JP4050908B2 - 水没する湖岸法面の緑化のためのブロック並びに護岸構築物 - Google Patents

水没する湖岸法面の緑化のためのブロック並びに護岸構築物 Download PDF

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    • Y02A10/00TECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE at coastal zones; at river basins
    • Y02A10/11Hard structures, e.g. dams, dykes or breakwaters

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、緑化ブロックに関する。更に詳述すると、本発明は、湖岸法面特に水没と干出を繰り返すダムの湖岸法面の水位変動域の土砂の剥落を防止すると共に湖岸法面の緑化を行うブロック並びに護岸構築物の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
ダム湖岸法面の「水位変動域」は、法面の水没と干出・露出の繰り返しにより帯状の裸地部となることが多く、自然環境の点からは緑化対策が、法面安定の点からは波や風等により生じる剥落への対策などが必要となる。特に、1日の間に法面の水没と干出・露出を繰り返す揚水発電ダムの場合には、これら緑化対策や剥落への対策が望まれる。
【0003】
このため、1967年頃から適正植物種の選定と活着を促進するための工法が検討されてきている。例えば、植物を導入する「植生工」や生育環境を整備する「緑化基礎工」等である。そして「植生工」の中の一つの方法として植栽を利用したものがあり、一部で実証試験も行われている。この実証試験の工法は、植栽と法面の補強とを組み合わせたもので、法面部に耐冠水性の強い植物を導入し、在来植物の進入を阻止するような環境を作り出すものである。そして、法面補強のための土木構造物の整備関係では、法面の土砂流出防止用として植生ネットとスロープネットを併用するものが採用されて、一定の効果を得ているとされている。
【0004】
また、ダム湖岸ではなく、河川の護岸や急斜面の岩肌などに植物が生えるコンクリートを採用する技術が知られている(特開昭53−72304)。また、急斜面の岩肌などに通気性のあるコンクリート枠体を備え付け、急斜面を緑化する技術も知られている(実公昭55−25813)。この実公昭55−25813に記載の技術は、囲枠体を岩石採掘後の岩肌や岩盤のような通常では植物を育成することの出来ない基盤を緑化するのに用いられる。この囲枠体は、所要の大きさの粗骨材の表面に、水、セメント比の小さいセメントペースト、又は細砂を少量含むセメントモルタルのようなバインダーをまぶし、そのバインダーを介して粗骨材を連結し、その間に連続空隙を残すものである。そして、この囲枠体に土壌を入れ、その土壌に植物の種を蒔くか苗木を移植し植物を育成する。なお、この囲枠体は、モルタルにより基盤に固定されている。
【0005】
更に、特開平8−105029号には、ダムの湖岸法面の水位変動域の土砂の剥落防止と緑化を可能とする緑化ブロックが提案されている。この緑化ブロックは、土壌基盤を作るための凹みとそこに収まる土壌並びに水没時に土壌基盤に空気を供給する空気通路部とその空気を貯める空洞部とを備えるものである。この緑化ブロックによると、ダムの水位上昇時には空気室に貯えた空気を水没時に分離壁中の通気孔を通して土壌に送り、水没時の植物の生残率を高めることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の植栽等の「植生工」のみによる緑化対策では、水没による枯死の問題の他、急斜面の法面での剥落防止が不十分となる。また、植生ネット利用による法面の強化も急斜面への対応において不十分である。一方、急斜面の法面での剥落防止のため、「緑化基礎工」の一つであるコンクリート構造物等を採用した場合は、緑化されず景観に問題が生じる。
【0007】
