JP4052428B2 - 鉛含有排水の処理方法及び処理剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水中に含まれる鉛イオンを低められたスラッジ量で不溶化して除去する方法およびそのための薬剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
メッキ排水、電池製造工場排水、自動車部品工場排水、塗料工場排水等の排水に含まれる鉛イオンを含む被処理水の処理は、環境保全の点から社会的な要請が高い重要な技術である。通常、被処理水中の鉛の濃度は、通常、0.001〜10g/Lの範囲にあるとされる。これらの鉛イオンの除去には、従来から、水中に水酸化ナトリウムや水酸化カルシウム等のアルカリ性物質を添加して、鉛の水酸化物として沈殿させる方法が採られてきた。しかしながら、アルカリ性物質を添加する場合には高いpH領域で行われ、生成する水酸化物は両性化合物のため、過剰の水酸化物イオンと反応して金属錯イオンとなり再溶解することが起こるために、水酸化物として沈殿させる方法のみでは、排水基準をクリアできないのが現状である。
また、鉛の硫化物として沈殿除去する方法も知られている。鉛イオンを含有する排水に硫化水素を供給し、鉛硫化物を形成し除去する方法では、生成される鉛硫化物の溶解度が低いために、有効な方法であるが、用いる硫化水素は毒性が強く、施設に働く人の環境としては好ましくなく、また装置が腐食するために、ほとんど使用されない。
近年、硫黄系重金属捕集剤や高分子重金属捕集剤(キレート高分子)が開発され、前記の水酸化物を沈殿させた後に、残存する鉛イオンを前記捕集剤で処理する二段処理も行われている。この二段処理は有効であり、他の重金属と比べて、特に厳しい鉛イオンを含有する排水処理では、初めて基準をクリアしているのが実状である。
しかし、このような方法においては、スラッジが大量に発生し、その処分に多額の費用がかかる等の問題があった。また、捕集剤自体の安全性に問題があることが指摘されている。
このようなことから、鉛イオンを水酸化物として除去する方法には限界があり、鉛水酸化物の沈殿物を生成させることなく、鉛化合物の新たな沈殿物を生成させる方法の開発が要望されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、鉛イオンを含有する排水から沈殿物を生成させて、排水中に含まれる鉛イオン含有量を、従来の処理法では得られない濃度にまで減少させることができる方法を提供することである。また、この処理方法では、使用する薬剤も有害な物質を用いることなく、安定に処理を進めることができ、また、反応方法では発生するスラッジの発生も少ない方法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、以下の事柄を見出して本発明を完成させた。
被処理水である排水中に含まれる鉛イオンに対して、酸化剤と炭酸イオンの存在下に、アルカリを添加して、該水中に含まれる鉛イオンをhydrocerrussite(ヒドロオキシ炭酸鉛)などのミネラル様物質の不溶物とすることができること、
被処理水である排水中に含まれる鉛イオンに対して、アルカリを添加し、酸化剤と炭酸イオンを供給すると、該水中に含まれる鉛イオンをhydrocerrussite(ヒドロオキシ炭酸鉛)などのミネラル様物質の不溶物とすることができることを見出した。
また、このようにすると排水中に含まれる鉛イオンは従来の水酸化物の場合とは相違して十分に除去することができることを見出した。被処理水中にアルカリを添加することにより、一般に鉛は水酸化物になるが、酸化剤と炭酸イオンが共存すると、hydrocerrussite(ヒドロオキシ炭酸鉛)などのミネラル様物質になり不溶化される。この物質を形成させて除去するものである。
