JP3891386B2 - 樹脂製トリムの構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂製トリムの構造に係り、特に自動車等の内装トリムに適用される樹脂製トリムの構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動車の車室内には、取付相手部品たる車体パネルやドアパネルなどの室内側を覆う内装トリム類が配置されている。しかも、自動車においては、これら内装トリム類の大半を一体成形された樹脂製トリムが占めている。
このような樹脂製トリムの取付方法では、ほとんどがクリップを用いて行われており、当該クリップを車体パネルやバックドアパネルなどのクリップ穴に差し込んで固定することにより、樹脂製トリムを車体パネルやバックドアパネルなどに取付けるようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の樹脂製トリムの構造にあっては、自動車の走行時の振動や、ドア開閉時のビビリ音および当たり音の発生を抑える対策として、当該樹脂製トリムの裏面にパッドが貼り付けられている。また、樹脂製トリムの肉厚を薄くした場合には、弾性的変形等が発生するので、その防止対策として当該樹脂製トリムの裏面にパッドが貼り付けられたり、あるいはクリップで固定されたりしている。このため、従来の構造では、部品点数および組付工数が増えることになるので、コスト高を招来するとともに、組付性が困難になるなどの問題を有していた。
【0004】
本発明はこのような実状に鑑みてなされたものであって、その目的は、弾性的変形および異音発生を防止するパッドの廃止や、取付部材の使用数の削減によってコストダウンおよび取付作業性の向上を図ることが可能な樹脂製トリムの構造を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記従来技術の有する課題を解決するために、本発明においては、取付相手部品を覆う樹脂製トリムの裏面側に該樹脂製トリムと一体に形成されて前記取付相手部品へ向けて突出する突片を設け、該突片は弾力性を有し、かつ前記突片の基端部にリブが設けられているとともに、前記突片の中間部分に前記樹脂製トリムの裏面側へ屈曲させた屈曲部が設けられて斜めに延出し、前記樹脂製トリムの取付状態で、前記突片が前記取付相手部品に当接して弾性変形することにより、取付状態の前記樹脂製トリムに弾撥力が付与されるようにしている。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて詳細に説明する。
【0007】
図1〜図6は、本発明に係る樹脂製トリムの構造の第1実施形態を示している。図において、1は本実施形態の樹脂製トリムの構造が適用された自動車であって、この自動車1の車体後部には、車体後方の開口部を開閉するバックドア2が回動自在に設けられている。バックドア2は、これを構成するバックドアパネル2aを備えており、該バックドアパネル2aの室内側は、樹脂製トリム3によって覆われている。したがって、本実施形態の構造では、バックドアパネル2aが樹脂製トリム3の取付相手部品となっている。なお、樹脂製トリム3は、樹脂材を用いて一体成形された内装トリムである。
【0008】
上記樹脂製トリム3の裏面側(バックドアパネル2a側)には、図3〜図6に示す如く、樹脂材の弾力性を活用し、かつ先端が自由端となっている複数個の突片4が所定の間隔を開けて配設されている。すなわち、これら突片4は、当該樹脂製トリム3と一体に形成され、弾力性を有している。
このため、上記突片4は、樹脂製トリム3の裏面から斜め下方へ向かって延出されており、その中間部分には、これを樹脂製トリム3の裏面側へ向けて屈曲させた屈曲部4aが2箇所にわたり設けられ、該屈曲部4aによって突片4が撓みやすく、かつ徐々にバックドアパネル2aに沿った形状となるように形成されている。また、突片4の先端部4bは、バックドアパネル2aに対してほぼ平行となるように形成されている。
【0009】
したがって、上記樹脂製トリム3をバックドア2のバックドアパネル2aに取付ける時、裏面側の突片4は、図6に示すように、屈曲部4aおよび先端部4bの付近がバックドアパネル2aに当接して同バックドアパネル2aに沿って弾性変形し、これによって適度な弾撥力(テンション)が生じる。その結果、樹脂製トリム3には、突片4の弾性変形により生じた弾撥力が付与されることになる。
【0010】
本発明の第1実施形態に係る樹脂製トリム3の構造では、バックドア2への取付時に、樹脂製トリム3の裏面側に設けた突片4がバックドアパネル2aに当接して弾性変形し、樹脂製トリム3に弾撥力が付与されることになるため、樹脂製トリム3のガタつきが無くなり、自動車の走行時の振動や、バックドア2の開閉時におけるビビリ音および当たり音の発生を抑えることができるとともに、樹脂製トリム3が弾性的に変形するのを防ぐことができる。したがって、本実施形態の構造では、樹脂製トリム3に貼られていたパッド等を廃止でき、またクリップ等による取付数を減らすことができる。
【0011】
図7は、本発明に係る樹脂製トリムの構造の第2実施形態を示している。
この第2実施形態の構造は、第1実施形態と同様、樹脂製トリム3の裏面側に突片14が設けられている。しかし、第2実施形態の突片14には、図7(A)〜(C)に示す如く、リブ5,6が設けられている。これは、バックドアパネル2aへの当たりの強さを調整する場合、突片14の形状それ自体の板厚を上げると、樹脂製トリム3の表面に外観上有害なヒケ等が発生する可能性が高くなることから、リブ5,6を形成することにより有害なヒケ等の発生を無くし、当たりの強さを調整するようにしたものである。
【0012】
