JP4042428B2 - 車両のエンジン制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、変速制御、ロックアップクラッチ制御、回生制御などが正常に実行されなくなったときに、吸気弁および/または排気弁の作動特性を制御する可変動弁機構を用いてエンジンの出力トルクを制御することにより、車両の駆動力や運転性を確保することができる車両のエンジン制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両の駆動系に設けられた装置に故障が発生した場合には、車両の走行に支障が発生する。このため、車両には、リンプホームと称される車両の退避走行を可能とする装置が装備されるようになっている。たとえば、特開平5−272633号公報に記載された自動変速機の制御装置がそれである。この制御装置によれば、シフトバイワイヤ制御部によりレンジセレクトスイッチ側の接点信号と自動変速機側のレンジポジション信号とが不一致であり且つその原因が故障(フェイル)であると判定された場合には、その接点信号とレンジポジッション信号とが共に前進レンジを示す場合に、リンプホームを可能とするように構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような従来の制御装置においては、たとえば自動変速機の故障が発生すると、変速比変化範囲すなわちギヤ段の変更範囲が制限されて退避走行のために成立可能なギヤ段たとえば比較的変速比が小さい高速側ギヤ段に固定されるのが一般的であることから、その退避走行の状況によっては必要な駆動力が得られなかったり、或いは振動が大きくなったり、エンジンブレーキ力が変化したりする可能性があった。
【0004】
本発明は以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、車両の駆動系に設けられた装置に故障が発生してその装置の制御をそれまでよりも制限する制限走行状態、たとえば退避走行のような定常的制限走行や低温や過熱等によるモータジェネレータ、ロックアップクラッチ、自動変速機の一時的使用不可による一時的制限走行となった場合でも、必要な駆動力が得られなかったり、或いは振動が大きくなったり、エンジンブレーキ力が変化したりすることが好適に防止される車両のエンジン制御装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための第1の手段】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、吸気弁および/または排気弁の作動特性を制御する可変動弁機構を備えたエンジンと変速機とを備えた車両のエンジン制御装置であって、(a) 前記変速機の変速比制御によるギヤ段の変更範囲が制限される状態であるか否かを判定する変速機制御制限判定手段と、(b) その変速機制御制限判定手段により前記変速機の変速比制御によるギヤ段の変更範囲が制限される状態であると判定された場合には、その変速比制御によるギヤ段の変更範囲の制限状態に応じて前記可変動弁機構による吸気弁および/または排気弁に対する制御を変更する弁制御変更手段とを、含むことにある。
【0006】
【第1発明の効果】
このようにすれば、変速機制御制限判定手段により前記変速機の変速比制御によるギヤ段の変更範囲が制限される状態であると判定された場合には、弁制御変更手段により、その変速比制御によるギヤ段の変更範囲の制限状態に応じて前記可変動弁機構による吸気弁および/または排気弁に対する制御が変更されることから、そのエンジンの低速側出力トルクが大きくなる側へその可変動弁機構による吸気弁および/または排気弁に対する制御が変更されることにより、前記変速比制御によるギヤ段の変更範囲が制限される状態での走行においてエンジン回転速度が低くても必要な駆動力が得られるようになる。
【0007】
【発明の他の態様】
ここで、好適には、前記弁制御変更手段は、前記変速機の変速比が高車速側に固定される前記変速比制御によるギヤ段の変更範囲が制限される状態では、前記エンジンをそれまでよりも低回転域高トルク特性とするように前記可変動弁機構による吸気弁および/または排気弁に対する制御を変更するものである。このようにすれば、可変動弁機構による吸気弁および/または排気弁に対する制御を変更によってエンジンがそれまでよりも低回転域高トルク特性とされるので、前記変速比制御によるギヤ段の変更範囲が制限される走行時においてエンジン回転速度が低くても必要な駆動力が得られるようになり、前記変速比制御によるギヤ段の変更範囲が制限される状態での走行に対応できる状況の範囲が広範となる。
【0008】
【課題を解決するための第2の手段】
また、前記課題を解決するための第2の発明の要旨とするところは、吸気弁および/または排気弁の作動特性を制御する可変動弁機構を備えたエンジンとロックアップクラッチ付変速機とを備えた車両のエンジン制御装置であって、(a) 前記ロックアップクラッチの係合制御による係合作動が制限される状態であるか否かを判定するロックアップ制御制限判定手段と、(b) そのロックアップ制御制限判定手段により前記ロックアップクラッチの係合制御による係合作動が制限される状態であると判定された場合には、そのロックアップクラッチの係合制御による係合作動の制限状態に応じて前記可変動弁機構による吸気弁および/または排気弁に対する制御を変更する弁制御変更手段とを、含むことにある。
