JP4043147B2 - 植生土壌基盤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、植生土壌基盤に関し、特に保水性を向上させながら、通気性及び透水性を損ねず、踏圧にも強い植生土壌基盤に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年自然環境、生態系との共生が求められ、多種多様な生物が生存可能な多自然型の川づくりが全国的に推進され、自然環境保全と景観上の観点から安定化処理面の緑化を図ることが考えられて実行に移されている。市街地や住宅地における道路等の法面や急峻な傾斜地等では、植栽された植物や植物の種子が雨水等によって流されないように土壌基盤の安定化と表面保護を図ると同時に、植物が枯れることのないように植物の根が生育して行く土壌基盤の中に充分な水分を保つための保水方法の確立が重要な課題になっている。
【0003】
従来から、土壌の保水性を向上させるためには、図6(a)に示すようにシート状に形成した高吸水性樹脂40を土壌41の中に敷いたり、図6(b)に示すように粒状の高吸水性樹脂42を土壌中に混入したりしていたが、高吸水性樹脂が保水状態になると以下のような問題点が顕在化している。
(1)膨潤した高吸水性樹脂は柔軟であるために、高吸水性樹脂が通気、透水方向に積層状態を形成して、土壌の充填密度を変えるに至らなくとも土壌の孔隙が隙間なく埋められて通気性と透水性が低下する。そして、これを避けるために混入率を下げると土壌改良材を凌駕できる保水効果が期待できない。
(2)膨潤した高吸水性樹脂は糊状化するために、植物根の周囲を取り巻いて根の呼吸を困難にする。
(3)膨潤した高吸水性樹脂は、土壌基盤の上を歩行すると踏圧方向と膨潤方向とが一致しているので、踏圧による圧縮力を直に受けることになって水分と糊状化した高吸水性樹脂を周辺に逸散して収縮し、土壌粒子間には液体と同様の性状を示す高吸水性樹脂があることから、土壌粒子間に凝縮力と付着力を発生できないので踏圧に耐えることができない。このために、上記の問題点を顕在化させると同時に土壌基盤の表面に部分的に凹部を形成して美観を損なう。
【0004】
自然環境との共生は、上述した河川敷の法面や市街地の道路における法面に限らず、事務所ビルや高層住宅のベランダ、屋上での植物の栽培に発展してきているが、これらの場合においても上記の問題は同様に発生している。特に、ベランダ、屋上での植物の栽培は、床面上に排水層と土壌層から構成される土壌基盤を形成して、その土壌に植物の種子を蒔いて植栽しているために、土壌だけで芝等を植栽する場合、芝が根付くためには少なくとも15cmの盛土が必要であると言われている。このために、ベランダ、屋上での植物の栽培には、相当の重量を発生する土壌層と、植物の生長に欠かすことのできない滋養分を含んだ水の供給が不可分であり、結果的に建物は、両者を併せたかなりの重量物を支持しなければならなくなっている。
【0005】
このため、床の上載荷重が増加すると柱や梁等の構造体に余分の負担が掛かることから、図7に示すように、ベランダ、屋上での植物の栽培では、レンガ47で区画された庭園45の土壌層46を薄くして、土壌基盤の軽量化を図ることが望まれている。しかし、土壌層46の軽量化は保水性能の低下を招くことから、充分な保水手段を講じる必要があり、図7(a)のように、シート状の高吸水性樹脂48を敷いたり、図7(b)のように、粒状の高吸水性樹脂49を土壌中に混入したりして、小規模ながら上記外界の公共施設と同様の構造を採用している。このために、上記の問題点がこの場合にも同様に顕在化している。
【0006】
さらに、事務所ビルや高層住宅のベランダ、屋上での植栽の場合には、土壌を敷設する床や屋上の表面が水平状態を維持して結果的に水捌けを悪くしているために、上記の問題点に加えて、以下のような特有の問題点を提起している。
(4)シート状の高吸水性樹脂を土壌の底部位に敷く場合には、シートを保水のために厚くすることで通気性と透水性とを悪くすると共に、土壌層内に蓄積される過剰水が植物の根腐れを発生させることから、シート厚を4cm以上にはできず、必要な保水量の確保が困難であると共に、踏圧による植物への悪影響が発生する。
