JPH10114551A - 複層ガラス - Google Patents
複層ガラスInfo
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- JPH10114551A JPH10114551A JP8346291A JP34629196A JPH10114551A JP H10114551 A JPH10114551 A JP H10114551A JP 8346291 A JP8346291 A JP 8346291A JP 34629196 A JP34629196 A JP 34629196A JP H10114551 A JPH10114551 A JP H10114551A
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Abstract
し、複層ガラスをより安価にかつ簡便に提供する。 【解決手段】スペーサ20が、25℃においてJIS
A硬度が10以上90以下の熱可塑性樹脂からなる複層
ガラス10。
Description
用いた複層ガラスに関する。
から注目され、その需要が増加しつづけている商品であ
る。その製造には多くの工程が必要であるため、通常の
ガラス板に比べコストが高く、さらなる低コスト化が望
まれている。
うに、最低2枚のガラス板1a,1bをスペーサ2を介
して対向させ、ガラス板1a,1bとの間に中空層を形
成してなる。そして、ガラス板1a,1bとスペーサ2
との間に一次シール材3を介在させることによって、中
空層を外気から遮断し、対向しているそれらのガラス板
の周縁部の内面とスペーサ外周面とで構成された空隙
(凹部)をポリスルフィド系またはシリコーン系で代表
される常温硬化型の二次シール材で封着してなってい
る。
て、種々の簡略化あるいは自動化による生産性改良、ひ
いてはコストダウンなどが検討され、提案されてきた。
例えば、アルミニウムスペーサを折り曲げ方式にした
り、常温硬化型シール材の塗布方法を自動化させること
があげられる。また、図5に示すようにアルミニウムス
ペーサの代わりに乾燥剤を練り込んだ樹脂をスペーサ4
として用いる方法も提案されてきている。
いた複層ガラスでは、用いられるスペーサの種類を問わ
ず、複層ガラス製造後、シール材の硬化のために長時間
の養生を必要とする。そのため養生終了までは製品を出
荷できない。
け、ある一定期間製品を保管した後に出荷しなければな
らず、納期が長期化し、客先の要望に必ずしも応え得な
かった。また、将来的に増加する需要に対応するには、
これまで以上の養生スペースが必要となるため、これを
回避し、充分な複層ガラスの供給量を確保するために
は、上記の養生時間の短縮が必要と考えられている。
化の点からは、乾燥剤を練り込んだ樹脂からなる成形物
をスペーサとして用い、二次シール材を用いずに複層ガ
ラスを製造する方法が提案されている(特公昭61−2
0501)。しかし、このスペーサ用樹脂はスペーサと
しては硬度が不足し、実際には上記樹脂からなるスペー
サ単独では複層ガラスとしての形状の維持が困難であっ
た。
塩化ビニル樹脂やホットメルトブチルなどの熱可塑性樹
脂に乾燥剤を練り込んだJIS A硬度95の硬さを有
する材料をスペーサとして用いる複層ガラスが知られて
いる(特開平7−17748)。しかし、このJIS
A硬度95の硬さを有する材料を、複層ガラスのスペー
サまたはシール材として用いた場合には、複層ガラスの
シール部またはガラス板にかかる応力が大きく、シール
部の剥離や複層ガラス自体のガラス割れが生じるなどの
難点がある。したがって現状では、二次シール材を用い
ずに、複層ガラスとして要求されるスペーサのみで寿
命、形状維持性、成形性などの特性を全て満足する複層
ガラスは知られていない。
トメルトブチルの例示があるように、ブチル系ゴムはそ