また、河川の護岸等に使われる植物が生えるコンクリートをダム湖岸法面に使用すると、水没による植物枯死の問題が生ずる。また、実公昭55−25813に開示された通気性のあるコンクリート枠体をダム湖岸法面に使用した場合、水没による植物枯死の問題の他、法面に沿った積み上げができないという問題が発生する。
【0008】
更に、特開平8−105029号の緑化ブロックの場合には、水没時の植物の生残率を高める効果はあるが、揚水発電ダムのように水没と干出(露出)を周期的に頻繁に繰り返す条件下では、水位が低下してブロックが干出したときに土壌内の水分が抜けないことから通気性が良い土壌環境を保持することができず、干出時に根腐れなどを起こし易いという問題を有している。
【0009】
本発明は、湖岸法面、特に急傾斜の湖岸法面の剥落防止と共に定期的な水没条件下での植物の生育を保持することができる緑化ブロック並びにそれを利用した護岸構築物を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するため、請求項1の発明は、水没する湖岸法面の土砂の剥落を防止すると共に耐冠水性の優れた植物を生育させる土壌基盤を作って湖岸法面の緑化を行う緑化ブロックにおいて、植物を生育させる土壌基盤を作るための土壌を収容する土壌保持部と、水没時に土壌保持部の土壌へ補給する空気を溜める空気室と、この空気室の空気を土壌保持部の土壌へ導く通気孔と、干出時に土壌保持部の底部よりも上でブロック前面から土壌基盤中の水を排出する排水孔とを有し、排水孔はブロック前面の外側に向けて高くなる勾配を有して土壌の流出を防ぎ、干出時には排水孔から過剰な水分が排水されると共に、排水孔よりも下の土壌保持部の底部に排水されずに残留する水分が土壌基盤の上側の乾燥に伴って吸い上げられて補給されるようにしている。
【0011】
したがって、水没時には空気室から土壌保持部の土壌に空気が供給され、土壌中に生息する微生物の活動(有機物の分解等)を可能とし、かつ根腐れが防がれる。また、干出時には排水孔から過剰な水分が速やかに抜けて土壌中に適度な空気が存在する植物の生育に適した土壌環境を保持しつつ、土壌基盤の上部の乾燥に伴って水分を補給することができ、長期間に亘って好適な土壌環境が維持できる。
【0012】
また、請求項2記載の発明にかかる護岸構築物は、上述の緑化ブロックを、土壌保持部の土壌基盤を上段の緑化ブロックよりも前方へ迫り出させて段々に積み重ね、湖岸法面を覆い固めると共に土壌基盤に耐冠水性の優れた植物を植栽して緑化させるようにしている。したがって、緑化ブロックによって覆われた湖岸法面は、緑化ブロックによって固定されかつ水位の変動から保護され、剥落や浸食が防がれる。また、緑化ブロックを積み上げても土壌保持部を覆わずに開放し、その上方に耐冠水性の優れた植物の成長を許す空間を作り出すことができるので、土壌基盤に植栽された耐冠水性に優れた植物及び自然発生してブロック前面を覆う苔類で湖岸法面を緑化することができる。したがって、急傾斜の湖岸法面の剥落防止と共に定期的な水没条件下での植物の生育を可能としている。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成を図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0014】
図1〜図3に本発明の緑化ブロックの一実施形態を示す。この緑化ブロック1は、水没する湖岸法面の土砂の剥落を防止すると共に耐冠水性の優れた植物を生育させる土壌基盤を作って湖岸法面の緑化を行うもので、耐冠水性の優れた植物を生育させる土壌基盤を作るための土壌を収容する凹部からなる土壌保持部10と、水没時に土壌保持部10へ補給する空気を貯留する空気室9と、この空気室9の空気を土壌保持部10の土壌13へ導く通気孔2と、干出時に土壌保持部10の底部(本実施形態ではブロック分離壁12で形成される)よりも上でブロック前面4から土壌基盤中の水を排出する排水孔3とを備えている。そして、排水孔3はブロック前面4の外側に向けて高くなる勾配を有して土壌の流出を防ぎ、干出時には排水孔3から過剰な水分が排水されると共に、排水孔3よりも下の土壌保持部10の底部に排水されずに残留する水分が土壌基盤の上側の乾燥に伴って吸い上げられて補給されるようにしている。
【0015】
