JP4049574B2 - 複合先染糸 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ラメ糸の持つ光沢感及び意匠性を有し、ストレッチ性に優れ、風合いがソフトなポリトリメチレンテレフタレート繊維で構成された先染糸に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
金属光沢のあるラメ糸は高級感やファッション性を持たせるための装飾糸として用いられている。ラメ糸は、織編物にそのまま使用されるだけでなく、ポリエチレンテレフタレート繊維等との複合加工糸として使用されている場合が多く、ポリエチレンテレフタレート繊維等が染色された、いわゆる先染糸として用いられている。
【0003】
ラメ糸はポリエステル等の合成樹脂フィルムに金属を蒸着等によりメッキし、スリットした扁平糸である。ラメ糸は、天然繊維や合成繊維に比べて風合いが硬く、ラメ糸自身は殆ど伸びないため、ポリエチレンテレフタレート繊維等との複合加工糸として織編物に用いた場合、ストレッチ性(伸び易さと伸びた後の回復のしやすさ)に劣り、風合いも硬いという問題があった。
特開昭60−59146号公報には、スパンデックス弾性糸を伸長させた状態でラメ糸を巻きつけ、弾性糸の弾性収縮により伸縮性のある装飾糸が提案されている。
【0004】
しかしながら、この装飾糸を織編物に用いると、伸縮性には優れるものの、収縮によって布帛密度が高くなるため衣料として用いると重たく感じるばかりか、長期間保管するとスパンデックスが脆化するといった欠点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ラメ糸の持つ光沢感及び意匠性を有し、織編物に用いた場合にも風合がソフトでストレッチ性に優れる複合先染糸を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は下記の通りである。
(1)ラメ糸と、染色されたポリトリメチレンテレフタレート繊維の捲縮糸から構成され、かつ、10%伸長時の弾性回復率が60%以上であり、捲縮伸長率が10%以上の捲縮糸であることを特徴とする複合先染糸。
)複合先染糸は、0.8826cN/dtexの荷重下での伸びが5%以上であることを特徴とする(1)記載の複合先染糸。
【0007】
)ラメ糸と、少なくとも1成分がポリトリメチレンテレフタレートからなる、染色された潜在捲縮発現性ポリエステル繊維から構成され、かつ、10%伸長時の弾性回復率が60%以上であり、捲縮伸長率が10%以上の捲縮糸であることを特徴とする複合先染糸。
)複合先染糸は、0.8826cN/dtexの荷重下での伸びが5%以上であることを特徴とする()に記載の複合先染糸。
(5) ラメ糸とポリトリメチレンテレフタレート繊維からなる複合糸をカセに巻き、熱リラックス処理を行った後にカセ染色を行い、送り出しローラーのついた巻き取り機でコーンに巻き取ることを特徴とする、10%伸長時の弾性回復率が60%以上であり、捲縮伸長率が10%以上である複合先染糸の製造方法。
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の第一は、ラメ糸と、染色されたポリトリメチレンテレフタレート繊維から構成され、かつ、10%伸長時の弾性回復率が60%以上であることを特徴とする複合先染糸である。
ポリトリメチレンテレフタレート繊維とは、トリメチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し単位とするポリエステル繊維をいい、トリメチレンテレフタレート単位を50モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、最も好ましくは90モル%以上含むものをいう。したがって、第三成分として、他の酸成分及び/又はグリコール成分の合計量が50モル%以下、好ましくは30モル%以下、より好ましくは20モル%以下、最も好ましくは10モル%以下の範囲で含有されたポリトリメチレンテレフタレートを包含する。
【0009】
ポリトリメチレンテレフタレート繊維の特性として、強度は、好ましくは2〜5cN/dtex、より好ましくは2.5〜4.5cN/dtex、最も好ましくは3〜4.5cN/dtexである。伸度は、好ましくは30〜60%、より好ましくは35〜55%、最も好ましくは40〜55%である。弾性率は、好ましくは30cN/dtex以下、より好ましくは10〜30cN/dtex、最も好ましくは12〜28cN/dtex、さらに好ましくは15〜25cN/dtexである。20%伸長時の弾性回復率は、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、最も好ましくは80%以上、さらに好ましくは85%以上である。
【0010】
ポリトリメチレンテレフタレートは、テレフタル酸又はその機能的誘導体と、トリメチレングリコール又はその機能的誘導体とを、触媒の存在下で、適当な反応条件下に結合せしめることにより合成される。この合成過程において、適当な一種又は二種以上の第三成分を添加して共重合ポリエステルとしてもよい。
