JP4044360B2 - 半導体装置およびその作製方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、結晶構造を有する半導体膜を用いた半導体装置およびその作製方法に関し、より具体的には結晶構造を有する半導体膜をチャネル形成領域、ソース領域およびドレイン領域を含めた活性層を含む薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)を有する半導体装置およびその作製方法に関する。
【0002】
【従来技術】
低消費電力、省スペースという特徴を生かして市場を広げてきた液晶表示装置だが、いよいよ一般家庭で日常的に用いられるテレビジョンとしてCRTに取って代わろうとしている。このような状況のなかで、液晶表示装置に求められるのは、CRTに匹敵するまたはそれ以上の高精細で明るい表示であり、さらにCRTに匹敵する価格である。
【0003】
ところで、ディスプレイ(表示装置)として一般的に用いられるようになった液晶表示装置の画素部に設けられるTFTに要求されるのは主に低いオフ電流(TFTのオフ動作時に流れる電流)である。TFTのオフ動作時に洩れるオフ電流は、わずかでもコントラストや画質の低下を招くためであるが、近年電界効果移動度の高さなどから積極的に用いられるようになってきた結晶構造を有する活性層を含むTFTでは、オフ電流が大きくなってしまうという問題があった。
【0004】
オフ電流を抑える技術として、LDD(Lightly Doped Drain)構造が知られている。特許第3072655号(図2(A)に示した構造)では、第1のトランジスタおよび第2のトランジスタが低濃度不純物領域を挟んで直列に接続された(ダブルゲート構造でチャネル形成領域に挟まれた低濃度不純物領域を有している)構造が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
液晶表示装置に対する高精細化に対する要求には画素数を増やすことで、また、高輝度化に対しては開口率を上げることで、その要求に応えている。画面サイズは規格が決められているため、その限られた画素面積の中で画素数を増やさなければならず、それは画素サイズの縮小を意味しており、画素サイズを低下させつつさらに開口率を向上させる技術を実現しなければならない。配線幅を狭くすることで開口率の向上には配線抵抗の上昇等の問題を考えると限界があり、あとは、
画素におけるスイッチングTFTのサイズを小さくすることが考えられる。
【0006】
また、画素のスイッチングTFTのオフ電流を低く抑えることができれば、保持容量のサイズを小さくすることができるため、さらなる開口率の向上のためには、オフ電流の低いTFTを作ることが重要である。
【0007】
しかし、同一基板上に用いられる回路によって要求される特性が異なるため、回路によってTFT構造の作りわけをしなければならないが、TFTは半導体膜や絶縁膜、或いは導電膜を、フォトマスクを用いて所定の形状にエッチング加工しながら積層することにより作製するため、画素部や各駆動回路における要求に合わせてTFTの構造を最適化しようとすると、単純にフォトマスクの数を増やすことになり製造工程が複雑となり工程数が必然的に増加してしまう。また画素部においては開口率を向上させるためにサイズの小さなTFTを作製してもオフ電流の十分低いTFTを作製することができなかったり、逆に信頼性が低下したりしてしまって、求められる表示装置(半導体装置)を実現することは簡単なことではなかった。
【0008】
そこで、本発明はこのような問題点を解決することを目的とし、画素サイズ小(TFTサイズ小)で、オフ電流の低いTFTを提供すること、画素部や駆動回路の駆動条件に最適なTFTの構造を、少ないフォトマスクの数で実現する技術を提供することを課題とする。
【0009】
また、画素部や駆動回路の駆動条件に最適なTFTの構造をオフ電流の小さなTFTを製造工程数、製造コストを増加させることなく作りわける技術を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、半導体層、前記半導体層上のゲート絶縁膜、前記ゲート絶縁膜上のゲート電極を含み、前記半導体層は、チャネル形成領域、第1の濃度の不純物元素を含む領域、第2の濃度の不純物元素を含む領域および第3の濃度の不純物元素を含む領域を含み、前記ゲート電極は電極(A)および電極(B)が積層されており、前記電極(A)の端部の一方は前記第2の濃度の不純物元素を含む領域と前記ゲート絶縁膜を介して重なり、前記電極(A)の端部の他方は前記チャネル形成領域と前記ゲート絶縁膜を介して重なっていることを特徴とする。
【0011】
また本発明は、半導体層、前記半導体層上のゲート絶縁膜、前記ゲート絶縁膜上の第1のゲート電極および第2のゲート電極を含み、前記半導体層は、チャネル形成領域、第1の濃度の不純物元素を含む領域、第2の濃度の不純物元素を含む領域および第3の濃度の不純物元素を含む領域を含み、前記第1のゲート電極および前記第2のゲート電極は電極(A)および電極(B)が積層されており、前記第1のゲート電極及び前記第2のゲート電極の電極(A)の端部の一方は前記第2の濃度の不純物元素を含む領域と前記ゲート絶縁膜を介して重なり、前記第1のゲート電極及び前記第2のゲート電極の電極(A)の端部の他方は前記チャネル形成領域と前記ゲート絶縁膜を介して重なっており、前記第1のゲート電極の電極(A)と重なる第2の濃度の不純物領域および前記第2のゲート電極の電極(A)と重なる第2の濃度の不純物領域との間に、前記第3の濃度の不純物元素を含む領域を有していることを特徴とする。
【0012】
また本発明は、半導体層、前記半導体層上のゲート絶縁膜、前記ゲート絶縁膜上の第1のゲート電極および第2のゲート電極を含み、前記半導体層は、チャネル形成領域、第1の濃度の不純物元素を含む領域、第2の濃度の不純物元素を含む領域および第3の濃度の不純物元素を含む領域を含み、前記第1のゲート電極および前記第2のゲート電極は電極(A)および電極(B)が積層されており、前記電極(A)の端部の一方は前記第2の濃度の不純物元素を含む領域と前記ゲート絶縁膜を介して重なり、前記電極(A)の端部の他方は前記チャネル形成領域と前記ゲート絶縁膜を介して重なり、前記チャネル形成領域は、第1の濃度のn型不純物元素を含むn型不純物領域および第2の濃度のn型不純物元素を含むn型不純物領域に挟まれており、前記第1の濃度の不純物元素を含むn型不純物領域に隣接する前記第3の濃度のn型不純物元素を含むn型不純物領域および前記第2の濃度のn型不純物元素を含むn型不純物領域に隣接した前記第3の濃度のn型不純物元素を含むn型不純物領域を有し、前記第1のゲート電極の電極(A)と重なる第2の濃度の不純物領域および前記第2のゲート電極の電極(A)と重なる第2の濃度の不純物領域との間に、前記第3の濃度の不純物元素を含む領域を有し、前記第1の濃度のn型不純物元素を含むn型不純物領域に隣接する前記第3の濃度の不純物元素を含むn型不純物領域は、ソース領域またはドレイン領域として機能することを特徴とする。
【0013】
また上記発明において、前記第1の濃度の不純物元素を含む領域は、n型不純物元素を1×1015〜1×1017/cm3の濃度で含み、前記第2の濃度の不純物元素を含む領域は、n型不純物元素を1×1017〜1×1019/cm3の濃度で含み、前記第3の濃度の不純物元素を含む領域は、n型不純物元素を1×1020〜1×1021/cm3の濃度で含むことを特徴とする。
【0014】
また上記発明において、前記電極(A)は、W、Mo、Ta、Tiから選ばれた元素からなる導電膜、前記元素を主成分とする化合物からなる導電膜、もしくは前記元素を主成分とする合金からなる導電膜であることを特徴とする。
【0015】
本発明で示す半導体装置は、ゲート電極とゲート絶縁膜を介して重なる第2の濃度の不純物元素を含む領域と、ゲート電極とは重ならない第1の濃度の不純物元素を含む不純物領域と、を有している。前記第2の濃度の不純物元素を含む不純物領域は、ゲート電極と重ならない第1の濃度の不純物元素を含む不純物領域(Loff領域)を有しており、このLoff領域を有していることで、半導体層中に形成されたPN接合のエネルギー障壁の幅が広くなり、PN接合部に加えられる電界強度が弱められ、オフ電流を低減することができる。また、ゲート電極とゲート絶縁膜を介して重なる第2の濃度の不純物を含む不純物領域(Lov領域)を有しており、オン電流の劣化を防ぐ構造となっているため、信頼性の高い半導体装置を得ることができる。
