JP4023899B2 - 自動2輪車の背もたれ取付構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、車幅をスリムにできる自動2輪車の背もたれ取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
実開昭62−33978号には、シートの後方に背もたれ構造を有する自動2輪車が示されている。この背もたれは、リヤフェンダの外側に配設してリヤフェンダ内側の車体フレームと連結したグラブバーをシート後方へ回り込ませ、この回り込んだ部分に背もたれの脚部を上から嵌合取付けしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで上記従来例のようにシートの後方に背もたれの取付スペースがある場合は問題ないが、そうでない場合には背もたれの取付脚部をシート側方でシートレールと連結する必要があり、さらに外観上の配慮からシートレール内側で連結することが要求されることがある。しかし、このような形式では背もたれの取付脚部の分だけシートレールが外側方へ張り出し易くなり、その結果、車幅が拡大しがちであり、このようなことは車幅のスリム化という設計上の基本要請に反することになる。そこで係る場合でも車幅をスリムにできる取付構造の提供を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本願発明に係る自動2輪車の背もたれ取付構造は、車体後方へ延出する左右一対のシートレールと、その間に収容されて支持されるリヤフェンダと、リヤフェンダ上方でシートレールに支持されるシートと、このシート後方位置に配設された背もたれとを備えた自動2輪車において、
前記シートレールとリヤフェンダとの間に前記背もたれの取付脚部を収容するとともに、
この取付脚部にナット部が軸心部に形成されたブッシュを設け、このナット部にシートレールから通したボルトを締結することにより背もたれをシートレールへ取付けたことを特徴とする。
【0005】
【発明の効果】
シートレールとリヤフェンダとの間に背もたれの取付脚部を収容し、この取付脚部に設けられているブッシュの軸心部にシートレールから通したボルトを締結すると、この軸心部には予めナット部が形成されているので、ボルトはブッシュ内部のナット部で締結され、別体のナットを用いる必要がなくなる。このため、背もたれの取付脚部をシートレールの内側へ配設してもシートレールをあまり外側方へ張り出さずに済み、車幅をスリムにできる。
【0006】
【発明の実施の形態】
図面にもとづいて自動2輪車に適用された本願発明の一実施例を説明する。まず、実施例が適用された自動2輪車の構造を概説する。図2は自動2輪車の外観における進行方向左側面図、図3はその部分拡大上面視図を示し、この自動2輪車はアメリカンタイプとして構成され、ロングホイールベースをなす前輪1及び後輪2、キャスター角の大きなフロントフォーク3、ドロップハンドル4、涙滴型燃料タンク5並びに比較的取付位置の低いタンデムシート6、その後部に設けられた背もたれ7等の特徴的な構造を備えている。
【0007】
前後輪間に配置されたエンジン8は、空冷式のシリンダ部9が前後方向へ略水平に寝かされた水平型エンジンである。このエンジン8は、シリンダ部9上方に配置された気化器10から混合気を吸気し、シリンダ部9の下部から後方へ延出する排気管11及びマフラー12を介して排気される。
【0008】
気化器10は燃料タンク5から燃料を供給され、後方のエアクリーナ13より新気を供給される。また気化器10は、燃料タンク5の下方に左右一対で設けられるフロントサイドカバー14で挟まれた空間内へ配設されている。
【0009】
フロントサイドカバー14は燃料タンク5の前部下方かつシリンダ部9上方の空間内に設けられ、前端部はホーン15の側方を覆うとともに、ホーン15と気化器10の間にも各種電装品を配置するようになっている。なお、ホーン15も電装品である。
【0010】