また、酸化剤と炭酸イオンは共存させて処理することが重要であり、もし炭酸イオンだけを存在させ、酸化剤を用いない場合は、大部分が鉛のオキシ塩化鉛が生成し、また、酸化剤だけを用いて、炭酸イオンを存在させないと、大部分が鉛の酸化物を生成する。このため所期の生成物をえることができないことを見出した。
【0005】
即ち、この出願によれば、以下に示す鉛含有排水の処理方法が提供される。
〈1〉鉛含有排水中に含まれる鉛イオンを除去する方法において、排水中に次亜塩素酸ナトリウムと炭酸イオンを存在させた状態で、排水中にアルカリを添加することにより、排水中に含まれる鉛イオンをヒドロオキシ炭酸塩を含む不溶物として不溶化させることにより、排水中から分離除去することを特徴とする鉛イオンの除去方法。
〈2〉該水中に炭酸イオン発生剤を添加する〈2〉の方法。
〈3〉該炭酸イオン発生剤が炭酸ナトリウムからなる〈1〉又は〈2〉に記載の方法。
〈4〉排水中に、さらに多価金属化合物を存在させる〈1〉〜〈3〉のいずれかの方法。
〈5〉排水中に存在させる多価金属化合物が塩化第2鉄からなる〈1〉〜〈4〉のいずれかの方法。
〈6〉排水中に、凝集剤を添加する〈1〉〜〈5〉のいずれかの方法。
〈7〉〈1〉の方法において供給される次亜塩素酸ナトリウム及び存在させる炭酸イオンが薬剤として供給されるものであり、その薬剤が、(1)次亜塩素酸ナトリウム、及び(2)水溶性炭酸塩化合物との混合物からなることを特徴とする薬剤。
〈8〉〈1〉の方法において供給される次亜塩素酸ナトリウム及び存在させる炭酸イオンが薬剤として供給されるものであり、その薬剤が、(1)次亜塩素酸ナトリウム、(2)水溶性炭酸塩化合物及び(3)水酸化ナトリウムとの混合物からなることを特徴とする薬剤。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明で処理対象とする鉛含有排水は、鉛イオンを含む被処理水であり、被処理水中の鉛の濃度は特に規定されないが通常の鉛含有排水の鉛濃度は、0.001〜10g/L、特に0.002〜2g/Lの範囲にある。これ以上の濃度のものを対象にする場合には、必要に応じて水酸化物沈殿として処理した後、本発明の処理を行うなどの2段処理を行う方が経済的に好ましい。
被処理水の具体例としては、例えば、メッキ排水、電池製造工場排水、自動車部品工場排水、塗料工場排水等が挙げられる。
この場合に、鉛イオン以外の金属イオンを含む場合においても、これらの金属は水酸化物として沈殿除去されるので、特に問題がなく、逆に共沈効果が期待でき好ましい場合が多い。
排水の中には、場合によって、Fe、Ni、Zn、Cuなどの金属イオンが含まれていることがあるが、これらを含んだままであっても処理することができる。
【0007】
本発明の排水処理では、該水中に、次亜塩素酸ナトリウム(以下、酸化剤ともいう)存在させること、次に、被処理水中にアルカリを添加して、該水中に含まれる溶存鉛イオンをhydrocerrussite(ヒドロオキシ炭酸鉛)などのミネラル様物質の不溶物を生成させること、または、被処理水中にアルカリを添加して、次に酸化剤と炭酸イオンの存在下させることにより、該水中に含まれる溶存鉛イオンをhydrocerrussite(ヒドロオキシ炭酸鉛)などのミネラル様物質の不溶物を生成させることが重要である。また、不溶性のミネラル様物質には、場合によって、鉛の水酸化物や炭酸塩の状態で含まれることがある。
【0008】
酸化剤と炭酸イオンを存在させることは以下のようにする。
【0009】
本発明では次亜塩素酸ナトリウムを処理しようとする排水中に添加する。この酸化剤は、鉛水酸化物を酸化物に変換させることができるものである。
【0010】
本発明で被処理水中に添加する酸化剤として、次亜塩素酸ナトリウムを使用する。その量は、水中の鉛イオンなどを、不溶性物質であるhydrocerrussite(ヒドロオキシ炭酸鉛)などのミネラル様物質に変換できる量が必要であり、一般には、鉛1重量部に対して、次亜塩素酸ナトリウム(有効塩素、12%)溶液の量は、0.1〜100重量部、好ましくは0.5〜50重量部、より好ましくは1〜25重量部である。
