JP4051554B2 - サスペンションクロスメンバ - Google Patents

サスペンションクロスメンバ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、サスペンションクロスメンバに係り、詳しくは、二股に分岐して延びる両端に一対のロアアームの前側アームと後側アームとがそれぞれ連結される構成のサスペンションクロスメンバの構造に関する。
【0002】
【関連する背景技術】
モノコック構造からなる車体では、特に入力の大きいフロントサスペンションの配設部位の強度及び剛性を増すため、車両幅方向に渡すようにしてサスペンションクロスメンバを車体下面に配設するようにしている。
サスペンションクロスメンバの左右両端には、車輪(前輪)を支持するロアアームの前側アームと後側アームとがそれぞれ連結されるため、また周辺にトランスミッション等種々の機器が配設されるため、当該左右両端は一般には分岐基端部で二股に分岐した形状を呈しており、分岐した車両前方部分に前側アームが連結部材を介して連結され、車両後方部分に後側アームが連結部材を介して連結されている。
【0003】
そして、サスペンションクロスメンバでは、軽量化等の理由から、通常アッパメンバプレートとロアメンバプレートとを重ね合わせて周縁を接合した閉断面構造が採用されている。
両端が二股に分岐した形状のサスペンションクロスメンバにおいては、車両の制動時等においてロアアームから前側アーム及び後側アームを介して車両後方に向かう入力があると、分岐基端部近傍を中心として車両前方部分や車両後方部分を回転させようとする様々な回転力が作用する。故に、アッパメンバプレートとロアメンバプレートとを重ね合わせた構造では、このように、二股に分岐した車両前方部分と車両後方部分とに分岐基端部近傍を中心とする回転力が作用すると、大きなモーメントの作用する車両前方部分の付け根部位と車両後方部分の付け根部位とが過度の入力により曲げ変形を起こす可能性がある。
【0004】
そこで、分岐した車両前方部分の付け根部位と車両後方部分の付け根部位の剛性を高めるべく、これら車両前方部分の付け根部位と車両後方部分の付け根部位とに補強用のバルクヘッドをそれぞれ独立に介装し接合する技術が開発されている(特許文献1参照)。
また、最近では、さらなる軽量化等を図るため、両端の二股に分岐した分岐基端部近傍でアッパメンバプレートとロアメンバプレートとを接合せず乖離して開口させ、ロアアームの後側アームについては当該開口から挿入し、閉断面の内部で連結部材を設けずにアッパメンバプレートとロアメンバプレートとで直接挟み込むように連結する構造が採用されつつあり、係る構造においては、上記問題は顕著である。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−270837号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記車両前方部分や車両後方部分を回転させようとする様々な回転力は、車両前方部分や車両後方部分に一定の幅があるため、分岐基端部近傍、即ち分岐基端部からある程度離れたところを中心に作用する。故に、分岐基端部では車両前方部分を回転させようとする力と車両後方部分を回転させようとする力とが重なり、応力集中が生じる。
【0007】
特に、上記特許文献1に開示されるサスペンションクロスメンバのように、車両前方部分の付け根部位と車両後方部分の付け根部位とにそれぞれ独立にバルクヘッドを設けると、車両前方部分と車両後方部分の各々については変形が防止されるものの、その反面、分岐基端部に過大な応力集中が発生するという問題がある。
【0008】
とりわけ、スペース等の関係からロアアームの前側アームの取付け点は分岐基端部から遠く離れる傾向にあり、車両前方部分を回転させようとする力により生じる応力集中が問題である。
このように、分岐基端部に過大な応力集中が起こると、例えば分岐基端部に亀裂が生じ、疲労破壊等を引き起こすおそれがあり好ましいことではない。
【0009】
この場合、アッパメンバプレートとロアメンバプレートとの板厚を厚くすることも考えられるが、コストアップや重量増に繋がり現実的ではない。
