JP4049906B2 - 熱可塑性エラストマー組成物および該組成物を使用した複層ガラス - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐水蒸気透過性、耐熱変形性に優れる熱可塑性エラストマー組成物、および、該組成物をシーリング材且つスペーサーとして使用した複層ガラスに関する。
【0002】
【従来の技術】
現在の複層ガラスの多くは、最低2枚のガラス板をアルミニウム製等の金属スペーサーを介して対向させ、ガラス板の間に中空層(空気層)を形成し、スペーサーとガラス板の間に一次シールを介在させて空気層を外気から遮断し、さらにスペーサー、一次シールと、対向するガラス板とで囲む空隙に、ポリサルファイド系あるいはシリコーン系で代表される2液混合型で常温硬化型の二次シールを打設して形成される。これまで、複層ガラスの製造方法は、まず、乾燥剤を中空を有するスペーサーの中空部分に充填してスペーサーを組み立て、ガラス板間にスペーサーを配設してガラス板間の幅を所定間隔にセットし、その後、シーリング材を打設するという方法がとられている。このように作業工程は煩雑であり、さらに、常温硬化型のシーリング材を用いる複層ガラスでは、シーリング材が硬化するまで長時間かかり、製品がすぐ出荷できなかった。特に冬季では、養生のために加温室に入れる必要があった。
このため、複層ガラスの製造工程を簡略化し、養生時間を短縮して、生産性を改善することが求められている。
これに対し、アルミニウム製スペーサーの代わりに必要に応じて乾燥剤を練りこんだ樹脂をスペーサー兼シーリング材として用いる発明が、特開平10−110072号、特開平10−114551号、特開平10−114552号各公報で提案されている。この樹脂スペーサーは、ブチル系ゴムと結晶性ポリオレフィンとを含み、好ましくは高温下で混合されてなる組成物である。この組成物を用いた複層ガラスでは、組成物が樹脂スペーサーと共にシーリング材としての役割も果たし、組成物を対向配置された複層ガラス材料の端部に打設して、スペーサーを有し対向するガラス板端部がシールされた複層ガラスを製造でき、製造工程が簡略化される。しかし、この複層ガラスは、常温ではガラス板に荷重をかけてもガラス板がずれるといったことはないが、シーリング材兼樹脂スペーサーである組成物が、ゴム中に少量の樹脂を含む組成物であるため高温下で熱変形しやすく、特に複層ガラス製造時に、高温のシーリング材を打設しシーリング材を硬化させている間にガラス板がずれてしまう、あるいは、建築材等に施工後に複層ガラスが夏季や日光をうけて外気温が上がった際、ガラス板がずれてしまうという問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、耐水蒸気透過性、耐熱変形性に優れる熱可塑性エラストマー組成物、および、該組成物をシーリング材且つスペーサーとして使用した、製造が簡便で、耐水蒸気透過性に優れ、シーリング材且つスペーサー打設後放冷時、あるいは施工後、夏季等の高温下でもガラス板がずれて全体の形状が変形することのない複層ガラスを提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために、鋭意研究したところ、所定値以下の水蒸気透過率を有する熱可塑性樹脂からなる連続相と、架橋後には所定値以下の水蒸気透過率を有するゴム成分を動的に架橋した分散相とを含む熱可塑性エラストマー組成物、および、該組成物をシーリング材且つスペーサーとして使用する複層ガラスが上記目的を達成できることを知見し、本発明を完成させた。
【0005】
すなわち、本発明は、ポリエチレンテレフタレート、高密度ポリエチレンおよび低密度ポリエチレンからなる群から選択される少なくとも1種の水蒸気透過率が100g/m2 ・24h以下(30μm厚)の熱可塑性樹脂と、パラメチルスチレンとイソブチレンの共重合体の臭素化物およびエチレンプロピレンゴムからなる群から選択される少なくとも1種の架橋した場合には水蒸気透過率が300g/m2 ・24h(30μm厚)以下となるゴムとを原料とし、前記熱可塑性樹脂と前記ゴムとの体積比の配合比率を制御して、前記熱可塑性樹脂の溶融粘度と前記ゴムの溶融粘度との関係が、下記式で求められるα1の値が1未満であるように調整して得られる、熱可塑性樹脂連続相中に少なくとも一部が動的に架橋されたゴムからなる分散相を有する熱可塑性エラストマー組成物を提供する。
α1 =(φR /φP )×(ηP /ηR )
(式中、φR は前記ゴムの体積分率を表し、φP は前記熱可塑性樹脂の体積分率を表し、ηR は前記熱可塑性樹脂と前記ゴムの混練時の温度および剪断速度条件における前記ゴムの溶融粘度(poise)を表し、ηP は前記熱可塑性樹脂と前記ゴムの混練時の温度および剪断速度条件における前記熱可塑性樹脂の溶融粘度(poise)を表す。)
【0006】
上記熱可塑性エラストマー組成物は、さらに吸湿剤を含むのが好ましい。
【0007】
上記熱可塑性樹脂の熱変形温度が50℃以上であるのが好ましい。
【0008】
上記熱可塑性エラストマー組成物は、さらに、水蒸気透過バリア樹脂を含むのが好ましい。