【0011】
本発明の実施において、被処理水中に炭酸イオンが存在しなければならないが、炭酸イオンの量は鉛1モルに対し、0.1〜10モル、好ましくは0.5〜5モルである。鉛を含有する排水には酸性排水が多く、一般には十分な炭酸イオンを含まない例が多い。この場合、炭酸イオンを発生させる化合物(炭酸イオン発生剤)を添加し、炭酸イオンを供給することが必要である。
【0012】
炭酸イオン発生剤としては、水中で炭酸イオンを発生する化合物であれば任意のものが使用可能である。炭酸イオン発生剤を処理しようとする排水中に添加する。このような炭酸イオン発生剤としては具体例としては、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の水溶性炭酸塩などの化合物を添加することにより行われる。場合によって、炭酸ガス等を直接供給することによっても行うことができる。
【0013】
被処理水中に溶存する鉛を不溶化するためのアルカリとしては、従来公知のものが用いられる。これは,pH調節の役割をはたす。
このようなものには、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウムの他、水酸化マグネシウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化アンモニウム等が包含される。本発明では、特に、スラッジを削減する点から水酸化ナトリウムの使用が好ましいが、水酸化カルシウムを使用してもかまわない。
【0014】
被処理水に対するアルカリの添加量は、その水中に溶存する鉛が不溶化する量であればよく、一般的には、その処理水のpHを6〜12、好ましくは7〜10の範囲にコントロールするような量であればよい。
【0015】
本発明の操作では、被処理水中に単にアルカリのみを添加する場合には、一般に鉛は水酸化物を生成するにすぎないが、酸化剤と炭酸イオンが共存すると、不溶性のhydrocerrussite(ヒドロオキシ炭酸鉛)などのミネラル様物質を生成させることができ、被処理水液中から分離除去することができる。
本発明では、酸化剤と炭酸イオンは共存する必要があり、もし炭酸イオンだけで酸化剤が存在しないと、大部分が鉛のオキシ塩化鉛になる。また、もし酸化剤だけで炭酸イオンが存在しないと、大部分が鉛の酸化物になるだけである。
【0016】
被処理水に酸化剤を添加する時点は、特に制約されず、アルカリを添加する以前、アルカリの添加と同時又はアルカリを添加した後であることができる。
【0017】
また、被処理水中に必要とする十分な炭酸イオンが存在しない場合は、炭酸イオン発生剤を被処理水に添加する。被処理水に炭酸イオン発生剤を添加する時点は、特に制約されず、アルカリを添加する以前、アルカリの添加と同時又はアルカリを添加した後であることができる。
【0018】
炭酸イオン発生剤の添加時点は、特に制約されず、酸化剤の添加前、添加時又は添加後であるが、好ましくは酸化剤の添加直前又は添加と同時である。
【0019】
本発明の実施において、被処理水中にアルカリ添加によって水酸化物沈殿を生成させる際に、多価金属イオンを存在させることが望ましい。多価金属イオンの作用により、鉛イオンは水酸化物沈殿として共沈、あるいは水酸化物沈殿への吸着により、生成する鉛の不溶化物の沈殿除去を促進させることができる。
【0020】
本発明では、被処理水中にあらかじめ多価金属イオンが共存している場合にはあえて添加する必要がない。多価金属化合物が存在しない場合、あるいは存在しても沈降性の良いスラッジが得られない程度にしか存在しない場合には、多価金属化合物を添加し供給することが有効である。多価金属イオンの量は、沈降性が良いスラッジが得られれば良く特に制約されないが、0.5〜100mg/l、好ましくは1〜30mg/lであり、多すぎるとスラッジの量が増えるため好ましくない。
【0021】