添加する第三成分としては、脂肪族ジカルボン酸(シュウ酸、アジピン酸等)、脂環族ジカルボン酸(シクロヘキサンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(イソフタル酸、ソジウムスルホイソフタル酸等)、脂肪族グリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、テトラメチレングリコール等)、脂環族グリコール(シクロヘキサンジメタノール等)、芳香族を含む脂肪族グリコール(1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等)、ポリエーテルグリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等)、脂肪族オキシカルボン酸(ω−オキシカプロン酸等)、芳香族オキシカルボン酸(P−オキシ安息香酸等)等がある。又、1個又は3個以上のエステル形成性官能基を有する化合物(安息香酸等又はグリセリン等)も重合体が実質的に線状である範囲内で使用できる。
【0011】
さらに二酸化チタン等の艶消剤、リン酸等の安定剤、ヒドロキシベンゾフェノン誘導体等の紫外線吸収剤、タルク等の結晶化核剤、アエロジル等の易滑剤、ヒンダードフェノール誘導体等の抗酸化剤、難燃剤、制電剤、顔料、蛍光増白剤、赤外線吸収剤、消泡剤等が含有されていてもよい。
本発明に用いられるポリトリメチレンテレフタレート繊維の紡糸法は、例えば、特願第2000−522304号等に記載されており、1500m/分程度の巻取り速度で未延伸糸を得た後、2〜3.5倍程度で延撚する方法、紡糸−延撚工程を直結した直延法(スピンドロー法)、巻取り速度5000m/分以上の高速紡糸法(スピンテイクアップ法)等、何れの方法を採用してもよい。
【0012】
本発明の第二は、ラメ糸と、少なくとも1成分がポリトリメチレンテレフタレートからなる、染色された潜在捲縮発現性ポリエステル繊維から構成され、かつ、10%伸長時の弾性回復率が60%以上であることを特徴とする複合先染糸である。
少なくとも1成分がポリトリメチレンテレフタレートからなる潜在捲縮発現性ポリエステル繊維(以下、潜在捲縮発現性ポリエステル繊維、と略す)とは、少なくとも一種のポリトリメチレンテレフタレートと、少なくとも一種の、前記のポリトリメチレンテレフタレートとは異なるポリエステル成分で構成(具体的には、サイドバイサイド型又は偏芯芯鞘型に接合されたものが多い)されているものであり、熱処理によって捲縮を発現するものである。
【0013】
二種の成分で構成されている場合の二成分の質量比(一般的に70/30〜30/70の範囲内のものが多い)、接合面形状(直線又は曲線形状のものがある)は限定されない。
このような繊維の例として、特開2001−40537号公報に開示されているようなポリトリメチレンテレフタレートを一成分とするものがある。すなわち、ポリトリメチレンテレフタレートを含む二種のポリエステルポリマーがサイドバイサイド型又は偏芯芯鞘型に接合された複合繊維であり、サイドバイサイド型の場合、二種のポリエステルポリマーの溶融粘度比は1.00〜2.00が好ましく、偏芯芯鞘型の場合は、鞘ポリマーと芯ポリマーのアルカリ減量速度比は、3倍以上、鞘ポリマーの方が速いことが好ましい。
【0014】
具体的なポリマーの組み合わせとしては、ポリトリメチレンテレフタレート(テレフタル酸を主たるジカルボン酸とし、1.3−プロパンジオールを主たるグリコール成分とするポリエステルであり、エチレングリコール、ブタンジオール等のグリコール類やイソフタル酸、2.6−ナフタレンジカルボン酸等のジカルボン酸等を共重合してもよい。さらに、他のポリマー、艶消剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料等の添加剤を含有してもよい)とポリエチレンテレフタレート(テレフタル酸を主たるジカルボン酸とし、エチレングリコールを主たるグリコール成分とするポリエステルであり、ブタンジオール等のグリコール類やイソフタル酸、2.6−ナフタレンジカルボン酸等のジカルボン酸等を共重合してもよい。又、他ポリマー、艶消剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料等の添加剤を含有してもよい。)との組み合わせ、及びポリトリメチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレート(テレフタル酸を主たるジカルボン酸とし、1.4−ブタンジオールを主たるグリコール成分とするポリエステルであり、エチレングリコール等のグリコール類やイソフタル酸、2.6−ナフタレンジカルボン酸等のジカルボン酸等を共重合してもよい。又、他ポリマー、艶消剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料等の添加剤を含有してもよい。)との組み合わせが好ましく、特に、捲縮の内側にポリトリメチレンテレフタレートが配置されることが好ましい。
【0015】
潜在捲縮発現性ポリエステル繊維の例として、上記特開2001−40537号公報以外にも、特公昭43−19108号公報、特開平11−189923号公報、特開2000−239927号公報、特開2000−256918号公報、特開2000−328382号公報、特開2001−81640号公報等には、第一成分として、ポリトリメチレンテレフタレート、第二成分として、第一成分とは異なるポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルを、並列的又は偏芯的に配置したサイドバイサイド型又は偏芯鞘芯型複合繊維が開示されている。特に、ポリトリメチレンテレフタレートと共重合ポリトリメチレンテレフタレートの組み合わせや、極限粘度の異なる二種類のポリトリメチレンテレフタレートの組み合わせが好ましい。
【0016】