さらに、マレイン酸基を有するポリマー、カルボン酸基を有するポリマー、水酸基を有するポリマーおよびエポキシ基を有するポリマーからなる群から選択される少なくとも1種のポリマーを含むのが好ましい。
【0009】
さらに、本発明は、上記熱可塑性エラストマー組成物のいずれかをシーリング材且つスペーサーとして用いた複層ガラスを提供する。
【0010】
上記複層ガラスは、シーリング材且つスペーサーである熱可塑性エラストマー組成と、ガラスとの間に、接着層を有するのが好ましい。
【0011】
上記接着層が、オレフィン/酢酸ビニル共重合体であるのが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物(以下、本発明の組成物と記す)は、熱可塑性樹脂からなる連続相と、少なくとも一部が動的に架橋されたゴム組成物からなる分散相とを有するものであり、連続相中に分散相が均一に分散された形態をなすものである。
【0013】
本発明に用いられる熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、高密度ポリエチレンおよび低密度ポリエチレンからなる群から選択される少なくとも1種の水蒸気透過率が100g/m 2 ・24h以下(30μm厚)の熱可塑性樹脂を用いる。
【0014】
本発明の組成物において、連続相中に分散している分散相は、少なくとも一部が動的に架橋されたゴムからなるものである。この分散相の主要構成成分であるゴム成分としては、パラメチルスチレンとイソブチレンの共重合体の臭素化物およびエチレンプロピレンゴムからなる群から選択される少なくとも1種であって、ゴム成分のみで架橋した場合、膜厚30μmのシートとした場合の水蒸気透過率が300g/m2 ・24h以下のゴムを用いる。
【0015】
さらに、分散層を構成するゴム中には、ゴムの分散性、耐熱性等の改善、およびその他の目的のために、一般的に配合される補強材、充填材、軟化剤、架橋剤、老化防止剤、加工助剤等を、必要に応じて適宜配合することができる。
【0016】
本発明の組成物の連続相を構成する熱可塑性樹脂と分散相の主要構成成分であるゴムとの組み合わせは、特に限定されず、上記の各熱可塑性樹脂から選ばれる1種以上の熱可塑性樹脂と、上記の各ゴムから選ばれる1種以上のゴムのそれぞれとを組み合わせて用いることができる。
【0017】
本発明の組成物を構成する熱可塑性樹脂とゴムとの割合には特に制限はないが、好ましくは重量比で熱可塑性樹脂/ゴム=85/15〜15/85であり、より好ましくは、50/50〜30/70である。
この割合の臨界は熱可塑性樹脂とゴムの体積比率と粘度比率とによる。
本発明の組成物では、ゴムを分散相とし、熱可塑性樹脂を連続相とするが、単純に両成分を溶融状態で混練しても、必ずしも目的とする分散構造の熱可塑性エラストマー組成物を得られない。両成分の体積比の配合比率を制御して、熱可塑性樹脂と、ゴムのそれぞれの混練温度における溶融粘度との関係が、下記式で求められるα1 の値が1未満であるように調整する。
α1 =(φR /φP )×(ηP /ηR )
(式中、
φR :ゴムの体積分率
φP :熱可塑性樹脂の体積分率
ηR :熱可塑性樹脂とゴムの混練時の温度および剪断速度条件におけるゴムの溶融粘度(poise)
ηP :熱可塑性樹脂とゴムの混練時の温度および剪断速度条件における熱可塑性樹脂の溶融粘度(poise)
このα1 の値が1以上であると、本発明の組成物の分散構造は逆転し、ゴムが連続相となってしまうおそれがある。
また、0.5≦ηR /ηP ≦3.0であるのが好ましい。この範囲であると、ゴムが、熱可塑性樹脂中に、0.1μm〜数10μm程度の大きさの粒子として分散される。
【0018】
本発明において、溶融粘度とは、混練加工時の任意の温度における各成分の溶融粘度をいう。重合体成分の溶融粘度は、温度、剪断速度(sec-1)および剪断応力に依存して変化するため、一般には、溶融状態にある任意の温度、特に、混練時の温度領域において、細管中に溶融状態の重合体成分を流し、応力と剪断速度を測定して、下記式にしたがって求められる値である。
【0019】
【数1】
【0020】
なお、溶融粘度の測定には、例えば、東洋精機社製キャピラリーレオメーターキャピログラフ1Cを使用することができる。
【0021】
本発明の組成物は、吸湿剤を含有しても良い。本発明の組成物を、複層ガラスのシーリング材、あるいはスペーサー、特にシーリング材且つスペーサーとして用いる場合、吸湿剤を含有するのが好ましい。
ここで、シーリング材且つスペーサーとは、本発明の組成物を、複層ガラスの対向するガラス板周端部間に、複層ガラスの空気層の厚みを取るために配置されるスペーサーとして用い、該スペーサーとガラス板の間にはシーリング材を打設することなく、該スペーサーをガラス板に圧着して、本発明の組成物を空気層を外気から遮断するシール材としても用いることをいう。すなわち、シーリング材且つスペーサーとして用いる場合には、本発明の組成物は、スペーサーとしての役割と、シーリング材としての役割とを同時に果たしている。
