2体成形部品が開発
されており、この2体成形部品用材料として、低融点で
低融解潜熱を有する変性ポリエステルは有力な材料であ
る。特に特定量のコモノマーを共重合することにより変
性した変性ポリアルキレンテレフタレート共重合体は、
優れた機械的、物理的、化学的性質を保持し、低変形
性、密着性と気密性に優れているため好適な材料であ
る。
【0005】しかしながら、これらの変性ポリアルキレ
ンテレフタレート共重合体の二重成形において、一次材
料と二次材料との樹脂界面の密着強度及び気密性を得る
ためには、二次成形において射出された二次材料によっ
て一次材料の表面(界面)が溶融する必要がある。この
ため二次成形における溶融樹脂温度は少なくとも一次成
形材料の融点以上の温度とする必要があり、一般的には
実用的な二重成形部品の密着強度及び気密性を得るため
には、二次材料の樹脂温度を一次材料の融点より30℃以
上高くして二次成形を行わなければならず、時として30
0 ℃近くの成形樹脂温度で成形することがある。このよ
うな二次材料の成形樹脂温度では、変性ポリアルキレン
テレフタレート共重合体は熱分解等を生じるため、粘度
低下やガス発生等により成形性を害し、且つ成形品の密
着強度の低下及び変性ポリアルキレンテレフタレート共
重合体の物性低下をもたらす結果となっていた。更に、
熱分解等により長期耐熱性にも問題があった。
【0006】このように、多重成形材料として、特に二
重成形材料として一般の成形温度より高温で成形される
材料として好適な耐熱安定性、溶融安定性、長期耐久性
の優れた樹脂材料は未だ提供されていなかった。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、耐熱安定
性、溶融安定性、長期耐久性に優れ、且つ多重成形にお
ける樹脂間の密着性と気密性に優れた機能性熱可塑性ポ
リエステル樹脂成形品を得るため鋭意検討を重ねた結
果、本発明に到達した。
【0008】即ち本発明は、1〜40モル%のコモノマー
ユニットを含有するポリアルキレンテレフタレート(ア
ルキレン基の炭素数2〜4)樹脂 100重量部に対し、下
記一般式(I)又は(II)で示される特定のリン化合物
あるいは特定のイオウ化合物の1種又は2種以上を0.00
1 〜5重量部及びヒンダードフェノール系化合物を1種
又は2種以上を0〜5重量部配合してなる、優れた耐熱
安定性、溶融安定性、長期耐久性及び多重成形における
樹脂間の密着性と気密性を有する熱可塑性ポリエステル
樹脂成形品に係わるものである。
【0009】
【化3】
【0010】(但し、R1,R2,R3及びR4はそれぞれ同一
であっても異なっていてもよい炭素数1〜25のアルキル
基、置換アルキル基、アリール基又は置換アリール基を
示し、R5は炭素数4〜33のアルキレン基、置換アルキレ
ン基、アリーレン基又は置換アリーレン基を示す。)
【0011】
【化4】
【0012】(但し、Ar及びAr' は炭素数6〜35のアリ
ール基又は置換アリール基を示し、同一であっても異な
っていてもよい。)本発明者らの検討した所によれば、
1〜40モル%のコモノマーユニットを含有するポリアル
キレンテレフタレート樹脂に上記の如き特定のリン化合
物あるいは特定のイオウ化合物を配合することにより、
樹脂の耐熱安定性、溶融安定性、長期耐久性が著しく改
善され、また、該樹脂組成物は調製時におけるポリエス
テル樹脂の分解等も抑制される為、多重成形時等におい
てより高温の加工条件の選択が可能となり優れた密着強
度と気密性を有する材料の安定な製造が可能となること
を見出して本発明に至ったものである。
【0013】本発明によれば、上記の如き特定のリン化
合物あるいは特定のイオウ化合物と併用して更にヒンダ
ードフェノール系化合物をポリアルキレンテレフタレー
ト 100重量部に対し0〜5重量部添加することにより相
乗的な効果が発現し、樹脂の加工安定性、耐熱安定性、
長期物性等はさらに飛躍的に向上する。
【0014】本発明に用いられるポリアルキレンテレフ
タレート樹脂は、テレフタル酸又はそのエステル形成誘
導体と炭素数2〜4のアルキレングリコール又はそのエ
ステル形成誘導体を重縮合反応して得られるポリアルキ
レンテレフタレートであるポリエチレンテレフタレー
ト、ポリプロピレンテレフタレート又はポリブチレンテ