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、アッパメンバプレートとロアメンバプレートとが閉断面を形成するよう周縁で接合されて一体に構成されるとともに両端が車両前後方向前側の車両前方部分と後側の車両後方部分とに分岐基端部で二股に分岐して延び、車輪を支持する一対のロアアームの前側アームの支持点を上記車両前方部分にそれぞれ有するとともに後側アームの支持点を上記車両後方部分にそれぞれ有したサスペンションクロスメンバにおいて、簡単な構成にして分岐基端部での応力集中を低減したサスペンションクロスメンバを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、請求項1のサスペンションクロスメンバでは、アッパメンバプレートとロアメンバプレートとが閉断面を形成するよう周縁で接合されて一体に構成されるとともに両端が車両前後方向前側の車両前方部分と後側の車両後方部分とに分岐基端部で二股に分岐して延び、車輪を支持する一対のロアアームの前側アームの支持点を前記車両前方部分にそれぞれ有するとともに後側アームの支持点を前記車両後方部分にそれぞれ有し、車体下面に車両幅方向に延びて取り付けられるサスペンションクロスメンバにおいて、前記アッパメンバプレートと前記ロアメンバプレートとの間に、前記後側アームの支持点よりも車両幅方向内側に設けられ、一端が前記分岐基端部の近傍で前記アッパメンバプレートと前記ロアメンバプレートと接合され、他端が前記アッパメンバプレートの内面及び前記ロアメンバプレートの内面に沿い車両前後方向後側に向けて延び且つこれらアッパメンバプレートとロアメンバプレートとに接合されてなる第1のバルクヘッドと、前記前側アームの支持点よりも車両幅方向内側に設けられ、一端が前記分岐基端部の近傍で前記第1のバルクヘッドと接合され、他端が前記アッパメンバプレートの内面及び前記ロアメンバプレートの内面に沿い車両前後方向前方に向けて延び且つこれらアッパメンバプレートとロアメンバプレートと接合されてなる第2のバルクヘッドとを備えたことを特徴としている。
【0011】
従って、アッパメンバプレートやロアメンバプレートの撓みや凹みが防止されるとともに、ロアアームに車両後方に向かう入力があり、前側アームを介して車両前方部分を後方へ回転させようとする回転力が作用しても、二股に分岐する車両前方部分の付け根部位に、一端が分岐基端部の近傍で第1のバルクヘッドに接合される第2のバルクヘッドを渡すことにより、車両前方部分の回転力が第2のバルクヘッドを介して圧縮力(突張力)として第1のバルクヘッドに作用することになり、車両前方部分の回転が抑制されて分岐基端部に掛かる力が緩和され、分岐基端部における応力集中が低減する。
【0012】
また、請求項2のサスペンションクロスメンバでは、アッパメンバプレートとロアメンバプレートとが車両前後方向前側の車両前方部分と後側の車両後方部分とに二股に分岐して延びる両端の分岐基端部近傍でそれぞれ乖離して開口し且つ該開口する部分を除き閉断面を形成するよう周縁で接合されて一体に構成され、車輪を支持する一対のロアアームの前側アームの支持点を前記車両前方部分に前記閉断面の外部に位置してそれぞれ有するとともに前記開口から挿入される後側アームの支持点を前記車両後方部分に前記閉断面の内部に位置してそれぞれ有し、車体下面に車両幅方向に延びて取り付けられるサスペンションクロスメンバにおいて、前記アッパメンバプレートと前記ロアメンバプレートとの間に、前記後側アームの支持点よりも車両幅方向内側に設けられ、周縁が前記開口の前記前側アーム側の乖離開始点から前記アッパメンバプレートの内面及び前記ロアメンバプレートの内面に沿い車両前後方向後側に向けて延び且つこれらアッパメンバプレートとロアメンバプレートとに接合されてなる第1のバルクヘッドと、前記前側アームの支持点よりも車両幅方向内側に設けられ、一端が前記分岐基端部の近傍で前記第1のバルクヘッドと接合され、他端が前記アッパメンバプレートの内面及び前記ロアメンバプレートの内面に沿い車両前後方向前方に向けて延び且つこれらアッパメンバプレートとロアメンバプレートと接合されてなる第2のバルクヘッドとを備えたことを特徴としている。