なお、本発明の組成物は、複層ガラスのシーリング材としても、また、スペーサーとしてシーリング材と併用してもよい。
本発明の組成物に吸湿剤を含有することで、本発明の組成物を複層ガラスのシーリング材且つスペーサーとして用いると、複層ガラス構造内の空気層に含まれる湿気を吸着し、空気層内を乾燥し、また、複層ガラス外部から侵入する水分を吸収し、空気層に封入される空気の露点の上昇を防止することができる。なお、複層ガラスにおける露点とは、複層ガラスの内面に、目視で結露が認められる最高温度である。
複層ガラスの吸湿剤としては、一般に複層ガラスの金属製スペーサー等に充填される吸湿剤を使用することができ、例えば、合成ゼオライト、シリカゲル、アルミナ等が挙げられる。
吸湿剤の配合量は、熱可塑性エラスマー組成物のポリマー成分(熱可塑性樹脂とゴムとの総和)100重量部に対し、10〜70重量部が好ましい。この範囲であれば、得られる本発明の組成物が吸湿性に優れるからである。
【0022】
本発明の組成物は、さらに水蒸気透過バリア樹脂(以下、バリア樹脂と記す)を含有するのが好ましい。本発明の組成物は、連続相である熱可塑性樹脂と分散相の主要構成成分であるゴムとの水蒸気透過率が各々所定値以下であるので、耐水蒸気透過性が良好であるが、さらに本発明の組成物にバリア樹脂を含有すると、得られる本発明の組成物の耐水蒸気透過性がより優れたものとなる。
ここで、バリア樹脂とは、連続相である熱可塑性樹脂よりも水蒸気透過率の小さい樹脂で、連続相の熱可塑性樹脂と同一種類の樹脂であっても、高結晶化等することによりバリアとなりうる樹脂であり、本発明の熱可塑性エラストマー組成物に混練された状態で好ましくは形状が層形状をなして混練される樹脂をいい、層形状がアスペクト比10〜500(長軸長さa、短軸長さbのとき、アスペクト比:a/b)であることが望ましい。
後述する、本発明の組成物をシーリング材且つスペーサーとして使用する複層ガラスにおいて、上述のバリア樹脂は、本発明の組成物の連続相中に存在し、耐水蒸気透過性の観点から、複層ガラスの周縁面に平行な板状の層状物として分散しているのが好ましい。層状に分散することにより水蒸気の透過を妨げ水蒸気透過率を小さくする。
【0023】
バリア樹脂を構成する樹脂成分として、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)等のポリオレフィン、ナイロン6、ナイロン66、芳香族ナイロン(MXD6)等のポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル樹脂、エチレン−ビニルアルコール(EVOH)等のポリビニル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン(PVDC))樹脂などが挙げられる。本発明において、バリア樹脂は、これらの1種のみからなるものでもよいし、複数種の組み合わせからなるものでもよい。
【0024】
本発明の組成物がバリア樹脂を含む場合、このバリア樹脂の含有量は、本発明の組成物からバリア樹脂を除いた部分からなる熱可塑性エラストマー組成物、および、バリア樹脂の溶融粘度および体積分率が、下記の式(1)および(2)を満足するように適宜決定される。通常、前記熱可塑性エラストマー組成物とバリア樹脂の重量比は、90/10〜50/50の割合、特に90/10〜70/30の割合が好ましい。
ηd /ηm ≧2.0 (1)
α2 =Φd /Φm ×ηm /ηd <1.0 (2)
(ただし、
ηd :バリア樹脂の溶融粘度(poise)
ηm :熱可塑性エラストマー組成物の溶融粘度(poise)
Φd :バリア樹脂の体積分率
Φm :熱可塑性エラストマー組成物の体積分率
式(1)において、ηd /ηm の値が2未満であると、バリア樹脂は、溶融混練中に熱可塑性エラストマー組成物中に細かく分散してしまい、バリアとしての機能が小さくなってしまう。ηd /ηm の値は、好ましくは3以上である。また、式(2)において、α2 が1未満であれば、バリア樹脂は熱可塑性エラストマー組成物からなる連続相中、詳しくは、熱可塑性エラストマー組成物の連続相を構成する熱可塑性樹脂中に、分散相として存在することができる。
【0025】
本発明の組成物には、流動性や耐熱性、物理的強度、コスト等の改善のため、本発明の目的を損なわない範囲で、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、カーボンブラック等の充填剤;ロジンエステル、クマロン樹脂等の粘着付与剤、老化防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、軟化剤、加工助剤等の添加剤を加えることもできる。さらに、熱可塑性樹脂組成物には、着色等を目的として、無機顔料、有機顔料を加えることもできる。