【0009】
【第2発明の効果】
このようにすれば、ロックアップ制御制限判定手段により前記ロックアップクラッチの係合制御による係合作動が制限される状態であると判定された場合には、弁制御変更手段により、そのロックアップクラッチの係合制御による係合作動の制限状態に応じて前記可変動弁機構による吸気弁および/または排気弁に対する制御が変更されることから、エンジンの低速側出力トルクが大きくなる側へその可変動弁機構による吸気弁および/または排気弁に対する制御が変更されることにより、ロックアップクラッチが設けられた流体伝動装置の入出力回転速度差すなわちロックアップクラッチのすべりが小さく抑制され、ロックアップクラッチの係合制御による係合作動が制限される走行時における作動油温度の上昇や、ロックアップクラッチのジャダ振動などが好適に抑制される。
【0010】
【第2発明の他の態様】
ここで、好適には、前記弁制御変更手段は、前記ロックアップクラッチの係合が成立しない前記係合制御の係合作動の制限状態では、前記エンジンをそれまでよりも低回転域高トルク特性とするように前記可変動弁機構による吸気弁および/または排気弁に対する制御を変更するものである。このようにすれば、エンジンの低速側出力トルクが大きくなる側へその可変動弁機構による吸気弁および/または排気弁に対する制御が変更されることにより、ロックアップクラッチが設けられた流体伝動装置の入出力回転速度差すなわちロックアップクラッチのすべりが小さく抑制され、ロックアップクラッチの係合制御による係合作動が制限される走行時における作動油温度の上昇や、ロックアップクラッチのジャダ振動などが好適に抑制される。
【0011】
【課題を解決するための第3の手段】
また、前記課題を解決するための第3の発明の要旨とするところは、吸気弁および/または排気弁の作動特性を制御する可変動弁機構を備えたエンジンと回生可能な発電機とを備えた車両のエンジン制御装置であって、(a) 前記発電機を用いた回生制御による回生作動が制限される状態であるか否かを判定する回生制御制限判定手段と、(b) その回生制御制限判定手段により前記発電機を用いた回生制御による回生作動が制限される状態であると判定された場合には、その回生制御による回生作動の制限状態に応じて前記可変動弁機構による吸気弁および/または排気弁に対する制御を変更する弁制御変更手段とを、含むことにある。
【0012】
【第3発明の効果】
このようにすれば、回生制御制限判定手段により前記発電機を用いた回生制御による回生作動が制限される状態であると判定された場合には、弁制御変更手段により、その回生制御による回生作動の制限状態に応じて前記可変動弁機構による吸気弁および/または排気弁に対する制御が変更されることから、エンジンの回転抵抗が大きくなる側へその可変動弁機構による吸気弁および/または排気弁に対する制御が変更されることにより、走行中の減速度不足が補われて減速度の変化が好適に抑制され、運転性が高められる。
【0013】
【第3発明の他の態様】
ここで、好適には、前記弁制御変更手段は、前記回生制御の回生作動の制限状態によって制動力が不足する状態には、その制動力不足すなわち車両の減速度不足を補うように前記エンジンの回転抵抗を増加させるために前記可変動弁機構による吸気弁および/または排気弁に対する制御を変更するものである。このようにすれば、回生制御の制限による走行中の減速度不足が補われて減速度の変化が好適に抑制され、運転性が高められる。
【0014】
また、好適には、前記弁制御変更手段は、前記回生制御の回生作動の制限状態により制動力不足を補うことができない場合には、前記エンジンの回転抵抗が最大となるように前記可変動弁機構による吸気弁および/または排気弁に対する制御を変更するものである。或いは、前記弁制御変更手段は、前記回生制御の回生作動の制限状態により制動力不足を補うことができない場合には、前記エンジンの気筒をデコンプ状態とするためのデコンプ制御を禁止するものである。このようにすれば、回生制御の制限による制動力不足を補うことができない場合であっても、可及的に走行中の減速度不足が補われて運転性が高められる。
【0015】
また、好適には前記吸気弁および/または排気弁の作動特性を制御する可変動弁機構は、吸気弁および/または排気弁を電磁力を利用して開閉駆動するものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施例の制御装置が適用された車両用動力伝達装置の構成を説明する骨子図である。図において、動力源としてのエンジン10の出力は、クラッチ12、トルクコンバータ14を備えた自動変速機16に入力され、図示しない差動歯車装置および車軸を介して駆動輪へ伝達されるようになっている。上記クラッチ12とトルクコンバータ14との間には、電動モータおよび発電機として機能する第1モータジェネレータMG1が配設されている。上記自動変速機16に備えられたトルクコンバータ14は、クラッチ12に連結されたポンプ翼車20と、自動変速機16の入力軸22に連結されたタービン翼車24と、それらポンプ翼車20およびタービン翼車24の間を直結するためのロックアップクラッチ26と、一方向クラッチ28によって一方向の回転が阻止されているステータ翼車30とを備え、流体(作動油)を介して動力を伝達する流体式伝動装置である。