【0016】
上記した半導体装置(TFT)の作製方法の特徴は、絶縁表面に第1の半導体層、第2の半導体層、第3の半導体層および第4の半導体層を形成し、前記第1乃至4の半導体層上にゲート絶縁膜を形成し、前記ゲート絶縁膜上に第1の導電膜および第2の導電膜を形成し、前記第1の導電膜および前記第2の導電膜をエッチングして、前記第1乃至4の半導体層上に第1の電極および第2の電極からなる第1の形状のゲート電極を形成し、前記第1の電極および前記第2の電極をエッチングして、第3の電極および第4の電極からなる第2の形状のゲート電極を形成し、前記第2の形状のゲート電極をマスクにして自己整合的に前記第1乃至4の半導体層にn型不純物元素を添加して第1の濃度のn型不純物元素を含むn型不純物領域を形成し、前記第2の半導体層および第4の半導体層の全体を覆う第1のマスクと前記第3の半導体層の一部を覆う第2のマスクを形成し、前記第1の半導体層上の前記第4の電極をマスクとし、前記第3の電極を通して前記第1の半導体層に第2の濃度の不純物領域および第3の濃度のn型不純物元素を含むn型不純物領域を形成し、前記第4の電極および第2のマスクをマスクとし、前記第3の電極を介して第3の半導体層に第2の濃度のn型不純物元素を含むn型不純物領域および第3の濃度のn型不純物元素を含むn型不純物領域を形成することである。
【0017】
これにより、製造工程数、製造コストを増加させることなく要求に応じたTFTを同一基板上に作りわけることができ、オフ電流が低く信頼性の高い半導体装置を作製することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
本発明のTFTの構造を図1(A)に、本発明のTFTの電気特性を測定した結果を図1(B)に示す。
【0019】
絶縁表面上に半導体層、前記半導体層上にゲート絶縁膜、前記ゲート絶縁膜上にゲート電極を有しており、前記半導体層はチャネル形成領域13、第1の濃度のn型を付与する不純物元素(以下、n型不純物元素という)を含むn型不純物領域領域14、第2の濃度のn型不純物元素を含むn型不純物領域12および第3の濃度のn型不純物元素を含むn型不純物領域11、15を含み、前記ゲート電極は第1のゲート電極16および第2のゲート電極17を有し、前記第1のゲート電極および前記第2のゲート電極は、電極(A)16a、17aおよび電極(B)16b、17bからなり、前記電極(A)16a、17aは、端部の一方が前記第2の濃度のn型不純物元素を含むn型不純物領域12と前記ゲート絶縁膜を介して重なり、端部の他方は、前記チャネル形成領域と前記ゲート絶縁膜を介して重なっている。
また、第1のゲート電極の電極(A)16aと重なる第2の濃度のn型不純物元素を含むn型不純物領域12および第2のゲート電極の電極(A)17aと重なる第2の濃度のn型不純物元素を含むn型不純物領域との間には、前記第3の濃度のn型不純物元素を含むn型不純物領域11がある。
【0020】
なお、第1の濃度のn型不純物元素を含むn型不純物領域14には、n型不純物元素が1×1015〜1×1017/cm3の濃度で含まれている。また、第2の濃度のn型不純物元素を含むn型不純物領域12には、n型不純物元素が1×1017〜1×1019/cm3の濃度で含まれている。第3の濃度のn型不純物元素を含むn型不純物領域11、15には、n型不純物元素が1×1020〜1×1021/cm3の濃度で含まれている。
【0021】
また、本明細書において、第1の濃度のn型不純物元素を含むn型不純物領域14は、低濃度にn型不純物元素を含むLDD(Lightly Doped Drain)領域であり、ゲート電極と重なる領域がないため、Loff領域(offはoffsetの意味で付す)とも称する。第2の濃度のn型不純物元素を含むn型不純物領域12は、ゲート絶縁膜を介して電極(A)と重なっていることから、Lov領域(ovはoverlappedの意味で付す)とも称する。
【0022】
なお、本発明のTFTの電気特性と比較するために本発明者は、特許第3072655号で開示されているような、ダブルゲート構造(第1のゲート電極25、第2のゲート電極26)で半導体層に第1のチャネル形成領域および第2のチャネル形成領域、第2の濃度のn型不純物元素を含むn型不純物領域21、23、および第3の濃度のn型不純物元素を含むn型不純物領域24を含み、第1のチャネル形成領域と第2のチャネル形成領域との間に第2の濃度のn型不純物元素を含むn型不純物領域(L内)21が形成されたTFTを作製した。そのTFTの構造概略図を図2(A)に、電気特性の測定結果を図2(B)に示す。
【0023】
本発明のTFTと上記の特許で開示されたTFTとでオフ領域での挙動を比較すると、両者の挙動はほぼ同じような挙動を示している(ゲート電圧がマイナス側にシフトするに従って、オフ電流が若干増加する)。しかし、オン電流に関しては、例えば、VG=10(V)、20(V)の時のオン電流を調べたところ、本発明のTFTは、1×10-4(A)、6×10-3(A)であった。上記の特許で開示されたTFT構造では、VG=10(V)、20(V)の時、3×10-4(A)、8×10-3(A)であった。オン領域での挙動を比較しても、本発明のTFTのほうが高いオン電流を得られていることがわかる。
【0024】
図2に示すように従来技術のTFTは、本発明で開示するTFTの半導体層のサイズより3μm大きくなければ、オフ領域の挙動が同程度のTFTが得られなかった。また、信頼性評価をしやすいパラメータであるオン電流が本発明で開示するTFTの方が、上記の特許で開示されたTFT構造より大きいものが得られた。これは、本発明で開示するTFTには、Loff領域およびLov領域が設けられているためと考えられる。以上のように、半導体層のサイズが小さくてもオフ電流の小さいTFTを得ることができる。
【0025】
このように本発明は、高画質のために画素数が増え、それに伴い画素サイズを小さくしなければならず、さらに高輝度化のために高い開口率をも実現しなければならないという問題を同時に解決することができる。
【0026】
(実施形態2)
本実施例では、本発明で開示するTFT構造(図1(A)参照)および従来技術においてすでに開示された構造(図2(A)参照)のマルチゲート構造のTFTにおいて、複数(本実施形態では2つ)のゲート電極間のサイズを2μmに揃えて作製したTFTの電気特性を比較している。
【0027】
測定は、ゲート電圧VG=−20〜20V、ソース電圧Vs=0Vとして、▲1▼ドレイン電圧VD=1V、VG=10V▲2▼VD=14V、VG=10Vの2ポイントにおける電流(オン電流)、▲3▼VD=1V、VG=−17.5V▲4▼VD=14V、VG=−4.5Vの2ポイントにおける電流(オフ電流)の測定結果を図14に示す。
【0028】
測定ポイント▲1▼および▲2▼でのオン電流に関して、本発明の構造の方が従来構造と比較して高くなっている。これは、本発明の構造には、ゲート電極が低濃度不純物領域(LDD領域)がゲート絶縁膜を介して重なっている領域があるため、オン電流を高くすることができたと考えられる。
【0029】
測定ポイント▲3▼および▲4▼でのオフ電流に関して、本発明の構造の方が従来構造と比較して低くなっている。したがって、よりオフ電流の低いTFTを画素のスイッチング素子として用いれば、リーク電流が低い分保持容量素子が占める面積を狭くすることができるため、画素部における開口率を向上させることができる。
【0030】
以上のように、サイズを揃えた構造の異なる2つのTFTの電気特性を比較したとき、本発明で開示した構造のTFTの方がより良い電気特性(オン電流およびオフ電流)を得ることができることがわかった。
【0031】
【実施例】
(実施例1)
本発明の一実施例を、以下に図3〜5を用いて説明する。ここでは、同一基板上に画素部と、画素部の周辺に設ける駆動回路のTFT(nチャネル型TFT及びpチャネル型TFT)を同時に作製する方法について詳細に説明する。
【0032】
図3(A)において、基板100はアルミノホウケイ酸ガラスを用いる。この基板100上に第1の絶縁膜を形成する。本実施例では、SiH4、NH3及びN2Oを反応ガスとして成膜される第1酸化窒化シリコン膜101aを50nm、SiH4及びN2Oを反応ガスとして成膜される第2酸化窒化シリコン膜101bを100nmの厚さに積層形成する。
【0033】