さらに本発明の組成物には、ガラスとの接着性を向上させるために、接着付与剤を添加することができる。接着付与剤としては、ビニルシラン、メタクリルシラン、アミノシラン、エポキシシラン、メルカプトシラン等のシランカップリング剤、または、マレイン酸基、カルボン酸基、水酸基、エポキシ基等を有するポリマーを用いることができる。例えば、マレイン酸変性ポリエチレン、マレイン酸変性ポリプロピレン、マレイン酸変性エチレンエチルアクリレート、エポキシ変性スチレンブタジエン共重合体、エポキシ変性エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体およびそのケン化物等である。
【0026】
上述の特定の熱可塑性樹脂とゴムとの化学的相溶性が異なる場合には、第3成分として適当な相溶化剤を用いて両者を相溶化させるのが好ましい。系に相溶化剤を混合することにより、熱可塑性樹とゴムとの界面張力が低下し、その結果、分散相を形成しているゴムの粒子径が微細になることから両組成物の特性はより有効に発現されることになる。この相溶化剤としては、一般的に樹脂成分、ゴム成分の両方または片方の構造を有する共重合体、あるいは樹脂成分またはゴム成分と反応可能なエポキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、ハロゲン基、アミノ基、オキサゾリン基、水酸基等を有した共重合体の構造を有するものが挙げられる。これらは混合される樹脂成分とゴム成分の種類によって選定することができる。
汎用のものとして、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレン系ブロック共重合体(SEBS)およびそのマレイン酸変性物、EPDM、EPMおよびそれらのマレイン酸変性物、EPDM/スチレンまたはEPDM/アクリロニトリルグラフト共重合体およびそのマレイン酸変性物、スチレン/マレイン酸共重合体、反応性フェノキシン等を挙げることができる。
熱可塑性エラストマー組成物に相溶化剤を配合する場合、その配合量には特に限定はなく、好ましくはポリマー成分(熱可塑性樹脂とゴムとの総和)100重量部に対して0.5〜20重量部の割合となる量である。
【0027】
本発明において、ゴムの動的架橋に用いられる加硫剤、加硫助剤、加硫条件(温度、時間)等は、使用するゴムの組成に応じて適宜決定すればよく、特に限定されない。加硫剤としては、一般的なゴム加硫剤(架橋剤)を用いることができる。
【0028】
ゴム加硫剤として用いられるイオウ系加硫剤の具体例としては、粉末イオウ、沈降性イオウ、高分散性イオウ、表面処理イオウ、不溶性イオウ、ジモルフォリンジサルファイド、アルキルフェノールジサルファイド等が例示される。
このイオウ系加硫剤を用いる場合には、その使用量は、例えば、0.5〜4phr(ゴム成分100重量部当りの重量部、以下、同じ)の割合となる量が好ましい。
【0029】
また、有機過酸化物系の加硫剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジ(パーオキシルベンゾエート)等が例示される。
この有機過酸化物系の加硫剤を用いる場合には、その使用量は、例えば、1〜15phrの割合となる量が好ましい。
【0030】
さらに、フェノール樹脂系の加硫剤としては、アルキルフェノール樹脂の臭素化物や、塩化スズ、クロロプレン等のハロゲンドナーとアルキルフェノール樹脂とを含有する混合架橋系等が例示される。
このフェノール樹脂系の加硫剤を用いる場合には、その使用量は、例えば、1〜20phrの割合となる量が好ましい。
【0031】
また、その他の加硫剤として、亜鉛華(5phr程度)、酸化マグネシウム(4phr程度)、リサージ(10〜20phr程度)、p−キノンジオキシム、p−ジベンゾイルキノンジオキシム、テトラクロロ−p−ベンゾキノン、ポリ−p−ジニトロソベンゼン(2〜10phr程度)、メチリンジアニリン(0.2〜10phr程度)等が例示される。
【0032】
また、熱可塑性エラストマー組成物には、必要に応じて、加硫促進剤を添加してもよい。用いられる加硫促進剤としては、アルデヒド・アンモニア系、グアニジン系、チアゾール系、スルフェンアミド系、チウラム系、ジチオ酸塩系、チオウレア系等の一般的な加硫促進剤を、例えば、0.5〜2phr程度用いればよい。
【0033】
具体例として、アルデヒド・アンモニア系加硫促進剤としては、ヘキサメチレンテトラミン等が;
グアニジン系加硫促進剤としては、ジフェニルグアニジン等が;
チアゾール系加硫促進剤としては、ジベンゾチアジルジサルファイド(DM)、2−メルカプトベンゾチアゾールおよびそのZn塩、シクロヘキシルアミン塩等が;
スルフェンアミド系加硫促進剤としては、シクロヘキシルベンゾチアジルスルフェンアマイド(CBS)、N−オキシジエチレンベンゾチアジル−2−スルフェンアマイド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアマイド、2−(チモルポリニルジチオ)ベンゾチアゾール等が;
チウラム系加硫促進剤としては、テトラメチルチウラムジサルファイド(TMTD)、テトラエチルチウラムジサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド(TMTM)、ジベンタメチレンチウラムテトラサルファイド等が;