【0018】
上記自動変速機16は、ハイおよびローの2段の切り換えを行う第1変速機32と、後進変速段および前進4段の切り換えが可能な第2変速機34とを備えている。第1変速機32は、サンギヤS0、リングギヤR0、およびキャリアK0に回転可能に支持されてそれらサンギヤS0およびリングギヤR0に噛み合わされている遊星ギヤP0から成るHL遊星歯車装置36と、サンギヤS0とキャリアK0との間に設けられたクラッチC0および一方向クラッチF0と、サンギヤS0およびハウジング38間に設けられたブレーキB0とを備えている。
【0019】
第2変速機34は、サンギヤS1、リングギヤR1、およびキャリアK1に回転可能に支持されてそれらサンギヤS1およびリングギヤR1に噛み合わされている遊星ギヤP1から成る第1遊星歯車装置40と、サンギヤS2、リングギヤR2、およびキャリアK2に回転可能に支持されてそれらサンギヤS2およびリングギヤR2に噛み合わされている遊星ギヤP2から成る第2遊星歯車装置42と、サンギヤS3、リングギヤR3、およびキャリアK3に回転可能に支持されてそれらサンギヤS3およびリングギヤR3に噛み合わされている遊星ギヤP3から成る第3遊星歯車装置44とを備えている。
【0020】
上記サンギヤS1とサンギヤS2は互いに一体的に連結され、リングギヤR1とキャリアK2とキャリアK3とが一体的に連結され、そのキャリアK3は出力軸46に連結されている。また、リングギヤR2がサンギヤS3に一体的に連結されている。そして、リングギヤR2およびサンギヤS3と中間軸48との間にクラッチC1が設けられ、サンギヤS1およびサンギヤS2と中間軸48との間にクラッチC2が設けられている。また、サンギヤS1およびサンギヤS2の回転を止めるためのバンド形式のブレーキB1がハウジング38に設けられている。また、サンギヤS1およびサンギヤS2とハウジング38との間には、一方向クラッチF1およびブレーキB2が直列に設けられている。この一方向クラッチF1は、サンギヤS1およびサンギヤS2が入力軸22と反対の方向へ逆回転しようとする際に係合させられるように構成されている。
【0021】
キャリアK1とハウジング38との間にはブレーキB3が設けられており、リングギヤR3とハウジング38との間には、ブレーキB4と一方向クラッチF2とが並列に設けられている。この一方向クラッチF2は、リングギヤR3が逆回転しようとする際に係合させられるように構成されている。
【0022】
以上のように構成された自動変速機16では、例えば図2に示す作動表に従って後進1段および変速比が順次異なる前進5段の変速段のいずれかに切り換えられる。図2において「○」は係合状態を表し、空欄は解放状態を表し、「◎」はエンジンブレーキのときの係合状態を表し、「△」は動力伝達に関与しない係合を表している。この図2から明らかなように、第2変速段(2nd)から第3変速段(3rd)へのアップシフトでは、ブレーキB3を解放すると同時にブレーキB2を係合させるクラッチツークラッチ変速が行われ、ブレーキB3の解放過程で係合トルクを持たせる期間とブレーキB2の係合過程で係合トルクを持たせる期間とがオーバラップして設けられる。それ以外の変速は、1つのクラッチまたはブレーキの係合或いは解放作動だけで行われるようになっている。上記クラッチおよびブレーキは何れも油圧アクチュエータによって係合させられる油圧式摩擦係合装置である。
【0023】
前記エンジン10は、燃料消費を減少させるために、燃料が筒内噴射されることにより軽負荷時においては空燃比A/Fが理論空燃比よりも高い燃焼である希薄燃焼が行われるリーンバーンエンジンである。たとえば図3に示すように、このエンジン10は、3気筒ずつから構成される左右1対のバンクを備え、その1対のバンクは単独で或いは同時に作動させられるようになっている。すなわち、作動気筒数の変更が可能となっている。
【0024】
たとえば図3に示すように、上記エンジン10の吸気配管50および排気管52には、排気タービン式過給機(以下、過給機という)54が設けられている。この過給機54は、排気管52内において排気の流れにより回転駆動されるタービン翼車56と、エンジン10への吸入空気を圧縮するために吸気配管50内に設けられ且つタービン翼車56に連結されたポンプ翼車58とを備え、そのポンプ翼車58がタービン翼車56によって回転駆動されるようになっている。上記排気管52には、ウエイストゲート弁59を備えてタービン翼車56をバイパスするバイパス管61が並列に設けられており、タービン翼車56を通過する排気ガス量とバイパス管61を通過する排気ガス量との比率が変化させられることにより、吸気配管50内の過給圧Pa が調節されるようになっている。なお、このような排気タービン式過給機に換えて、エンジン或いは電動機によって回転駆動される機械ポンプ式の過給機が設けられていてもよい。
