JP4049758B2 - 半導体記憶装置 - Google Patents

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この発明は半導体装置に関し、特にCMOSトランジスタ(相補絶縁ゲート型電界効果トランジスタ)で構成される論理ゲートを含む半導体装置の消費電流を動作特性に悪影響を及ぼすことなく低減するための構成に関する。より特定的には、DRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ)などの半導体記憶装置のサブスレッショルド電流を低減するための構成に関する。
消費電力が極めて小さい半導体回路としては、CMOS回路がよく知られている。
図60は、CMOSインバータの構成を示す図である。図60において、CMOSインバータは、一方の動作電源電圧Vccを受ける電源ノード1900と出力ノード1901との間に設けられ、そのゲートに入力信号INを受けるpチャネルMOSトランジスタ(絶縁ゲート型電界効果トランジスタ)PTと、他方の動作電源電圧Vss(通常、接地電位)を受ける他方電源ノード1902と出力ノード1901との間に設けられ、そのゲートに入力信号INを受けるnチャネルMOSトランジスタNTを含む。出力ノード1901に負荷容量Cが存在する。入力信号INがローレベルのときには、pチャネルMOSトランジスタPTがオン状態、nチャネルMOSトランジスタNTがオフ状態となり、負荷容量CがpチャネルMOSトランジスタPTを介して充電され、出力信号OUTが電源電圧Vccレベルとなる。この負荷容量Cの充電が完了すると、pチャネルMOSトランジスタPTは、そのソースおよびドレイン電位が同じとなり、オフ状態となる。したがってこのときには、電流が流れず、消費電力は無視することができる。
入力信号INがハイレベルのときには、pチャネルMOSトランジスタPTはオフ状態、nチャネルMOSトランジスタNTはオン状態となり、負荷容量CはnチャネルMOSトランジスタNTを介して他方電源電位Vssレベルにまで放電される。この放電が完了するとnチャネルMOSトランジスタNTはソースおよびドレイン電位が同じとなり、オフ状態となる。したがってこの状態においても消費電力は無視することができる。
MOSトランジスタを流れるドレイン電流ILは、MOSトランジスタのゲート−ソース間電圧の関数で表わされる。MOSトランジスタのしきい値電圧の絶対値よりもそのゲート−ソース間電圧の絶対値が大きくなると、大きなドレイン電流が流れる。ゲート−ソース間電圧の絶対値がしきい値電圧の絶対値以下となってもドレイン電流は完全に0とはならない。この電圧において流れるドレイン電流はサブスレッショルド電流と呼ばれ、ゲート−ソース間電圧に指数関数的に比例する。
図61にnチャネルMOSトランジスタのサブスレッショルド電流特性を示す。図61において、横軸はゲート−ソース間電圧VGSを示し、縦軸にドレイン電流ILの対数値を示す。図61において、直線IおよびIIの直線領域がサブスレッショルド電流である。しきい値電圧は、このサブスレッショルド電流領域において所定の電流を与えるゲート−ソース間電圧として定義される。たとえば、ゲート幅(チャネル幅)10μmのMOSトランジスタにおいて10mAのドレイン電流が流れるときのゲート−ソース間電圧がしきい値電圧として定義される。図61において、その所定の電流I0と対応のしきい値電圧VT0およびVT1を示す。
MOSトランジスタの微細化に伴って電源電圧Vccもスケーリング則に沿って低下される。このため、MOSトランジスタのしきい値電圧の絶対値Vthは同様にスケーリング則に沿って低下させないと、性能向上が図れない。たとえば、図60に示すCMOSインバータにおいて、電源電圧Vccが5Vで、nチャネルMOSトランジスタNTのしきい値電圧Vthが1Vとすると、入力信号INが0Vから1V以上となったときに、大きなドレイン電流が生じ、負荷容量Cの放電が始まる。このとき、しきい値電圧Vthを同じ値にしたままで電源電圧Vccをたとえば3Vに低下させた場合においても、同様、入力信号INが1V以上となったときでないとnチャネルMOSトランジスタNTをオン状態として大きな電流で負荷容量Cを放電することはできない。すなわち、電源電圧Vccが5Vの場合入力信号INの振幅の1/5の時点で容量負荷の放電が生じるのに対し、電源電圧Vccが3Vの場合、入力信号INの振幅の1/3の時点で容量負荷Cの放電が始まる。したがって入出力応答特性が悪化し、高速動作を保証することができなくなる。そこで、しきい値電圧の絶対値Vthは電源電圧と同様スケーリングする必要が生じる。しかしながら、図61に示すように、しきい値電圧VT1をしきい値電圧VT0に低下させた場合、サブスレッショルド電流特性は、直線Iから直線IIへ移行する。したがって、ゲート電圧が0V(Vssレベル)となったときのサブスレッショルド電流がIL1からIL0に上昇し、消費電流が増加するため、しきい値電圧の絶対値Vthを電源電圧と同様にスケールダウンすることができなくなり、動作特性、特に高速動作特性を実現するのが困難になることが予想される。
そこで、高速動作特性を損なうことなくサブスレッショルド電流を抑制するための構成について1993シンポジウム・オン・VLSI・サーキット、ダイジェスト・オブ・テクニカル・ペーパーズの第47頁ないし第48頁および第83頁ないし第84頁それぞれにおいて堀内等および高島等により開示されている。
図62は、上述の文献において堀内等が示す電源線の構成を示す図である。図62においては、CMOS回路として、n個の縦続接続されたCMOSインバータf1〜fnを一例として示す。インバータf1〜f4の各々は、図60に示す構成と同じ構成を備える。
一方の動作電源電圧を供給する経路においては、電源電圧Vccを受ける第1の電源ノード1910に第1の電源線1911が接続され、この第1の電源線1911と平行に第2の電源線1912が配置される。第1の電源線1911と第2の電源線1912とは高抵抗Raにより接続される。この抵抗Raと並列に、第1の電源線1911と第2の電源線1912とを制御信号φcに応答して選択的に接続するpチャネルMOSトランジスタQ1が設けられる。第1の電源線1911と第2の電源線1912の間には、また第2の電源線1912の電位を安定化するための比較的大きな容量を有するキャパシタCaが設けられる。
他方の電源電圧Vss(接地電位:0V)の伝達経路においては、この他方電源電圧(以下、単に接地電圧と称す)Vssを受ける第2の電源ノード1920に接続される第3の電源線1921と、この第3の電源線1921と平行に配置される第4の電源線1922を含む。第3の電源線1921と第4の電源線1922の間には、高抵抗Rbが設けられ、この抵抗Rbと並列に、制御信号φsに応答して選択的に第3の電源線1921と第4の電源線1922を接続するnチャネルMOSトランジスタQ2が設けられる。また、第3の電源線1921と第4の電源線1922の間には、この第4の電源線1922の電位を安定化するための大きな容量を有するキャパシタCbが設けられる。
奇数段のインバータf1、f3、…は、その一方動作電源ノード(高電位を受ける電源ノード)が第1の電源線1911に接続され、他方電源ノード(低電位を受ける電源ノード)が第4の電源線1922に接続される。偶数段のインバータf2、…は、その一方動作電源ノードが第2の電源線1912に接続され、他方電源ノードが第3の電源線1921に接続される。次に動作について説明する。
DRAMにおいては、スタンバイ時においては、その信号の状態は予め予測可能である。またその出力信号の状態も同様予測可能である。図62に示す構成では、入力信号INがスタンバイ時にローレベルとなり、アクティブサイクル時にハイレベルとなる。スタンバイサイクル時には、制御信号φcがハイレベル、制御信号φsがローレベルとされ、MOSトランジスタQ1およびQ2はともにオフ状態とされる。この状態においては、電源線1911および1912は高抵抗Raを介して接続され、電源線1921および1922も高抵抗Rbを介して接続される。電源線1912の電位VCLは、
VCL=Vcc−Ia・Ra
となり、電源線1922の電圧VSLは、
VSL=Vss+Ib・Rb
となる。ここで、IaおよびIbは抵抗RaおよびRbをそれぞれ流れる電流を示す。入力信号INは、今、接地電位Vssレベルである。インバータf1においては、pチャネルMOSトランジスタPTがオン状態であり、出力ノードを電源線1911上の電源電位Vccレベルに充電している。一方、nチャネルMOSトランジスタNTは、そのソース電位(電源ノード1902の電位)が中間電位VSLであり、接地電位Vssよりも高い電位レベルに設定される。したがって、このnチャネルMOSトランジスタNTは、そのゲート−ソース間電圧が負電圧となり、図61に示すように、サブスレッショルド電流はゲート−ソース間電圧が−VSLのときのサブスレッショルド電流IL2となり、電源ノード1902の電位が接地電位Vssのときに流れるサブスレッショルド電流IL1よりも小さくされる。ここで、MOSトランジスタの動作特性については図61に示す直線Iに従って説明する。またnチャネルMOSトランジスタのオン/オフ状態は、そのゲート−ソース間電圧がしきい値電圧よりも高くなったときをオン状態として示し、そのゲート−ソース間電圧がしきい値電圧よりも小さくなったときはオフ状態として示す。PチャネルMOSトランジスタの場合は逆である。
インバータf2においては、その入力信号/IN(インバータf1の出力信号)が電源電位Vccレベルのハイレベルである。したがって、インバータf2においては、pチャネルMOSトランジスタがオフ状態、nチャネルMOSトランジスタがオン状態となる。pチャネルMOSトランジスタは、そのソースが電源線1912に接続されており、電圧VCLを受けている。したがって、インバータf2において、pチャネルMOSトランジスタのゲート電位はそのソース電位よりも高くなり、nチャネルMOSトランジスタの場合と同様サブスレッショルド電流も抑制される。後段のインバータf3〜fnにおいても同様である。したがってスタンバイ時においてインバータf1〜fnにおけるサブスレッショルド電流が抑制され、スタンバイ電流が低減される。
アクティブサイクルが始まると、制御信号φcがローレベル、制御信号φsがハイレベルとされ、MOSトランジスタQ1およびQ2はともにオン状態とされる。MOSトランジスタQ1およびQ2は、大きなチャネル幅Wを有しており、インバータf1〜fnに対し十分に充放電電流を供給することができる。この状態においては、電源線1912および1922の電位はそれぞれ電源電位Vccおよび接地電位Vssレベルとなる。これにより、アクティブサイクル時において入力信号INに従ってその出力信号OUTも確定状態とされる。
1993、Symposium On VLSI Circuits, Digest of Technical Papers, pp. 47-48, 83-84
図63に、図62に示す回路の動作波形および電源線を流れる電流を示す。図63に示すように、スタンバイサイクルにおいては、信号φsおよびφcに応答してMOSトランジスタQ1およびQ2がともにオフ状態であり、電源線1912上の電圧VCLおよび電源線1922上の電圧VSLはそれぞれ電源電圧Vccおよび接地電位Vss(0V)の間の中間電位となる。この状態においてインバータf1〜f4においてサブスレッショルド領域のMOSトランジスタ(オフ状態のMOSトランジスタ)はより強いオフ状態とされ、サブスレッショルド電流は低減される。
しかしながら、アクティブサイクルにおいては、制御信号φsおよびφcがそれぞれハイレベルおよびローレベルとされ、MOSトランジスタQ1およびQ2はオン状態となり、電源線1912上の電圧VCLは電源電位Vccに等しくなり、また電源線1922上の電圧VSLは接地電位Vssに等しくなる。アクティブサイクルの開始時には、電源線1912を充電するために電源電流Iccが流れ(VCL充電電流)、次いで入力信号INが変化すると、応じてインバータf1〜fnが動作し、その信号レベルを変化するために充放電電流が生じ、比較的大きな動作電流が生じる。
アクティブサイクルにおいては、電圧VCLが電源電位Vccと等しくされ、他方電源電圧VSLの接地電位Vssと等しくされている。したがってインバータf1〜f4においてオフ状態のトランジスタのゲート電位とソース電位が等しい状態となり、小さなしきい値電圧の絶対値Vthを有するMOSトランジスタを用いた場合、大きなサブスレッショルド電流が流れる。すなわち、アクティブサイクル時においては、入力信号INの変化前および変化完了後において、大きなサブスレッショルド電流(アクティブDC電流)が流れ、アクティブサイクル時における消費電流が大きくなるという問題が生じる。特に、1ギガビットDRAMなどのような大記憶容量の半導体記憶装置において、構成要素であるMOSトランジスタの数が増加すると、このようなアクティブDC電流の総和が大きくなり、無視できない値となる。
また、スタンバイサイクルにおいてオフ状態とされるトランジスタQ1およびQ2(図62参照)にはスタンバイサイクル時サブスレッショルド電流が流れる。このトランジスタQ1およびQ2のスタンバイサイクル時に流れるサブスレッショルド電流をできるだけ少なくするために、トランジスタQ1およびQ2のしきい値電圧の絶対値を大きくした場合、以下に述べる理由のため、アクティブサイクル移行時に電源線1912および1922の電位回復に長時間を要し、応じて半導体記憶装置の場合アクセス時間が長くなるという問題が生じる。
すなわち、スタンバイサイクルからアクティブサイクル移行時においてトランジスタQ1およびQ2がそのしきい値電圧の絶対値が高いため、飽和領域で動作するまでに長時間を有し、不飽和領域で動作する時間が長くなる。このため、しきい値電圧の絶対値の小さい場合に比べて、このスタンバイサイクルからアクティブサイクル移行時におけるトランジスタQ1およびQ2の電流駆動力が小さくなり、電源線1921および1922の電位回復が遅れる。内部回路は、電源線1921および1922の電位が安定したときに活性化する必要があり、したがって内部回路の動作開始時点が遅くなり、半導体記憶装置の場合アクセス時間が長くなるという問題が生じる。
それゆえ、この発明の目的は、低消費電流で高速動作する半導体記憶装置を提供することである。
この発明の他の目的は、アクティブサイクル時における消費電流を低減することのできる半導体装置を提供することである。
この発明のさらに他の目的は、データ保持モード時の消費電流を低減することのできる半導体記憶装置を提供することである。
この発明の第1の観点に係る半導体記憶装置は、メイン電源線と、サブ電源線と、このサブ電源線上の電圧を一方動作電源電圧として動作する論理ゲートを含む内部回路と、メイン電源線とサブ電源線との間に接続されるスイッチングトランジスタとを備える。このスイッチングトランジスタは、論理ゲートを活性化させる動作サイクル規定信号に応答して導通してメイン電源線とサブ電源線とを電気的に接続する。この半導体記憶装置は、さらに、基準電圧発生する基準電圧発生手段と、サブ電源線上の電圧と基準電圧とを比較し、その比較結果に従った信号を出力する比較手段と、メイン電源線とサブ電源線との間に設けられ、比較手段からの出力信号に従って、その抵抗値が変化する可変抵抗手段と、データ保持モード指定信号の活性化に応答して、比較手段の出力信号にかかわらず可変抵抗手段を高抵抗の状態とする制御手段とを備える。データ保持モード指定信号の活性化時、半導体記憶装置は外部からのアクセスが禁止され、その記憶データの保持を行なう動作のみが実行される。データ保持モード指定信号の活性化中には、サブ電源線の電圧は、高抵抗の状態の可変抵抗手段を介して流れるリーク電流およびスイッチングトランジスタのオフ状態のリーク電流と論理ゲートの構成要素のトランジスタを介して流れるリーク電流とにより決定される電圧レベルに維持される。データ保持モードにおいて記憶データを保持するために論理ゲートを動作させる必要のあるリフレッシュ動作時には、スイッチングトランジスタが動作サイクル規定信号により導通状態とされてメイン電源線とサブ電源線とを電気的に接続する。データ保持モード指定信号の非活性化中には、メイン電源線とサブ電源線とは比較手段の出力信号に従う抵抗値を有する可変抵抗手段を介して結合される。
可変抵抗手段は、データ保持モード時においては高抵抗状態となり、メイン電源線とサブ電源線との間の電流経路を遮断する。これにより、サブ電源線を介してメイン電源線と内部回路との間で流れる電流を低減することができ、データ保持モード時の消費電流を低減する。データ保持モードと異なる通常動作モード時においては、可変抵抗手段は比較手段の出力信号に従ってその抵抗値が変化され、通常動作時においては、所望の電圧レベルにサブ電源線上の電圧レベルを維持することができる。
[実施例1]
図1は、この発明の一実施例である半導体記憶装置(DRAM)の全体の構成を概略的に示す図である。図1において、DRAMは、メモリセルMCが行および列のマトリックス状に配列されるメモリセルアレイ100と、アドレスバッファ102からの内部ロウアドレス信号(Xアドレス)RAをデコードし、メモリセルアレイ100における対応の行(ワード線)を選択する行選択回路104と、アドレスバッファ102からの内部コラムアドレス信号(Yアドレス)CAをデコードし、メモリセルアレイ100における列(ビット線BLおよび/BL)を選択する列選択回路106と、行選択回路104および列選択回路106により選択された行および列の交差部に対応して配置されるメモリセルに対しデータの書込または読出を行なうための入出力回路108を含む。
図1においては、1本のワード線WLと1本のビット線BL(または/BL)の交差部に対応して配置されるメモリセルMCを代表的に示す。メモリセルアレイ100においては、「折返しビット線構成」の場合、列線は互いに相補な信号を伝達するビット線対BLおよび/BLにより構成され、1列に配列されたメモリセルは対応のビット線対の一方のビット線BL(または/BL)に接続される。ワード線WLには1行に配列されたメモリセルMCが接続される。メモリセルMCは、情報を記憶するメモリキャパシタMQと、対応のワード線WL上の信号電位に応答してメモリキャパシタMQを対応のビット線BL(または/BL)に接続するメモリトランジスタMTを含む。
DRAMはさらに、外部から与えられる制御信号、すなわち、ロウアドレスストローブ信号/RAS、コラムアドレスストローブ信号/CASおよびライトイネーブル信号/WEに従って様々な内部制御信号を発生する制御回路110と、一方電源ノード20に与えられた一方電源電圧Vccからハイレベル電源電圧VCL1、VCL2およびVCL3を生成して各回路に供給する電源電圧供給回路120と、他方電源ノード(接地ノード)30に与えられた他方電源電圧(接地電圧)Vssからローレベル電源電圧VSL1、VSL2およびVSL3を生成して各回路へ供給する接地電圧供給回路130とを備える。
制御回路110の構成は後に詳細に説明するが、行選択動作に関連する制御信号を発生する回路と、列選択動作に関連する制御信号を発生する回路とを含む。ロウアドレスストローブ信号/RASは、DRAMの動作サイクル、すなわち、外部アクセス待機状態のスタンバイサイクルと外部アクセスが行なわれるアクティブサイクルとを決定するとともに、DRAM内の行選択に関連する動作を開始させる。ロウアドレスストローブ信号/RASにより活性/非活性が決定される回路をロウ系回路と以下称する。
コラムアドレスストローブ信号/CASは、信号/RASの活性化時(Lレベル)においてDRAMの列選択に関連する動作(データ入出力動作を含む)を開始させる。ライトイネーブル信号/WEはデータ書込を行なうか否かを示し、ローレベル時にデータ書込を指定し、ハイレベル時にデータ読出を指定する。データ読出タイミングはコラムアドレスストローブ信号/CASの活性化により決定され、データ書込タイミングは信号/WEおよび/CASの遅い方の活性化により決定される。信号/CASにより活性/非活性が決定される回路をコラム系回路と以下称す。出力イネーブル信号/OEが更に与えられる構成が利用されてもよい。
電源電圧供給回路120および接地電圧供給回路130は、その構成は後に詳細に説明するが、ロウ系回路およびコラム系回路に対し別々に設けられるとともに、電圧VCL1、VCL2、VCL3、VSL1、VSL2およびVSL3を伝達する電源線のインピーダンス(抵抗)をDRAMの動作状態(動作サイクルおよび動作期間)に応じて変更することにより、サブスレッショルド電流を抑制する。
次にこの図1に示すDRAMのデータ入出力動作について簡単に図2に示す動作波形図を併せて参照して説明する。外部ロウアドレスストローブ信号/RASがハイレベルの非活性時においては、DRAMはスタンバイサイクルにある。この状態において、メモリセルアレイ100においては、ワード線WLは非選択状態のローレベルにより、ビット線BLおよび/BLも中間電位(Vcc/2)レベルにプリチャージされている。センスアンプ活性化信号SOも非活性状態のローレベルにある。
図1に示していないが、ビット線対BL,/BLそれぞれに対してセンスアンプが設けられており、活性化時にはこのセンスアンプは対応のビット線対の各ビット線の電位を差動的に増幅する。入出力データDin(およびQ)は無効状態である。図2においては、ハイインピーダンス(電気的にフローティング状態)Hi−Zとして示す。
信号/RASがローレベルに立下がると、アクティブサイクルが始まり、DRAMの内部アクセスが行なわれる。まず、中間電位に保持されていたビット線BLおよび/BLがそのプリチャージ電位でフローティング状態とされる。アドレスバッファ102は、制御回路110の制御の下に、与えられたアドレス信号を取込み内部ロウアドレス信号RAを発生する。行選択回路104がこの内部ロウアドレス信号RAをデコードし、アドレス指定された行に対応して設けられたワード線の電位をハイレベルに立上げる。選択されたワード線WLに接続されるメモリセルの保持するデータ(メモリキャパシタMQの一方電極(ストレージノード)の電位)が対応のビット線BLまたは/BLへ伝達される(メモリトランジスタMTを介して)。これにより、ビット線BLまたは/BLの電位が伝達されたメモリセルの保持データに従って変化する。対をなす他方のビット線/BLまたはBLは、プリチャージ電位(Vcc/2)を保持している。
次いでセンスアンプ活性化信号SOが活性化され、図示しないセンスアンプが動作し、ビット線対BLおよび/BLの電位を差動的に増幅することにより、メモリセルの保持データを検知増幅する。図2においては、選択されたメモリセルがハイレベルデータを保持している場合が示される。ビット線BLおよび/BLの電位がハイレベル(電源電圧Vccレベル)およびローレベル(接地電圧Vssレベル)に確定するとコラムインターロック期間が終了し、コラム系回路の動作が許可される。
このコラム系回路の出力信号が有効とされる期間においては、外部コラムアドレスストローブ信号/CASが有効とされ、活性状態となり、ローレベルとなる。このローレベルのコラムアドレスストローブ信号/CASに応答して、アドレスバッファ102は、アドレス信号を取込み内部コラムアドレス信号CAを発生する。列選択回路106がこの内部コラムアドレス信号CAをデコードし、メモリセルアレイ100において対応の列(ビット線対)を選択する。入出力回路108は、データ読出時においては、このコラムアドレスストローブ信号/CASの立下がりに応答して有効データQを出力する。データ書込時においては、ライトイネーブル信号/WEおよびコラムアドレスストローブ信号/CASがともにローレベルとされると、外部書込データDから有効な内部書込データが生成され、選択されたメモリセル(選択された行および列の交差部に位置するメモリセル)へ書込まれる。
必要なメモリセルのデータの書込/読出が完了すると、ロウアドレスストローブ信号/RASが非活性状態のハイレベルへ立上がり、アクティブサイクルが完了する。これにより、コラム系動作有効期間が完了し、選択状態にあったワード線WLが非選択状態となり、またセンスアンプ活性化信号SOも非活性状態とされ、ビット線BLおよび/BLがイコライズされかつ中間電位にプリチャージされる。この後コラムアドレスストローブ信号/CASが非活性状態となり、ライトイネーブル信号/WEもハイレベルとなると、1つのメモリサイクルが完了する。
上述の様にDRAMにおいては、スタンバイサイクル時における内部ノード(各回路の入力信号または出力信号)の論理レベルは予め決定することができる。コラム系動作有効期間においてロウ系回路の入力信号および出力信号の論理レベルも予め決定することができる。更にスタンバイサイクルの開始および完了時点ならびにコラム系動作有効期間の開始および完了期間は信号/RASにより決定することができる(センスアンプ活性化信号SOは信号/RASに従って発生される)。本実施例はこれらの特徴を利用して、図1に示す電源電圧供給回路120および接地電圧供給回路130の出力電圧VCL1、VCL2,VSL3およびVSL1、VSL2,VSL3の電位レベルをそれらの電圧を伝達する電源線(接地線を含む)のインピーダンス(抵抗)を変更することにより変更してサブスレッショルド領域で動作するMOSトランジスタをより強いオフ状態とすることによりサブスレッショルド電流の低減を図る。
図3は、図1に示すアドレスバッファおよび制御回路の詳細構成を示すブロック図である。図3において、アドレスバッファ102は、外部から与えられるアドレス信号Ai−A0からXアドレス(内部ロウアドレス信号RA)を発生するロウアドレスバッファ101と、アドレス信号Ai−A0からYアドレス(内部コラムアドレス信号CA)を発生するコラムアドレスバッファ103を含む。ロウアドレス信号とコラムアドレス信号とがマルチプレクスしてアドレス信号Ai−A0として与えられる。ロウアドレスバッファ101およびコラムアドレスバッファ103がそれぞれXアドレスおよびYアドレスを発生するタイミングは制御回路110からの内部制御信号により決定される。
制御回路110は、外部ロウアドレスストローブ信号/RASを受けて内部RAS信号、ロウアドレスラッチ信号RALおよびロウアドレスイネーブル信号RADEを発生する/RASバッファ200と、/RASバッファ200からの信号RALおよびRADEに応答してロウアドレスバッファ101を活性化するロウアドレスコントローラ202と、/RASバッファ200からの内部RAS信号に応答してワード線駆動信号RX(後に説明する)およびセンスアンプ活性化信号SOを発生するアレイコントローラ206と、アレイコントローラ206からの信号(センスアンプ活性化信号)に応答してインターロック信号を発生するインターロック信号発生回路208とを含む。インターロック信号発生回路208からのインターロック信号は図2に示すインターロック期間およびコラム系動作有効期間を決定し、列選択に関連する動作をイネーブルする。
制御回路110は、さらに外部コラムアドレスストローブ信号/CASに応答して内部CAS信号、コラムアドレスラッチ信号CALおよびコラムアドレスイネーブル信号CADEを発生する/CASバッファ210と、外部からのライトイネーブル信号/WEに応答して内部WE信号を発生するWEバッファ212と、/CASバッファ210からの信号CALおよびCADEに応答してコラムアドレスバッファ103の動作を制御するコラムアドレスコントローラ214と、コラムアドレスバッファ103からのYアドレスの変化時点を検出するATD回路216と、/CASバッファ210からの内部CAS信号とATD回路216からのアドレス変化検出信号ATDとに応答して図1に示す入出力回路のデータ読出系を活性化する信号を発生するリードコントローラ218と、/CASバッファ210からの内部CAS信号と/WEバッファ212からの内部WE信号とATD回路216からのアドレス変化検出信号ATDとに従って図1に示す入出力回路のデータ書込系を活性化する信号を発生するライトコントローラ219を含む。
DRAMにおいては、コラムアドレス信号が与えられてから有効データが出力されるまでのアドレスアクセスタイムが仕様により規定されている。したがって、このコラムアドレス信号の変化を検知するためにATD回路216が設けられる。このATD回路216からのアドレス変化検出信号ATDに従ってコラムデコーダおよびプリアンプ(後に説明する)などのコラム系回路の動作タイミングが決定される。リードコントローラ218は、ATD回路216からのアドレス変化検出信号ATDに従ってプリアンプイネーブル信号PAEを発生し、信号/CASに従って出力イネーブル信号OEM(後に説明する)を出力する。ライトコントローラ219は、/WEバッファ212からの内部WE信号およびアドレス変化検出信号ATDに従って後に説明するライトドライバを活性化する信号WDEを生成し、かつ/CASバッファ210からの内部CAS信号とATD回路216からのアドレス変化検出信号ATDに従って後に説明する入力バッファに対するデータラッチ信号DILを出力する。
ロウアドレスコントローラ202は、ロウアドレスラッチ信号RALに従ってロウアドレスバッファ101に対しロウアドレスをラッチさせ、ロウアドレスイネーブル信号RADEに応答して内部ロウアドレス信号(Xアドレス)を有効状態とする。コラムアドレスコントローラ214は、コラムアドレスラッチ信号CALが活性状態となると、コラムアドレスバッファ103にアドレスラッチ動作を実行させ、次いでコラムアドレスイネーブル信号CADEが活性状態となると内部コラムアドレス信号CA(Yアドレス)を有効状態とする。
インターロック信号発生回路208からのインターロック信号は/CASバッファ210および/WEバッファ212へ与えられる。このインターロック信号発生回路208の出力が非活性状態にあり、コラムインターロック期間を指定している場合、/CASバッファ210および/WEバッファ212の内部信号発生動作が待機状態とされる。ATD回路216は、同様、このインターロック信号発生回路218からのコラムインターロック期間指定信号(非活性状態のインターロック信号)に従ってアドレス変化検出信号ATDの発生が待機状態とされる。
リフレッシュコントローラ204は、/RASバッファ200からの内部RAS信号と/CASバッファ210からの内部CAS信号とに従ってリフレッシュ動作が指定されたとき(CBRモード)、内部で所定の時間幅を有する内部RAS信号を発生し、リフレッシュに必要な動作を実行する。リフレッシュコントローラ202は、コラムアドレスストローブ信号/CASがロウアドレスストローブ信号/RASの立上がりよりも先に立下がったときにリフレッシュモードが指定されたと判別する。リフレッシュモードが指定されたとき、通常、列選択動作は禁止される(内部CAS信号および内部WE信号の発生の禁止)。
この図3に示す構成において、信号/RASに関連して動作する回路すなわちロウ系回路は、/RASバッファ200、ロウアドレスコントローラ202、リフレッシュコントローラ204、アレイコントローラ206、インターロック信号発生回路208およびロウアドレスバッファ101である。列選択に関連するコラム系回路は、/CASバッファ210、/WEバッファ212、コラムアドレスコントローラ214、ATD回路216、リードコントローラ218、ライトコントローラ219、およびコラムアドレスバッファ103である。
図4は、図1に示すメモリセルアレイ部および入出力回路の詳細構成を示すブロック図である。図4において、行選択回路104は、図3に示すロウアドレスバッファ101から与えられるXアドレス(内部ロウアドレス信号RA)をデコードし、メモリセルアレイ104における対応のワード線を選択し、アレイコントローラ206から与えられるワード線駆動信号RXをこの選択されたワード線WL上へ伝達するロウデコーダ230により構成される。メモリセルアレイ104に対しては、アレイコントローラ206(図3参照)から与えられるセンスアンプ活性化信号SOにより活性化され、各列CL(ビット線対BLおよび/BL)の信号電位を差動的に増幅するセンスアンプ232が設けられる。
図1に示す列選択回路106は、図3に示すリードコントローラ218またはライトコントローラ219から与えられるコラムアドレスイネーブル信号CDEに応答して活性化され、活性化時に図3に示すコラムアドレスバッファ103から与えられるYアドレス(内部コラムアドレス信号CA)をデコードし、メモリセルアレイ104における対応の列を選択する信号を発生するコラムデコーダ234を含む。図1に示す列選択回路106は、このコラムデコーダ234からの列選択信号に応答してメモリセルアレイ104における対応の列をI/O線236に接続するIOゲートをさらに含む。図4においては、このIOゲートは示していない。
図1に示す入出力0路108は、図3に示すリードコントローラ218から与えられるプリアンプイネーブル信号PAEに応答して活性化され、I/O線236上の内部読出データを増幅してリードデータバス245上へ伝達するプリアンプ240と、リードコントローラ218(図3参照)からのメインアンプ出力イネーブル信号OEMに応答して活性化され、リードデータバス245上の信号を増幅して外部読出データQを生成して出力する出力バッファ242と、図3に示すライトコントローラ219からの入力データラッチ信号DILに応答して外部書込データDをラッチしてライトデータバス249上に出力する入力バッファ244と、図3に示すライトコントローラ219からのライトドライバイネーブル信号WDEに応答して活性化され、ライトデータバス249上の内部書込データに従ってI/O線236上へ内部書込データを出力するライトドライバ246を含む。