(5)粒状の高吸水性樹脂を土壌中に混入する場合には、踏圧による土壌の圧縮が盛土の減少として植物の生育に直接影響を与えたり、粒状の高吸水性樹脂が土壌の表面に分散されることから飛散して周辺を汚したり、紫外線による劣化変色で保水性や美観に遜色を与える。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の顕在化している問題点に鑑みて対応を図ったものであり、保水材が吸水によって膨潤しても土壌の通気、透水性が確保されることで、植物は根付きが良好で根腐れをなくし、軽量ながら踏圧にも耐えて保水材の飛散や劣化変色を防止できる植生土壌基盤の提供を課題にしている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明である植生土壌基盤は、保水材を、海綿体もしくはスポンジ状の多孔質材や繊維材からなる芯材としての柱形保持繊維とその周囲の高吸水性樹脂とから、鉛筆状に構成された複数の単位吸水材を一体に束ねることで柱状体に形成し、敷設される表面に対して鉛直方向に保水材の上面を土壌で被覆して土壌中に埋設することにより構成しており、保水材が吸水で膨潤しても土壌の通気、透水性が確保されることで、植物は根付きが良好で活性化し、軽量ながら踏圧に耐えて保水材の飛散や劣化変色を防止している。また、保水材が吸水で膨潤しても柱状を保つことで充分な保水と土壌中の通気性と透水性を確保している。
【0009】
請求項2の発明である植生土壌基盤は、請求項1に記載の植生土壌基盤であって、植生土壌基盤の土壌を建物の構造材上に設けた排水層の上に形成することを特徴としており、上記機能に加えて土壌中の通気性と透水性の確保と土壌の移動を拘束することで薄い土壌で軽量化を図っており、植物は根付きが良好で根腐れが防止されている。
【0010】
請求項3の発明である植生土壌基盤は、請求項1又は2に記載の植生土壌基盤において、柱状の保水材を、所定間隔で互いに連結することを特徴としており、上記機能に加えて保水材の横倒れを阻止して、土壌中の通気性と透水性を確保しながら土壌の移動を拘束して、安定した土壌基盤を確保している。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明による植生土壌基盤は、基本的に、保水材を、海綿体もしくはスポンジ状の多孔質材や繊維材からなる芯材としての柱形保持繊維とその周囲の高吸水性樹脂とから、鉛筆状に構成された複数の単位吸水材を一体に束ねることで柱状体に形成し、敷設される表面に対して鉛直方向に該保水材の上面を土壌で被覆して土壌中に埋設することにより構成しており、保水材が吸水で膨潤しても土壌の通気、通水性が確保されることで、植物は根付きが良好で活性化し、軽量ながら踏圧に耐えて保水材の飛散や劣化変色を防止している。以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
図1は、本発明による植生土壌基盤の断面図である。植生土壌基盤1は、河川敷や市街地の道路における法面等の表面2に、土壌3を所定の厚さに敷設することによって構成されているが、土壌としては、普通土壌の他に、必要に応じて植生に用いられる人工土壌のような軽量のものが採用可能である。採用可能な人工土壌としては、ペーライト、ピートモス、ベーミュキュライト、ベークアッシュ、真珠岩、粘土を高温で焼いた無機質の発泡れん石等を挙げることができる。この場合に採用される人工土壌は、一般的にその比重が乾燥時で0.25〜0.27、湿潤時では0.50〜0.58のものが多く採用されているが、如何なる土壌を用いるかは諸般の事情によって適宜選択されて良い。
【0013】