本発明の潜在捲縮発現性ポリエステル繊維の初期引張抵抗度は、好ましくは10〜30cN/dtex、より好ましくは20〜30cN/dtex、最も好ましくは20〜27cN/dtexである。初期引張抵抗度が10cN/dtex未満のものは製造が困難である。本発明の潜在捲縮発現性ポリエステル繊維の顕在捲縮の伸縮伸長率は、好ましくは10〜100%、より好ましくは10〜80%最も好ましくは10〜60%である。顕在捲縮の伸縮弾性率は、好ましくは80〜100%、より好ましくは85〜100%、最も好ましくは85〜97%である。
【0017】
さらに、本発明の潜在捲縮発現性ポリエステル繊維の100℃における熱収縮応力は、好ましくは0.1〜0.5cN/dtex、より好ましくは0.1〜0.4cN/dtex、最も好ましくは0.1〜0.3cN/dtexである。100℃における熱収縮応力は、布帛の精練、染色工程において捲縮を発現させるための重要な要件である。すなわち、布帛の拘束力に打ち勝って捲縮が発現するためには、100℃における熱収縮応力が0.1cN/dtex以上であることが好ましい。
【0018】
本発明の潜在捲縮発現性ポリエステル繊維の熱水処理後の伸縮伸長率は、好ましくは100〜250%、より好ましくは150〜250%、最も好ましくは180〜250%である。熱水処理後の伸縮弾性率は、好ましくは90〜100%、より好ましくは95〜100%である。
このような特性を有する潜在捲縮発現性ポリエステル繊維としては、固有粘度の異なる2種類のポリトリメチレンテレフタレートが互いにサイドバイサイド型に複合された複合繊維があげられる。
【0019】
2種類のポリトリメチレンテレフタレートの固有粘度差は0.05〜0.4(dl/g)であることが好ましく、より好ましくは0.1〜0.35(dl/g)、最も好ましくは0.15〜0.35(dl/g)である。例えば、高粘度側の固有粘度を0.7〜1.3(dl/g)から選択した場合には、低粘度側の固有粘度は0.5〜1.1(dl/g)が好ましく、低粘度側の固有粘度は0.8(dl/g)以上が好ましく、より好ましくは0.85〜1.0(dl/g)、最も好ましくは0.9〜1.0(dl/g)である。
【0020】
この複合繊維の平均固有粘度は、好ましくは0.7〜1.2(dl/g)、より好ましくは0.8〜1.2(dl/g)、最も好ましくは0.85〜1.15(dl/g)、さらに好ましくは0.9〜1.1(dl/g)である。
なお、本発明でいう固有粘度の値は、使用するポリマーではなく、紡糸されている糸の粘度をいう。この理由は、ポリトリメチレンテレフタレート特有の欠点として、ポリエチレンテレフタレート等と比較して熱分解が生じ易く、高い固有粘度のポリマーを使用しても熱分解によって固有粘度が著しく低下し、複合マルチフィラメントにおいては、両者の固有粘度差を大きく維持することが困難であるためである
本発明において潜在捲縮発現性ポリエステル繊維の紡糸法については、上記の各種特開に開示されており、例えば、3000m/分以下の巻取り速度で未延伸糸を得た後、2〜3.5倍程度で延撚する方法が好ましいが、紡糸−延撚工程を直結した直延法(スピンドロー法)、巻取り速度5000m/分以上の高速紡糸法(スピンテイクアップ法)を採用してもよい。
【0021】
本発明のポリトリメチレンテレフタレート繊維及び潜在捲縮発現性ポリエステル繊維の全繊度は、好ましくは20〜300dtex、単繊維繊度は、好ましくは0.1〜20dtex、より好ましくは0.5〜20dtexであるが、これに限定されるものではない。
繊維形態は、長繊維が好ましく、長さ方向に均一なものや太細のあるものでもよく、単繊維の断面形態は、丸型、三角、L型、T型、Y型、W型、八葉型、偏平(扁平度1.3〜4程度のもので、W型、I型、ブ−メラン型、波型、串団子型、まゆ型、直方体型等がある)、ドッグボーン型等の多角形型、多葉型、中空型や不定形なものでもよい。
【0022】
さらに糸条の形態としては、単繊維繊度が0.1〜5dtex程度のマルチフィラメント原糸(極細糸を含む)、甘撚糸、仮撚糸(POYの延伸仮撚糸を含む)、空気噴射加工糸、押し込み加工糸、ニットデニット加工糸等がある。
本発明の目的を損なわない範囲内で、通常、50質量%以下の範囲内でウールに代表される天然繊維、アセテート繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維に代表される合成繊維、キュプラレーヨン、ビスコースレーヨン、ポリノジックレーヨン等の再生セルロース繊維を、交絡混繊(高収縮糸との異収縮混繊糸等)、交撚(甘撚糸)、複合仮撚(伸度差仮撚等)、2フィード空気噴射加工等の手段で混用してもよい。
【0023】
本発明の先染糸はラメ糸と複合されていることが重要である。ラメ糸が複合されることにより、金属の光沢感のある意匠性が付与されるものである。
ラメ糸とは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド等のフィルムに金属を蒸着やスパッタリング等でメッキを施したものをスリットすることによって形成されるものである。用いられる金属は限定されるものではなく、金、銀、胴、アルミニウム、鉄、亜鉛、スズ、白金等やステンレス等の合金が挙げられる。
【0024】
ラメ糸の形状は限定されないが、厚み10〜500μm、スリット幅は10〜500μmであれば風合が柔軟になるので好ましい。
本発明において、ポリトリメチレンテレフタレート繊維又は潜在捲縮発現性ポリエステル繊維と、ラメ糸から複合糸を製造する方法としては、両者が一体になりうる方法であればよく、限定されるものではないが、例えば、合撚、カバリング、流体噴射加工、伸度差仮撚等の手段が用いられる。
【0025】
カバリング、伸度差仮撚、2フィードでの流体噴射加工のように、鞘芯構造の糸条を形成させる場合には、芯糸にポリトリメチレンテレフタレート繊維又は潜在捲縮発現性ポリエステル繊維を用いるとストレッチ性が得られやすくなるので好ましい。