図4においては、さらに、DRAMの基準電圧を発生するためのVbb発生器250、Vcc/2発生器255およびVpp発生器256を示す。Vbb発生器250は、チャージポンプ動作により負電圧Vbbを発生し、基板(またはウェル)領域へ与える。この負電圧Vbbを基板領域へ印加することにより、以下の効果を図る。
(1)負電圧Vbbは、nチャネルMOSトランジスタ(絶縁ゲート型電界効果トランジスタ)が形成されるp型基板領域(ウェル領域)に印加される。外部信号入力端子に与えられる信号にアンダーシュートが示された場合においても、この入力端子からp型基板領域への電子の注入を防止し、この電子注入によるメモリセルデータの破壊を防止する。(2)nチャネルMOSトランジスタの高不純物濃度N+領域とP基板基板領域との間に形成されるPN接合容量を低減し、内部動作の高速化を図る。(3)nチャネルMOSトランジスタのしきい値電圧に対する基板効果を低減し、回路動作の安定化を図る。(4)信号配線と基板領域との間に形成される寄生MOSトランジスタの発生を抑制する。
Vcc/2発生器255は、電源電圧Vccの1/2の電位を発生する。このVcc/2発生器255からの中間電位Vcc/2は、メモリセルのキャパシタの他方電極(セルプレート)に与えられまたスタンバイ時にビット線を中間電位Vcc/2にプリチャージする際に利用される。
Vpp発生器256は、電源電圧Vccよりも高い高電圧Vppを発生する。この高電圧Vppは、選択ワード線を高電圧レベルに昇圧するために用いられる。
図4に示す構成において、ロウ系回路はロウデコーダ230およびセンスアンプ232である。コラム系回路は、コラムデコーダ234、プリアンプ240、出力バッファ242、入力バッファ244、およびライトドライバ246である。Vbb発生器250およびVcc/2発生器255は、ロウ系信号およびコラム系信号に関わりなく常時所定の電圧を発生する。
図5は、図3および図4に示す制御信号の発生シーケンスを示す図である。以下、図3ないし図5を参照して各回路の動作について説明する。
スタンバイサイクル時においては、外部ロウアドレスストローブ信号/RASはハイレベルにある。この状態においては、内部RAS信号、ロウアドレスラッチ信号RAL、およびロウアドレスイネーブル信号RADEはともに非活性状態のローレベルにある。列選択動作を活性化するためのコラムイネーブル信号(インターロック信号)CLEも非活性状態のローレベルにある。また、コラムアドレスストローブ信号/CASおよびライトイネーブル信号/WEもハイレベルにある。コラム系の制御信号ATD、PAE、OEM、DILおよびWDEもすべて非活性状態のローレベルにある。I/O線は、所定電位(Vcc−Vth)レベルにプリチャージされている。
ロウアドレスストローブ信号/RASがローレベルに立下がるとアクティブサイクルが始まる。このロウアドレスストローブ信号/RASの立下がりに応答して内部RAS信号が活性状態のハイレベルへ立上がり、この内部RAS信号の立上がりに応答して、ロウアドレスラッチ信号RALがハイレベルに立上がる。このロウアドレスラッチ信号RALの立上がりに応答して、図3に示すロウアドレスバッファ101が与えられたアドレス信号Ai−A0をラッチする。次いでロウアドレスイネーブル信号RADEがハイレベルの活性状態となり、ロウアドレスバッファ101からラッチされたアドレス信号に対応するXアドレス(内部ロウアドレス信号RA)が発生される。このXアドレスに従ったメモリセルアレイ104におけるワード線の選択および選択ワード線電位のハイレベルへの立上げおよびセンスアンプ232によるセンス動作が完了するまで、コラムイネーブル信号CLEは非活性状態のローレベルにある。
ロウ系回路の動作がすべて完了し、センスアンプ232が選択されたワード線に接続されるメモリセルのデータを検知し増幅しかつラッチした後、コラムイネーブル信号CLEが活性状態のハイレベルに立上がる。このコラムイネーブル信号CLEのハイレベルへの立上がりによりコラムインターロック期間が終了し、コラム系有効期間が始まる。
コラム系有効期間において、コラムアドレスストローブ信号/CASが立下がり、コラムアドレスラッチ信号CALおよびコラムアドレスイネーブル信号CADEが順次ハイレベルとされ、コラムアドレスバッファ103からYアドレス(内部コラムアドレス信号CA)が発生される。このコラムアドレスバッファ103からのYアドレスに従ってATD回路216からアドレス変化検出信号ATDが発生され、このアドレス変化検出信号ATDに従ってリードコントローラ218またはライトコントローラ219からコラムデコーダイネーブル信号CDEが発生される。図5においては、図面を簡略化するためコラムアドレスラッチ信号CAL、コラムアドレスイネーブル信号CADEおよびコラムデコーダイネーブル信号CDEは示していない。コラムアドレスラッチ信号CALおよびコラムアドレスイネーブル信号CADEがコラムアドレスストローブ信号/CASに従って発生された内部CAS信号に応答して発生され、コラムデコーダイネーブル信号CDEは、アドレス変化検出信号ATDの立上がりに応答して発生される。
コラムデコーダイネーブル信号CDEに応答して、コラムデコーダ234がYアドレスのデコード動作を行ない、Yアドレスに対応するメモリセルアレイ104における列を選択する。これによりI/O線236に選択された列上に伝達されたメモリセルデータが伝達され、I/O線236の電位が変化する。I/O線236はコラムデコーダイネーブル信号CDEに応答してプリチャージ状態から解放され電気的にフローティング状態に設定される。
次いでこのアドレス変化検出信号ATDの立下がりに応答してプリアンプイネーブル信号PAEがハイレベルへ立上がり、プリアンプ240が活性化され、I/O線236上に現われた信号を増幅してリードデータバス245上へ伝達する。リードコントローラ218からのメインアンプ出力イネーブル信号OEMがハイレベルへ立上がり、出力バッファ242が活性化され、このリードデータバス245上のデータを増幅して外部データQを生成して出力する。
一方、データ書込時においては、信号/CASおよび/WEに応答して入力データラッチ信号DILがハイレベルに立上がり、入力バッファ244が外部書込データDをラッチし、ライトデータバス249上に伝達する。次いで信号/WEおよび/CASに応答してライトドライバイネーブル信号WDEが所定期間ハイレベルに立上がり、ライトドライバ246が活性化され、ライトデータバス249上のデータから内部書込データを生成してI/O線236上に伝達する。
コラムアドレスストローブ信号/CASがハイレベルへ立上がると、1つのメモリセルに対するデータの書込/読出サイクルが完了し、信号OEMおよびDILがローレベルへ立下がり、またI/O線236もプリチャージ電位に復帰する。
一方、外部ロウアドレスストローブ信号/RASがハイレベルへ立上がるとアクティブサイクルが完了し、この外部ロウアドレスストローブ信号/RASの立上がりに応答してロウアドレスイネーブル信号RADEおよびコラムイネーブル信号CADEがともに非活性状態のローレベルとなる。次いで内部RAS信号およびロウアドレスラッチ信号RALがローレベルとなる。外部ロウアドレスストローブ信号/RASのハイレベルへの立上がりから内部RAS信号のローレベルへの立下がりまでの期間の間にロウ系の制御信号がすべて初期状態に復帰する。コラム系有効期間においては、ロウ系制御信号はすべて一定の状態を維持する。コラム系制御信号はコラムインターロック期間は初期状態を維持し、コラム系有効期間において変化する。すなわち、DRAMにおいては、ロウ系制御信号およびコラム系制御信号はともにある動作期間における論理レベルは予測可能である。本実施例はこれを利用する。
図6は、図1に示す電源電圧供給回路および接地電圧供給回路の構成を示す図である。図6においては、ロウ系回路に対する電圧供給回路の構成を示す。図6において、ロウ系回路は縦続接続されたn段のインバータFR1〜FRnにより表わされる。入力信号INは、スタンバイサイクル時にローレベルとなり、アクティブサイクル時にハイレベルに変化し、かつコラム系有効期間はハイレベルに維持されるロウ系制御信号である。インバータの数は1つであってもよく、また他の多入力論理ゲートで置換えることも可能である(この構成については後に説明する)。
インバータFR1〜FRnはCMOSインバータの構成を備える。すなわち、インバータFR1〜FRnの各々は、その入力ノードに与えられた信号がローレベルのときに導通し、一方電源ノード900へ与えられた電圧を出力ノード(O1〜On)に伝達するpチャネルMOSトランジスタPTと、入力ノードに与えられた信号がハイレベルのときに導通し、出力ノード(O1〜On)をその他方電源ノード902へ与えられた電圧レベルに放電するnチャネルMOSトランジスタNTを含む。
電源電圧供給回路120は、第1の電源ノード20へ供給された電源電圧Vccを伝達するための第1の主電源線1と、この第1の主電源線1と並列に配設される可変インピーダンス電源線2および3を含む。なお、請求項の記載においては、電源線1、2上は、主電源線および副電源線、または第1ないし第3の電源線として称されるが、以下の説明においては、主電源線および可変インピーダンス電源線と称す。
第1の可変インピーダンス電源線2は抵抗R1により第1の主電源線1に接続され、第2の可変インピーダンス電源線3は抵抗R2を介して第1の主電源線1に接続される。抵抗R1に並列に制御信号φc1に応答して導通して、第1の主電源線1と第1の可変インピーダンス電源線2とを接続するpチャネルMOSトランジスタQ3が設けられる。抵抗R2と並列に、制御信号φc2に応答して導通して第1の主電源線1と第2の可変インピーダンス電源線3とを接続するpチャネルMOSトランジスタQ4が設けられる。第1の主電源線1と第1の可変インピーダンス電源線2との間には比較的大きな容量を有し、第2の可変インピーダンス電源線2の電位を安定に保持するための安定化キャパシタC1が設けられる。第1の主電源線1と第2の可変インピーダンス電源線3との間には、比較的大きな容量を有し、第2の可変インピーダンス電源線の電位を安定に保持するための安定化キャパシタC2が設けられる。
抵抗R1およびR2はそこを流れる電流により第2および第3の可変インピーダンス電源線2および3に電圧降下を生じさせるに足る抵抗を有するが、この消費電流を低減するために比較的大きな抵抗値(たとえば1KΩないし1MΩのオーダ)に設定されている。MOSトランジスタQ3およびQ4は、それぞれインバータFR1ないしFRnのpチャネルMOSトランジスタに電流を供給するに足る大きな電流供給能力を有しており、そのチャネル幅Wは十分大きな値に設定される。またMOSトランジスタQ3およびQ4のオン抵抗は抵抗R1およびR2に比べて十分小さくなる値に設定されており、そのオン抵抗による電圧降下を無視できる程度の値に設定される。また抵抗R1およびR2としては、大きなオン抵抗を有するMOSトランジスタまたは大きなチャネル長Lを有することにより抵抗として機能するMOSトランジスタが用いられてもよい。
接地電圧供給回路130は、第2の電源ノード30へ与えられる他方電源電圧(接地電圧)Vssを伝達するための第2の主電源線(以下、主接地線と称す)4と、この主接地線4と並列に配置される第1および第2の可変インピーダンス接地線5および6を含む。請求項の記載において、これらの接地線4ないし6は第2の主電源線、第3および第4の副電源線などと称されているが、以下の説明においては、主接地線、および第1および第2の可変インピーダンス接地線と称す。
第1の可変インピーダンス接地線5は抵抗R3を介して主接地線4に接続され、第2の可変インピーダンス接地線6は抵抗R4を介して主接地線4に接続される。抵抗R3と並列に、制御信号φs1に応答して導通し、第1の可変インピーダンス接地線5を主接地線4に接続するnチャネルMOSトランジスタQ5が設けられる。抵抗R4と並列に、制御信号φs2に応答して導通し、第2の可変インピーダンス接地線6を主接地線4に接続するnチャネルMOSトランジスタQ6が設けられる。主接地線4と第1の可変インピーダンス接地線5との間には、第1の可変インピーダンス接地線5の電位を安定化するための大きな容量を有するキャパシタC3が設けられる。主接地線4と第2の可変インピーダンス接地線6の間には、第2の可変インピーダンス接地線6の電位を安定化するための大きな容量を有するキャパシタC4が設けられる。抵抗R3およびR4は、大きな抵抗値を有する。すなわち、抵抗R3およびR4は、自身を流れる電流により、可変インピーダンス接地線5および6の電位を接地電圧Vssよりも高い電圧レベルに保持するに足る抵抗値を有する。この抵抗R3およびR4の抵抗値としては抵抗R1およびR2と同様1KΩないし1MΩのオーダである。MOSトランジスタQ5およびQ6は、インバータFR1〜FRnの放電電流をすべて吸収するに足る電流駆動力を有し、十分大きなチャネル幅Wを有する。MOSトランジスタQ5およびQ6のオン抵抗は十分小さく、抵抗R3およびR4の抵抗値に比べて無視できる値に設定される。抵抗R3およびR4はまた、MOSトランジスタを抵抗素子として用いて実現されてもよい。
インバータFR1〜FRnにおいて、奇数段のインバータFR1、FR3、…は、それぞれの一方電源ノード900が第1の可変インピーダンス電源線2に接続され、それぞれの他方電源ノード902は第2の可変インピーダンス接地線6に接続される。偶数段のインバータFR2、…、FRn(nは偶数と想定する)は、各一方電源ノード900が第2の可変インピーダンス電源線3に接続され、各他方電源ノード902が第1の可変インピーダンス接地線5に接続される。
図7は図6に示す回路の動作を示す信号波形図である。以下、図6および図7を参照して動作について説明する。
スタンバイサイクル時においては、入力信号INは接地電圧Vssレベルのローレベルである。制御信号φc1が接地電圧Vssレベルにあり、制御信号φs1が電源電圧Vccレベルにあり、MOSトランジスタQ3およびQ5はともにオン状態にある。これにより第1の可変インピーダンス電源線2上の電圧VCL1は、電源電圧Vccレベルであり、第1の可変インピーダンス接地線5上の電圧VSL1は接地電圧Vssレベルにある。一方、制御信号φs2は接地電圧Vss(0V)レベルであり、制御信号φ2は電源電圧Vccレベルである。この状態においては、MOSトランジスタQ4およびQ6はともにオフ状態であり、第2の可変インピーダンス電源線3は、抵抗R2を介して電源電圧Vccが主電源線1から供給され、この第2の可変インピーダンス電源線3上の電圧VCL2は、電源電圧Vccよりも低い電圧レベルとなる。この電圧VCL2は、Vcc−Ia・R2で表わされる。Iaは、抵抗R2を流れる電流である。一方、第2の可変インピーダンス接地線6は、抵抗R4を介して主接地線4に接続される。したがってこの第2の可変インピーダンス電源線6上の電圧は接地電圧Vssよりも高くなる。すなわちVSL2=Vss+Ib・R4となる。電流Ibは抵抗R4を介して流れる電流である。
インバータFR1においては、接地電圧Vssレベルの入力信号INに従ってpチャネルMOSトランジスタPTがオン状態となり、その出力ノードO1は電源電圧VCL1レベルに充電される。電圧VCL1は電源電圧Vccレベルであり、出力ノードO1が電源電圧Vccレベルとなる。一方、nチャネルMOSトランジスタNTは、入力信号INが接地電圧Vssレベルであり、オフ状態にあり、サブスレッショルド領域で動作する。このとき、第2の可変インピーダンス電源線6上の電圧VSL2は接地電圧Vssレベルよりも高い電圧レベルである。したがってこのnチャネルMOSトランジスタNTのソース電圧はそのゲート電圧よりも高くなり、nチャネルMOSトランジスタNTがより強いオフ状態となり、サブスレッショルド電流が抑制される(図47参照;VGSが負となる)。
インバータFR2においては、そのノードO1の電圧レベルが電源電圧Vccレベルである。したがって、pチャネルMOSトランジスタPTがオフ状態となりサブスレッショルド領域で動作する。第2の可変インピーダンス電源線3上の電圧VCL2は、電源電圧Vccよりも低い電圧レベルである。したがって、pチャネルMOSトランジスタPT(インバータFR2における)がより強いオフ状態となり、このpチャネルMOSトランジスタPTにおけるサブスレッショルド電流が抑制される。インバータFR2のnチャネルMOSトランジスタはそのゲートに電源電圧Vccレベルの電圧を受けており、その出力ノードO2を第1の可変インピーダンス電源線5上の電圧VSL1レベルに放電する。第2の可変インピーダンス電源線5上の電圧VSL1は、接地電圧Vssレベルである。したがって、出力ノードO2は接地電圧Vssレベルとなる。後段のインバータFR3〜FRnにおいても同様の動作が行なわれ、サブスレッショルド領域で動作するMOSトランジスタはより強いオフ状態とされてサブスレッショルド電流が抑制され、オン状態のMOSトランジスタにより、その出力ノードO3〜Onの電位は電源電圧Vccレベルまたは接地電圧Vssレベルとされる。したがって出力信号OUTは電源電圧Vccレベルを維持する(nは偶数である)。すなわち、電源電圧Vccレベルの信号をゲートに受けるpチャネルMOSトランジスタはそのソース電位が電源電圧Vccレベルよりも小さくなり、より強いオフ状態とされてサブスレッショルド電流が低減される。一方、接地電圧Vssレベルの信号をゲートに受けるnチャネルMOSトランジスタは、そのソース電圧が接地電圧Vssレベルよりも高く設定される。これにより、より強いオフ状態となり、サブスレッショルド電流が低減される。
アクティブサイクルは2つの期間に分割される。ロウ系信号セット時間帯すなわちコラムインターロック期間と全てのロウ系信号の論理レベルが保持されるコラム系有効時間である。アクティブサイクル期間においては、制御信号φs2が電源電圧Vccレベルのハイレベル、制御信号φc2が接地電圧Vssレベルのローレベルに設定される。一方、制御信号φc1およびφs1はロウ系信号セット時間帯においてはそれぞれ接地電圧Vssレベルおよび電源電圧Vccレベルに保持される。この状態においては、MOSトランジスタQ3ないしQ6がすべてオン状態となり、可変インピーダンス電源線2および3上の電圧VCL1およびVCL2はともに電源電圧Vccレベルとなる。また、可変インピーダンス接地線5および6上の電圧VSL1およびVSL2はともに接地電圧Vssレベルとなる。このロウ系セット時間帯において入力信号INが接地電圧Vssレベルから電源電圧Vccレベルに立上がり、出力ノードO1〜Onの電位が応じて変化する。この入力信号INの変化に伴って、オン状態になるMOSトランジスタを介して動作電流が流れる。入力信号INの変化前の期間においては、電源線VCL2の充電により比較的大きな電流が流れ次いでMOSトランジスタQ3〜Q6がすべてオン状態となるため、比較的大きな直流電流(アクティブDC電流)が流れる。
入力信号INがハイレベルに立上がり、その電圧レベルが安定になると、ロウ系信号セット時間帯が完了し、コラム系有効期間が始まる。すなわちコラムインターロック期間が終了し、コラム系回路が動作する。このコラム系有効時間においては、再び制御信号φs1が接地電圧Vssレベルに設定され、制御信号φc1が電源電圧Vccレベルに設定される。制御信号φc2およびφs2はそれぞれ接地電圧Vssレベルおよび電源電圧Vccレベルを維持する。この状態においては、MOSトランジスタQ3およびQ5はオフ状態とされ、MOSトランジスタQ4およびQ6はオン状態を維持する。したがって、コラム系有効時間においては、可変インピーダンス電源線2へは抵抗R1を介して電源電圧Vccが伝達されるため、電圧VCL1が電源電圧Vccレベルよりも低くなり、一方第2の可変インピーダンス電源線3上の電圧VCL2は、MOSトランジスタQ4により電源電圧Vccレベルを維持する。
また第1の可変インピーダンス接地線5上の電圧VSL1は、抵抗R3により接地電圧Vssレベルよりも高くなる。第2の可変インピーダンス電源線6上の電圧VSL2は接地電圧Vssレベルを維持する。インバータFR1においては、入力信号INが電源電圧Vccレベルのハイレベルであり、pチャネルMOSトランジスタPTは、そのソース電位がゲート電位よりも低くなり、より強いオフ状態となり、サブスレッショルド電流が低減される。一方、nチャネルMOSトランジスタNTは、オン状態になり、その出力ノードO1を接地電圧Vss(=VSL2)レベルに維持する。インバータFR2においては、このノードO1の接地電圧Vssレベルの電圧により、pチャネルMOSトランジスタがオン状態にあり、出力ノードO2を電源電圧Vccレベル(=VCL2)に維持している。インバータFR2のnチャネルMOSトランジスタはそのソース電位がVSL1(>Vcc)であり、ゲートに与えられた電圧よりも高くなっており、より強いオフ状態とされ、サブスレッショルド電流が抑制される。後段のインバータFR3〜FR2においても同様であり、コラム系有効時間におけるサブスレッショルド電流が抑制され、ロウ系回路の消費するアクティブDC電流がほぼスタンバイサイクル時と同様の電流レベルに低減される。
アクティブサイクルが完了すると、スタンバイサイクルが始まる。このスタンバイサイクルの開始時においては、ハイレベルに設定されたロウ系信号が元のローレベルに復帰する。このロウ系信号リセット時間帯においては、制御信号φc1が接地電圧Vssレベル、制御信号φs1が電源電圧Vccレベルに設定される。制御信号φs2は電源電圧Vccレベルを維持し、制御信号φc2は接地電圧Vssレベルを維持する。この状態においては再びMOSトランジスタQ3ないしQ6がすべてオン状態とされる。この状態においては、電圧VCL1およびVCL2は電源電圧Vccレベルにあり、電圧VSL1およびVSL2は接地電圧Vssレベルとなる。これにより、インバータFR1〜FRnは入力信号INのハイレベルからローレベルの立下がりに応答して出力ノードO1〜Onの電位レベルを高速で変化させ、初期状態に復帰させる。
ロウ系信号リセット時間帯が完了すると、制御信号φs2が接地電圧Vssレベル、制御信号φc2が電源電圧Vccレベルに設定され、MOSトランジスタQ4およびQ6がオフ状態、MOSトランジスタQ3およびQ5がオン状態となる。電圧VCL2が電源電圧Vccレベルよりも低くなり、電圧VSL2が接地電圧Vssレベルよりも高くなる。電圧VCL1は電源電圧Vccレベルにあり、電圧VSL1は接地電圧Vssレベルにある。この状態において、次のアクティブサイクルの開始を待つ。
上述のように、MOSトランジスタQ3ないしQ6を動作期間に合わせて適切にオン状態またはオフ状態として、電源線2および3ならびに接地線5および6のインピーダンスを変更することにより、インバータFR1〜FRnの動作電源電圧レベルを変更することができ、確実にサブスレッショルド電流を抑制することができる。
上述の動作説明においては、入力信号INはスタンバイサイクル時においてローレベルであり、アクティブサイクル時においてはハイレベルに変化している。スタンバイサイクル時にハイレベルとなり、アクティブサイクル時にローレベルとなる信号は、図6において入力信号/INを用いればよく、制御信号φc1、φc2、φs1およびφs2の発生態様は変更する必要はない。以下に入力信号がスタンバイサイクル時においてハイレベルにあり、アクティブサイクル時にローレベルに変化する場合の動作について簡単に説明する。
図8に、CMOSインバータでロウ系回路を構成した場合の各ノードの電圧レベルを示す。初段のインバータはpチャネルMOSトランジスタPT1およびnチャネルMOSトランジスタNT1で構成され、2段目のインバータはpチャネルMOSトランジスタPT2およびnチャネルMOSトランジスタNT2で構成される。pチャネルMOSトランジスタPT1は、抵抗R2およびMOSトランジスタQ4を介して主電源線1から電源電圧Vccを受け、nチャネルMOSトランジスタNT1は、抵抗R3およびMOSトランジスタQ5を介して主接地線4から接地電圧Vssを受ける。MOSトランジスタPT2は抵抗R1およびMOSトランジスタQ3を介して主電源線1から電源電圧Vccを受け、nチャネルMOSトランジスタNT2はR4およびMOSトランジスタQ6を介して主接地線4から接地電圧Vssを受ける。
図8(A)に示すように、スタンバイサイクルにおいては、入力信号がハイレベルであり、MOSトランジスタQ4およびQ6がオフ状態、MOSトランジスタQ3およびQ5がオン状態となる。pチャネルMOSトランジスタPT1のソース電位はVCL(<Vcc)であり、nチャネルMOSトランジスタNT1のソース電圧は接地電圧Vssである。pチャネルMOSトランジスタPT2のソース電位は電源電圧Vccレベル、nチャネルMOSトランジスタNT2のソース電位はVSL(>Vss)である。入力信号は電源電圧Vccレベルのハイレベルであり、nチャネルMOSトランジスタNT1がオン状態となり、その出力ノードは接地電圧Vssレベルのローレベルとなる。このとき、pチャネルMOSトランジスタPT1はそのゲート電位がソース電位よりも高いため、より強いオフ状態となり、サブスレッショルド電流が抑制される。pチャネルMOSトランジスタPT2はローレベルの電位をゲートに受けてオン状態となり、電源電圧Vccレベルのハイレベルの信号を出力する。nチャネルMOSトランジスタNT2はそのソース電位よりもゲート電位が低いため、より強いオフ状態とされ、サブスレッショルド電流が抑制される。
図8(B)に示すように、ロウ系信号セット時間帯においてはMOSトランジスタQ3ないしQ6はすべてオン状態となる。pチャネルMOSトランジスタPT1およびPT2のソース電位は電源電圧Vccレベル、nチャネルMOSトランジスタNT1およびNT2のソース電位は接地電圧Vssレベルである。この状態において、入力信号がハイレベルからローレベルに変化し、この入力信号の変化に応じてインバータの出力信号が変化する。
図9(A)に示すように、コラム系有効期間においては、入力信号が接地電圧Vssレベルのローレベルであり、この期間内においては入力信号の論理レベルは変化しない。この状態においては、MOSトランジスタQ3およびQ4はオフ状態、MOSトランジスタQ4およびQ6がオン状態となる。nチャネルMOSトランジスタNT1のソース電位が電圧VSL(>Vcc)レベル、pチャネルMOSトランジスタPT2のソース電位が電圧VCL(<Vcc)レベルとなる。pチャネルMOSトランジスタPT1のソース電位は電源電圧Vccレベル、nチャネルMOSトランジスタNT2のソース電位は接地電圧Vssレベルである。この状態において、nチャネルMOSトランジスタNT1およびpチャネルMOSトランジスタPT2がより強いオフ状態とされ、サブスレッショルド電流が抑制される。各インバータの出力信号の電圧レベルはオン状態のMOSトランジスタ(PT1およびNT2)を介して電源電圧Vccレベルまたは接地電圧Vssレベルに保持される。
図9(B)に示すように、ロウ系信号リセット時間帯においては、MOSトランジスタQ3ないしQ6がすべてオン状態とされ、インバータは入力信号の論理レベルの変化に応じてそのローレベルの出力信号の論理レベルを変化させる。この状態が完了すると、図8(A)に示すスタンバイサイクル状態に移行する。
以上のように、入力信号がスタンバイサイクル時にハイレベル、アクティブサイクル時にローレベルとなる場合においても、サブスレッショルド領域で動作するMOSトランジスタをより強いオフ状態とすることにより、サブスレッショルド電流を抑制することができる。
図10は、コラム系回路のための電源電圧および接地電圧供給回路の構成を示す図である。図10においては、コラム系回路として、n段の縦続接続されたCMOSインバータを示す。CMOSインバータFC1〜FCm(mは偶数)の各々は、pチャネルMOSトランジスタPQとnチャネルMOSトランジスタNQを含む。
電源電圧供給回路120は、第1の電源ノード20に接続される主電源線1と、この主電源線1と並列に配設される可変インピーダンス電源線11と、主電源線1と可変インピーダンス電源線11とを接続する抵抗Ra3と、抵抗Ra3と並列に設けられ、制御信号φc3に応答して導通して主電源線1と可変インピーダンス電源線11を接続するpチャネルMOSトランジスタQ7を含む。主電源線1と可変インピーダンス電源線11の間には、この可変インピーダンス電源線11の電位を安定化するための大きな容量を有するキャパシタCa3を含む。抵抗Ra3の抵抗値は比較的大きくされ、pチャネルMOSトランジスタQ7のオン抵抗は十分小さくされ、その電流供給能力は十分大きくされる。抵抗Ra3としてはMOSトランジスタを抵抗接続して用いてもよい。
接地電圧供給回路130は、第2の電源ノード30に接続される主電源線4と、主電源線4と並列に配設される可変インピーダンス接地線12と、可変インピーダンス接地線12と主接地線4とを接続する抵抗Rb3と、抵抗Rb3と並列に設けられ、制御信号φs3に応答して導通して主電源線4と可変インピーダンス電源線12とを接続するnチャネルMOSトランジスタQ8を含む。可変インピーダンス接地線12と主接地線4の間には、可変インピーダンス接地線12の電位を安定化するための容量Cb3が設けられる。抵抗Rb3の抵抗値は十分大きく設定され、MOSトランジスタQ8は、そのオン抵抗は十分小さくされるとともにその電流供給能力は十分大きくされる。入力信号INはスタンバイサイクル時はローレベルに設定され、アクティブサイクル時(コラム系有効期間内)においてハイレベルに変化する。奇数段のインバータFC1、FC3、…は、その一方電源ノード18が主電源線1に接続され、その他方電源ノード19は可変インピーダンス接地線12に接続される。偶数段のインバータFC2、…、FCnは、その一方電源ノード(18)が可変インピーダンス電源線11に接続され、その他方電源ノード(19)が主接地線4に接続される。次に図10に示す回路の動作を図11に示す動作波形図を参照して説明する。
スタンバイサイクル時およびロウ系セット時間帯においては、制御信号φc3が電源電圧レベルのハイレベル、制御信号φs3が接地電圧レベルのローレベルに設定される。MOSトランジスタQ7およびQ8はともにオフ状態とされる。可変インピーダンス電源線11上の電圧VCL3は、抵抗Ra3を介して電源電圧Vccが供給されるため、この抵抗Ra3における電圧降下分(Ia・Ra3)だけ電源電圧Vccよりも低くなる。一方、可変インピーダンス接地線12は、抵抗Rb3を介して接地線4に接続され、この抵抗Rb3を流れる電流Ibにより、電圧VSL3は接地電圧Vssよりも電圧Ib・Rb3だけ高くなる。
今、入力信号INは接地電圧Vssレベルのローレベルであり、インバータFC1においては、pチャネルMOSトランジスタPQがオン状態、nチャネルMOSトランジスタNQがオフ状態となっている。インバータFC1の出力は、pチャネルMOSトランジスタPQにより電源電圧Vccレベルにまで充電される。nチャネルMOSトランジスタNQは、その他方電源ノード19の電位が接地電圧Vssよりも高い電圧VSL3であるため、ソース電位がゲート電位よりも高くなり、より強くオフ状態とされ、そのサブスレッショルド電流が抑制される。
インバータFC2においては、nチャネルMOSトランジスタ(NQ)がオン状態であり、その出力を接地電圧Vssレベルに放電する。インバータFC2のpチャネルMOSトランジスタ(PQ)はそのソース電位が可変インピーダンス電源線11上の電圧VCL3であり、ゲート電位よりも低いため、このpチャネルMOSトランジスタも強いオフ状態とされ、サブスレッショルド電流が抑制される。
ロウ系セット時間帯すなわちコラムインターロック期間が終了するとコラム有効時間(コラム系有効期間)が始まる。このコラム有効時間においては、制御信号φc3が接地電圧Vssレベル、制御信号φs3が電源電圧Vccレベルとなる。MOSトランジスタQ7およびQ8がともにオン状態となり、電圧VCL2およびVSL3はそれぞれ電源電圧Vccおよび接地電圧Vssレベルとなる。このコラム有効時間内において、入力信号INがローレベルからハイレベルへ立上がり、またハイレベルからローレベルへと立下がる。この入力信号INの立上がりおよび立下がりに応じてインバータFC1〜FCnにおいてその出力ノードの充放電が行なわれ、動作電流Iccが流れる。
コラム有効時間が完了すると、再び制御信号φc3は電源電圧Vccレベル、制御信号φs3が接地電圧Vssレベルに設定され、MOSトランジスタQ7およびQ8はオフ状態とされ、可変インピーダンス電源線11は主電源線1に高抵抗Ra3を介して接続され、可変インピーダンス接地線12は、高抵抗Rb3を介して主接地線4に接続される。このスタンバイサイクルおよびロウ系リセット時間帯においては既に入力信号INはローレベルにリセットされており、先に説明したスタンバイサイクルおよびロウ系セット時間帯の動作と同様、オフ状態とされ、サブスレッショルド領域で動作するMOSトランジスタがより強いオフ状態とされ、サブスレッショルド電流が抑制される。
上述のように、コラム系回路においては、コラム系回路が動作するコラム有効時間のみ可変インピーダンス電源線11および可変インピーダンス接地線12を低インピーダンス状態として電源ノード20および接地電圧ノード30へそれぞれ接続することにより、入力信号の変化に応じて高速で動作するとともに、スタンバイサイクル時およびロウ系セット時間帯(コラムインタロック期間)において可変インピーダンス電源線11および可変インピーダンス接地線12を高抵抗Ra3およびRb3を介して電源ノード20および接地電圧ノード30へ接続することにより、サブスレッショルド電流を抑制することができる。
図12は、ロウ系信号およびコラム系信号をともに示す動作波形図である。以下、図12を参照して、ロウ系信号およびコラム系信号を含む全体の動作について説明する。
