JP4047070B2 - 層状アパタイト強化樹脂組成物 - Google Patents

層状アパタイト強化樹脂組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂と層状アパタイトとからなる機械特性の改良された新規な樹脂組成物に関する。
【0002】
【発明の属する技術分野】
樹脂の強度、剛性、耐熱性などを改良するために、例えばガラス繊維や炭素繊維などの無機繊維状充填材、タルク、カオリン、マイカ、炭酸カルシウム、ウォラストナイトなどの無機物粒子、あるいは雲母、モンモリロナイト、膨潤性フッ素雲母などの層状化合物などの各種無機充填材を配合する方法が提案され、またこれらの材料のいくつかは、包装・容器などの汎用的消費分野や、自動車分野、電気・電子分野、機械・工業分野、事務機器分野、航空・宇宙分野などの各種部品などに用いられている。しかしながら、これらの手法には、得られる成形体の強度や剛性がより向上する点では有効であるものの、ポリアミドと充填剤との親和性が低いため、ポリアミド樹脂の特徴である靱性が著しく損なわれるという欠点があった。
【0003】
このような欠点を改良する試みとして本発明者らは、例えば特開平11―199771号公報等で開示されているように、ポリアミドとアパタイトからなり、ポリアミドとアパタイトとの界面接着性が良好なポリアミド樹脂を提案した。該ポリアミド樹脂から得られる成形品は、高剛性、高強度でありかつ良靱性という従来にない優れた特性を有しているものの、更なる高強度、高剛性化が期待されている。ところで、石川らは、J.Matr,Chem.,1995,5(11),1963やLangmuir,1997,13,821−826等に、アセトンと水の混合溶媒中でアパタイトをリン酸モノヘキシル等で処理することにより、層状アパタイトが合成できることを開示している。しかしながら、樹脂の特性を改良する目的で、樹脂と前記層状アパタイトとの組成物は未だかって報告されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、剛性、強度、耐熱性に優れる樹脂と層状アパタイトとからなる新規な樹脂組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、層状のアパタイトを樹脂とを複合化した新規な樹脂組成物によって、樹脂の強度、剛性、耐熱性が向上することを見出し、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は
(1)樹脂(A)と層状アパタイト(B)とを配合してなることを特徴とする樹脂組成物であって、該層状アパタイト(B)が、層間に下記式で示されるリン酸エステル化合物を含有することを特徴とする樹脂組成物。
(RO) PO(OH)
(ここで、Rはアルキル基、フェニル基、あるいはそれらの基の一部が炭化水素基などで置換された置換基アルキル基である。)
(2)(B)層状アパタイトの層間が1.0nm以上であること特徴とする上記1に記載の樹脂組成物、
(3)樹脂(A)100重量部に対して、層状アパタイト(B)が、0.01〜1000重量部であることを特徴とする上記1または2に記載の樹脂組成物、
(4)樹脂(A)が、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、芳香族ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、およびゴムのいずれかから選ばれた少なくとも1種の熱可塑性樹脂であることを特徴とする上記2あるいは3に記載の樹脂組成物、
【0006】
)層状アパタイト(B)が、層構造を有しないアパタイトとリン酸エステル化合物とを、水と親水性有機溶媒の混合溶媒中で20〜80℃の温度条件下で混合処理することにより得られることを特徴とする上記1から4のいずれか一項に記載の樹脂組成物、
)親水性有機溶媒が、アセトンであることを特徴とする上記に記載の樹脂組成物、
)層構造を有しないアパタイト1gに対して、0.01〜0.1モルのリン酸エステル化合物とを混合することを特徴とする上記に記載の樹脂組成物、
である。
【0007】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、樹脂と層状アパタイトとを混合してなる樹脂組成物に係わる。
本発明で好ましく用いられる樹脂は、公知のものであれば、特に制限されないが、熱可塑性樹脂あるいはゴムが好ましい樹脂として挙げることができる。
前記熱可塑性樹脂は、例えば、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリオキシメチレン系樹脂、芳香族ポリエステル系樹脂、芳香族ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム、あるいはアラミド、ポリイミド等の縮合系樹脂、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトンなどのポリエーテル系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデンなどの含ハロゲンビニル化合物系樹脂、ゴムなどを挙げることができる。また、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などの熱硬化樹脂なども用いることができる。