ジチオ酸塩系加硫促進剤としては、Zn−ジメチルジチオカーバメート、Zn−ジエチルジチオカーバメート、Zn−ジ−n−ブチルジチオカーバメート、Zn−エチルフェニルジチオカーバメート、Tc−ジエチルジチオカーバメート、Cu−ジメチルジチオカーバメート、Fe−ジメチルジチオカーバメート、ピペコリンピペコリルジチオカーバメート等が;
チオウレア系加硫促進剤としては、エチレンチオウレア、ジエチルチオウレア等が;それぞれ開示される。
また、加硫促進剤として、一般的なゴム用助剤を併せて用いることができ、例えば、亜鉛華(5phr程度)、ステアリン酸やオレイン酸およびこれらのZn塩(2〜4phr程度)等を用いることができる。
【0034】
熱可塑性エラストマー組成物の調製は、予め熱可塑性樹脂成分と、未加硫のゴムとを、2軸混練機等の混練機に供給して溶融混練し、連続相(マトリックス相)を形成する熱可塑性樹脂中にゴムを分散相(ドメイン)として分散させることによって行う。次に、混練下に加硫剤を添加して、ゴムを動的に架橋させることによって熱可塑性エラストマー組成物の製造を行うことができる。また、熱可塑性樹脂またはゴムへの各種配合剤の添加は、上記の混練操作中に行ってもよいが、混練の前に予め混合しておくことが好ましい。このとき、加硫剤も予めゴム中に混合しておき、熱可塑性樹脂とゴムを混練中に、ゴムの架橋を同時に行うこともできる。
【0035】
熱可塑性樹脂とゴムの混練に使用する混練機は、特に限定されず、例えば、スクリュー押出機、ニーダ、バンバリーミキサー、2軸混練押出機等を用いることができる。特に、熱可塑性樹脂とゴムの混練、およびゴムの動的架橋には、2軸混練押出機を用いるのが好ましい。また、2種類以上の混練機を使用し、順次混練してもよい。
【0036】
溶融混練の条件として、温度は熱可塑性樹脂が溶融する温度以上であればよい。バリア樹脂を含有する場合は、熱可塑性樹脂の溶融温度以上で且つバリア樹脂の熱変形温度未満であればよい。また、混練時の剪断速度は500〜7500sec-1であるのが好ましい。混練の合計時間は30秒〜10分、また、添加後の加硫時間は15秒〜5分であるのが好ましい。
次に、調製された熱可塑性エラストマー組成物は、混練押出機から、ストランド状に押し出して、水等で冷却後、樹脂用ペレタイザーでペレット状とし、その後、成形を行うこともできる。また、調整された高温の熱可塑性エラストマー組成物を、複層ガラスのシーリング材として直接、複層ガラスのガラス板周縁端部間とすでに配置されたスペーサーとにより囲まれた空隙に打設、充填してもよい。
あるいは、調整された熱可塑性エラストマー組成物を押出成形、射出成形等によってスペーサーの形状に成形しても良い。この場合、成形機から出た高温の熱可塑性エラストマー組成物を用いると、ガラス板とスペーサーとの間の接着性が高くなるので好ましい。
【0037】
また、本発明の組成物にバリア樹脂を含む場合は、上記のように調製された熱可塑性エラストマー組成物を成形してえられるペレットと、上記のバリア樹脂のペレットを、所定の割合で混合ブレンドする。両ペレットの混合は、常用のブレンダー等を使用してドライブレンドする方法、各ペレットを、それぞれ独立のフィーダーより混練機に、所定の割合となるように供給する方法等のいずれの方法にしたがって行ってもよい。
【0038】
次に、この両ペレットの混合物を、低速(例えば、30sec-1以上、300sec-1未満)の剪断速度で、例えば、単軸押出機中で熱可塑性エラストマー組成物とバリア樹脂とを溶融混練させ、押出機の先端から押し出し、または射出成形し、直接、成形機に溶融混練物を供給してシーリング材且つスペーサーの製造に供してもよいし、また、押出機の先端からストランド状に押し出し、ペレット化して、成形に供してもよい。
本発明の組成物を複層ガラスのシーリング材、あるいはスペーサー、あるいはシーリング材且つスペーサーとして用いる場合、バリア樹脂は、複層ガラスの周縁面に平行な板状の層状物として配向しているのが望ましい。このようにバリア樹脂を配向させる方法としては、本発明の組成物を押し出す際のノズルの形状を扁平状にして射出、または押出機出口においても30〜300s-1のせん断速度がかかるようにすることが有効である。
【0039】
上述の構成をとり上述の好ましい製造方法により製造される本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、連続相を構成する熱可塑性樹脂中に、動的に架橋されたゴムが分散相を構成しているものである。すなわち、前記の製造工程において、熱可塑性樹脂とゴムとを混練しながらゴムの架橋が進行し、得られた組成物は、連続相となる樹脂中に分散相として架橋ゴムが微細に分散した状態で存在するものである。
熱可塑性樹脂とゴムとを単に混練しただけのものは、混練して強いせん断力を与えた直後は、ゴムは微細な粒子状に分散しているが、混練をやめるとゴムが大きなかたまりに戻り、ゴムが連続相となり熱可塑性樹脂がゴム中に分散した状態になってしまう可能性がある。このような構造をとる組成物では、ゴムが連続相であるため、耐熱変形性が低い。