ロウ系信号には、スタンバイサイクル時においてハイレベルにあり、アクティブサイクル時にローレベルに変化するロウ系信号/Aと、スタンバイサイクル時にローレベルにあり、アクティブサイクル時にハイレベルに変化するロウ系信号Bが存在する。同様、コラム系信号にも、スタンバイサイクル時にハイレベルとなり、コラム系有効時間にローレベルに変化するコラム系信号/Cと、スタンバイサイクル時にローレベルにあり、コラム系有効時間内にハイレベルに変化するコラム系信号Dが存在する。
スタンバイサイクル時においては、外部ロウアドレスストローブ信号/RAS(ext/RAS)はハイレベルになり、ロウ系信号/Aおよびコラム系信号/Cはともにハイレベル、ロウ系信号Bおよびコラム系信号Dはともにローレベルにある。インターロック信号(コラムイネーブル信号)/CLEはハイレベルにある。この状態においては、制御信号φc2およびφs1がともにハイレベルにあり、制御信号φs2およびφc1がともにローレベルにある。また制御信号φc3がハイレベル、制御信号φs3がローレベルにある。外部ロウアドレスストローブ信号/RASがローレベルに立下がるとアクティブサイクルが始まる。
この外部ロウアドレスストローブ信号/RASの立下がりに応答して、制御信号φs2がハイレベル、制御信号φc2がローレベルに変化する。アクティブサイクルにおいて、ロウ系信号/AおよびBがそれぞれ変化する。それぞれの信号の変化タイミングは図の破線の波形で示す時間内の所定の時刻である。ロウ系信号/AおよびBが変化し、その状態がローレベルおよびハイレベルに確定すると、これらのロウ系信号/AおよびBを発生する回路に対応して設けられた電圧供給回路に対する制御信号φs1およびφc1が変化する。ロウ系信号/AおよびBは遅くともインターロック信号/CLEが活性状態のローレベルとなるまでにその状態が確定する。このロウ系信号セット時間帯の最も遅い時間(インターロック信号/CLEにより決定される)前に、制御信号φc1がハイレベル、制御信号φs1はローレベルに変化する。この制御信号φc1およびφs1の変化タイミングは図の破線で示すように、時刻t1から時刻t2の間の期間に設定される(対応のロウ系回路の出力確定タイミングに従って)。遅くとも時刻t2までに制御信号φc1およびφs1はそれぞれハイレベルおよびローレベルに設定される。
ロウ系信号セット時間帯が完了すると、インターロック信号/CLEが活性状態のローレベルとなり、応じて制御信号φs3がハイレベル、制御信号φc3がローレベルとされる。このコラム系有効時間においては、ロウ系信号/AおよびBがそれぞれローレベルおよびハイレベルに固定されており、サブスレッショルド電流は抑制されており、ロウ系信号による電源電流Iccはほぼスタンバイサイクル時に流れるスタンバイ電流と同様の値となる。コラム系有効時間においては、コラム系信号/CおよびDが変化する。DRAMにおいては、ページモード動作などのように、複数回コラム系信号/CおよびDが変化する動作が知られている。この間においては、制御信号φs3がハイレベル、制御信号φc3がローレベルであり、コラム系信号はアクセスに応じて複数回変化する。この間コラム系信号により電源電流Iccが消費される。
アクティブサイクルが完了すると、外部ロウアドレスストローブ信号/RASがハイレベルに立上がり、インターロック信号/CLEがハイレベルに立上がる。このインターロック信号/CLEの立上がりに応答して、制御信号φs3がローレベル、制御信号φc3がハイレベルに立上がり、コラム系信号/CおよびD発生部におけるサブスレッショルド電流が抑制される。アクティブサイクル完了時においてはコラム系信号/CおよびDは初期状態に既に復帰している。
一方、ロウ系信号/AおよびBがアクティブサイクル完了後初期状態に復帰する。このロウ系信号/AおよびBの初期状態への復帰は時刻t3ないしt4の間に所定のタイミングで行なわれる。それぞれの回路の出力信号が初期状態に復帰すると、制御信号φc1がローレベル、制御信号φs1がハイレベルに変化する。ロウ系信号リセット時間帯の終了期間時刻t2において、制御信号φs2がローレベル、制御信号φc2がハイレベルとされる。これにより、ロウ系信号/AおよびB発生部におけるサブスレッショルド電流の消費が抑制される。
ロウ系信号発生回路の電源として図6に示す構成を利用し、コラム系信号発生回路には図10に示す可変インピーダンス電源を利用することにより、インバータアレイ(ロウ系回路およびコラム系回路)を流れるサブスレッショルド電流を最小とすることができ、消費電流を大幅に低減することができる。すなわち、しきい値電圧の絶対値の小さなMOSトランジスタを用いてもサブスレッショルド電流を抑制することができ、このような低いしきい値電圧の絶対値を有するMOSトランジスタを半導体記憶装置の構成要素として利用することができ、高速で動作する大記憶容量の半導体記憶装置を実現することができる。
図13は、電源線および接地線に設けられたスイッチング素子としてのMOSトランジスタのオン/オフを制御する信号の発生シーケンスを示す図である。図13に示すように、外部ロウアドレスストローブ信号/RAS(ext/RAS)がハイレベルのスタンバイサイクル時においては、制御信号φs1、φc2、およびφc3はハイレベルにあり、制御信号φc1、φs2、およびφs3はローレベルにある。センスアンプ活性化信号SOはローレベル、インターロック信号(コラムイネーブル信号)/CLEはハイレベルにある。
外部ロウアドレスストローブ信号/RASがローレベルに立下がると、内部RAS信号RASがハイレベルへ立上がり、アクティブサイクルが始まる。この外部ロウアドレスストローブ信号/RAS(ext/RAS)の立下がりに応答して制御信号φs2がハイレベルに立上がり、制御信号φc2がローレベルに立下がる。次いで、最も速いタイミングで変化する制御信号φs1およびφc1が内部ロウアドレスストローブ信号RASの立上がりに応答してそれぞれローレベルおよびハイレベルに変化する。また内部ロウアドレスストローブ信号RASの立上がりに応答して所定期間経過後にセンスアンプ活性化信号SOが活性状態のハイレベルとなる。センスアンプ活性化信号SOの活性化(ハイレベル)に応答して、インターロック信号/CLEがローレベルとなり、コラム系回路の動作が可能となる。このインターロック信号/CLEの立下がりに応答して、最も遅いタイミングで変化する制御信号φs1およびφc1がそれぞれローレベルおよびハイレベルに変化する。制御信号φs1およびφc1がこの図13において破線の領域で示すロウ系信号セット期間内(時間帯)において変化する。
一方、インターロック信号/CLEの立下がりに応答して、制御信号φs3がハイレベル、制御信号φc3がローレベルに変化する。インターロック信号/CLEがローレベルの間コラム系信号が変化し、所定の動作が実行される。
アクティブサイクルが完了すると、外部ロウアドレスストローブ信号/RAS(ext/RAS)がハイレベルに立上がり、応じてインターロック信号/CLEがハイレベルに立上がる。最も速いタイミングで変化する制御信号φs1およびφc1がこのインターロック信号/CLEの立上がりに応答してそれぞれハイレベルおよびローレベルに変化する。また制御信号φs3およびφc3がこのインターロック信号/CLEの立上がりに応答してそれぞれローレベルおよびハイレベルに変化する。
外部ロウアドレスストローブ信号/RAS(ext/RAS)の立上がりに応答して所定時間経過後内部ロウアドレスストローブ信号RASがローレベルに立下がり、センスアンプ活性化信号SOが応じてローレベルに変化する。この内部ロウアドレスストローブ信号RASの立下がりに応答して、最も遅いタイミングで変化する制御信号φs1およびφc1がそれぞれハイレベルおよびローレベルに変化する。この後制御信号φs2およびφc2が外部ロウアドレスストローブ信号RASの立下がりに応答してそれぞれローレベルおよびハイレベルに変化する。
図14は、図13に示す制御信号を発生するための構成の一例を示す図である。図14において、制御信号発生系は、外部ロウアドレスストローブ信号/RAS(ext/RAS)を受けるインバータ300と、インバータ300の立下がりを遅延して内部ロウアドレスストローブ信号RASを発生する立下がり遅延回路302と、立下がり遅延回路302の出力信号RASに応答してセンスアンプ活性化信号SOを発生するセンスアンプ活性化信号発生回路304と、インバータ300の出力信号とセンスアンプ活性化信号SOとに応答してインターロック信号/CLEを発生するインターロック信号発生回路306と、立下がり遅延回路302からの内部ロウアドレスストローブ信号RASおよびインターロック信号発生回路306からのインターロック信号/CLEに応答してロウ系電源インピーダンス制御信号を発生するインピーダンス制御信号発生回路308を含む。
ロウ系回路はその出力信号が変化するタイミングに応じてグループに分割される。図14においては、3つのロウ系回路316a、316bおよび316cを示す。インピーダンス制御信号発生回路308は、これらロウ系回路316a〜316cそれぞれに対し電源インピーダンス制御信号φs1a,φc1a、φas1b,φc1b、およびφs1c,φc1cを発生する。ロウ系回路316a〜316cそれぞれに対してロウ系電源回路314a、314bおよび314cが設けられる。ロウ系電源回路314aには、制御信号φs1aおよびφc1aが与えられ、ロウ系電源回路314bには、制御信号φs1bおよびφc1bが与えられ、ロウ系電源回路314cには、制御信号φs1cおよびφc1cが与えられる。
内部ロウアドレスストローブ信号RASから制御信号φs2が生成され、また内部ロウアドレスストローブ信号RASからインバータ310を介して制御信号φc2が発生される。この制御信号φc2およびφs2はロウ系電源回路314a〜314cに共通に与えられる。ロウ系電源回路314a〜314cは、それぞれ与えられた制御信号に従って自身の電源線(動作電源電圧Vcc伝達線および接地電圧Vss伝達線)のインピーダンスを変更して対応のロウ系回路316a〜316cへ電源電圧(動作電源電圧Vccおよび接地電圧Vss)を伝達する。
インターロック信号/CLEから制御信号φc3が生成され、またインターロック信号/CLEからインバータ312を介して制御信号φs3が生成される。これらの制御信号φc3およびφs3はコラム系電源回路320へ与えられる。コラム系電源回路320はコラム系回路322に対しこの与えられた制御信号φc3およびφs3に従って必要な電圧を供給する。
インバータ300および立下がり遅延回路302は、図3に示す/RASバッファ200に含まれており、センスアンプ活性化信号発生回路304は図3に示すアレイコントローラ206に含まれる。インターロック信号発生回路306は図3に示すインターロック信号発生回路208と同じである。
立下がり遅延回路302はインバータ300の出力信号の立上がりに応答して内部ロウアドレスストローブ信号RASをハイレベルに立上げ、インバータ300の出力信号の立下がりから所定時間経過後に内部ロウアドレスストローブ信号RASをローレベルに立下げる。センスアンプ活性化信号発生回路304は、内部ロウアドレスストローブ信号RASの立上がりを所定時間遅延させてセンスアンプ活性化信号SOを活性状態のハイレベルに立上げ、内部ロウアドレスストローブ信号RASの立下がりに応答してセンスアンプ活性化信号SOを非活性状態のローレベルに立下げる。
インターロック信号発生回路306は、センスアンプ活性化信号SOのハイレベルへの立上がりに応答してインターロック信号/CLEを活性状態のローレベルに立下げ、インバータ300の出力信号の立下がりに応答してインターロック信号/CLEをハイレベルに立上げて非活性状態とする。インピーダンス制御信号発生回路308は、内部ロウアドレスストローブ信号RASとインターロック信号/CLEとに応答してそれぞれ図13に示す破線領域内において変化する制御信号φs1(φs1a〜φs1c)およびφc1(φc1a〜φc1c)を発生する。
図14に示す構成において、立下がり遅延回路302、センスアンプ活性化信号304およびインターロック信号発生回路306もロウ系回路であり、これらの回路の電源線(動作電源電圧Vcc伝達線および接地電圧Vss伝達線)のインピーダンスの各回路の出力信号の論理レベルの変化に応じて調節される。インピーダンス制御信号発生回路308の電源は、制御信号φs1(φs1a〜φs1c)およびφc1(φc1a〜φc1c)の変化に応じてそれぞれの制御信号発生回路の電源線のインピーダンスが調節される。インバータ310の電源線のインピーダンスは外部ロウアドレスストローブ信号RASに従って調節されればよく、またインバータ312の電源線のインピーダンスがインターロック信号/CLEに従って調節されればよい。
外部ロウアドレスストローブ信号/RAS(ext/RAS)におけるインバータ300は、電源電圧Vccおよび接地電圧Vssだけを受けて動作するように構成されてもよい。
[第1の変更例]
ロウ系信号およびコラム系信号は、それぞれある動作シーケンスに従って順次発生される。この場合、インバータ列を用いて信号の遅延を利用することによりロウ系信号およびコラム系信号を発生することができる。DRAMにおいては、多入力論理ゲートも利用される。以下に、多入力論理ゲートを有する場合の電源線のインピーダンスの調整方法について説明する。
図15は、2入力NAND回路の構成の一例を示す図である。図15において、2入力NAND回路は、一方電源線330と出力ノード331の間に並列に接続されるpチャネルMOSトランジスタPQ1およびPQ2と、出力ノード331と他方電源線332の間に直列に接続されるnチャネルMOSトランジスタNQ1およびNQ2を含む。MOSトランジスタPQ1およびNQ1のゲートへ入力信号INAが与えられ、MOSトランジスタPQ2およびNQ2のゲートへ入力信号INBが与えられる。
この2入力NAND回路の出力OUTがスタンバイサイクル時にローレベル(L)であり、アクティブサイクル時にハイレベル(H)に変化する動作を考える。スタンバイサイクルにおいては、出力信号OUTがローレベルであるため、MOSトランジスタNQ1およびNQ2がオン状態、MOSトランジスタPQ1およびPQ2がオフ状態である。スタンバイサイクルにおいてサブスレッショルド電流がMOSトランジスタPQ1およびPQ2に流れる。したがってこの場合、スタンバイサイクルにおいて一方電源線330上の電圧Vcは電源電圧Vccよりも低い電圧VCL(VCL1またはVCL2)に設定する必要がある。アクティブサイクルにおいて出力信号OUTがハイレベルとなると、MOSトランジスタNQ1およびNQ2の少なくとも一方がオフ状態となる。この状態においては、サブスレッショルド電流がMOSトランジスタNQ1およびNQ2を介して流れる。したがってこの状態においては、他方電源線332の電圧Vsは接地電圧Vssよりも高い電圧に設定して、サブスレッショルド領域で動作するMOSトランジスタのソース電位を上昇させる。
上述のような電源電圧の変化は、図7に示す動作波形図から電圧VCL2およびVSL1により与えられる。したがって図16に示すように、NAND回路335の一方電源線330へ電源電圧VCL2を与え、他方電源線332へ電圧VSL1を与える。この構成によりサブスレッショルド電流を抑制することができる。
逆に、図15に示すNAND回路335の出力信号OUTがスタンバイサイクル時にハイレベル(H)にあり、アクティブサイクルにおいてローレベル(L)に変化する場合を考える。この場合、スタンバイサイクルにおいてサブスレッショルド電流が流れる可能性があるのは、MOSトランジスタNQ1およびNQ2である。ハイレベルの信号をpチャネルMOSトランジスタPQ(PQ1またはPQ2)がゲートに受けていても、その場合出力信号OUTが電源電圧Vccレベルであるため、サブスレッショルド電流は生じない。したがってこのスタンバイサイクルにおいては、電源線330へは電源電圧Vcc、他方電源線332へは接地電圧Vssよりも高い電圧を伝達する。アクティブサイクルにおいて出力信号OUTがローレベルに立下がる場合に、サブスレッショルド電流が流れるのは、pチャネルMOSトランジスタPQ1またはPQ2である。したがってこの場合には、一方電源線330の電圧を電源電圧Vccよりも低い電圧レベルに設定し、他方電源線332上の電圧は接地電圧Vssレベルに設定する。
上述のような電源電圧シーケンスを与えるのは、図7に示す動作波形図から電圧VSL1およびVSL2である。したがって、図17に示すように、NAND回路の一方電源線330へ電圧VCL1を供給し、他方電源線332に電圧VSL2を供給する。これにより、スタンバイサイクルにおいてハイレベルの信号を出力し、アクティブサイクルにローレベルの信号を出力するNAND回路335におけるサブスレッショルド電流を抑制することができる。
図18は、2入力NOR回路の構成を示す図である。図18において、2入力NOR回路340は、一方電源線340と出力ノード341の間に直列に接続されるpチャネルMOSトランジスタPQ3およびPQ4と、出力ノード341と他方電源線342の間に並列に設けられるnチャネルMOSトランジスタNQ3およびNQ4を含む。MOSトランジスタPQ3およびNQ3のゲートへは入力信号INAが与えられ、MOSトランジスタPQ4およびNQ4のゲートへは入力信号INBが与えられる。
出力信号OUTがスタンバイサイクル時にローレベル、アクティブサイクル時にハイレベルに変化する場合を考える。スタンバイサイクルにおいて、出力信号OUTがローレベルのとき、入力信号INAおよびINBの少なくとも一方はハイレベルである。サブスレッショルド電流が流れる可能性があるのは、pチャネルMOSトランジスタPQ3およびPQ4においてである。したがって、一方電源線340上の電圧Vcを電源電圧Vccよりも低い電圧レベルに設定し、他方電源線342上の電圧Vsは接地電圧Vssレベルに設定する。
アクティブサイクルにおいて出力信号OUTがハイレベルに立上がると、MOSトランジスタPQ3およびPQ5がともにオン状態である(入力信号INAおよびINBがともにローレベル)。このときには、サブスレッショルド電流が流れるのはMOSトランジスタNQ3およびNQ4である。したがって他方電源線342上の電圧Vsを接地電圧Vssよりも高い電圧レベルに設定し、一方電源線340上の電圧Vcは電源電圧Vccレベルに設定する。この電圧変化を与えるのは電圧VCL2およびVSL1である。したがって図19に示すように、スタンバイサイクル時にローレベルとなりかつアクティブサイクルにおいてハイレベルとなる信号OUTを出力するNOR回路345の一方電源線340へは電圧VCL2が与えられ、他方電源線342へは電圧VSL1が与えられる。
一方、出力信号OUTがスタンバイサイクル時にハイレベル、アクティブサイクル時にローレベルとなる場合には、上の説明と逆になる。すなわち、スタンバイサイクルにおいて、サブスレッショルド電流が流れるのはMOSトランジスタNQ3およびNQ4であり、他方電源線342上の電圧Vsを接地電圧Vssレベルよりも高くする。アクティブサイクルにおいては、サブスレッショルド電流が流れるのはpチャネルMOSトランジスタPQ3およびPQ4の経路である。したがってこの場合には一方電源線340の電圧Vcを電源電圧Vccよりも低くする。このような電圧変化を与えるのは電圧VCL1およびVSL2である。したがって図20に示すように、スタンバイサイクル時にハイレベルの信号を出力し、アクティブサイクル時にローレベルの信号を出力するNOR回路345の一方電源線340へは電圧VCL1が与えられ、他方電源線342上へは電圧VSL2が与えられる。
上述のように、多入力論理回路においてもスタンバイサイクル時およびアクティブサイクル時においてその出力信号の論理レベルがわかっており、かつその論理レベルがスタンバイサイクル時とアクティブサイクル時で変化する場合にはサブスレッショルド電流を確実に抑制することができる。このNAND回路およびNOR回路はロウ系回路として説明している。コラム系回路の場合には、スタンバイサイクル時の出力信号OUTの論理レベルがわかっていればその出力論理レベルと逆の論理である電源電圧のレベルを中間電位レベル(VccとVssとの間)に調整する構成が利用されればよい。コラム系回路の場合、コラム系有効時間においてはその電源線は電源電圧Vccおよび接地電圧Vssレベルともに低インピーダンス状態とされているためである。
上述のように、アクティブサイクル時およびスタンバイサイクル時において入出力信号の論理レベルが予測可能な場合、多入力論理ゲートにおいてもサブスレッショルド電流を効果的に抑制することができる。
[第2の変更例]
前述の先行技術(IEEE 1993シンポジウム・オン・VLSIサーキット、ダイジェスト・オブ・テクニカル・ペーパーズの第47頁ないし第48頁)に堀口等が示しているように、スタンバイサイクル時においてDRAMの内部ノードの電位をすべて予測可能とすることができる。しかしながら、アドレスバッファの出力信号、デコーダ回路およびクロックドインバータのようにアクティブサイクルにおいてその出力信号の論理レベルが予測できない場合が生じる。また、センスアンプにおいてはスタンバイサイクル時にハイレベルおよびローレベルともにサブスレッショルド電流が流れる可能性がある(センスアンプ活性化信号SOに応答して導通して電源電圧Vccおよび接地電圧Vssをセンスアンプへ伝達するトランジスタにおいてサブスレッショルド電流が流れる可能性がある)。この場合には、上述のような電源線インピーダンス変更シーケンスを利用すると効果的にサブスレッショルド電流を抑制することができなくなる場合が生じる。以下にこのような出力信号の論理レベルが予測不能な回路に対する電源線インピーダンス変更シーケンスについて説明する。
図21は、この発明の第1の実施例の第2の変更例である半導体装置の電源回路の構成を示す図である。図21においては、代表的に3つの2入力ロウ系回路450、452および454を示す。ロウ系回路450は、入力INA1およびINB1を受けて出力OUT1を生成する。ロウ系回路450の出力信号OUT1は、スタンバイサイクル時にローレベル(L)であり、アクティブサイクル時にその出力信号の論理レベルはハイレベルまたはローレベルとなる(図においてはXとして示す)。ロウ系回路452は、入力信号INA2およびINB2を受けて出力信号OUT2を生成する。ロウ系回路452の出力信号OUT2は、スタンバイサイクル時にハイレベルとなり、アクティブサイクル時にハイレベルまたはローレベルとなる。ロウ系回路454は、入力信号INA3およびINB3を受けて出力信号OUT3を生成する。ロウ系回路454の出力信号OUT3は、スタンバイサイクル時にハイレベルまたはローレベルとなり、アクティブサイクル時においてもまたハイレベルまたはローレベルとなる。ロウ系回路454の一例としては、クロックドインバータのようにスタンバイサイクル時に出力ハイインピーダンス状態とされ、その動作時において出力信号がハイレベルまたはローレベルとなる回路がある。ロウ系回路454としては、また、ビット線対それぞれに対して設けられるセンスアンプを考えることができる。
図21において、ハイレベルの電源電圧を供給する電源電圧供給回路410は、第1の電源ノード20に結合される主電源線1と、主電源線1に抵抗R10を介して接続される副電源線(可変インピーダンス電源線)402と、主電源線1に抵抗R12を介して接続される可変インピーダンス電源線403を含む。抵抗R10と並列に、制御信号にφc4に応答して導通し、主電源線1と可変インピーダンス電源線402とを接続するpチャネルMOSトランジスタQ10とが設けられる。抵抗R12と並列に、制御信号φc5に応答して導通し、主電源線1と可変インピーダンス電源線403を接続するpチャネルMOSトランジスタQ12が設けられる。主電源線1と可変インピーダンス電源線402の間には、可変インピーダンス電源線402上の電圧VCL1を安定化するための比較的大きな容量を有するキャパシタC10が設けられる。主電源線1と可変インピーダンス電源線403の間には、また、可変インピーダンス電源線403上の電圧VCL2を安定化するための比較的大きな容量を有するキャパシタC12が設けられる。抵抗R10およびR12は比較的大きな抵抗値を有し、MOSトランジスタQ10およびQ12は抵抗R10およびR12の抵抗値に比べて無視できる程度のオン抵抗を備える。またMOSトランジスタQ10およびQ12はロウ系回路に対し十分な充電電流を供給することのできる電流供給能力を有する(チャネル幅Wが大きくされる)。抵抗R10およびR12は、抵抗接続されたMOSトランジスタにより構成されてもよい。
ローレベルの電源電圧を供給する接地電圧供給回路420は、他方電源ノード30に結合されて接地電圧Vssを伝達する主接地線4と、主接地線4と抵抗R11を介して接続される可変インピーダンス接地線405と、主接地線4と抵抗R13を介して接続される可変インピーダンス接地線406を含む。抵抗R11と並列に、制御信号φs4に応答して導通して主接地線4と可変インピーダンス接地線405を接続するnチャネルMOSトランジスタQ11が設けられる。抵抗R13と並列に、制御信号φs5に応答して導通し、主接地線4と可変インピーダンス接地線406を接続するnチャネルMOSトランジスタQ13が設けられる。主接地線4と可変インピーダンス接地線405の間にはさらに、可変インピーダンス接地線405上の電圧VSL1を安定化するための大きな容量を有するキャパシタC11が設けられる。主接地線4と可変インピーダンス接地線406の間にはさらに、可変インピーダンス接地線406の上の電圧VSL2を安定化するための大きな容量を有するキャパシタC13が設けられる。抵抗R11およびR13は比較的大きな抵抗値を有している。MOSトランジスタQ11およびQ13はロウ系回路450、452、および454からの放電電流を吸収することのできる大きな電流供給能力(大きなチャネル幅)を有している。またMOSトランジスタQ11およびQ13のオン抵抗は抵抗R11およびR13に比べて無視できる程度の値に設定される。
ロウ系回路450は、その一方電源ノード(ハイレベルの電源電圧を受けるノード)が可変インピーダンス電源線402に接続され、他方電源ノード(ローレベル電源電圧を受けるノード)が可変インピーダンス接地線406に接続される。ロウ系回路452は、その一方電源ノードが可変インピーダンス電源線403に接続され、その他方電源ノードが可変インピーダンス接地線405に接続される。ロウ系回路454は、その一方電源ノードが可変インピーダンス電源線402に接続され、その他方電源ノードが可変インピーダンス接地線405に接続される。次に図21に示す構成の動作をその動作波形図である図22を参照して説明する。
スタンバイサイクル時においては、外部ロウアドレスストローブ信号ext/RASがハイレベルにあり、内部ロウアドレスストローブ信号RASがローレベルにある。ロウ系回路450の出力信号OUT1がローレベル、ロウ系回路452の出力信号OUT2はハイレベル、ロウ系回路454の出力信号OUT3はハイレベルまたはローレベルである。この状態においては、制御信号φc4およびφs5がハイレベル、制御信号φs4およびφc5がローレベルとされる。MOSトランジスタQ10およびQ11はともにオフ状態とされ、MOSトランジスタQ12およびQ13がオン状態とされる。
可変インピーダンス電源線402上には、抵抗R10を介して主電源線1から電源電圧Vccが供給される。したがって電圧VCL1は抵抗R10における電圧降下により電源電圧Vccレベルよりも低くなる。また可変インピーダンス接地線405は、抵抗R11を介して接地電圧Vssを受けるため、電圧VSL1は接地電圧Vss(0V)よりも高くなる。可変インピーダンス電源線403はMOSトランジスタQ12を介して電源電圧Vccを受け、電圧VCL2は電源電圧Vccレベルとなる。可変インピーダンス接地線406は、MOSトランジスタQ13を介して接地電圧Vssを受けるため、電圧VSL2は接地電圧Vssレベルとなる。
ロウ系回路450は電源電圧Vccよりも低い電圧VCL1を受けており、出力信号OUT1もローレベルであるため、その一方電源ノードから出力ノードへ流れるサブスレッショルド電流が抑制される。ロウ系回路452は出力信号OUT2がハイレベルであり、この他方電源ノードは電圧VSL1を受けている。したがって出力ノードから他方電源ノードへ流れるサブスレッショルド電流が抑制される。ロウ系回路454は、一方電源ノードに電圧VCL1を受けかつ他方電源ノードに電圧VSL1を受けている。したがってロウ系回路454はともに高抵抗を介して電圧VccおよびVssを受けており、出力信号の論理レベルにかかわらず、一方電源ノードから出力ノードへ流れるサブスレッショルド電流および出力ノードから他方電源ノードへ流れるサブスレッショルド電流が抑制される。したがってスタンバイサイクル時におけるサブスレッショルド電流は十分に抑制される。
外部ロウアドレスストローブ信号ext/RASがローレベルに立下がるとアクティブサイクルが始まる。このアクティブサイクルにおいてロウ系回路450、452、および454の出力信号OUT1、OUT2、およびOUT3が変化する。図22においては、出力信号OUT1〜OUT3の変化タイミングは双方向矢印で示す期間内の所定の時刻に設定される。すなわち、このロウ系信号セット期間において出力信号OUT1〜OUT3が所定のタイミングで変化する。
ロウ系信号セット期間においては、この外部ロウアドレスストローブ信号ext/RASの立下がりに応答してハイレベルに立上がった内部ロウアドレスストローブ信号RASに従って制御信号φc4がローレベル、制御信号φs4がハイレベルとされる。制御信号φc5はローレベルを維持し、制御信号φs5はハイレベルを維持する。この状態においては、MOSトランジスタQ10〜Q13はすべてオン状態となり、電圧VCL1およびVCL2はともに電源電圧Vccレベルとなり、電圧VSL1およびVSL2はともに接地電圧Vssレベルとなる。このロウ系回路450、452および454の動作に従って動作電流Iccが流れる。
ロウ系信号セット期間が完了すると、インタロック信号すなわちコラムイネーブル信号/CLEがローレベルに立下がり、コラム系有効期間が始まる。このコラム系有効期間においては、制御信号φc4およびφc5がともにハイレベル、制御信号φs4およびφs5がともにローレベルに設定される。MOSトランジスタQ10〜Q13がすべてオフ状態とされ、電圧VCL1およびVCL2は電源電圧Vccレベルよりも低い電圧レベルに設定され、電圧VSL1およびVSL3は接地電圧Vssレベルよりも高いレベルに設定される。この期間においては、ロウ系信号の状態は変化しない。ロウ系回路450、452および454の出力信号OUT1、OUT2およびOUT3の論理レベルにかかわらず、サブスレッショルド電流は抑制される。この場合、出力信号OUT1〜OUT3の電圧レベルが電源電圧Vccおよび接地電圧Vssレベルから両電圧の間の電圧レベルに変化するが、ロウ系回路の動作はすべて完了しており、ロウ系回路における誤動作は生じない。また、ロウ系回路において、その構成要素であるMOSトランジスタのゲートおよびソースの電圧が同じ電圧レベルとなることが考えられる。しかしながらこの場合電源線402および403ならびに接地線405および406は高抵抗状態にあり(高抵抗を介して電源ノード20または接地電圧ノード30に接続される)、そのときに流れるアクティブDC電流は十分小さな値に設定することができる。
コラム系有効期間が完了し、メモリアクセスが終了すると、外部ロウアドレスストローブ信号ext/RASがハイレベルに立上がり、アクティブサイクルが完了する。この外部ロウアドレスストローブ信号ext/RASの立上がりに応答してコラムイネーブル信号/CLEがハイレベルに立上がる。スタンバイサイクルの初期時においては、ロウ系回路450、452、および454の出力信号OUT1〜OUT3が初期状態に復帰する。このロウ系信号が初期状態に復帰するロウ系信号リセット期間においては、制御信号φs4およびφs5がともにハイレベル、制御信号φc4およびφc5がローレベルに設定されMOSトランジスタQ10〜Q13がすべてオン状態とされる。これにより電圧VCL1およびVCL2が電源電圧Vccレベル、電圧VSL1およびVSL2が接地電圧Vssレベルとなり、高速でロウ系信号のリセットが行なわれ、動作電流が生じる。出力信号OUT1〜OUT3はロウ系信号リセット期間内の所定のタイミングで初期状態に復帰する。図22においてはこの信号の復帰する期間は双方向矢印で示す。
ロウ系信号リセット期間が完了すると内部ロウアドレスストローブ信号RASがローレベルに立下がる。この内部ロウアドレスストローブ信号RASの立下がりに応答して制御信号φc4がハイレベル、制御信号φs4がローレベルに設定される。制御信号φs5およびφc5はそれぞれハイレベルおよびローレベルを維持する。これにより、MOSトランジスタQ10およびQ11がオフ状態、MOSトランジスタQ12およびQ13がオン状態となる。これにより各ロウ系回路450、452、および454はそれぞれの出力信号OUT1〜OUT3の論理レベルに応じて一方電源電圧(ハイレベル側の電源電圧)および他方電源電圧(ローレベル側の電源電圧)が供給されてサブスレッショルド電流が抑制される。
コラム系回路においては、スタンバイサイクル時においてその出力信号の論理レベルがハイレベルまたはローレベルに固定される場合には、その固定される論理レベルに従って電圧レベルが各々決定された一方電源電圧および他方電源電圧が供給されればよい。コラム系回路においてたとえばクロックドインバータのように出力ハイインピーダンス状態とされる場合には、スタンバイサイクル時において高抵抗状態となる電源線および接地線に接続されればよい。たとえば、図10に示す構成において、電源線11および接地線12上の電圧を受けるように構成されれば、クロックドインバータのような出力ハイインピーダンス状態となる回路においても十分サブスレッショルド電流を抑制することができる。