【0008】
これら樹脂は、1種で用いても良いし、2種以上組み合わせて用いても良い。本発明においては、これら樹脂の中でも、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリオキシメチレン系樹脂、芳香族ポリエステル系樹脂、芳香族ポリカーボネート系樹脂、ポリアリーレンスルフィド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ゴムのいずれかから選ばれた少なくとも1種の熱可塑性樹脂が、特に好ましく用いられる。
【0009】
本発明の層状アパタイトとは、層構造を有する層状アパタイトである。本発明の層状アパタイトの層間距離は、好ましくは1.0nm以上であり、より好ましくは1.5nm以上、さらに好ましくは3.0nm以上である。また、層間化合物は下記化式(1)で示されるリン酸エステル化合物である。
(RO)PO(OH) (1)
(ここで、Rはアルキル基、フェニル基、あるいはそれらの基の一部が炭化水素基などで置換された置換基アルキル基である。)
本発明の層状アパタイトは、層構造を有しないアパタイトと前記リン酸エステル化合物とを、水と親水性有機溶媒との混合溶媒中にて、混合処理することにより合成することができる。合成条件は、20〜80℃の温度条件下で行うのが好ましい。
【0010】
前記層構造を有しないアパタイトは、下記一般式で示される。
(A)10 - (HPO(PO - (X) - ・nH
ここで、0≦z<2、0≦n≦16であり、(A)は金属元素、またXは陰イオンまたは陰イオン化合物であり、0≦z<1、0≦n≦4である。
前記金属元素(A)は、得られる樹脂組成物の成形性、物性の点から、モル比にして50〜100%がカルシウムであることが好ましく、モル比にして75〜100%がより好ましく、更には80〜100%が好ましく、85〜100%がカルシウムであることが最も好ましい。一方、カルシウム以外の金属元素としては、カルシウム以外の元素周期律表の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13族元素およびスズ、鉛を挙げることができる。これらカルシウム以外の金属元素は1種であっても、2種以上であってもかまわない。本発明においては、カルシウム以外の金属元素として好ましいものとしては、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウム、鉄、鉛、スズあるいはこれらの2種以上からなる混合物を挙げることができる。
【0011】
前記一般式中の(X)で示される陰イオンまたは陰イオン化合物としては、水酸イオン(OH)、フッ素イオン(F)、塩素イオン(Cl-)などを挙げることができる。これら陰イオン元素または陰イオン化合物は1種であっても、2種以上であってもかまわない。また、本発明においては、前記一般式中のリン酸水素イオン(HPO -)、リン酸イオン(PO -)、あるいはXの一部が炭酸イオン(CO -)に置換した炭酸含有アパタイトであってもよい。
【0012】
本発明においては、層構造を有しないアパタイトの中で最も好ましく用いられるものとしては、金属元素(A)がカルシウムである水酸アパタイト((X)が水酸イオン)、フッ素化アパタイト((X)の一部または全部がフッ素イオン)、塩素化アパタイト((X)の一部または全部が塩素イオン)、炭酸含有水酸アパタイト、炭酸含有フッ素化アパタイト、炭酸含有塩素化アパタイト、さらには、これらの混合物が最も好ましく用いられる。
【0013】
本発明では、層構造を有しないアパタイトのリンに対する金属元素の比は、モル比にして1.0〜2.0が好ましく、1.3〜1.8が特に好ましい。この比が1.0未満や、2.0を越えた場合には、得られる樹脂組成物の強度、剛性などの物性の低下が懸念され好ましくない。
【0014】
前記リン酸エステル化合物は、前記化式(1)を満足する化合物であれば、特に限定されないが、好ましい化合物としては、化式(1)中のRがメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、ラウリル基、トリデシル基、ステアリル基、オレイル基などの脂肪族基、フェニル基、ビフェニル基などの芳香族基、あるいはヒドロキシ基、メチル基、エチル基、プロピル基、t−ブチル基、ノニル基、メトキシ基、エトキシ基などの置換基を有する芳香族基などのリン酸エステル化合物あるいはこれらの混合物を挙げることができる。
【0015】