緑化ブロック1としての形態は、特定の形態に限られるものではないが、湖岸法面特に急傾斜の湖岸法面の剥落防止を兼ねるブロックとして適した形態を採ることが好ましい。このようなブロック形態としては、例えば、図4に示すように、急斜面の湖岸法面20に緑化ブロック1を敷設したときにブロック前面4がほぼ鉛直方向に立ち上がるように、側方から見てほぼ逆台形状、正面から見て矩形状を成す図1の形状が一例として挙げられる。具体的には、湖岸法面20を固める傾斜したブロック背面8と、下側に配置される緑化ブロック1の段部(凹部)から成るブロック重ね合わせ部6に嵌め込まれる大きさのブロック底部11と、湖岸法面20に敷設したときにほぼ垂直あるいはやや傾斜した状態となるブロック前面4並びに両側に配置される他の緑化ブロック1と密着可能とするブロック側面5並びに上に積み重ねられる緑化ブロック1のブロック前面4よりも前方へ迫り出して土壌保持部10を露出させるブロック上部7とを有する。
【0016】
土壌保持部10は、本実施形態では、ブロック上部7に設けられる凹部によって形成されている。この土壌保持部10は、ブロック重ね合わせ部6の前に配置されており、緑化ブロック1を積み上げたときに、上段の緑化ブロック1よりも前方へ土壌保持部10が迫り出し、広い土壌基盤の形成を可能とするようにされている。また、空気室9は、緑化ブロック1の底部11に下向きに開口するように設けられた断面矩形状の凹部とされている。なお、土壌保持部10に入れられる土壌13は、セキショウやリードキャナリーグラス(クサヨシ)などの耐冠水性の優れた植物(草本類や木本類)が十分生育できるものとすることが好ましい。
【0017】
通気孔2は、土壌保持部10と空気室9とを連通させ、水没時に空気室9に溜まっている空気をその浮力を利用して土壌保持部10の土壌13中に供給可能とするものである。この通気孔2は、長い時間かけて土壌13に空気を供給できるものが好ましく、発明者による実験の結果、多孔質体とするよりも、例えば直径1mm程度の孔とすることが好ましかった。通気孔2は、1mmよりも大径の孔であると、水位が下がるときに土壌13が空気室9側へ漏れたり、空気が一度に土壌13中へ出てしまい、長い時間かけて土壌13に空気を供給することが難しくなる。また、直径1mmよりも遙かに小径の孔あるいは多孔質体により通気孔2を形成する場合には、土壌13に空気を供給することが難しくなる。尚、通気孔2の数は1つに限られず、土壌13中に均等に空気が供給されるように必要に応じて2つ以上設けるようにしても良い。
【0018】
排水孔3は水捌けを良くする(短時間で排水させる)ためには径の大きな孔とすることが望まれるが、あまり大きくし過ぎると排水速度が速すぎて土壌13が流出することが発明者らの実験により明らかとなった。また、その反面、排水孔3の径が小さすぎると、水捌けが悪く、土壌13中の水分が多く植物の生育に適した土壌環境が得られない。そこで、排水孔3は、好ましくは直径1cm程度以下、より好ましくは直径4〜8mmの孔とすることである。この排水孔3の大きさは、土壌の条件によっても異なり、干上がっている期間が長いときには保水性を高めるために孔は小さい方が良いが、期間が短い場合には排水性を高めるため孔は大きいことが好ましい。更には、排水孔3は、土壌基盤の底面となるブロック分離壁12から2〜5cm上方でかつブロック外側に向けて高くなる勾配を有するようにしている。このようにやや上向きに開口・排水させることにより、排水時の土壌の流出を防ぎ、排水孔3の位置を土壌保持部10の底よりも僅かに高く設定することにより若干の水分が排出されずに残留するようにしている。これにより、出干時には、排水孔3から土壌が流出しない程度の排水速度で過剰な水分が速やかに排水されると共に、土壌保持部10の底部12には若干の過剰な水分が保たれる。したがって、土壌基盤の大部分では通気性に優れる植物の生育に適した土壌環境を保持しつつ、土壌基盤の上部の乾燥に伴って水分を補給することができ、長期間に亘って好適な土壌環境が維持できる。尚、本実施形態では、排水孔3はブロック前面4に複数例えば5カ所程度に設けているが、これに特に限定されるものではなく、場合によっては中央に1カ所だけ設けられることもある。
【0019】
