JP4047924B2 - 自動2輪車のステップ構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は自動2輪車のステップ構造、特に同乗者用のピリオンステップに好適なステップガード構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
リヤカウルの内側へ排気管やマフラーを配置し、これに近接してリヤカウルの外側にピリオンステップを配置する自動2輪車は公知である(一例として、特許第2771211号参照)。
【0003】
また、実公平4−42227号のように、マフラーの外方へリヤカウルを介さずにピリオンステップを配置し、マフラーの表面に線材からなるステップガードを設けたものも公知である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
排気管等の排気系部品をリヤカウルへ内蔵する形式では、リヤカウル自体が熱源である排気系部品とピリオンステップとの間を離隔するステップガードとして機能するため、特別にステップガードを設ける必要がない。
【0005】
一方、リヤカウルを介さずに排気系部品の近傍へピリオンステップを配置する場合には、ステップガードを設けることが好ましい。しかし、この場合にはステップガードを多機能化し、収納状態状態のピリオンステップを不用意に起こさないようにするガード機能を備えれば、起伏自在のピリオンステップにとって好ましいことになる。そこで本願発明は係る要請の実現を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本願発明に係る自動2輪車のステップ構造は、排気系部品の近傍に配置されて使用状態と収納状態の間で起伏自在のステップを備えた自動2輪車において、
前記ステップの収納状態における全長にわたって車体内側から覆うステップガードを設けるとともに、このステップガードの上部に、車体外方へ屈曲することにより外方へ突出して収納状態のステップ上を部分的に覆う外方突出部を設けことを特徴とする。ここで排気系部品とは、エンジンの排気経路に沿って設けられ部品であって、マフラー、マフラーカバー及び排気管の少なくともいずれかを含むものとする。
【0007】
このとき、前記ステップガードの後部側を車体内側へ曲がる内方指向部とし、この内方指向部の後端部を平面視で排気系部品の下へ重なるようにしてもよい。また、線材をループ状にして前記ステップガードを形成することもできる。
さらに、ダイナミックダンパを介して前記ステップガードをステップ支持部材へ浮動支持させることもできる。
【0008】
【発明の効果】
ステップの車体内側にステップガードを配置し、その上部に外方突出部を設けたので、ステップを収納状態にすると、その全長上を外方突出部が覆い、不用意にステップを起こさないようにガードできる。また、使用状態にすると、外方突出部がステップ上における乗員の足の位置をより外方となるように位置決めさせることができる。
【0009】
そのうえ、ステップガードの後部に内方指向部を設け、平面視で排気系部品の下方へ入り込んで重なるようにしたので、ステップガードを設けても不必要な突出端部を設けないようにできる。さらに、線状部材をループ状にしてステップガードを形成すれば、ステップガードの形成が容易になり、かつ形状の自由度が大きくなり、しかも軽量化できる。
【0010】
また、ダイナミックダンパを介してステップガードをステップ支持部材へ浮動支持させれば、ダイナミックダンパによるステップ支持部材の防振効果が得られるとともに、ステップガードをダイナミックダンパのウエイトの一部にすることができる。そのうえステップガードを浮動支持するので、ステップガード自体の防振効果を上げることができ、ステップからステップガードへ伝達される振動を低減させ、ステップガードから乗員への振動伝達を少なくできる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて一実施例を説明する。図1は本実施例の適用された自動二輪車の左側面図、図2はその平面図である。これらの図において、前輪1と後輪2の間にダブルシート3が配置され、その運転席4の前方に燃料タンク5、同乗者席6の左右両側から後方にかけてリヤカウル7が設けられ、燃料タンク5とリヤカウル7は運転席4を挟んで前後に配置され、かつそれぞれの左右両側には、張り出し部8,9が形成されている。