【0013】
即ち、アッパメンバプレートとロアメンバプレートとの間には、二股に分岐する車両後方部分の付け根部位に、開口の前側アーム側の乖離開始点、即ち分岐基端部近傍からアッパメンバプレートの内面及びロアメンバプレートの内面に沿って車両前後方向後側に延びる第1のバルクヘッドが介装され、車両前方部分の付け根部位に、一端が分岐基端部の近傍で第1のバルクヘッドに接合され、他端がアッパメンバプレートの内面及びロアメンバプレートの内面に沿い車両前後方向前方に延びる第2のバルクヘッドが介装されている。
【0014】
従って、アッパメンバプレートやロアメンバプレートの撓みや凹みが防止されるとともに、ロアアームに車両後方に向かう入力があり、前側アームを介して車両前方部分を後方へ回転させようとする回転力が作用しても、車両前方部分の回転力が第2のバルクヘッドを介して圧縮力(突張力)として第1のバルクヘッドに作用することになり、車両前方部分の回転が抑制されて分岐基端部近傍に位置する乖離開始点に掛かる力が緩和され、乖離開始点における応力集中が低減する。
【0015】
これにより、例えば乖離開始点におけるアッパメンバプレートとロアメンバプレートとの接合の剥がれが防止される。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るサスペンションクロスメンバの実施形態を添付図面に基づき説明する。
図1には、本発明に係るサスペンションクロスメンバの上視図が示されており、図2には図1の矢視A方向から視た本発明に係るサスペンションクロスメンバの車両幅方向左側部分の斜視図が示されている。さらに、図3には図1の矢視B方向から視た本発明に係るサスペンションクロスメンバの側面図が示され、図4には図1の矢視C方向から視た本発明に係るサスペンションクロスメンバの内部構造が示されている。
【0017】
サスペンションクロスメンバ1は、フロントサスペンションの配設される部位の車体強度及び車体剛性を増すため、車両幅方向に渡すようにして車体下面(例えば、一対のサイドメンバ下面)に配設される部材である。故に、サスペンションクロスメンバ1の両側には、車両前方側に鋼材からなる支持部材2,3を介して一対の車体連結部材4,5がメンバ本体20に溶接して設けられ、車両後方側に車体連結部材6,7がメンバ本体20に溶接して設けられている。
【0018】
車体連結部材4,5,6,7は例えば金属ワッシャからなり、サスペンションクロスメンバ1は、車体連結部材4,5,6,7にボルトを通すことによって車体下面に取り付けられる。
詳しくは、メンバ本体20は、トランスミッション等種々の機器の配設スペース等の関係から、車両幅方向の左右両端が、車両前方部分30,31と車両後方部分32,33のように二股に分岐しており、車体連結部材4,5の支持部材2,3については車両前方部分30,31に、車体連結部材6,7については車両後方部分32,33の先端にそれぞれ溶接されている。
【0019】
図2、図3に示すように、メンバ本体20は、厚板鋼板からなるアッパメンバプレート22とロアメンバプレート23とから構成されている。詳しくは、メンバ本体20は、アッパメンバプレート22とロアメンバプレート23とが周縁フランジ24,25において重ね合わされ、開口27,28の部分を除いて周縁フランジ24,25が互いに溶接され、アッパメンバプレート22とロアメンバプレート23とで閉断面を形成するように構成されている。
【0020】
そして、車両前方部分30,31には、車輪WL,WRを支持するロアアーム100,101の前側アーム102,103を連結するアーム連結ブラケット8,9が溶接されている。