図23に、図22に示す電源線インピーダンス変更のための制御信号を発生する回路の構成および動作波形を示す。
図23(A)において、制御信号発生系は、内部ロウアドレスストローブ信号RASとコラムイネーブル信号(インタロック信号)/CLEを受けるEXOR回路460と、EXOR回路460の出力を反転するインバータ462と、コラムイネーブル信号/CLEを反転するインバータ464を含む。EXOR回路460は不一致検出回路として動作し、信号RASおよび/CLEの論理レベルが不一致のときにハイレベルの信号を出力する。EXOR回路460から制御信号φc4が出力される。インバータ462から制御信号φs4が出力される。コラムイネーブル信号/CLEは制御信号φs5として利用され、インバータ464から制御信号φc5が出力される。次に図23(B)に示す動作波形図を参照して図23(A)に示す回路の動作について説明する。
スタンバイサイクル時においては内部ロウアドレスストローブ信号RASがローレベル、コラムイネーブル信号/CLEはハイレベルである。EXOR回路460の出力はその制御信号φc4がハイレベルとなる。制御信号φs4は応じてローレベルとなる。制御信号φs5はコラムイネーブル信号/CLEによりハイレベルとなり、制御信号φc5はローレベルである。
アクティブサイクルが始まると、内部ロウアドレスストローブ信号RASがハイレベルに立上がる。このときまだコラムイネーブル信号/CLEはハイレベルにある。これによりEXOR回路460から出力される制御信号φc4がローレベルとなり、制御信号φs4がハイレベルとなる。制御信号φs5およびφc5がスタンバイサイクル時と同様それぞれハイレベルおよびローレベルである。
ロウ系信号セット期間が完了すると、コラムイネーブル信号/CLEがローレベルに立下がる。これによりEXOR回路460の出力する制御信号φc4がハイレベルとなり、また制御信号φs4がローレベルとなる。コラムイネーブル信号/CLEの立下がりに応答して制御信号φs5がローレベル、制御信号φc5がハイレベルとなる。
アクティブサイクルが完了すると、外部ロウアドレスストローブ信号ext/RASがハイレベルに立上がり、これに応答してコラムイネーブル信号/CLEがハイレベルに立上がる。制御信号φs5がハイレベル、制御信号φc5がローレベルとなる。コラムイネーブル信号/CLEの立上がり時においては、内部ロウアドレスストローブ信号RASはまだハイレベルにあり、EXOR回路460から出力される制御信号φc4はローレベルとなり、また制御信号φs4がハイレベルとなる。内部ロウアドレスストローブ信号RASがローレベルに立下がると、EXOR回路460からの制御信号φc4がハイレベルに立上がり、制御信号φs4がローレベルとなる。これによりロウ系信号リセット期間完了後制御信号φc4をハイレベル、制御信号φs4をローレベルと設定することができる。
図23に示す制御信号発生系の構成においては、ロウ系信号セット期間およびロウ系信号リセット期間は各ロウ系回路に対し共通な期間として設定されている。この構成は単に制御を容易にするためだけであり、ロウ系回路のそれぞれの出力信号の確定タイミングに応じて制御信号の変化タイミングが調節される構成が利用されてもよい。
以上のように、この発明の第1実施例に従えば、電源線および接地線のインピーダンスを動作期間または動作サイクルに応じて調節したため、効果的に各回路のサブスレッショルド電流を低減することができ、低しきい値電圧のMOSトランジスタを用いて回路を構成することができ、低消費電流で高速動作する半導体記憶装置を得ることができる。
上述の実施例においては、DRAMのような半導体記憶装置が説明されているが、スタンバイサイクルとアクティブサイクルを有しかつアクティブサイクルが出力信号保持期間を有するとともにこの保持期間が識別可能である限り、一般の半導体集積回路装置にも本発明の構成を適用することができる。
[実施例2]
図24は、この発明の第2の実施例である電源回路の構成を示す図である。図24(A)に電源電圧供給回路の構成を示し、図24(B)にその動作波形を示す。図24(A)において、電源電圧供給回路は、第1の電源ノード20に接続される主電源線1と、可変インピーダンス電源線500と、制御信号φcに応答して導通し、主電源線1と可変インピーダンス電源線500を接続するpチャネルMOSトランジスタQ21と、可変インピーダンス電源線500上の電圧VCLと所定の基準電圧VPとを比較する差動増幅器(OPアンプ)501と、差動増幅器501の出力に応答して導通し、導通時に主電源線1と可変インピーダンス電源線500を接続するpチャネルMOSトランジスタQ20を含む。
可変インピーダンス電源線500は先の第1の実施例において説明した第1および第2の可変インピーダンス電源線の一方である(ロウ系回路およびコラム系回路いずれでもよい)。差動増幅器501は、電源電圧Vccと接地電圧Vssを動作電源電圧として動作し、可変インピーダンス電源線500上の電圧VCLをその正入力(+)に受け、基準電圧VPを負入力(−)に受ける。電圧VCLが基準電圧VPよりも高いときには差動増幅器501はハイレベルの信号を出力する。図24(A)に示す構成においては、主電源線1と可変インピーダンス電源線500とを接続する高抵抗は設けられていない。次に動作について図24(B)に示す信号波形図を参照して説明する。
制御信号φcがハイレベルのとき、pチャネルMOSトランジスタQ21はオフ状態にある。電圧VCLが基準電圧VPよりも高い場合には、差動増幅器501の出力はハイレベルであり、MOSトランジスタQ20はオフ状態にある。オフ状態のMOSトランジスタは抵抗素子よりもさらに高い高インピーダンス状態となり、電源線500は電気的にフローティング状態となる。電気的にフローティング状態の可変インピーダンス電源線500の電位がそのリーク電流により低下し、基準電圧VPよりも低くなると、差動増幅器501の出力がローレベルとなり、MOSトランジスタQ20がオン状態となり、可変インピーダンス電源線500と主電源線1とを電気的に接続する。これにより可変インピーダンス電源線500は電源ノード20から電流を供給され、電圧VCLが上昇する。電圧VCLが基準電圧VPレベルよりも高くなると、差動増幅器501の出力がハイレベルとなり、MOSトランジスタQ20がオフ状態となり、可変インピーダンス電源線500は再び電気的にフローティング状態となる。
制御信号φcがローレベルとなると、pチャネルMOSトランジスタQ21がオン状態となり、可変インピーダンス電源線500上の電圧VCLは電源ノード20(主電源線1)に与えられた電源電圧Vccレベルとなる。この状態においては、差動増幅器501の出力はハイレベルであり、MOSトランジスタQ20はオフ状態にある。
差動増幅器501およびMOSトランジスタQ20のフィードバック回路により、制御信号φcがハイレベルにあり、電圧VCLが基準電圧VPよりも高い間、この可変インピーダンス電源線500を電気的にフローティング状態とすることができ、抵抗素子を用いる構成に比べてより低消費電力で安定に電圧VCLを発生することができる。またこのとき、差動増幅器501およびMOSトランジスタQ20のフィードバック回路の応答特性を適切に調節することにより、可変インピーダンス電源線500が高インピーダンス状態においてこの電圧VCLをほぼ基準電圧VPレベルに維持することができる。特に抵抗素子を用いる場合、製造パラメータのばらつきによる抵抗値のばらつきおよび動作温度による抵抗値変動などに起因して可変インピーダンス電源線500の高インピーダンス時における電圧VCLを所望の電圧レベルに設定することができなくなることが考えられるが、差動増幅器501を用いることにより、安定に電源線500の高インピーダンス時において電圧VCLを基準電圧VPレベルに保持することができる。
図25は、他方電源電圧(ローレベルの電圧)を発生する電源回路の構成を示す図であり、図25(A)に電源回路(接地電圧供給回路)の構成を示し、図25(B)にその動作波形を示す。
図25(A)において電源回路は他方電源ノード(接地ノード)30に接続される主接地線4と、可変インピーダンス接地線505と、制御信号φsに応答して導通し、導通時に主接地線4と可変インピーダンス接地線505を接続するnチャネルMOSトランジスタQ23と、基準電圧Vnと電圧VSLを比較する差動増幅器(OPアンプ)506と、差動増幅器506の出力に応答して主接地線4と可変インピーダンス接地線505を電気的に接続するnチャネルMOSトランジスタQ22を含む。差動増幅器506はその正入力(+)に基準電圧Vnを受け、その負入力に電圧VSLを受ける。電圧VSLが基準電圧Vnよりも低いときには差動増幅器506の出力はハイレベルとなり、電圧VSLが基準電圧Vnよりも高いときには差動増幅器506の出力はローレベルとなる。差動増幅器506は電源電圧Vccおよび接地電圧Vssを動作電源電圧として動作する。次に図25(A)に示す電源回路の動作をその動作波形図である図25(B)を参照して説明する。この電源回路はロウ系回路およびコラム系回路いずれにも用いられる。
制御信号φsがローレベルのとき、MOSトランジスタQ23はオフ状態となる。可変インピーダンス接地線505上の電圧VSLが基準電圧Vnよりも低いときには、差動増幅器506の出力がローレベルとなり、MOSトランジスタQ22がオフ状態とされる。これにより可変インピーダンス接地線505は電気的にフローティング状態とされる。MOSトランジスタQ22およびQ23のサブスレッショルド電流またはこの可変インピーダンス接地線505に接続される回路からのサブスレッショルド電流によりこの可変インピーダンス接地線505上の電圧VSLが上昇して基準電圧Vnよりも高くなると、差動増幅器506の出力がハイレベルとなり、MOSトランジスタQ22がオン状態となり、可変インピーダンス接地線505を主接地線4に接続する。これにより電圧VSLが低下する。
電圧VSLが基準電圧Vnよりも低くなると、差動増幅器506の出力がローレベルとされ、MOSトランジスタQ22はオフ状態となり、再び可変インピーダンス接地線505が電気的にフローティング状態とされる。電気的なフローティング状態は、抵抗素子による電気的接続よりもさらに高い高インピーダンス状態であり、電流がほとんど生じない。可変インピーダンス接地線505はこの接地ノード30から切り離されるため、消費電流をより小さくすることができる。
制御信号φsがローレベルのときに可変インピーダンス接地線505から接地ノード30へ電流が流れるのはMOSトランジスタQ22がオン状態のときだけである。したがって、可変インピーダンス接地線が高インピーダンス状態において消費電流を抵抗素子を用いる構成に比べてより低減することができる。差動増幅器506およびMOSトランジスタQ22の応答特性を適切に設定すれば、この高インピーダンス状態とされた可変インピーダンス接地線505上の電圧VSLをほぼ基準電圧Vnレベルに設定することができる。
制御信号φsがハイレベルに立上がると、MOSトランジスタQ23がオン状態となり、可変インピーダンス接地線505は低インピーダンス状態とされ、接地ノード30に接続され、電圧VSLは接地電圧Vssレベルとなる。差動増幅器506の出力はローレベルとなり、MOSトランジスタQ22はオフ状態となる。
図26は、電源回路の全体の構成を示す図である。図26において、主電源線1に対応して可変インピーダンス電源線500aおよび500bが設けられる。可変インピーダンス電源線500aに対しては、この可変インピーダンス電源線500a上の電圧VCLaと基準電圧VPを比較する差動増幅器501aと、差動増幅器501aの出力に応答して導通し、主電源線1と可変インピーダンス電源線500aを接続するpチャネルMOSトランジスタQ20aと、制御信号φcaに応答して導通し、主電源線1と可変インピーダンス電源線500aとを接続するpチャネルMOSトランジスタQ21aが設けられる。
可変インピーダンス電源線500bに対しては、可変インピーダンス電源線500b上の電圧VSLbと基準電圧VPを比較する差動増幅器501bと、差動増幅器501bの出力に応答して導通し、主電源線1と可変インピーダンス電源線500bとを接続するpチャネルMOSトランジスタQ20bと、制御信号φcbに応答して導通し、主電源線1と可変インピーダンス電源線500bとを接続するpチャネルMOSトランジスタQ21bが設けられる。
主接地線4に対しては、可変インピーダンス接地線505aおよび505bが設けられる。可変インピーダンス接地線505aに対しては、この可変インピーダンス接地線505a上の電圧VSLaと基準電圧Vnを比較する差動増幅器506aと、差動増幅器506aの出力に応答して導通し、主接地線4と可変インピーダンス接地線505aを接続するnチャネルMOSトランジスタQ22aと、制御信号φsaに応答して導通し、可変インピーダンス接地線505bと主接地線4とを接続するnチャネルMOSトランジスタQ23aが設けられる。
可変インピーダンス接地線505bに対しては、この可変インピーダンス接地線505b上の電圧VSLbと基準電圧Vnを比較する差動増幅器506bと、差動増幅器506bの出力に応答して導通し、主接地線4と可変インピーダンス接地線505bとを接続するnチャネルMOSトランジスタQ22bと、制御信号φsbに応答して導通し、主接地線4と可変インピーダンス接地線505bとを接続するnチャネルMOSトランジスタQ23bが設けられる。差動増幅器506aおよび506bはそれぞれその正入力に電圧VSLaおよびVSLbを受け、それぞれの負入力に基準電圧Vnを受ける。
差動増幅器501aは、その一方電源ノードに電源電圧Vccを受け、その他方電源ノードに電圧VSLaを受ける。差動増幅器501bは、その電源ノードに電源電圧Vccを受け、その他方電源ノードに電圧VSLbを受ける。差動増幅器506aは、その一方電源ノードに電圧VCLaを受け、その他方電源ノードに接地電圧Vssを受ける。差動増幅器506bは、その一方電源ノードに電圧VCLbを受け、その他方電源ノードに接地電圧Vssを受ける。
動作時においては、MOSトランジスタQ21aおよびQ23aは同じタイミングでオンおよびオフが制御される。同様にMOSトランジスタQ21bおよびQ23bは同じタイミングでオンおよびオフが制御される。差動増幅器501a、501b、506aおよび506bの出力が有効とされるのは、対応の可変インピーダンス電源線または可変インピーダンス接地線が高インピーダンス状態とされたときである。差動増幅器501aおよび501bは、対応のpチャネルMOSトランジスタQ20aおよびQ20bをオフ状態とするためには、電源電圧Vccレベルのハイレベルの信号を出力する必要がある。MOSトランジスタQ20aおよびQ20bをオン状態とする場合には、接地電圧Vssレベルの信号を必ずしも出力する必要はない。接地電圧Vssよりも高い電圧レベルであってもMOSトランジスタQ20aおよびQ20bはそのゲート電位がソース電位よりも低ければオン状態となる。このため、差動増幅器501aおよび501bの他方電源ノードには同じタイミングで高インピーダンス状態とされる可変インピーダンス接地線上の電圧が供給される。これにより差動増幅器501aおよび501bにおける電流を抑制する。
同様にして、差動増幅器506aおよび506bは対応のMOSトランジスタQ22aおよびQ22bをオフ状態とする場合には接地電圧Vssレベルのローレベルの信号を出力する必要があるが、オン状態とする場合には電源電圧Vccレベルの信号を出力する必要はない。MOSトランジスタQ22aおよびQ22bは、そのゲート電位がソース電位よりも高ければオン状態となる。そこで差動増幅器506aおよび506bの一方電源に電圧VCLaおよびVCLbを与え、これらの差動増幅器506aおよび506bにおける消費電流の抑制を図る。
なお、インバータF1およびF2が例示的に示されているが、これはロウ系回路およびコラム系回路のいずれでもあってもよい。すなわち、図26に示す電源回路は、ロウ系回路およびコラム系回路それぞれに適用することができる。また第1の実施例およびその変形例のいずれにおいても適用することができる。
以上のように、この発明の第2の実施例に従えば、高インピーダンス状態とされる電源線(接地線を含む)をフィードバック回路により電気的にフローティング状態とし、抵抗素子で接続される高抵抗状態よりもより高い高インピーダンス状態に設定したため、対応の可変インピーダンス電源線(または接地線)が高インピーダンス時に安定して電圧を発生することができるとともに消費電流の低減化を図ることができる。
[実施例3]
図27は、この発明の第3の実施例である電源回路の構成を示す図である。図27において、電源電圧供給回路は、電源ノード20に接続される主電源線1と、主電源線1に対応して設けられる可変インピーダンス電源線600および601と、他方電源ノード(接地ノード)30に接続される主接地線4と、主接地線4に対応して設けられる可変インピーダンス接地線602および603を含む。可変インピーダンス電源線600は、制御信号φccに応答して導通するpチャネルMOSトランジスタQ33を介して主電源線1に接続される。主電源線1と可変インピーダンス電源線600の間にはまた、pチャネルMOSトランジスタQ33と並列に抵抗Raaおよび制御信号/φrに応答して導通するpチャネルMOSトランジスタQ31が設けられる。抵抗RaaおよびMOSトランジスタQ31は直列に接続される。
可変インピーダンス電源線601は、抵抗Rabを介して主電源線1に接続され、また制御信号φccに応答して導通するMOSトランジスタQ33−1を介して主電源線1に接続される。抵抗RaaおよびRabは大きな抵抗値を有している。MOSトランジスタQ31は、抵抗Raaを流れる電流を通過させる電流供給能力を備える。MOSトランジスタQ31のオン抵抗は抵抗Raaに比べて十分低い値に設定される。MOSトランジスタQ33は抵抗Raaよりも十分小さなオン抵抗を有しており、また十分大きな電流供給能力を備える。また、MOSトランジスタQ33−1は、抵抗Rabの抵抗値よりも十分小さなオン抵抗を有する。
可変インピーダンス接地線602と主接地線4の間に、nチャネルMOSトランジスタQ32および抵抗Rbaが直列に接続される。MOSトランジスタQ32は制御信号φrに応答して導通する。MOSトランジスタQ32および抵抗Rbaと並列に制御信号φssに応答して導通するnチャネルMOSトランジスタQ34が設けられる。MOSトランジスタQ34は導通時、主接地線4と可変インピーダンス接地線602を接続する。可変インピーダンス接地線603は制御信号φssに応答して導通するnチャネルMOSトランジスタQ34−1を介して主接地線4に接続され、また抵抗Rbbを介して主接地線4に接続される。MOSトランジスタQ32のオン抵抗は抵抗Rbaの抵抗値に比べて十分小さな値に設定される。MOSトランジスタQ34およびQ34−1のそれぞれのオン抵抗は抵抗RbaおよびRbbのそれぞれの抵抗値よりも十分小さな値に設定される。またMOSトランジスタQ34は十分大きな電流供給能力を備え、またMOSトランジスタQ32は抵抗Rbaを流れる電流を通過させるに足る電流供給能力を備える。
この電源回路が電源電圧(ハイレベルおよびローレベル用電源電圧を含む)を供給する回路の一例としてインバータF1およびF2が代表的に示される。またビット線プリチャージ電圧VBLおよびセルプレート電圧VCPを発生する定電圧発生回路610が示される。インバータF1はその一方電源ノードが主電源線1に接続され、その他方電源ノードが可変インピーダンス接地線602に接続される。インバータF2はその一方電源ノードが可変インピーダンス電源線600に接続され、その他方電源ノードが主接地線4に接続される。入力信号INはスタンバイサイクル時にローレベルとなる。定電圧発生回路610からのビット線プリチャージ電圧VBLおよびセルプレート電圧VCPはメモリセルアレイ104へ供給される。
メモリセルアレイ104においては、1つのメモリセルMCと1対のビット線BLおよび/BLに対応するビット線プリチャージ/イコライズ回路の構成を代表的に示す。
イコライズ/プリチャージ回路は、イコライズ信号EQに応答して導通し、ビット線BLおよび/BLへビット線プリチャージ電圧VBLを伝達するnチャネルMOSトランジスタQaおよびQbと、イコライズ信号EQに応答して導通しビット線BLおよび/BLを電気的に接続するnチャネルMOSトランジスタQcを含む。セルプレート電圧VCPはメモリセルMCに含まれるメモリキャパシタMQのセルプレートCPに伝達される。通常、ビット線プリチャージ電圧VBLおよびセルプレート電圧VCPは電源電圧Vccと接地電圧Vssの中間(1/2)の電圧レベルである。この定電圧発生回路610が正確に中間電位を発生するために、抵抗Rabおよび抵抗Rbbにおいて生じる電圧降下量は互いに等しい値に設定される。可変インピーダンス電源線601および可変インピーダンス接地線603が高インピーダンス状態となったときにおいても安定に中間電圧を発生することができる。次にこの図27に示す回路の動作を図28に示す信号波形図を参照して説明する。
DRAMにおいては、パワーダウンモード(電源電圧Vccの電圧レベルを低下させる)およびCASビフォーRASリフレッシュモードなどのデータ保持モードがある。CASビフォーRASリフレッシュモードは、外部ロウアドレスストローブ信号/RASが立下がるよりも先に外部コラムアドレスストローブ信号/CASをローレベルに立下げることにより指定されるリフレッシュモードである。通常CBRリフレッシュモードと呼ばれるCASビフォーRASリフレッシュモードにおいては、このCASビフォーRAS条件が満足されたサイクルにおいて内部でリフレッシュが実行されるとともに、データ保持期間において内部で所定時間ごとにリフレッシュが実行される(セルフリフレッシュモード)。パワーダウンモードにおいては、電源電圧Vccが低下させられるとともに、またリフレッシュ周期も長くされる。
通常動作モードのスタンバイ時においては、制御信号φccがハイレベル、制御信号φssがローレベルに設定される。この状態においては、MOSトランジスタQ33,Q33−1、Q34、およびQ34−1がオフ状態とされ、電源線600および601ならびに接地線602および603が高インピーダンス状態とされる。このときには制御信号φrがハイレベル、制御信号/φrがローレベルであり、MOSトランジスタQ31およびQ32はともにオン状態である。したがって、可変インピーダンス電源線600は抵抗RaaおよびMOSトランジスタQ31を介して電源電圧Vccを供給され、その電圧VCLL1は電源電圧Vccよりも低い電圧レベルとなる。
一方、可変インピーダンス電源線601上には抵抗Rabを介して電源電圧Vccが与えられるため、電圧VCLL2は、電源電圧Vccよりも低くなる。また、可変インピーダンス接地線602は、オン状態のMOSトランジスタQ32および抵抗Rbaを介して主接地線4に接続されるため、電圧VSLL1が接地電圧Vssよりも高い電圧レベルとなる。また可変インピーダンス接地線603は抵抗Rbbを介して主接地線4に接続されるため、その電圧VSLL2も接地電圧Vssよりも高い電圧レベルに設定される。このとき(VCLL2+VSLL2)/2がVcc/2に等しければ、安定に定電圧VBLおよびVCPを発生することができる。
パワーダウンモードまたはCBRリフレッシュモードが指定された場合、後に説明するが、内部がロウアドレスストローブ信号が発生され、リフレッシュ動作が実行される。リフレッシュが実行されるCBRアクティブサイクルにおいて、制御信号φssがハイレベル、制御信号φccがローレベルに設定され、MOSトランジスタQ33、Q33−1、Q34およびQ34−1がともにオン状態とされ、可変インピーダンス電源線600および601上の電圧VCLL1およびVCLL2は電源電圧Vccレベルとなる。また可変インピーダンス接地線602および603上の電圧VSLL1およびVSLL2の電圧も接地電圧Vssレベルとなる。このCBRアクティブサイクルが完了すると、内部ロウアドレスストローブ信号RASがローレベルに立上がる。この内部ロウアドレスストローブ信号RASの立下がりに応答して制御信号φrがローレベル、制御信号/φrがハイレベルに設定され、MOSトランジスタQ31およびQ32がオフ状態とされる。制御信号φssがまたローレベル、制御信号φccがハイレベルに設定され、MOSトランジスタQ33、Q33−1、Q34およびQ34−1がともにオフ状態とされる。可変インピーダンス電源線601は抵抗Rabを介して主電源線1に接続され、電圧VCLL2は電源電圧Vccレベルよりも低下する。同様にまた、可変インピーダンス接地線603は、抵抗Rbbを介して主接地線4に接続され、その電圧VSLL2が接地電圧Vssレベルよりも上昇する。この電圧VCLL2およびVSLL2はそれぞれ抵抗RabおよびRbbを介して電源電圧Vccおよび接地電圧Vssが供給されるため、データ保持期間内においては安定にそのレベルを保持する。
一方、MOSトランジスタQ31およびQ32はオフ状態とされるため、可変インピーダンス電源線600および可変インピーダンス接地線602は電気的にフローティング状態とされ、抵抗RaaおよびRbbの抵抗値よりもさらに高い高抵抗の電気的にフローティング状態とされる。この間、電圧VCLL1およびVSLL1は電気的にフローティング状態とされるため、その電圧レベルが放電により変化する。
スタンバイサイクルおよびデータ保持状態(リフレッシュ期間を除く)においては、イコライズ信号EQはハイレベルにあり、ビット線BLおよび/BLはビット線プリチャージ電位VBLに保持される。このときにおいても、電圧VCLL2およびVSLL2は一定の電圧レベルを保持するため、安定に中間電位にこれらのビット線BLおよび/BLを保持する。同様に、セルプレート電圧VCPも一定の電圧レベルを保持する。これにより、メモリセルMCにおいて正確にデータを保持することができる。データ保持状態において、可変インピーダンス電源線600および可変インピーダンス接地線602は電気的にフローティング状態とされるため、この経路における電流消費はなく、超低消費電力化を実現することができる。
データ保持モードが完了すると、制御信号φrがハイレベル、制御信号/φrがローレベルとなり、MOSトランジスタQ31およびQ32がオン状態となる。電圧VCLL1およびVSLL1がデータ保持モード中のリークにより電圧レベルが変化しているため、データ保持モード完了後またリセットサイクルが実行される。リセットサイクルにおいては、アクティブサイクルとスタンバイサイクルが所定回数(図28においては1回のみを示す)実行される。このリセットサイクルにおいてアクティブサイクルを行なうことにより内部ロウアドレスストローブ信号RASがハイレベルに立上がり、この間制御信号φssがハイレベル、制御信号φccがローレベルとされ、可変インピーダンス電源線600および601ならびに可変インピーダンス接地線602および603が低インピーダンス状態とされ、それぞれ電圧VCLL1およびVCLL2が電源電圧Vccレベル、電圧VSLL1およびVSLL2が接地電圧Vssレベルとなる。このリセットサイクルは、データ保持モード完了後外部ロウアドレスストローブ信号ext/RASを所定回数トグルすることにより実現される。このリセットサイクルを実行することにより、電圧VCLL1およびVSLL1がそれぞれ所定の電圧レベルに復帰する。
リセットサイクルが完了すると通常(ノーマル)の動作サイクル(アクティブサイクルおよびスタンバイサイクル)が実行される。
上述の構成により、定電圧発生回路610へは抵抗RabおよびRbbを介して電源を供給することにより、定電圧発生回路610からの電圧VBLおよびVCPはそれぞれ一定の電圧レベルを保持することができ、リセットサイクルにおいてもビット線プリチャージ電圧VBLおよびセルプレート電圧VCPは中間電位を保持しており、メモリセルデータを正確にリフレッシュすることができる。
図28に示す内部RAS信号はデータ保持状態においてローレベルを維持するように示される。データ保持状態において、所定時間間隔で内部ロウアドレスストローブ信号RASがハイレベルに立上がり、リフレッシュが実行されるセルフリフレッシュが実行されてもよい。この場合には各セルフリフレッシュサイクルごとに制御信号φssおよびφccがそれぞれハイレベルおよびローレベルとされる。
図29は、図27に示す制御信号を発生するための回路構成を示す図である。図29において、制御信号発生系は外部ロウアドレスストローブ信号ext/RASをバッファ処理する入力バッファ650と、外部コラムアドレスストローブ信号ext/CASをバッファ処理する入力バッファ652と、入力バッファ650および652の出力信号に応答してパワーダウンモードまたはCBRリフレッシュモードなどのデータ保持モードが指定されたことを検出する保持モード検出回路654と、保持モード検出回路654からのデータ保持モード指示信号に応答してリフレッシュに必要な制御動作を行なうリフレッシュ制御回路656と、入力バッファ650の出力信号に応答して内部RAS信号φRASAを生成する内部RAS発生回路658と、リフレッシュ制御回路656からの内部RAS信号φRASBと内部RAS発生回路658からの内部RAS信号φRASAを受けて内部ロウアドレスストローブ信号RASを生成するゲート回路660と、ゲート回路660からの内部ロウアドレスストローブ信号RASに応答して制御信号φccおよびφssを生成する制御信号発生回路662と、保持モード検出回路654からのデータ保持モード指示信号に応答して制御信号φrおよび/φrを生成する制御信号発生回路664と、保持モード検出回路654からのデータ保持モード指示信号に応答して列選択に関連する動作を禁止するCASアクセス禁止回路666と、CASアクセス禁止回路666の出力信号に応答してインターロック信号/CLEを非活性状態に維持するインターロック信号発生回路668を含む。インターロック信号発生回路668は、データ保持モード以外の通常動作モード時においては、ゲート回路660からの内部ロウアドレスストローブ信号RASに従ってインターロック信号/CLEを生成する。
図13に示す構成に対応づけると、入力バッファ650および内部RAS発生回路658が/RASバッファ200に対応し、保持モード検出回路654およびリフレッシュ制御回路656がリフレッシュコントローラ204に対応する。入力バッファ652は/CASバッファ210に含まれる。リフレッシュ制御回路656は、タイマ、アドレスカウンタを含み、データ保持モードが指定されたとき、アドレスカウンタの出力をロウアドレスバッファまたはロウデコーダへ与え、また所定の時間幅を有する内部RAS信号φRASBを生成し、このアドレスカウンタのカウント値をロウアドレスとしてリフレッシュを実行する。リフレッシュが完了すると(CBRリフレッシュ)、リフレッシュ制御回路656は、後に説明するようにタイマを起動し、所定の間隔で内部RAS信号φRASBを生成する(セルフリフレッシュモード)。リフレッシュ制御回路656は、またデータ保持モードが指定されたときには内部RAS発生回路658を非活性状態に維持し、内部RAS信号φRASAの発生を禁止する。ゲート回路660は内部RAS信号φRASBおよびφRASAに従って内部ロウアドレスストローブ信号RASを生成する。この内部ロウアドレスストローブ信号RASに従ってロウ系回路が動作する。
制御信号発生回路662は、内部ロウアドレスストローブ信号RASの活性化時(ハイレベル)、制御信号φccをローレベル、制御信号φssをハイレベルに設定し、内部ロウアドレスストローブ信号RASの非活性化時(ローレベル)、制御信号φccをハイレベル、制御信号φssをローレベルに設定する。制御信号発生回路664は、保持モード検出回路654の出力が活性状態にありデータ保持モードを指定しているときには、リフレッシュ制御回路656からの内部RAS信号φRASBが活性状態から非活性状態となると制御信号φrをローレベル、制御信号/φrをハイレベルに設定する。
図30は、図29に示す回路の動作を示す信号波形図である。以下、図30に示す動作波形図を参照して図29に示す回路の動作について説明する。
外部ロウアドレスストローブ信号/RASの立上がり時において外部コラムアドレスストローブ信号ext/CASがローレベルのときにデータ保持モードが指定される。このデータ保持モード指定に応答して、リフレッシュ制御回路656から内部RAS信号φRASBが発生され、応じて内部ロウアドレスストローブ信号RASがハイレベルに立上がる。この間CBRリフレッシュが実行される。CBRリフレッシュ期間においては信号φccがローレベル、制御信号φssがハイレベルに設定される。CBRリフレッシュサイクルが完了すると、制御信号発生回路664は、制御信号φrをローレベル、制御信号/φrをハイレベルに設定する。
CBRリフレッシュ期間が終了すると、セルフリフレッシュ期間が始まる。このセルフリフレッシュ期間においては、外部ロウアドレスストローブ信号ext/RASおよび外部コラムアドレスストローブ信号ext/CASがともにローレベルの状態に設定される。外部ロウアドレスストローブ信号ext/RASおよびコラムアドレスストローブ信号ext/CASの一方のみがローレベルに設定される構成が利用されてもよい。この間所定時間間隔でリフレッシュ制御回路656は内部RAS信号φRASBを発生し、応じて内部ロウアドレスストローブ信号RASが発生される。制御信号発生回路662は、この内部ロウアドレスストローブ信号RASの活性化(ハイレベル)に応答して制御信号φccをローレベル、制御信号φssをハイレベルに設定する。