の粘着性、高耐候性および低透湿性という面から建材用
途などのシール材として用いられている。しかし、硬度
が低くコールドフロー性があるため、使用用途によって
は長期耐久性の点で単独では問題がある。また溶融粘度
が高いために、作業性が悪いという問題もある。硬度を
向上させるために各種フィラーを混合する方法もある
が、フィラーの添加のみによって高硬度化を行うと、溶
融粘度が上昇し作業性を著しく損なうことに加え、場合
によっては、引張り強度や引き裂き強度が低下するため
望ましくない。
ーサとの間の面をシールし、気密性を維持する機能を有
することから、複層ガラスの端部シール材として好適に
用いることができる。この場合、ブチル系ゴムの硬度が
低いことより通常はアルミニウム製などの金属製のスペ
ーサが用いられ、スペーサとガラス板との間にブチル系
ゴムがシール材として配置されることになる。しかし、
前述のように金属製スペーサを用いる必要上複層ガラス
の製造工程が複雑化する。
製造工程をより簡略化しうるシール材の開発が望まれて
いる。現状では、二次シールを用いずに、複層ガラスと
して要求されるスペーサのみで寿命、形状維持性、成形
性などの特性を全て満足する複層ガラスは知られていな
い。
養生の問題を解消し、これまでにない高い生産性を実現
できる複層ガラスを提供することにある。
ラス板が、その間に中空層を形成するようにスペーサを
介して隔置されて対向配置された複層ガラスにおいて、
前記スペーサは、25℃においてJIS A硬度が10
〜90の熱可塑性樹脂組成物からなることを特徴とする
複層ガラスを提供する。
らに詳細に説明する。図1は、本発明の複層ガラスの構
成の一例を示す部分概略断面図であり、複層ガラス10
は、2枚のガラス板1aおよび1bが、間に中空層30
が形成されるようにスペーサ20のみによって所定の間
隔に保持されてなる。スペーサ20は、JIS A硬度
が10〜90の熱可塑性樹脂組成物から形成されてい
る。なお、上記の「スペーサ20のみによる」の意味
は、他に二次シール材や金属製のスペーサなどを不要と
することを指すものであり、必要に応じて適用されるプ
ライマー処理を含むものとする。
サ材料に用いる熱可塑性樹脂組成物とは、25℃におい
てJIS A硬度が10〜90の熱可塑性樹脂組成物で
ある。このようなスペーサ用樹脂組成物としては、上記
特性を有するかぎり、いずれの熱可塑性樹脂組成物も使
用できる。
性エラストマーや、加硫密度を調節して加熱による溶融
流動しうるようにしたゴム系材料も上記の特性を有する
限り本発明でいう「熱可塑性樹脂組成物」に包含され
る。さらには、これら熱可塑性樹脂組成物に、ジブチル
フタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレートなどの
いわゆる可塑剤を含めた配合物も、上記の特性を有する
限り本発明でいう「熱可塑性樹脂組成物」に含まれる。
成物は、熱溶融成形可能なゴムもしくはエラストマーま
たは上記のゴムもしくはエラストマー以外の熱可塑性樹
脂の少なくとも一方を含むことが好ましく、両者を含む
ことがより好ましい。また、上記樹脂組成物は低透湿性
のゴム、エラストマー、または熱可塑性樹脂から構成さ
れていることが好ましい。さらに、複層ガラスを構成し
た場合に、複層ガラスの中空層への水分の侵入を防ぐた
めに所定量の乾燥剤が練り込まれた樹脂組成物であるこ
とが好ましい。
しくはエラストマーとしては、その水蒸気透過係数が好
ましくは3000×10-13 cm3 ・cm/cm2 ・s
ec・Pa以下のゴムもしくはエラストマーであり、な
かでもイソブチレンとイソプレンとを主体とする共重合
体からなるブチルゴム、ポリイソブチレン、ハロゲン化
ブチルゴムなどのブチル系ゴムが好適である。これらの
低透湿性で熱溶融成形可能なゴムもしくはエラストマー
は、単独または2種以上のブレンドで使用してもよい。