エンジン8は側面視(図2)で略ループ状をなす車体フレームの前部に支持され、この前部はヘッドパイプ16、上部パイプ17、下部パイプ18及びピボットプレート20で構成され、上部パイプ17は車体中心に沿ってヘッドパイプ16から後方へ延びて燃料タンク5を支持するとともに、車体略中央部で屈曲して下方へ延びてピボットプレート20へ接続している。
【0011】
下部パイプ18は左右一対で設けられ、ヘッドパイプ16から車幅方向へ広がって下方へ延び、シリンダ部9の下方で屈曲してさらに後方へ向かい、側面視でピボットプレート20の側方へ重なるように延び、ここでピボットプレート20を貫通して車幅方向へ延びるクロスパイプ21(図2)と接続している。
【0012】
車体フレームの後部は、上部パイプ17の屈曲部から左右一対で略水平に後方へ延出してタンデムシート6を支持するシートレール22と、下部パイプ18と連続してピボットプレート20の側方から斜め上がりに後方へ延びてシートレール22の中間部へ接続するサイドフレーム23とで略トラス状に構成されている。
【0013】
ピボットプレート20には、リヤフォーク24の前端部がピボット軸25で上下方向へ揺動自在に支持され、このリヤフォーク24は後方へ延出してその後端部へ後輪2が回転自在に支持される。また、シートレール22とサイドフレーム23の連結部とリヤフォーク24の後端部間には緩衝器26が設けられている。
【0014】
後輪2はその側面に同心で設けられたドリブンスプロケット27とエンジン8のドライブスプロケット28間に巻き掛けられたチェーン29によりチェーン駆動される。図中の符号30はキャリヤ、31はリヤフェンダ、32はテールランプ、33はマッドガード、34はリヤウインカ、35はリヤナンバープレートである。
【0015】
次に、背もたれの取付構造について説明する。図1は車体フレームに対する背もたれの取付構造を示す図、図4は車体後部の側面において背もたれの取付けを示す図、図5はリヤフェンダ上方から背もたれの取付構造を示す図、図6はマッドガードの側面図、図7はその背面図、図8は図6の8−8線に沿う金型構造を示す断面図である。
【0016】
図4及び図5に示すように、リヤフェンダ31は、左右一対のシートレール22間へ収容されて、その前部を左右のシートレール22間に車体後方から差し込むことにより緩衝器26の取付軸40(図4)と同軸で係合され、後部はシートレール22を貫通するキャリヤ取付軸41の車体内方端部へ、リヤフェンダ31の内側へ小組されているサブレーム42と一緒に取付けられる。
【0017】
キャリヤ取付軸41の車体外方端部には、キャリヤ30がボルト43により取付けられる。キャリヤ取付軸41はシートレール22の後端部へ前後に間隔を持って2ヶ所設けられ、シートレール22のうち前側のキャリヤ取付軸41より車体後方側は車体内方をつぶされた偏平部44になっている。
【0018】
この偏平部44によりリヤフェンダ31の側面との間に空間45(図1、図5)が形成され、この空間45を利用して背もたれ7のフレーム46下端部に設けられたプレート状の取付脚部47が上方から差し込まれ、偏平部44と平行に収容された状態で、予め側面に一体化されている環ブッシュ48が偏平部44の外方より通されたボルト49で締結される。これにより背もたれ7がシートレール22と連結一体化して支持される。
【0019】
図4に示すように、偏平部44には予めボルト49の通し穴50が形成されている。また、図1に示すように、シートレール22は二重壁になっており、偏平部44では4層に重なった剛性構造をなしている。
【0020】
一方、環ブッシュ48は同心構造の外筒51及び内筒52間を弾性部材53で連結したものであり、外筒51の周囲を取付脚部47へ溶接するとともに、内筒52の内周面は雌ネジが切られたナット部54をなし、ここにボルト49を締結するようになっている。
【0021】
図7及び図8に示すように、マッドガードリヤフェンダ31は左右両側面60にリヤウィンカ34を取付けるためのウィンカ取付座61が設けられ、ここに位置決め穴62及び配線穴兼用の取付穴63が形成されている。また、背面64にはウィンカ取付座61近傍にナンバープレート35を取付けるためのナンバープレート用取付座65が周囲より一段高く形成されている。
【0022】