【0040】
上述の構成をとる本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、耐水蒸気透過性に優れる。また、上述のようにゴムが熱可塑性樹脂中に微細に分散した状態で存在する本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、耐熱変形性に優れる。
吸湿剤を含有する本発明の組成物は、さらに吸湿性に優れる。
熱可塑性エラストマー組成物の連続相として、熱変形温度が70℃以上の熱可塑性樹脂を用いる本発明の組成物では、耐熱変形性に優れると共に、本発明の組成物をシーリング材等として施工する際の施工性が良好である。
さらに、水蒸気透過バリア樹脂を含有する本発明の組成物では、耐水蒸気透過性がさらに優れる。
【0041】
次に、本発明の組成物を、シーリング材且つスペーサーとして使用した複層ガラスについて説明する。
図1(a)および(b)は、本発明の複層ガラスのガラス板に垂直な方向での概略断面図である。図1(a)および(b)に示す複層ガラス10は、対向する2枚のガラス板1が、間に所定の体積を有する空気層2を形成するよう、2枚のガラス板1間の間隔を決めるスペーサー3を、2枚のガラス板1間に有する。このスペーサー3はアルミ等の金属を用いて別にシーリング材として本発明の熱可塑性エラストマー組成物を設けても良いが、好ましくは、上述の本発明の熱可塑性エラストマー組成物によりなっている。本発明の組成物よりなるスペーサーの硬度は、JIS A硬度で、25〜90であるのが好ましい。この範囲であれば、空気層2の温度が上昇してガラス板とスペーサーの接着面に応力がかかる場合でも、接着力が強固な場合にガラスが破損したり、接着力が不充分な場合に、ガラス板とスペーサーとが剥離することを回避できる。また、この範囲であれば、ガラス板の自重により複層ガラスが変形することもない。
ガラス板1の間隔は、通常約6mm、あるいは約12mmである。図1では、ガラス板1は2枚であるが、2枚に限らず、2枚以上であっても良く、必要に応じて決めることができる。
図1(a)および(b)に示す本発明の複層ガラスの例では、スペーサー3が同時にシーリング材として2枚のガラス板1を外気からシールして保持している。ここで、スペーサー3は、一次シール材、二次シール材等を用いずとも、外部からの水分の浸入を防ぐと共に、2枚のガラス板1を所定の間隔に保持するスペーサーとシーリング材としての役割を果たしている。
本発明の複層ガラスは、図1(b)のようにシーリング材を兼ねるスペーサー3とガラス板1の間に接着層4を有しても良い。接着層4を有することで、スペーサー3とガラス板1の間の接着性が向上し、複層ガラスの外部からの水分の浸入が防止され、空気層2の露点が上がるのを抑えることができる。
【0042】
本発明の複層ガラスのガラス板1としては、建材、車両等に用いられるガラス板を使用することができ、例えば、通常窓等に使用されるガラス、強化ガラス、金属網入りガラス、熱線吸収ガラス、熱線反射ガラス、有機ガラス等を用いることができる。また、その厚みは、適宜決められる。
接着層4に接着剤として用いる接着剤としては、ビニルシラン、メタクリルシラン、アミノシラン、エポキシシラン、メルカプトシラン等のシランカップリング剤、または、マレイン酸基、カルボン酸基、水酸基、エポキシ基等を有するポリマーを用いることができる。例えば、マレイン酸変性ポリエチレン、マレイン酸変性ポリプロピレン、マレイン酸変性エチレンエチルアクリレート、エポキシ変性スチレンブタジエン共重合体、エポキシ変性エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体およびそのケン化物等が挙げられる。これらの中でも、オレフィン/酢酸ビニル共重合体が好ましい。オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、ブテン等が挙げられる。これらの中でも、エチレン酢酸ビニル共重合体が、ガラスとの接着性、耐水性の観点から特に好ましい。また、上述のオレフィン/酢酸ビニル共重合体は、ケン化されているのが好ましい。反応性が高くなり接着性が向上するからである。
【0043】
本発明の複層ガラスは、基本的には、機械と固定された2枚の平行なガラス板1の間に、押出機に連結したノズル等で本発明の組成物を押出しながら接着を行うことにより作製していく。この際、ガラス板1のスペーサー3が接着される部分に、必要に応じてプライマーを塗布し、さらに必要に応じて接着剤を塗布することもできる。場合によっては、一方のガラス板面に本発明の組成物を押し出しておき、冷却しないうちにもう一方のガラス板を圧着して作製することもできる。プライマー、接着剤の塗布方法は、アプリケータ等により手作業で塗布してもよく、自動でプライマーや接着剤を押し出すロボットによって塗布してもよい。特に、本発明の組成物と接着剤とを押出機により共押出しし、外層が接着剤、外層の内側が本発明の組成物という構造をとるよう押し出し、スペーサーの所定の形状に成形してもよいし、押し出しした本発明の組成物と接着剤とを直接ガラス板周縁端部間に吐出しても良い。