半導体層103〜106(本実施例では、便宜上、第1の半導体層103、第2の半導体層104、第3の半導体層105および第4の半導体層106とする)は結晶構造を有する半導体膜102から形成する。これは、第1の絶縁膜上に非晶質半導体膜を形成した後、公知の結晶化法を用いて形成する。本実施例では、非晶質シリコン膜を50nmの厚さに堆積した後、エキシマレーザー光を光学系で線状に集光し、それを照射することにより結晶化させる。当該レーザー光のパワー密度は300mJ/cm2とし、太さ500μmの線状レーザー光を90〜98%割合で重畳させながら非晶質シリコン膜の全面に渡って照射する。
【0034】
結晶化後、TFTのしきい値電圧を制御するために、アクセプタ型の不純物としてボロンをイオンドープ法により半導体膜に添加する。添加する濃度は実施者は適宣決定すれば良い。
【0035】
こうして形成された多結晶シリコン膜をエッチング処理により島状に分割して、半導体膜103〜106を形成する。その上に、ゲート絶縁膜107として、SiH4、N2Oを用いプラズマCVD法により作製される酸化窒化シリコン膜を110nmの厚さに形成する(図3(B))。
【0036】
さらに、ゲート絶縁膜107上に第1の導電膜108として窒化タンタル膜をスパッタ法で30nmの厚さに形成し、さらに第2の導電膜109としてタングステンを300nmの厚さに形成する(図3(C))。
【0037】
次に、図4(A)に示すように光感光性のレジスト材料を用い、マスク110〜113を形成する。そして、第1の導電膜108及び第2の導電膜109に対する第1のエッチング処理を行う。エッチングにはICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング法を用いる。エッチング用ガスに限定はないがW膜や窒化タンタル膜のエッチングにはCF4とCl2とO2とを用いる。それぞれのガス流量を25/25/10とし、1Paの圧力でコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してエッチングを行う。この場合、基板側(試料ステージ)にも150WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。この第1のエッチング条件により主にW膜を所定の形状にエッチングする。
【0038】
この後、エッチング用ガスをCF4とCl2に変更し、それぞれのガス流量比を30/30とし、1Paの圧力でコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成して約30秒程度のエッチングを行う。基板側(試料ステージ)にも20WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。CF4とCl2との混合ガスは窒化タンタル膜とW膜とを同程度の速度でエッチングする。こうして、端部にテーパーを有する第1の電極114a〜117aおよび第2の電極114b〜117bからなる第1の形状のゲート電極114〜117を形成する。テーパーは45〜75°で形成する。尚、第2の絶縁膜上に残渣を残すことなくエッチングするためには10〜20%程度の割合でエッチング時間を増加させると良い。なお、ゲート絶縁膜107の第1の形状のゲート電極114〜117で覆われない領域の表面は20〜50nm程度エッチングされ薄くなった領域が形成される。
【0039】
次に、マスク110〜113を除去せずに図4(B)に示すように第2のエッチング処理を行う。エッチング用ガスにCF4とCl2とO2とを用い、それぞれのガス流量比を20/20/20とし、1Paの圧力でコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成してエッチングを行う。基板側(試料ステージ)には20WのRF(13.56MHz)電力を投入し、第1のエッチング処理に比べ低い自己バイアス電圧を印加する。このエッチング条件により第2の導電膜として用いたW膜をエッチングする。こうして第3の電極118a〜121aと第4の電極118b〜121bからなる第2の形状のゲート電極118〜121を形成する。ゲート絶縁膜107の第2の形状のゲート電極118〜121で覆われない領域表面は20〜50nm程度エッチングされ薄くなる。なお、本明細書では、第3の電極、第4の電極を便宜上電極(A)、電極(B)とも称することとする。
【0040】
続いてn型を付与する不純物元素(n型不純物元素)を半導体層に添加する第1のドーピング処理を行う。第1のドーピング処理は、質量分離をしないでイオンを注入するイオンドープ法により行う。ドーピングは第1形状のゲート電極114〜117をマスクとして用い、水素希釈のフォスフィン(PH3)ガスまたは希ガスで希釈したフォスフィンガスを用い、半導体膜103〜106に第1の濃度のn型不純物元素を含むn型不純物領域122〜125を形成する。このドーピングにより形成する第1の濃度のn型不純物元素を含むn型不純物領域のリン濃度は1×1016〜1×1017/cm3)となるようにする。
【0041】
その後、第2の半導体層104、第4の半導体層106の全体を覆う第1のマスク126、128と第3の半導体層105の一部および第3の半導体層105上の第2の形状のゲート電極120の一部を覆う第2のマスク127を形成し、第2のドーピング処理を行う。第2のドーピング処理では、第3の電極(電極(A))118a、120aを通して第1の半導体層103および第3の半導体層105に第2の濃度のn型不純物元素を含むn型不純物領域129、130を形成する。このドーピングにより形成する第2の濃度のn型不純物元素を含むn型不純物領域のリン濃度は1×1017〜1×1019/cm3となるようにする。
【0042】
続いて、マスク126〜128をそのままに第3のドーピング処理を行う。第1の半導体層103、第3の半導体層105にゲート絶縁膜107を通してn型不純物元素を添加を行い、第3の濃度のn型不純物元素を含むn型不純物領域131、132を形成する。このドーピングにより形成する第3の濃度のn型不純物元素を含むn型不純物領域のリン濃度は1×1020〜1×1021/cm3となるようにする。
【0043】
なお、本実施例では、以上のように2回にわけて不純物元素を添加しているが、ゲート絶縁膜およびゲート電極を形成する第3の電極の膜厚を制御したり、ドーピングの際の加速電圧を調整したりすることにより、1回のドーピング工程で、第2の濃度のn型不純物元素を含むn型不純物領域および第3の濃度のn型不純物元素を含むn型不純物領域を形成することもできる。
【0044】
次いで、図5(A)で示すように第1の半導体層103および第3の半導体層105を覆うマスク133、134を形成し第4のドーピング処理を行う。ドーピングは水素希釈のジボラン(B2H6)ガスまたは希ガスで希釈したジボランガスを用い、第2の半導体層104に第1の濃度のp型不純物元素を含むp型不純物領域136及び第2の濃度のp型不純物元素を含むp型不純物領域135を形成する。また、画素部において保持容量を形成する第4の半導体層107には、第1の濃度のp型不純物元素を含むp型不純物領域138及び第2の濃度のp型不純物元素を含むp型不純物領域137が形成される。第1の濃度のp型不純物元素を含むp型不純物領域136、138は電極(A)119a、121aと重なる領域に形成されるものであり、1×1018〜1×1020/cm3の濃度範囲でボロンを添加し、第2の濃度のp型不純物元素を含むp型不純物領域135、137には2×1020〜3×1021/cm3の濃度範囲でボロンが添加されるようにする。
【0045】
以上までの工程でそれぞれの半導体膜にリン又はボロンが添加された領域が形成される。第2の形状のゲート電極118〜120はゲート電極となる。また、第2の形状の電極121は画素部において保持容量を形成する一方の容量電極となる。
【0046】
次いで、図5(B)に示すように、それぞれの半導体膜に添加された不純物元素を活性化処理するために、YAGレーザの第2高調波(532nm)の光を半導体膜に照射する。
【0047】
なお、半導体層に添加された不純物元素を活性化する方法として、本実施例で開示するYAGレーザの第2高調波の光を照射する方法以外に、炉を用いて550℃で4時間加熱処理を行う方法、もしくはRTAによる加熱処理方法(ガスまたは光を熱源として用いるRTA法も含む)でもよい。炉を用いた加熱処理を行う場合には、ゲート電極を形成する導電膜の酸化を防ぐために加熱処理前にゲート電極およびゲート絶縁膜を覆う絶縁膜を形成したり、加熱処理の際の雰囲気を減圧窒素雰囲気にしたりすればよい。以上のように、半導体層に添加された不純物元素の活性化する方法はいくつかあるため、その方法は実施者が適宜決定すればよい。