保水材4は、柱状に形成されており、柱状体を鉛直にして配列し、その上面5を土壌3で被覆した状態で土壌中に埋設されている。保水材4は、柱状の保水体を形成する芯材と吸水性保水材とから構成しており、保水材が吸水によって膨潤する場合は、芯材によって柱状保水材の上下方向には伸長せずに放射方向に拡大し、形状的には上下方向の寸法に変化のない柱状体を保つように各材質を選択している。このために、芯材としては所望の強度を有する海綿体もしくはスポンジ状の多孔質材や繊維材が適当であり、吸水性保水材としては市販されている以下の各種保水樹脂が採用可能である。ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム、デンプン−ポリアクリル酸塩系樹脂、アクリル酸ビニルアルコール共重合体、ポリエチレンオキサイド変性物、ポリビニルアルコール−マイレン酸エステル系共重合体、イソブチレンと無水マイレン酸共重合体、ポリエチレンオキサイド系樹脂等。
【0014】
本実施の形態では、柱状体の形成を、最初にポリエステル系繊維を芯材にして、この芯材の周囲に繊維状のポリアクリルニトリル酸塩系樹脂等の高吸水性樹脂を混紡することで鉛筆状の単位吸水材を構成しており、次いで複数の単位吸水を一体に束ねることで所望の柱状体に仕上げている。
【0015】
芯材を構成している柱形保持繊維と高吸水性樹脂との重量比は、後述するように、吸水時の膨潤によって発生する土壌への圧縮力を規定する範囲によって適宜選択される。又、高吸水性樹脂が多すぎると吸収する水分で糊状化する状況を形成し、植物の根が保水材4の表面に絡みつくと呼吸が困難になって植物の成長を阻害することからも、上記重量比は考慮する必要もあるが、実験による結果では、3:7の割合が広範囲の状況に対応できる適当な値である。
【0016】
保水材4を柱状に形成して柱状体を鉛直にして配列し、鉛直状態で土壌中に埋設することは、植栽する植物6に対しても潤沢な水分供給と根茎7の積極的な育成を可能にしている。従来のシート状や粒状の保水材の場合には、植物の根が水を求めて土壌の中を伸張して行くことになるが、本発明による植生土壌基盤では、保水材4を柱状に形成し柱状体を鉛直にして、上面5を土壌3で覆う状態で埋設しているので、保水材4は土壌の表面近くに配置されており、植栽された植物の若い根茎は、直ちに保水材の上面5に到達して水分の供給を受けることができる。これによって、成長する根茎7は水分の潤沢な柱状保水材4の表面に絡み着くように土壌の表面から柱状保水材の表面に沿ってほぼ垂直に伸張を続け、土壌の最深部に到達してから水平方向に伸張を継続することになる。以上のことから、植生土壌基盤の厚さは、表層から10cm程度の薄い土壌にしても、根群を植物の根が最も活性化する深さに分布させることができると同時に、植物の根を土壌の深さ方向に確実に定着できる。
【0017】
さらに、本発明による植生土壌基盤のように、保水材4を柱状に形成して、柱状体を鉛直にして配列することは、植生土壌基盤の構造面においても優位性を発揮している。即ち、本発明による植生土壌基盤は、保水材が水分を放出することで膨張していない場合でも、潤沢に吸水して膨潤状態にある場合であっても、土壌中の通気性と透水性は確実に維持されると同時に、土壌表面の歩行による踏圧で土壌が圧縮されたとしても、植物の育成に必要な土壌厚さを確保するだけでなく土壌表面の部分的な凹部の発生をも阻止して美観を損なう恐れを無くしている。
【0018】
以上のように、本発明による植生土壌基盤は、保水材4を柱状に形成して柱状体を鉛直にして配列しその上面5を土壌3で被覆した状態で土壌中に埋設することで、植生土壌基盤を薄い土壌と保水材の有効な配置で軽量に構成し、土壌中の通気性と透水性を常時維持することで植物の活性化した育成を図りながら根腐れをなくし、土壌表面の踏圧で土壌が圧縮された際も、植物の育成に必要な土壌厚さを確保し土壌表面の部分的な凹部の発生を阻止して美観を損なう恐れを無くしている。
【0019】
図2、3は、上述の状態を現出する機能関係を説明するための概要図である。図2は、水分を吸収する以前の非膨張の状態を示す側面図であり、保水材4は、柱状に形成されており、柱状体を鉛直にして配列し、その上面5を土壌3で被覆した状態で土壌中に埋設されている。この状態では、土壌粒子間の孔隙には充分な隙間が存在することから、土壌表面からの空気や水はこれらの隙間を通って矢印8のように容易に土壌の中に浸透して行き、土壌中には充分な通気性と透水性とが確保されている。
【0020】