【0012】
図2に示すように、燃料タンク5の平面視形状は前半部側が略菱形をなし、張り出し部8の輪郭をなす稜線8aは、前端側から後方へ向かって最大突出部8bまで次第に側方へ広がる曲線をなし、最大突出部8bから後方は逆に車体中心側へ次第に収束する変化をなし、張り出し部8はその基部である燃料タンク5の一般側面8cよりも大きく側方へ張り出している。またリヤカウル7の張り出し部9もその輪郭線をなす稜線9aが最大突出部9bまでは前方から後方へ向かって次第に広がり、最大突出部9bから後方は逆に車体中心側へ次第に収束する変化をなす。
【0013】
燃料タンク5の下方には、4サイクル水冷式の直列4気筒エンジン10が配置され、エアクリーナ11及び燃料噴射装置12を介して吸気され、排気ガスは排気管13及びマフラー14を介して排気される。排気管13はエンジン10の下方を通ってからピボットプレート17の後方を上方へ立ち上がり、側面視でリヤフォーク18と交差した後でリヤカウル7下方の車体左右に配置される一対のマフラーへ枝分かれして接続する。左右の各マフラーは表面の外観される側をマフラーカバー14で覆われている。
【0014】
燃料噴射装置12の一部は燃料タンクの底部後部に近接してその下方へ配置される噴射装置カバー15で覆われ、エアクリーナ11の後部側側面サイドカバー16で覆われる。サイドカバー16は運転席4の下方へ延びてその底部と接している。
【0015】
サイドカバー16の下方かつエンジン10の後方にはピボットプレート17が上下方向へ長く配置され、ここにピボット軸17aでリヤフォーク18の前端が揺動自在に支持され、その上下動はリヤクッション19によって緩衝される。
【0016】
ピボットプレート17の後部には側面視略Y字状をなすステップホルダ20の前端部が取り付けられ後部側は側面視で後輪2へ重なり、かつ同乗者席6の下方となる位置まで後方へ長く延出し、ここに同乗者用のピリオンステップ21が折りたたみ自在に取り付けられている。
【0017】
なお、図中の符号22はフロントフォーク、23はヘッドパイプ、24はヘッドライト、25はメーター、26はハンドル、27は車体フレーム、28はライダー用のライダーステップ、29は可動リヤフェンダ、30はチェーンケース、31はグリップバー、32はテールランプ、33はリヤウィンカ、34はライセンスプレート、35はライダー、36はその膝である。
【0018】
図3は車体右側のピリオンステップ部分を車体上方から示した収納状態におけるピリオンステップの平面視図、図4はこのピリオンステップを使用状態にしたステップホルダの側面図、図5はピリオンステップ使用状態における関連部品の位置関係を示す図、図6はダイナミックダンパを介したステップガードの取付状態を示す断面図である。
【0019】
まず、図3,4において、軽合金の鋳造品等からなるステップホルダ20の後部には略コ字状ステー40が一体に設けられ、ここにピリオンステップ21の端部が軸41により回動自在に取付けられる。ピリオンステップ21は図3に示す収納状態と、図4に示す使用状態との間を起伏自在となっている。
【0020】
ステップホルダ20の後端部はステー40からさらに後方へ延出するステッププロテクタ42をなし、収納状態のピリオンステップ21がこの外側へ重なるようになっている。ステッププロテクタ42の後端部は排気系部品であるマフラーカバー14に近接している。
【0021】
ステッププロテクタ42の車体内側には、ステップガード43がダイナミックダンパ47を介して取付けられている。ステップガード43は針金等の適宜線材を用いてループ状に形成され、その両端44,45をダイナミックダンパ47におけるウエイト48の車体内側表面へ溶接されている。
【0022】
ステップガード43の本体部分はステッププロテクタ42の上方を車体外方へ屈曲して突出する外方突出部をなし、この突出量は図3に示すように、収納状態のピリオンステップ21を全長にわたってその上面の一部を覆う程度になっている。また、ステップガード43の後部は車体内方へ屈曲する内方指向部46をなし、内方指向部46の後端部は図3の平面視において、マフラー14の下へ入り込んでいる。
【0023】