【0048】
その後、図5(B)に示すように、プラズマCVD法で窒化シリコン膜または窒化酸化シリコン膜から成る第1の層間絶縁膜139を50nmの厚さに形成し、クリーンオーブンを用いて410℃の加熱処理を行い、窒化シリコン膜または窒化酸化シリコン膜から放出される水素で半導体膜の水素化を行う。
【0049】
次いで、第1の層間絶縁膜139上に第2の層間絶縁膜140をアクリルで形成する。そしてコンタクトホールを形成する。このエッチング処理においては外部入力端子部(図示はしない)が形成されている領域の第1の層間絶縁膜及び第2の層間絶縁膜も除去する。そして、チタン膜とアルミニウム膜を積層して形成される配線142〜149を形成する。
【0050】
以上のようにして、同一基板上にnチャネル型TFT201、pチャネル型TFT202を有する駆動回路205と、画素TFT203と保持容量204を有する画素部206を形成することができる。保持容量204は半導体106、ゲート絶縁膜107、容量配線121で形成されている。
【0051】
ここまでの工程で形成された画素部の上面図を図16に示す。図16ではほぼ一画素分の上面図を示し、付与する符号は図5と共通なものとしている。また、A−A'及びB−B'線の断面構造が図5に対応している。図16の画素構造において、本発明を適用することにより、TFTサイズを小さくすることができるため、画素部の開口率を向上することができる。また、ゲート配線とゲート電極とを異なる層上に形成することにより、ゲート配線と半導体層を重畳させることが可能となり、ゲート配線に遮光膜としての機能が付加されている。また、画素電極間の隙間が遮光されるように、画素電極の端部をソース配線と重なるように配置され、遮光膜(ブラックマトリクス)の形成を省略できる構造となっている。
【0052】
駆動回路205のnチャネル型TFT201はチャネル形成領域150、ゲート電極を形成する電極(A)118aと重なる第2の濃度のn型不純物元素を含むn型不純物領域129(Lov領域)と、ソース領域またはドレイン領域として機能する第3の濃度のn型不純物元素を含むn型不純物領域131を有している。Lov領域のチャネル長方向の長さは0.5〜2.5μm、好ましくは1.5μmで形成する。このようなLov領域の構成は、主にホットキャリア効果によるTFTの劣化を防ぐことを目的としている。これらnチャネル型TFT及びpチャネル型TFTによりシフトレジスタ回路、バッファ回路、レベルシフタ回路、ラッチ回路などを形成することができる。特に、駆動電圧が高いバッファ回路には、ホットキャリア効果による劣化を防ぐ目的から、nチャネル型TFT201の構造が適している。
【0053】
駆動回路205のpチャネル型TFT202にはチャネル形成領域151、ゲート電極を形成する電極(A)119aの外側に第1の濃度のp型不純物元素を含むp型不純物領域135(ソース領域またはドレイン領域として機能する領域)と、電極(A)119aと重なる第2の濃度のp型不純物元素を含むp型不純物領域136を有している。
【0054】
画素部206のTFT(画素TFT)203にはチャネル形成領域152、の外側に形成される第1の濃度のn型不純物元素を含むn型不純物領域124と、ゲート電極を形成する電極(A)120aとゲート絶縁膜を介して重なる第2の濃度のn型不純物元素を含むn型不純物領域130と、ソース領域またはドレイン領域として機能する第3の濃度のn型不純物元素を含むn型不純物領域132を有している。また、保持容量204の一方の電極として機能する半導体層106にはp型不純物領域137、138が形成されている。
【0055】
以上のように、本発明は駆動回路部と画素部というように動作条件の異なる回路に対応して適宣配置を決めることができる。
【0056】
図10はアクティブマトリクス基板の回路構成の一例を示す回路ブロックである。TFTを組み込まれて形成される画素部601、データ信号線駆動回路602、走査信号線駆動回路606が形成されている。
【0057】
データ信号線駆動回路602は、シフトレジスタ603、ラッチ604、605、その他バッファ回路などから構成される。シフトレジスタ603にはクロック信号、スタート信号が入力し、ラッチにはデジタルデータ信号やラッチ信号が入力する。また、走査信号線駆動回路606もシフトレジスタ、バッファ回路などから構成されている。画素部601の画素数は任意なものとするが、XGAならば1024×768個の画素が設けられる。
【0058】
このようなアクティブマトリクス基板を用いて、アクティブマトリクス駆動をする表示装置を形成することができる。本実施例では画素電極を光反射性の材料で形成したため、液晶表示装置に適用すれば反射型の表示装置を形成することができる。このような基板から液晶表示装置や有機発光素子で画素部を形成する発光装置を形成することができる。こうして反射型の表示装置に対応したアクティブマトリクス基板を作製することができる。
【0059】
(実施例2)
本実施例では、半導体装置の作製方法の他の実施例について図6を用いて説明する。なお、実施例1と図4(A)に示した第1のエッチング工程までは同一工程である。図4(A)に示した第1のエッチング工程まで済んだ素子が形成途中の基板の様子を図6(A)に示している。
【0060】
図6(A)において、基板100、下地絶縁膜101(酸化窒化シリコン膜からなる下地絶縁膜101a、窒化酸化シリコン膜からなる下地絶縁膜101b)、第1乃至4の半導体層103〜106、ゲート絶縁膜107、第1の形状のゲート電極114〜117である。
【0061】
ここで、第1のドーピング工程を行う。第1乃至4の半導体層103〜106にn型不純物元素を添加して、n型不純物元素を1×1015〜1×1017/cm3の低濃度に含む第1の濃度のn型不純物元素を含むn型不純物領域301〜304を形成する。
【0062】
次いで、第2のエッチング工程を行う。第1の形状のゲート電極114〜117(第1の電極114a〜117aおよび第2の電極114b〜117bからなる)をエッチングして、第2の形状のゲート電極305〜308(電極(A)305a〜308aおよび電極(B)305b〜308bからなる)を形成する。
【0063】
ここまでの工程が終了した後は、実施例1の図4(C)で示した第2のドーピング工程から同様に作製工程を進め、図5(C)に示したようなアクティブマトリクス基板を作製することができる。
【0064】
(実施例3)
実施例1または2で活性層に用いる半導体膜の作製方法の一実施例を図7を用いて説明する。図7において、非晶質構造を有する半導体膜の全面に触媒作用のある金属元素を全面に添加して結晶化した後、ゲッタリングを行う方法である。
本実施例で示す方法で得られた良好な結晶性を有する半導体膜を活性層に用いることで高い電界効果移動度を得ることができ、信頼性の高いTFTを作製することができる。
【0065】
図7(A)において、基板701はその材質に特段の限定はないが、好ましくはバリウムホウケイ酸ガラスやアルミノホウケイ酸ガラス、或いは石英などを用いることができる。基板701の表面には、下地絶縁膜としてプラズマCVD法でSiH4、NH3、N2Oから作製される第1酸化窒化シリコン膜702を50nmの厚さに形成し、SiH4とN2Oから作製される第2酸化窒化シリコン膜703を100nmの厚さに形成したものを適用する。下地絶縁膜はガラス基板に含まれるアルカリ金属がこの上層に形成する半導体膜中に拡散しないために設けるものであり、石英を基板とする場合には省略することも可能である。
【0066】
下地絶縁膜の上に形成する非晶質構造を有する半導体膜704は、シリコンを主成分とする半導体材料を用いる。代表的には、非晶質シリコン膜又は非晶質シリコンゲルマニウム膜などが適用され、プラズマCVD法や減圧CVD法、或いはスパッタ法で10〜100nmの厚さに形成する。良質な結晶を得るためには、非晶質構造を有する半導体膜704に含まれる酸素、窒素などの不純物濃度を5×1018/cm3以下に低減させておくと良い。これらの不純物は非晶質半導体の結晶化を妨害する要因となり、また結晶化後においても捕獲中心や再結合中心の密度を増加させる要因となる。そのために、高純度の材料ガスを用いることはもとより、反応室内の鏡面処理(電界研磨処理)やオイルフリーの真空排気系を備えた超高真空対応のCVD装置を用いることが望ましい。