このため、土壌表面からの水分の供給があると、柱状の保水材の全表面から吸収されることになり、保水材は潤沢な水分によって充分な膨潤状態になって、上述したように、植栽植物の育成に大いに貢献することができる。又、保水材が空気や水の通る方向を阻害しない状態に埋設されていることは、余剰の水分を土壌の中に滞留させることなく適当な容量で植生土壌基盤外に排出できる状態にあるから、土壌中の根茎が余剰水によって根腐れを起こす危険性を回避している。
【0021】
さらに、土壌表面への歩行等による踏圧は、土壌と柱状の保水材4の上面に垂直方向に加えられるので、保水材4の圧縮膨張は、柱状体の周辺に放射状に発散することになる。保水材からの放射方向の力は、保水材の間に存在する土壌の充填密度を高めるように作用し、土壌粒子間に凝集力と付着力を発生させるので、土壌に垂直応力を増加させるように働く。その結果、保水材は踏圧に対する抵抗力を強めることになって、土壌基盤の表面に歩行による凹部が形成されるのを阻止するように作用することになり、植生土壌基盤の美観を損ねるのを回避している。
【0022】
図3は、保水材が吸水によって膨潤化している状態を示す側面図(a)と平面図(b)である。本実施の形態では、平面積18cm×18cm=324cm2の土壌3に、直径5cmの柱状体に形成した保水材10を埋設している。従って、その占有面積は、19.6cm2であり、土壌表面に占める保水材の面積比は24.3%になっている。以上の実施の形態において実験を実施したが、通気性、透水性及び踏圧等の各数値は、図2で示した吸水以前の保水材のものと遜色のないものであった。
【0023】
このことは、本発明による植生土壌基盤では、保水材10を柱状に形成しており、柱状体を鉛直にして配列しているので、保水材10が膨潤しても、空気や水は矢印11のように保水材と平行する土壌の隙間方向に浸透することから、保水材の膨潤拡大による影響が無くなっているものと推測される。即ち、保水材10が膨潤しても、その拡大方向は矢印12のように空気や水が通っている矢印11の方向と直交する方向になっているので、膨潤による拡大力は保水材に囲まれた周辺の土壌を圧縮するが、各土壌間は土壌の充填密度は高くなってもその間隙を高吸水性樹脂で埋めることにはならないから、空気と水との通りには影響を与えるものでない。
【0024】
従って、保水材10が膨潤しても本実施形態で採用している面積比の範囲においては、空気と水とは全く何の影響もなく通っており、通気性と透水性において膨潤による問題は発生しない結果を示している。しかし、保水材の埋設面積比をあまりに大きくすることは、土壌粒子間の間隔を極端に小さくして土壌間の通り道を塞ぐほどに充填密度を高めることになるから、実験によって確認されている上記の値中心にした範囲が適当な比率といえる。
【0025】
そして、土壌表面への歩行等による踏圧については、上述した図2の非膨潤の状況から土壌間の充填度をさらに高める状態を形成しているから、膨潤した柱状の保水材10は、保水材の間に存在する土壌の充填密度をさらに高めるように作用して土壌粒子間に凝集力と付着力を発生させている。このため、土壌に発生する垂直応力はさらに増加するように働くことで、膨潤した柱状の保水材10も美観を損ねるのを回避できる機能を有している。
【0026】
図4は、本発明による植生土壌基盤を建物の屋上もしくはベランダに設置する実施の形態である。図4(a)は、側断面図であり、図4(b)は、図4(a)の(b)−(b)断面図である。植生土壌基盤20は、建物の構造体21の上に構築されている。構造体21の上には排水層22が設けられており、排水層22の上に不織布等の土壌分離層23を敷設してから、軽量の人工土壌24が厚さ約10cm程度に盛り込まれて構築されている。
【0027】
人工土壌24には、柱状に形成された保水材25が、柱状体を鉛直方向にして配置されて埋設されている。保水材25の上端は土壌24で被覆されており、土壌24の表面に露出して紫外線による劣化変質が生じないようにしている。本実施の形態における保水材25は、乾燥状態での比重が0.14〜0.15にしているので、比重が乾燥時で0.25〜0.27の人工土壌との混在で構成する植生土壌基盤20の総重量は、土壌表面に占める保水材の面積比を24.3%に設定した場合においても、10%以上の軽量化を図っている。