このように構成された緑化ブロック1のダム湖岸法面20への固定と積み上げは、例えば次のようにして行われる。
【0020】
まず、ダム湖岸の法面に緑化ブロック1を下から順次積み上げる。即ち、湖底あるいは法面の途中に形成された法面基礎部21に、最下段の緑化ブロック1の底部12を載置して、ブロック背面8を傾斜した法面20へ押し当てながら固定する。次に、その緑化ブロック1の法面20寄りのブロック重ね合わせ部6に上段の緑化ブロック1の底部12を載置するようにして積み上げる。ここで、積み上げられる緑化ブロック1の固定は、その底部12をブロック重ね合わせ部6に載置してかつ背面8を法面へ押し当てることにより行う。このようにして緑化ブロック1を必要段数分だけ積み上げる。
【0021】
なお、通常は、緑化ブロック1の固定前に、土壌保持部10に土壌13を入れて土壌基盤を形成しておくと共に、セキショウやリードキャナリーグラス(クサヨシ)などの耐冠水性を備えた草本類や木本類の苗や種子が植栽されるが、植栽は必ずしも緑化ブロックの湖岸法面への固定前でなくても良い。
【0022】
このように築造されたダム湖岸法面20は、法面20が露出する時期(渇水期あるいは干出時(発電のため水が放出された時))には、土壌基盤に植栽された植物22及び自然発生してブロック面を被覆している苔類で緑化される。一方、満水期や水没時には、空気室9に溜まっている空気が通気孔2を通って、土壌保持部10の土壌基盤へ供給され、土壌13中に生息する微生物の活動(有機物の分解等)を可能としかつ根腐れを防ぐ。そして、植栽植物22の地下茎、根、種子の生存を助ける。また、このように緑化ブロック1をダム湖岸面に積み上げることにより、湖岸法面20の剥落や侵食を防止することができる。水没時にも、湖岸法面を覆う緑化ブロックが水面を通して視認されるため、緑化の効果が得られる。
【0023】
更に、ブロック重ね部6の前方に土壌保持部10を開口させるように構成したので、湖岸法面20に緑化ブロック1を積み上げた時には、図4に示されるように、土壌保持部10を上段の緑化ブロック1よりも前方へ突き出させてその上方に植物生育空間を設けることができる。しかも、緑化ブロック1は底部12と背面8の双方で支持されるように敷設されるので、ダム湖岸のような急斜面となる法面に据え付けた場合でも剥落は生じない。
【0024】
尚、上述の各実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、土壌保持部10は適切な土壌基盤を形成できる量の土壌13が収納できる容積の窪みであれば良く、その形状などについては特に限定されず、上面から見て円形やその他の形状をしていても良い。また、図4に示すように、湖岸法面20に敷設した時に土壌基盤の底が略水平となるように構成し、土壌13の安定を図るようにしたり、更には土壌保持部10を前方へ大きく突出させることにより植物の生育空間を広げるようにしても良い。また、空気室9は、ブロック1の下面に設けるのではなく、場合によっては緑化ブロック1の中に干出時に外気と連通可能な空洞として設けたり、空気保有率の高い部材を入れ込んで緑化ブロック1を形成するようにしても良い。
【0025】
更に、通気孔2は、本実施形態の場合には直径1mm程度の貫通孔としているがこれに特に限定されず、例えばブロック全体あるいは空気室9と土壌保持部10をつなぐ部分(ブロック分離壁)のみを通気性のあるコンクリート材で形成することによって通気孔2を形成するようにしても良い。更に、ブロック1の少なくとも露出する部分を、自然発生する苔類でその面が被覆され易いように、他の面以上にざらざらの粗面とするようにしても良い。また、緑化ブロック1を湖岸法面に敷設した際のブロック前面4の傾斜は、法面20の傾斜に依存するが、好ましくは0度(垂直)から10度前傾の範囲、より好ましくは5度から10度前傾となるようにしておけば、各緑化ブロック1の土壌保持部10の上方に植物の生育空間をある程度大きく取れかつブロック前面4に苔類が付き易いものとなる。
【0026】