なお、スペーサーを形成する本発明の組成物は、スペーサーとして成形してガラス板に配設される場合でも、押出機から直接ガラス板間に吐出される場合でも、混練後の高温の状態であるものを用いるのが好ましい。スペーサーとガラス板との間により強固な接着性が得られるからである。
このような構成をとる本発明の複層ガラスは、従来の金属製スペーサーとシーリング材とを用いて製造される複層ガラスと比べて、製造工程が大幅に削減されるため、製造が非常に簡便である。
また、本発明の熱可塑性エラストマー組成物をシーリング材且つスペーサーとして使用するので、従来の2液型のシーリング材のように硬化までに長時間を要することがなく生産性が高い。本発明の組成物は、上述したように耐水蒸気透過性に優れるので、本発明の複層ガラスは、露点が低い。さらに、本発明の組成物は耐熱変形性に優れるので、ガラス板が外気温等により高温になっても、ガラス板がずれて複層ガラスが変形することがない。
また、吸湿材や、バリア樹脂を配合した本発明の組成物を使用する複層ガラスでは、空気層が乾燥したまま保持され、また、外部からの水分の浸入が防止され、露点が十分に低く保たれる。
【0044】
【実施例】
以下に実施例を挙げ、本発明の熱可塑性エラストマー組成物についてさらに詳細に説明する。
【0045】
(実施例1〜10、および比較例1〜2)
まず表1に示すゴムをゴム用ペレタイザーで約100℃にてペレット化し、その後、実施例1〜10、比較例1〜2の各配合比率で、ゴムとマトリックス樹脂、老化防止剤、充填剤、粘着付与剤をドライブレンドし、2軸混練機に投入し、溶融混練した後、中間の投入口から加硫系を添加し、動的加硫を行った。このときの2軸混練機は、温度230℃で、剪断速度1000s-1に設定した。さらに、2軸混練機の最終投入口より吸湿剤、接着付与剤を投入した。
2軸混練機よりストランド状に押し出された熱可塑性エラストマー組成物は水冷し、冷却した後、樹脂用ペレタイザーでペレット化した。
次に、一辺が300mmの角ガラス2枚を6mmの間隔をもたせて平行に固定し、その間の周縁部に上記材料をノズルで押出し成形しながら配設し、複層ガラスを作成した。また、ペレットは、プレス成形にて30μmのフィルム状に成形し、水蒸気透過率の測定に供するサンプルとした。
実施例5、6については、上記方法にて調整しておいた熱可塑性エラストマー組成物を複層ガラスを作る際の押出成形直前で、バリア樹脂とドライブレンドさせて上記と同様の方法で複層ガラスを作成した。
【0046】
(比較例3)
ゴム用加硫剤を配合中に投入しなかったこと以外は、上記実施例、比較例とまったく同様の方法で複層ガラスを作製した。
【0047】
(1)水蒸気透過率
図2に示されるようなステンレス製のカップ20に、カップ容量の半分の水22を入れる。カップ20の上部開口を、実施例1〜10、比較例1〜3で得られた試料シートを切断して得られた試料シート24(30μm厚)で覆い、その上部に燒結金属板26をのせ、固定部材28を介して、ボルト30とナット32で締める。このカップを25℃の雰囲気下に放置し、1ヶ月後に全体の重量を測定し、その減少量を24時間当たりに換算して算出し、下記式で水蒸気透過率を算出した。
(2)JIS K 7207に従って、連続相として使用する熱可塑性樹脂の熱変形温度(荷重たわみ温度)を0.45MPaの条件で測定した。
(3)露点測定
JIS R 3209に記載の「加速耐久性による区分」のI〜III 類の試験水準に準拠して、下記の試験を終了後露点を測定した。
I類:耐湿耐光試験7日+冷熱繰り返し試験12サイクル
II類:耐湿耐光試験14日+冷熱繰り返し試験24サイクル
III類:耐湿耐光試験42日+冷熱繰り返し試験72サイクル
表中、○は露点が−35℃以下であったことを、△は−35℃超−30℃未満であったことを、×は−30℃以上であったことを示す。
(4)施工時のずれ
実施例、比較例で作成した複層ガラスの一方のガラスを固定し、もう一方のガラスに 8kgの荷重をかけ、50℃の温度条件で被荷重側にガラス板の下降移動量を測定した。その移動量が1日で、0.5mm以下のものを○で表し、0.5mm超であるものを×で表した。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
(実施例11、12)
実施例1の熱可塑性エラストマー組成物を内層に、マレイン酸変性EEAまたはエチレン・酢酸ビニル・ケン化物を外層にして、約200℃で2層共押出ししながらスペーサーを成形し、実施例1と同様にして複層ガラスを作成した。この際、接着層の厚みは約20μmであった。
実施例1と同様にして、複層ガラスの特性を測定評価した。結果を表2に示す。
【0051】
(実施例13)
エチレン・酢酸ビニル・ケン化物を固形分10%でトルエンに溶解し、プライマーを作成した。これをガラス板にハケで塗布し15分間放置後、実施例1と同様にして複層ガラスを作製した。その後、実施例1と同様にして、複層ガラスの特性を評価した。結果を表2に示す。
【0052】