図5に示すように同乗者37はリヤカウル7の張り出し部9を跨いで脚38をマフラー14及びその内側に位置するマフラー49の外側を十分離れて下方へ降ろし、張り出し部9よりもさらに長く先端が外方へ突出する使用状態のピリオンステップ21上へ足39を乗せることができる。このとき、ステップガード43の上部が外方突出部をなすことにより足39をより外側へ位置決めさせることができる。
【0024】
ダイナミックダンパの構造を概略断面で示す図6に明らかなように、ダイナミックダンパ47はウエイト48とゴム等の適宜弾性材料からなる弾性体50によって構成され、ステッププロテクタ42に設けられた貫通孔51へ挿入され、車体外方から端部にプレート52を重ねてボルト53によりウエイト48と結合一体化される。このとき、ウエイト48にはステップガード43も溶接されてダイナミックダンパ47のウエイトの一部をなす。
【0025】
次に、本実施例の作用を説明する。ピリオンステップ21の車体内側にステップガード43を配置し、その上部に外方突出部を設けたので、ピリオンステップ21を収納状態にすると、その全長上を外方突出部が覆い、不用意にピリオンステップ21を起こさないようにガードできる。また、使用状態にすると、外方突出部がピリオンステップ21上における乗員の足39の位置をより外方となるように位置決めさせることができる。
【0026】
そのうえ、ステップガード43の後部に内方指向部46を設け、平面視で排気系部品であるマフラーカバー14の下方へ入り込んで重なるようにしたので、ステップガードを設けても不必要な突出端部を設けないようにできる。さらに、線状部材をループ状にしてステップガード43を形成したので、ステップガード43の形成が容易になり、かつ形状の自由度が大きくなり、しかも軽量化できる。
【0027】
また、ダイナミックダンパ47を介してステップガード43をステップ支持部材であるステップホルダ20側へ浮動支持させたので、ダイナミックダンパ47はステップホルダ20に対するステップホルダ20の振動を低減させて足39に対する振動伝達を防振するとともに、ステップガード43はピリオンステップ21側からの振動伝達がさらに少なくなり、足39への振動伝達を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の適用された自動2輪車の側面図
【図2】同上平面図
【図3】ピリオンステップの平面視図
【図4】ステップホルダの側面図
【図5】ピリオンステップの使用状態を示す図
【図6】ダイナミックダンパの構造を示す断面図
【符号の説明】
3:ダブルシート、4:運転席、6:同乗者席、7:リヤカウル、14:マフラー、20:ステップホルダ、21:ピリオンステップ、43:ステップガード、47:ダイナミックダンパ
Claims (7)
- 排気系部品の近傍に配置されて使用状態と収納状態の間で起伏自在のステップを備えた自動2輪車において、
前記ステップの収納状態における全長にわたって車体内側から覆うステップガードを設けるとともに、このステップガードの上部に、車体外方へ屈曲することにより外方へ突出して収納状態のステップ上を部分的に覆う外方突出部を設けことを特徴とする自動2輪車のステップ構造。 - 前記ステップガードの後部側を車体内側へ曲がる内方指向部とし、この内方指向部の後端部を平面視で排気系部品の下へ重なるようにしたことを特徴とする請求項1に記載した自動2輪車のステップ構造。
- 前記ステップガードが線材をループ状にして形成されたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載した自動2輪車のステップ構造。
- 前記ステップガードは、ダイナミックダンパを介してステップ支持部材へ浮動支持されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載した自動2輪車のステップ構造。
- 前記ステップは、車体フレームに設けられたステップ支持部材に取付けられたピリオンステップであることを特徴とする請求項1に記載した自動2輪車のステップ構造。
- 前記ステップ支持部材に、収納状態のピリオンステップが外側に重なるステッププロテクタを設けたことを特徴とする請求項5に記載した自動2輪車のステップ構造。
- 前記ダイナミックダンパのウエイトは前記ステップ支持部材に設けられた弾性体へ車体内側から取り付けられていることを特徴とする請求項4に記載した自動2輪車のステップ構造。
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