また、ブロック重ね合わせ部6は、必ずしも上段の緑化ブロック1と嵌め合わされるような凹凸関係を有していることはなく、単に上段の緑化ブロック1を積み上げて支持可能な面を有すれば足りる。また、緑化ブロック1の積み上げを行わない場合にはブロック重ね合わせ部6は必要としない。積み上げを行う場合、ブロック重ね合わせ部6は、各緑化ブロック1に1箇所ずつ設けるのではなく、左右二つに分割させて設けても良い。また、ブロック底部12の形状も平坦である必要はなく、場合によってはブロック重ね合わせ部6と嵌合するような凸部を備えることもある。積み上げを行う場合は、底部12だけではなく側面にも凹凸を設け、隣の緑化ブロック1の側面に設けた穴部に嵌合させるようにし連結強度を増すようにしても良い。なお、ブロック背面8には図示していないが湖岸の斜面に打ち込む凸部を設けることもある。この凸部は楔形状であったり、円錐形状あるいは複数の突起を分散させて設けたり、上下方向や横方向に細長くした凸条の突起としても良い。また、緑化ブロック1を千鳥状に積み上げるのが固定強度の面で有利であるが、必ずしも千鳥状とする必要はない。
【0027】
なお、本発明は、ダム湖岸、特に急斜面のダム湖岸法面に好適であるが、ダム湖岸の緩斜面にも適用できる。更に、ダム湖のみならず一般の湖や河川の岸にも適用できるものである。
【0028】
【実施例】
本発明の緑化ブロックの植物生存効果並びに生育効果を確かめるため、特開平8−105029号の空気室を有する緑化ブロック(図5参照。以下Aブロックと呼ぶ)と、底部に排水孔を有する排水型緑化ブロック(図6参照。以下、Bブロックと呼ぶ)並びに空気室も排水孔も有さない土壌基盤のみを有する緑化ブロック(図示省略。以下、Cブロックと呼ぶ)とを使って、セキショウの植物生育試験を行った。因みに、各緑化ブロックは、図6に示す排水型緑化ブロック(Bブロック)と同じ外形状を成し、A緑化ブロックについては、底部に高さ19cm、奥行き17cmの空気室を幅一杯に設けて該空気室と土壌基盤とを直径1mmの通気孔で連通させ、B緑化ブロックについては底部に直径1cmの排水孔を5カ所設けている。また、対比する従来の緑化ブロックとして、排水孔並びに空気室も有さず土壌基盤のみを有するC緑化ブロックを用意した。
【0029】
試験は、関西電力の奥多々良木ダム下池(標高EL.+208.8m〜214m,年間の平均冠水率50%)において、1998年の6月から2000年10月までの29カ月にわたって、セキショウを定植したA〜Cの3種類のブロックを上段、中段、下段の3段に分けて各段毎に3ブロックずつ積んで試験を実施した。その結果、平均冠水率50%の中段及び上段においてはブロック種別によって異なる結果が得られた。即ち、空気室も排水孔も有さない土壌基盤だけのC緑化ブロックでは、試験開始早々に全て腐ったが、B緑化ブロック並びにA緑化ブロックは図7に示すように共に腐らずに生存効果が見られた。更に、排水孔を有するB緑化ブロックで生育したセキショウは、空気室のみのA緑化ブロックで生育したセキショウに比べて約5倍の草丈となり、成長効果が見られた。
【0030】
このことから、水没時に土壌保持部の土壌へ補給する空気を溜める空気室9と、この空気室9の空気を土壌保持部10の土壌13へ導く通気孔2と、干出時に土壌保持部10の底部よりも上でブロック前面4から土壌基盤中の水を排出する排水孔3とを有し、排水孔3はブロック前面4の外側に向けて高くなる勾配を有して土壌の流出を防ぎ、干出時には排水孔3から過剰な水分が排水されると共に、排水孔3よりも下の土壌保持部10の底部に排水されずに残留する水分が土壌基盤の上側の乾燥に伴って吸い上げられて補給される本発明の緑化ブロック1は、水没しても土壌保持部に作られる土壌基盤へ空気室に残った空気を長い時間をかけて補給して土壌中に生息する微生物の活動(有機物の分解など)を可能とすると共に根腐れを防いで、植栽植物の地下茎、根、種子の生存並びに生育を助け、更に干出時には、速やかに過剰な水分が排水されて土壌中に適度な空気が存在する植物の生育に適した土壌環境を形成することができる。しかも、排水が制御されており、土壌の流出が防がれているので、植物の生育に適した土壌環境を維持する量の土壌を失うことがない上に、干出時には、土壌保持部の排水孔よりも下の底部付近に排水されずに残留する過剰な水分が土壌基盤の上側の乾燥に伴って吸い上げられ補給されることから、水分不足による枯れを防ぐことができる。これにより、水没と干出とを周期的に頻繁に繰り返す条件下においても、長期間に亘って好適な土壌環境が維持でき、植物の生育を保持することが期待できる。
