JP4044184B2 - バンパーモール取付構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等車両のバンパーのコーナー溝に装飾および衝撃緩衝用のモールが取り付けられたバンパーモール取付構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車等車両のバンパーは車両が障害物等に衝突した場合に車体を保護するために車両の前後に設置されるものであるが、転向時等のように、さらに軽度の障害物への衝突時等においては、図4(A)に示すように、バンパー21自体を保護するためにバンパー21のコーナー部に装飾および衝撃緩衝用のモール22が接着等により取り付けられる。
この種のバンパーモール取付構造においては、通常、バンパー21のコーナー部におけるバンパーサイド21Sに取り付けられたモール22の端部がB部においてモール21の復元力により外側に張り出そうとする傾向があるために、該端部が剥離等して、歩行者等を傷つける虞れがあった。
そこで、モール22の端部が剥離したとしても、モール22の端部により歩行者等が傷つけられることがないように、B部の拡大断面図である図4(B)に示すように、バンパー21に形成された溝23に装飾および衝撃緩衝用のモール22を取り付けるようにしたものが提案された。
しかしながら、このようにモール22を取り付けるためにバンパー21に溝23を形成したものであっても、バンパー21の溝23の端部とモール22の端部とがラップしていないために、溝23の端部とモール22の端部との間に隙間Sが形成されてしまい、外観を著しく損ねたり、モールの固定保持機能を失う虞れがあった。
【0003】
そこで、実開昭57−147146号公報に開示された図5に示したようなバンパーモール取付構造が提案された。
図5(A)に示したものは、前記公報の従来例として開示されたものであるが、この例では、バンパー21の取付溝23の止端部に穿設された孔27にモール22の端部を挿入係止したものである。
図5(B)に示したものは、樹脂製バンパー21の表面にモール22の厚みに略相当する取付溝23を形成するとともに、該バンパーサイドの取付溝28の止端部にバンパーサイドの端末内方に指向する斜状の溝、孔等の係止部28を形成して、前記取付溝23に弾性材からなるバンパーモール22を嵌挿して、その端部24を前記係止部28に弾性変形させて係着したものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記図5(A)の例では、バンパー21の取付溝23の止端部に、さらに孔27を取付溝23に対して横方向に穿設しなければならず、きわめて加工が面倒であり、コストアップを招いた。
また、前記図5(B)の例では、バンパーサイドの取付溝28の止端部に形成される斜状の溝、孔等の係止部28は、バンパーモール22の厚みのままでバンパーサイドの端末内方に指向する形状を有するので、これまたきわめて複雑な形状をなしており、しかも、弾性材からなるバンパーモール22を嵌挿して、その端部24を前記係止部28に弾性変形させて係着させるため、係止部28とモール22との間の精度が要求され、その加工がさらに面倒であった。
【0005】
このため本発明は、前記従来のバンパーモール取付構造における諸課題を解決して、モール端部の確実な固定保持を簡素な構造ながら確実に達成し、バンパーの美観を向上させるとともにモールの脱落を防止した低コストなバンパーモール取付構造を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このため本発明は、バンパーに形成された溝にモールが取り付けられたバンパーモール取付構造であって、前記モールの少なくとも一端に楔状部を形成するとともに、他端部近傍の係止部を支点とした前記バンパーモールを回動させようとする力による前記楔状部の外側への張出し揺動を拘束する係止ラップ部を前記バンパーの溝の少なくとも一端に形成したバンパーモール取付構造において、前記楔状部および前記係止ラップ部は、前記モールの前記バンパーの溝に対する脱着方向とバンパー表面との交差角がなす方向とが略一致する傾斜角を有することを特徴とする。また本発明は、前記モールにおける楔状部の近傍裏面に前記バンパーの溝に穿設された係止孔に係止されるアンカークリップ部を突設し、前記係止孔を前記脱着方向とバンパー表面との交差角がなす方向とが略一致する傾斜角を有して設けたことを特徴とするもので、これらを課題解決のための手段とするものである。