前記親水性有機溶媒とは、水と相溶する溶媒であれば特に限定しないが、好ましいものとしては、例えばメタノール、エタノール、エチレングリコール等のアルコール系溶媒やN,N−ジメチルホルムアミド、アセチルアセトアミド等のアミド系溶媒、その他アセトン、ジエチルエーテル、ジメチルスルフォキシドなど、あるいはこれらの混合物を挙げることができる。中でも好ましいのがアセトンである。
【0016】
本発明の層状アパタイトが、層構造を有することの確認方法は、粉末X線回折法、あるいは走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)による直接観察法などを用いて行うことができる。より具体的に、粉末X線回折法の場合について説明する。層構造を有する化合物に、X線を照射すると、その層の表面で回折が起き、ブラッグの式によって層と層との距離、すなわち層間距離が求まることが一般に知られている。より具体的には、X線発生源をCuKαを用いて、検出器のスキャンスピードは1.0度/minで行い、層の表面での回折面、すなわち(00n)面のピークを測定することにより、層構造の確認および層間距離を求めることができる。
【0017】
本発明において好ましく用いられる層状アパタイトは、粉末X線回折により求まる層間距離が1.0nm以上であり、より好ましくは1.5nm以上、さらに好ましくは3.0nm以上である。層間距離が1.0nm未満では、樹脂に配合しても、アパタイトが均一に分散した樹脂組成物が得られにくくなる傾向にあり、機械特性の改良効果が顕著でない場合がある。
本発明の樹脂組成物の製造法は、層状アパタイトに樹脂モノマーを混在させて樹脂の重合を行う方法、樹脂と層状アパタイトとを溶融混練する方法、樹脂と層状アパタイトを溶液中で混合する方法、樹脂と層状アパタイトのマスターバッチを混合する方法などを用いれば良い。これら方法は、必要に応じて、組み合わせても良い。
【0018】
前記製造方法のうち、溶融混練により混合する場合、溶融混練を行う装置としては、一般に実用されている混練機が適用できる。例えば、一軸または多軸混練押出機、ロール、バンバリーミキサーなどを用いれば良い。中でも、減圧装置、およびサイドフィーダー設備を装備した2軸押出機が最も好ましい。溶融混練の方法は、全成分を同時に混練してもよく、あらかじめ予備混練したブレンド物を用いて混練する方法、更に押出機の途中から逐次、各成分をフィードし、混練を行ってもよい。
【0019】
本発明の樹脂組成物中の層状アパタイトの配合量は、樹脂100重量部に対して、層状アパタイト0.01〜1000重量部が好ましい。層状アパタイトの含有量は、例えば、樹脂組成物のペレットや成形品などをJISR3420に従って強熱減量(Ig.loss)を測定し、その重量減少量から求めることができる。具体的には、樹脂組成物を十分乾燥した後、白金皿に約1g秤量し、650±20℃の電気炉で灰化し、冷却後、その重量を秤り、層状アパタイトの含有量を定量する。層状アパタイトが0.01重量部未満である場合は樹脂の機械特性の効果が十分でない場合がある。さらに、1000重量部を越えると、成形できないなどの問題が発生する場合がある。
【0020】
本発明の樹脂組成物は、樹脂中の層状アパタイトがミクロンメーターサイズ(約100〜1μmのサイズ)で凝集した状態で分散してもかまわないが、物性の改良効果という観点から、樹脂中にナノメーターサイズ(約10〜100nmのサイズ)で均一に分散していることが好ましい。また、樹脂中の層状アパタイトの重量平均長が、約100nm〜100μmであることが好ましい。また、重量平均厚みが、1〜100nmであることが好ましい。更には、重量平均長と重量平均厚みとの比である平均アスペクト比が10程度以上、好ましくは20程度以上、最も好ましくは30程度以上である。
【0021】
層状アパタイトの樹脂中での分散状態の確認と、重量平均長と重量平均厚みの測定は、樹脂組成物のペレットや成形品を用いて、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し測定する方法や、樹脂が可溶な溶媒を用いて樹脂を除去し分離したアパタイトを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し測定する方法や、あるいは樹脂組成物を650±20℃の電気炉で灰化し、冷却後、残存したアパタイトを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し測定する方法により行うことができる。
【0022】
透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し測定する方法を、より具体的に説明すると、樹脂組成物のペレットや成形品から、20〜80nm程度の超薄切片を作成し、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて1〜10万倍程度の倍率で明視野像を撮り、最低100個のアパタイトの分散状態の観察を行い求めることができる。重量平均長と重量平均厚みは、層状アパタイトの長さ(aおよびb軸方向の長さ)Lおよびその個数Nと、厚み(c軸方向の長さ)Dおよびその個数nを求め、下記式により算出する。