このナンバープレート用取付座65は帯板状に左右方向へ延び、その左右両端は背面64の輪郭よりも側方へ長く張り出し、ここに取付穴66が長穴状に形成されている。符号67はテールランプのハウジング、68は車体フレーム側への連結ステーであり、これらは後述するように全てが一体に成形される。
【0023】
図9はウィンカ取付座61及びナンバープレート用取付座65部分は左右へスライドするスライド型72、73で形成される(図7のハッチング部分、符号69はパーテイングライン)。
【0024】
このうち、ウィンカ取付座61は割型70とスライド型72又は73の間で形成され、このときスライド型72又は73により位置決め穴62及び配線穴兼用の取付穴63も同時に形成される。また、ナンバープレート用取付座65は割型71とスライド型72又は73の間で形成され、このときスライド型72又は73により取付穴66も同時に形成される。
【0025】
したがって、このようにスライド型を構成することにより、通常では割型70、71だけで成形できず複雑な金型構造で成形しなければならない部分を最小限度のスライド型を用いて成形できるので、金型構造を簡単化でき、かつ成形コストも軽減できる。
【0026】
次に、本実施例の作用を説明する。図1及び図5に示すように、シートレール22の一部で車体内方部分に偏平部44を形成したので、背もたれ7を取付けるには図4に示すように、背もたれ7の取付脚部47を上方から偏平部44とリヤフェンダ31の側面との間に形成される空間45内へ差し込み、予め取付脚部47に設けられている環ブッシュ48をボルト49でシートレール22と締結すれば、背もたれ7をシートレール22へ支持できる。
【0027】
このとき、図1に明らかなように、環ブッシュ48も内筒52にナット部54を設けたので、ここにボルト49を締結することができ、このようにすることにより、環ブッシュ48の外部に別体のナットを設ける通常の場合と比べて著しく車体内方への突出量を少なくすることができる。
【0028】
したがって、偏平部44の外側表面から環ブッシュ48の車体内方側端部までの幅は、ほぼシートレール22の非偏平部の外径D以下に押さえることができ、その結果、偏平部44の内側表面からリヤフェンダ31の側面までの空間45の幅寸法d内へ十分に収容可能となる。
【0029】
このため、シートレール22の内側で背もたれ7の取付脚部47を連結しても、シートレール22を車体外方へ張り出して配置する必要がなく、車幅をスリムにでき、かつ背もたれ7の取付脚部47の連結部を外観しにくくして体裁を良くできる。
【0030】
なお、本願発明は上記実施例に限定されず種々応用可能であり、例えば、環ブッシュ48は実施例のように内外筒式でなく外筒が省略されたものなどが可能であり、要は軸心部にナット部が形成されているブッシュならば形式を問わない。
【図面の簡単な説明】
【図1】リヤフェンダ上方から背もたれの取付構造を拡大して示す図
【図2】自動2輪車の外観における進行方向左側面図
【図3】その部分拡大上面視図
【図4】背もたれの取付けを示す車体後部の側面図
【図5】リヤフェンダ後部を車体上方から示す図
【図6】マッドガードの側面図
【図7】その背面図
【図8】図6の8−8線に沿う金型構造を示す断面図
【符号の説明】
6:タンデムシート、7:背もたれ、22:シートレール、23:サイドフレーム、26:緩衝器、30:キャリヤ、31:リヤフェンダ、44:偏平部、45:空間、47:取付脚部、48:環ブッシュ、49:ボルト、54:ナット部
Claims (1)
- 車体後方へ延出する左右一対のシートレールと、その間に収容されて支持されるリヤフェンダと、リヤフェンダ上方でシートレールに支持されるシートと、このシート後方位置に配設された背もたれとを備えた自動2輪車において、
前記シートレールとリヤフェンダとの間に前記背もたれの取付脚部を収容するとともに、
この取付脚部にナット部が軸心部に形成されたブッシュを設け、このナット部にシートレールから通したボルトを締結することにより背もたれをシートレールへ取付けたことを特徴とする自動2輪車の背もたれ取付構造。
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