JP2588705Y2 - フェンダライナのクリップ締め構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は車両のフェンダライナを
クリップ締めする構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、薄い板部材を重ね合せて固定
する際には、板部材を重ね合せた後、ワンタッチ式のク
リップを用いてクリップ締めされる場合が多い。

【０００３】ワンタッチ式のクリップは一般にナイロン
等の合成樹脂でできており、図３（Ａ）図示のように、
座部１ａと、座部１ａより延びる軸部１ｂと、座部１ａ
より軸部１ｂ内に嵌挿されたピン１ｃとよりなる。板部
材同士を重ねてクリップ締めする際には、図３（Ｂ）図
示のように、クリップ１の軸部１ｂを板部材２、３に形
成したクリップ穴に挿入した後、ピン１ｃを座部１ａよ
り軸部１ｂ内に押し込んで、軸部１ｂの軸頭を拡開さ
せ、板部材２，３を座部１ａと拡開した軸部１ｂとの間
にはさみつけることにより締付ける。

【０００４】上記のクリップ締め構造は、車両のホィー
ルアーチ部の下面に設けるフェンダライナの前端部と、
該前端部を車体に保持せしめるステーとをクリップ締め
する場合にも用いられている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】自動車においては最
近、従来の鉄板に代えて合成樹脂の板部材が用いられる
ようになってきた。フェンダライナにおいても真空成形
された合成樹脂の板部材が用いられており、これに重ね
合せるステーとの全体の厚さを例えば２．５ｍｍと見込
んでも、真空成形では板厚にバラツキが生じやすいこと
から、実際には全体の厚さが２．５ｍｍ未満になってし
まうことがあり、このように厚さが薄いとクリップにガ
タが生じる。また、締め付け部で異音が生じる恐れもあ
る。

【０００６】本考案は、上記の実情に鑑みてなされたも
ので、合成樹脂製の板部材からなる上記フェンダライナ
を他の板部材のステーにクリップ締めする際に、両板部
材のクリップ締付け部の厚み不足によるクリップのガタ
の防止を可能とし、それに伴う異音の発生のないフェン
ダライナのクリップ締め構造を提供することを目的とす
る。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本考案は、図１に示すよ
うに、合成樹脂製の板部材からなるフェンダライナ２を
同じく板部材からなるステー３に重ね合せてクリップ１
にてクリップ締めする構造において、フェンダライナ２
にはクリップ穴２１まわりに、椀形断面形状に湾曲して
ステー３との重ね側へ突出する複数の突出部２２を形成
したものである。

【０００８】

【作用】フェンダライナ２のクリップ穴２１のまわりに
複数の突出部２２を形成し、重ね合せたフェンダライナ
２とステー３のクリップ締付け部厚さを増加させること
により、フェンダライナ２の板厚が不足した際にもクリ
ップでガタなく強固に締付けることができる。なお、突
出部２２により、厚さが若干大きくなりすぎても、薄い
合成樹脂の突出部２２の変形性により吸収される。

【０００９】

【実施例】図２において、ワゴン車のフロントフェンダ
Ｆのホィールアーチ部の下面には真空成形された合成樹
脂の薄い板厚のフェンダライナ２が装着してある。

【００１０】フェンダライナ２の前端部の車両前方向に
延びる平面部２１１には、薄い金属板よりなり、上方へ
開口するコ字形断面のステー３の下面が所定の２か所で
クリップ１にて固定されている。ステー３の一端は車両
ボデーに締着され、他端は車両前部に設けたフロントバ
ンパＢに締着される。

【００１１】クリップ１は周知のもので、図１および図
３図示のように、座部１ａおよび軸部１ｂを備えた本体
とピン１ｃとよりなる。本体は貫通孔を有し、軸頭には
スリットが形成してあって、軸頭は径方向に拡開可能で
ある。軸頭内の貫通孔の径は根元部より小径となってい
る。ピン１ｃはクリップ締付け時に座部１ａと係合する
頭部と、頭部より延び、大径の根元部と小径の先端部を
有する軸部とよりなり、クリップ締付け前には図３
（Ａ）図示のように、ピン１ｃの大径根元部は、軸部１
ｂの大径貫通孔に嵌装してある。

【００１２】図１図示のように、フェンダライナ２の平
面部２１１とステー３の下面には、互いに対応する位置
にクリップ穴２１，３１がそれぞれ貫設してあり、平面
部２１１に設けたクリップ穴２１まわりには、フェンダ
ライナ２の幅方向に互いに対向する２か所に、断面椀形
に湾曲する突出部２２が設けてある。

【００１３】上記フェンダライナ２の平面部２１１とス
テー３とをクリップ１にてクリップ締めする際には、図
１図示のように、平面部２１１のクリップ穴２１まわり
に設けた突出部２２がステー３方向に突出し、クリップ
穴２１と、ステー３に形成したクリップ穴３１とが互い
に対応するように、フェンダライナ２の平面部２１１と
ステー３とを重ね合せ、クリップ１の軸部１ｂを平面部
２１１の下面より各クリップ穴２１、３１に挿入し、ピ
ン１ｃの軸部をクリップ１の軸部１ｂ内に押込む。

【００１４】その結果、ピン１ｃの大径根元部は、軸部
１ｂの軸頭の小径貫通孔内に進入し、軸頭を拡開せしめ
て、フェンダライナ２の平面部２１１とステー３とを座
部１ａと拡開した軸頭との間にはさみつけてクリップ締
めする。

【００１５】本実施例によれば、クリップ締付け部の厚
さは、フェンダライナ２とステー３の総厚さよりも突出
部２２の高さ文だけ増加する。従って、フェンダライナ
２とステー３がともに薄く、しかもフェンダライナ２の
厚さが真空成形のバラツキで、規定厚さよりも薄くなっ
た場合でもフェンダライナ２とステー３はクリップ１に
より強固にガタなく締付けられ、また、異音発生もな
い。

【００１６】なお、突出部２２を形成したことで、締付
け部の厚さが、用いるクリップ１に対して若干厚くなり
すぎても、合成樹脂よりなる薄い突出部２２の締付け時
の変形により吸収される。

【００１７】また、クリップとしては、大径とした軸頭
にスリットが形成され、軸頭を縮径しつつフェンダライ
ナとステーのクリップ穴に圧入し、クリップ穴を通過し
た後、軸頭がそれ自体の弾性復元力で拡径してフェンダ
ライナとステーを固着するものを用いることもできる。

【００１８】

【考案の効果】本考案のフェンダライナのクリップ締め
構造によれば、フェンダライナをステーにクリップ締め
する際に、両板部材のクリップ締付け部の厚み不足によ
るクリップのガタが防止でき、両板部材を強固に締付け
ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のフェンダライナのクリップ締め構造の
一実施例の断面図である。

【図２】本考案が適用される車両のクリップ締め付け部
を示す図である。

【図３】フェンダライナのクリップ締めに用いるクリッ
プを示す図である。

【符号の説明】 １ クリップ ２ フェンダライナ ３ ステー ２１ クリップ穴 ２２ 突出部

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 合成樹脂製の板部材からなる車両のフェ
   ンダライナの前端部と、該前端部を車体側に保持せしめ
   る板部材からなるステーとを重ね合せてクリップ締めす
   る構造において、上記フェンダライナにはクリップ穴ま
   わりに、椀形断面形状に湾曲して上記ステーとの重ね側
   へ突出する突出部を形成し、重ね合せた上記フェンダラ
   イナとステーのクリップ締付け部厚さを増加せしめたこ
   とを特徴とするフェンダライナのクリップ締め構造。