レフタレートを主成分とし、これに1〜40モル%の他の
コモノマーユニットを導入した共重合体である。ここ
で、コモノマーユニットの含有量は、本来のエンジニア
リングプラスチックとしての特性と優れた密着性と気密
性を兼備した材料とするために、1〜40モル%の範囲に
限定され、特に4〜35モル%が好ましい。
【0015】かかる共重合体を構成する第三成分(コモ
ノマー)としては、イソフタル酸、ナフタレンジカルボ
ン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジ
カルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸、シクロヘ
キサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカ
ン二酸の如き公知のジカルボン酸及びこれらのアルキ
ル、アルコキシ又はハロゲン置換体等が挙げられる。ま
た、これらのジカルボン酸化合物は、エステル形成可能
な誘導体、例えばジメチルエステルの如き低級アルコー
ルエステルの形で重縮合に使用しコポリマー成分として
導入することも可能である。
【0016】又、コポリマーを構成するための第三成分
として使用されるジヒドロキシ化合物の例を示せば、エ
チレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオー
ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
ネオペンチルグリコール、ハイドロキノン、レゾルシ
ン、ジヒドロキシフェニル、ナフタレンジオール、ジヒ
ドロキシジフェニルエーテル、シクロヘキサンジオー
ル、2,2 −ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
ジエトキシ化ビスフェノールAの如き比較的低分子量の
ジヒドロキシ化合物、及びこれらのアルキル、アルコキ
シ又はハロゲン置換体等である。
【0017】本発明では、上記の如き化合物を第三成分
として、重縮合により生成するポリアルキレンテレフタ
レート樹脂は何れも使用することができ、単独で、又は
2種以上混合して使用される。特に芳香族ジカルボン酸
変性ポリアルキレンテレフタレート共重合体又はアルキ
レングリコール変性ポリアルキレンテレフタレート共重
合体、更に好ましくはイソフタル酸変性ポリブチレンテ
レフタレート共重合体、イソフタル酸変性ポリエチレン
テレフタレート共重合体又はエチレングリコール変性ポ
リブチレンテレフタレート共重合体が使用される場合、
本発明の安定化効果が顕著であり、加えて本来のエンジ
ニアリングプラスチックとしての特性を有し且つ優れた
密着性と気密性を兼備する材料であるため、多重成形材
料として好適である。
【0018】また本発明においては、熱可塑性ポリエス
テルを公知の架橋、グラフト重合等の方法により変性し
たもの、或いは目的に応じ熱可塑性ポリエステルに他の
熱可塑性樹脂等を混合したものも基体樹脂として使用で
き、本発明の効果は発揮される。ここで熱可塑性ポリエ
ステルと混合される熱可塑性樹脂等の例を示せば、ポリ
エチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重
合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アク
リル酸エステル共重合体、ポリアミド、ポリアセター
ル、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、ス
チレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、スチ
レン−ブタジエン−アクリル酸(又はそのエステル)共
重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリカ
ーボネート、ポリウレタン、弗素樹脂、ポリフェニレン
オキシド、ポリフェニレンサルファイド、ポリブタジエ
ン、ハロゲン化ポリオレフィン、ポリハロゲン化ビニ
ル、ブチルゴム、シリコーン樹脂、オレフィン系熱可塑
性エラストマー(例えばEPDM又はアイオノマー)、