【0067】
その後、非晶質構造を有する半導体膜704の表面に、結晶化を促進する触媒作用のある金属元素を添加する。半導体膜の結晶化を促進する触媒作用のある金属元素としては鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、銅(Cu)、金(Au)などであり、これらから選ばれた一種または複数種を用いることができる。代表的にはニッケルを用い、重量換算で1〜100ppmのニッケルを含む酢酸ニッケル塩溶液をスピナーで塗布して触媒含有層705を形成する。この場合、当該溶液の馴染みをよくするために、非晶質構造を有する半導体膜704の表面処理として、オゾン含有水溶液で極薄い酸化膜を形成し、その酸化膜をフッ酸と過酸化水素水の混合液でエッチングして清浄な表面を形成した後、再度オゾン含有水溶液で処理して極薄い酸化膜を形成しておく。シリコンなど半導体膜の表面は本来疎水性なので、このように酸化膜を形成しておくことにより酢酸ニッケル塩溶液を均一に塗布することができる。
【0068】
勿論、触媒含有層705はこのような方法に限定されず、スパッタ法、蒸着法、プラズマ処理などにより形成しても良い。また、触媒含有層705は非晶質構造を有する半導体膜704を形成する前、即ち下地絶縁膜上に形成しておいても良い。
【0069】
非晶質構造を有する半導体膜704と触媒含有層705とを接触した状態を保持したまま結晶化のための加熱処理を行う。加熱処理の方法としては、電熱炉を用いるファーネスアニール法や、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウムランプ、高圧水銀ランプなどを用いた瞬間熱アニール(Rapid Thermal Annealing)法(以下、RTA法と記す)を採用する。生産性を考慮すると、RTA法を採用することが好ましいと考えられる。
【0070】
RTA法で行う場合には、加熱用のランプ光源を1〜60秒、好ましくは30〜60秒点灯させ、それを1〜10回、好ましくは2〜6回繰り返す。ランプ光源の発光強度は任意なものとするが、半導体膜が瞬間的には600〜1000℃、好ましくは650〜750℃程度にまで加熱されるようにする。このような高温になったとしても、半導体膜が瞬間的に加熱されるのみであり、基板100はそれ自身が歪んで変形することはない。こうして、非晶質構造を有する半導体膜を結晶化させ、図7(B)に示す結晶構造を有する半導体膜706を得ることができるが、このような処理で結晶化できるのは触媒含有層を設けることによりはじめて達成できるものである。
【0071】
その他の方法としてファーネスアニール法を用いる場合には、加熱処理に先立ち、500℃にて1時間程度の加熱処理を行い、非晶質構造を有する半導体膜704が含有する水素を放出させておく。そして、電熱炉を用いて窒素雰囲気中にて550〜600℃、好ましくは580℃で4時間の加熱処理を行い結晶化を行う。こうして、図7(B)に示す結晶構造を有する半導体膜706を形成する。
【0072】
さらに結晶化率(膜の全体積における結晶成分の割合)を高め、結晶粒内に残される欠陥を補修するためには、結晶構造を有する半導体膜706に対してレーザ光を照射することも有効である。レーザには波長400nm以下のエキシマレーザ光や、YAGレーザの第2高調波、第3高調波を用いる。いずれにしても、繰り返し周波数10〜1000Hz程度のパルスレーザ光を用い、当該レーザ光を光学系にて100〜400mJ/cm2に集光し、90〜95%のオーバーラップ率をもって結晶構造を有する半導体膜706に対するレーザ処理を行っても良い。
【0073】
このようにして得られる結晶構造を有する半導体膜706には、触媒元素(ここではニッケル)が残存している。それは膜中において一様に分布していないにしろ、平均的な濃度とすれば、1×1019/cm3を越える濃度で残存している。勿論、このような状態でもTFTをはじめ各種半導体素子を形成することが可能であるが、以降に示す方法でゲッタリングにより当該元素を除去する。
【0074】
まず、図7(C)に示すように結晶構造を有する半導体膜706の表面に薄いバリア層707を形成する。バリア層707の厚さは特に限定されないが、簡便にはオゾン水で処理することにより形成されるケミカルオキサイドで代用しても良い。また、硫酸、塩酸、硝酸などと過酸化水素水を混合させた水溶液で処理しても同様にケミカルオキサイドを形成することができる。他の方法としては、酸化雰囲気中でのプラズマ処理や、酸素含有雰囲気中での紫外線照射によりオゾンを発生させて酸化処理を行っても良い。また、クリーンオーブンを用い、200〜350℃程度に加熱して薄い酸化膜を形成しバリア層としても良い。或いは、プラズマCVD法やスパッタ法、蒸着法などで1〜5nm程度の酸化膜を堆積してバリア層としても良い。
【0075】
その上にプラズマCVD法やスパッタ法で半導体膜708を25〜250nmの厚さで形成する。代表的にはアルゴンを用いたスパッタ法でアルゴンを0.01〜20原子%含む非晶質シリコン膜で形成する。この半導体膜708は後に除去するので、結晶構造を有する半導体膜706とエッチングの選択比を高くするため、密度の低い膜としておくことが望ましい。非晶質シリコン膜中に希ガス元素を添加させて、膜中に希ガス元素を同時に取り込ませると、それによりゲッタリングサイトを形成することができる。
【0076】
希ガス元素としてはヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)から選ばれた一種または複数種を用いる。本発明はゲッタリングサイトを形成するためにこれら希ガス元素をイオンソースとして用い、イオンドープ法或いはイオン注入法で半導体膜に注入することに特徴を有している。これら希ガス元素のイオンを注入する意味は二つある。一つは注入によりダングリングボンドを形成し半導体膜に歪みを与えることであり、他の一つは半導体膜の格子間に当該イオンを注入することで歪みを与えることである。不活性気体のイオンを注入はこの両者を同時に満たすことができるが、特に後者はアルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)などシリコンより原子半径の大きな元素を用いた時に顕著に得られる。
【0077】
ゲッタリングを確実に成し遂げるにはその後加熱処理をすることが必要となる。加熱処理はファーネスアニール法やRTA法で行う。ファーネスアニール法で行う場合には、窒素雰囲気中にて450〜600℃で0.5〜12時間の加熱処理を行う。また、RTA法を用いる場合には、加熱用のランプ光源を1〜60秒、好ましくは30〜60秒点灯させ、それを1〜10回、好ましくは2〜6回繰り返す。ランプ光源の発光強度は任意なものとするが、半導体膜が瞬間的には600〜1000℃、好ましくは700〜750℃程度にまで加熱されるようにする。
【0078】
ゲッタリングは、被ゲッタリング領域(捕獲サイト)にある触媒元素が熱エネルギーにより放出され、拡散によりゲッタリングサイトに移動する。従って、ゲッタリングは処理温度に依存し、より高温であるほど短時間でゲッタリングが進むことになる。図7(E)において矢印で示すように、触媒元素が移動する方向は半導体膜の厚さ程度の距離であり、ゲッタリングは比較的短時間で完遂する。
【0079】
尚、この加熱処理によっても1×1020/cm3以上の濃度で希ガス元素を含む半導体膜708は結晶化することはない。これは、希ガス元素が上記処理温度の範囲においても再放出されず膜中に残存して、半導体膜の結晶化を阻害するためであると考えられる。
【0080】
その後、非晶質半導体708を選択的にエッチングして除去する。エッチングの方法としては、ClF3によるプラズマを用いないドライエッチング、或いはヒドラジンや、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド(化学式 (CH3)4NOH)を含む水溶液などアルカリ溶液によるウエットエッチングで行うことができる。この時バリア層707はエッチングストッパーとして機能する。また、バリア層707はその後フッ酸により除去すれば良い。
【0081】