制御信号発生回路664は、このリフレッシュ制御回路656からの内部RAS信号φRASBに応答して制御信号φrをハイレベル、制御信号/φrをローレベルに設定する。これにより所定時間間隔でリフレッシュが実行される。この間インターロック信号発生回路668は、CASアクセス禁止回路666の出力信号によりそのインターロック信号/CLEをハイレベルの状態に設定し、コラム系回路の動作を禁止する。
外部ロウアドレスストローブ信号ext/RASおよび外部コラムアドレスストローブ信号ext/CASがともにハイレベルに立上がると、データ保持モードが完了する。このデータ保持モードの完了に応答して、制御信号発生回路664は、制御信号φrをハイレベル、制御信号/φrをロウアドレスに設定する。データ保持モードが完了するとリセットサイクルが実行される。このリセットサイクルにおいては、外部ロウアドレスストローブ信号ext/RASが所定回数ローレベルに設定される。この外部ロウアドレスストローブ信号ext/RASの活性化(ローレベル)に応答して内部RAS発生回路658が内部RAS信号φRASAを発生し、応じて内部ロウアドレスストローブ信号RASが活性状態とされる。この内部ロウアドレスストローブ信号RASの活性化に応答して制御信号φccがローレベル、制御信号φssがハイレベルに設定され、電源線および接地線の電位が回復する。リセットサイクルが完了するとノーマルモードが行なわれ、内部ロウアドレスストローブ信号ext/RASおよびコラムアドレスストローブ信号ext/CASに従ってアクセス動作が実行される。
上述の説明においては、制御信号φccおよびφssは内部ロウアドレスストローブ信号RASの活性/非活性に応答して可変インピーダンス電源線600および可変インピーダンス接地線602を低インピーダンス状態/高インピーダンス状態に設定している。したがって、制御信号φrおよび/φrは、データ保持モード時にはそれぞれローレベルおよびハイレベルに固定的に設定されてもよい。
またこの構成は第1の実施例に対しても適用できる。すなわち、ゲート回路660からの内部ロウアドレスストローブ信号RASを図14に示される内部ロウアドレスストローブ信号RASとして利用すれば動作サイクルおよび動作期間に応じて可変インピーダンス電源線および可変インピーダンス接地線のインピーダンスが変更される構成が実現される。すなわち、制御信号発生回路662を図14に示すインピーダンス制御信号発生回路308に置換えれば、アクティブDC電流を大幅に低減するとともにスタンバイ電流をもより小さくすることのできる構成が実現される。この場合制御信号φrおよび/φrの発生態様はロウ系回路およびコラム系回路いずれに対してもこの第3の実施例において示したものと同じ発生態様が利用される。すなわちロウ系回路用の電源回路およびコラム系回路の電源回路いずれにおいても抵抗素子と直列にMOSトランジスタが設けられて、このMOSトランジスタがデータ保持モード時にオフ状態とされる。信号φr,/φrの発生方法としては、データ保持モード指示信号の活性化時にバッファとして動作して信号RASを通過させ、データ保持モード指示信号の非活性化時にハイレベルの信号を出力するゲート回路およびこのゲート回路の出力を反転するインバータを利用できる。
以上のように、この発明の第3の実施例に従えば、データ保持モード時において高インピーダンス状態とされる可変インピーダンス電源線および可変インピーダンス接地線をともに電気的にフローティング状態とするように構成したため、データ保持モード時における消費電流を大幅に低減することができる。
[実施例4]
図31は、DRAM全体のチップレイアウトを示す図である。図31においてDRAMは4つのメモリブロックBCK♯1〜BCK♯4を含む。メモリブロックBCK♯1〜BCK♯4の各々は32個のサブアレイSBAR♯1〜SBAR♯32に分割される。メモリブロックBCK♯1〜BCK♯4各々において、サブアレイSBARの両側に配置されるようにセンスアンプ帯SA♯1〜SA♯33が配設される。センスアンプはいわゆる「交互配置型シェアードセンスアンプ配置」に配置される。
メモリブロックBCK♯1〜BCK♯4それぞれに対してロウ系ローカル回路LCKA♯1〜LCKA♯4が設けられ、またコラム系ローカル回路LCKB♯1〜LCKB♯4が設けられる。また、メモリブロックBCK♯1〜BCK♯4それぞれに対してコラムデコーダCD♯1〜CD♯4およびロウデコーダRD♯1〜RD♯4が設けられる。チップ両側にマスタ回路MCK♯1およびMCK♯3が設けられ、チップ中央部にマスタ回路MCK♯2が設けられる。マスタ回路MCK♯2はローカル回路LCKA♯1〜LCKA♯4およびLCKB♯1〜LCKB♯4の動作を制御する各種制御信号を発生する。マスタ回路MCK♯1およびMCK♯3は、定電圧発生回路および制御信号入力バッファなどを含む。ロウ系ローカル回路の間の領域にデータおよびアドレス信号および外部制御信号を入出力するためのパッドPDが配置される。いわゆる「リードオンチップ(LOC)配置」を備える。
サブアレイSBAR♯1〜SBAR♯32の各々はワード線シャント領域WLSH♯1〜WLSH♯16により16個のサブブロックに分割される。ワード線シャント領域WLSH♯1〜WLSH♯16において、ワード線は低抵抗の導電線と電気的に接続される。この低抵抗の導電線上にロウデコーダRD(RD♯1〜RD♯4)からのワード線駆動信号が伝達される。これによりワード線駆動信号を高速で伝達する。
通常、センスアンプ帯SA♯1〜SA♯33と平行にサブアレイSBAR♯1〜SBAR♯32において選択されたメモリセルデータを伝達するためのローカルIO線が配設される。これらのローカルIO線はグローバルIO線に接続されてデータの入出力が行なわれる。ローカルIO線とグローバルIO線の接続は「ブロック選択(サブアレイ選択)」信号に従って行なわれる。すなわち、この図31に示すDRAMはブロック分割動作をする。たとえば、メモリブロックBCK♯1〜BCK♯4それぞれにおいて1つのサブアレイSBARが選択状態とされ、行選択および列選択動作が実行される。残りの非選択サブアレイはスタンバイ状態を維持する。このブロック分割構成は、すべてのメモリブロックBCK♯1〜BCK♯4それぞれにおいてサブアレイが選択されるのではなくてもよく、また、1つのメモリブロックBCKにおいて複数のサブアレイが活性状態とされる構成が利用されてもよい。
このようなブロック分割を行なうためにメモリブロックBCK♯1〜BCK♯4それぞれに対応してロウデコーダRD♯1〜RD♯4およびコラムデコーダCD♯1〜CD♯4が設けられるとともにローカル回路LCKA♯1〜LCKA♯4およびLCKB♯1〜LCKB♯4が設けられる。コラムデコーダCD♯1〜CD♯4はそれぞれ対応のメモリブロックBCK♯1〜BCK♯4においてサブアレイSBAR♯1〜SBAR♯32の同じ列線(ビット線対)を同時に選択する。ロウデコーダRD♯1〜RD♯4は、サブアレイSBAR♯1〜SBAR♯32においてブロック選択信号が指定するメモリブロックにおいて1本のワード線を選択状態とする。この場合非選択サブアレイにおいてビット線対が対応のローカルIO線に接続されるが、非選択サブアレイに対応して設けられたローカルIO線は中間電位(プリチャージ電位)を維持しており、非選択サブアレイのビット線の中間電位と同じであり、非選択サブアレイにおけるメモリセルデータの破壊が生じない。選択サブアレイのローカルIO線のみがグローバルIO線に接続される。
図32は、この発明の第4の実施例である電源回路の構成を示す図である。図32において電源回路は、図31に示すDRAMのブロック分割駆動される単位としてのブロック(メモリブロックまたはサブアレイ)各々に対応して設けられる。図32には、単位ブロックがn個設けられており、電源回路700−1〜700−nが設けられる構成が一例として示される。電源回路700−1〜700−n各々へは、電源ノード20へ与えられた電源電圧Vccが主電源線1を介して伝達されまた接地ノード30へ与えられた接地電圧Vssが主接地線4を介して与えられる。
電源回路700−1〜700−nの可変インピーダンス電源線および可変インピーダンス接地線のインピーダンスを制御するためにブロック選択回路信号発生回路710およびインピーダンス変更制御信号発生回路720が設けられる。ブロック選択信号発生回路710はブロックアドレス(通常Xアドレスに含まれる)をデコードし、選択されたメモリセルを含むブロックを指定するブロック選択信号φB1〜φBnを発生し、電源回路700−1〜700−nへそれぞれブロック選択信号φB1〜φBnを与える。インピーダンス変更制御信号発生回路720は、信号RASおよび/CLEならびにブロック選択信号発生回路710からのブロック選択信号に従って電源回路700−1〜700−nに対しインピーダンス変更制御信号φss1,φcc1〜φccn,φssnを与える。インピーダンス変更制御信号発生回路720は、ブロック選択信号発生回路710からのブロック選択信号が指定するブロックに対応して設けられた電源回路に対してのみインピーダンス変更制御信号φssiおよびφcciを信号RASおよび/CLEに従って変更する。非選択ブロックに対応して設けられた電源回路に対しては、インピーダンス変更制御信号発生回路720は、そのインピーダンス変更制御信号φssi,φcciをスタンバイ状態に維持する。このインピーダンス変更制御信号発生回路720は電源回路700−1〜700−nに共通に設けられるのではなく、電源回路700−1〜700−nそれぞれに対応して設けられる構成が利用されてもよい。このインピーダンス変更制御信号発生回路720がブロック選択信号発生回路710からのブロック選択信号に従ってインピーダンス変更制御信号を発生する構成は、ブロック選択信号が活性状態のときに信号RASおよび/CLEをバッファ処理して出力し、ブロック選択信号が非選択状態を示すときには信号RASおよび/CLEをスタンバイ状態に維持する論理ゲートが利用されればよい。このような論理ゲートとしては、AND回路およびNAND回路を用いることにより容易に実現することができる。
図33は、図32に示す電源回路700−1〜700−nの構成の一例を示す図である。図33には1つの電源回路の構成のみを示す。図33において、電源回路700−i(i=1〜n)は、可変インピーダンス電源線731および732と、可変インピーダンス接地線733および734と、制御信号φcciaに応答して導通し、主電源線1と可変インピーダンス電源線731とを接続するpチャネルMOSトランジスタQ40と、制御信号φccibに応答して導通し、主電源線1と可変インピーダンス電源線732とを接続するpチャネルMOSトランジスタQ41と、主電源線1と可変インピーダンス電源線731の間に直列に接続される抵抗R40およびpチャネルMOSトランジスタQ42と、主電源線1と可変インピーダンス電源線732の間に直列に接続される抵抗R41およびpチャネルMOSトランジスタQ43を含む。pチャネルMOSトランジスタQ42およびQ43のゲートへは、対応のブロックが選択状態のときにローレベルとなるブロック選択信号/φBiが与えられる。
電源回路700−iはさらに、制御信号φssiaに応答して導通し、主接地線4と可変インピーダンス接地線733とを接続するnチャネルMOSトランジスタQ45と、制御信号φssibに応答して導通し、主接地線4と可変インピーダンス接地線734とを接続するnチャネルMOSトランジスタQ46と、主接地線4と可変インピーダンス接地線733の間に直列に接続される抵抗R42およびnチャネルMOSトランジスタQ47と、主接地線4と可変インピーダンス接地線734の間に直列に接続される抵抗R43およびnチャネルMOSトランジスタQ48を含む。nチャネルMOSトランジスタQ47およびQ48のゲートへは、対応のブロックが選択されたときにハイレベルとなるブロック選択信号φBiが与えられる。
サブ回路750は、ブロック分割駆動される回路であり、ブロック選択信号φBiが選択状態を示すハイレベルのときに活性化され、必要な動作を実行する。このサブ回路750はロウ系回路およびコラム系回路いずれであってもよく、図31に示すローカル回路に含まれる。
制御信号φccia、φccib、φssia、およびφssibはそれぞれ実施例1ないし3のいずれの態様で発生されてもよい。MOSトランジスタQ40およびQ45が同じタイミングでオンおよびオフ状態とされ、MOSトランジスタQ41およびQ46が同じタイミングでオンおよびオフ状態とされる。次に動作について簡単に説明する。
スタンバイサイクルにおいては、可変インピーダンス電源線731および732の一方が低インピーダンス状態とされ、他方の可変インピーダンス電源線が高インピーダンス状態とされる。スタンバイ状態においては、ブロック選択信号/φBiは非選択状態を示すハイレベルであり、MOSトランジスタQ42およびQ43はオフ状態にある。したがって、高インピーダンス状態とされた可変インピーダンス電源線は電気的にフローティング状態とされる。これにより高インピーダンス状態とされた電源線における消費電流が低減される。
また可変インピーダンス接地線733および734は一方が低インピーダンス状態、他方が高インピーダンス状態とされる。スタンバイ時においては、ブロック選択信号φBiは非選択状態のローレベルであり、MOSトランジスタQ47およびQ48はオフ状態となる。したがって、高インピーダンス状態とされた可変インピーダンス接地線は電気的にフローティング状態とされ、接地ノード30から切り離されるため、この高インピーダンス状態の可変インピーダンス接地線におけるサブスレッショルド電流が抑制される。
アクティブサイクルにおいて、対応のブロックが指定されたとき、ブロック選択信号/φBiはローレベル、ブロック選択信号φBiがハイレベルとされ、MOSトランジスタQ42、Q43、Q47およびQ48がオン状態とされる。これにより可変インピーダンス電源線731および732は抵抗R40およびR41を介して主電源線1に接続され、可変インピーダンス接地線733および734は抵抗R42およびR43を介して主接地線4に接続される。アクティブサイクル期間においては、実施例1ないし3のいずれかにおいて説明したのと同じ態様で制御信号φccia、φccib、φssiaおよびφssibが変化し、サブスレッショルド電流の抑制が実現される。アクティブサイクルにおいて非選択ブロックに対応して設けられた電源回路においては、ブロック選択信号/φBiがハイレベル、ブロック選択信号φBiがローレベルであり、MOSトランジスタQ42、Q43、Q47およびQ48はオフ状態にある。また制御信号φccia、φccib、φssia、およびφssibはすべてスタンバイサイクル時と同じ状態を保持する。このように、非選択メモリブロックにおいては、高インピーダンス状態の可変インピーダンス電源線および可変インピーダンス接地線を電気的にフローティング状態に保持することにより、抵抗を流れる電流を抑制することができ、サブスレッショルド電流をさらに低減することができる。
なお、MOSトランジスタQ40〜Q48および抵抗R40〜R43のそれぞれの物理的パラメータは実施例1ないし実施例3において説明したものと同じである。
またこの構成においては、あるブロックが長期にわたって非選択状態に維持され、高インピーダンス状態の可変インピーダンス電源線および可変インピーダンス接地線の電位がリーク電流により変化することが考えられる。しかしながらDRAMにおいては、周期的にリフレッシュが行なわれており、このときブロック選択信号φBiおよび/φBiが選択状態となるため、これらの高インピーダンス状態とされた可変インピーダンス電源線および可変インピーダンス接地線の電位は所定の電位レベルに復帰する。
またアクティブサイクルにおいて非選択ブロックに対してのみ高インピーダンス状態の可変インピーダンス電源線および可変インピーダンス接地線を電気的にフローティング状態とする構成が利用されてもよい。このアクティブサイクルの開始および終了は内部ロウアドレスストローブ信号RASにより検出することができるため、内部ロウアドレスストローブ信号RASがハイレベルのときに信号/φBiおよびφBiをそれぞれバッファ処理して通過させ、信号RASがローレベルのときには信号/φBiおよびφBiをともにそれぞれローレベルおよびハイレベルとする構成が利用されてもよい。この場合にはスタンバイサイクル時においては高インピーダンス状態とされる可変インピーダンス電源線および可変インピーダンス接地線は抵抗を介して電源ノード20および接地ノード30にそれぞれ接続される。
以上のように、この第4の実施例に従えば、ブロック分割駆動されるDRAMにおいて、各単位ブロックごとに電源回路を設け、非選択ブロックに対応して設けられた電源回路の高インピーダンス状態とされる可変インピーダンス電源線および可変インピーダンス接地線を電気的にフローティング状態とするように構成したため、アクティブサイクル時に流れるアクティブDC電流を大幅に低減することができる。
[実施例5]
図34は、この発明の第5の実施例による半導体装置の要部の構成を示す図である。図34において、電源電圧供給回路として、この半導体装置は電源ノード20からの電圧Vccを伝達する主電源線1と、この主電源線1に対応して設けられる可変インピーダンス電源線760と、動作サイクル規定信号/φに応答して主電源線1と可変インピーダンス電源線760とを電気的に接続するスイッチング用pチャネルMOSトランジスタQ50aを含む。動作サイクル規定信号/φは、この半導体装置のスタンバイサイクルとアクティブサイクルとを規定する信号であり、たとえば図1に示すロウアドレスストローブ信号/RASに従って発生される。この動作サイクル規定信号/φは、スタンバイサイクル時にハイレベルとなり、アクティブサイクル時においてローレベルとなる。
この電源電圧供給回路は、さらに、可変インピーダンス電源線760上の電圧VCLと基準電圧Vref1とを差動的に増幅する差動増幅器761aと、差動増幅器761aの出力信号に応答して、主電源線1から可変インピーダンス電源線760へ電流を供給するドライブ用pチャネルMOSトランジスタQ51aを含む。差動増幅器761aは、その正入力(+)に可変インピーダンス電源線760上の電圧VCLを受け、その負入力(−)に基準電圧Vref1を受ける。可変インピーダンス電源線760上の電圧VCLが基準電圧Vref1よりも高い場合には、この差動増幅器761aの出力信号はハイレベルとなり、トランジスタQ51aはオフ状態とされる。一方、可変インピーダンス電源線760上の電圧VCLが基準電圧Vref1よりも低い場合には、この差動増幅器761aの出力信号はその電圧レベルが低下し、トランジスタQ51aのコンダクタンスが大きくされ、主電源線1から可変インピーダンス電源線760へ電流が供給される。すなわち、この差動増幅器761aおよびトランジスタQ51aは、可変インピーダンス電源線760上の電圧VCLを基準電圧Vref1の電圧レベルに保持する機能を備える。
この半導体装置は、また接地電圧供給回路として、接地ノード30からの電圧Vssを伝達する主接地線4と、この主接地線4に対応して設けられる可変インピーダンス接地線762と、動作サイクル規定信号φに応答して主接地線4と可変インピーダンス接地線762とを電気的に接続するスイッチング用nチャネルMOSトランジスタQ50bと、可変インピーダンス接地線762上の電圧VSLと基準電圧Vref2とを差動的に増幅する差動増幅器761bと、差動増幅器761bの出力信号に応答してこの可変インピーダンス接地線762から主接地線4へ電流を放電するドライブ用nチャネルMOSトランジスタQ51bを含む。動作サイクル規定信号φは、動作サイクル規定信号/φと相補な信号であり、スタンバイサイクル時にローレベル、アクティブサイクル時にハイレベルとなる。差動増幅器761bは、その正入力(+)に可変インピーダンス接地線762上の電圧VSLを受け、その負入力(−)に基準電圧Vref2を受ける。すなわち、可変インピーダンス接地線762上の電圧VSLが基準電圧Vref2よりも高いときには、この差動増幅器761bの出力信号がハイレベルへ移行し、トランジスタQ51bのコンダクタンスが大きくされ、可変インピーダンス接地線762から主接地線4へ電流が放電される。一方、可変インピーダンス接地線762上の電圧VSLが基準電圧Vref2よりも低い場合には、差動増幅器761bの出力信号がローレベルとなり、トランジスタQ51bはオフ状態とされる。すなわち、この差動増幅器761bおよびトランジスタQ51bは、可変インピーダンス接地線762上の電圧VSLを基準電圧Vref2の電圧レベルに保持する機能を備える。
半導体装置はさらに、内部回路として論理回路を含む。図34においては、この論理回路の一例として、3本の縦続接続されたインバータ回路IV50、IV51、およびIV52を代表的に示す。インバータ回路IV50は、入力信号INを受けるゲートと、可変インピーダンス電源線760に接続される一方導通ノード(ソース)と、内部出力ノードa0に接続される他方導通ノード(ドレイン)と、主電源線1に接続される基板領域(ボディ領域)を有するpチャネルMOSトランジスタPQ50と、入力信号INを受けるゲートと、主接地線4に接続される一方導通ノード(ソース)と、出力ノードa0に接続される他方導通ノード(ドレイン)と、主接地線4に接続される基板領域(ボディ領域)を有するnチャネルMOSトランジスタNQ50を含む。
インバータ回路IV51は、インバータIV50の出力ノードa0に接続されるゲートと、主電源線1に接続される一方導通ノード(ソース)と、出力ノードa1に接続される他方導通ノードと、主電源線1に接続される基板領域(ボディ領域)とを有するpチャネルMOSトランジスタPQ51と、インバータIV50の出力ノードa0に接続されるゲートと、可変インピーダンス接地線762に接続される一方導通ノードと、出力ノードa1に接続される他方導通ノードと、主接地線4に接続される基板領域(ボディ領域)とを有するnチャネルMOSトランジスタNQ51を含む。インバータ回路IV52は、インバータ回路IV51の出力ノードa1に接続されるゲートと、可変インピーダンス電源線760に接続される一方導通ノードと、出力ノードa2に接続される他方導通ノードと、主電源線1に接続される基板領域(ボディ領域)と、インバータ回路IV51の出力ノードa1に接続されるゲートと、主接地線4に接続される一方導通ノードと、出力ノードa2に接続される他方導通ノードと、主接地線4に接続される基板領域(ボディ領域)を有するnチャネルMOSトランジスタNQ52を含む。
すなわち、インバータ回路IV50〜IV52において、pチャネルMOSトランジスタPQ50〜PQ52のそれぞれの基板領域(ボディ領域)は主電源線1に接続され、nチャネルMOSトランジスタNQ50〜NQ52のそれぞれの基板領域(ボディ領域)は主接地線4に接続される。MOSトランジスタのスタンバイサイクル時におけるソース電位(一方導通ノードの電位)と基板領域(ボディ領域)の電位とを異ならせることにより、MOSトランジスタの基板バイアス効果によりそのしきい値電圧の絶対値を増加させ、スタンバイサイクル時におけるリーク電流の低減を図る。次に、この図34に示す半導体装置の動作をその動作波形図である図35を参照して説明する。
スタンバイサイクルにおいては、信号φはローレベル、信号/φがハイレベルになり、トランジスタQ50aおよびQ50bはともにオフ状態になる。この状態においては、可変インピーダンス電源線760は、差動増幅器761aおよびトランジスタQ51aにより、基準電圧Vref1の電圧レベルに保持される。この基準電圧Vref1は、主電源線1上の電圧Vccよりも少し低い電圧レベルである。一方、可変インピーダンス接地線762は差動増幅器761bおよびQ51bにより、基準電圧Vref2の電圧レベルに維持される。この基準電圧Vref2は、主接地線4上の電圧Vssよりも少し高い電圧レベルである。
スタンバイサイクルにおいて、入力信号INはハイレベルにある。この状態においては、MOSトランジスタNQ50により、出力ノードa0は主接地線4上の電圧Vssレベルにまで放電される。一方、トランジスタPQ50は、ハイレベルの入力信号INによりオフ状態とされる。トランジスタPQ50は、その一方導通ノードが可変インピーダンス電源線760上の電圧VCLすなわち基準電圧Vref1の電圧レベルになり、一方、その基板領域(ボディ領域)が主電源線1上の電圧Vccレベルである。すなわち、このpチャネルMOSトランジスタPQ50は、そのソース電位VCLが基板領域(ボディ領域)の電圧Vccよりも低くなり、基板バイアス効果によりこのトランジスタPQ50のしきい値電圧がより負となり(しきい値電圧の絶対値が大きくなり)、トランジスタPQ50はより強いオフ状態となり、サブスレッショルド電流をより低減する。
インバータ回路IV51においては、内部出力ノードa0のラインが主接地線4上の電圧Vssレベルであるため、トランジスタPQ51がオン状態、トランジスタNQ51がオフ状態とされる。したがって、出力ノードa1がトランジスタPQ51により主電源線1上のVccレベルにまで充電される。トランジスタNQ51のソース電位は可変インピーダンス接地線762上の電圧VSLであり、その基板領域(ボディ領域)の電位は主接地線4上の電位Vssレベルである。電圧VSLは、基準電圧Vref2に等しく、主接地線4上の電位Vssよりも高い電圧レベルにある。したがってこの場合においても、基板バイアス効果により、このトランジスタNQ51のソース電位が実効的に上昇し、そのゲート−ソース間が逆バイアス状態とされ、トランジスタNQ51がより強いオフ状態とされる。またはこれはトランジスタNQ51のしきい値電圧が高くなるのと等価である。これにより、トランジスタNQ51のサブスレッショルド電流は十分に抑制される。
インバータ回路IV52においては、インバータ回路IV50と同様、トランジスタNQ52がオン状態、トランジスタPQ52がオフ状態とされる。この場合においても、トランジスタPQ52のソース電位と基板領域(ボディ領域)の電位は異なり、基板バイアス効果により、このトランジスタPQ52のソース電位が実効的に低下し(またはそのしきい値電圧の絶対値が高くなり)、トランジスタPQ52におけるサブスレッショルド電流が抑制される。
pチャネルMOSトランジスタPQ50〜PQ52の基板領域(ボディ領域)を主電源線1に接続し、可変インピーダンス電源線760上の電圧VCLをスタンバイサイクル時にこの電圧Vccよりも低い基準電圧Vref1の電圧レベルに設定することにより、この基準電圧Vref1によるゲート−ソース間逆バイアス電圧による、より強いオフ状態の実現によるサブスレッショルド電流の抑制に加えて、さらに基板バイアス効果によりMOSトランジスタのしきい値電圧の絶対値を高くする(実効的にpチャネルMOSトランジスタPQ50〜PQ52のソース電位を低下させる)ことにより、よりサブスレッショルド電流を低減することができる。同様、nチャネルMOSトランジスタNQ50〜NQ52の基板領域(ボディ領域)を主接地線4に接続することにより、この可変インピーダンス接地線762上の電圧VSLをスタンバイサイクル時において基準電圧Vref2の電圧レベルに維持することによりスタンバイサイクル時オフ状態とされるMOSトランジスタのゲート−ソース間電圧の逆バイアス状態を、さらにその基板バイアス効果により、より強くすることができ、よりサブスレッショルド電流を低減することができる。
アクティブサイクルにおいては、信号φがハイレベル、信号/φがローレベルとなり、トランジスタQ50aおよびQ50bがオン状態とされ、可変インピーダンス電源線760上の電圧VCLが主電源線1上の電圧Vccレベルに等しくなり、また可変インピーダンス接地線762上の電圧VSLは主接地線4上の電圧Vssレベルに等しくなる。この状態においては、MOSトランジスタPQ50〜PQ52およびNQ50〜NQ52のソース−基板領域(ボディ領域)の電位が等しくされ、基板バイアス効果がなくなり、そのしきい値電圧が低くなり、高速でインバータ回路IV50〜IV52が動作する。
インバータ回路IV50〜IV52の構成要素であるMOSトランジスタPQ50〜PQ52およびNQ50〜NQ52は、バルク領域(半導体基板またはウェル領域)に形成されてもよいが、よりサブスレッショルド電流を低減しかつ高速動作を実現するために、これらのMOSトランジスタはSOI(半導体オン絶縁体)構造で実現される。
図36はインバータ回路IV50−IV52の概略断面構造を示す図である。インバータ回路IV50−IV52は、同じ断面構造を有するため、図36においては、1つのインバータ回路の断面構造のみを示す。
図36において、SOI構造は、たとえばシリコン基板である半導体基板765と、この半導体基板765上に形成されるたとえば二酸化シリコン膜(SiO2 膜)である絶縁層766と、この絶縁層766上に形成される半導体層764を含む。この半導体層764にトランジスタ素子764が形成される。SOI構造は、その製造方法は周知であり、半導体基板765(単結晶半導体基板)の所定の領域を種結晶領域としてこの絶縁層766上に半導体層を形成する。この半導体層764上にイオン注入法により、pチャネル不純物領域およびpチャネル不純物領域を形成し、また素子分離のための絶縁膜をたとえば熱酸化法を用いて形成する。この方法に代えて、絶縁層766上に半導体層764を気相エピタキシャル成長させる方法が用いられてもよい。
pチャネルMOSトランジスタPQは、絶縁層766上の所定領域に形成される低濃度n型不純物領域769pと、このn型不純物領域769pの両側に形成される高濃度p型不純物領域767pおよび768pと、n型不純物領域769p上にゲート絶縁膜(図示せず)を介して形成されるゲート電極780pを含む。不純物領域767pはソースとして動作し、電源線(主電源線または可変インピーダンス電源線)783に接続される。n型不純物領域769pは、このトランジスタPQの導通時その表面にチャネル領域が形成されるボディ領域(基板領域)を構成し、主電源線1に接続される。不純物領域768pは出力ノードaに接続される。
nチャネルMOSトランジスタNQは、高濃度n型不純物領域767nおよび768nと、これらの不純物領域767nおよび768nの間に形成される低濃度p型不純物領域769nと、この不純物領域769n上にゲート絶縁膜(図示せず)を介して形成されるゲート電極780nを含む。不純物領域767nは、ソース領域として機能し、接地線(主接地線または可変インピーダンス接地線)782に接続される。不純物領域769nは、このトランジスタNQの導通時その表面にチャネルが形成されるボディ領域(基板領域)を構成し、主接地線4に接続される。不純物領域768nは出力ノードaに接続される。ゲート電極780pおよび780nは入力ノードc(または前段のインバータ回路の出力ノード)に接続される。
各トランジスタ素子は絶縁膜781a、781b、および781cにより互いに分離される。
SOI構造においては、半導体層764は、絶縁層766により半導体基板765と分離されるため、トランジスタNQおよびPQの不純物領域から半導体基板765へのリーク電流は生じず、消費電流が低減される。また、ボディ領域となる不純物領域769nおよび796pは半導体層765と絶縁層766により分離されており、このボディ領域と半導体基板との間に接合容量は存在しない。したがって、トランジスタPQおよびNQは、それぞれドレイン領域およびソース領域における接合容量が存在するだけであり、通常のバルク構造で形成されるトランジスタ素子において存在するウェル領域と基板領域との間の大きな接合容量は存在せず(これについては後に説明する)、トランジスタ素子の有する寄生容量は小さくなる。したがって、図34に示す可変インピーダンス電源線760の寄生容量が小さくなり、これを充電するための消費電流が低減される。また、可変インピーダンス電源線760および762の寄生容量が小さいため、スタンバイサイクル時においてこの可変インピーダンス電源線760および可変インピーダンス接地線762の電圧変動に応答して高速で動作してこれらの可変インピーダンス電源線760および可変インピーダンス接地線762を所定の電圧Vref1およびVref2のレベルに維持することができる。
また、スタンバイサイクルからアクティブサイクル移行時において、トランジスタQ50aおよびQ50bがオン状態とされたとき、可変インピーダンス電源線760および可変インピーダンス接地線762の寄生容量が小さいため、高速でこの可変インピーダンス電源線760および可変インピーダンス接地線762を充放電することができ、高速で可変インピーダンス電源線760および可変インピーダンス接地線762の電圧VCLおよびVSLをそれぞれ主電源線1上の電圧Vccおよび主接地線4上の電圧Vssレベルに回復させることができる。すなわち、図35に示す回復時間Δtを短くすることができ、応じて論理回路の動作開始タイミングを早くすることができ、高速動作する半導体装置を実現することができる。また、各インバータ回路の出力ノードに付随する寄生容量が小さくなるため(トランジスタ素子のSOI構造のため)、高速で出力ノードを駆動することができ、アクティブサイクル時において高速動作する論理回路を実現することができる。
なお、図34に示す構成において、トランジスタQ50aおよびQ50b、Q51aおよびQ51b、ならびに差動増幅器761aおよび761bは、SOI構造とされてもよい。
[変更例]