合撚する場合の合糸数、撚数、撚糸方向については限定されるものではない。諸撚糸のように下撚りと上撚りを行う場合には、合撚糸の残留トルクが残らないように撚バランスをとることが好ましく、例えば、2子撚糸の場合、下撚り回数1に対して上撚り回数を0.6〜0.8倍として、できるだけ撚りビリが発生しないようにするのが好ましい。例えば、ポリトリメチレンテレフタレート繊維又は潜在捲縮発現性ポリエステル繊維と、ラメ糸とを下撚りした合撚糸を、更に2本あわせて合撚した諸撚糸等が挙げられる。
【0026】
カバリングする場合のカバリング本数、カバリング数、カバリング方向についても限定されるものではないが、ポリトリメチレンテレフタレート繊維の仮撚加工糸をカバリング糸としてダブルカバリングする場合には、カバリング糸の残留トルクを軽減する為に仮撚方向の異なる仮撚加工糸を用いることが好ましい。
上記のような複合方法においては、ポリトリメチレンテレフタレート繊維又は潜在捲縮発現性ポリエステル繊維を1〜5%程度伸長させながらラメ糸と複合すると、先染糸のストレッチ性が向上するので好ましい。ラメ糸と、ポリトリメチレンテレフタレート系繊維又は潜在捲縮発現性ポリエステル繊維の構成比率は、質量比で80:20〜20:80が好ましく、より好ましくは70:30〜40:60である。ラメ糸の構成比率が上記の範囲であると、ストレッチ性とラメ糸の持つ光沢感が効果的に発揮される。
【0027】
本発明でいう先染糸とは、カセやチーズ等の状態で染色された糸条であり、特に、織編物に好ましく用いられる糸条である。
本発明の先染糸を得るには、いわゆるチーズ染色及びカセ染色染めによって糸染めすることが好ましい。本発明の複合先染糸は、予めチーズやカセ染色されたポリトリメチレンテレフタレート繊維又は潜在捲縮発現性ポリエステル繊維と、ラメ糸とを糸複合してもよいし、ポリトリメチレンテレフタレート繊維又は潜在捲縮発現性ポリエステル繊維と、ラメ糸とを複合した後にチーズやカセ染色してもよい。
【0028】
チーズ染色の場合について以下に説明する。
チーズの巻き密度は、好ましくは0.1〜0.5g/cm3、より好ましくは0.25〜0.4g/cm3 である。巻き密度が0.1g/cm3以上であると、チーズの形態が安定で、チーズ染色機にセットして染色する場合、形態が崩れることがなく、糸条の弛緩が均一になり、均一な染色液の通液が行われて均一に染色される。巻き密度が0.5g/cm3以下であると、精練、染色中に糸条が熱収縮してもチーズの巻き密度が高くなりすぎることがないので、染色液の通液性が良好で、チーズの内外層での染着斑が生じない。
【0029】
チーズ染色で均染性を得るためには、チーズの巻き密度を0.1〜0.5g/cm3にする以外にも、紙管にソフトワインド後、チーズ染色時に紙管より外径が小さい染色チューブに差し替えて、染色時の糸収縮によりチーズの巻き密度が高くなるのを防ぐという方法をがより好ましい。染色チューブへの差し替え率は5〜30%が好ましく、より好ましくは10〜20%の範囲で、糸条の糸収縮率を考慮して適宜設定すればよい。差し替え率(%)は、巻き紙管の外径をA、染色チューブの外径をBとした場合に、下記式で求めた値である。
差し替え率(%)=(1−B/A)×100
【0030】
チーズの染色には、一般に使用されているチーズ染色機を使用することができる。精練は、通常行われているように、原糸油剤等が洗浄される条件であればよく、例えば、ノニオン系界面活性剤、炭酸ソーダ等の存在下で50〜90℃で10〜30分行う。
ポリトリメチレンテレフタレート繊維を染色するためには、ポリエチレンテレフタレート繊維の場合に一般に行われているような、分散染料を用いて染色する方法を採用すればよい。例えば、染色温度は90〜130℃、時間は15〜120分の範囲であればよいが、ポリトリメチレンテレフタレート繊維はガラス転移点が低いので、90〜120℃のような、従来のポリエチレンテレフタレート繊維の場合より低温で染色しても、優れた発色性が得られるという特徴がある。
【0031】
また、糸条がポリトリメチレンテレフタレート以外の繊維を含んで構成されている場合は、その繊維を、通常染色する際の染色条件を採用し、ポリトリメチレンテレフタレート繊維の染色の前後又は同時に染色すればよい。
本発明においては、糸条の編立性、柔軟性を向上させるために、一般に市販されているオイリング油剤等をチーズ形態や糸条で付与してもよい。
次に、カセ染色の場合について以下に説明する。
【0032】
カセ染色は、一般に行われている工程を採用すればよく、一般的には、カセ取り→前処理→精練→染色→脱水→乾燥→コーン巻き、の工程で行われる。カセ取りとしては、一般的なカセ取り機を使用することができ、カセ長1〜3mで50g〜2kgのカセを作成するのが好ましい。前処理として、カセをリラックスさせるには、熱風乾燥機、カセ連続熱処理機等を用いて、好ましくは50〜100℃、より好ましくは60〜90℃で5〜30分の乾熱処理を行う。また、オートクレーブ、スチームセッター、スチームボックス等を用いて、好ましくは60〜130℃、より好ましくは80〜110℃で5〜30分の蒸気処理を行ってもよい。
【0033】
精練、染色は、回転バック染色機、噴射式染色機、パッケージ染色機等を適宜選定して行えばく、脱水、乾燥工程も常法にしたがって行えばよい。コーン巻きとしては、一般的な巻き取り機を用いてワインドすればよいが、カセからの巻き取り張力が安定しないと、織編物にしたときに経筋や緯段が発生する場合があり、カセからコーン巻きした後に再度コーンにリワインドしたり、巻き取り張力のコントロールができるように、送り出しローラーのついた巻き取り機でコーンワインドすることが好ましい。更に、糸条の編立性、柔軟性を向上させるために、一般に市販されているオイリング油剤等をカセ形態やコーン巻き時に付与してもよい。