【0007】
【実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明のバンパーモール取付構造の第1実施の形態を示すもので、図1(A)は本発明のモールが取り付けられたバンパーコーナー部の斜視図、図1(B)はバンパーサイドA部の拡大断面図である。
本発明のバンパーモール取付構造では、樹脂や金属製のバンパー1に形成された溝3に、衝撃緩衝用のゴムや樹脂製等のモール2が接着あるいは係止具による嵌着等により取り付けられる。
前記溝3はモール2の投影面積とほぼ等しい大きさに形成され、前記モール2の少なくとも一端(図示の例では、バンパーサイドA部に本発明の技術思想が施されるが、モール2の他端についても本発明の技術思想が施されてもよい。)に楔状部4を形成するとともに、該楔状部4を拘束する係止ラップ部5を前記バンパー1の溝3の一端部に形成したことを特徴とするものである。なお、図中の符号9は車両の前部あるいは後部に設置されたナンバープレートを示す。
【0008】
このように構成されていることによって、本実施の形態では、少なくともモール2の一端に単純な楔状部4を形成し、該楔状部4を受け入れるバンパー1における溝3の端部には前記楔状部4に対応させて楔状部4を拘束する係止ラップ部5を形成するだけの単純で簡素な構造となり、それら楔状部4および係止ラップ部5の加工がきわめて容易であるばかりでなく、バンパー溝3の端部へのモール2の端部の装着は容易であり、厳密な精度も要求されないので安価に製造することができる。そして、その装着後には係止ラップ部5がモール2の端部の楔状部4を効果的に包み込むので、両者に多少の寸法の誤差があっても、主としてモール2の楔状部4とバンパー1の係止ラップ部5における両斜面方向でそれらの誤差を吸収することとなり、両者間に大きな隙間を生じさせることがないので、モール2の端部は良好な外観と確実な保持機能を維持することができる。
【0009】
図2は本発明のバンパーモール取付構造の第2実施の形態を示す上方から見た断面図である。
本実施の形態では、モール2における楔状部4および該楔状部4を拘束するバンパー1における係止ラップ部5における傾斜角αを前記モール2の脱着方向に略一致させたことを特徴とするものである。
図2(A)に示す例では、バンパー1における係止ラップ部5の近傍における傾斜角がほぼ角度αをなしており、したがって、モール2の他端部近傍が係止具8によってバンパー1の溝3に係止されたものを、矢印方向に脱着を行う場合にモール2の一端の楔状部4がバンパー1における係止ラップ部5との脱着を円滑に行えるように、これらモール2における楔状部4および該楔状部4を拘束するバンパー1における係止ラップ部5における傾斜角をαとしたものである。
【0010】
図2(B)に示すように、前記図2(A)のように構成された場合でも、係止具8近傍を支点Oとしてモール2を一点鎖線のように半径Rにて回動させようとする力が加わった場合でも、バンパー1における係止ラップ部5のバンパー表面と成す角αは、モールの楔状部4の先端の回動軌跡である略半径Rの一点鎖線の軌跡とバンパー1の係止ラップ部5近傍におけるバンパー表面の成す角より小さく設定されているため、楔状部4の外側への張出し揺動はバンパー1の係止ラップ部5によって拘束される。
【0011】
図3は本発明のバンパーモール取付構造の第3実施の形態を示す図1(A)のA部に相当する要部断面図である。
本実施の形態のものは、モール2における楔状部4の近傍裏面にバンパー1の溝3に穿設された係止孔7に係止されるところのアンカークリップ部6を突設したことを特徴とするものである。
また、本実施の形態のものでは、前記バンパー1の溝3に穿設された係止孔7の傾斜角度αを、前記実施の形態で述べたところの、モール2の脱着方向に略一致させることもできる。その場合は、モール2をバンパー1から取り外すためにアンカークリップ部6における抜止部6Aをバンパーの孔7に合致させた時点にて容易にモール2が脱着方向に移動して取り外される。
本実施の形態では、以上のように構成したことにより、モール2の裏面に突設されたアンカークリップ部6がバンパー1の溝3に穿設された係止孔7に確実に係止され、モール2における楔状部4の外側への張出しは確実に防止される。