外の低透湿性熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニ
ルなどや、これらのポリマーを構成するモノマーの共重
合体、またはそれらの変性物が挙げられ、結晶性ポリオ
レフィンが好ましく、特に高密度のポリエチレンが好ま
しい。これらの熱可塑性樹脂の水蒸気透過係数は300
0×10-13 cm3 ・cm/cm2 ・sec・Pa以下
が好ましく、500×10-13 cm3 ・cm/cm2 ・
sec・Pa以下がさらに好ましい。この熱可塑性樹脂
は、特にスペーサの形状保持性能に寄与する。
は、上記低透湿性で熱溶融成形可能なゴムもしくはエラ
ストマー、このゴムもしくはエラストマー以外の低透湿
性の熱可塑性樹脂に加え、乾燥剤が配合され、さらに無
機フィラーやその他の添加物が必要に応じて配合され
る。乾燥剤としては、例えば、ゼオライト、アルミナ、
シリカゲルなどのように、従来の複層ガラスのスペーサ
やシール材に混合されて使用される乾燥剤がいずれも使
用できる。
成分を望ましい成分とするが、添加物として粘着付与
剤、滑剤、顔料、帯電防止剤、老化防止剤、熱安定剤、
充填材、発泡剤などを必要に応じて上記熱可塑性樹脂に
配合して使用しうる。
混練して調製される。その調製に際しては、得られる樹
脂組成物の25℃におけるJIS A硬度が90以下に
なるように必要成分を配合することが重要である。90
以下とする理由は次のとおりである。
脂組成物を複層ガラスのスペーサとして用いようとした
場合、クリープがほとんど起きないために、JIS R
3209に示された耐久試験を実施した際、高温下で空
気の膨張による応力がガラス板とスペーサとの接着界面
にかかる。このため、接着力が不充分であれば剥離が発
生し、仮に接着力が確保されている場合でもガラスが割
れることがある。現在知られている接着剤でも、高温あ
るいは高圧をかけることによって、中空層が膨張する応
力に耐えるだけの接着力を得ることは可能であるが、高
温高圧をかけることによってガラスの破損が発生し、著
しく生産性が低下するため、製造コスト低減を目標とす
る本発明の目的には沿わない。
維持性に問題が生じるので、樹脂組成物の25℃におけ
るJIS A硬度が10以上になるように必要成分を配
合することが重要である。さらにJIS A硬度が10
以上であっても硬度が比較的小さい場合、中空層の厚み
が厚いと板ずれを引き起こすことがある。
空層の厚みが4〜18mm程度である(6mmまたは1
2mmのものが多い)。したがって、硬度が比較的小さ
い場合には中空層の厚みが6mmのものでは板ずれが生
じなくとも、12mmのものでは板ずれが生じてしまう
ことがある。上記硬度を40以上にすることによって、
中空層の厚みが12mmのものであっても板ずれを生じ
ないようにできる。このことから、本発明における複層
ガラスにおいて熱可塑性樹脂スペーサのJISA硬度は
40以上が特に好ましい。
をスペーサとして用いた複層ガラスは、ガラス板にかか
る応力が大きい。そのため、JIS R3209で指定
されている厚さ5mmおよび厚さ3mmのガラス板を用
いたいずれの複層ガラスでも、加速耐久試験中にガラス
割れが生じる。
組成物をスペーサとして用いた複層ガラスは、厚さ5m
mのガラス板を用いた複層ガラスでは上記試験でガラス
割れは発生しない。一方、厚さ3mmのガラス板を用い
た複層ガラスは上記試験でガラス割れが発生する可能性
があった。したがって、スペーサ用樹脂組成物のJIS
A硬度の上限は90である。また、JIS A硬度が
75である樹脂組成物をスペーサとして用いた複層ガラ
スは、厚さ5mmおよび厚さ3mmのガラス板を用いた
いずれの複層ガラスでも、上記試験ではガラス割れは発
生しない。現在一般的に使用されている複層ガラス用の
ガラス板は厚さが3mmのものであるので、スペーサ用
樹脂組成物のJIS A硬度は40〜75の範囲がより