【0034】
ポリトリメチレンテレフタレート繊維は、ポリエチレンテレフタレート繊維に比べてオリゴマーを多く含んでいる場合があり、オリゴマーの付着により先染め糸の光沢が低下することもあるため、精練工程でアルカリ剤を使用(例えば、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウムを0.5〜5g/リットル加える)したり、アルカリ耐性のある分散染料でpH8〜11のアルカリ性側で染色するという方法等を採用して、オリゴマーの付着を軽減することもできる。このとき、排水は、精練、染色温度と同じ高温で排水することが好ましい。
【0035】
本発明の複合先染糸は、10%伸長時の弾性回復率が60%以上であることが重要であり、より好ましくは70〜95%である。この範囲であるとストレッチ性が優れた織編物を得ることができる。
10%伸長時の弾性回復率が60%以上の複合先染糸は、複合糸中のポリトリメチレンテレフタレート繊維又は潜在捲縮発現性ポリエステル繊維の比率、潜在捲縮発現性ポリエステル繊維中のポリトリメチレンテレフタレートの含率等を適宜、設定することによって製造することができる。
【0036】
本発明の複合先染糸は、捲縮伸長率が10%以上の捲縮糸であることが好ましく、より好ましくは15〜500%、最も好ましくは20〜150%である。捲縮伸長率がこの範囲であると、ストレッチ性や膨らみ感に優れた織編物が得られる。
このような先染糸は、ポリトリメチレンテレフタレート繊維の捲縮糸又は捲縮が発現した潜在捲縮発現性ポリエステル繊維(以下、両者共に、捲縮糸、という)で構成されていることが好ましい。捲縮糸の物性としては、捲縮伸長率が10%以上であることが好ましく、より好ましくは20%以上、最も好ましくは50%以上である。捲縮伸長率がこの範囲である捲縮糸を用いることにより、捲縮伸長率が10%以上の複合先染糸を得ることができる。
【0037】
捲縮糸としては、顕在捲縮あるいは潜在捲縮を有する複合繊維糸条(鞘芯やサイドバイサイド等に複合紡糸した糸条)、仮撚加工糸、押し込み加工糸、ニットデニット加工等で捲縮を付与した糸が例示される。中でも、高い捲縮伸長率が得られやすい仮撚加工糸が好ましい。
仮撚加工は、一般に用いられているピンタイプ、フリクションタイプ、ニップベルトタイプ、エアー加撚タイプ等、いかなる方法によるものでもよい。また、1ヒーター仮撚、2ヒーター仮撚のいずれであってもよい。さらにPOYの延伸仮撚であってもよい。
【0038】
仮撚ヒーター温度は、本発明の目的が達成できる範囲で任意に設定することができ、一般的には、第1ヒーターの出口直後の糸条温度を100〜200℃が好ましく、より好ましくは120〜180℃、最も好ましくは130〜170℃の範囲である。必要に応じて、第2ヒーターで熱セットして、2ヒーター仮撚糸としてもよい。第2ヒーター温度は100〜210℃が好ましく、より好ましくは第1ヒーターの出口直後の糸条温度に対して−30〜50℃の範囲である。第2ヒーター内のオーバーフィード率(第2オーバーフィード率)は3〜30%とするのが好ましい。
【0039】
仮撚数Tは、ポリエチレンテレフタレート系ポリエステル繊維の仮撚加工で通常に用いられる範囲でよく、下記式で計算される。この場合、仮撚数の係数(K)の値が17600〜35000の範囲であることが好ましく、仮撚加工糸によって好ましい仮撚数(T)が決定される。
T(T/m)=K/{仮撚加工糸の繊度(dtex)}0.5
他の好ましい捲縮糸として、捲縮が顕在化した潜在捲縮発現性ポリエステル繊維が挙げられる。この繊維を用いると、仮撚加工糸と同程度の高い捲縮を有する先染糸が得られるだけでなく、仮撚加工糸特有の残留トルクが無く、カセ染色工程でのカセの取り扱い性が容易となるので好ましい。さらに、捲縮付与工程が省略化できるのでコストの合理化も可能となる。
【0040】
次に、本発明の特定の捲縮伸長率を有する複合先染糸を得る方法について説明する。
カセ染色方法の場合は、前述の染色方法に準じて行えばよいが、カセ状での前処理又はさらに精練、染色工程において、カセを乾熱や湿熱(蒸気、熱水)でリラックスさせる(張力をできるだけ掛からないようにして捲縮を発現させる)ことが好ましい。例えば、カセを前処理でリラックスさせる場合には、熱風乾燥機、カセ連続熱処理機等を用いて、好ましくは50〜100℃、より好ましくは60〜90℃で5〜30分の乾熱処理を行う。また、オートクレーブ、スチームセッター、スチームボックス等を用いて、好ましくは60〜130℃、より好ましくは80〜110℃で5〜30分の蒸気処理を行ってもよい。しかし、カセを型枠に固定したり、カセを袋等に高密度で詰め込んでカセ自身を拘束した状態で前処理を行うと、捲縮が十分発現できない場合がある。
【0041】
一方、精練、染色工程においてカセをリラックスする場合には、カセにテンションが加わりにくい、回転バック、噴射式染色機等を用いて50〜130℃で5〜60分の熱水処理を行うことが好ましい。特に、噴射式染色機は、カセ長を調整する為に上下に固定バーがついたものもあるが、このような装置の場合には、処理時にカセがリラックスできるように、できるだけ固定バーの間隔を狭めておくことが好ましい。
【0042】
チーズ染色の場合は、前述の染色方法に準じて行うが、潜在捲縮を発現させる為にバルキー出し(糸条をリラックスしながら乾熱や湿熱処理する方法)を行った捲縮糸を用いると、高い捲縮伸長率の先染糸条が得られるので好ましい。バルキー出しをする装置としては、例えば、坂本連染(株)製のbulone(登録商標)や、Superba社製の連続バルキー出し装置等が挙げられる。