図37は、この発明の第5の実施例の変更例の構成を示す図である。図37に示す半導体装置においては、論理回路を構成するインバータ回路IV50〜IV52の構成要素であるpチャネルMOSトランジスタPQ50〜PQ52の一方導通ノード(ソース)が可変インピーダンス電源線760に接続され、またnチャネルMOSトランジスタNQ50〜NQ52の一方導通ノード(ソース)が可変インピーダンス接地線762に接続される。他の構成は、図34に示す構成と同じであり、対応する部分には同一の参照番号を付し、その詳細説明は省略する。
この図37に示す構成の場合、スタンバイサイクル時においてpチャネルMOSトランジスタPQ50〜PQ52のソースは主電源線1から分離され、同様、nチャネルMOSトランジスタNQ50〜NQ52は、そのソース(一方導通ノード)が主接地線4から分離される。
スタンバイサイクル時において入力信号INがハイレベルのとき、トランジスタNQ50がオン状態、トランジスタPQ50がオフ状態とされる。この状態において、トランジスタPQ50は、そのソースと基板領域(ボディ領域)の電位が異なっており、基板バイアス効果によりそのしきい値電圧の絶対値が大きくなり、サブスレッショルド電流が抑制される。一方、このインバータIV50の出力信号の電圧レベルは可変インピーダンス接地線762上の電圧VSLレベルである。この場合、トランジスタPQ51はオン状態とされ、可変インピーダンス電源線760上の電圧VCLをその出力ノードa1に伝達する。一方、トランジスタNQ51は、そのゲートとソースがほぼ同じ電圧レベルとなる。しかしながら、その基板領域(ボディ領域)へは主接地線4上の電圧Vssレベルの電圧が印加されており、基板バイアス効果によりそのしきい値電圧は高くなり、十分にサブスレッショルド電流を抑制することができる。同様、次段のインバータ回路IV52においても、トランジスタPQ52がそのゲートとソースの電位が同一電圧レベルとなるが、その基板領域(ボディ領域)の電圧が主電源線1上の電圧Vccレベルであり、基板バイアス効果により、そのしきい値電圧の絶対値が高くなり、サブスレッショルド電流は抑制される。
スタンバイサイクル時において入力信号INがローレベルの場合には逆の状態が生じる。したがってスタンバイサイクル時において入力信号INがハイレベルおよびローレベルのいずれの場合であっても、効果的にサブスレッショルド電流を抑制することができる。したがってスタンバイサイクル時の入力信号INの論理レベルを予測できない構成の半導体装置においても、効果的にサブスレッショルド電流を抑制することができ、応じて消費電流を低減することができる。
以上のように、この発明の第5の実施例に従えば、論理回路の構成要素であるトランジスタをSOI構造で構成し、かつその基板領域(ボディ領域)を主電源線または主接地線に接続するように構成したため、スタンバイサイクル時において論理回路の構成要素であるMOSトランジスタのしきい値電圧の絶対値をより大きくして確実にサブスレッショルド電流を抑制することができる。また、トランジスタの接合容量が小さくなり、可変インピーダンス電源線および可変インピーダンス接地線の寄生容量が小さくされるため、スタンバイサイクルからアクティブサイクル移行時における可変インピーダンス電源線および可変インピーダンス接地線の電位回復を高速に行なうことができる。
[実施例6]
図38は、この発明の第6の実施例である半導体装置の要部の構成を示す図である。図38に示す構成においては、第1の電源ノード20からの電源電圧Vccを伝達する主電源線1と可変インピーダンス電源線770との間に、制御信号/φに応答して導通するスイッチング用pチャネルMOSトランジスタQ60aが設けられる。このMOSトランジスタQ60aの基板領域(またはボディ領域)へは、動作モードに応じてその電圧レベルが変更されるバイアス電圧VBPが与えられる。制御信号/φは、半導体装置のスタンバイサイクル時にハイレベルとなり、アクティブサイクル時にローレベルとなる。バイアス電圧VBPは、アクティブサイクル時においては電源電圧Vccレベルに設定され、スタンバイサイクル時においては、その電源電圧Vccよりも高い電圧Vppレベルに設定される。
第2の電源ノード30からの接地電圧Vssを伝達する主接地線4と可変インピーダンス接地線772の間に、制御信号φに応答して導通するスイッチング用nチャネルMOSトランジスタQ60bが設けられる。この制御信号φは、制御信号/φと相補な信号であり、スタンバイサイクル時にローレベルとなり、アクティブサイクル時にハイレベルとなる。スイッチング用nチャネルMOSトランジスタQ60bの基板領域(またはボディ領域)へは動作サイクルに応じてその値が変更されるバイアス電圧VBNが与えられる。このバイアス電圧VBNは、スタンバイサイクル時においては接地電圧Vssよりも低い負電圧Vbbレベルに設定され、アクティブサイクル時においては接地電圧Vssレベルに設定される。
論理回路として、3段のCMOSインバータ回路IV60、IV61およびIV62が一例として示される。インバータ回路IV60は、一方導通ノード(ソース)が可変インピーダンス電源線770に接続され、そのゲートが入力信号INを受けるように接続され、かつ他方導通ノード(ドレイン)が内部出力ノードa3に接続されるpチャネルMOSトランジスタQ60pと、その一方導通ノードが可変インピーダンス接地線772に接続され、その他方導通ノードが内部出力ノードa3に接続され、そのゲートが入力信号INを受けるように接続されるnチャネルMOSトランジスタQ60nを含む。
インバータ回路IV61は、そのゲートが内部出力ノードa3に接続され、その一方導通ノードが可変インピーダンス電源線770に接続され、その他方導通ノードが内部出力ノードa4に接続されるpチャネルMOSトランジスタQ61pと、そのゲートが内部出力ノードa3に接続され、その一方導通ノードが可変インピーダンス接地線772に接続され、その他方導通ノードが内部出力ノードa4に接続されるnチャネルMOSトランジスタQ61nを含む。インバータ回路IV62は、そのゲートが内部出力ノードa4に接続され、その一方導通ノードが可変インピーダンス電源線770に接続され、その他方導通ノードが内部出力ノードa5に接続されるpチャネルMOSトランジスタQ62pと、そのゲートが内部出力ノードa4に接続され、その一方導通ノードが可変インピーダンス接地線772に接続され、その他方導通ノードが内部出力ノードa5に接続されるnチャネルMOSトランジスタQ62nを含む。内部出力ノードa5から出力信号OUTが出力される。
すなわちこの図38に示す構成においては、インバータ回路IV60〜IV62は、可変インピーダンス電源線770上の電圧VCLおよび可変インピーダンス接地線772上の電圧VSLを動作電源電圧として動作する。
トランジスタQ60p〜Q62pがそのしきい値電圧が十分大きくされ(しきい値電圧の絶対値が十分小さくされ)、またnチャネルMOSトランジスタQ60n〜Q62nはそのしきい値電圧が十分小さくされる(しきい値電圧の絶対値が小さくされる)。これにより、低電源電圧下での高速動作および低消費電流の実現を図る。次に、この図38に示す半導体装置の動作をその動作波形図である図39を参照して説明する。
スタンバイサイクルにおいては、信号φがローレベル、信号/φがハイレベルに設定され、トランジスタQ60aおよびQ60bがともにオフ状態となる。バイアス電圧VBPは、電源電圧Vccよりも高い高電圧Vppレベルに設定され、バイアス電圧VBNは接地電圧Vssよりも低い負電圧Vbbレベルに設定される。したがって、トランジスタQ60aおよびQ60bは、基板バイアス効果により、そのしきい値電圧の絶対値が高くなり、より強いオフ状態に設定される。インバータ回路IV60〜IV62の構成要素であるトランジスタQ60p〜Q62pおよびQ60n〜Q62nは低しきい値(しきい値電圧の絶対値が小さい)トランジスタであり、入力信号INの電圧レベルに従って、オンまたはオフ状態に設定される。このとき、トランジスタQ60p〜Q62pおよびQ60n〜Q62nは低しきい値トランジスタであり、可変インピーダンス電源線770と可変インピーダンス接地線772の間にサブスレッショルド電流が流れる。しかしながら、主電源線1と可変インピーダンス電源線770の間のトランジスタQ60aはより強いオフ状態とされており、この主電源線1と可変インピーダンス電源線770の間のリーク電流は十分に抑制される。同様に、トランジスタQ60bも、より強いオフ状態にあり、主接地線4と可変インピーダンス接地線772の間のリーク電流は十分に抑制される。したがって、主電源線1から主接地線4へ流れるリーク電流は十分に抑制され、スタンバイサイクル時における消費電流が低減される。
アクティブサイクルが始まると、信号/RASがハイレベルからローレベルへ立下がる。それに応答して、制御信号/φがローレベルとなり、信号φがハイレベルとなり、トランジスタQ60aおよびQ60bがオン状態とされる。このときまた、バイアス電圧VBPが電源電圧Vccレベルに設定され、バイアス電圧VBNが接地電圧Vssレベルに設定される。これにより、トランジスタQ60aおよびQ60bはそのソースおよび基板領域の電圧が同じ電圧レベルとなり、基板バイアス効果がなくなり、低しきい値状態(しきい値電圧の絶対値が小さい状態)に設定される。これにより、可変インピーダンス電源線770は高速で主電源線1から電流を供給され、その電圧VCLが高速で電源電圧Vccレベルに復帰する。同様に、可変インピーダンス接地線772上の電圧VSLは高速でトランジスタQ60bを介して主接地線4へ放電され、電圧VSLが高速で接地電圧Vssレベルに復帰する。これにより、スタンバイサイクルからアクティブサイクル移行時において、高速で電圧VCLおよびVSLを電源電圧Vccおよび接地電圧Vssレベルに復帰させることができ、論理回路(インバータ回路IV60〜IV62)の動作開始タイミングを早くすることができる。
インバータ回路IV60〜IV62は、その構成要素であるトランジスタQ60p〜Q62pおよびQ60n〜Q62nが低しきい値トランジスタであり、アクティブサイクルにおいて与えられた入力信号INに従って高速で動作し、出力信号OUTを生成する。
上述のように、トランジスタQ60aおよびQ60bをスタンバイサイクル時において高抵抗状態(より強いオフ状態)に設定し、アクティブサイクル時に低抵抗状態(低しきい値状態)となるようにそのしきい値電圧を変更することにより、スタンバイサイクル時におけるリーク電流(サブスレッショルド電流)を十分に抑制しかつスタンバイサイクルからアクティブサイクル移行時における可変インピーダンス電源線770および可変インピーダンス接地線772の電圧レベルの回復を高速で行なうことができ、高速でかつ低消費電流で動作する半導体装置を実現することができる。
図40は、バイアス電圧VBPを発生するための構成の一例を示す図である。図40において、バイアス電圧発生部は、ロウアドレスストローブ信号/RASに応答して制御信号/φを発生するクロック信号発生器785と、このクロック信号発生器785の出力する制御信号/φを反転しかつそのハイレベルを高電圧Vppレベルに変換するレベル変換部780aと、レベル変換部780aの出力信号に従って高電圧Vppおよび電源電圧Vccの一方をバイアス電圧VBPとして出力する選択部780bを含む。クロック信号発生器785は、図1に示す制御回路110に含まれる。高電圧Vppは、図4に示すVpp発生器256から発生される。
レベル変換部780aは、制御信号/φを反転するインバータ786と、高電圧Vpp供給ノードとノードa10の間に設けられ、ノードa11の電位に応答して導通するpチャネルMOSトランジスタQT0と、高電圧Vpp供給ノードとノードa11の間に設けられ、ノードa10上の電位に応答して導通するpチャネルMOSトランジスタQT1と、ノードa10と接地電圧Vss供給ノードとの間に設けられ、制御信号/φに応答して導通するnチャネルMOSトランジスタQT2と、ノードa11と接地電圧Vss供給ノードとの間に設けられ、インバータ回路786の出力信号に応答して導通するnチャネルMOSトランジスタQT3を含む。
選択部780bは、高電圧Vpp供給ノードとノードa12の間に設けられ、レベル変換部780aのノードa10上の信号電位に応答して導通するpチャネルMOSトランジスタQT4と、電源電圧Vcc供給ノードとノードa12の間に設けられ、レベル変換部780aのノードa10上の電位に応答して導通するnチャネルMOSトランジスタQT5を含む。ノードa12からバイアス電圧VBPが出力される。次に動作について簡単に説明する。
クロック信号発生器785は、ロウアドレスストローブ信号/RASに応答して、スタンバイサイクル時にハイレベル、アクティブサイクル時にローレベルとなる制御信号/φを生成する。スタンバイサイクル時においては、トランジスタQT2がオン状態、トランジスタQT3がオフ状態とされる。ノードa10がトランジスタQT2を介して接地電圧Vssレベルに放電され、トランジスタQT1がオン状態となり、ノードa11上の電圧レベルが高電圧Vppレベルに充電される。このノードa11上の高電圧VppによりトランジスタQT0がオフ状態とされる。したがって、ノードa10からは接地電圧Vssレベルの信号が出力される。この状態において、選択部780bにおいては、トランジスタQT4がオン状態、トランジスタQT5がオフ状態となり、高電圧Vppがバイアス電圧VBPとして出力される。
アクティブサイクル時においては、信号/φがローレベルであり、トランジスタQT2がオフ状態、トランジスタQT3がオン状態となり、ノードa11が接地電圧Vssレベルに放電される。これにより、トランジスタQT0がオン状態となり、ノードa10は高電圧Vppレベルに充電される。選択部780bにおいては、トランジスタQT4がオフ状態、トランジスタQT5がオン状態となり、ノードa12から電源電圧Vccレベルのバイアス電圧VBPが出力される。
なお、信号/φは、図38に示すトランジスタQ60aのゲートへ与えられる信号と同じ信号のように示される。しかしながら、このバイアス電圧VBPの切換タイミングとトランジスタQ60aのオン/オフタイミングは異なってもよい。スタンバイサイクル移行時にはバイアス電圧VBPが高電圧Vppレベルに移行した後にトランジスタQ60aがオフ状態とされ、アクティブサイクル移行時にはバイアス電圧VBPが電源電圧Vccレベルに移行した後にトランジスタQ60aがオン状態とされる構成が用いられてもよい。また、スタンバイサイクル時におけるバイアス電圧VBPの電圧レベルは、ワード線駆動などに用いられる高電圧Vppレベルとは異なる電圧レベルに設定されてもよい。スタンバイサイクル時において、トランジスタQ60aのしきい値電圧の絶対値が十分大きくなる電圧レベルであれば、いずれの電圧レベルをも利用することができる。
図41は、図38に示すバイアス電圧VBNを発生するための構成を示す図である。図41において、バイアス電圧発生部は、ロウアドレスストローブ信号/RASに応答して制御信号φを発生するクロック信号発生器795と、制御信号φの接地電圧Vssレベルのローレベルを負電圧Vbbレベルのローレベルに変換するレベル変換部790aと、レベル変換部790aの出力信号に従って負電圧Vbbおよび接地電圧Vssの一方を出力ノードa22からバイアス電圧VBNとして出力する選択部790bを含む。クロック信号発生器795は、図1に示す制御回路110に含まれる。制御信号φは、スタンバイサイクル時においてローレベル、アクティブサイクル時においてハイレベルとされる。
レベル変換部790aは、制御信号φを反転するインバータ回路796と、電源電圧Vcc供給ノードとノードa20の間に接続されて制御信号φに応答して導通し、ノードa20へ電源電圧Vccを伝達するpチャネルMOSトランジスタQT10と、電源電圧Vcc供給ノードとノードa21の間に接続され、インバータ回路796の出力信号に応答して導通し、ノードa21へ電源電圧Vccを伝達するpチャネルMOSトランジスタQT11と、ノードa20と負電圧Vbb供給ノードとの間に接続され、ノードa21上の電位に応答して導通し、ノードa20を負電圧Vbbレベルに放電するnチャネルMOSトランジスタQT12と、ノードa21と負電圧Vbb供給ノードとの間に接続され、ノードa20上の電位に応答して導通し、ノードa21を負電圧Vbbレベルに放電するnチャネルMOSトランジスタQT13を含む。インバータ回路796は、電源電圧Vccと接地電圧Vssレベルの振幅を有する信号を出力する。
選択部790bは、負電圧Vbb供給ノードと出力ノードa22の間に接続され、レベル変換部790aのノードa21上の電位に応答して導通して負電圧Vbbをノードa22へ伝達するnチャネルMOSトランジスタQT14と、接地電圧Vss供給ノードとノードa22の間に接続され、レベル変換部790aのノードa21上の電位に応答して導通して接地電圧Vssをノードa22に伝達するpチャネルMOSトランジスタQT15を含む。ノードa22からバイアス電圧VBNが出力される。次に動作について説明する。
スタンバイサイクル時、制御信号/φはハイレベルであり、インバータ回路796の出力信号がローレベルとなり、トランジスタQT10がオフ状態、トランジスタQT11がオン状態となる。ノードa21がトランジスタQT11により電源電圧Vccレベルに充電され、トランジスタQT12がオン状態とされる。これにより、ノードa20が負電圧Vbbレベルに放電され、トランジスタQT13がオフ状態となる。それにより、ノードa21はトランジスタQT11により電源電圧Vccレベルに維持される。このレベル変換部790aからの電源電圧Vccレベルの信号により、トランジスタQT14がオン状態、トランジスタQT15がオフ状態とされる。これにより、ノードa22にはトランジスタQT14を介して負電圧Vbbが伝達され、負電圧Vbbレベルのバイアス電圧VBNが出力される。
アクティブサイクルにおいては、制御信号/φがローレベルとなり、トランジスタQT10がオン状態、トランジスタQT11がオフ状態となる。この状態においては、ノードa20がトランジスタQT10により電源電圧Vccレベルに充電され、トランジスタQT13がオン状態となり、ノードa21は負電圧Vbbレベルに放電される。ノードa21の電圧レベルが負電圧Vbbレベルに低下すると、トランジスタQT12がオフ状態となる。レベル変換部790aからの負電圧Vbbレベルの信号により、選択部790bにおいては、トランジスタQT14がオフ状態、トランジスタQT15がオン状態となる。これにより、ノードa22へ接地電圧Vssが伝達され、接地電圧Vssレベルのバイアス電圧VBNが出力される。
以上のように、この発明の第6の実施例に従えば、主電源線と可変インピーダンス電源線との間のトランジスタおよび主接地線と可変インピーダンス接地線との間のトランジスタを、スタンバイサイクル時において等価的に高抵抗状態(しきい値電圧の絶対値の大きい状態)に設定し、アクティブサイクル時においては、その等価的に低抵抗状態(しきい値電圧の絶対値の小さい状態)に設定したため、スタンバイサイクル時におけるリーク電流を抑制しかつアクティブサイクル移行時において可変インピーダンス電源線および可変インピーダンス接地線の電圧回復を高速で行なうことができ、低消費電流で高速動作する半導体装置を実現することができる。
[実施例7]
図42は、図38に示すスイッチング用pチャネルMOSトランジスタQ60aの断面構造を概略的に示す図である。図42において、トランジスタQ60aは、バルク構造を有し、半導体基板(半導体層またはウェル領域)800表面に形成されるn型ウェル領域801内に形成される。トランジスタQ60aは、ウェル領域801の表面に間をおいて形成されるp型高濃度不純物領域802および803と、不純物領域802および803の間の領域上にゲート絶縁膜(図示せず)を介して形成されるゲート電極層804と、ウェル領域801へバイアス電圧VBPを印加するための高濃度n型不純物領域805を含む。不純物領域802へは、主電源線1を介して電源電圧Vccが与えられる。不純物領域803は可変インピーダンス電源線770に接続される。ゲート電極804へは制御信号/φが印加される。
スイッチング用のnチャネルMOSトランジスタQ60bも、同様の構成を備える。ただし不純物領域の導電型およびウェル領域の導電型が反対にされる。図42に示すように、ウェル領域801は、少なくともトランジスタ素子Q60aを形成するための不純物領域802、803、805を含む大きさを有する。したがってこの場合、基板800とウェル801の間に大きな接合容量Cwellが存在する。したがって、トランジスタQ60aの接合容量が大きくなり、バイアス電圧VBPによりウェル領域801の電圧を高速で変化させることができず、またウェル領域801を所定電圧レベルに維持するために大きな消費電流が必要とされるという問題が生じる。ただし、バイアス電圧VBPを安定に維持することができるという利点は有する。
図43は、図38に示すpチャネルMOSトランジスタQ60aの他の構成を示す図である。図43に示すように、トランジスタQ60aは、SOI構造を備える。すなわち、トランジスタQ60aは、半導体基板810上に形成された絶縁層811上の絶縁膜816aおよび816bにより画定される領域内に形成される。
トランジスタQ60aは、絶縁膜816aおよび816bに隣接して形成される高濃度p型不純物領域812および814と、これらの不純物領域812および814の間に形成される低濃度n型不純物領域813と、不純物領域813上にゲート絶縁膜(図示せず)を介して形成されるゲート電極815を含む。この不純物領域813は、トランジスタQ60aの導通時にチャネルが形成されるボディ領域として機能する。不純物領域813にバイアス電圧VBPが与えられる。不純物領域812は主電源線1に接続され、電源電圧Vccを受ける。不純物領域814は、可変インピーダンス電源線770に接続される。ゲート電極層815に制御信号/φが与えられる。
この図43に示すトランジスタQ60aの構成の場合、不純物領域813下には絶縁層811が形成されており、この半導体基板810と不純物領域813とは分離されている。したがって、ウェル構造を用いる場合に生じる大きな接合容量Cwell(図42参照)は存在せず、この不純物領域813の容量は小さい。さらに、この不純物領域813は、トランジスタQ60aのチャネル領域に対応して形成されるだけであり、図42に示すウェル領域801に比べてその大きさは十分小さい。したがって、不純物領域813へバイアス電圧VBPを印加する場合、高速でこの不純物領域813の電圧レベルを変化させることができるとともに、この小さな容量により低消費電流で不純物領域813の電圧レベルを変化させることができる。すなわちSOI構造のトランジスタをスイッチング用pチャネルMOSトランジスタQ60aに適用することにより、高速で可変インピーダンス電源線の電圧レベルを変化させることができるとともに、低消費電流でかつ高速にトランジスタ素子の基板バイアス電圧を変化させることが可能となる。
なお、図38に示すnチャネルMOSトランジスタQ60bも、この図43に示す構成と同様、SOI構造を備える。この場合、単に図43に示す導電型を逆転するだけで、トランジスタQ60bの断面構造が得られる。
以上のように、この発明の第7の実施例に従えば、主電源線と可変インピーダンス電源線を接続するトランジスタおよび可変インピーダンス接地線と主接地線とを接続するトランジスタとして、SOI構造のトランジスタを用いたため、高速で可変インピーダンス電源線および可変インピーダンス接地線の電圧レベルを変化させることができるとともに、低消費電流かつ高速にこれらのトランジスタのバイアス電圧を変化させることができ、バイアス電圧発生部に対する負荷が軽減される。
[実施例8]
図44は、この発明の第8の実施例での半導体装置の要部の構成を示す図である。図44に示す構成においては、主電源線1と可変インピーダンス電源線820の間に、制御信号/φに応答して導通し、導通時主電源線1と可変インピーダンス電源線820を電気的に接続するpチャネルMOSトランジスタQ60aと、スタンバイサイクル時における可変インピーダンス電源線820上の電圧レベルを調整する電圧調整器824が設けられる。この電圧調整器824は、高抵抗の抵抗体で構成されてもよく、また先に図34において説明した差動増幅器およびこの差動増幅器の出力信号により駆動されるトランジスタで構成されてもよい。他の構成が利用されてもよい。
主接地線4と可変インピーダンス接地線822の間に、制御信号φに応答して導通し、導通時この可変インピーダンス接地線822と主接地線4とを電気的に接続するnチャネルMOSトランジスタQ60bと、スタンバイサイクル時における可変インピーダンス接地線822の電圧レベルを調整する電圧調整器826が設けられる。電圧調整器826は、電圧調整器824と同様の構成を備える。
トランジスタQ60aおよびQ60bの基板領域(ボディ領域)にはバイアス電圧VBPおよびVBNがそれぞれ与えられる。このトランジスタQ60aおよびQ60bは、先の第5ないし第7の実施例におけるものと同様の構成を備え、同様の機能を実現する。
図44においては、論理回路の一例として、3段のCMOSインバータ回路IV70、IV71、およびIV72が示される。入力信号INは、スタンバイサイクル時において、その論理レベルがハイレベルに設定される。この入力信号INのスタンバイサイクルの論理レベルに応じて、インバータ回路IV70〜IV72の構成要素であるMOSトランジスタの接続される電源線/接地線が交互に変更される。インバータ回路IV70においては、pチャネルMOSトランジスタQ70pの一方導通ノード(ソース)は可変インピーダンス電源線820に接続され、nチャネルMOSトランジスタQ70nの一方導通ノード(ソース)は主接地線4に接続される。インバータ回路IV71においては、pチャネルMOSトランジスタQ71pの一方導通ノードは主電源線1に接続され、nチャネルMOSトランジスタQ71nの一方導通ノードは可変インピーダンス接地線822に接続される。インバータ回路IV72においては、pチャネルMOSトランジスタQ72pの一方導通ノードが可変インピーダンス電源線820に接続され、nチャネルMOSトランジスタQ72nの一方導通ノードは主接地線4に接続される。
このような入力信号のスタンバイサイクルの論理レベルに合わせて、構成要素であるMOSトランジスタの接続される電源線/接地線への接続が交互に入替わる構成においても、トランジスタQ60aおよびQ60bを、スタンバイサイクルにおいて高しきい値状態(しきい値電圧の絶対値の大きい状態)に設定し、アクティブサイクルにおいて低しきい値状態(しきい値電圧の小さな状態)に設定することにより、サブスレッショルド電流を十分に抑制することができるとともに、スタンバイサイクルからアクティブサイクル移行時における可変インピーダンス電源線820および可変インピーダンス接地線822の電位回復を高速で行なうことができる。スタンバイサイクルにおいて入力信号INがローレベルとされるときには、インバータ回路IV71が初段回路として用いられる。
以上のように、この第8の実施例に従えば、スタンバイサイクルにおける入力信号の論理レベルが予測可能な場合に、この入力信号のスタンバイサイクルの論理レベルに応じて電源線/接地線と可変インピーダンス電源線/可変インピーダンス接地線との接続を切換える半導体装置においても、主電源線/主接地線と可変インピーダンス電源線/可変インピーダンス接地線の間に設けられるトランジスタを、スタンバイサイクル時に高しきい値状態、アクティブサイクル時に低しきい値状態に設定したため、低消費電流で高速に動作する半導体装置を実現することができる。
[実施例9]
図45は、この発明の第9の実施例である半導体装置の要部の構成を示す図である。この図45に示す半導体装置は、図34に示す半導体装置と図44に示す半導体装置を組合せることにより実現される。論理回路として、3段のCMOSインバータ回路IV80、IV81、およびIV82が例示的に示される。これらのインバータ回路IV80〜IV82において、pチャネルMOSトランジスタQ80p、Q81p、およびQ82pの基板領域(ボディ領域)は主電源線1に接続され、またnチャネルMOSトランジスタQ80n、Q81n、およびQ82nは、その基板領域(ボディ領域)が主接地線4に接続される。これらのトランジスタQ80p〜Q82p、Q80n〜Q82nはSOI構造のトランジスタにより構成される。他の構成は、図44に示す構成と同じであり、対応する部分には同一の参照番号を付す。構成要素にすべてSOI構造のトランジスタを用いることにより、低消費電流で高速動作する半導体装置を実現することができる。
なお、図45に示す構成において、入力信号INのスタンバイサイクルにおける論理レベルが予測不能の場合には、インバータ回路IV80〜IV82において、pチャネルMOSトランジスタQ80p〜Q82pの一方導通ノード(ソース)は可変インピーダンス電源線820に接続され、nチャネルMOSトランジスタQ80n〜Q82nの一方導通ノード(ソース)は可変インピーダンス接地線822に接続される。この場合においても、同様の効果を実現することができる。
以上のように、この第9の実施例に従えば、構成要素にすべてSOI構造のトランジスタを用いたため、第5ないし第8の実施例の実現する効果に加えて、さらに低消費電力を実現することができる。さらに、この場合、可変インピーダンス電源線820および可変インピーダンス接地線822の寄生容量が低減され、これらのより高速な電圧回復を実現することができる。
[実施例10]
図46は、この発明の第10の実施例である半導体記憶装置の要部の構成を示す図である。主電源線1と可変インピーダンス電源線850との間に動作サイクル規定信号/φに応答して導通するpチャネルMOSトランジスタQ90aが配置され、主接地線4と可変インピーダンス接地線852の間に動作サイクル規定信号φに応答して導通するnチャネルMOSトランジスタQ90bが配置される。動作サイクル規定信号φは図30に示す内部ロウアドレスストローブ信号RASに対応し、メモリセル選択動作(通常動作時またはリフレッシュ動作時)が行なわれるときハイレベルの活性状態とされる。動作サイクル規定信号/φは動作サイクル規定信号φと相補な信号である。
内部回路として、2段のインバータIV90およびIV91が一例として示される。インバータIV90は、スタンバイサイクル時においてローレベル(L)の信号を受け、このインバータIV90の出力信号を受けるインバータIV91は、スタンバイサイクル時ハイレベル(H)の信号を受ける。インバータIV90およびIV91の内部構成は後に説明するが、しきい値電圧の絶対値の小さな低しきい値MOSトランジスタで構成される。インバータIV90は主電源線1上の電源電圧Vccおよび可変インピーダンス接地線852上の電圧VSLを両動作電源電圧として動作する。インバータIV91は、可変インピーダンス電源線850上の電圧VCLおよび主接地線4上の接地電圧Vssを両動作電源電圧として動作する。スタンバイサイクル時においてオフ状態とされるMOSトランジスタのソースが可変インピーダンス電源線850または可変インピーダンス接地線852に接続される。
主電源線1および可変インピーダンス電源線850に対し、さらに、電源電圧Vccに近いレベルを有する基準電圧Vref1を発生するVref1発生回路860と、可変インピーダンス電源線850上の電圧VCLとVref1発生回路860の出力する基準電圧Vref1を比較する比較回路854と、主電源線1と可変インピーダンス電源線850の間に接続されるpチャネルMOSトランジスタQ95aと、通常動作モード時においては比較回路854の出力信号をMOSトランジスタQ95aのゲート(制御電極ノード)へ伝達し、データ保持モード(スリープモード)においては、MOSトランジスタQ95aのゲートを主電源線1に接続するスイッチ回路SWaが設けられる。比較回路854は、たとえば差動増幅回路で構成され、その正入力に可変インピーダンス電源線850上の電圧VCLを受け、その負入力に基準電圧Vref1を受け、これらの電圧VCLおよびVref1を差動的に増幅する。比較回路854の出力信号は、電圧VCLが基準電圧Vref1よりも高いときにハイレベルとなり、電圧VCLが基準電圧Vref1よりも低い場合にはローレベルとなる。この比較回路854の出力する信号の電圧レベルは電圧VCLと基準電圧Vref1の差に比例する。
主接地線4と可変インピーダンス接地線852とに対し、接地電圧Vssに近い基準電圧Vref2を出力するVref2発生回路862と、可変インピーダンス接地線852上の電圧VSLとVref2発生回路862の出力する基準電圧Vref2を比較する比較回路856と、可変インピーダンス接地線852と主接地線4の間に接続されるnチャネルMOSトランジスタQ95bと、通常動作モード時には比較回路856の出力信号をMOSトランジスタQ95bのゲートへ伝達し、スリープモード時においては、このMOSトランジスタQ95bのゲートを主接地線4に接続するスイッチ回路SWbが設けられる。比較回路856は、差動増幅回路で構成され、その正入力に可変インピーダンス接地線852上の電圧VSLを受け、その負入力に基準電圧Vref2を受ける。比較回路856は、電圧VSLと基準電圧Vref2の差に比例する信号を出力する。
なお、通常動作サイクルは、図30に示すように、スタンバイサイクルとアクティブサイクルとを含み、スリープモード(データ保持モード)は内部でリフレッシュのみが行なわれるCBRリフレッシュモードおよびセルフリフレッシュモードを含む。次に、この図46に示す回路の動作をその動作波形図である図47を参照して説明する。