スチレン系熱可塑性エラストマー(例えばSBS又はS
EBS)、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエス
テル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エ
ラストマー、ポリエーテル系熱可塑性エラストマー、ポ
リアクリレートを主とする多層グラフト共重合体等或い
はこれらの変性体である。これらの物質は必須成分では
ないが、目的とする性質に応じて併用することができ、
その種類、添加量は適宜選択することができる。
【0019】本発明において、熱可塑性ポリエステルの
耐熱安定性、溶融安定性、長期耐久性を改善するため、
必須成分として配合される特定のリン化合物とは下記一
般式(I)又は(II)で示されるものである。
【0020】
【化5】
【0021】
【化6】
【0022】一般式(I)中、R1,R2,R3及びR4は炭素
数1〜25のアルキル基、置換アルキル基、アリール基又
は置換アリール基であり、それぞれ同一であっても異な
っていても良い。これらの例を示せば、メチル基、エチ
ル基、ブチル基、オクチル基、デシル基、ラウリル基、
トリデシル基、ステアリル基、フェニル基、アルキル及
び/又はアルコキシ置換フェニル基などである。またR5
は炭素数4〜33のアルキレン基、置換アルキレン基、ア
リーレン基又は置換アリーレン基を示しており、その例
を示せば、ブチレン基、オクチレン基、フェニレン基、
ナフチレン基、ジフェニレン基、次式
【0023】
【化7】
【0024】で示される基(式中、X はオキシ基、スル
ホニル基、カルボニル基、メチレン基、エチリデン基、
ブチリデン基、イソプロピレン基、ジアゾ基など)等で
ある。特に好ましいホスファイト化合物としては、テト
ラキス(2,4 −ジ−t−ブチルフェニル)−4,4'−ジフ
ェニレンホスファイトが挙げられる。
【0025】又、一般式(II)中、Ar及びAr' は炭素数
6〜35のアリール基又は置換アリール基であり、それぞ
れ同一であっても異なっていても良い。これらの例を示
せば、フェニル基、ナフチル基、ジフェニル基等或いは
これらのアルキル、ヒドロキシ及び/又はアルコキシ置
換体等である。具体的な化合物の一例を示せば、ビス
(2,4 −ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトー
ルジホスファイト、ビス(2,6 −ジ−t−ブチル−4−
メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイ
ト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホ
スファイト、4−フェノキシ−9−α−(4−ヒドロキ
シフェニル)−p−クメニルオキシ−3,5,8,10−テトラ
オキサ−4,9 −ジホスファスピロ〔5,5 〕ウンデカン等
が挙げられる。特にこれらの中で、ビス(2,4 −ジ−t
−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイ
トとビス(2,6 −ジ−t−ブチル−4−メチルフェニ
ル)ペンタエリスリトールジホスファイトが好ましく、
本発明の効果が顕著である。
【0026】又、 本発明において、熱可塑性ポリエス
テルの耐熱安定性、溶融安定性、長期耐久性を改善する
ため、必須成分として配合される特定のイオウ化合物と
は、チオエーテル結合を有する化合物であって、一例を
示せばテトラキス〔メチレン−3−(ドデシルチオ)プ
ロピオネート〕メタン、ジラウリル−3,3'−チオプロピ
オネート、ジミリスチル−3,3'−チオプロピオネート、
ジステアリル−3,3'−チオプロピオネート等が挙げられ
る。
【0027】本発明においては、これら特定のリン化合
物あるいは特定のイオウ化合物の1種又は2種以上を使
用することが可能であり、ポリアルキレンテレフタレー
ト樹脂 100重量部に対して 0.001〜5重量部が含有せし
められるよう添加される。0.001 重量部より少ない量で
は十分な耐熱安定性、長期物性を得ることは出来ず、5
重量部より多い量では不経済であるのみならず、耐熱安
定性等の改良効果は飽和に達し、逆に成形性の低下、強
度低下等が無視できなくなるため好ましくない。耐熱安