【0025】
上記エンジン10の吸気配管50には、スロットルアクチュエータ60によって操作されるスロットル弁62が設けられている。このスロットル弁62は、基本的には図示しないアクセルペダルの操作量すなわちアクセル開度θACC に対応する開度θTHとなるように制御されるが、エンジン10の出力を調節するために変速過渡時などの種々の車両状態に応じた開度となるように制御されるようになっている。また、エンジン10の排気管52には、エンジン10からの排気ガスを浄化するために、たとえば三元触媒から構成される触媒装置54が設けられている。
【0026】
また、図3に示すように、前記第1モータジェネレータMG1はエンジン10と自動変速機16との間に配置され、クラッチ12はエンジン10と第1モータジェネレータMG1との間に配置されている。上記自動変速機16の各油圧式摩擦係合装置およびロックアップクラッチ26は、電動油圧ポンプ64から発生する油圧を元圧とする油圧制御回路66により制御されるようになっている。また、エンジン10には第2モータジェネレータMG2が作動的に連結されている。そして、第1モータジェネレータMG1および第2モータジェネレータMG2の電源として機能する燃料電池70および二次電池71と、それらから第1モータジェネレータMG1および第2モータジェネレータMG2へ供給される電流を制御したり或いは充電のために二次電池71へ供給される電流を制御するための切換スイッチ72および73とが設けられている。この切換スイッチ72および73は、スイッチ機能を有する装置を示すものであって、たとえばインバータ機能などを有する半導体スイッチング素子などから構成され得るものである。
【0027】
また、エンジン10は、図4に示すように、各気筒の吸気弁74および排気弁75を開閉駆動する電磁アクチュエータ76および77を含む可変動弁機構78と、クランク軸79の回転角を検出する回転センサ80からの信号に従って上記吸気弁74および排気弁75の作動時期(タイミング)、リフト量、作動角の少なくとも1つを制御する弁駆動制御装置81とを備えている。この弁駆動制御装置81は、エンジン負荷に応じて吸気弁74および/または排気弁75の作動タイミングなどを最適時期に変更するだけでなく、指令に従ってエンジン10の出力トルク特性の変更制御を実行する。また、弁駆動制御装置81は、たとえば運転サイクル切り換え指令に従って、4サイクル運転を可能とする開閉時期および2サイクル運転を可能とする開閉時期となるようにサイクル切換制御、燃費をよくするためにエンジン負荷に応じて作動気筒数を変更する気筒切換制御、非作動気筒を非圧縮状態とするデコンプ制御などを実行する。上記電磁アクチュエータ76および77は、たとえば図5に示すように、吸気弁74または排気弁75に連結されてその吸気弁74または排気弁75の軸心方向に移動可能に支持された磁性体製の円盤状の可動部材82と、その可動部材82を択一的に吸着するためにそれを挟む位置に設けられた一対の電磁石84、85と、可動部材82をその中立位置に向かって付勢する一対のスプリング86、87とを備えている。上記吸気弁74または排気弁75は、電磁アクチュエータ76および77によって開閉駆動されるので電磁駆動弁に対応している。
【0028】
図6は、電子制御装置90に入力される信号およびその電子制御装置90から出力される信号を例示している。たとえば、電子制御装置90には、アクセルペダルの操作量であるアクセル開度θACC を表すアクセル開度信号、自動変速機16の出力軸46の回転速度NOUT に対応する車速信号、エンジン回転速度NE を表す信号、吸気配管50内の過給圧Pa を表す信号、空燃比A/Fを表す信号、シフトレバーの操作位置SH を表す信号などが図示しないセンサから供給されている。また、電子制御装置90からは、燃料噴射弁からエンジン10の気筒内へ噴射される燃料の量を制御するための噴射信号、自動変速機16のギヤ段を切り換えるために油圧制御回路66内のシフト弁を駆動するシフトソレノイドを制御する信号、ロックアップクラッチ26を開閉制御するために油圧制御回路66内のロックアップコントロールソレノイドを制御する信号などが出力される。
【0029】
上記電子制御装置90は、CPU、ROM、RAM、入出力インターフェースなどから成る所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより、自動変速機16のギヤ段を自動的に切り換える変速制御や、ロックアップクラッチ26の係合、解放、或いはスリップを実行する制御を実行する。たとえば、上記変速制御では、予め求められた変速線図からアクセル開度θACC (%)、吸入空気量Q/N、燃料噴射量、吸気管負圧などの運転者の要求出力量と車速V(出力側回転速度NOUT に対応)とに基づいて変速判断を行い、その変速判断に対応してギヤ段が得られるように油圧制御回路66内の電磁弁(シフトソレノイド)S1、S2、S3を制御する。また、ロックアップクラッチ制御では、図示しない予め求められた関係から実際の車両走行状態を表す車速V(出力側回転速度NOUT に対応)および運転者の要求出力量を表すアクセル開度θACC に基づいて、係合領域、解放領域、スリップ領域のいずれに属するかを判定し、その判定された領域に対応する状態が得られるように油圧制御回路66内のロックアップコントロールソレノイドを制御してロックアップクラッチ26を係合、解放、或いはスリップのいずれかの状態とする制御を実行する。