【0031】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、請求項1の緑化ブロックでは、水没しても土壌保持部に作られる土壌基盤へ空気室に残った空気を長い時間をかけて補給して土壌中に生息する微生物の活動(有機物の分解など)を可能とすると共に根腐れを防いで、植栽植物の地下茎、根、種子の生存並びに生育を助ける。また、干出時には、速やかに過剰な水分が排水されて土壌中に適度な空気が存在する植物の生育に適した土壌環境を形成する。しかも、排水が制御されており、土壌の流出が防がれているので、植物の生育に適した土壌環境を維持する量の土壌を失うことがない。更に、土壌保持部の排水孔よりも下の底部付近では、排水されないため、過剰な水分が残り、上の方の土壌の乾燥に伴って水分が吸い上げられ補給される。しかも、この部分の水分は僅かであるため、大部分の土壌環境には影響を与えない。これにより、水没と干出とを周期的に頻繁に繰り返す条件下においても、長期間に亘って好適な土壌環境が維持でき、植物の生育を保持することができる。
【0032】
また、請求項2記載の護岸構築物によると、湖岸法面が緑化ブロックによって固定されかつ水位の変動から保護されるので、その剥落や浸食が防がれる。また、積み上げられた各緑化ブロックの前方に下段の緑化ブロックの土壌保持部に植栽された耐冠水性に優れた植物の成長を許す空間を作り出すことができるので、土壌基盤に植栽された耐冠水性に優れた植物及び自然発生してブロック前面を覆う苔類で湖岸法面を緑化することができる。したがって、急傾斜の湖岸法面の剥落防止と共に定期的な水没条件下での植物の生育・緑化を可能とする。そして、裸地化した湖岸法面を緑化し、景観の改善と、湖岸の浸食・崩壊を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の緑化ブロックの実施形態の一例を示す斜視図である。
【図2】図1の緑化ブロックの中央縦断面図である。
【図3】同緑化ブロックの排水孔付近を拡大して示す断面図である。
【図4】本発明の緑化ブロックを湖岸法面に築造した状態を断面して示す説明図である。
【図5】空気供給が植物の生存並びに生育に与える影響を確認するために底部に空気室を設けた緑化ブロックの一例を示す縦断面図である。
【図6】排水効果が植物の生存並びに生育に与える影響を確認するための底部に排水孔を開けた緑化ブロックの一例を示す縦断面図である。
【図7】図6の排水型緑化ブロックと図5の給気室だけを設けた緑化ブロックとの植物の生存効果並びに成長効果を30カ月に亘って比較した結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 緑化ブロック
2 通気孔
3 排水孔
4 ブロック前面
6 ブロック重ね合わせ部
9 空気室
10 土壌保持部
12 ブロック底部
11 ブロック分離壁(土壌保持部の底面)
13 土壌

Claims (2)

  1. 水没する湖岸法面の土砂の剥落を防止すると共に耐冠水性の優れた植物を生育させる土壌基盤を作って湖岸法面の緑化を行う緑化ブロックにおいて、前記植物を生育させる土壌基盤を作るための土壌を収容する土壌保持部と、水没時に前記土壌保持部の前記土壌へ補給する空気を溜める空気室と、この空気室の空気を前記土壌保持部の土壌へ導く通気孔と、干出時に前記土壌保持部の底部よりも上でブロック前面から前記土壌基盤中の水を排出する排水孔とを有し、前記排水孔は前記ブロック前面の外側に向けて高くなる勾配を有して前記土壌の流出を防ぎ、前記干出時には前記排水孔から過剰な水分が排水されると共に、前記排水孔よりも下の前記土壌保持部の底部に排水されずに残留する水分が前記土壌基盤の上側の乾燥に伴って吸い上げられて補給されることを特徴とする緑化ブロック。
  2. 請求項1記載の緑化ブロックを前記土壌保持部の土壌基盤を上段の緑化ブロックよりも前方へ迫り出させて段々に積み重ね、湖岸法面を覆い固めると共に前記土壌基盤に耐冠水性の優れた植物を植栽して緑化させることを特徴とする護岸構築物。
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