好適である。
間的なものであることに対し、クリープ特性を示すクリ
ープコンプライアンスJは、継続的な応力が加わる場合
の樹脂の特性を示すもので、弾性率の逆数で表されるも
のである。このクリープコンプライアンスJは、例えば
次のように測定される。
定方法を示す概略断面図である。測定されるべき樹脂材
料60は、ガラス板61a,61bに接着される面の大
きさが10×50(mm)で、厚み12mmに成形され
ている。そして、樹脂材料に常に0.2kg/cm2 の
応力が加わるように、40℃の雰囲気温度中でガラス板
を図の矢印の方向に引っ張り、5分後の材料の伸び量か
ら、クリープコンプライアンスJを計算する。なお、J
の値はガラス板61a,61bの厚みに依存しないが、
ここでは厚み5mmのガラス板を用いることとする。
において、複層ガラスの片側のガラス板を吸盤等で吸着
し、パレットへ積み込まれる。逆に、複層ガラスをパレ
ットから取り出すときも同様に吸着される。複層ガラス
の吸盤によるいわゆる「片持ち」の状況は通常5分以下
と考えられる。また、夏場の屋外の気温は40℃程度に
上昇する。そのため、作業中に板ずれを起こさないため
には、クリープコンプライアンスJが、[40℃、ずり
モード、測定開始5分後]において1×10-5cm2 /
dyne以下であることが好ましい。
[40℃、ずりモード、測定開始5分後]において1×
10-10 cm2 /dyneよりも小さいと、実質上ほと
んどクリープしないため、ガラス板とスペーサとの間に
かかる応力が大きくなり、剥離、ガラス割れ等の問題点
が発生する。そのため、[40℃、ずりモード、測定開
始5分後]におけるJは1×10-10 cm2 /dyne
以上であることが好ましい。
は4〜18mm程度のものが多い。そのため、[40
℃、ずりモード、測定開始5分後]におけるクリープコ
ンプライアンスJが1×10-5cm2 /dyne以下で
あっても比較的クリープコンプライアンスJが大きい場
合には、中空層の厚みが厚いと板ずれを引き起こすこと
がある。例えば、クリープコンプライアンスJが大きい
場合には、中空層が6mmのものでは板ずれが生じなく
とも、12mmのものでは板ずれが生じてしまうことが
ある。そこで、クリープコンプライアンスJを1×10
-6cm2 /dyne以下にすることによって、中空層の
厚みが12mmのものであっても板ずれを生じないよう
にできる。
を1×10-9cm2 /dyneとすることは、特に好ま
しい。これは、1×10-10 cm2 /dyneの値で、
例えば、JIS R3209で規定する耐久試験におい
て、厚さ5mmのガラス板を用いた複層ガラスではガラ
ス板が割れなくても、厚さ3mmのガラス板を用いた複
層ガラスでガラス板が割れることがある。このため、種
々の厚みのガラス板においてガラス板の割れが発生しな
いように、[40℃、ずりモード、測定開始5分後]に
おけるクリープコンプライアンスJの下限が1×10-9
cm2 /dyneであることは、特に好ましい。
サに用いる樹脂組成物として、JIS A硬度が40〜
75、[40℃、ずりモード、測定開始5分後]におけ
るクリープコンプライアンスJが1×10-6〜1×10
-9cm2 /dyneの範囲のものを用いることは、特に
好ましい。
係数が5000×10-13 cm3 ・cm/cm2 ・se
c・Pa以下、さらに露点性能を維持するためには水蒸
気透過係数を500×10-13 cm3 ・cm/cm2 ・
sec・Pa以下にすることが望ましい。
ンプライアンスJおよび水蒸気透過係数を有するスペー
サ用樹脂組成物の具体例は後述の実施例で説明するが、
好ましい樹脂組成物の配合成分およびその配合割合は以
下の通りである。
用樹脂組成物として、熱溶融成形可能なゴムもしくはエ
ラストマーにブチル系ゴムを用い、このゴムもしくはエ