【0030】
図7は、上記電子制御装置90の制御機能の要部すなわち最適変速線算出制御機能を説明する機能ブロック線図である。図7において、変速制御手段100は、予め記憶された変速線図からスロットル開度θTH(=アクセル開度θACC )、吸入空気量Q/N、燃料噴射量、吸気管負圧などの運転者の要求出力量と車速V(出力側回転速度NOUT に対応)とに基づいて変速判断を行い、その変速判断に対応してギヤ段が得られるように油圧制御回路66内の電磁弁(シフトソレノイド)S1、S2、S3を制御する。
【0031】
ロックアップクラッチ制御手段102は、予め記憶された関係から実際の車両走行状態を表す車速V(出力側回転速度NOUT に対応)および運転者の要求出力量を表すスロットル開度θTH(=アクセル開度θACC )(%)に基づいて、切換線の両側に位置する係合領域および解放領域のいずれに属するかを判定し、その判定された領域に対応する状態が得られるように油圧制御回路66内のロックアップコントロールソレノイドを制御してロックアップクラッチ26を係合、解放のいずれかの状態とする制御を実行する。また、上記の関係において、係合領域と解放領域との間であってスロットル開度θTHの低い部分によく知られたスリップ係合領域が設けられてもよい。このような場合には、ロックアップクラッチ26を係合、解放、スリップ係合のいずれかの状態とする制御が実行される。
【0032】
回生制御手段104は、たとえば惰行走行、減速走行のようなアクセルペダルの操作量アクセル開度θACC すなわちスロットル開度θTHが零である非駆動走行において、減速度が予め設定された値、或いは制動操作量に対応した値となるようにモータジェネレータMG1を発電機として車両の運動エネルギにより回転させ、そのモータジェネレータMG1の発電エネルギを二次電池71に蓄えるようにする回生制御を実行する。
【0033】
変速機制御制限判定手段106は、エンジン冷却水温が低いために高速側ギヤ段禁止や作動油温度が低いためのクラッチツウクラッチ変速禁止などのために一時的に変速が制限される状態、回転センサ、油圧制御回路66内の調圧弁やシフト弁の故障などのような正常な変速制御が保証されないフェール状態などのように、上記変速制御手段100により実行される自動変速機16の変速制御による変速比制御のギヤ段変更範囲が制限される状態であるか否かを判定する。ロックアップ制御制限判定手段108は、ロックアップ切換弁、ロックアップコントロール弁、或いはそれらを制御するリニヤソレノイド弁などのフェール状態、作動油温度が低いとき或いはジャダ検出時の係合或いはスリップ係合禁止状態などのように、上記ロックアップクラッチ係合制御手段102により実行されるロックアップクラッチ26の係合制御による係合作動が制限される状態であるか否かを判定する。回生制御制限判定手段110は、二次電池71の満充電状態、モータジェネレータMG1の過熱状態、回生制御系を構成する機器の故障のために正常な回生制御が保証されないフェール状態などのように、上記回生制御手段104により実行される回生制御による回生作動が制限される状態であるか否かを判定する。
【0034】
電磁駆動弁制御変更手段112は、上記変速機制御制限判定手段106により自動変速機16の変速比制御が制限される状態であると判定された場合には、その変速比制御の制限状態に応じて前記弁駆動制御装置81による吸気弁74および/または排気弁75(電磁駆動弁)の制御を変更する。たとえば、自動変速機16の変速比が高車速側に固定される変速比制御制限状態では、エンジン10をそれまでよりも低回転域高トルク特性とするように、たとえばエンジン10の出力特性曲線がそれまでは図8のAであるとすると、BまたはCに示すエンジン出力特性曲線となるように、吸気弁74および/または排気弁75の作動時期、リフト量、作動角の少なくとも1つを変更する電磁駆動弁制御の変更を実行する。シフトレバーのN(ニュートラルポジション)→D(ドライブポジション)操作時或いはN→R(リバースポジション)操作時のショックやクリープ力を抑制するために、エンジン出力特性は、通常は図8のAに示すものとなるように、低回転域低トルク特性とされている。
【0035】
また、上記電磁駆動弁制御変更手段112は、上記ロックアップ制御制限判定手段108によりロックアップクラッチ26の係合制御が制限される状態であると判定された場合には、そのロックアップクラッチ26の係合制御の制限状態に応じて前記弁駆動制御装置81による吸気弁74および/または排気弁75(電磁駆動弁)の制御を変更する。たとえば、ロックアップクラッチ26が係合が成立させられない係合制御制限状態では、エンジン10をそれまでよりも低回転域高トルク特性とするように、たとえばエンジン10の出力特性曲線がそれまでは図8のAであるとすると、BまたはCに示すエンジン出力特性曲線となるように、吸気弁74および/または排気弁75の作動時期、リフト量、作動角の少なくとも1つを変更する電磁駆動弁制御の変更を実行する。