したがって、モール2をバンパー1の溝3内に接着等によらずとも取り付けることも可能となるし、接着による場合でも接着面にかかる負担は少なくなる。
【0012】
以上、本発明の各実施の形態について説明してきたが、本発明の趣旨の範囲内で、バンパーおよびモールの形状、材質、モールの設置位置(前、後バンパーいずれでもよいし、いずれにも設置されてよい。またコーナー部以外に設置されてもよい。)、モールのバンパーへの取付け形態、係止具の形式(ボルト・ナット等でもよい。)、アンカークリップ部の形式、楔状部および係止ラップ部の形状等については適宜のものが採用され得る。
【0013】
【発明の効果】
以上詳細に述べてきたように、本発明によれば、少なくともモールの一端部の楔状部と該楔状部を受け入れるバンパーの溝の端部における係止ラップ部とを単純で簡素な構造とすることができて、加工が容易であるばかりでなく、バンパー溝の端部へのモールの端部の装着が容易となり、厳密な精度も要求されないので安価に製造することができる。
そして、前記係止ラップ部がモールの端部の楔状部を効果的に包み込むことにより、両者に多少の寸法の誤差があっても、両者間に大きな隙間を生じさせることがなく、モールの端部は良好な外観と確実な保持機能を維持することができる。
【0014】
また、モールにおける楔状部および該楔状部を拘束するバンパーにおける係止ラップ部における傾斜角を前記モールの脱着方向に略一致させたものでは、モールの脱着および装着を行う場合に、モールの一端の楔状部についてバンパーにおける係止ラップ部からの脱着を円滑に行える。
さらに、モールにおける楔状部の近傍裏面にバンパーの溝に穿設された係止孔に係止されるアンカークリップ部を突設したものでは、該アンカークリップ部によってモールがバンパーの溝の係止孔に確実に係止され、モールにおける楔状部の外側への張出しは確実に防止される。
このように、本発明によれば、モール端部の確実な固定保持を簡素な構造ながら確実に達成し、バンパーの美観を向上させるとともにモールの脱落を防止する低コストなバンパーモール取付構造が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のバンパーモール取付構造の第1実施の形態を示すもので、図1(A)は本発明のモールが取り付けられたバンパーコーナー部の斜視図、図1(B)はバンパーサイドA部の拡大断面図である。
【図2】 本発明のバンパーモール取付構造の第2実施の形態を示す上方から見た断面図である。
【図3】 本発明のバンパーモール取付構造の第3実施の形態を示す図1(A)のA部に相当する要部断面図である。
【図4】 バンパーモール取付構造を示す第1従来例の斜視図およびその要部断面図である。
【図5】 バンパーモール取付構造を示す第2および第3従来例の要部断面図である。
【符号の説明】
1 バンパー
2 モール
3 溝
4 楔状部
5 係止ラップ部
6 アンカークリップ部
6A 抜止部
7 係止孔
8 係止具
9 ナンバープレート
Claims (2)
- バンパーに形成された溝にモールが取り付けられたバンパーモール取付構造であって、前記モールの少なくとも一端に楔状部を形成するとともに、他端部近傍の係止部を支点とした前記バンパーモールを回動させようとする力による前記楔状部の外側への張出し揺動を拘束する係止ラップ部を前記バンパーの溝の少なくとも一端に形成したバンパーモール取付構造において、前記楔状部および前記係止ラップ部は、前記モールの前記バンパーの溝に対する脱着方向とバンパー表面との交差角がなす方向とが略一致する傾斜角を有することを特徴とするバンパーモール取付構造。
- 前記モールにおける楔状部の近傍裏面に前記バンパーの溝に穿設された係止孔に係止されるアンカークリップ部を突設し、前記係止孔を前記脱着方向とバンパー表面との交差角がなす方向とが略一致する傾斜角を有して設けたことを特徴とする請求項1に記載のバンパーモール取付構造。
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1997
- 1997-10-21 JP JP28808197A patent/JP4044184B2/ja not_active Expired - Fee Related
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