前記多価金属化合物を構成する金属は、一般の排水処理に使われていて環境に対して害とならないものが好ましい。具体的には、このような金属としてカルシウム化合物や、アルミニウム化合物、鉄化合物等が包含される。それらの具体例としては、例えば、塩化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、ポリ塩化鉄、ポリ硫酸鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄及び硫酸第二鉄等が挙げられる。本発明の実施においては汎用性が高いことと、最終的にpHを10付近に調整すること、及びコストの点から塩化第二鉄の使用が好ましい。
【0022】
本発明の酸化剤及び炭酸イオンを存在させるためには、以下の薬剤が用いられる。
本発明の薬剤の好ましい1つの態様(薬剤A)は、(1)次亜塩素酸ナトリウムと(2)炭酸ナトリウム等の水溶性炭酸塩からなる薬剤、(1)次亜塩素酸ナトリウム、(2)炭酸ナトリウム等の水溶性炭酸塩、及び(3)水酸化ナトリウムの混合物からなる薬剤がある。
【0023】
本発明の薬剤Aを好ましく製造するには、以下のようにする。
(イ) 先ず、有効塩素濃度8〜13%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液に、これに炭酸塩を加えて溶解させる。炭酸塩の割合は、次亜塩素酸ナトリウムの有効塩素1モル当たり、0.001〜1モル、好ましくは0.01〜0.5モルである。この場合には、水酸化アルカリが添加されないので、結晶の析出などがおこることがある。
(ロ)先ず、有効塩素濃度8〜13%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液に、水酸化ナトリウムを溶解させ、これに炭酸塩を加えて溶解させる。この場合、水酸化ナトリウムの割合は、次亜塩素酸ナトリウムの有効塩素1モル当り、0.01〜1モル、好ましくは0.1〜1モルである。また、炭酸塩の割合は、次亜塩素酸ナトリウムの有効塩素1モル当たり、0.001〜1モル、好ましくは0.01〜0.5モルである。
【0024】
本発明の薬剤Aを被処理水に添加する場合、被処理水のpHは特に制約されないが、特に強い酸性の排水に添加するのは、薬剤が分解されるため好ましくない。このような排水については、あらかじめアルカリを添加し、被処理水のpHを2〜4付近に調整しておくのがよい。アルカリとしては、従来公知のものが用いられる。このようなものには、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウムの他、水酸化マグネシウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化アンモニウム等が包含される。本発明では、特に、スラッジを削減する点から水酸化ナトリウムの使用が好ましいが、水酸化カルシウムを使用してもかまわない。
【0025】
薬剤Aの添加量は、鉛1モルに対し、薬剤Aに含まれる有効塩素量として、0.5〜50モル、好ましくは1〜20モル、より好ましくは1〜10モルとなる量である。
【0026】
本発明においては、凝集剤を併用するのが好ましい。この場合の凝集剤は、フロックの凝集に用いられているものであり、このようなものには、塩化カルシウム.0、塩化第1鉄、塩化第2鉄、硫酸第1鉄、硫酸第2鉄、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム等の無機系凝集剤の他、ポリアクリルアミドのカチオン化変性物、ポリアクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、ポリメタクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、ポリエチレンイミン、キトサン等のカチオン性有機系凝集剤、ポリアクリルアミド等のノニオン性有機系凝集剤、ポリアクリル酸、アクリルアミドとアクリル酸との共重合体及びその塩等のアニオン性有機系凝集剤が包含される。本発明においては、前記多価金属化合物が無機系の凝集剤として作用するが、フロックの成長をさらに促すため、必要に応じて、無機系凝集剤、さらには有機系凝集剤を添加するのがよい。この場合、無機系の凝集剤の添加は、被処理水に対し、薬剤の添加前、添加後のいずれでもよい。有機系の凝集剤は、一般の水処理同様、最後に添加するのがよい。