ラストマー以外の熱可塑性樹脂に結晶性ポリオレフィン
を用いた、以下のものがあげられる。
剤、顔料、帯電防止剤、粘着付与剤、可塑剤、老化防止
剤、熱安定剤、酸化防止剤、シランカップリング剤など
の加水分解性シリル基含有化合物、発泡剤、無機フィラ
ーを含む充填材等を指し、他で使用している用語「添加
物」は、添加剤から無機フィラーを除き粘着付与剤を加
えたものを意味する。
含み、両者の合計量に対するブチル系ゴムの割合が50
〜98重量%、結晶性ポリオレフィンの割合が2〜50
重量%である樹脂組成物。
機フィラーとを含み、ブチル系ゴムと結晶性ポリオレフ
ィンとの合計量に対するブチル系ゴムの割合が50〜9
8重量%、結晶性ポリオレフィンの割合が2〜50重量
%であり、ブチル系ゴムと結晶性ポリオレフィンとの合
計100重量部に対する無機フィラーの割合が200重
量部以下である樹脂組成物。
単独重合体や他の単量体との共重合体、およびそれらの
変性物をいう。共重合体としては比較的少量のイソプレ
ンと共重合して得られる共重合体(通常ブチルゴムと呼
ばれているもの)が好ましい。変性物としてはハロゲン
化ブチルゴムや部分架橋ブチルゴムなどがある。特に好
ましいブチル系ゴムは、通常ブチルゴムと呼ばれている
イソブチレンとイソプレンとの共重合体、および部分架
橋ブチルゴムである。
ロピレンなどのオレフィンの単独重合体や他の単量体と
の共重合体、およびそれらの変性物であって、結晶性を
有しているものをいう。重合体の構造はシンジオタクチ
ック構造やアイソタクチック構造であることが好ましい
が、他の構造を含んでいてもよい。オレフィンとしては
特にエチレンとプロピレンが好ましい。
共重合体やオレフィンと他の単量体との共重合体があ
り、エチレンやプロピレンと結晶性を阻害しない他の単
量体との共重合体が適当である。また共重合体として
は、交互共重合体やランダム共重合体よりもブロック共
重合体が適当である。変性物としては酸無水物基、カル
ボキシル基、エポキシ基などの官能基を導入した結晶性
ポリオレフィンがある。
独重合体であるポリエチレンとポリプロピレンである。
例えば、ポリエチレンとして低密度ポリエチレン、中密
度ポリエチレン、高密度ポリエチレンなどを使用でき
る。結晶性ポリオレフィンの結晶化度は30%以上が好
ましく、特に50%以上が好ましい。例えば、通常の結
晶性ポリオレフィンにおける代表的な結晶化度の値は、
低密度ポリエチレンで50〜60%、高密度ポリエチレ
ンで75〜90%、ポリプロピレンで55〜65%であ
る。分子量は特に限定されないが、数平均分子量でポリ
エチレンでは約20万〜80万、ポリプロピレンでは約
10万〜40万のものが適当である。
は高い結晶性を有するためブチル系ゴムより低透湿であ
る。なかでもより低い溶融粘度を示すものは、ブチル系
ゴム単独の場合に比較して、組成物の溶融粘度が低下し
成形加工性が向上する。したがってまた、種々の無機フ
ィラーの配合が可能となってより高硬度のスペーサ用樹
脂組成物を実現させ、また経済性の観点からも特にこれ
らが好ましい。
結晶性ポリオレフィンとの合計量に対する結晶性ポリオ
レフィンの割合は2〜50重量%であり、好ましくは5
〜40重量%である。結晶性ポリオレフィンの割合が2
重量%未満では、ブチル系ゴムの高硬度化が難しく、ま
た50重量%を超えると結晶性ポリオレフィンの性質が
主体となりブチル系ゴムの特性が発現し難くなる。
ゴムと結晶性ポリオレフィンとの合計量に対する結晶性
ポリオレフィンの割合は少なくてすむ。例えば、ブチル
系ゴムと結晶性ポリオレフィンとの合計100重量部に
対して約50重量部以上の無機フィラーが配合される場
合には、ブチル系ゴムと結晶性ポリオレフィンとの合計
量に対する結晶性ポリオレフィンの割合は2〜20重量
%で充分目的の効果が発揮される。
フィンとを含む上記樹脂組成物に実質的に有効量の無機
フィラーを配合できる。実質的に有効量とは、ブチル系