【0028】
保水材25は、ポリエステル系繊維を芯材にして繊維状にしたポリアクリルニトリル酸塩系樹脂等の高吸水性樹脂を3:7の割合で混紡し一体の柱状体を形成しているので、保水材25の表面に絡みついた植物の根茎28が、高吸水性樹脂の糊状化によって呼吸困難になり成長を阻害されることもない。
【0029】
又、土壌表面に占める保水材の面積比は、上記実施の形態と同様に、24.3%にして、保水材25が膨潤しても空気や水は保水材と平行する土壌24の隙間方向に浸透して保水材25の膨潤拡大による影響が無いようにしている。これによって、保水材25は、その上面29及び柱状体の側面から予めもしくは後から土壌24に供給される水分を充分に吸い込んで膨潤化しても通気性、透水性を保ちながら、植栽する植物27の育成に対処している。土壌における通気性、透水性の確保は、余剰の水分を土壌24の中に滞留させずに不織布等の土壌分離層23を介して排水層22に導き、植生土壌基盤外に排出しているので、土壌中の根茎28が余剰水によって根腐れを起こすこともない。
【0030】
土壌表面への歩行等による踏圧は、土壌24と柱状の保水材25の上面29に垂直方向に加えられるので、保水材25の圧縮膨張は、柱状体の周辺に発散することになる。保水材からの放射方向の力は、保水材の間に存在する土壌の充填密度を高めるように作用し、土壌粒子間に凝集力と付着力を発生させて、土壌に垂直応力を増加させるように働き、踏圧に対する抵抗力を強めるように作用する。従って、屋上、ベランダ等の狭い空間での庭園において、植栽されている植物を手入れするために土壌の上に入り込んでも、土壌基盤の表面に歩行による凹部が形成されることを防止することから、庭園の美観を損ねないようにできる。
【0031】
保水材25を柱状に形成して柱状体を鉛直にして配列して土壌中に埋設することは、植栽する植物27に対しても潤沢な水分供給と根茎28の積極的な育成を可能にしている。前述のように、一般的な植物にとって、もっとも多くの養水分を活発に吸収する根群は、表層から10〜20cmの深さに分布するとされているが、屋上、ベランダ等に構築する植生土壌基盤の土壌の厚さは、軽量化を図るために10cm程度にしている。
【0032】
従って、植物の根群を形成するには上述のように本来的には無理であるが、本実施の形態で示す植生土壌基盤20では、そこに植栽される植物27は、若い根茎28を直ちに保水材25の上面29に到達させて水分の供給を受けることで問題の解決を図っている。上述の構成によると、保水材25からの滋養で成長する根群は、保水材25の上面29から水分の潤沢な柱状の保水材25の表面に絡み着くように土壌24の表面から柱状の保水材25の表面に沿ってほぼ垂直に伸張を続けるので、土壌の深さ方向に確実に定着できる。そして、土壌24における通気性、透水性の確保は、余剰の水分を土壌中に滞留させずに植生土壌基盤20の外に排出して土壌中の根茎28が余剰水によって根腐れを起こす状況を無くしている。
【0033】
さらに、本実施の形態では、図4に示すように、保水材25が横転しないように横棒26で連結して互いに支えている。連結の手段は、横棒に限定されるものでなく、紐のように柔軟な部材を用いることも可能である。保水材25の相互の支持は、全体を均等に相互支持するだけでなく、複数本の保水材25を相互に結合して1組のブロックとして構成し、各ブロックを単独で土壌中に適宜配置するか、各ブロック相互を互いに支持し合う連結状態にすることも可能である。保水材25の相互支持は、植生土壌基盤を構築する際に土壌分離層23の表面に保水材を簡単に配置することを容易にし、人工土壌の供給においても保水材の横転に注意を払うことなく土壌を盛り込めるので、施工効率を向上させて工期の短縮を可能にしている。
【0034】
又、保水材の相互支持は、単に横転を防止するだけでなく、植生土壌基盤における保水材の移動拘束や隣接する保水材とに囲まれた軽量土壌の移動を制限し、同時に踏圧に対する抵抗力を強める機能を付加している。従って、深さのない薄い土壌で植生土壌基盤を構築しても、植生土壌基盤は構造的に堅固であり、建物に特別の追加設備を設ける必要を無くしている。