加工条件としては、オーバーフィード率を20〜200%で行えばよく、リラックスの熱源としては、乾熱、蒸気等を使用し、好ましくは60〜200℃、より好ましくは90〜190℃で処理する。このようにバルキー出しを行った糸条は、沸水収縮率が4%以下となり、捲縮伸長率も50%以上となる。これは、チーズ染色時に糸条の収縮が僅かしか起こらず、収縮に伴って捲縮が伸ばされないためである。
【0043】
本発明の複合先染糸は、0.8826cN/dtexの荷重下での伸びが5%であることが好ましく、上限は50%以下が好ましく、より好ましくは10〜30%である。この範囲であると、ストレッチ性が良好な先染糸となり、製編、製織時にも糸切れの発生がなく、ラメ糸が鞘、ポリトリメチレンテレフタレート繊維又は潜在捲縮発現性ポリエステル繊維が芯となる鞘芯構造となって、ラメ糸の持つ光沢感が効果的に発現できる先染糸となる。なお、0.8826cN/dtexの荷重下での伸びが20%以上の場合には、混用されたラメ糸が弛みを持った一体性の低い複合糸条形態となるので、布帛の表面品位を向上させるためには、染色された複合糸条を更に50〜1000T/mの追撚を行うのが好ましい。
【0044】
本発明の好ましい態様の代表例としては、ラメ糸と、ポリトリメチレンテレフタレート繊維又は潜在捲縮発現性ポリエステル繊維の質量混率を30:70〜60:40とし、ポリトリメチレンテレフタレート繊維の仮撚糸又は潜在捲縮発現性ポリエステル繊維を芯糸として、ラメ糸を巻糸にしてカバリングして得られた糸条を、巻き密度0.1〜0.5g/cm3のチーズにし、染色チューブへの差し替え率を10〜20%としてチーズ染色する方法や、カセを作成して湿熱や乾熱でリラックス前処理をした後にパッケージ染色機でカセ染色する方法が挙げられる。
【0045】
本発明の複合先染糸は、編物、織物等、如何なるものに使用することができ、ストレッチ性や膨らみ感に優れた織編物を得ることができる。また、コーン巻きでは、ある程度捲縮が伸ばされて巻かれている為、織編物にした後にシュリンクサーファー、タンブラー、ホフマン仕上げ等で70〜170℃の熱リラックスをすると、更にストレッチ性や膨らみ感が向上する。
本発明の複合先染糸は、織物(タフタ、ツイル、サテン及び各種の変化組織)や編物(経編、丸編、横編、パンスト編等)に使用することができる。特に、横編み用の糸として用いると、横編地をホフマンプレス仕上げでセットすることが容易になるという利点がある。編物の組織としては、天竺、天竺かのこ、ゴム、パール、両面、ポンチローマ、ミラノリブ及びこれら変化組織等が挙げられ、製品の目的に応じて適宜選定すればよい。
【0046】
本発明の複合先染糸は、ウール、綿、麻、絹等に代表される天然繊維、ビスコースレーヨン、キュプラ等の再生セルロース繊維、アセテート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、アクリルに代表される合成繊維のいかなる繊維(原糸や先染糸も含む)と糸複合(合撚、カバリング、仮撚、流体噴射加工、精紡交撚等)してもよく、交織、交編してもよい。
【0047】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。
本発明における測定方法及び評価方法等は以下の通りである。
(1)固有粘度
固有粘度[η](dl/g)は、次式の定義に基づいて求められる値である。
Figure 0004049574
定義中のηrは純度98%以上の0−クロロフェノール溶媒で溶解したポリトリメチレンテレフタレート糸又はポリエチレンテレフタレート糸の稀釈溶液の35℃での粘度を、同一温度で測定した上記溶媒の粘度で除した値であり、相対粘度と定義されているものである。Cはg/100mlで表されるポリマー濃度である。
【0048】
なお、固有粘度の異なるポリマーを用いた複合マルチフィラメントは、マルチフィラメントを構成するそれぞれの固有粘度を測定することは困難であるので、複合マルチフィラメントの紡糸条件と同じ条件で2種類のポリマーをそれぞれ単独で紡糸し、得られた糸を用いて測定した固有粘度を、複合マルチフィラメントを構成する固有粘度とする。
【0049】
(2)初期引張抵抗度
JIS L 1013化学繊維フィラメント糸試験方法の初期引張抵抗度の試験方法に準じ、試料の単位繊度当たり0.882mN/dtexの初荷重を掛けて引張試験を行い、得られた荷重−伸長曲線から初期引張抵抗度(cN/dtex)を算出し、10回の平均値を求める。
【0050】
(3)伸縮伸長率、伸縮弾性率
JIS L 1090合成繊維フィラメントかさ高加工糸試験方法の伸縮性試験方法A法に準じて測定を行い、伸縮伸長率(%)及び伸縮弾性率(%)を算出し、10回の平均値を求める。顕在捲縮の伸縮伸長率及び伸縮弾性率は、巻取りパッケージから解舒した試料を、温度20±2℃、湿度65±2%の環境下で24時間放置後に測定を行う。熱水処理後の伸縮伸長率及び伸縮弾性率は、無荷重で98℃の熱水中に30分間浸漬した後、無荷重で24時間自然乾燥乾燥した試料を用いる。
【0051】
(4)熱収縮応力
熱応力測定装置(カネボウエンジニアリング(株)製、商品名KE−2)を用い、試料を20cmの長さに切り取り、両端を結んで輪を作り測定装置に装填し、初荷重0.044cN/dtex、昇温速度100℃/分の条件で収縮応力を測定し、得られた温度に対する熱収縮応力の変化曲線から100℃における熱収縮応力を読み取る。
【0052】
(5)強伸度特性