図7(A)に示す突片14の外側面の左右方向中央には、上下方向へ延びる1本のリブ5が基端部から中間部分の途中にかけて設けられている。また、図7(B)に示す突片14の外側面の両側には、上下方向へ延びる左右一対のリブ5が基端部から中間部分の途中にかけて間隔を置いて設けられている。さらに、図7(C)に示す突片14の内側面の両側には、上下方向へ延びる左右一対のリブ6が基端部から中間部分の途中にかけて間隔を置いて設けられている。図7(C)で示すようなリブ6を突片14の内側面に設けた場合は、図7(A)、(B)に示すようなリブ5を突片14の外側面に設けた場合に比べて、突片14の弾性変形をより一層抑えることが可能である。なお、リブ5,6の本数を選択することにより、突片14の撓み量を変えることができる。その他の構成および作用は、第1実施形態と同様である。
【0013】
本発明の第2実施形態に係る樹脂製トリム3の構造では、突片14の外側面又は内側面にリブ5,6が設けられているため、当該樹脂製トリム3の表面にヒケ等を発生させることなく、バックドアパネル2aへの当たりの強さを容易に調整することができる。その他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0014】
以上、本発明の各実施形態につき述べたが、本発明は既述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形および変更が可能である。例えば、本発明の各実施形態における樹脂製トリム3は、バックドア2に取付けられる内装トリムについて述べているが、その他のクォータトリム、サイドドアトリム、ピラートリム等に適用することも可能である。
【0015】
【発明の効果】
上述の如く、本発明に係る樹脂製トリムの構造は、取付相手部品を覆う樹脂製トリムの裏面側に該樹脂製トリムと一体に形成されて前記取付相手部品へ向けて突出する突片を設け、該突片は弾力性を有し、かつ前記突片の基端部にリブが設けられているとともに、前記突片の中間部分に前記樹脂製トリムの裏面側へ屈曲させた屈曲部が設けられて斜めに延出し、前記樹脂製トリムの取付状態で、前記突片が前記取付相手部品に当接して弾性変形することにより、取付状態の前記樹脂製トリムに弾撥力が付与されるようにしているので、弾性的変形、走行中の振動、ドア開閉時の異音発生などを防止するパッドを廃止できるとともに、クリップ等の取付部材の使用数を削減でき、これによってコストダウンを図り、取付作業性を向上させることができる。しかも、本発明の樹脂製トリムの構造によれば片が撓みやすくなり、取付性を損なうことはない。
また、本発明の樹脂製トリムの構造、突片を樹脂製トリムと一体に形成しているので、生産性を高めることができる。さらに、上記突片の外側面又は内側面にリブを設けた場合には、樹脂製トリムの板厚を上げなくて済む上、トリム表面にヒケ等が発生せず、外観品質を損なうことなくバックドアパネルへの当たりの強さを容易に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る樹脂製トリムの構造が適用された自動車を概念的に示す側面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る樹脂製トリムの構造が適用された自動車であって、バックドアを開放した状態を示す斜視図である。
【図3】図2のバックドアから樹脂製トリムを取外した状態を示す斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る樹脂製トリムに設けられた突片を示す斜視図である。
【図5】図4におけるA−A線断面図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る樹脂製トリムをバックドアパネルに取付けた状態を示す断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る樹脂製トリムを示すものであって、(A)は外側面に1本のリブが設けられた突片の斜視図、(B)は外側面に2本のリブが設けられた突片の斜視図、(C)は内側面に2本のリブが設けられた突片の斜視図である。
【符号の説明】
1 自動車
2 バックドア
2a バックドアパネル
3 樹脂製トリム
4,14 突片
4a 屈曲部
4b 先端部
5,6 リブ

Claims (5)

  1. 取付相手部品を覆う樹脂製トリムの裏面側に該樹脂製トリムと一体に形成されて前記取付相手部品へ向けて突出する突片を設け、該突片は弾力性を有し、かつ前記突片の基端部にリブが設けられているとともに、前記突片の中間部分に前記樹脂製トリムの裏面側へ屈曲させた屈曲部が設けられて斜めに延出し、前記樹脂製トリムの取付状態で、前記突片が前記取付相手部品に当接して弾性変形することにより、取付状態の前記樹脂製トリムに弾撥力が付与されるようにしたことを特徴とする樹脂製トリムの構造。
  2. 前記突片の先端部が、前記取付相手部品に対してほぼ平行となるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の樹脂製トリムの構造。
  3. 前記リブは、前記突片の外側面に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂製トリムの構造。
  4. 前記リブは、前記突片の内側面に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂製トリムの構造。
  5. 前記取付相手部品は、バックドアパネルであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂製トリムの構造。
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