定性等の改良効果、諸物性、経済性の面から、好ましく
は0.01〜1重量部、更に好ましくは0.03〜0.5 重量部が
用いられる。
【0028】本発明においては、上記の如き特定のリン
化合物あるいは特定のイオウ化合物を単独で熱可塑性ポ
リエステルに添加しても、ポリエステルの耐熱安定性等
は著しく向上し、十分な効果を得ることができ好ましい
が、これに更にヒンダードフェノール系化合物を併用配
合することにより相乗効果が発現し、ポリエステルの耐
熱安定性等はより一層向上するため、更に好適である。
【0029】本発明において使用されるヒンダードフェ
ノール系化合物とは、フェノール性水酸基に隣接する位
置に嵩高い置換基、例えば炭素原子数が4個又はそれ以
上である置換基等を有するフェノール系化合物であっ
て、一例を示せば2,6 −ジ−t−ブチル−4−メチルフ
ェノール、4,4'−ブチリデン−ビス(6−t−ブチル−
3−メチルフェノール)、2,2'−メチレン−ビス(4−
メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,6 −ヘキサン
ジオール−ビス〔3−(3,5 −ジ−t−ブチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)プロピオネート〕、ペンタエリスリ
チル−テトラキス〔3−(3,5 −ジ−t−ブチル−4−
ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレン
グリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル
−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタ
デシル−3−(3,5 −ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ
フェニル)プロピオネート等であり、特にこれらの中で
ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5 −ジ−t
−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕
とトリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチ
ル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ
ート〕が好ましく、本発明の効果が顕著である。熱可塑
性ポリエステル100 重量部に対し、これらヒンダードフ
ェノール系化合物の1種又は2種以上が、0〜5重量部
配合される。
【0030】これらヒンダードフェノール系化合物は、
単独で熱可塑性ポリエステルに配合しても耐熱安定性等
の改善に殆どもしくは全く効果がなく、前述した特定の
リン化合物あるいは特定のイオウ化合物と併用する事に
より初めて相乗効果が生まれるものである。しかしなが
ら、5重量部より多い量では改善効果は飽和に達し、不
経済であるのみならず、逆に強度低下、成形性低下は避
けられず好ましくない。一般に好ましい添加量は1重量
部以下、更に好ましくは0.5 重量部以下である。
【0031】本発明の効果は上記の如く、無機質充填剤
を含まない熱可塑性ポリエステル樹脂組成物の耐熱安定
性、溶融安定性、長期耐久性の改善に有効であるのは勿
論のこと、ガラス製充填剤を添加して補強改質した組成
物、或いは難燃剤、難燃助剤を配合し、難燃性を付与し
た組成物に対しても顕著な効果を示す。
【0032】ガラス製充填剤としては、ガラスファイバ
ー、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ミルドファイバー
ガラス、粉末状ガラス等、何れでも良く、その寸法形状
等についても目的に応じ任意に選択できる。また、これ
らのガラス製充填剤は樹脂との密着性を良くし、補強効
果を高めるため、表面処理剤又はカップリング剤にて表
面処理したものか、又はこれらを同時添加したものであ
っても良い。これらのガラス製充填剤は2種以上の形状
のものを併用して、その複合効果を発現することも可能
である。
【0033】難燃剤としては、有機ハロゲン化合物、リ