また、図2、図3に示すように、車両後方部分32,33には、ロアメンバプレート23上に位置してロアアーム100,101の後側アーム104,105を連結するアーム連結孔10,11が設けられている。つまり、前側アーム102,103のアーム連結ブラケット8,9についてはメンバ本体20の外部に設けられている一方、後側アーム104,105のアーム連結孔10,11については、アッパメンバプレート22とロアメンバプレート23からなる閉断面の内部に設けられている。即ち、後側アーム104,105については、上記開口27,28からアッパメンバプレート22とロアメンバプレート23からなる閉断面の内部に挿入されてアーム連結孔10,11においてメンバ本体20と連結される。
【0021】
開口27,28は、二股に分岐した車両前方部分30,31と車両後方部分32,33の分岐基端部P近傍(図1中○で囲った範囲)から車両後方部分32,33の先端に向けて周縁フランジ24,25が乖離するようにして形成されている。つまり、メンバ本体20は、分岐基端部P近傍に位置する周縁フランジ24と周縁フランジ25との乖離開始点Gから車両後方部分32,33の先端の車体連結部材6,7近傍までの間において開口している。
【0022】
なお、開口27,28は、乖離開始点Gから徐々に開口寸法が大きくなるように傾斜面を有して開口している。
一方、アッパメンバプレート22とロアメンバプレート23間の後側アーム104,105の連結点であるアーム連結孔10,11よりも車両幅方向内側には、前端41が上記乖離開始点Gに位置し、周縁が当該乖離開始点Gからアッパメンバプレート22の内面及びロアメンバプレート23の内面に沿って車両前後方向後側に向けて延び、後端42がメンバ本体20の後壁35と当接するようにして厚板鋼板製のバルクヘッド(第1のバルクヘッド)40,40がそれぞれ介装されている。
【0023】
つまり、車両後方部分32,33の付け根部位にバルクヘッド40,40が渡されている。
詳しくは、バルクヘッド40には、後端42を除き、乖離開始点Gに対応する前端41からアッパメンバプレート22及びロアメンバプレート23に沿うように連続し且つ開口27,28に向けて周縁フランジ43が形成されており、バルクヘッド40は、前端41に対応する当該周縁フランジ43の先端41aが上記乖離開始点Gに位置するように設けられている。
【0024】
バルクヘッド40の後端42はメンバ本体20の後壁35に溶接され、周縁フランジ43は所定位置においてアッパメンバプレート22とロアメンバプレート23とにそれぞれ溶接されている。
このようにバルクヘッド40が乖離開始点Gからアッパメンバプレート22の内面及びロアメンバプレート23の内面に沿って車両前後方向後側に向けて延び、アッパメンバプレート22とロアメンバプレート23に溶接されていると、分岐基端部P近傍とメンバ本体20の後壁35の内面との間、即ち車両後方部分32,33の付け根部位が補強され、剛性が向上することになり、図1に白抜き矢印で示すように車輪WL,WRから入力Fが作用し、当該入力Fの分力がロアアーム100,101の後側アーム104,105を介して車両後方部分32,33に作用しても、当該車両後方部分32,33の変形が防止される。
【0025】
また、アッパメンバプレート22とロアメンバプレート23間には、さらに、図4に示すように前端51が乖離開始点Gの近傍でバルクヘッド40,40と溶接され、周縁がアッパメンバプレート22の内面及びロアメンバプレート23の内面に沿って車両前後方向前側に向けて延び且つ後端52がメンバ本体20の前壁34に溶接されるようにして厚板鋼板製のバルクヘッド(第2のバルクヘッド)50,50がそれぞれ介装されている。
【0026】
つまり、車両前方部分30,31の付け根部位にバルクヘッド50,50がバルクヘッド40,40から滑らかに連続するように渡されている。
このように、バルクヘッド50,50がバルクヘッド40,40から滑らかに連続するように配設されていると、ロアアーム100,101に上記入力Fがあり、前側アーム102,103を介して車両前方部分30,31に矢印で示すような分力、即ち回転力F’が分岐基端部P近傍回りで生じても、回転力F’がバルクヘッド50を介して圧縮力(突張力)としてバルクヘッド40に作用することになり、車両前方部分30,31の回転が抑制されて分岐基端部Pに掛かる力が緩和され、分岐基端部Pにおける応力集中が低減される。
【0027】