【0035】
以上のように、本発明による植生土壌基盤は、建物の屋上もしくはベランダに設置する場合には、構造体21の上に設けた排水層22の上に軽量の人工土壌24を盛り込み、保水材25を柱状に形成して柱状体を鉛直にして配列しその上面29を土壌24で被覆した状態で土壌中に埋設して構成することで、植生土壌基盤を薄い土壌と保水材の有効な配置で軽量に構成し、土壌中の通気性と透水性を常時維持することで植物の活性化した育成を図りながら根腐れをなくし、土壌表面の踏圧で土壌が圧縮された際も、植物の育成に必要な土壌厚さを確保し土壌表面の部分的な凹部の発生を阻止して美観を損なう恐れを無くしている。
【0036】
図5は、連結によって一体化した保水材の他の実施形態を示す斜視図である。図5は、柱状の保水材相互間を連結材で結合した実施の形態を斜視図で示している。保水体30は柱状の保水材31を平板状の連結材32で相互間を結合して一体化を図っている。保水体30は、保水材31の柱状面の全域に亘って結合状態を形成していることで構造的に堅固に構成されており、保水体の内部に供給される土壌もその移動を完全に阻止される。従って、植生土壌基盤を構築する際の取り扱いを容易にし、人工土壌の供給においても保水体の倒壊を気にせずに土壌を投入できるので、上記実施の形態と比較して施工効率をさらに向上させている。
【0037】
平板状の連結材は、植生土壌基盤における保水材の移動拘束や隣接する保水材に囲まれた軽量土壌の移動を確実に阻止しているので、踏圧に対する抵抗力をさらに強めている。従って、深さのない薄い土壌での構築に対しても、植生土壌基盤は構造的に堅固である。
【0038】
又、保水材の相互支持は、保水材の製造工場等において、所定の本数の保水材を任意の連結材を用いて一体に結合した単体品として完成させて置くこともできる。図示のように、9本の保水材を矩形状に組み込んで一体品として構成するものであるが、現場での作業と比較して工場での製作は容易であり、完成品の取り扱いも簡単で煩雑さを無くしていることから、推奨される形態である。そして、植生土壌基盤を構築する施工現場においても、各保水材に連結部材を結合して一体に連結する手間を省略することができると同時に、設置面上への敷設が簡潔で迅速に施工できるものであるから、植生土壌基盤の構築効率の改善にも役立つことになる。
【0039】
なお、保水材の相互支持は、本実施の形態の植生土壌基盤を建物の屋上もしくはベランダに設置する場合に限定されるものでなく、図1で示した河川敷や市街地の道路における法面等の表面2に植生土壌基盤を敷設する場合にも適用できるものである。
【0040】
以上、本発明について実施の形態に基づいて詳細に説明してきたが、本発明は上述した実施の形態に何ら限定されるものでなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは当然のことである。
【0041】
【発明の効果】
請求項1の発明である植生土壌基盤は、保水材を、海綿体もしくはスポンジ状の多孔質材や繊維材からなる芯材としての柱形保持繊維とその周囲の高吸水性樹脂とから、鉛筆状に構成された複数の単位吸水材を一体に束ねることで柱状体に形成し、敷設される表面に対して鉛直方向に保水材の上面を土壌で被覆して土壌中に埋設することにより構成しているので、従来の種々の問題点を解決して、保水材が吸水で膨潤しても土壌の通気、通水性を確保して植物の根付きを良好にして活性化し、軽量ながら踏圧に耐えて保水材の飛散や劣化変色を防止する効果を発揮している。また、保水材が吸水で膨潤しても柱状を保つことで充分な保水と土壌中の通気性と透水性を確保できる効果を発揮している。より詳細には、保水材を柱状体に形成し、敷設される表面に対して鉛直にして、上面を土壌で覆う状態で土壌中に埋設しているので、保水材は土壌の表面近くに配置されており、植栽された植物の若い根茎は、直ちに保水材の上面に到達して水分の供給を受けることができる。