JP6883934B2 - 車両前部構造 - Google Patents
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Description
同文献に記載の車両前部構造は、車体前部の骨格部材として、左右一対のフロントサイドメンバを備えている。これら一対のフロントサイドメンバは、車幅方向に間隔を隔てて車両の下部に配置され、かつ車両前後方向に延びており、これらフロントサイドメンバの下側には、フロントサスペンションのサスペンションメンバが取付けられている。一方、前記一対のフロントサイドメンバの上側には、フロア部が接合されるが、このフロア部は、ダッシュパネルの後端部とフロントフロアパネルの前端部とを接合して構成され、かつこのフロア部のうち、車幅方向略中央部には、車両前後方向に延びるフロアトンネル部が設けられている。このフロアトンネル部の基部を補強するための補強部材(インナトルクメンバ)の前部は、インナトルクボックスを介してフロントサイドメンバに連結されている。このような構成によれば、インナトルクボックスの存在により、車体強度が高められる。
第2に、車両の前突時には、車両前方から衝突荷重を直接的に受けるフロントサイドメンバと、前記衝突荷重を間接的に受けるフロアトンネル部との間には、車両後方側への変位または変形に大きな差を生じ、前記両者間に車両前後方向における位置ずれを生じ易い。このことに起因し、ダッシュパネルとフロントフロアパネルとの接合状態が解除され、フロア部の剥がれなどを生じる虞もある。
第1に、フロントサイドメンバまたはその上側のアッパメンバとフロアトンネル部とは、クロスメンバによって車幅方向に橋渡し接続されているため、車両の前突時において、内入り傾斜部の車両後方側の部分が車幅方向に大きく変形または変位することを効果的に防止することが可能である。その結果、フロントサイドメンバの荷重伝達性をよくし、車両の衝撃吸収性能を良好とすることができるとともに、車体強度をアップし、耐衝撃性能を高めることができる。
第2に、クロスメンバは、車両の前突時において、フロントサイドメンバとフロアトンネル部とが車両前後方向に大きく位置ずれすることを防止する効果を発揮する。これに加え、クロスメンバは、ダッシュパネルの後端部とフロントフロアパネルの前端部との接合部に重ねられて接合されており、ダッシュパネルとフロントフロアパネルとの接合を強固なものとする。このため、車両の前突時において、フロントサイドメンバとフロアトンネル部との位置ずれに起因して、ダッシュパネルとフロントフロアパネルとの接合部に剥離を生じる不具合を適切に防止または抑制することができる。
前部において車両前後方向に一連に延びている。図4(a)に示すように、各フロントサイドメンバ3は、たとえば断面ハット状などの部材を用いて構成されており、車両1のフロア部11が設けられている箇所においては、このフロア部11の下面部に溶接されている。
車両1の前部には、エンジンや変速機などから構成されたパワープラント2が内部に配されているエンジンルーム10が設けられており、一対のフロントサイドメンバ3のフロント部32は、エンジンルーム10の両側に位置して車両前後方向に略直線状に延びている。
内入り傾斜部33は、フロント部32の後部に屈曲部B1を介して繋がった部分であって、一対のフロントサイドメンバ3のうち、サスペンションメンバ4の取付け箇所周辺部が、車両後方側ほど車幅方向相互間隔が狭くなるように、底面視(平面視も含む、以下同様)において傾斜した部分である。フロントサイドメンバ3に対するサスペンションメンバ4の具体的な取付け構造については後述する。
後側延設部34は、内入り傾斜部33の後部に屈曲部B2を介して繋がった部分であり、車幅方向においてフロアトンネル部12とロッカ15との相互間に位置してフロア部11の下面部に接合され、車両前後方向に延びている(図4(a)も参照)。
後側取付け部9Bは、上下傾斜部30の下面側に溶接された台座部38に、サスペンションメンバ4の後部が、ボルト90を用いて締結された部位である。後側取付け部9B’は、サスペンションメンバ4の後部に固定されたステー42が、上下傾斜部30の台座部38よりも下側の部分にボルト91を用いて締結された部位である。
前記した構成に対応し、後側取付け部9B,9B’は、前側取付け部9Aよりも車幅方向内方側に適当な寸法L2だけオフセットされている。内入り傾斜部33は、サスペンションメンバ4の前側取付け部9Aよりも後側取付け部9B,9B’を車幅方向内方側に配置させ、かつロアアーム7の後側回転支持部8Bの中心P2を、前側回転支持部8Aの中心P1よりも車幅方向内方側に適当な寸法L1だけオフセットするのに適する。
斜部33の後端に繋がった後側延設部34上に重ねられて接合された部位である。このため、車両1の前突が発生して、車両前方側から衝突荷重F(図2に示す)がフロントサイドメンバ3に入力した際に、内入り傾斜部33の存在に起因し、後側延設部34を車幅方向内方に大きく変形させようとする力が発生したとしても、クロスメンバ6の突っ張り力によって、後側延設部34が車幅方向内方に大きく変形することは適切に防止される。その結果、フロントサイドメンバ3の荷重伝達性をよくし、車両1の衝撃吸収性能を良好とすることができる。また、車両1の車体強度が高くなるため、耐衝撃性能を良好にすることもできる。
本発明の車両前部構造は、エンジン自動車に限らず、ハイブリッド車や電気自動車にも適用することができることは勿論である。
1 車両
11 フロア部
11a ダッシュパネル
11b フロントフロアパネル
12 フロアトンネル部
17 接合部
3 フロントサイドメンバ
3A アッパメンバ
33 内入り傾斜部(フロントサイドメンバの)
4 サスペンションメンバ
6 クロスメンバ
Claims (1)
- 車幅方向に間隔を隔てて車両前部の下部に位置し、かつ車両前後方向に延びており、フロントサスペンションのサスペンションメンバの取付け箇所周辺部が、車両後方側ほど車幅方向相互間隔が狭くなる内入り傾斜部とされている左右一対のフロントサイドメンバと、
これら一対のフロントサイドメンバの上側に配設され、かつダッシュパネルの後端部にフロントフロアパネルの前端部が接合された構成のフロア部と、
前記一対のフロントサイドメンバよりも車幅方向内方側に位置して車両前後方向に延びるフロアトンネル部と、
を備えている、車両前部構造であって、
前記各フロントサイドメンバの上側に前記フロア部を挟んで接合されたアッパメンバと、
前記フロアトンネル部の上下高さ方向に起立する起立壁部の下部寄り領域の内側に重ねられて車両前後方向に延びる起立片部、および前記フロア部の下面部に接合されて車両前後方向に延びるフロア接合部を有するインナトルクメンバと、
前記フロア部の上側のうち、前記内入り傾斜部よりも車両後方側に位置して車幅方向に延び、かつ前記アッパメンバと前記フロアトンネル部とを車幅方向に橋渡し接続するクロスメンバと、
をさらに備えており、
前記クロスメンバと前記インナトルクメンバの前記起立片部との相互間には、前記フロアトンネル部の前記起立壁部が挟まれ、かつ前記クロスメンバと前記インナトルクメンバの前記フロア接合部との相互間には、前記フロア部が挟まれた構成とされており、
前記クロスメンバの少なくとも一部は、前記ダッシュパネルの後端部と前記フロントフロアパネルの前端部との接合部に重ねられて接合されていることを特徴とする、車両前部構造。
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