【0036】
また、上記電磁駆動弁制御変更手段112は、上記回生制御制限判定手段110によりモータジェネレータMG1(発電機)を用いた回生制御が制限される状態であると判定された場合には、前記弁駆動制御装置81による吸気弁74および/または排気弁75(電磁駆動弁)の制御を変更する。たとえば、回生制動が得られない回生制御の制限によって制動力が不足する状態には、その制動力不足を補うように、吸気弁74および/または排気弁75の作動時期、リフト量、作動角の少なくとも1つを制御してエンジン10の回転抵抗を増加側に調節する。エンジン10の回転抵抗を増加させる場合には、たとえば所定気筒の吸気弁74を閉じた状態とし且つ排気弁75をピストンの下死点で閉じて上死点で開くことで行われる。上記制動力不足を補いきれない場合には、エンジン10を最大回転抵抗状態すなわち最大エンジンブレーキ状態となるように吸気弁74および/または排気弁75の作動時期、リフト量、作動角を変更してそれに固定し、且つエンジン10の回転抵抗を軽減するために気筒の圧縮行程で圧縮させないデコンプ協調制御を禁止する。また、回生制御制限の内容が一時的な回生中止乃至は回生量低減であるときも、電磁駆動弁制御で減速度不足を補うが、回生制御系の故障であるフェイル時には電磁駆動弁との協調制御を中止するか、或いは 最大減速度が出るように吸気弁74および/または排気弁75を閉じて協調制御を中止する。
【0037】
図9は、電子制御装置90による制御作動の要部すなわち駆動系機器の制御制限に伴う電磁駆動弁制御変更制御ルーチンを説明するフローチャートであり、車両の非駆動走行すなわちコースト走行中において数msec 乃至数十msec 程度の極めて短い周期で繰り返し実行される。なお、上記変速制御手段100、ロックアップクラッチ制御手段102、回生制御手段104は、よく知られたものであるので、その作動を説明するフローチャートは省略されている。
【0038】
図9において、前記変速比制御制限判定手段106に対応するステップ(以下、ステップを省略する)S1では、エンジン冷却水温が低いために高速側ギヤ段禁止や作動油温度が低いためのクラッチツウクラッチ変速禁止などのために一次的に変速が制限される状態、回転センサ、油圧制御回路66内の調圧弁やシフト弁の故障などのような正常な変速制御が保証されないフェール状態などのように、上記変速制御手段100により実行される自動変速機16の変速制御すなわち変速比制御が制限される状態であるか否が判断される。このS1の判断が否定される場合は、前記ロックアップ制御制限判定手段108に対応するS2において、ロックアップ切換弁、ロックアップコントロール弁、或いはそれらを制御するリニヤソレノイド弁などのフェール状態、作動油温度が低いとき或いはジャダ検出時の係合或いはスリップ係合禁止状態などのように、上記ロックアップクラッチ係合制御手段102により実行されるロックアップクラッチ26の係合制御が制限される状態であるか否かを判定する。回生制御制限判定手段110は、二次電池71の満充電状態、モータジェネレータMG1の過熱状態、回生制御系を構成する機器の故障のために正常な回生制御が保証されないフェール状態などのように、上記回生制御手段104により実行される回生制御が制限される状態であるか否かが判断される。このS2の判断が否定される場合は、前記回生制御制限判定手段110に対応するS3において、二次電池71の満充電状態、モータジェネレータMG1の過熱状態、回生制御系を構成する機器の故障のために正常な回生制御が保証されないフェール状態などのように、上記回生制御手段104により実行される回生制御が制限される状態であるか否かが判断される。このS3の判断が否定される場合は、S4において、エンジン10をたとえば図8のAに示す低回転域低出力トルク特性とするように、吸気弁74および/または排気弁75を作動させるための通常の電磁駆動弁制御が実行される。
【0039】
しかし、上記S1の判断が肯定される場合は、前記電磁駆動弁制御変更手段112に対応するS5において、自動変速機16の変速比制御の制限状態に応じて前記弁駆動制御装置81による吸気弁74および/または排気弁75(電磁駆動弁)の制御が変更される。たとえば、自動変速機16の変速比が高車速側に固定される変速比制御制限状態では、エンジン10をそれまでよりも低回転域高トルク特性とするように、たとえばエンジン10の出力特性曲線がそれまでは図8のAであるとすると、BまたはCに示すエンジン出力特性曲線となるように、吸気弁74および/または排気弁75の作動条件を変更する電磁駆動弁制御の変更が実行される。
【0040】
また、上記S2の判断が肯定される場合は、前記電磁駆動弁制御変更手段112に対応するS6において、ロックアップクラッチ26の係合制御の制限状態に応じて前記弁駆動制御装置81による吸気弁74および/または排気弁75(電磁駆動弁)の制御が変更される。たとえば、ロックアップクラッチ26の係合が成立させられない係合制御制限状態では、エンジン10をそれまでよりも低回転域高トルク特性とするように、たとえばエンジン10の出力特性曲線がそれまでは図8のAであるとすると、BまたはCに示すエンジン出力特性曲線となるように、吸気弁74および/または排気弁75の作動条件を変更する電磁駆動弁制御の変更が実行される。