これによって、成長する根茎は水分の潤沢な柱状保水材の表面に絡み着くように土壌の表面から柱状保水材の表面に沿ってほぼ垂直に伸張を続け、土壌の最深部に到達してから水平方向に伸張を継続することになる。以上のことから、植生土壌基盤の厚さを薄くしても、根群を植物の根が最も活性化する深さに分布させることができると同時に、植物の根を土壌の深さ方向に確実に定着できる。さらに、保水材を柱状体に形成して、柱状体を鉛直にして埋設することは、植生土壌基盤の構造面においても優位性を発揮している。即ち、保水材が水分を放出することで膨張していない場合でも、潤沢に吸水して膨潤状態にある 場合であっても、土壌中の通気性と透水性は確実に維持されると同時に、土壌表面の歩行による踏圧で土壌が圧縮されたとしても、植物の育成に必要な土壌厚さを確保するだけでなく土壌表面の部分的な凹部の発生をも阻止して美観を損なう恐れを無くしている。このように、本発明による植生土壌基盤は、植生土壌基盤を薄い土壌と保水材の有効な配置で軽量に構成し、土壌中の通気性と透水性を常時維持することで植物の活性化した育成を図りながら根腐れをなくし、土壌表面の踏圧で土壌が圧縮された際も、植物の育成に必要な土壌厚さを確保し土壌表面の部分的な凹部の発生を阻止して美観を損なう恐れを無くしている。
【0042】
請求項2の発明である植生土壌基盤は、請求項1に記載の植生土壌基盤であって、植生土壌基盤の土壌を建物の構造材上に設けた排水層の上に形成することを特徴としているので、建物の屋上もしくはベランダに設置する場合に土壌中の通気性と透水性を確保し土壌の移動を拘束することで薄い土壌で軽量化を図りながら、植物は根付きが良好で根腐れを防止できる効果を発揮している。
【0043】
請求項3の発明である植生土壌基盤は、請求項1又は2に記載の植生土壌基盤において、柱状の保水材を、所定間隔で互いに連結することを特徴としているので、保水材の横倒れを阻止して、土壌中の通気性と透水性を確保しながら土壌の移動を拘束して安定した土壌基盤を確保できる効果を発揮している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による植生土壌基盤の断面図
【図2】本発明による植生土壌基盤に用いる保水材が水分を吸収する以前の非膨張の状態を示す側面図
【図3】本発明による植生土壌基盤に用いる保水材が水分を吸収して膨潤した状態を示す側面図
【図4】本発明による植生土壌基盤を、建物の屋上もしくはベランダに設置する実施の形態図
【図5】保水材を結合した保水体の斜視図
【図6】高吸水性樹脂を用いた従来の土壌基盤
【図7】高吸水性樹脂を用いて建物の屋上もしくはベランダに設置する従来の土壌基盤
【符号の説明】
1 植生土壌基盤、2 法面等の表面、3 土壌、4 保水材、5 保水材の上面、
6 植栽植物、7 植物の根茎、8、11 空気と水の通る方向を示す矢印、
10 膨潤した保水材、12 保水材の拡大方向を示す矢印、20 植生土壌基盤、
21 構造体、22 排水層、23 土壌分離層、24 軽量人工土壌、25 保水材、
26 横棒、27 植栽植物、28 植物の根茎、29 保水材の上面、30 保水体、
31 保水材、32 連結材、40 シート状の高吸水性樹脂、41 土壌、
42 粒状の高吸水性樹脂、45 庭園、46 土壌層、47 レンガ、
48 シート状の高吸水性樹脂、49 粒状の高吸水性樹脂、

Claims (3)

  1. 土壌中に保水材を埋設して構成する植生土壌基盤であって、保水材を、海綿体もしくはスポンジ状の多孔質材や繊維材からなる芯材としての柱形保持繊維とその周囲の高吸水性樹脂とから、鉛筆状に構成された複数の単位吸水材を一体に束ねることで柱状体に形成し、敷設される表面に対して鉛直方向に該保水材の上面を土壌で被覆して土壌中に埋設することを特徴とする植生土壌基盤。
  2. 土壌を、建物の構造材上に設けた排水層の上に形成することを特徴とする請求項1に記載の植生土壌基盤。
  3. 柱状の保水材を、所定間隔で互いに連結することを特徴とする請求項1又は2に記載の植生土壌基盤。
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