東洋ボールドウィン(株)製テンシロンを用い、試料長20cm、引張速度20cm/分の条件で、引張強度(cN/dtex)、引張伸度(%)、初期弾性率(cN/dtex)を測定する。また、応力−歪み曲線から0.8826cN/dtex荷重下での伸び(%)を測定する。
【0053】
(6)捲縮伸長率
繊維に2.6×10-4cN/dtexの荷重を加えた状態で、タバイ(株)製パーフェクトオーブン(商標)にて乾熱90℃×15分処理を行い、一昼夜放置した後、JIS−L−1090伸縮性試験方法(A法)に準じて測定する。
【0054】
(7)弾性回復率
繊維を、チャック間距離20cmで0.0294cN/dtexの初荷重をかけて引張試験機に取り付け、引張速度20cm/分で伸長率20%に伸長し、1分間放置する。その後、再び同じ速度で収縮させ、応力−歪み曲線を描く。収縮中に応力が0.0294cN/dtexになった時の伸びを残留伸び(A)とする。
20%伸長時の弾性回復率は下記の式にしたがって求める。
20%伸長時の弾性回復率(%)=〔(20−A)/20〕×100
10%伸長時の弾性回復率は、初荷重及び残留伸びを読み取る応力を0.08826cN/dtexとし、伸長率を10%として、上記と同様に行い、下記の式にしたがって求める。
10%伸長時の弾性回復率(%)=〔(10−A)/10〕×100
【0055】
(8)横編地のストレッチ性
JIS−L−1018の伸長弾性率測定法(A法:定伸長法)に準拠して測定する。
自記装置付定速引張試験機を用い、10cm幅×15cm長さの試験片を用い、初荷重2.942cNをかけた後、つかみ幅2.5cm、つかみ間距離10cmで、速度10cm/分で伸長率100%になるまで伸長し、1分間放置する。その後、再び同じ速度で収縮させ、応力−歪み曲線を描き、収縮中に応力が初荷重と同じ応力になった時の残留伸びをL(mm)として、下記の式にしたがって回復率を求める。
回復率(%)=〔(100−L)/100〕×100
得られた横編地の回復率から、ストレッチ性を下記の基準にしたがいランク付けを行う。
◎:回復率が90%を越える。
○:回復率が85%以上90%未満
△:回復率が80%以上85%未満
×:回復率が70%未満
【0056】
(9)横編地の柔軟性、光沢感
繊維の研究に従事する10人のモニターによって手触り、視覚による官能検査を行い、下記のランク付けを行う。
<横編地の柔軟性>
○:ソフトと感じる。
△:ややソフトと感じる。
×:硬いと感じる。
<光沢感>
○:ラメ糸特有の光沢感を強く感じる。
△:ややラメ糸特有の光沢感を強く感じるソフトと感じる。
×:殆んどラメ糸特有の光沢感を感じない。
【0057】
(10)耐久性の評価
JIS L−0888 A方法にしたがって10回処理を繰り返した後、編地の10×10cm内の糸切れ数を測定し、下記のランク付けを行う。
○:糸切れがない。
△:糸切れが1個以下
×:糸切れが1個以上
【0058】
【実施例1】
固有粘度[η]0.92のポリトリメチレンテレフタレートを紡糸温度265℃、紡糸速度1200m/分で紡糸して未延伸糸を得、次いで、ホットロール温度60℃、ホットプレート温度140℃、延伸倍率3倍、延伸速度800m/分で延撚して、84dtex/36fのマルチフィラメントの原糸を得た。得られた原糸の物性は、強度3.2cN/dtex、伸度46%、弾性率24cN/dtex、20%伸長時の弾性回復率85%であった。
【0059】
得られた原糸を、(株)石川製作所製のピン仮撚機IVF338を用いて、糸速190m/分、仮撚数3400T/m、仮撚方向Z、仮撚加工温度170℃、1stフィード0.0%、TUフィード4.1%の条件で加工を施して仮撚糸を得た(捲縮伸長率160%)。
得られた仮撚糸を芯糸とし、厚み80μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに銀を蒸着し、スリット幅200μm(200切)にスリットして得たラメ糸をカバリング機を用いてシングルカバリング(カバリング数:S撚400T/m)を行って複合糸条を得た。
【0060】
得られた複合糸条を、神津(株)製のSSPワインダーを用い、紙管径81mmの紙管に、巻き密度0.40g/cm3で1kg巻きした。このチーズを外径69mmの染色チューブに差し替え(差し替え率14.8%)、チーズ染色機(日阪製作所(株)製、小型チーズ染色機)にセットし、精練剤(スコアロール(登録商標)FC−250(1g/リットル)、花王(株)製)を添加して、流量40リットル/分で常温から2℃/分の昇温速度で60℃まで昇温し、60℃で10分間精練を行った。
【0061】
精練後、脱水、水洗を行い、分散染料(Dianix(登録商標)Blue AC−E)ダイスター(株)製)1%omf、分散剤(ディスパー(商標)TL、明成化学工業(株)製)0.5g/リットルを加え、更に酢酸にてpH5に調整した後、流量40リットル/分でイン−アウトで染液を循環し、昇温速度2℃/分で120℃まで昇温し,120℃で30分染色を行った。染色後、脱水、水洗を行い、水酸化ナトリウム1g/リットル、ハイドロサルファイト1g/リットル、サンモール(登録商標)RC−700(日華化学(株)製)1g/リットルにて、流量40リットル/分で、昇温速度2℃/分で80℃まで昇温し、80℃で20分間還元洗浄を行った。
【0062】
還元洗浄後、脱液、中和水洗を行い、シリコーン系柔軟剤(ロンサイズ(登録商標)K−22、一方社(株)製)を5%omf添加し、50℃で20分オイリング処理を行った。脱水後、乾燥を行って複合先染糸を得た。得られた複合先染糸の物性を表2に示す。