なお、車両後方部分32,33に回転力が生じても、当該回転力がバルクヘッド40を介して圧縮力(突張力)としてバルクヘッド50に作用することになり、やはり分岐基端部Pに掛かる力が緩和され、分岐基端部Pにおける応力集中が低減される。
これにより、アッパメンバプレート22やロアメンバプレート23の板厚を厚くすることなくコスト低減と計量化とを図りながら、簡単な構成にして、例えば分岐基端部Pに亀裂が生じないようにでき、疲労破壊等を防止することができる。
【0028】
本実施形態の場合には、特に、開口27,28の乖離開始点Gに掛かる力を緩和できることになり、乖離開始点Gにおけるアッパメンバプレート22とロアメンバプレート23との溶接剥がれを防止することができる。
また、バルクヘッド40とバルクヘッド50とをアッパメンバプレート22とロアメンバプレート23との間に介装したことにより、メンバ本体20に車両上下方向で力が作用したとしても、アッパメンバプレート22やロアメンバプレート23が撓んだり凹んだりすることが防止される。
【0029】
以上で本発明に係るサスペンションクロスメンバの実施形態についての説明を終えるが、実施形態は上記実施形態に限られるものではない。
例えば、上記実施形態では、バルクヘッド40とバルクヘッド50とを別体としているが、可能であればこれらは一体であってもよい。
また、上記実施形態では、サスペンションクロスメンバ1が開口27,28を有する場合について説明したが、開口27,28を有さず、周縁フランジ24,25が全周に亘り溶接され、アッパメンバプレート22とロアメンバプレート23とで完全に閉断面の形成されたサスペンションクロスメンバであっても本発明を好適に適用可能である。
【0030】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明の請求項1のサスペンションクロスメンバによれば、アッパメンバプレートとロアメンバプレートとの間に、一端が分岐基端部の近傍でアッパメンバプレートとロアメンバプレートと接合され、他端がアッパメンバプレートの内面及びロアメンバプレートの内面に沿い車両前後方向後側に向けて延び且つこれらアッパメンバプレートとロアメンバプレートとに接合されてなる第1のバルクヘッドと、一端が分岐基端部の近傍で第1のバルクヘッドと接合され、他端がアッパメンバプレートの内面及びロアメンバプレートの内面に沿い車両前後方向前方に向けて延び且つこれらアッパメンバプレートとロアメンバプレートと接合されてなる第2のバルクヘッドとを備えるようにしたので、アッパメンバプレートやロアメンバプレートの撓みや凹みを防止できるとともに、ロアアームに車両後方に向かう入力があり、前側アームを介して車両前方部分を後方へ回転させようとする回転力が作用しても、車両前方部分の回転力を第2のバルクヘッドを介して圧縮力(突張力)として第1のバルクヘッドに作用させるようにでき、分岐基端部に掛かる力を緩和でき、分岐基端部における応力集中を低減させることができる。
【0031】
これにより、アッパメンバプレートやロアメンバプレートの板厚を厚くすることなくコスト低減と計量化とを図りながら、簡単な構成にして、例えば分岐基端部に亀裂が生じないようにでき、疲労破壊等を防止することができる。
また、請求項2のサスペンションクロスメンバによれば、アッパメンバプレートとロアメンバプレートとの間に、開口の前側アーム側の乖離開始点、即ち分岐基端部近傍からアッパメンバプレートの内面及びロアメンバプレートの内面に沿って車両前後方向後側に延びる第1のバルクヘッドと、一端が分岐基端部の近傍で第1のバルクヘッドに接合され、他端がアッパメンバプレートの内面及びロアメンバプレートの内面に沿い車両前後方向前方に延びる第2のバルクヘッドとを備えるようにしたので、アッパメンバプレートやロアメンバプレートの撓みや凹みを防止できるとともに、ロアアームに車両後方に向かう入力があり、前側アームを介して車両前方部分を後方へ回転させようとする回転力が作用しても、車両前方部分の回転力を第2のバルクヘッドを介して圧縮力(突張力)として第1のバルクヘッドに作用させるようにでき、分岐基端部近傍に位置する乖離開始点に掛かる力を緩和でき、乖離開始点における応力集中を低減させることができる。