【表3】
【0053】
<表中の各成分>
PET:J125、三井ペット社製
HDPE(マトリックス):ハイゼックス2100J、三井化学社製
PS:スタイロン666 R、旭化成社製
変性ブチルゴム:Exxpro89-4、エクソン社製
EPDM:EPT3045、三井化学社製
IR:ニポール2200、日本ゼオン社製
HDPE(バリア樹脂):リュブマー5000、三井化学社製
ZnO:亜鉛華3号、正同化学社製
ステアリン酸亜鉛:ステアリン酸亜鉛、正同化学社製
ステアリン酸:ビーズステアリン酸、日本油脂社製
イオウ:粉末イオウ、軽井沢精錬所製
NS:ノクセラーNS、大内新興化学(株)製
臭素化フェノール:タッキロール250-1 、田岡化学社製
RD:アンチゲン- RD- F、住友化学工業(株)製
ゼオライト1:ゼオラム4A、東ソー社製
ゼオライト2:ゼオラム3、東ソー社製
タルク:タルクF、日本タルク社製
ロジンエステル:ペンセルAD、荒川化学社製
シランカップリング剤:A-174、日本ユニカー社製
マレイン酸変性EEA:AR-201、三井・デュポン ポリケミカル社製
エチレン・酢酸ビニル・ケン化物:デュミランC1550、武田薬品社製
【0054】
【発明の効果】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、低水蒸気透過率の熱可塑性樹脂とゴムを用い、かつ熱可塑性樹脂を連続相として配することによって、耐水蒸気透過性、耐熱変形性に優れる。
複層ガラスのシーリング材やスペーサー兼シーリング材として、水蒸気透過性の大きいゴム、樹脂を使用した場合には、水蒸気が複層ガラス中に浸入して結露が発生し、また、水蒸気透過性の小さいゴム、樹脂を使用した場合でも、ゴムが連続相となると、施工時のずれが発生することから好ましくない。本発明の熱可塑性エラストマー組成物をシーリング材且つスペーサーとして使用する本発明の複層ガラスは、耐熱変形性に優れ、空気層の露点が十分に低い。さらに、本発明の複層ガラスは、製造工程が、従来の複層ガラスに比べ、大幅に削減されているので非常に簡便に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)および(b)は本発明の複層ガラスの1実施例の概略断面図である。
【図2】 水蒸気透過率を測定するためのカップの断面図である。
【符号の説明】
1 ガラス板
2 空気層
3 スペーサー
4 接着層
10 複層ガラス
20 カップ
22 水
24 試料シート
26 燒結金属板
28 固定部材
30 ボルト
32 ナット
Claims (8)
- ポリエチレンテレフタレート、高密度ポリエチレンおよび低密度ポリエチレンからなる群から選択される少なくとも1種の水蒸気透過率が100g/m2 ・24h以下(30μm厚)の熱可塑性樹脂と、
パラメチルスチレンとイソブチレンの共重合体の臭素化物およびエチレンプロピレンゴムからなる群から選択される少なくとも1種の架橋した場合には水蒸気透過率が300g/m2 ・24h(30μm厚)以下となるゴムとを原料とし、
前記熱可塑性樹脂と前記ゴムとの体積比の配合比率を制御して、前記熱可塑性樹脂の溶融粘度と前記ゴムの溶融粘度との関係が、下記式で求められるα1の値が1未満であるように調整して得られる、
熱可塑性樹脂連続相中に少なくとも一部が動的に架橋されたゴムからなる分散相を有する熱可塑性エラストマー組成物。
α1 =(φR /φP )×(ηP /ηR )
(式中、φR は前記ゴムの体積分率を表し、φP は前記熱可塑性樹脂の体積分率を表し、ηR は前記熱可塑性樹脂と前記ゴムの混練時の温度および剪断速度条件における前記ゴムの溶融粘度(poise)を表し、ηP は前記熱可塑性樹脂と前記ゴムの混練時の温度および剪断速度条件における前記熱可塑性樹脂の溶融粘度(poise)を表す。) - さらに吸湿剤を含む請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 前記熱可塑性樹脂の熱変形温度が50℃以上である請求項1または2に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- さらに、水蒸気透過バリア樹脂を含む請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- さらに、マレイン酸基を有するポリマー、カルボン酸基を有するポリマー、水酸基を有するポリマーおよびエポキシ基を有するポリマーからなる群から選択される少なくとも1種のポリマーを含む請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物をシーリング材且つスペーサーとして用いた複層ガラス。
- 前記シーリング材且つスペーサーである熱可塑性エラストマー組成物と、ガラス板との間に、接着層を有する請求項6に記載の複層ガラス。
- 前記接着層が、オレフィン/酢酸ビニル共重合体である請求項7に記載の複層ガラス。
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