JP4051816B2 - 二重チューブにおける内筒チューブ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、二重チューブの内筒チューブに関し、さらに詳しくは合成樹脂製の内筒チューブ内にマンドレルを挿入し易くすると共に、外筒チューブ内に内筒チューブを挿入する作業の円滑化を図った二重チューブにおける内筒チューブに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、アルミニウム製等の金属製の外筒チューブ内に、ポリエチレン等の合成樹脂製の内筒チューブが挿入された二重チューブが使用されている。このような二重チューブは、酸性、アルカリ性によって腐蝕されるので、内側の内筒チューブが直接内容物と接触し、内容物が外筒チューブと接触するのを防止するように構成されたものである。
【0003】
このような従来の二重チューブにおける内筒チューブとしては、図5〜図8に示すようなものがある。図5中、50は内筒チューブであり、この内筒チューブ50が図8に示すように、アルミニウム製の外筒チューブ52内に挿入されている。そして、内筒チューブ50の口部上端51は、外筒チューブ52の口部先端53において、外方に二重に折曲され、外筒チューブ52の口部先端53を包み覆い、その外方から中栓体54が圧接して密着されることにより、中栓体54の天面54aで、内筒チューブ50の口部上端51が、外筒チューブ52の口部先端53に強く圧接されている。そして、内容物55がこの密着部を通して外部へ逸出しないように構成されている。
【0004】
これにより内容物55が、外筒チューブ52の口部先端53付近において、外筒チューブ52の金属部分に接触するのを防止することができる。一方、外筒チューブ52の裾部56は、外筒チューブ52の内側に内筒チューブ50が積層された状態で、外筒チューブ52と内筒チューブ50とが、同時に巻締められることにより密封されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の発明にあっては、内筒チューブ50がブロー成形された後、自然冷却された場合、図6及び図7に示すように内筒チューブ50が断面楕円形状に変形するため、内筒チューブ50内に円柱形状のマンドレルを挿入する作業が頗る困難となる。そして、マンドレルに保持された内筒チューブの外筒チューブへの挿入作業が滞るという欠点があった。
【0006】
この発明は、このような従来の課題に着目してなされたもので、内筒チューブ内にマンドレルを挿入する作業を容易にすることにより、内筒チューブの外筒チューブへの挿入作業の円滑化を図ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するため、この発明はアルミニウム等の金属製の外筒チューブ内に、合成樹脂製の内筒チューブが、挿入されて成る二重チューブにおいて、内筒チューブの外周に少なくとも1本の変形防止用の縦溝を形成したことを特徴とし、その実施の態様として、変形防止用の縦溝が内筒チューブのパーティングラインを中心として、90度変位した部位に2本形成されたことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1〜図4は、この発明に係る実施の形態を示す図面である。図1〜図3は、この発明に係る二重チューブの内筒チューブ1を示す図面であり、図1はその正面図、図2は図1のA−A線端面図、図3は図2の拡大端面図である。内筒チューブ1は、口部2、胴部3及び裾部4とから構成され、そして口部2の先端から胴部3及び裾部4にかけて、パーティングライン5が形成されている。
【0009】
このパーティングライン5は、図2に示すように、180度対向する部位に2本形成されている。これは、ブロー成形金型が2分割されるからである。そして、このパーティングライン5を中心として、90度変位した部位の胴部3には、2本の縦溝6が形成されている。すなわち、図2に示すように縦溝6、内筒チューブ1の中心及びパーティングライン5の形成する角度(B1,B2,B3)が直角を形成するように、縦溝6が内筒チューブ1の胴部3の上方から裾部4にかけて形成されている。この実施の形態では、2本の縦溝6が形成されているが、必要に応じて、3本又は4本等の縦溝6を形成してもよい。この縦溝6の肉厚は、t1と同等又は、より薄く形成されている。
【0010】
図4は、マンドレル10に支持された内筒チューブ1が、外筒チューブ7に挿入される状態、及び中栓体8を外筒チューブ7の口部9に嵌合する状態を示している。内筒チューブ1の口部2は、二重に折曲されて外筒チューブ7の口部9の先端を覆い、上方から中栓体8が嵌入され、この中栓体8の天面8aが口部9を強く押圧している。そして、中栓体8にキャップ(図示せず)が螺合された後、裾部4の開口から内容物が収納され、内筒チューブ1の裾部4は、外筒チューブ7の裾部11と同時巻締めされて密封される。
【0011】
次に、この発明の作用について説明する。ブロー成形金型によって成形された内筒チューブ1は、成形後、時間の経過に伴って自然冷却される。そして、従来ブロー成形後に自然冷却された内筒チューブは、図6及び図7に示すように、その胴部が断面楕円形状に変形するという問題があった。その理由は図5に示すように、内筒チューブ50は、成形直後に通常2分割される成形金型によって成形されるが、この内筒チューブ50のパーティングライン57の部位の肉厚h2は、90度変位した部位の肉厚h1より若干薄く形成されている。そして、成形直後においては、胴部は真円に近い形状で成形されるが、冷却に伴い、薄い肉厚h2の部位は厚い肉厚h1の部位より早く冷却し、この際、図7に示す矢印イ方向に収縮力が働く。そして、素材が顕著に矢印イ方向に引張られるため、冷却後には胴部が楕円形状に変形することが従来判明している。
【0012】
そこで、発明者等は、図3に示すように、パーティングライン5から90度変位した厚い肉厚の部位に、2本の縦溝6を形成することにより、胴部3が断面楕円形状に変形するのを防止することを見いだしたのである。すなわち、図3において、薄い肉厚t2の部位は厚い肉厚t1の部位より早く冷却し、この際、図3に示す矢印a方向に素材が収縮しようとするが、この矢印a方向と反対方向の、縦溝6に向う矢印b方向の収縮力を新たに生ぜしめることにより、冷却後においても、内筒チューブ1の胴部3を、真円に近い形状に保持することができたのである。この縦溝6の形成により冷却時において、内筒チューブ1の胴部3を、略均一な収縮比率で収縮することができる。
【0013】
【発明の効果】
以上説明してきたように、この発明によれば、内筒チューブの胴部が真円に近い状態に保持されるので、マンドレルの内筒チューブへの挿入が容易になると共に、内筒チューブの外筒チューブへの挿入作業が、頗る円滑化される効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る二重チューブにおける内筒チューブを示す正面図。
【図2】図1のA−A線端面図。
【図3】図2の拡大端面図。
【図4】この発明に係る二重チューブを分解した状態を示す断面図。
【図5】従来の内筒チューブを示す正面図。
【図6】図5のC−C線端面図。
【図7】図6の拡大端面図。
【図8】従来の二重チューブを示す断面図。
【符号の説明】
1 内筒チューブ
5 パーティングライン
6 縦溝
7 外筒チューブ

Claims (2)

  1. アルミニウム等の金属製の外筒チューブ内に、合成樹脂製の内筒チューブが挿入されて成る二重チューブにおいて、内筒チューブの外周に、少なくとも1本の変形防止用の縦溝を形成したことを特徴とする二重チューブにおける内筒チューブ。
  2. 前記変形防止用の縦溝が、内筒チューブのパーティングラインを中心として、90度変位した部位に、2本形成されたことを特徴とする請求項1記載の二重チューブにおける内筒チューブ。
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