ゴムと結晶性ポリオレフィンの合計100重量部に対し
て1重量部以上をいう。あまりに多量の無機フィラーを
配合することは組成物の溶融粘度が上昇し、また、引張
り強度や引き裂き強度が低下するため、配合量の上限は
200重量部であり、好ましくは150重量部である。
無機フィラー配合の場合の配合量の好ましい下限は10
重量部である。
タルク、マイカ、カーボンブラックなど、通常無機フィ
ラーとして用いられているものを、単独でまたは2種以
上併用して使用できる。
な用途に使用される前において、それに含まれるブチル
系ゴムと結晶性ポリオレフィンが高温下で混合されてい
ることがきわめて有効である。この混合における高温と
は結晶性ポリオレフィンの結晶融点以上の温度をいう。
この混合温度はブチル系ゴムの分解点以下である必要が
あり、通常のブチル系ゴムの分解点である約300℃以
下が好ましい。特に生産性などの面から200℃以下が
好ましい。したがってまた結晶性ポリオレフィンの結晶
融点も200℃以下が好ましい。
おいてはできるだけ硬度変化の少ないことがより好まし
い。こうした要件を満足するためには結晶性ポリオレフ
ィンとしては、通常の使用上限温度以上に結晶融点を有
するものが好ましい。建材用樹脂材料の通常の使用上限
温度は約80℃である。
力で拘束されることによって、ガラス転移温度を超えた
温度領域でも非晶性樹脂に見られる急激な硬度低下や流
動状態は結晶融点以下では起こらない。逆に、結晶融点
を境に溶融粘度の著しい低下が見られ、ブチル系ゴムと
の混練性を良好にならしめる効果が期待できる。
サ用樹脂材料に配合されうる乾燥剤および上記の添加物
を配合できる。特にこの樹脂組成物をスペーサに用いる
場合、ゼオライト、シリカゲル、アルミナなどの乾燥
剤、粘着付与剤、可塑剤、シランカップリング剤、各種
安定剤の配合が好ましい。
中に5〜30重量%配合することが好ましい。また、粘
着付与効果と可塑化効果を与えるために、ポリイソブチ
レンを、ポリイソブチレン以外のブチル系ゴム100重
量部に対し、200重量部以下、特には5〜150重量
部添加することも好ましい。
用樹脂組成物の成分配合割合は、ブチル系ゴム30〜5
5重量%、結晶性ポリオレフィン1〜8重量%、無機フ
ィラー15〜30重量%、乾燥剤および添加物20〜4
0重量%である(もちろんこの場合、ブチル系ゴムと結
晶性ポリオレフィンとの合計量に対するブチル系ゴムの
割合が50〜98重量%、結晶性ポリオレフィンの割合
が2〜50重量%である)。
くともブチル系ゴムと結晶性ポリオレフィンを結晶性ポ
リオレフィンの結晶融点以上ブチル系ゴムの分解点以下
の温度で混合して製造されることが好ましい。この混合
温度は100〜280℃、特に120〜250℃、が好
ましい。他の配合物や添加物は同時に混合してもよく、
その混合前または後に混合してもよい。
の組成物であり、通常の溶融混合押出し機やニーダーな
どの混合機で混合できる。さらに、上記混合操作と連続
して成形を行うこともできる。また、組成物を製造して
ペレット状などの成形材料とし、その後成形を行うこと
もできる。成形法としては押出し成形法や射出成形法な
どの溶融成形法を使用できる。
上のガラス板が対向配置された複層ガラス材料の端部に
配置して複層ガラスを製造できる。この場合成形機から
出た高温の組成物を用いることにより、ガラス板との高
い接着性が得られる。また、アプリケータなどの装置を
用いて組成物の温度低下を抑制しながら、複層ガラス材
料に適用することもできる。この装置としては加熱可能
なものが好ましい。
記配合成分および比率に限定されないが、上記の配合割
合で本発明において好ましいJIS A硬度および水蒸
気透過係数を有するスペーサが得られる。
ス板は、通常、建材、車両などに広く使用されている
窓、ドアなどのガラス板、強化ガラス、合わせガラス、