【0032】
これにより、簡単な構成にして、例えば乖離開始点におけるアッパメンバプレートとロアメンバプレートとの接合の剥がれを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るサスペンションクロスメンバの上視図である。
【図2】図1の矢視A方向から視た本発明に係るサスペンションクロスメンバの車両幅方向左側部分の斜視図である。
【図3】図1の矢視B方向から視た本発明に係るサスペンションクロスメンバの側面図である。
【図4】図1の矢視C方向から視た本発明に係るサスペンションクロスメンバの内部構造図である。
【符号の説明】
1 サスペンションクロスメンバ
8,9 アーム連結ブラケット
10,11 アーム連結孔
20 メンバ本体
22 アッパメンバプレート
23 ロアメンバプレート
30,31 車両前方部分
32,33 車両後方部分
40 バルクヘッド(第1のバルクヘッド)
50 バルクヘッド(第2のバルクヘッド)
100,101 ロアアーム
P 分岐基端部

Claims (2)

  1. アッパメンバプレートとロアメンバプレートとが閉断面を形成するよう周縁で接合されて一体に構成されるとともに両端が車両前後方向前側の車両前方部分と後側の車両後方部分とに分岐基端部で二股に分岐して延び、車輪を支持する一対のロアアームの前側アームの支持点を前記車両前方部分にそれぞれ有するとともに後側アームの支持点を前記車両後方部分にそれぞれ有し、車体下面に車両幅方向に延びて取り付けられるサスペンションクロスメンバにおいて、
    前記アッパメンバプレートと前記ロアメンバプレートとの間に、
    前記後側アームの支持点よりも車両幅方向内側に設けられ、一端が前記分岐基端部の近傍で前記アッパメンバプレートと前記ロアメンバプレートと接合され、他端が前記アッパメンバプレートの内面及び前記ロアメンバプレートの内面に沿い車両前後方向後側に向けて延び且つこれらアッパメンバプレートとロアメンバプレートとに接合されてなる第1のバルクヘッドと、
    前記前側アームの支持点よりも車両幅方向内側に設けられ、一端が前記分岐基端部の近傍で前記第1のバルクヘッドと接合され、他端が前記アッパメンバプレートの内面及び前記ロアメンバプレートの内面に沿い車両前後方向前方に向けて延び且つこれらアッパメンバプレートとロアメンバプレートと接合されてなる第2のバルクヘッドと、
    を備えたことを特徴とするサスペンションクロスメンバ。
  2. アッパメンバプレートとロアメンバプレートとが車両前後方向前側の車両前方部分と後側の車両後方部分とに二股に分岐して延びる両端の分岐基端部近傍でそれぞれ乖離して開口し且つ該開口する部分を除き閉断面を形成するよう周縁で接合されて一体に構成され、車輪を支持する一対のロアアームの前側アームの支持点を前記車両前方部分に前記閉断面の外部に位置してそれぞれ有するとともに前記開口から挿入される後側アームの支持点を前記車両後方部分に前記閉断面の内部に位置してそれぞれ有し、車体下面に車両幅方向に延びて取り付けられるサスペンションクロスメンバにおいて、
    前記アッパメンバプレートと前記ロアメンバプレートとの間に、
    前記後側アームの支持点よりも車両幅方向内側に設けられ、周縁が前記開口の前記前側アーム側の乖離開始点から前記アッパメンバプレートの内面及び前記ロアメンバプレートの内面に沿い車両前後方向後側に向けて延び且つこれらアッパメンバプレートとロアメンバプレートとに接合されてなる第1のバルクヘッドと、
    前記前側アームの支持点よりも車両幅方向内側に設けられ、一端が前記分岐基端部の近傍で前記第1のバルクヘッドと接合され、他端が前記アッパメンバプレートの内面及び前記ロアメンバプレートの内面に沿い車両前後方向前方に向けて延び且つこれらアッパメンバプレートとロアメンバプレートと接合されてなる第2のバルクヘッドと、
    を備えたことを特徴とするサスペンションクロスメンバ。
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