こうして図7(E)に示すように触媒元素の濃度が1×1017/cm3以下にまで減じられた結晶構造を有する半導体膜710を得ることができる。こうして形成された結晶構造を有する半導体膜710は、触媒元素の作用により細い棒状又は細い扁平棒状結晶として形成され、その各々の結晶は巨視的に見ればある特定の方向性をもって成長している。本実施例で作製される結晶構造を有する半導体膜710は、実施例1または2で示す半導体膜に適用することができる。
【0082】
(実施例4)
実施例3で得られた結晶構造を有する半導体膜706に残存する触媒元素をゲッタリングする他の方法を図8に示す。結晶構造を有する半導体膜706上にマスク用の酸化シリコン膜を150nm形成し、レジストのマスク712を形成した後、当該酸化シリコン膜をエッチングすることによりマスク絶縁膜711を得る。その後、希ガス元素、または希ガス元素とリン、またはリンのみをイオンドープ法で結晶構造を有する半導体膜706に注入し、ゲッタリングサイト713を形成する。
【0083】
その後、図8(B)で示すようにファーネスアニール法でにより、窒素雰囲気中にて450〜600℃で0.5〜12時間の加熱処理を行う。この加熱処理により、結晶構造を有する半導体膜706に残存する触媒元素はゲッタリングサイト713に移動し濃集させることができる。
【0084】
その後、マスク絶縁膜711及びゲッタリングサイトをエッチングして除去することにより結晶構造を有する半導体膜710を得ることができる。本実施例で作製される結晶構造を有する半導体膜710は、実施例1または2で示す半導体膜に適用することができる。
【0085】
(実施例5)
実施例3において基板701上に形成する下地絶縁膜として、1〜10nmの窒化シリコン膜を用いることもできる。図9はそのような下地絶縁膜720を用い、実施例3と同様にして作製した結晶構造を有する半導体膜706、バリア層707、半導体膜708、希ガス元素を添加した半導体膜709が形成され、加熱処理によりゲッタリングを行っている状態を示している。ニッケルなどの触媒元素は酸素又は酸素の近傍に捕獲される性質があるため、下地絶縁膜を窒化シリコン膜で形成することにより、結晶構造を有する半導体膜706から触媒元素を半導体膜708又は希ガス元素を添加した半導体膜709に移動させることが容易となる。実施例1または2で示す半導体膜に適用することができる。
【0086】
(実施例6)
本実施例では、チャネル形成領域、ソース領域およびドレイン領域を含む半導体層に、高温で加熱処理して得られた半導体(代表的にはシリコン)膜(以下、高温ポリシリコン膜という)を用いる場合について説明する。
【0087】
耐熱性の高い石英基板基板上にPECVD法で非晶質半導体膜を形成する。次いで、炉を用いて600℃で24時間の加熱処理を行い、結晶質半導体膜を形成する。なお、この結晶化処理において半導体膜表面に酸化シリコン膜が形成されるが、エッチング等で除去できるごく薄い膜であるため問題はない。
【0088】
次いで、結晶質半導体膜の表面に形成された酸化膜を除去した後、ゲート絶縁膜を形成するための加熱処理を行う。結晶質半導体膜を900〜1050℃にて加熱処理し、結晶質半導体膜の表面に酸化膜を形成する。この酸化シリコン膜をゲート絶縁膜に用いる。最終的に結晶質半導体膜の膜厚が30〜50nmになるように結晶質半導体膜を加熱処理することによりその表面に酸化シリコン膜を形成すればよい。
【0089】
このようにして高温加熱処理により得られた結晶性の高い高い電界効果移動度が得られる半導体膜をチャネル形成領域、ソース領域およびドレイン領域を含む半導体層に用いることにより、優れた特性をもつTFTを実現でき、さらにこのTFTを回路に用いることで高い信頼性を有する半導体装置を実現することができる。本実施例は、実施例1、2と組み合わせて用いることが可能である。
【0090】
(実施例7)
本実施例では、発光装置の作製工程の一例について図15を用いて説明する。
【0091】
図15はアクティブマトリクス駆動方式の発光装置の構造を示す一例である。
ここで示す駆動回路部650のnチャネル型TFT652、pチャネル型TFT653、及び画素部651のスイッチング用TFT654、電流制御用TFT655は、本発明を用いて、実施例1と同様にして作製されるものである。
【0092】
ゲート電極608〜611の上層には、窒化シリコン、酸化窒化シリコンからなる第1の層間絶縁膜618が形成され、保護膜として用いている。さらに平坦化膜として、ポリイミドまたはアクリルなど有機樹脂材料から成る第2の層間絶縁膜619を形成している。
【0093】
駆動回路部650の回路構成は、ゲート信号側駆動回路とデータ信号側駆動回路とで異なるがここでは省略する。nチャネル型TFT652及びpチャネル型TFT653には配線612、613が接続し、これらのTFTを用いてシフトレジスタやラッチ回路、バッファ回路などを形成している。
【0094】
画素部651では、データ配線614がスイッチング用TFT654のソース側に接続し、ドレイン側の配線615は電流制御用TFT655のゲート電極611と接続している。また、電流制御用TFT655のソース側は電源供給配線617と接続し、ドレイン側の電極616が発光素子の陽極と接続している。
【0095】
その後、第1の層間絶縁膜618を形成し、続いて第2の層間絶縁膜619を形成する。第2の層間絶縁膜619としては、無機絶縁物材料を1.0〜2.0μmの平均膜厚で形成すればよい。無機樹脂材料としては、酸化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜を公知のスパッタ法またはプラズマCVD法を用いて形成すればよい。さらに窒化酸化シリコン膜を用いる場合は、プラズマCVD装置によって、原料ガスにSiH4とN2Oを用いて、成膜条件は、圧力0.3torr、基板温度400℃、RF出力100W、原料ガス流量はSiH4は4sccm、N2Oは400sccmで形成すればよい。また、第2の層間絶縁膜619としてSOG膜を用いてもよい。さらに、第2の層間絶縁膜619は、アクリル等の有機絶縁膜を用いて作製してもよい。
【0096】
なお、第2の層間絶縁膜619を無機絶縁膜を用いて作製した場合は、第2の層間絶縁膜619の表面をCMP(Chemical Mechanical Polish:化学機械研磨)法と呼ばれる技術で層間絶縁膜を研磨し平坦化するのが好ましい。CMP法は、被加工物の表面を基準にし、それにならって表面を化学的または機械的に平坦化する手法である。一般的に定盤(Platen or Polishing Plate)の上に研磨布または研磨パッド(本明細書では、以下総称してパッド(Pad)と呼ぶ)を貼り付け、被加工物とパッドとの間にスラリーを供給しながら定盤と被加工物とを各々回転または揺動させて被研磨物の表面を化学・機械の複合作用により被加工物の表面を研磨する方法である。なお、CMP法による平坦化処理工程が終了した後に、第2の層間絶縁膜619の平均膜厚が1.0〜2.0μm程度になるようにする。
【0097】
続いて、第3絶縁膜620、第4絶縁膜621を形成する。窒化シリコンまたは酸化窒化シリコンから成る第4絶縁膜621は、有機化合物層624に含まれるアルカリ金属や有機物の汚染からTFTの主要構成要素である半導体膜を保護する役割および、酸素や水分によって劣化する有機化合物層624を保護する役割を果たしている。
【0098】
次いで、第4絶縁膜621上に透明性導電膜を80〜120nmの厚さで形成し、エッチングすることによって陽極622を形成する。なお、本実施形態では、透明電極として酸化インジウム・スズ(ITO)膜や酸化インジウムに2〜20[%]の酸化亜鉛(ZnO)を混合した透明導電膜を用いる。
【0099】
続いて、陽極622の端部を被覆する隔壁層623を形成するために、レジスト、ポリイミド、ポリアミド、アクリル、BCB(ベンゾシクロブテン)、酸化珪素膜等の膜を形成する。隔壁層は絶縁性を有する物質であれば、有機物と無機物のどちらでも良い。なお、感光性アクリルを用いて隔壁層を形成する場合は、感光性アクリル膜をエッチングしてから180〜350℃で加熱処理を行うのが好ましい。また、非感光性アクリル膜を用いて形成する場合には、180〜350℃で加熱処理を行った後、エッチングして隔壁層623を形成するのが好ましい。また、酸化珪素膜を用いる場合には、CVD法などによって成膜すればよい。
【0100】