【0027】
本発明の処理を施した後のフロックを含む被処理水は、固液分離処理される。この場合の固液分離方法としては、慣用の方法、例えば、濾過分離、遠心分離、加圧浮上分離、沈降分離等が挙げられる。
このようしてにして得られる処理排水は、従来の水酸化物として沈殿させる場合の得られる排水濃度である、0.5mg/1以下すなわち、0.02mg/l以下とすることができる。これは、従来の、水酸化物の生成による除去に比較して、オーダーが一桁下の結果が得られる。
【0028】
本発明によれば、沈殿として生成された鉛化合物は鉛水酸化物でなく、不溶性のhydrocerrussite (ヒドロオキシ炭酸鉛)などのミネラル様物質であるため溶解度が低い。このため、キレート剤等による二段処理が必要なく、本発明による処理のみで排水基準の厳しい鉛を処理することが可能になる。
【0029】
【実施例】
次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
【0030】
参考例1
次亜塩素酸ソーダ水溶液(工業用)(有効塩素12%)1リットルに、水酸化ナトリウム43gを溶解したものに、炭酸ナトリウム36gを加えて溶解させた。この溶液を薬剤Aとする。
【0031】
実施例1
純水にPbCl2結晶を溶解し、Pbの濃度が、10mg/lのモデル排水を調製した。この液に、薬剤Aを0.1ml/l添加し10分間攪拌後、NaOH(1N)でpH10に調整した。次に、高分子凝集剤AP120C(0.1%)を固形分換算で3mg/l添加して10分静置後、Pb濃度をフレームレス原子吸光光度法で測定したところ、0.012mg/lであった。
【0032】
実施例2
鉛の濃度が7.7mg/lのA工場排水(pH1.8)を、1N水酸化ナトリウムでpH3に調整した後、薬剤Aを0.1ml/l添加し10分間攪拌後、水酸化ナトリウムでpH10に調整した。高分子凝集剤AP805C(0.1%)を固形分換算で1mg/l添加し10分静置後、Pb濃度をフレームレス原子吸光光度法で測定したところ、0.042mg/lであった。
【0033】
実施例3
実施例2の工場排水を、1N水酸化ナトリウムでpH9に調整した後、薬剤Aを0.1ml/l添加し10分間攪拌後、水酸化ナトリウムでpH10に調整した。高分子凝集剤AP805C(0.1%)を固形分換算で1mg/l添加し10分静置後、Pb濃度をフレームレス原子吸光光度法で測定したところ、0.045mg/lであった。
【0034】
実施例4
実施例2の工場排水に、工業用塩化第二鉄(37.5%)を0.1ml/l添加後、実施例2と同様に、1N水酸化ナトリウムでpH3に調整し、次に、薬剤Aを0.1ml/l添加し10分間攪拌後、水酸化ナトリウムでpH10に調整した。高分子凝集剤AP805C(0.1%)を固形分換算で1mg/l添加し10分静置後、Pb濃度をフレームレス原子吸光光度法で測定したところ、0.006mg/lであった。また、塩化第二鉄を添加しない実施例2,3に比べはるかに成長したフロックが得られることが、一瞥で確認された。
【0035】
実施例5
鉛の濃度が6.2mg/lのT工場排水(pH3.1)に、薬剤Aを0.1ml/l添加し10分間攪拌後、水酸化ナトリウムでpH10に調整した。高分子凝集剤AP805C(0.1%)を固形分換算で1mg/l添加し10分静置後、Pb濃度をフレームレス原子吸光光度法で測定したところ、0.042mg/lであった。
【0036】
実施例6