金属網入りガラス、熱線吸収ガラス、さらには、熱線反
射ガラス、低反射率ガラスなどのように、表面に金属や
他の無機物を薄くコーティングしたガラス板、有機ガラ
スと呼ばれるアクリル樹脂板、ポリカーボネート板など
であり、特に限定されない。また、複層ガラスは2枚の
ガラス板から構成されるものでもよく、3枚以上のガラ
ス板から構成されるものでもよい。
ーサが当接するガラス面に溶剤に溶解した接着剤を塗布
することができる。そして、接着剤を風乾した後に、図
2に示すように2枚のガラス板1a,1bを所定間隔
(例えば6mm、12mm)に保持し、次に、図3に示
すような適当な直径のシリンダーを有する汎用の押出機
を用いて、上記の樹脂組成物を、例えば150〜200
℃の温度で溶融させ、適当な先端形状をもつダイから押
出しながら、2枚のガラス板間に介在させて冷却するこ
とによって形成される。
の複層ガラスの製造方法自体は上記方法に限定されず、
例えば、前記樹脂組成物から予め所望形状のスペーサを
成形しておき、これを例えば2枚のガラス板で熱圧着さ
せて形成してもよい。
らに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限
定されない。
成分を混練してJIS A硬度が65の樹脂組成物を得
た後に、4A型乾燥ゼオライトパウダーからなる乾燥剤
を加え、さらに混練して乾燥剤を均一に分散させてJI
S A硬度が85のスペーサ用樹脂組成物を得た。
で、表1に示す配合でゼオライト混合後におけるJIS
A硬度が表2に示す値であるスペーサ用樹脂組成物を得
た。
ムーニー粘度47 ML(1+8)100℃であるブチ
ルゴム、部分架橋ブチルゴムはムーニー粘度45 ML
(1+3)121℃である部分架橋ブチルゴム、PIB
−Aは粘度平均分子量12000のポリイソブチレン、
PIB−Bは粘度平均分子量72000のポリイソブチ
レン、HDPEはメルトインデックス20、結晶融点1
30℃、結晶化度80%である高密度ポリエチレンであ
る。また、JIS A硬度はJIS K6301に準じ
て測定した。材料の組成の数値は重量%を表す。
14のスペーサ用樹脂組成物を用いて複層ガラスを作製
した例を示す。下記例1〜9は実施例であり、例10〜
14は比較例である。
を直径40mmのシリンダーを有するゴム用押出機を用
いて、予めスペーサ当接部をプライマー処理したサイズ
320×500mm、厚さ3mmまたは5mmの2枚の
フロートガラス板の間に6mmまたは12mmの間隔を
保ち、ガラス板の外周部にスペーサを押出成形して本発
明の複層ガラスを得た。
例2〜14のスペーサ用樹脂組成物を用い、他は例1と
同様にして複層ガラスを得た。
を固定し、他方のガラス板に13kgの荷重をかけ、2
5℃の温度条件で被荷重側のガラス板の下降移動量を測
定した。その移動量が20分間で0.5mm以下である
ものを合格とした。 加速耐久試験:JIS R3209にしたがい、厚さ6
mmのスペーサを有する複層ガラスについて行った。 露点測定:JIS R3209に記載の装置と方法にし
たがって測定した。
cはそれぞれ次の意味である。
(℃)、 C:JIS R3209加速耐久試験2類終了後露点
(℃)、 D:JIS R3209加速耐久試験3類終了後露点
(℃)、 E:JIS3類判定、 F:耐久試験中における厚み(5mm/6mm/5m
m:ガラス板/中空層/ガラス板)の複層ガラスのガラ
ス割れ(100体中)、 G:耐久試験中における厚み(3mm/6mm/3m
m:ガラス板/中空層/ガラス板)の複層ガラスのガラ
ス割れ(100体中)、 H:板ずれ、 a:露点−60℃以下、 b:スペーサが硬いため、ガラス割れが発生、 c:中空層の厚み12mmは板ずれあり、6mmは板ず
れなし。
90にすることによって、複層ガラスのガラス割れを低
減できるとともに、板ずれ等を防止できる。この場合、