【0041】
また、上記S3の判断が肯定される場合は、前記電磁駆動弁制御変更手段112に対応するS7において、モータジェネレータMG1(発電機)を用いた回生制御の制限状態に応じて、前記弁駆動制御装置81による吸気弁74および/または排気弁75(電磁駆動弁)の制御が変更される。たとえば、回生制動が得られない回生制御の制限によって制動力が不足する状態には、その制動力不足を補うように、吸気弁74および/または排気弁75の作動時期、リフト量、作動角の少なくとも1つが制御されてエンジン10の回転抵抗が増加側に調節される。上記制動力不足を補いきれない場合には、エンジン10を最大回転抵抗状態すなわち最大エンジンブレーキ状態となるように吸気弁74および排気弁75の作動条件を変更してそれに固定し、且つエンジン10の回転抵抗を軽減するために気筒の圧縮行程で圧縮させないデコンプ協調制御が禁止される。また、回生制御制限の内容が一時的な回生中止乃至は回生量低減であるときも、電磁駆動弁制御で減速度不足を補うが、回生制御系の故障であるフェイル時には電磁駆動弁との協調制御が中止されるか、或いは 最大減速度が出るように吸気弁74および/または排気弁75を閉じて協調制御が中止される。
【0042】
上述のように、本実施例によれば、変速機制御制限判定手段106(S1)により自動変速機16の変速比制御が制限される状態であると判定された場合には、電磁駆動弁制御変更手段(弁制御変更手段)112(S5)により、その変速比制御の制限状態に応じて吸気弁74および/または排気弁75の制御が変更されることから、そのエンジン10の低速側出力トルクが大きくなる側へ電磁駆動弁制御が変更されることにより、退避走行時においてエンジン回転速度が低くても必要な駆動力が得られるようになる。たとえば、自動変速機16のフェイル時にはその変速比γが高車速側に固定されるので、そのような変速比制御制限状態では、エンジン10が図8のAに示すそれまでの特性よりも図8のBまたはCに示す低回転域高トルク特性とするように電磁駆動弁制御が変更されるので、退避走行のような制限走行時においてエンジン回転速度が低くても必要な駆動力が得られるようになり、退避走行が対応できる状況の範囲が広範となる。
【0043】
また、本実施例によれば、ロックアップ制御制限判定手段108(S2)によりロックアップクラッチ26の係合制御が制限される状態であると判定された場合には、電磁駆動弁制御変更手段112(S6)により、そのロックアップクラッチ26の係合制御の制限状態に応じて電磁駆動弁の制御が変更されることから、エンジン10の低速側出力トルクが大きくなる側へ電磁駆動弁の制御が変更されることにより、ロックアップクラッチ26が設けられたトルクコンバータ14(流体伝動装置)の入出力回転速度差すなわちロックアップクラッチ26のすべりが小さく抑制され、退避走行のような制限走行時における作動油温度の上昇や、ロックアップクラッチ26のジャダ振動などが好適に抑制される。すなわち、ロックアップクラッチ26の係合或いはスリップ係合が成立しない係合制御制限状態では、エンジン10が図8のAに示すそれまでの特性よりも図8のBまたはCに示す低回転域高トルク特性とするように電磁駆動弁制御が変更されることから、ロックアップクラッチ26の入出力回転速度差やロックアップクラッチ26のすべりが抑制され、作動油温度の上昇や、ロックアップクラッチのジャダ振動などが好適に抑制される。
【0044】
また、本実施例によれば、回生制御制限判定手段110(S3)によりモータジェネレータMG1(発電機)を用いた回生制御が制限される状態であると判定された場合には、電磁駆動弁制御変更手段112(S7)により、その回生制御の制限状態に応じて電磁駆動弁の制御が変更されることから、エンジン10の回転抵抗が大きくなる側へ電磁駆動弁の制御すなわち吸気弁74および/または排気弁75の作動タイミングなどが変更されることにより、走行中の減速度不足が補われて減速度の変化が好適に抑制され、運転性が高められる。
【0045】
また、本実施例によれば、上記電磁駆動弁制御変更手段112(S7)は、上記回生制御の制限による制動力不足を補うことができない場合には、エンジン10の回転抵抗が最大となるように吸気弁74および/または排気弁75の作動条件を変更するか、或いは、エンジン10の気筒をデコンプ状態とするためのデコンプ制御を禁止するものであることから、回生制御の制限による制動力不足を補うことができない場合であっても、可及的に走行中の減速度不足が補われて運転性が高められる利点がある。
【0046】
以上、本発明の一実施例を図面に基づいて説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
【0047】