ン化合物等が用いられるが、特に芳香族臭素化合物が好
ましく、また難燃助剤としては、三酸化アンチモン、ハ
ロゲン化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグ
ネシウム等の金属酸化物や水酸化物等が用いられる。
【0034】この様な難燃剤及び難燃助剤の添加は一般
に熱可塑性ポリエステルの耐熱安定性を害し、高温下で
の劣化を促進する傾向があるため、難燃化ポリエステル
組成物に関しては、特に耐熱安定性改善の必要性が切実
であるが、この様な難燃化ポリエステルに対しても本発
明の効果は顕著に認められ、特に有効である。
【0035】また、本発明に用いられる組成物を構成す
るポリアルキレンテレフタレート樹脂がコモノマーユニ
ットを含有する共重合体である為、射出成形材料として
使用する際、通常の成形条件では成形サイクルの低下や
離型不良を起こすことが、特にコモノマーユニットを高
含有する共重合体を使用する場合にある。
【0036】これを解決するために核剤、可塑剤、離型
剤のいずれか1種類を、あるいは併用して使用すること
が好ましい場合がある。
【0037】核剤としては公知の有機物、無機物いずれ
も、 0.001〜5重量%添加すれば良い。具体例を挙げれ
ば、ボロンナイトライド、カオリン、タルク、オレフィ
ン−アクリル酸共重合体の金属塩等が挙げられ、これは
単独又は2種以上共用してもよい。
【0038】可塑剤としては、公知の安息香酸エステル
やリン酸エステル化合物等が単独又は2種以上を使用し
て用いられる。
【0039】また、離型剤としては、C9〜C30 の高級脂
肪酸のエステルやアミド化合物、あるいはポリエチレン
ワックス等が単独又は2種以上共用して用いられる。
【0040】さらに、本発明に用いる組成物には目的に
応じて一般の熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂に添加され
る公知の物質を更に添加併用することができる。例え
ば、耐光、耐候等のための各種安定剤、着色剤、帯電防
止剤、界面活性剤、潤滑剤等、或いはカーボン繊維、金
属繊維、ボロン繊維、チタン酸カリウム、セラミック、
マイカ、クレー、タルク、アスベスト、高分散性ケイ酸
塩、石英粉、ケイ砂、ウォラストナイト、カーボンブラ
ック、グラファイト、各種金属粉、金属箔、炭化ケイ
素、ボロンナイトライド、窒化ケイ素等の繊維状、板
状、粒状、粉末状の無機化合物や有機化合物等が含まれ
る。
【0041】本発明に用いられる組成物の調製は、従来
の樹脂組成物調製法として一般に用いられる公知の方法
により容易に調製される。例えば、各成分を混合した
後、押出機により練込押出してペレットを調製し、しか
る後成形する方法、一旦組成の異なるペレットを調製
し、そのペレットを所定量混合して成形に供し、成形後
に目的組成の成形品を得る方法、成形機に各成分の1又
は2以上を直接仕込む方法等、何れも使用できる。
【0042】また、本発明の必須成分である特定のリン
化合物あるいは特定のイオウ化合物及び場合によりヒン
ダードフェノール系化合物は、その全部又は一部を熱可
塑性ポリエステルの製造工程、加工工程中の任意の時期
に加えることが可能であり、特にモノマー段階又は重縮
合反応の比較的初期に添加して重縮合反応の進行中、反
応系に存在させた場合、重合中の分解が抑制されるため
か重合反応を効率よく行うことができる。特に高分子量
のポリエステルを得る目的で溶融状態での重縮合を長時
間行う場合、或いは溶融反応物を一旦固化して固相重合
を長時間行う場合等には本発明の上記の如き成分が反応
系に存在することが反応中の劣化を防いで高分子量のポ
リエステルを得るのに特に有効であり、かかる目的のた
めには上記必須成分は重縮合の以前に添加するのが好ま
しい。本発明においては、かかる方法も樹脂組成物の調
製法として好適に用いられる。
【0043】本発明は、いわゆる多重成形法により、ポ
リエステル系重合体、ポリアミド系重合体、ポリカーボ
ネート系重合体、ポリフェニレンオキサイド系重合体、
ポリアセタール、スチレン系共重合体(AS、ABS
等)、オレフィン系熱可塑性エラストマー(EPDM又
はアイオノマー)、スチレン系熱可塑性エラストマー
(SBS、SBES等)、ウレタン系熱可塑性エラスト