スペーサを上記の樹脂組成物のみで、露点の上昇がな
く、複層ガラスの形状が保持された複層ガラスが得られ
る。
のガラス板を用いた場合にはガラス割れの発生がない
が、厚み3mmのガラス板を用いた場合には若干ガラス
割れが見られる。また、例9の複層ガラスは、中空層の
厚みが6mmの場合には板ずれが発生しないが、中空層
の厚みが12mmの場合には板ずれが発生することがあ
る。
硬度として、JIS A硬度40〜75が特に好ましい
ことがわかる。さらに、スペーサ用の樹脂組成物のクリ
ープコンプライアンスJの値として、1×10-10 〜1
×10-5が好ましく、特に1×10-9〜1×10-6が好
ましいことがわかる。
る作業を削減して、養生時間が不要であり、複層ガラス
製造時の工程数を大幅に削減でき、かつ複層ガラスが高
い生産性および低コストで提供される。
略断面図
複層化する前の複層ガラスの構成を示す部分概略断面図
いた押出機の概略図
一例を説明する概略断面図
Claims (10)
- 【請求項1】2枚以上のガラス板が、その間に中空層を
形成するようにスペーサを介して隔置されて対向配置さ
れた複層ガラスにおいて、前記スペーサは、25℃にお
けるJIS A硬度が10〜90の熱可塑性樹脂組成物
からなることを特徴とする複層ガラス。 - 【請求項2】前記スペーサは、クリープ特性を示すクリ
ープコンプライアンスJが、[40℃、ずりモード、測
定開始5分後]において1×10-10 cm2 /dyne
以上1×10-5cm2 /dyne以下である熱可塑性樹
脂組成物からなる請求項1の複層ガラス。 - 【請求項3】前記熱可塑性樹脂組成物が、一方が熱溶融
成形可能なゴムもしくはエラストマーである少なくとも
二種類の熱可塑性樹脂と乾燥剤とを含むものである請求
項1または2の複層ガラス。 - 【請求項4】前記熱可塑性樹脂組成物が、下記成分から
なる請求項1または2の複層ガラス。 熱溶融成形可能なゴムもしくはエラストマー・・・10〜80重量%、 前記ゴムもしくはエラストマー以外の熱可塑性樹脂・・・0〜50重量%、 粘着付与剤・・・0〜15重量%、 乾燥剤および添加剤・・・10〜60重量%。 - 【請求項5】前記熱可塑性樹脂組成物が、ブチル系ゴム
と結晶性ポリオレフィンとを含み、両者の合計量に対す
るブチル系ゴムの割合が50〜98重量%、結晶性ポリ
オレフィンの割合が2〜50重量%である請求項1また
は2の複層ガラス。 - 【請求項6】前記熱可塑性樹脂組成物が、ブチル系ゴム
と結晶性ポリオレフィンと無機フィラーとを含み、ブチ
ル系ゴムと結晶性ポリオレフィンとの合計量に対するブ
チル系ゴムの割合が50〜98重量%、結晶性ポリオレ
フィンの割合が2〜50重量%であり、ブチル系ゴムと
結晶性ポリオレフィンとの合計100重量部に対する無
機フィラーの割合が200重量部以下である請求項1ま
たは2の複層ガラス。 - 【請求項7】結晶性ポリオレフィンがポリエチレン、ポ
リプロピレンまたはそれらの変性体から選ばれる1種以
上の重合体からなる、請求項5または6の複層ガラス。 - 【請求項8】前記ゴムもしくはエラストマー以外の熱可
塑性樹脂の水蒸気透過係数または結晶性ポリオレフィン
の水蒸気透過係数が、3000×10-13 cm3 ・cm
/cm2 ・sec・Pa以下である請求項4〜7のいず
れかの複層ガラス。 - 【請求項9】前記熱溶融成形可能なゴムもしくはエラス
トマーの水蒸気透過係数またはブチル系ゴムの水蒸気透
過係数が、3000×10-13 cm3 ・cm/cm2 ・
sec・Pa以下である請求項3〜8のいずれかの複層
ガラス。 - 【請求項10】前記熱可塑性樹脂組成物の水蒸気透過係
数が、5000×10-13 cm3 ・cm/cm2 ・se
c・Pa以下である請求項1〜9のいずれかの複層ガラ
ス。
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