横編機(コッポ(株)製、14ゲージ)を用いて、上記で得た複合先染糸を3本引き揃え、24コース、20ウエルの天竺組織の横編地を作成し、ホフマンプレス機(神戸電気工業(株)製、神戸プレス(商標))にてスチーム仕上げを行って横編地を得た。
【0063】
得られた横編地は、表2に示す通り、ラメ糸の持つ光沢感を有し、風合いがソフトで、ストレッチ性、耐久性に優れたものであった。
【0064】
【実施例2】
固有粘度の異なる二種類のポリトリメチレンテレフタレートを質量比率1:1でサイドバイサイド型複合紡口を用いて押出し、紡糸温度265℃、紡糸速度1500m/分で紡糸して未延伸糸を得、次いで、ホットロール温度55℃、ホットプレート温度140℃、延伸速度400m/分、延伸倍率は延伸後の繊度が84dtexとなるように設定して延撚し、84dtex/12fのサイドバイサイド型複合マルチフィラメントの原糸を得た。得られた原糸の固有粘度は高粘度側が[η]=0.88、低粘度側が[η]=0.70であった。この原糸の物性を表1に示す(捲縮伸長率は240%)。
【0065】
得られた原糸を実施例1の仮撚糸に変更した以外は同様にシングルカバリングを行って複合糸条を得た。
得られた複合糸条を(株)石川製作所製のカセ上げ機を用い、カセ長180cm、巻き量250gのカセを作成した。このカセを熱風乾燥機にて80℃で20分間の乾熱リラックス処理を行った後、噴射カセ染色機(Sinko(株)製)を用い、実施例1で用いたのと同様の精練剤、分散染料で60℃×10分間精練と95℃×45分間染色し、還元洗浄、水洗を行い、オイリング処理を行って複合先染糸を得た。得られた複合先染糸の物性を表2に示す。
【0066】
この複合先染糸を用い、実施例1と同様にして横編地を得た。得られた横編地は、表2示す通り、ラメ糸の持つ光沢感を有し、風合いがソフトで、ストレッチ性、耐久性に優れたものであった。
【0067】
【実施例3】
実施例1と同様にして56dtex/24fのポリトリメチレンテレフタレートマルチフィラメント原糸を得た。得られた原糸の物性は、強度3.7cN/dtex、伸度44%、弾性率23cN/dtex、20%伸長時の弾性回復率86%であった。
得られた原糸を用いて、仮撚数を3780T/mに変更した以外は実施例1と同様にして仮撚糸を得た。
【0068】
得られた仮撚糸を芯糸とし、実施例1のラメ糸を400切(スリット幅400μm)に変更した以外は実施例1と同様にして複合先染糸と横編地を得た。得られた複合先染糸及び横編地の物性を表2に示す。
得られた横編地はラメ糸の持つ光沢感を有し、風合いがソフトで、ストレッチ性、耐久性に優れたものであった。
【0070】
【比較例1】
実施例1において84dtex/36fのポリトリメチレンテレフタレート原糸の代わりに、84dtex/36fポリエチレンテレフタレート原糸(旭化成(株)製、強度3.9cN/dtex、伸度35%、弾性率97cN/dtex、20%伸長時の弾性回復率25%)を用い、仮撚条件を、糸速190m/分、仮撚数3200T/m、仮撚方向Z、仮撚加工温度220℃、1stフィード0.0%、TUフィード4.1%に変更した(捲縮伸長率145%)以外は、実施例1と同様にして仮撚加工と加撚を施した複合糸条を得た。
【0071】
得られた複合糸条を用いて、染色温度を130℃に変更した以外は実施例1と同様にして、複合先染糸を得た。得られた複合先染糸の物性を表2に示す。
得られた複合先染糸を用いて実施例1と同様にして横編地を得た。得られた横編地は、表1に示すように、ラメ糸特有の光沢感がやや劣り、風合も硬く、ストレッチ性に劣るものであった。
【0072】
【比較例2】
実施例1の56dtex/24fのポリトリメチレンテレフタレートマルチフィラメント原糸の変わりに40dのスパンデックス(ロイカ(登録商標)、旭化成(株)製)を用い、仮撚加工を行わなかった以外は実施例1と同様にして複合先染糸と横編地を得た。得られた複合先染糸並びに横編地の物性を表2に示す。
得られた横編地はラメ特有の光沢感、ストレッチ性は優れるものの、耐久性におとり、スチームセットで性量コントロールができず、編地の密度高く、風合いも硬いものであった。
【0073】
【表1】
Figure 0004049574
【0074】
【表2】
Figure 0004049574
【0075】
【発明の効果】
本発明の複合先染糸は、ラメ糸の持つ光沢感及び意匠性を有し、織編物に用いた場合にも風合がソフトでストレッチ性及び耐久性に優れる織編物を得ることができる。

Claims (5)

  1. ラメ糸と、染色されたポリトリメチレンテレフタレート繊維の捲縮糸から構成され、かつ、10%伸長時の弾性回復率が60%以上であり、捲縮伸長率が10%以上の捲縮糸であることを特徴とする複合先染糸。
  2. 複合先染糸は、0.8826cN/dtexの荷重下での伸びが5%以上であることを特徴とする請求項1記載の複合先染糸。
  3. ラメ糸と、少なくとも1成分がポリトリメチレンテレフタレートからなる、染色された潜在捲縮発現性ポリエステル繊維から構成され、かつ、10%伸長時の弾性回復率が60%以上であり、捲縮伸長率が10%以上の捲縮糸であることを特徴とする複合先染糸。
  4. 複合先染糸は、0.8826cN/dtexの荷重下での伸びが5%以上であることを特徴とする請求項記載の複合先染糸。
  5. ラメ糸とポリトリメチレンテレフタレート繊維からなる複合糸をカセに巻き、熱リラックス処理を行った後にカセ染色を行い、送り出しローラーのついた巻き取り機でコーンに巻き取ることを特徴とする、10%伸長時の弾性回復率が60%以上であり、捲縮伸長率が10%以上である複合先染糸の製造方法。
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