マー、ポリエステル系熱可塑性エラストマーあるいはポ
リアミド系熱可塑性エラストマーなど種々の熱可塑性樹
脂との組合せにより、ポリエステル樹脂の特性に加え
て、新規な特性を兼備する複合成形品を得るものであ
る。成形法としては、射出成形、圧縮成形、押出成形そ
の他公知の成形法が適用される。又、本発明は、多重成
形において、一次材及び/又は二次材成形品として使用
可能であり、成形品の形状、構造あるいは目的とする用
途により適宜選択使用される。
【0044】
【実施例】次に本発明を実施例及び比較例をもって更に
具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるもので
はない。
【0045】尚、耐熱安定性等の評価は下記の方法より
適宜選択して行った。(1) 溶融下での耐熱安定性 260 ℃に設定した成形機のシリンダー内に樹脂を30分間
滞留させた後、引張試験片を成形し、引張強度を測定し
た。耐熱安定性は次式により求めた。
【0046】
【数1】
【0047】実施例1〜4、比較例1〜3に示した各組成物を用い、一次成形品として80mm
角、厚さ2mmの平板を成形した。次にこの平板を80mm
角、厚さ4mmの金型キャビティーに装着し、表に示し
た各組成物を二次材として、260 ℃又は280 ℃の樹脂温
度で二次成形を行い平板状の複合成形品を作製し、界面
の剥離強度を測定した。尚、剥離強度の測定は、複合成
形品を巾10mmに切断し、その一端の接合界面を一定長さ
だけナイフで強制剥離し、その各々を引張試験機の固定
具にセットし引っ張り、剥離を生じる最大荷重を剥離強
度とした。
【0048】又、成形時にノズルからのハナタレ現象を
目視観察した。又、前記方法により二次成形材料の溶融
下での耐熱安定性を評価した。
【0049】更に、得られた平板状の複合成形品を130
℃の雰囲気中に60分間さらした後、それを0℃の水中に
60分間浸漬し、水中から取り出して常温で15分間放置す
る加熱・冷却サイクルを50回繰り返し、次いで浸透性の
高いインクに浸漬し、インクが乾いた後、接着面を破壊
してインクの浸入状況を目視観察した。
【0050】結果を表に示す。
【0051】
【表1】
【0052】注) *1:ポリエステル樹脂の種類 (A) :ジメチルイソフタレートを12.5モル%共重合する
ことにより変性した変性ポリブチレンテレフタレート共
重合体(MI45(ASTM D 1238 に準じ、235 ℃、荷重 2.1
6kg での測定値)) (B) :エチレングリコールを17.5モル%共重合すること
により変性した変性ポリブチレンテレフタレート共重合
体(MI45) (C) :ジメチルイソフタレートを42モル%共重合するこ
とにより変性した変性ポリブチレンテレフタレート共重
合体(MI45) (D) :ポリブチレンテレフタレート樹脂 *2:リン化合物 テトラキス(2,4 −ジ−t−ブチルフェニル)−4,4'−
ジフェニレンホスファイト *3:ヒンダードフェノール化合物 ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5 −ジ−t
−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕 *4:イオウ化合物 テトラキス〔メチレン−3−(ドデシルチオ)プロピオ
ネート〕メタン 尚、ポリエステル(A) 〜(D) は、以下の方法により製造
した。
【0053】ポリエステル(A) (ジメチルイソフタレー
トを12.5モル%共重合することにより変性した変性ポリ
ブチレンテレフタレート共重合体(MI45))は、テレフ
タル酸ジメチル169.74重量部、イソフタル酸ジメチル2
4.25 重量部、1,4 −ブタンジオール126 重量部及びチ
タニウムテトラブトキシド0.12重量部を撹拌機及び留出
塔を備え、十分に窒素置換した反応器に仕込み、反応器
内の温度を140 ℃とし、更に徐々に温度を上昇させ副生
するメタノールを留去し、エステル交換反応を行った。
留出メタノールが理論量の85重量%の時点で反応物質の
温度を185 ℃に上昇させ、次いでこれを温度210 ℃の別
の反応器に移し、1時間で1.0 torrの圧力で2時間撹拌
を続けて溶融重縮合を行った後、溶融物を排出口からス