重量平均長(L)=ΣL ・N/ΣL・N
重量平均厚み(D)=ΣD ・n/ΣD・n
平均アスペクト比=重量平均長(L)/重量平均厚み(D)
【0023】
本発明による樹脂組成物には、必要に応じて本発明の目的を損なわない範囲で、樹脂に通常用いられる充填材、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ガラスフレーク、タルク、カオリン、ウォラストナイト、モンモリロナイト、膨潤性フッ素雲母、合成マイカ、アパタイトなどの無機充填材、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミン、シアヌル酸メラミン、サクシノグアナミン、硫酸メラミン、フタル酸メラミン、シリコーン、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンエーテル、複合化ガラス粉末など難燃剤が配合できる。
【0024】
また、リン系熱安定剤、ヒンダードフェノール系熱安定剤、イオウ系熱安定剤、ヒンダードアミン系、トリアジン系安定剤などの熱・酸化防止あるいは耐候改良剤、ステアリン酸などの高級脂肪酸、ステアリン酸カルシウムなどの高級脂肪酸金属塩、ステアリル−ステアレート高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、ポリアルキレングリコールあるいはその変性物、低分子量ポリエチレンや酸化ポリエチレンなどの成形性改良剤、可塑剤、チタンホワイト、カーボンブラック、メタリック顔料などの顔料や着色剤、ケッチェンブラックやカーボンナノチューブなどの導電性付与剤、帯電防止剤、結晶核剤、可塑剤などを配合してもかまわない。
【0025】
本発明の樹脂組成物は、樹脂に一般的に用いられる成形加工法により、成形することができる。例えば、射出成形、ガスアシスト成形、射出・ブロー成形、中空成形、押出成形、発泡成形、シート成形、フィルム成形、回転成形、積層成形、溶着成形、二色成形、インサート成形、プレス成形など、あるいはこれらを組み合わせた成形により成形品を得ることができる。
本発明の樹脂組成物は、剛性、強度、耐熱性などの機械特性が改良されるため、包装・容器などの汎用的消費分野や、自動車分野、電気・電子分野、機械・工業分野、事務機器分野、航空・宇宙分野などの各種部品などへの応用が期待される。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施例により、更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に制限されるものではない。なお、以下の実施例、比較例において記載した物性評価は、射出成形機を用いて評価用成形品を作成し、以下のようにして行った。
(1)曲げ弾性率(Mpa)
ASTM D790に準じて行った。
(2)引張強度(MPa)
ASTM D638に準じて行った。
(3)荷重たわみ温度(℃)
ASTM D648に準じて行った。荷重は1.83MPaで行った。
【0027】
【製造例1】
層構造を有しないアパタイトの製造:
水酸化カルシウム30g(0.405モル)と純水20kgとの懸濁液に、85重量%リン酸28.7g(リン酸:0.249モル)を23℃で撹拌しながらゆっくり混合した。この混合懸濁液を24時間撹拌しながら保持し、濾過し白色粉末を得た。得た白色粉末を70℃で16時間乾燥した。得られた乾燥物の広角X線回折(銅Kα(波長λ=1.542Å))の結果、回折角(2θ)が25.5〜26.5度に(002)面ピークが存在し、さらに32.5〜33.5度に(300)面ピークが存在することを確認できた。また、粉末X線回折の結果、回折角(2θ)が5度以下の小角領域にはピークは観測されなかったことから、層構造を有しないアパタイトが生成していることが確認された。
【0028】
【製造例2】
層状アパタイトの合成
アセトン/水(2/1)の混合溶媒1リットルに対して、製造例1で得られた層構造を有しないアパタイト1gとリン酸モノデシル0.05molの割合で加え、撹拌しながら64℃で5時間還流した。その後、濾過・アセトン洗浄し、23℃で16時間真空乾燥した。得られた白色粉末の粉末X線回折の結果、層間距離が2.7nmの層状化合物であることが確認された。
【0029】
【実施例1】
ポリプロピレン(グランドポリマー(株)製:F−600)100重量部に対して、製造例2の層状アパタイトが10重量部になるように混合し、二軸押出機(東芝機械(株)製TEM35)を用いて、溶融混練し、樹脂組成物を得た。評価結果を表1に示す。
【0030】
【実施例2】
ポリアミド66(旭化成(株)製:レオナ1300)100重量部に対して、製造例2の層状アパタイトが10重量部になるように混合し、二軸押出機(東芝機械(株)製TEM35)を用いて、溶融混練し、樹脂組成物を得た。評価結果を表1に示す。