外部アクセスが可能な通常動作モード(ノーマルモード)は、外部アクセスを待つスタンバイサイクルと、実際に外部アクセスが行なわれて内部動作が実行されるアクティブサイクルを含む(図30参照)。スタンバイサイクルにおいては、データ保持動作を指定するデータ保持モード指定信号/Sleepが非活性状態のハイレベルになり、また動作サイクル規定信号/φも非活性状態のハイレベルにある。この状態においては、スイッチ回路SWaは、比較回路854の出力信号をMOSトランジスタQ95aのゲートへ伝達し、スイッチ回路SWbは、比較回路856の出力信号をMOSトランジスタQ95bのゲートへ伝達する。MOSトランジスタQ90aおよびQ90bはともにオフ状態にある。したがって、比較回路854の出力信号に従ってMOSトランジスタQ95aの抵抗値が調整され、先に、図34を参照して説明した動作と同様、可変インピーダンス電源線850上の電圧VCLは、基準電圧Vref1の電圧レベルに維持される。一方、可変インピーダンス接地線852上の電圧VSLは、比較回路856およびMOSトランジスタQ95bにより、基準電圧Vref2の電圧レベルに維持される。
インバータIV90はローレベルの信号を受けており、その構成要素であるnチャネルMOSトランジスタがオフ状態とされ、かつそのゲート−ソース間が逆バイアス状態とされ、サブスレッショルド電流が抑制される。インバータIV91においては、その構成要素であるpチャネルMOSトランジスタのゲート−ソース間が逆バイアス状態とされ、より深いオフ状態とされ、同様サブスレッショルド電流が抑制される。
アクティブサイクルに入ると、動作サイクル規定信号/φが活性状態のローレベルとされ、MOSトランジスタQ90aおよびQ90bがともにオン状態とされ、可変インピーダンス電源線850が主電源線1に電気的に接続されかつ可変インピーダンス接地線852が主接地線4に電気的に接続される。この状態においては、電圧VCLは主電源線1上の電源電圧Vccレベルとなり、電圧VSLは主接地線4上の電圧Vssレベルとなる。比較回路854の出力信号はハイレベルとなり、MOSトランジスタQ95aがオフ状態、比較回路856の出力信号がローレベルとなり、MOSトランジスタQ95bがオフ状態とされる。MOSトランジスタQ90aおよびQ90bは、たとえばそのゲート幅Wが十分大きくされ、そのオン抵抗が十分小さくされ、大きな電流駆動力を有するように設定される。したがってスタンバイサイクルからアクティブサイクル移行時において、可変インピーダンス電源線850上の電圧VCLおよび可変インピーダンス接地線852上の電圧VSLは高速で電源電圧Vccおよび接地電圧Vssへ復帰する。これにより、内部回路であるインバータIV90およびIV91は、その入力信号の変化に追随して高速で動作し、特に、インバータIV90およびIV91が低しきい値トランジスタを構成要素としており、高速動作が実現される。
データ保持モード(スリープモード)においては、スイッチ回路SWaは、主電源線1とMOSトランジスタQ95aのゲートとを結合し、接地回路SWbは、主接地線4とMOSトランジスタQ95bのゲートとを結合する。これにより、MOSトランジスタQ95aおよびQ95bは、そのゲートとソース電位が等しくなり、オフ状態とされる。インバータIV90およびIV91の入力信号はスタンバイサイクルのそれと同じ電圧レベルに設定される。この状態においては、可変インピーダンス電源線850上の電圧VCLは、MOSトランジスタQ90aおよびQ95aを流れるリーク電流とインバータIV90およびIV91を流れるリーク電流が釣り合う電圧レベルに保持される。このとき、MOSトランジスタQ95aのたとえばゲート幅WをMOSトランジスタQ90aのそれよりも十分小さくしておけば、このMOSトランジスタQ95aを流れるリーク電流をほぼ無視することができ、この場合には、電圧VCLは、MOSトランジスタQ90aを流れるリーク電流とインバータIV90およびIV91を流れるリーク電流とが釣り合う電圧レベルに維持される。
可変インピーダンス接地線852上の電圧VSLも、同様、MOSトランジスタQ90bおよびQ95bを流れるリーク電流とインバータIV90およびIV91を流れるリーク電流とが釣り合う電圧レベルにまで上昇する。このときまた、MOSトランジスタQ90bのゲート幅よりも、MOSトランジスタQ95bのゲート幅を十分小さくしておけば、このMOSトランジスタQ95bを流れるリーク電流をほぼ無視することができる。なお、図47においては、データ保持モード時においては、動作サイクル規定信号/φは非活性状態のハイレベルを維持するように示される。しかしながらこのデータ保持モードにおいては、図30に示すように、所定の時間間隔でリフレッシュ動作が実行される。データ保持モードにおいてリフレッシュ動作が実行される場合、動作サイクル規定信号/φが活性状態のローレベルとされ、可変インピーダンス電源線850上の電圧VCLおよび可変インピーダンス接地線852上の電圧VSLはそれぞれ電源電圧Vccおよび接地電圧Vssレベルに回復する。リフレッシュ動作が行なわれる場合、外部からのアクセスは行なわれないため、その可変インピーダンス電源線850上の電圧VCLおよび可変インピーダンス接地線852上の電圧VSLの回復に時間を有しても、何らアクセス時間には関係がないため、特に問題は生じない。単にリフレッシュ開始タイミングを遅らせて、電圧VCLおよびVSLがそれぞれ電源電圧Vccおよび接地電圧Vssに回復した後にリフレッシュを行なうことにより、確実にメモリセルデータのリフレッシュを実行することができる。
データ保持モードから通常動作モード(ノーマルモード)への移行時においては、可変インピーダンス電源線850上の電圧VCLおよび可変インピーダンス接地線852上の電圧VSLをそれぞれ基準電圧Vref1およびVref2へ回復させるためにリセットサイクルが実行される。このリセットサイクルは、スタンバイサイクルおよびアクティブサイクルが所定回繰返し実行される。図47においては、スタンバイサイクル、アクティブサイクルおよびスタンバイサイクルが行なわれるシーケンスが一例として示される。
データ保持モードが完了すると、リセットサイクルのスタンバイサイクルにおいては、スイッチ回路SWaは比較回路854の出力信号をMOSトランジスタQ95aのゲートへ伝達し、スイッチ回路SWbは比較回路856の出力信号をMOSトランジスタQ95bのゲートへ伝達する。これにより、比較回路854およびMOSトランジスタQ95aのフィードバック経路による制御動作により、電圧VCLが基準電圧Vref1の電圧レベルに上昇し、一方、可変インピーダンス接地線852上の電圧VSLが比較回路856およびMOSトランジスタQ95bの調整動作により、基準電圧Vref2の電圧レベルに回復する。
リセットサイクルにおいて、スタンバイサイクル実行後アクセスサイクルを実行する。これにより、MOSトランジスタQ90aおよびQ90bがオン状態とされ、電圧VCLおよびVSLがそれぞれ電源電圧Vccおよび接地電圧Vssレベルへ変化する。このアクティブサイクル完了後、次のノーマルモードに備えるために、スタンバイサイクルが実行される。このスタンバイサイクルにおいて、電圧VCLおよびVSLはそれぞれ基準電圧Vref1およびVref2へ移行する。リセットサイクルにおいてアクティブサイクルを実行するのは、データ保持モードにおいて変化した電圧VCLおよびVSLを高速で所定の基準電圧Vref1およびVref2の電圧レベルへ回復させるためである。すなわち、その電流駆動力が小さくされたMOSトランジスタQ95aおよびQ95bによる電圧回復動作を、MOSトランジスタQ90aおよびQ90bをオン状態とすることにより加速させ、リセットサイクルに要する時間を短縮する。通常動作モード(ノーマルモード)においては、再び外部からの制御信号に従ってアクティブサイクルが実行され、メモリセルに対するアクセス動作が実行される。このアクティブサイクルが完了すると、スタンバイサイクルが実行される。
上述のように、データ保持モード(スリープモード)時において、MOSトランジスタQ95aおよびQ95bをスタンバイサイクル時よりもより深いオフ状態とすることにより、データ保持モードにおけるこのトランジスタQ95aおよびQ95bを流れるリーク電流(サブスレッショルド電流)をスタンバイサイクル時のそれよりも十分小さくすることができ、より低消費電流を実現することができる。特に、電池駆動型パーソナルコンピュータなどにおいて、電池を電源としてデータ保持モードを実行する場合、このデータ保持モードにおける消費電流を低減することにより電池寿命を長くすることができる。
なお、図46においては明確に示していないが、比較回路854および856は、電源電圧Vccおよび接地電圧Vssを両動作電源電圧として動作する。
図48は、図46に示すスイッチ回路SWaおよびSWbの構成の一例を示す図である。図48において、スイッチ回路SWaは、主電源線1とMOSトランジスタQ95aのゲートノードndaの間に接続され、データ保持モード指定信号(スリープモード指定信号)/Sleepの活性化時導通するCMOSトランスミッションゲート871と、比較回路854の出力部とMOSトランジスタQ95aのゲートノードndaの間に接続され、データ保持モード指定信号Sleepの非活性化時導通するCMOSトランスミッションゲート872を含む。
データ保持モード指定信号/Sleepはスリープモード時(データ保持モード時)活性状態のローレベルとされ、一方、信号Sleepはデータ保持モード(スリープモード)時に活性状態のハイレベルとされる。通常動作モード時においては、信号Sleepはローレベルであり、信号/Sleepはハイレベルとなる。したがって、データ保持モード時においては、CMOSトランスミッションゲート871が導通状態、CMOSトランスミッションゲート872が非導通状態(遮断状態)とされ、MOSトランジスタQ95aのゲートノードndaが主電源線1上の電圧Vccを受ける。通常動作モード時においては、信号Sleepがローレベル、信号/Sleepがハイレベルとされ、CMOSトランスミッションゲート872が導通状態、CMOSトランスミッションゲート871が非導通状態とされる。この場合には、比較回路854からの出力信号がMOSトランジスタQ95aのゲートノードndaへ伝達される。
スイッチ回路SWbは、MOSトランジスタQ95bのゲートノードndbと主接地線4との間に接続され、データ保持モード指定信号/Sleepの活性化時導通するCMOSトランスミッションゲート873と、比較回路856の出力部とMOSトランジスタQ95bのゲートノードndaの間に接続され、信号Sleepおよび/Sleepの非活性化時導通するCMOSトランスミッションゲート874を含む。CMOSトランスミッションゲート873の動作は、CMOSトランスミッションゲート871の動作と同じであり、CMOSトランスミッションゲート874の動作はCMOSトランスミッションゲート872の動作と同様である。したがって、データ保持モードにおいては、CMOSトランスミッションゲート873を介して、MOSトランジスタQ95bのゲートノードndbは主接地線4に結合される。通常動作モード時においては、MOSトランジスタQ95bのゲートノードndbは比較回路856の出力部に結合される。データ保持モード指定信号Sleepおよび/Sleepはスリープモード検出回路870から発生される。このスリープモード検出回路870は、図29に示す保持モード検出回路654に対応し、外部から与えられる制御信号ext.RASおよびext.CASに従ってデータ保持モードが指定されたか否かを検出し、データ保持モードが指定されたときに信号Sleepおよび/Sleepを活性状態とする。
上述のように、スイッチ回路SWaおよびSWbをCMOSトランスミッションゲートで構成することにより、スリープモード検出回路870からの信号Sleepおよび/Sleepが電源電圧Vccおよび接地電圧Vssの振幅を有している場合においても、信号伝送損失を伴うことなく、スイッチ回路SWaおよびSWbは与えられた信号を伝達することができる。
なおこの図48に示すスリープモード検出回路870は、CBR条件を検出する代わりに、他の条件、たとえばWCBR(ライトイネーブル信号/WEおよびコラムアドレスストローブ信号/CASがロウアドレスストローブ信号/RASの立下がりよりも先にローレベルとされた状態)に加えて特定のアドレス信号入力端子に与えられるアドレス信号に従ってスリープモードが指定されたことを検出する構成が利用されてもよい。
このスリープモード検出回路870は、電源電圧Vccおよび接地電圧Vssを両動作電源電圧として動作する。半導体記憶装置においては、たとえば図4に示すように負電圧Vbb発生器および高電圧Vpp発生器が設けられている。このスリープモード検出回路870がこのような高電圧Vppおよび負電圧Vbbを発生する構成を備える場合、CMOSトランスミッションゲートに代えて1つのMOSトランジスタで構成されるトランスファーが用いられてもよい。
また、MOSトランジスタQ95aのゲートノードndaへは、データ保持モード時においては、高電圧Vppが印加され、MOSトランジスタQ95bのゲートノードndbへは、データ保持モード時には負電圧Vbbが印加される構成が利用されてもよい。MOSトランジスタQ95aおよびQ95bをデータ保持モード時により強いオフ状態とすることができ、サブスレッショルド電流をより低減することができる。
以上のように、この発明の第10の実施例に従えば、スタンバイサイクル時に比較回路の出力信号に従ってサブ電源線(可変インピーダンス電源線または可変インピーダンス接地線)上の電圧を基準電圧(Vref1またはVref2)に設定するMOSトランジスタを高抵抗状態のオフ状態とし、非導通状態となるように構成したため、データ保持モード時におけるこのMOSトランジスタのリーク電流をスタンバイサイクル時のそれよりも低減することができ、データ保持モード時における消費電流を低減することができる。
[実施例11]
図49は、この発明の第11の実施例である半導体記憶装置の要部の構成を示す図である。図49に示す構成においては、主電源線1と可変インピーダンス電源線852の間に直列にpチャネルMOSトランジスタQ97aおよびQ95aが接続される。MOSトランジスタQ95aのゲートへは、比較回路854の出力信号が与えられる。MOSトランジスタQ97aのゲートへはデータ保持モード指定信号Sleepが与えられる。主接地線4と可変インピーダンス接地線854の間には、nチャネルMOSトランジスタQ95bおよびQ97bが直列に接続される。MOSトランジスタQ95bのゲートへは比較回路856の出力信号が与えられる。MOSトランジスタQ97bのゲートへは、データ保持モード指定信号/Sleepが与えられる。
図49に示す構成においては、スイッチ回路SWaおよびSWbの代わりに、MOSトランジスタQ97aおよびQ97bが設けられる。他の構成は図46に示す構成と同様であり、対応する部分には同一の参照番号を付す。
この図49に示す構成において、通常動作モード時においては、信号Sleepが接地電圧Vssレベルとされ、信号/Sleepが電源電圧Vccレベルのハイレベルとされる。したがって、MOSトランジスタQ97aおよびQ97bは低抵抗の導通状態とされ、MOSトランジスタQ95aはその一方導通端子(ソース)が主電源線1に結合され、MOSトランジスタQ95bの一方導通端子(ソース)が主接地線4に結合される。したがってこの通常動作モード時においては、図46に示す構成と同様の動作が実現される。
データ保持モード時においては、信号Sleepが電源電圧Vccレベルのハイレベルとされ、信号/Sleepが接地電圧Vssレベルのローレベルとされる。したがって、この状態においては、MOSトランジスタQ97aおよびQ97bが高抵抗状態の非導通状態とされ、MOSトランジスタQ95aおよびQ95bは主電源線1および主接地線4からそれぞれ分離される。このデータ保持モードにおいて、主電源線1と可変インピーダンス電源線852の間にMOSトランジスタQ97aおよびQ95aが直列に接続され、したがってこれらの合成抵抗が図46に示す構成よりも大きくなり、より主電源線1から可変インピーダンス電源線852へのリーク電流を抑制することができる。同様、主接地線4と可変インピーダンス接地線854の間にMOSトランジスタQ95bおよびQ97bが直列に接続されるため、これらの合成抵抗が図46に示す構成よりも大きくされ、よりリーク電流が低減される。
この図49に示す構成において、信号Sleepおよび/Sleepは電源電圧Vccと接地電圧Vssレベルの振幅を有するように説明している。しかしながら、この信号Sleepが高電圧Vppと接地電圧Vssレベルの振幅を有し、信号/Sleepが電源電圧Vccと負電圧Vbbの振幅を有するように構成されてもよい。このような高電圧Vppおよび負電圧Vbbに設定される構成は、図40および図41に示すレベル変換回路780aおよび790aを用いて実現することができる。このようにデータ保持モード時において信号Sleepを高電圧Vppに設定することにより、MOSトランジスタQ97aがより強いオフ状態(高抵抗状態)に設定され確実に主電源線1と可変インピーダンス電源線852と電気的に分離することができる。同様、信号/Sleepをデータ保持モード時に負電圧Vbbに設定することにより、MOSトランジスタQ97bをより強いオフ状態(高抵抗状態)に設定して非導通状態とすることができ、主接地線4と可変インピーダンス接地線854の間の電流経路を確実に遮断状態とすることができる。
以上のように、この発明の第11の実施例の構成に従えば、メイン電源線である主電源線1または主接地線4とサブ電源線である可変インピーダンス電源線または可変インピーダンス接地線との間に直列に2つのMOSトランジスタを設け、一方のMOSトランジスタを比較回路の出力信号に従ってその抵抗値(または電流駆動力)を調整し、他方のMOSトランジスタをデータ保持モード指定信号Sleepおよび/Sleepによりオン状態またはオフ状態に設定するように構成したため、データ保持モード時において、これらのMOSトランジスタが直列に接続され、その抵抗値が増大し、よりリーク電流(サブスレッショルド電流)を低減することができる。またこの構成において、信号Sleepおよび/Sleepをメイン電源線上の電圧(VccまたはVss)の絶対値よりも高い電圧(VppまたはVbb)に設定することにより、他方のMOSトランジスタをより強いオフ状態(より高い抵抗状態)とすることができ、確実にメイン電源線とサブ電源線の間の電流経路を遮断状態に設定することができ、よりリーク電流を低減することができる。
[実施例12]
図50は、この発明の第12の実施例である半導体記憶装置の要部の構成を示す図である。図50に示す構成においては、スタンバイサイクル時において可変インピーダンス電源線852上の電圧VCLの電圧レベルを決定する基準電圧Vref1を発生するVref1発生回路880と、この基準電圧Vref1と可変インピーダンス電圧線852上の電圧VCLと比較する比較回路884は、データ保持モード(スリープモード)時において非活性状態とされ、基準電圧Vref1の発生動作および比較動作が禁止される。
同様に、可変インピーダンス接地線854のスタンバイサイクル時の電圧VSLの電圧レベルを決定する基準電圧Vref2を発生するVref2発生回路882と、この基準電圧Vref2と電圧VSLを比較する比較回路886は、データ保持モード(スリープモード)時において非活性状態とされ、それぞれの動作が禁止される。他の構成は、図46に示す構成と同じであり、対応する部分には同一の参照番号を付し、その詳細説明は省略する。
通常動作モード時における動作は、先に図46および図47を参照して説明した動作と同じである。すなわち、通常動作モード時においては、データ保持モード指定信号/Sleepは非活性状態とされ、Vref1発生回路880、Vref2発生回路882、比較回路884および886が活性状態とされる。スイッチ回路SWaおよびSWbは、それぞれ対応の比較回路884および886の出力信号を対応のMOSトランジスタQ95aおよびQ95bのゲートへ伝達する。したがって、通常動作モード時のスタンバイサイクルにおいては、可変インピーダンス電源線852上の電圧VCLおよび可変インピーダンス接地線854上の電圧VSLはそれぞれ基準電圧Vref1およびVref2に保持される。アクティブサイクルにおいては、MOSトランジスタQ90aおよびQ90bがオン状態とされ、電圧VCLおよびVSLは電源電圧Vccおよび接地電圧Vssレベルとなる。
データ保持モード(スリープモード)においては、スイッチ回路SWaはMOSトランジスタQ95aのゲートを主電源線1に結合し、スイッチ回路SWbはMOSトランジスタQ95bのゲートを主接地線4に結合する。この状態においては、先に図46を参照して説明した第10の実施例の構成と同様、MOSトランジスタQ95aおよびQ95bがオフ状態とされ、この電流経路が遮断され、消費電流が低減される。
この第12の実施例においてはさらに、データ保持モード時においては、データ保持モード指定信号/Sleepが活性状態となり、Vref1発生回路880、Vref2発生回路882、比較回路884および886の動作が禁止される。データ保持モード(スリープモード)においてこれらの回路における電流の消費は生じず、応じて消費電流が低減される。
図51は、図50に示す比較回路884の構成の一例を示す図である。図51に示す比較回路884は、カレントミラー回路を構成するpチャネルMOSトランジスタ890aおよび890bと、電圧VCLと基準電圧Vref1との比較段を構成するnチャネルMOSトランジスタ890cおよび890dと、この比較回路884の活性/非活性を制御するためのnチャネルMOSトランジスタ890eを含む。
すなわち、MOSトランジスタ890aは、その一方導通端子(ソース)が電源端子20に接続され、そのゲートおよび他方導通端子(ドレイン)が共通に接続される。MOSトランジスタ890bは、その一方導通端子が電源端子20に接続され、そのゲートがMOSトランジスタ890aのゲートおよび他方導通端子に接続され、その他方導通端子がMOSトランジスタ890dの他方導通端子(ドレイン)に接続される。MOSトランジスタ890cは、その他方導通端子がMOSトランジスタ890aのゲートおよび他方導通端子に接続され、そのゲートに電圧VCLを受ける。MOSトランジスタ890dが、そのゲートに基準電圧Vref1を受ける。MOSトランジスタ890cおよび890dの一方導通端子(ソース)は共通に接続されかつMOSトランジスタ890eを介して接地端子30に結合される。MOSトランジスタ890eはそのゲートにデータ保持モード指定信号/Sleepを受ける。
通常動作モード時においては、データ保持モード指定信号/Sleepはハイレベルの非活性状態にあり、MOSトランジスタ890eがオン状態にある。この状態においては、電源端子20から接地端子30への電流経路が形成され、電圧VCLおよびVref1の比較動作が行なわれる。電圧VCLが基準電圧Vref1よりも高い場合には、MOSトランジスタ890cのコンダクタンスがMOSトランジスタ890dのコンダクタンスよりも大きくなり、MOSトランジスタ890cを介して流れる電流量がMOSトランジスタ890dを介して流れる電流量よりも大きくなる。MOSトランジスタ890cを介して流れる電流は、MOSトランジスタ890aを介して電源端子20から与えられる。このMOSトランジスタ890aを流れる電流のミラー電流がMOSトランジスタ890bを介して流れ、MOSトランジスタ890dへ与えられる。これにより、MOSトランジスタ890dの他方導通ノード(ドレイン)の電圧レベルが上昇し、スイッチ回路SWaへ与えられる信号の電圧レベルが上昇し、MOSトランジスタQ95a(図50参照)のコンダクタンスが小さくなり、オフ状態となる。電圧VCLが基準電圧Vref1よりも低い場合には、逆に、MOSトランジスタ890aを介して流れる電流がMOSトランジスタ890cを介して流れる電流よりも大きくなり、応じてMOSトランジスタ890dの放電する電流量がMOSトランジスタ890bから供給される電流よりも大きくなり、応じてこの比較回路884からスイッチ回路SWaへ与えられる信号の電圧レベルが低下する。これにより、図50に示すMOSトランジスタQ95aのゲート電位が低下し、そのコンダクタンスが大きくなる。
データ保持モード(スリープモード)においては、信号/Sleepが非活性状態のローレベルとなり、MOSトランジスタ890aがオフ状態とされる。これにより、電源端子20から接地端子30への電流経路が遮断され、比較回路884の比較動作が禁止される。この状態においては、比較回路884の出力する信号の電圧レベルはほぼ電源電圧Vccレベルとなる。このデータ保持モード時において、MOSトランジスタ890eをオフ状態とし、比較回路884の電源端子20から接地端子30への電流経路を遮断することにより、この比較回路884の電流消費が禁止される。
図52は、図50に示す比較回路886の構成の一例を示す図である。図52において、比較回路886は、カレントミラー回路を構成するnチャネルMOSトランジスタ892aおよび892bと、電圧VSLおよびVref2の比較段を構成するpチャネルMOSトランジスタ892cおよび892dと、この比較回路886の活性/非活性を制御するpチャネルMOSトランジスタ892eを含む。MOSトランジスタ892aは、その一方導通端子(ソース)が接地端子30に接続され、そのゲートおよびドレインが共通に接続される。MOSトランジスタ892bのソースが接地端子30に接続され、そのゲートがMOSトランジスタ892aのゲートおよびドレインに接続され、そのドレインから比較結果を示す信号が出力される。MOSトランジスタ892cは、そのゲートに電圧VSLを受け、そのドレインがMOSトランジスタ892aのゲートおよびドレインに接続される。MOSトランジスタ892dは、そのゲートに基準電圧Vref2を受け、そのドレインがMOSトランジスタ892bのドレインに接続される。MOSトランジスタ892cおよび892dのソースは共通接続され、かつMOSトランジスタ892eを介して電源端子20に結合される。MOSトランジスタ892eはそのゲートにデータ保持モード指定信号Sleepを受ける。このデータ保持モード指定信号Sleepは、データ保持モード時において活性状態のハイレベルとされる。
通常動作モード時においては、データ保持モード指定信号Sleepはローレベルであり、MOSトランジスタ892eがオン状態とされ、電源端子20から接地端子30への電流経路が形成される。電圧VSLが基準電圧Vref2よりも高い場合には、MOSトランジスタ892dのコンダクタンスがMOSトランジスタ892cのコンダクタンスよりも高くなる。MOSトランジスタ892cを介して流れる電流のミラー電流がMOSトランジスタ892aおよび892bにより形成され、この形成されたミラー電流は、MOSトランジスタ892dから供給される。このとき、MOSトランジスタ892dの供給する電流は、MOSトランジスタ892bを流れるミラー電流よりも大きいため、スイッチ回路SWbへ与えられる信号の電圧レベルが上昇し、図50に示すMOSトランジスタQ95bがオン状態となる。電圧VSLが基準電圧Vref2よりも低い場合には、逆に、MOSトランジスタ892cのコンダクタンスがMOSトランジスタ892dのコンダクタンスよりも大きくなり、MOSトランジスタ892bを介して流れる電流が、MOSトランジスタ892dから供給される電流よりも大きくなり、スイッチ回路SWbへ与えられる信号の電圧レベルが低下する。
データ保持モード(スリープモード)においては、信号Sleepが活性状態のハイレベルとなり、MOSトランジスタ892eがオフ状態とされ、電源端子20から接地端子30への電流経路が遮断される。この状態においては、この比較回路886からスイッチ回路SWbへ与えられる信号の電圧レベルはほぼ接地端子30へ与えられる電圧Vssレベルとなる。
図53は、図50に示す基準電圧発生回路880および882の構成を概略的に示す図である。図53において、基準電圧発生回路880は、電源ノード20とノード880dの間に接続される抵抗880aと、ノード880dと接地ノード30の間に直列に接続される定電流源880bおよびスイッチング素子880cを含む。スイッチング素子880cは、データ保持モード指示信号/Sleepがローレベルの活性状態のとき遮断状態となり、データ保持モード指示信号/Sleepがハイレベルの非活性状態のとき導通し、電源ノード20から接地ノード30へ電流が流れる経路を形成する。ノード880dから基準電圧Vref1が出力される。
基準電圧発生回路882は、電源ノード20とノード882dの間に順に直列に接続されるスイッチング素子882cおよび定電流源882bと、ノード882dと接地ノード30の間に接続される抵抗素子882aを含む。スイッチング素子882cは、データ保持モード指示信号/Sleepが活性状態にあり、データ保持モードを示すときには遮断状態となり、データ保持モード指示信号/Sleepが非活性状態にあり通常動作モード(データ保持モード以外の動作)を示すときスイッチング素子882cは導通状態となる。ノード882dから基準電圧Vref2が出力される。次に動作について簡単に説明する。
データ保持モード指示信号/Sleepが非活性状態のとき、スイッチング素子880cおよび882cはともに非導通状態にある。したがって、基準電圧発生回路880において、抵抗880aには電流は流れず、基準電圧Vref1は電源ノード20上に与えられた電源電圧Vccレベルとなる。基準電圧発生回路882においても、抵抗882aに電流は流れず、ノード882d上の基準電圧Vref2は接地ノード30上の接地電圧Vssレベルとなる。
データ保持モード指示信号/Sleepが非活性状態のとき、スイッチング素子880cおよび882cが導通状態とされる。したがって、基準電圧発生回路880において、抵抗880aには、定電流源880bが決定する電流I(880)が流れ、基準電圧Vref1は、Vcc−I(880)・R(880a)の電圧レベルとなる。ここで、R(880a)は、抵抗素子880aの抵抗値を示す。基準電圧発生回路882においても、抵抗素子882aへ、定電流源882bが決定する定電流I(882)が流れる。これにより、ノード882dからの基準電圧Vref2は、I(882)・R(882a)+Vssとなる。ここで、R(882a)は、抵抗素子882aの抵抗値を示す。
図54は、図53に示す基準電圧を発生する回路880および882の構成をより詳細に示す図である。
図54において、Vref1発生回路880は、そのソースが電源端子20に接続され、そのゲートがノードna1に接続されるpチャネルMOSトランジスタQra1と、そのソースがノードna1に接続され、そのゲートがMOSトランジスタQra1のドレインに接続されるpチャネルMOSトランジスタQra2と、そのドレインおよびゲートがMOSトランジスタQra2のドレインに接続され、そのソースがMOSトランジスタQra5を介して接地端子30に結合されるnチャネルMOSトランジスタQra3と、そのドレインがMOSトランジスタQra2のゲートおよびMOSトランジスタQra1のドレインに接続され、そのソースがnチャネルMOSトランジスタQra6を介して接地端子30に結合されるnチャネルMOSトランジスタQra4と、電源端子20とノードna1の間に直列に接続される抵抗RRa1、…、RRamおよびRRanを含む。MOSトランジスタQra5およびQra6のゲートへは、データ保持モード指定信号/Sleepが与えられる。
Vref1発生回路880は、さらに、電源端子20とノードna2の間に直列に接続される抵抗RRb1、…、RRbmおよびRRbnと、そのドレインがノードna2に接続され、そのゲートがMOSトランジスタQra3のゲートおよびドレインに結合されかつそのソースがMOSトランジスタQra8を介して接地端子30に接続されるnチャネルMOSトランジスタQra7を含む。MOSトランジスタQra8のゲートへは、データ保持モード指定信号/Sleepが与えられる。トランジスタQra8が図53のスイッチング素子880cに対応し、抵抗RRb1〜RRbnが図53の抵抗素子880aに対応し、残りの構成要素が定電流源880bに対応する。Vref2発生回路882の構成および動作を説明する前に、まずこのVref1発生回路880の動作について説明する。
通常動作モードにおいては、データ保持モード指定信号/Sleepがハイレベルであり、MOSトランジスタQra5、Qra6およびQra8はオン状態にされ、Vref1発生回路880においては、電源端子20から接地端子30へ電流が流れる。MOSトランジスタQra1およびQra2の電流駆動力は、MOSトランジスタQra3およびQra4の電流駆動力よりも十分大きくされる。ノードna1の電圧レベルは電源端子20の電圧レベルよりも低く、MOSトランジスタQra1を介して電流が流れる。同様、MOSトランジスタQra2を介して電流が流れる。MOSトランジスタQra3およびQra4はカレントミラー回路を構成しており、このMOSトランジスタQra2のミラー電流がMOSトランジスタQra1からMOSトランジスタQra4を介して接地端子30へ流れる。ノードna1の電圧レベルが高い場合には、MOSトランジスタQra1を流れる電流は小さくなる。一方、MOSトランジスタQra2は、そのソース電位が高くなるため、そこを介して流れる電流が大きくなる。MOSトランジスタQra3およびQra4はカレントミラー回路を構成しており、MOSトランジスタQra2を介して流れる電流が大きくなると、応じてMOSトランジスタQra4を介して流れる電流が大きくなり、MOSトランジスタQra2のゲート電位が低下する。これにより、MOSトランジスタQra2の電流がさらに大きくされ、ノードna1の電圧レベルが低下する。