次いで、陽極622および隔壁層623上に有機化合物層624、陰極625を蒸着法により形成する。なお、本実施形態では発光素子の陰極としてMgAg電極を用いるが、公知の他の材料であっても良い。なお、有機化合物層624は、発光層の他に正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層及びバッファ層といった複数の層を公知の材料を用いて、組み合わせて積層することにより形成されている。なお、有機化合物層624の詳細な構造は任意なものとする。なお、その他に、発光層としては、Alq3、PVC、Ir(ppy)3等の材料、正孔注入層として銅フタロシアニン、正孔輸送層としてMTDATA(4,4',4''-tris(3-methylphenylphenylamino)triphenylamine)、α−NPD等、電子注入層としてBCP、電子輸送層として1,3,4−オキサジアゾール誘導体、1,2,4−トリアゾール誘導体(TAZ)、シリコンを含む有機系材料であるSAlq(Alq3の3つの配位子の1つをトリフェニルシラノール構造で置換したもの)といった材料を用いることも可能である。
【0101】
このようにして陽極622、有機化合物層624および陰極625からなる有機発光素子626が形成される。
【0102】
続いて、第5絶縁膜627をDLC膜等の絶縁膜を形成する。このようにして、図15に示すような、隔壁層がテーパー形状の発光装置を作製することができる。
【0103】
以上のように、TFTサイズを縮小して、低いリーク電流と高いオン電流とを両立できる本発明の半導体装置は、1画素のなかにスイッチング用TFTと電流制御用TFTと少なくとも2個以上のTFTが形成され、開口率低下(輝度の低下、発光効率の低下)が問題になっている発光装置に適用することで、特に有効に用いることができる。
【0104】
(実施例8)
本発明を実施して形成されたアクティブマトリクス型液晶ディスプレイ(液晶表示装置)は、様々な電気器具の表示部に用いることができる。
【0105】
表示部に液晶表示装置を用いる電気器具の一例として、ビデオカメラ、デジタルカメラ、プロジェクター(リア型またはフロント型)、ヘッドマウントディスプレイ(ゴーグル型ディスプレイ)、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話または電子書籍等)などが挙げられる。それらの具体例を図11、図12及び図13に示す。
【0106】
図11(A)はパーソナルコンピュータであり、本体2001、画像入力部2002、表示部2003、キーボード2004等を含む。
【0107】
図11(B)はビデオカメラであり、本体2101、表示部2102、音声入力部2103、操作スイッチ2104、バッテリー2105、受像部2106等を含む。
【0108】
図11(C)はモバイルコンピュータ(モービルコンピュータ)であり、本体2201、カメラ部2202、受像部2203、操作スイッチ2204、表示部2205等を含む。
【0109】
図11(D)はゴーグル型ディスプレイであり、本体2301、表示部2302、アーム部2303等を含む。
【0110】
図11(E)はプログラムを記録した記録媒体(以下、記録媒体と呼ぶ)を用いるプレーヤーであり、本体2401、表示部2402、スピーカ部2403、記録媒体2404、操作スイッチ2405等を含む。なお、このプレーヤーは記録媒体としてDVD(Digtial Versatile Disc)、CD等を用い、音楽鑑賞や映画鑑賞やゲームやインターネットを行うことができる。
【0111】
図11(F)はデジタルカメラであり、本体2501、表示部2502、接眼部2503、操作スイッチ2504、受像部(図示しない)等を含む。
【0112】
図12(A)はフロント型プロジェクターであり、投射装置2601、スクリーン2602等を含む。
【0113】
図12(B)はリア型プロジェクターであり、本体2701、投射装置2702、ミラー2703、スクリーン2704等を含む。
【0114】
なお、図12(C)は、図12(A)及び図12(B)中における投射装置2601、2702の構造の一例を示した図である。投射装置2601、2702は、光源光学系2801、ミラー2802、2804〜2806、ダイクロイックミラー2803、プリズム2807、液晶表示装置2808、位相差板2809、投射光学系2810で構成される。投射光学系2810は、投射レンズを含む光学系で構成される。本実施例は三板式の例を示したが、特に限定されず、例えば単板式であってもよい。また、図12(C)中において矢印で示した光路に実施者が適宜、光学レンズや、偏光機能を有するフィルムや、位相差を調節するためのフィルム、IRフィルム等の光学系を設けてもよい。
【0115】
また、図12(D)は、図12(C)中における光源光学系2801の構造の一例を示した図である。本実施例では、光源光学系2801は、リフレクター2811、光源2812、レンズアレイ2813、2814、偏光変換素子2815、集光レンズ2816で構成される。なお、図12(D)に示した光源光学系は一例であって特に限定されない。例えば、光源光学系に実施者が適宜、光学レンズや、偏光機能を有するフィルムや、位相差を調節するフィルム、IRフィルム等の光学系を設けてもよい。
【0116】
ただし、図12に示したプロジェクターにおいては、透過型の電気光学装置を用いた場合を示しており、反射型の液晶表示装置の適用例は図示していない。
【0117】
図13(A)は携帯電話であり、3001は表示用パネル、3002は操作用パネルである。表示用パネル3001と操作用パネル3002とは接続部3003において接続されている。接続部3003における、表示用パネル3001の表示部3004が設けられている面と操作用パネル3002の操作キー3006が設けられている面との角度θは、任意に変えることができる。
さらに、音声出力部3005、操作キー3006、電源スイッチ3007、音声入力部3008を有している。
【0118】
図13(B)は携帯書籍(電子書籍)であり、本体3101、表示部3102、3103、記憶媒体3104、操作スイッチ3105、アンテナ3106等を含む。
【0119】
図13(C)はディスプレイであり、本体3201、支持台3202、表示部3203等を含む。本発明のディスプレイは特に大画面化した場合において有利であり、対角10インチ以上(特に30インチ以上)のディスプレイには有利である。
【0120】
以上の様に、本発明の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電気器具に適用することが可能である。また、本実施例の電気器具は実施例1〜5を組み合わせて作製されたアクティブマトリクス基板を用いて作製された液晶表示装置で実現することができる。
【0121】
【発明の効果】
本発明により、活性層のサイズを大きくすることなく電気特性の良好なTFTを作製することができる。特に、高画質のために画素数を増やし画素サイズがどんどん小さくなるなかで、高い開口率を求められる近年の液晶表示装置を作製する場合に本発明は有効である。
【0122】
また、本発明を用いれば作製工程数を増加させることなく各回路に要求される性能に応じたTFTを工程数を増やすことなく作りわけることができ、アクティブマトリクス基板の動作特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の半導体装置とその電気特性を示す図。
【図2】 従来の半導体装置(一例)の構造とその電気特性を示す図。
【図3】 本発明の半導体装置の作製工程を示す図。
【図4】 本発明の半導体装置の作製工程を示す図。
【図5】 本発明の半導体装置の作製工程を示す図。
【図6】 本発明の実施の一例を示す図。
【図7】 本発明の実施の一例を示す図。
【図8】 本発明の実施の一例を示す図。
【図9】 本発明の実施の一例を示す図。
【図10】 本発明の実施の一例を示す図。
【図11】 電気器具の一例を示す図。
【図12】 電気器具の一例を示す図。
【図13】 電気器具の一例を示す図。
【図14】 本発明の半導体装置と従来の半導体装置(一例)との電気特性を比較した結果を示す図。
【図15】 本発明を適用して作製された発光素子の一例を示す図。
【図16】 本発明の半導体装置の上面図。
Claims (12)
- 絶縁表面に形成された半導体層と、前記半導体層の上に設けられたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜の上に設けられた第1のゲート電極と、前記ゲート絶縁膜の上に前記第1のゲート電極と並んで設けられた第2のゲート電極と、を含み、