【0031】
【実施例3】
ポリアミド66(旭化成(株)製:レオナ1300)100重量部に対して、製造例2の層状アパタイトが5重量部になるように混合し、二軸押出機(東芝機械(株)製TEM35)を用いて、溶融混練し、樹脂組成物を得た。評価結果を表1に示す。
【0032】
【実施例4】
ポリアミド66(旭化成(株)製:レオナ1300)100重量部に対して、製造例2の層状アパタイト100が重量部になるように混合し、二軸押出機(東芝機械(株)製TEM35)を用いて、溶融混練し、樹脂組成物を得た。評価結果を表1に示す。
【0033】
【実施例5】
ポリオキシメチレン(旭化成工業(株)製:テナックC4520)100重量部に対して、製造例2の層状アパタイトが10重量部になるように混合し、二軸押出機(東芝機械(株)製TEM35)を用いて、溶融混練し、樹脂組成物を得た。評価結果を表1に示す。
【0034】
【実施例6】
ポリフェニレンエーテル(旭化成工業(株)製:ザイロン500H)100重量部に対して、製造例2の層状アパタイトが10重量部になるように混合し、二軸押出機(東芝機械(株)製TEM35)を用いて、溶融混練し、樹脂組成物を得た。評価結果を表1に示す。
【0035】
【実施例7】
ポリカーボネート(三菱化学(株)製:ユーピロンS2000)100重量部に対して、製造例2の層状アパタイトが10重量部になるように混合し、二軸押出機(東芝機械(株)製TEM35)を用いて、溶融混練し、樹脂組成物を得た。評価結果を表1に示す。
【0036】
【実施例8】
ポリブチレンテレフタレート(東レ(株)製:1401−X34)100重量部に対して、製造例2の層状アパタイトが10重量部になるように混合し、二軸押出機(東芝機械(株)製TEM35)を用いて、溶融混練し、樹脂組成物を得た。評価結果を表1に示す。
【0037】
【比較例1】
実施例1で用いた、ポリプロピレンを評価した。評価結果を表1に示す。
【0038】
【比較例2】
実施例2で用いた、ポリアミド66を評価した。評価結果を表1に示す。
【0039】
【比較例3】
実施例5で用いた、ポリオキシメチレンを評価した。評価結果を表1に示す。
【0040】
【比較例4】
実施例6で用いた、ポリフェニレンエーテルを評価した。評価結果を表1に示す。
【0041】
【比較例5】
実施例7で用いた、ポリカーボネートを評価した。評価結果を表1に示す。
【0042】
【比較例6】
実施例8で用いた、ポリブチレンテレフタレートを評価した。評価結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
Figure 0004047070
【0044】
【発明の効果】
本発明は、樹脂と層状アパタイトとからなる新規な樹脂組成物であり、剛性、強度、耐熱性などの機械特性が改良されるため、包装・容器などの汎用的消費分野や、自動車分野、電気・電子分野、機械・工業分野、事務機器分野、航空・宇宙分野などの各種部品などへの応用が期待される。

Claims (7)

  1. 樹脂(A)と層状アパタイト(B)とを配合してなることを特徴とする樹脂組成物であって、該層状アパタイト(B)が、層間に下記式で示されるリン酸エステル化合物を含有することを特徴とする樹脂組成物。
    (RO) PO(OH)
    (ここで、Rはアルキル基、フェニル基、あるいはそれらの基の一部が炭化水素基などで置換された置換基アルキル基である。)
  2. 層状アパタイト(B)の層間が、1.0nm以上であること特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 樹脂(A)100重量部に対して、層状アパタイト(B)が、0.01〜1000重量部であることを特徴とする請求項1または2記載の樹脂組成物。
  4. 樹脂(A)が、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、芳香族ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、およびゴムのいずれかから選ばれた少なくとも1種の熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項2あるいは3に記載の樹脂組成物。
  5. 層状アパタイト(B)が、層構造を有しないアパタイトとリン酸エステル化合物とを、水と親水性有機溶媒の混合溶媒中で20〜80℃の温度条件下で混合処理することにより得られることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  6. 親水性有機溶媒が、アセトンであることを特徴とする請求項に記載の樹脂組成物。
  7. 層構造を有しないアパタイト1gに対して、0.01〜0.1モルのリン酸エステル化合物を混合することを特徴とする請求項に記載の樹脂組成物。
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