一方、ノードna1の電圧レベルが低い場合には、MOSトランジスタQra1を流れる電流が大きくなる。MOSトランジスタQra2は、そのソース電位が低いため、その供給電流が小さくなり、応じてMOSトランジスタQra4を介して流れるミラー電流が小さくなり、MOSトランジスタQra2のゲート電位が上昇し、このMOSトランジスタQra2を介して流れる電流がさらに小さくされる。これにより、ノードna1の電圧レベルが上昇する。
上述の動作により、ノードna1の電圧レベルは一定の電圧レベルに設定される。MOSトランジスタQra1およびQra2の電流駆動力は、MOSトランジスタQra3およびQra4の電流駆動力よりも十分大きくされる。この場合、定常状態においては、MOSトランジスタQra1のソース−ゲート間電圧はそのしきい値電圧の絶対値Vthpに等しくなる。このノードna1から接地端子30へ流れる電流は、電源端子20から抵抗RRa1〜RRanの抵抗体を介して供給される。ノードna1の電圧がVcc−Vthpであるため、抵抗RRa1〜RRanの合成抵抗をRAとすると、電源端子20からノードna1を介して接地端子30へ流れる電流IAは、次式で与えられる。
IA=Vthp/RA
出力段においては、MOSトランジスタQra7はMOSトランジスタQra3とカレントミラー回路を構成している。したがって、MOSトランジスタQra3およびQra7の電流駆動力が等しい場合には、トランジスタQra7およびQra8を介して電流IAが流れる。この電流IAは、抵抗RRb1〜RRbnの抵抗体を介して流れる。したがって、基準電圧Vref1は、抵抗RRb1〜RRbnの合成抵抗をRBとすると次式で与えられる。
Vref1=Vcc−IA・RB=Vcc−Vthp・RB/RA
すなわち、基準電圧Vref1は、電源電圧VccからVthp・RB/RA低い電圧レベルとなる。一例として、Vthp・RB/RAの値として、0.15V程度の値が用いられる。
データ保持モードにおいては、データ保持モード指定信号/Sleepがローレベルとなり、MOSトランジスタQra5、Qra6およびQra8がすべてオフ状態とされ、電圧端子20から接地端子30への電流経路が遮断される。この状態においては、基準電圧Vref1は、電源端子20へ与えられる電源電圧Vccレベルに上昇し、基準電圧発生動作が禁止される。MOSトランジスタQra5、Qra6およびQra8をオフ状態とし、電流経路を遮断することにより、Vref1発生回路880における電流の消費を禁止する。
Vref2発生回路882は、電源端子20に接続されるソースと、ノードna1に接続されるゲートとを有するpチャネルMOSトランジスタQrb1と、ノードnb1に接続されるソースと、MOSトランジスタQrb1のドレインに接続されるゲートとを有するpチャネルMOSトランジスタQrb2と、MOSトランジスタQrb2のドレインに接続されるゲートおよびドレインと、MOSトランジスタQrb5を介して接地端子30に接続されるソースとを有するnチャネルMOSトランジスタQrb3と、MOSトランジスタQrb2のゲートおよびMOSトランジスタQrb1のドレインに接続されるドレインと、MOSトランジスタQrb6を介して接地端子30に結合されるソースとを有するnチャネルMOSトランジスタQrb4を含む。MOSトランジスタQrb5およびQrb6のゲートへは、データ保持モード指定信号/Sleepが与えられる。
Vref2発生回路882は、さらに、データ保持モード指定信号/Sleepを反転するインバータIVRと、ノードnb1に接続されるゲートと、ノードnb2に接続されるドレインと、MOSトランジスタQrb8を介して電源端子20に結合されるソースとを有するpチャネルMOSトランジスタQrb7と、電源端子20とノードnb1の間に直列に接続される抵抗RRc1、…、RRcmおよびRRcnと、接地端子30とノードnb2の間に直列に接続される抵抗RRd1、…、RRdmおよびRRdnを含む。図53の構成との対応において、抵抗RRd1〜RRdnが抵抗素子882aに対応し、トランジスタQrb8がスイッチング素子882cに対応し、残りの構成要素が定電流源882bに対応する。ノードnb2から基準電圧Vref2が出力される。MOSトランジスタQrb1〜Qrb6および抵抗RRc1〜RRcnを含む部分の構成は、Vref1発生回路880の対応の部分の構成と同じである。したがって、ノードnb1の電圧レベルは、通常動作モード時においては、Vcc−Vthpとなる。このノードnb1上の電圧がMOSトランジスタQrb7のゲートへ与えられる。通常動作モード時においては、インバータIVRの出力信号はローレベルであり、MOSトランジスタQrb8がオン状態にある。MOSトランジスタQrb7はそのゲートにノードnb1上の電圧を受けており、MOSトランジスタQrb1と同じ大きさの電流を供給する(MOSトランジスタQrb1およびQrb7が同じサイズのとき)。したがって、このMOSトランジスタQrb7を介して流れる電流も一定となる。MOSトランジスタQrb7を介して流れる電流をID、抵抗RRd1〜RRdnの合成抵抗をRDとすると、基準電圧Vref2は次式で与えられる。
Vref2=Vss+ID・RD=Vss+Vthp・RD/RC
ここで、RCは、抵抗RRc1〜RRcnの合成抵抗を示す。
データ保持モード時においては、信号/Sleepがローレベルとなり、インバータIVRの出力信号がハイレベルとなる。したがって、MOSトランジスタQrb5、Qrb6、およびQrb8がオフ状態となり、このVref2発生回路882において電源端子20から接地端子30へ流れる電流経路が遮断される。この状態においては、基準電圧Vref2は接地端子30上に与えられる電圧Vssレベルとなる。
なお、図51ないし図54に示す構成において、電源端子20および接地端子30は、それぞれ主電源線1および主接地線4で置換えられてもよい。
[変更例1]
図55は、この発明の第12の実施例の第1の変更例の構成を示す図である。図55に示す構成においては、主電源線1と可変インピーダンス電源線852の間に、pチャネルMOSトランジスタQ97aおよびQ95aが直列に接続される。MOSトランジスタQ97aのゲートへはデータ保持モード指定信号Sleepが与えられる。MOSトランジスタQ95aのゲートへは、比較回路884の出力信号が与えられる。主接地線4と可変インピーダンス接地線854の間に、nチャネルMOSトランジスタQ97bおよびQ95bが直列に接続される。MOSトランジスタQ97bのゲートへはデータ保持モード指定信号/Sleepが与えられる。MOSトランジスタQ95bのゲートへは、比較回路886の出力信号が与えられる。比較回路884は、Vref1発生回路880の出力する基準電圧Vref1と可変インピーダンス電源線852上の電圧VCLを比較する。比較回路886は、Vref2発生回路882の出力する基準電圧Vref2と可変インピーダンス接地線854上の電圧VSLを比較する。この回路880、882、884および886は図50ないし図54に示す構成と同様の構成を備え、データ保持モード指定信号/Sleepの活性化時においては非活性状態とされ、動作が禁止される。この図55に示す構成においても、データ保持モード時において回路880、882、884および886の動作が禁止されるため、データ保持モード時における消費電流を低減することができる。通常動作サイクル時における動作は、先の図49に示す構成の動作と同じであり、その説明は省略する。
[変更例2]
図56は、この発明の第12の実施例の第2の変更例の構成を示す図である。図56に示す構成においては、図50に示すインバータIV90およびIV91がCMOSインバータの構成を備える。
インバータIV90は、ノードa10に接続されるゲートと、主電源線1に接続されるソースと、ノードa11に接続されるドレインと、主電源線1に接続される基板領域(ウェル領域、または半導体層)を有するpチャネルMOSトランジスタQ90Pと、ノードa10に接続されるゲートと、ノードa11に接続されるドレインと、可変インピーダンス接地線854に接続されるソースと、可変インピーダンス接地線854に接続される基板領域を有するnチャネルMOSトランジスタQ90Nを含む。
インバータIV91は、ノードa11に接続されるゲートと、可変インピーダンス電源線852に接続されるソースと、ノードa12に接続されるドレインと、可変インピーダンス電源線852に接続される基板領域を有するpチャネルMOSトランジスタQ91Pと、ノードa11に接続されるゲートと、ノードa12に接続されるドレインと、主接地線4に接続されるソースと、主接地線4に接続される基板領域を有するnチャネルMOSトランジスタQ91Nを含む。MOSトランジスタQ90aの電流駆動力は、MOSトランジスタQ95aの電流駆動力よりも十分大きくされる。同様に、MOSトランジスタQ90bの電流駆動力は、MOSトランジスタQ95bの電流駆動力よりも十分に大きくされる。この図56に示す構成において、他の構成は、図50に示す構成と同じである。
図56に示す構成の場合、MOSトランジスタQ90P、Q91P、Q90NおよびQ91Nは、そのソースと基板領域が同一電位に保持される。これにより、これらのトランジスタのバックゲートバイアス効果の影響を排除し、所望の定しきい値電圧を、通常動作モード時およびデータ保持モード時いずれにおいても維持する。このMOSトランジスタQ90PおよびQ91Pのしきい値電圧はたとえば−0.5Vに設定され、MOSトランジスタQ90NおよびQ91Nのしきい値電圧はたとえば0.35Vに保持される。いずれの動作モード時においても、これらの定しきい値トランジスタのしきい値電圧を安定に維持することができ、所望の動作特性および消費電流特性を実現することができる。
[変更例3]
図57は、この発明の第12の実施例の第3の変更例の構成を示す図である。この図57に示す構成は、図56に示す構成と、インバータIV90およびIV91に含まれる構成要素であるMOSトランジスタの基板領域の接続形態が異なる。この図57に示す構成においては、インバータIV90に含まれるnチャネルMOSトランジスタQ92Nの基板領域が主接地線4に接続される。pチャネルMOSトランジスタQ92Pの基板領域は、図56の場合と同様、主電源線1に接続される。インバータIV91においては、pチャネルMOSトランジスタQ93Pの基板領域が主電源線1に接続される。nチャネルMOSトランジスタQ93Nの基板領域は主接地線4に接続される。この図57に示す構成は、先に図45において示したインバータIV80〜IV82の接続形態と電気的に等価である。先に、図42を参照して説明したように、基板領域には大きな接合容量が付随する。したがって、内部回路であるインバータIV90およびIV91の構成要素であるMOSトランジスタの基板領域を主電源線1または主接地線4に接続することにより、可変インピーダンス電源線852および可変インピーダンス接地線854の寄生容量を低減することができる。これにより、データ保持モードから通常動作モードへの移行時において、可変インピーダンス電源線852および可変インピーダンス接地線854の電位回復を高速に行なうことができる。さらに、サブスレッショルド電流を生じさせるMOSトランジスタQ92NおよびQ93Pが基板領域を主接地線4および主電源線1にそれぞれ接続することにより、これらのトランジスタQ92NおよびQ93Pにおいて、バックゲートバイアス効果が生じ、これらのトランジスタQ92NおよびQ93Pをより深いオフ状態とすることができ、よりサブスレッショルド電流を低減することができる。これにより、データ保持モード時における消費電流をより低減することができる。
なお、図56および図57に示す構成において、MOSトランジスタQ95aおよびQ95bは、それぞれスイッチ回路SWaおよびSWbがそのゲートに接続されている。この構成に代えて、図56および図57に示す内部回路であるインバータの構成と、図55に示す構成とが組合せられてもよい。
以上のように、この発明の第12の実施例の構成に従えば、データ保持モード時において、基準電圧を発生する回路880および882と、比較回路884および886を非活性状態とし、これらの回路の動作を禁止しているため、これらの回路における消費電流が生じず、データ保持モードにおける消費電流をより低減することができる。
[実施例13]
図58は、この発明の第13の実施例である半導体記憶装置の要部の構成を示す図である。図58に示す構成においては、スタンバイサイクル時の可変インピーダンス電源線852上の電圧VCLおよび可変インピーダンス接地線854上の電圧VSLを決定する基準電圧Vref1およびVref2の電圧レベルが、この半導体記憶装置の製造後調整可能とされる。すなわち、基準電圧Vref1を発生するトルマブル基準電圧発生回路890および基準電圧Vref2を発生するトリマブル基準電圧発生回路892は、それぞれが発生する基準電圧Vref1およびVref2の電圧レベルが半導体記憶装置の製造工程完了後に調整するための構成を備える。このトリマブル基準電圧発生回路890および892の詳細構成については後に説明する。
図58に示すように、基準電圧Vref1およびVref2の電圧レベルを製造工程完了後調整可能とすることにより、製造工程における各種パラメータ(抵抗値のずれ、トランジスタのしきい値電圧のずれ、ゲート長およびゲート幅のずれ等)に対しても、正確に所望の電圧レベルの基準電圧Vref1およびVref2を発生することができ、たとえ製造完了後において、所望の基準電圧Vref1およびVref2の電圧レベルが実現されない場合においても、その基準電圧レベルを調整することができ、応じて不良品として処理される半導体チップの数を低減することができ、チップ歩留りが改善される。
図59は、図58に示すトリマブル基準電圧発生回路890および892の具体的構成の一例を示す図である。図59において、トリマブル基準電圧発生回路890は、図54に示すVref1発生回路880の構成に加えて、さらに、抵抗RRa1〜RRamそれぞれと並列に接続されるリンク素子LEa1〜LEamと、抵抗RRb1〜RRbmそれぞれと並列に接続されるリンク素子LEb1〜LEbmを含む。リンク素子LEa1〜LEamおよびLEb1〜LEbmの各々は、低抵抗導体でありかつ溶断可能なヒューズ素子で構成される。
トリマブル基準電圧発生回路892も、図54に示すVref2発生回路882の構成に加えて、さらに、抵抗RRc1〜RRcmそれぞれと並列に設けられるリンク素子LEc1〜LEcmと、抵抗RRd1〜RRdm各々と並列に接続されるリンク素子LEd1〜LEdmを含む。これらのリンク素子LEc1〜LEcmおよびLEd1〜LEdmも、溶断可能な低抵抗導体からなるヒューズ素子で構成される。トリマブル基準電圧発生回路890および892の他の構成において、図54に示す回路880および882の構成要素と対応する部分には同一の参照番号を付す。
基準電圧Vref1およびVref2のレベル調整は以下のようにして行なわれる。まず、予め複数の基準電圧調整のためのパターンが準備される。これらの複数の電圧レベル調整用パターンは、たとえば、(1)抵抗RRa1〜RRd1の抵抗値のばらつきが小さい場合に用いられるパターン、(2)これらの抵抗体の抵抗値のばらつきが大きい場合に対処するためのパターン、(3)トランジスタのβなどのパラメータのばらつきが大きい場合に対応するためのパターンを含む。ここでβは、MOSトランジスタのゲート長とゲート幅の比に比例する係数であり、MOSトランジスタの電流駆動力を示す因子である。これらのパターンは、製造工程完了後において検出される基準電圧の電圧レベルと、そのときに溶断されるべきリンク素子の位置を示す情報とを含む。
半導体記憶装置の製造工程完了後、まず製造パラメータおよび基準電圧Vref1およびVref2の電圧レベルが調べられる。次いで、この半導体記憶装置において様々な機能テスト(データ保持特性、不良メモリセルの存在の検出)が行なわれる。この機能テスト結果に従って半導体記憶装置が救済可能であるか否かの判別が行なわれる。救済可能であると判別されたときには、救済すべき部分の検出が行なわれる。通常、機能テストにおいて不良メモリセルが検出された場合、この不良メモリセルの救済は、リンク素子の溶断により冗長メモリセルで置換えることが行なわれる。この段階においては、まず機能テスト結果に基づいて、溶断すべきリンク素子の位置が決定される。
次いで、製造パラメータおよび基準電圧Vref1およびVref2の電圧レベル情報に基づいて、基準電圧調整のためのパターンが選択され、その選択されたパターンに基づいて、トリマブル基準電圧発生回路890および892において溶断すべきリンク素子の位置が計算される。
次いでこの計算結果に基づいて、トリマブル基準電圧発生回路890および892において、リンク素子LEa1〜LEd1の溶断が行なわれる。この溶断過程は、機能テストに基づいて検出された溶断されるべきリンク素子の溶断と同一工程で実行される。この溶断は、たとえばレーザビームを用いて実行される。トリマブル基準電圧発生回路890および892が出力する基準電圧Vref1およびVref2のレベル調整を、半導体記憶装置において救済または置換すべきために行なわれるリンク素子溶断工程と同一工程で実行することにより、追加の工程を必要とすることなく基準電圧Vref1およびVref2の電圧レベルを調整することができ、調整時間の増大を抑制することができる。
なお、この基準電圧Vref1およびVref2の電圧レベル決定時において、スタンバイサイクル時において電源端子20から接地端子30へ流れる電流量がまた基準電圧Vref1およびVref2の電圧レベル調整のための決定要因として利用されてもよい。次に、トリマブル基準電圧発生回路890および892における電圧レベル調整について説明する。
基準電圧Vref1は、先に説明したように、次式で与えられる。
Vref1=Vcc−Vthp・RB/RA
リンク素子LEa1〜LEamがすべて導通状態のとき、抵抗RRa1〜RRanがすべて短絡されるため、抵抗値RAが最小値となる。リンク素子LEa1〜LEamが選択的に溶断されることにより、抵抗値RAが増大する。したがって、リンク素子LEa1〜LEamを選択的に溶断することにより、基準電圧Vref1の電圧レベルが上昇する。
一方、リンク素子LEb1〜LEbmがすべて導通状態のとき、電源端子20とノードna2の間の抵抗値RBは、抵抗RRbnが与える抵抗値で決定され、最小値となる(抵抗RRb1〜RRbmがすべてリンク素子LEb1〜LEbmにより短絡されるため)。リンク素子LEb2〜LEbmを選択的に溶断することにより、この電源端子20とノードna2の間の抵抗値RBが大きくなる。この場合には、上に示した式から、基準電圧Vref1の電圧レベルが低下する。リンク素子LEa1〜LEamおよびLEb1〜LEbmを選択的に溶断することにより、所望の電圧レベルの基準電圧Vref1を発生することができる。
トリマブル基準電圧発生回路892においても同様のレベル調整が行なわれる。基準電圧Vref2は先に説明したように、次式で与えられる。
Vref2=Vthp・RD/RC
ここで、接地端子30へ与えられる接地電圧Vssは0Vと仮定している。また、トランジスタQrb1およびQrb7を流れる電流値は等しいと仮定している。
リンク素子LEc1〜LEcmを選択的に溶断することにより、抵抗値RCが大きくなり、基準電圧Vref2の電圧レベルが低下する。一方、リンク素子LEd1〜LEdmを選択的に溶断することにより、抵抗値RDが増大し、基準電圧Vref2の電圧レベルが上昇する。
上述のように、リンク素子LEa1〜LEd1を選択的に溶断することにより、所望の電圧レベルの基準電圧Vref1およびVref2を発生することができる。
なお、図59に示すトリマブル基準電圧発生回路890および892は、上で説明した第10ないし第12の実施例の構成におけるVref1発生回路880およびVref2発生回路882と置換えて用いられてもよい。先に図24、図25、図26、図34および図37に示した基準電圧発生回路として、これらのトリマブル基準電圧発生回路890および892が用いられてもよい。
以上のように、この発明の第13の実施例に従えば、スタンバイサイクルにおける可変インピーダンス電源線および可変インピーダンス接地線の電圧VCLおよびVSLの電圧レベルを決定する基準電圧Vref1およびVref2の電圧レベルを製造工程完了後、調整可能としたため、たとえ製造パラメータが変動しても、所望の電圧レベルの基準電圧を発生することができ、基準電圧レベル不良の半導体記憶装置を救済することができ、製造歩留りを向上することができる。また、この基準電圧のレベル調整を、抵抗体(抵抗素子の直列体)と並列に接続されるリンク素子の溶断により行なう構成とすることにより、容易に所望の電圧レベルの基準電圧を作製することができるとともに、不良メモリセルの救済などの他の救済プロセスと同一の工程で基準電圧レベル調整を行なうことができ、余分なレベル調整工程を必要とすることなく基準電圧のレベル調整を行なうことができる。
なお抵抗RRa1〜RRd1は、ポリシリコンの抵抗体で構成されてもよく、また、MOSトランジスタを抵抗として利用してもよい。また一方の抵抗の直列体をポリシリコン抵抗で構成し、他方の直列抵抗体の各抵抗をMOSトランジスタで形成する構成が基準電圧発生回路において用いられてもよい。
この発明は、データ保持モードを有する半導体記憶装置に対して適用することができる。特に、携帯機器などのデータ保持モード時の消費電流を低減することが強く要求される用途に対して本発明に従う半導体記憶装置を適用することにより、データ保持モード時における消費電流を大幅に低減することができる。
この発明の第1の実施例である半導体記憶装置の全体の構成を概略的に示す図である。 図1に示す半導体記憶装置のメモリセル選択動作を示す動作波形図である。 図1に示す半導体記憶装置のバッファおよび制御回路の構成を概略的に示すブロック図である。 図1に示すメモリアレイおよび入出力回路の構成を示す図である。 図3および図4に示す回路の動作を示す信号波形図である。 この発明の第1の実施例である電源回路の構成を示す図である。 図6に示す電源回路の動作を示す信号波形図である。 (A)および(B)は図6に示す電源回路の動作を説明するための図である。 (A)および(B)は図6に示す電源回路の動作を説明するための図である。 この発明の一実施例であるコラム系回路のための電源回路の構成を示す図である。 図10に示す電源回路の動作を示す信号波形図である。 図6および図10に示す電源回路の動作を併せて示す信号波形図である。 図6および図10に示すインピーダンス制御信号を発生するためのシーケンスを示す図である。 図13に示す制御信号発生シーケンスを実現するための制御信号発生系の構成を示す図である。 この発明の第1の実施例の第1の変形例に使用される多入力NAND回路の構成の一例を示す図である。 図15に示す2入力NAND回路に対する可変インピーダンス電源線および可変インピーダンス接地線の接続を示す図である。 この発明の第1の実施例において変形例として用いられる2入力NAND回路に対する電源供給の接続部を示す図である。 この発明の第1の実施例の変形例において用いられる2入力NOR回路の構成および出力信号の論理レベルの変化を示す図である。 図18に示す2入力NOR回路の電源供給の接続形態を示す図である。 図18に示す2入力NOR回路の出力信号の論理レベルに応じた電源供給の接続態様を示す図である。 この発明の第1の実施例の第2の変更例におけるロウ系回路のための電源回路の構成を示す図である。 図21に示す電源回路の動作を示す信号波形図である。 (A)は図21に示す制御信号を発生するための構成を示し、(B)は(A)に示す回路の動作を示す信号波形図である。 (A)はこの発明の第2の実施例である電源回路の構成を示し、(B)はその動作波形を示す図である。 この発明の第2の実施例である電源回路の構成およびその動作波形を示す図である。 この発明の第2の実施例である電源回路の全体の構成を示す図である。 この発明の第3の実施例である電源回路の構成を示す図である。 図27に示す電源回路の動作を示す信号波形図である。 図27に示す制御信号を発生するための構成を示す図である。 図29に示す回路の動作を示す信号波形図である。 この発明の第4の実施例が適用されるDRAMの全体の構成を示す図である。 この発明の第4の実施例である電源回路の構成を示す図である。 図32に示す電源回路の構成の一例を示す図である。 この発明の第5の実施例である半導体装置の要部の構成を示す図である。 図34に示す半導体装置の動作を示す信号波形図である。 図34に示すインバータ回路の概略断面構造を示す図である。 この発明の第5の実施例の変形例を示す図である。 この発明の第6の実施例である半導体装置の要部の構成を示す図である。 図38に示す半導体装置の動作を示す信号波形図である。 図38に示す主電源線と可変インピーダンス電源線を接続するトランジスタの基板バイアス発生回路の構成の一例を示す図である。 図38に示す可変インピーダンス接地線と主接地線とを接続するトランジスタの基板バイアス電圧を発生回路の構成の一例を示す図である。 図38に示す主電源線と可変インピーダンス電源線とを接続するトランジスタの断面構造を示す図である。 この発明の第7の実施例である可変インピーダンス電源線と主電源線とを接続するトランジスタの断面構造を概略的に示す図である。 この発明の第8の実施例の半導体装置の要部の構成を示す図である。 この発明の第9の実施例である半導体装置の要部の構成を示す図である。 この発明の第10の実施例である半導体記憶装置の要部の構成を示す図である。 図46に示す半導体装置の動作を示す波形図である。 図46に示すスイッチ回路の構成の一例を示す図である。 この発明の第11の実施例である半導体記憶装置の要部の構成を示す図である。 この発明の第12の実施例である半導体記憶装置の要部の構成を示す図である。 図50に示す基準電圧Vref1と電圧VCLとを比較する比較回路の構成の一例を示す図である。 図50に示す基準電圧Vref2と電圧VSLとを比較する回路の構成の一例を示す図である。 図50に示す基準電圧発生回路の構成を概略的に示す図である。 図53に示す基準電圧Vref1およびVref2を発生する回路の詳細構成の一例を示す図である。 この発明の第12の実施例の第1の変更例の構成を示す図である。 この発明の第12の実施例の第2の変更例の構成を示す図である。 この発明の第12の実施例の第3の変更例の構成を示す図である。 この発明の第13の実施例である半導体記憶装置の要部の構成を示す図である。 図58に示すトリマブル基準電圧発生回路の具体的構成を示す図である。 従来のCMOSインバータの構成を示す図である。 MOSトランジスタのサブスレッショルド電流特性を示す図である。 従来の可変インピーダンス電源線の構成を示す図である。 図62に示す電源回路の動作を示す信号波形図である。
符号の説明
1 主電源線、4 主接地線、20 第1の電源ノード、30 第2の電源ノード、100 メモリセルアレイ、102 アドレスバッファ、104 行選択回路、106 列選択回路、108 入出力回路、120 電源電圧供給回路、130 接地電圧供給回路、110 制御回路、2 可変インピーダンス電源線、3 可変インピーダンス電源線、5 可変インピーダンス接地線、6 可変インピーダンス接地線、Q3,Q4 pチャネルMOSトランジスタ、Q5,Q6 nチャネルMOSトランジスタ、R1〜R4 抵抗素子、Q7 pチャネルMOSトランジスタ、Q8 nチャネルMOSトランジスタ、Ra3,Rb3 抵抗素子、FR1〜FRn,FC1〜FCn インバータ、304 センスアンプ活性化信号発生回路、306 インターロック信号発生回路、308 インピーダンス制御信号発生回路、314a,314b,314c ロウ系電源回路、320 コラム系電源回路、335 2入力NAND回路、345 2入力NOR回路、402,403 可変インピーダンス電源線、405,406 可変インピーダンス接地線、Q10,Q12 pチャネルMOSトランジスタ、Q11,Q13 nチャネルMOSトランジスタ、R10〜R13 抵抗素子、450,452,454 ロウ系回路、500 可変インピーダンス電源線、501 差動増幅器、505 可変インピーダンス接地線、506 差動増幅器、500a,500b 可変インピーダンス電源線、505a,505b 可変インピーダンス接地線、501a,501b,506a,506b 差動増幅器、Q20a,Q21a,Q20b,Q21b pチャネルMOSトランジスタ、Q22a,Q23a,Q22b,Q23b nチャネルMOSトランジスタ、600,601 可変インピーダンス電源線、602,603 可変インピーダンス接地線、610 定電圧発生回路、Q33,Q31 pチャネルMOSトランジスタ、Q34,Q32 nチャネルMOSトランジスタ、Raa,Rab,Rba,Rbb 抵抗素子、654 保持モード検出回路、656 リフレッシュ制御回路、668 インターロック信号発生回路、662 制御信号発生回路、664 制御信号発生回路、700−1〜700−n 電源回路、710 ブロック選択信号発生回路、720 インピーダンス変更制御信号発生回路、731,732 可変インピーダンス電源線、733,734 可変インピーダンス接地線、Q40〜Q43 pチャネルMOSトランジスタ、Q45〜Q48 nチャネルMOSトランジスタ、R40〜R43 抵抗素子、762a,762b 差動増幅器、Q50a,Q50b,Q60a,Q60b スイッチング用MOSトランジスタ、PQ50〜PQ52,Q80p〜Q82p SOI構造pチャネルMOSトランジスタ、NQ50〜NQ52,Q80n〜Q82n SOI構造nチャネルMOSトランジスタ、760 可変インピーダンス電源線、761a,761b 差動増幅器、762 可変インピーダンス接地線、765 半導体基板、766 絶縁層、764 半導体層、Q60a,Q60b スイッチングMOSトランジスタ、810 半導体層、811 絶縁層、812,814 不純物領域、813 基板領域(ボディ領域)、820 可変インピーダンス電源線、822
可変インピーダンス接地線、824,826 電圧調整器、Q90a,Q95a pチャネルMOSトランジスタ、Q90b,Q95b nチャネルMOSトランジスタ、SWa,SWb スイッチ回路、854,856 比較回路、860 Vref1発生回路、862 Vref2発生回路、Q97a pチャネルMOSトランジスタ、Q97b nチャネルMOSトランジスタ、IV90,IV91 インバータ、880 Vref1発生回路、882 Vref2発生回路、884,886 比較回路、890,892 トリマブル基準電圧発生回路。

Claims (4)

  1. メイン電源線とサブ電源線とを有する半導体記憶装置であって、
    前記サブ電源線上の電圧を一方動作電源電圧として動作する論理ゲートを含む内部回路と、
    前記メイン電源線と前記サブ電源線との間に接続され、前記論理ゲートを活性化させる動作サイクル規定信号に応答して導通して前記メイン電源線と前記サブ電源線とを電気的に接続するスイッチングトランジスタと、
    基準電圧を発生するための基準電圧発生手段と、
    前記サブ電源線上の電圧と前記基準電圧発生手段からの基準電圧とを比較し、該比較結果に従った信号を出力する比較手段と、
    前記メイン電源線と前記サブ電源線との間に設けられ、前記比較手段からの出力信号に従ってその抵抗値が変化する可変抵抗手段と、
    前記半導体記憶装置の外部からのアクセスを禁止しかつその記憶データのみを保持するデータ保持モードを指定するデータ保持モード指定信号の活性化に応答して、前記比較手段の出力信号にかかわらず前記可変抵抗手段を高抵抗の状態とする制御手段とを備え、(i)前記データ保持モード指定信号の活性化中には、前記サブ電源線の電圧は、前記高抵抗の状態の可変抵抗手段を介して流れるリーク電流および前記スイッチングトランジスタのオフ状態のリーク電流と前記論理ゲートの構成要素のトランジスタを介して流れるリーク電流とにより決定される電圧レベルに維持され、かつ前記記憶データを保持するために前記論理ゲートを動作させる必要のあるリフレッシュ動作時には、前記動作サイクル規定信号により前記スイッチングトランジスタが導通状態とされて前記メイン電源線と前記サブ電源線とが電気的に接続され、(ii)前記データ保持モード指定信号の非活性化中には、前記メイン電源線と前記サブ電源線とは前記比較手段の出力信号により規定される抵抗値を有する前記可変抵抗手段を介して結合される、半導体記憶装置。
  2. 前記可変抵抗手段は、前記メイン電源線と前記サブ電源線との間に接続される絶縁ゲート型電界効果トランジスタを備え、
    前記制御手段は、
    前記データ保持モード指定信号が活性化されて前記データ保持モードを指定するとき、前記比較手段の出力と前記絶縁ゲート型電界効果トランジスタの制御電極ノードとを分離しかつ前記制御電極ノードへ前記メイン電源線上の電圧の絶対値以上の絶対値を有する電圧を伝達する手段を備える、請求項1記載の半導体記憶装置。
  3. 前記可変抵抗手段は、
    前記比較手段からの出力信号を制御電極ノードに受ける第1の絶縁ゲート型電界効果トランジスタを備え、
    前記制御手段は、
    前記第1の絶縁ゲート型電界効果トランジスタと直列に接続され、前記データ保持モード指定信号の活性化時非導通状態とされる第2の絶縁ゲート型電界効果トランジスタを備える、請求項1記載の半導体記憶装置。
  4. 前記内部回路は、前記メイン電源線と前記サブ電源線とに交互に結合され、各々が前段回路の出力信号に所定の論理処理を施して出力する複数段の縦続接続される複数の論理ゲートを含む、請求項1から3のいずれかに記載の半導体記憶装置。
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