トランドとして押出し、そのストランドを切断して、直
径2mm、長さ3mmの大きさの白色、円筒状のポリマーチ
ップを得た。
【0054】また、ポリエステル(B) (エチレングリコ
ールを17.5モル%共重合することにより変性した変性ポ
リブチレンテレフタレート共重合体(MI45))は、テレ
フタル酸ジメチル199 重量部、1,4 −ブタンジオール10
3 重量部、エチレングリコール18重量部及びチタニウム
テトラブトキシド0.12重量部を撹拌機及び留出塔を備
え、十分に窒素置換した反応器に仕込み、以下は上記の
方法と同様にして製造した。
【0055】また、ポリエステル(C) (ジメチルイソフ
タレートを42モル%共重合することにより変性した変性
ポリブチレンテレフタレート共重合体(MI45))は、テ
レフタル酸ジメチル112.52重量部、イソフタル酸ジメチ
ル81.48 重量部、1,4 −ブタンジオール126 重量部及び
チタニウムテトラブトキシド0.12重量部を撹拌機及び留
出塔を備え、十分に窒素置換した反応器に仕込み、以下
は上記の方法と同様にして製造した。
【0056】また、ポリエステル(D) (ポリブチレンテ
レフタレート樹脂)は、ポリプラスチックス(株)製、
商品名「ジュラネックス400FP」を使用した。
【0057】
【発明の効果】以上の説明、並びに実施例にて本発明の
効果は明らかな如く、1〜40モル%のコモノマーユニッ
トを含有するポリアルキレンテレフタレート樹脂に前記
一般式(I)又は(II)で表される特定のリン化合物あ
るいは特定のイオウ化合物を配合することにより、ポリ
エステル樹脂の成形加工安定性、耐熱安定性、長期物性
は著しく向上し、また更にヒンダードフェノール系化合
物を併用配合せしめることにより相乗効果が発現し、従
来の方法では到底達成し得なかった飛躍的に改良された
成形加工安定性、優れた耐熱安定性、長期物性を有し、
高い密着強度と気密性を必要とする多重成形材料等に好
適に用いられる。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1〜40モル%のコモノマーユニットを含
    有するポリアルキレンテレフタレート(アルキレン基の
    炭素数2〜4)樹脂 100重量部に対し、下記一般式
    (I)又は(II)で示されるホスファイト化合物の1種
    又は2種以上を0.001 〜5重量部及びヒンダードフェノ
    ール系化合物の1種又は2種以上を0〜5重量部配合し
    てなるポリエステル樹脂組成物を射出成形法により多重
    成形してなる成形品。 【化1】 (但し、R1, R2, R3及びR4はそれぞれ同一であっても異
    なっていてもよい炭素数1〜25のアルキル基、置換アル
    キル基、アリール基又は置換アリール基を示し、R5は炭
    素数4〜33のアルキレン基、置換アルキレン基、アリー
    レン基又は置換アリーレン基を示す。) 【化2】 (但し、Ar及びAr' は炭素数6〜35のアリール基又は置
    換アリール基を示し、同一であっても異なっていてもよ
    い。)
  2. 【請求項2】 1〜40モル%のコモノマーユニットを含
    有するポリアルキレンテレフタレート(アルキレン基の
    炭素数2〜4)樹脂 100重量部に対し、チオエーテル化
    合物の1種又は2種以上を0.001 〜5重量部及びヒンダ
    ードフェノール系化合物の1種又は2種以上を0〜5重
    量部配合してなるポリエステル樹脂組成物を射出成形法
    により多重成形してなる成形品。
  3. 【請求項3】 ポリアルキレンテレフタレート樹脂が、
    1〜40モル%のイソフタル酸残基又はエチレングリコー
    ル残基を含有するポリブチレンテレフタレート、ポリプ
    ロピレンテレフタレート又はポリエチレンテレフタレー
    ト共重合体である請求項1又は2記載の成形品。
  4. 【請求項4】 更に無機充填剤を組成物の全量に対し1
    〜40重量%含有するポリエステル樹脂組成物を射出成形
    法により多重成形してなる、請求項1〜3の何れか1項
    記載の成形品。
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