前記半導体層は、前記第1のゲートと重なる第1チャネル形成領域と、前記第2のゲートと重なる第2チャネル形成領域と、第1の濃度の第1不純物領域及び第2不純物領域と、第2の濃度の第3不純物領域及び第4不純物領域と、第3の濃度の第5不純物領域、第6不純物領域、及び第7不純物領域と、を含み、
前記第1乃至第7不純物領域は、同一導電型であり、
前記第2の濃度は、前記第1の濃度よりも高く、
前記第3の濃度は、前記第1の濃度及び前記第2の濃度よりも高く、
前記第1の濃度は1×10 15 〜1×10 17 /cm 3 であり、前記第2の濃度は1×10 17 〜1×10 19 /cm 3 であり、前記第3の濃度は1×10 20 〜1×10 21 /cm 3 であり、
前記第5不純物領域は、前記半導体層の一端に設けられ、
前記第6不純物領域は、前記半導体層の他端に設けられ、
前記第7不純物領域は、前記第1チャネル形成領域と前記第2チャネル形成領域との間に設けられ、
前記第1不純物領域は、前記第5不純物領域と前記第1チャネル形成領域との間に設けられ、
前記第2不純物領域は、前記第6不純物領域と前記第2チャネル形成領域との間に設けられ、
前記第3不純物領域は、前記第7不純物領域と前記第1チャネル形成領域との間に設けられ、
前記第4不純物領域は、前記第7不純物領域と前記第2チャネル形成領域との間に設けられ、
前記第1のゲート電極と前記第2のゲート電極とは、それぞれ、電極Aと、前記電極Aの上に設けられ、前記電極Aよりも幅が狭い電極Bとを含み、
前記第1のゲート電極に含まれる前記電極Aの一部は、前記第3不純物領域と重なり、
前記第2のゲート電極に含まれる前記電極Aの一部は、前記第4不純物領域と重なり、
前記第1不純物領域及び前記第2不純物領域は、前記第1のゲート電極及び前記第2のゲート電極と重なっていないことを特徴とする半導体装置。 - 請求項1において、前記第1乃至第7不純物領域は、それぞれ、n型不純物領域であることを特徴とする半導体装置。
- 請求項1又は請求項2において、前記電極Aは、W、Mo、Ta、Tiから選ばれた元素からなる導電膜、前記元素を主成分とする化合物からなる導電膜、もしくは前記元素を主成分とする合金からなる導電膜であることを特徴とする半導体装置。
- 請求項1乃至請求項3のいずれか一において、前記電極Bは、Al、Cuから選ばれた元素からなる導電膜、前記元素を主成分とする化合物からなる導電膜、もしくは前記元素を主成分とする合金からなる導電膜であることを特徴とする半導体装置。
- 請求項1乃至請求項4のいずれか一に記載の半導体装置を有する液晶表示装置。
- 請求項5に記載の液晶表示装置を表示部に用いたカメラ、プロジェクター、ヘッドマウントディスプレイ、パーソナルコンピュータ又は携帯情報端末。
- 絶縁表面に半導体層を形成し、
前記半導体層の上にゲート絶縁膜を形成し、
前記ゲート絶縁膜の上に第1の導電膜と第2の導電膜とを順に形成し、
前記第1の導電膜と前記第2の導電膜とをエッチングして、電極Aと、前記電極Aの上に設けられ、前記電極Aよりも幅が狭い電極Bとを含む、第1のゲート電極及び第2のゲート電極をそれぞれ形成し、
前記第1のゲート電極及び前記第2のゲート電極をマスクとして前記半導体層に第1の不純物元素を添加し、前記半導体層の前記第1のゲート電極側の一端、前記半導体層の前記第2のゲート電極側の一端、及び前記半導体層における前記第1のゲート電極と前記第2のゲート電極との間の領域に、前記第1の不純物元素が第1の濃度で添加された不純物添加領域を形成するとともに、前記半導体層の前記第1のゲート電極と重なる領域及び前記半導体層の前記第2のゲート電極と重なる領域に、前記第1の不純物元素が添加されない不純物非添加領域を形成し、
前記半導体層の前記第1のゲート電極側の一端に形成された前記不純物添加領域の一部であって前記不純物非添加領域と隣接する領域と、前記第1のゲート電極の一部とを覆う第1のマスクを形成し、
前記半導体層の前記第2のゲート電極側の一端に形成された前記不純物添加領域の一部であって前記不純物非添加領域と隣接する領域と、前記第2のゲート電極の一部とを覆う第2のマスクを形成し、
前記半導体層のうち前記第1のマスクで覆われていない部分と、前記第2のマスクで覆われていない部分とに、前記電極Aと前記ゲート絶縁膜とを介して第2の不純物元素を前記半導体層に添加し、前記電極Aと重なる領域に第2の濃度の不純物領域を形成し、
前記第1のマスク及び前記第2のマスクのそれぞれによって前記第1のゲート電極の一部及び前記第2のゲート電極の一部を覆ったまま、前記ゲート絶縁膜を介して第3の不純物元素を前記半導体層に添加し、前記半導体層のうち前記第1のマスク、前記第2のマスク、第1のゲート電極、及び前記第2のゲート電極とに覆われていない領域に第3の濃度の不純物領域を形成し、
前記第1乃至第3の不純物元素は、それぞれ、同一導電型の不純物元素であり、
前記第1の濃度は1×10 15 〜1×10 17 /cm 3 であり、前記第2の濃度は1×10 17 〜1×10 19 /cm 3 であり、前記第3の濃度は1×10 20 〜1×10 21 /cm 3 であることを特徴とする半導体装置の作製方法。 - 絶縁表面に半導体層を形成し、
前記半導体層の上にゲート絶縁膜を形成し、
前記ゲート絶縁膜の上に第1の導電膜と第2の導電膜とを順に形成し、
前記第1の導電膜と前記第2の導電膜とをエッチングして、電極Aと、前記電極Aの上に設けられ、前記電極Aよりも幅が狭い電極Bとを含む、第1のゲート電極及び第2のゲート電極をそれぞれ形成し、
前記第1のゲート電極及び前記第2のゲート電極をマスクとして前記半導体層に第1の不純物元素を添加し、前記半導体層の前記第1のゲート電極側の一端、前記半導体層の前記第2のゲート電極側の一端、及び前記半導体層における前記第1のゲート電極と前記第2のゲート電極との間の領域に、前記第1の不純物元素が第1の濃度で添加された不純物添加領域を形成するとともに、前記半導体層の前記第1のゲート電極と重なる領域及び前記半導体層の前記第2のゲート電極と重なる領域に、前記第1の不純物元素が添加されない不純物非添加領域を形成し、
前記半導体層の前記第1のゲート電極側の一端に形成された前記不純物添加領域の一部であって前記不純物非添加領域と隣接する領域と、前記第1のゲート電極の一部とを覆う第1のマスクを形成し、
前記半導体層の前記第2のゲート電極側の一端に形成された前記不純物添加領域の一部であって前記不純物非添加領域と隣接する領域と、前記第2のゲート電極の一部とを覆う第2のマスクを形成し、
前記第1のマスクで覆われていない部分と、前記第2のマスクで覆われていない部分とに、前記電極Aと前記ゲート絶縁膜とを介して第2の不純物元素を前記半導体層に添加し、前記電極Aと重なる領域に第2の濃度の不純物領域を形成するとともに、前記電極Aがなく前記ゲート絶縁膜のみを介して前記第2の不純物が添加される前記不純物添加領域においては、前記第2の不純物元素が添加される領域を第3の濃度の不純物領域とし、前記不純物添加領域のうち前記第2の不純物元素が添加されない領域を第1の濃度の不純物領域とし、
前記第1及び第2の不純物元素は、同一導電型の不純物元素であり、
前記第1の濃度は1×10 15 〜1×10 17 /cm 3 であり、前記第2の濃度は1×10 17 〜1×10 19 /cm 3 であり、前記第3の濃度は1×10 20 〜1×10 21 /cm 3 であることを特徴とする半導体装置の作製方法。 - 請求項7において、前記第1乃至第3の不純物元素は、それぞれ、n型不純物元素であることを特徴とする半導体装置の作製方法。
- 請求項8において、前記第1の不純物元素及び前記第2の不純物元素は、n型不純物元素であることを特徴とする半導体装置の作製方法。
- 請求項7乃至請求項10のいずれか一において、前記第1の導電膜は、W、Mo、Ta、Tiから選ばれた元素からなる導電膜、前記元素を主成分とする化合物からなる導電膜、もしくは前記元素を主成分とする合金からなる導電膜であることを特徴とする半導体装置の作製方法。
- 請求項7乃至請求項11のいずれか一において、前記第2の導電膜は、Al、Cuから選ばれた元素からなる導電膜、前記元素を主成分とする化合物からなる導電膜、もしくは前記元素を主成分とする合金からなる導電膜であることを特徴とする半導体装置の作製方法。
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