実施例5の工場排水に、工業用塩化第二鉄(37.5%)を0.1ml/l添加後、実施例5と同様に、薬剤Aを0.1ml/l添加し10分間攪拌後、水酸化ナトリウムでpH10に調整した。高分子凝集剤AP805C(0.1%)を固形分換算で1mg/l添加し10分静置後、Pb濃度をフレームレス原子吸光光度法で測定したところ、0.005mg/lであった。また、塩化第二鉄を添加しない実施例5に比べはるかに成長したフロックが得られることが、一瞥で確認された。
【0037】
実施例7
純水にPbCl2結晶を溶解し、Pbの濃度が、1000mg/lのモデル排水を調製した。この液に、薬剤Aを2.5ml/l添加し、NaOH(1N)でpH10に調整した。10分攪拌後、高分子凝集剤AP120C(0.1%)を固形分換算で3mg/l添加して10分静置後、Pb濃度をフレームレス原子吸光光度法で測定したところ、0.051mg/lであった。このときのスラッジの色は、明茶色で、風乾後のX線回折からスラッジは、Pb3(CO3)2(OH)2(ヒドロオキシ炭酸鉛)であることが明らかになった。
【0038】
比較例1
実施例2の工場排水に、薬剤Aの調製に用いたと同じ次亜塩素酸ソーダ水溶液2.5ml/l添加し、NaOH(1N)でpH10に調整した。10分攪拌後、高分子凝集剤AP120C(0.1%)を固形分換算で3mg/l添加して10分静置後、Pb濃度をフレームレス原子吸光光度法で測定したところ、0.130mg/lであった。このときのスラッジの色は、橙茶色で、風乾後のX線回折からスラッジは、Pb2O3(酸化鉛)であることが明らかになった。
【0039】
比較例2
実施例2の工場排水に、3.6%炭酸ナトリウム溶液(薬剤Aの炭酸ナトリウムと同濃度)2.5ml/l添加し、NaOH(1N)でpH10に調整した。10分攪拌後、高分子凝集剤AP120C(0.1%)を固形分換算で3mg/l添加して10分静置後、Pb濃度をフレームレス原子吸光光度法で測定したところ、0.098mg/lであった。このときのスラッジの色は、白色で、風乾後のX線回折からスラッジは、Pb4O3Cl2(オキシ塩化鉛)で、一部Pb3(CO3)2(OH)2が含まれていることが明らかになった。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、被処理水中の鉛イオンをpH調整による一段処理で排水基準以下にまで処理できる。これにより、硫黄系重金属捕集剤や高分子重金属捕集剤(キレート高分子)を使う二段処理が必要なくなり、その分発生するスラッジの量を削減することができる。
Claims (8)
- 鉛含有排水中に含まれる鉛イオンを除去する方法において、排水中に次亜塩素酸ナトリウムと炭酸イオンを存在させた状態で、排水中にアルカリを添加することにより、排水中に含まれる鉛イオンをヒドロオキシ炭酸塩を含む不溶物として不溶化させることにより、排水中から分離除去することを特徴とする鉛イオンの除去方法。
- 該水中に炭酸イオン発生剤を添加する請求項1の方法。
- 該炭酸イオン発生剤が炭酸ナトリウムからなる請求項1又は2に記載の方法。
- 排水中に、さらに多価金属化合物を存在させる請求項1〜3のいずれかの方法。
- 排水中に存在させる多価金属化合物が塩化第2鉄からなる請求項1〜4のいずれかの方法。
- 排水中に、凝集剤を添加する請求項1〜5のいずれかの方法。
- 請求項1の方法において供給される次亜塩素酸ナトリウム及び存在させる炭酸イオンが薬剤として供給されるものであり、その薬剤が、(1)次亜塩素酸ナトリウム、及び(2)水溶性炭酸塩化合物との混合物からなることを特徴とする薬剤。
- 請求項1の方法において供給される次亜塩素酸ナトリウム及び存在させる炭酸イオンが薬剤として供給されるものであり、その薬剤が、(1)次亜塩素酸ナトリウム、(2)水溶性炭酸塩化合物及び(3)水酸化ナトリウムとの混合物からなることを特徴とする薬剤。
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