たとえば、前述の実施例の車両において、エンジン10の排気ガスエネルギを電気エネルギに変換する機構、たとえば、タービン翼車56により回転駆動される発電機が設けられてもよい。このようにすれば、排気ガス流エネルギから、電気エネルギが回収される。
【0048】
また、前述の実施例の電磁駆動弁制御変更手段112は、吸気弁74および排気弁75のうちの一方の作動条件を制御するものであってもよい。このような場合には、エンジン10には、作動条件が制御される側の弁すなわち吸気弁74および排気弁75のうちの一方が、電磁アクチュエータ76および77によって駆動されるものであればよい。
【0049】
また、前述の実施例では、吸気弁74および排気弁75は電磁アクチュエータ76および77のみによって開閉作動させられるように構成されていたが、基本的にはカム機構によって開閉駆動させられるが、そのタイミングが電磁アクチュエータ、電動モータなどによってずらされる装置によりそれらの作動条件が制御されるものであってもよい。
【0050】
また、前述の実施例では、複数組の遊星歯車装置40、42、44から成る自動変速機16が用いられていたが、油圧アクチュエータにより駆動されるシフトフォークによってギヤ段が変更される平行2軸式常時噛み合い型変速機や、有効径が可変な1対の可変プーリに伝動ベルトが巻き掛けられた無段変速機であってもよい。
【0051】
また、前述の実施例では、減速度の補完に際して、回生制動がモータジェネレータMG1により実行されていたが、モータジェネレータMG2により、或いはモータジェネレータMG1およびMG2により実行されてもよい。また、回生制動または車輪ブレーキだけで減速度の補完が行われてもよい。
【0052】
その他、一々例示はしないが、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の制御装置によって電磁駆動弁が制御されるエンジンを含む車両の動力伝達装置の要部構成を説明する図である。
【図2】図1の自動変速機における、複数の油圧式摩擦係合装置の作動の組合わせとそれにより成立するギヤ段との関係を示す図表である。
【図3】図1の自動変速機を含む車両の原動機および駆動系の要部を説明する図である。
【図4】図1のエンジンの各気筒に設けられた可変動弁機構を説明する図である。
【図5】図4の可変動弁機構に設けられて吸気弁或いは排気弁を開閉作動させる電磁アクチュエータの構成を説明する図である。
【図6】図1の車両に設けられた電子制御装置の入出力信号を説明する図である。
【図7】図6の電子制御装置の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。
【図8】図7の電磁駆動弁制御変更手段による電磁駆動弁制御の変更によって切り換えられるエンジンの出力特性を説明する図である。
【図9】図6の電子制御装置による制御作動の要部すなわち電磁駆動弁制御変更ルーチンを説明するフローチャートである。
【符号の説明】
10:エンジン
14:トルクコンバータ(流体伝動装置)
16:自動変速機(変速機)
26:ロックアップクラッチ
74:吸気弁(電磁駆動弁)
75:排気弁(電磁駆動弁)
106:変速機制御制限判定手段
108:ロックアップ制御制限判定手段
110:回生制御制限判定手段
112:電磁駆動弁制御変更手段
MG1:モータジェネレータ(発電機)
Claims (7)
- 吸気弁および/または排気弁の作動特性を制御する可変動弁機構を備えたエンジンと変速機とを備えた車両のエンジン制御装置であって、
前記変速機の変速比制御によるギヤ段の変更範囲が制限される状態であるか否かを判定する変速機制御制限判定手段と、
該変速機制御制限判定手段により前記変速機の変速比制御によるギヤ段の変更範囲が制限される状態であると判定された場合には、該変速比制御によるギヤ段の変更範囲の制限状態に応じて前記可変動弁機構による吸気弁および/または排気弁に対する制御を変更する弁制御変更手段と
を、含むことを特徴とする車両のエンジン制御装置。 - 弁制御変更手段は、前記変速機の変速比が高車速側に固定される前記変速比制御のギヤ段の変更範囲が制限される状態では、前記エンジンをそれまでよりも低回転域高トルク特性とするように前記可変動弁機構による吸気弁および/または排気弁に対する制御を変更するものである請求項1の車両のエンジン制御装置。
- 吸気弁および/または排気弁の作動特性を制御する可変動弁機構を備えたエンジンとロックアップクラッチ付変速機とを備えた車両のエンジン制御装置であって、
前記ロックアップクラッチの係合制御による係合作動が制限される状態であるか否かを判定するロックアップ制御制限判定手段と、
該ロックアップ制御制限判定手段により前記ロックアップクラッチの係合制御による係合作動が制限される状態であると判定された場合には、該ロックアップクラッチの係合制御による係合作動の制限状態に応じて前記可変動弁機構による吸気弁および/または排気弁に対する制御を変更する弁制御変更手段と
を、含むことを特徴とする車両のエンジン制御装置。 - 弁制御変更手段は、前記ロックアップクラッチが係合が成立しない前記係合制御の係合作動が制限される状態では、前記エンジンをそれまでよりも低回転域高トルク特性とするように前記可変動弁機構による吸気弁および/または排気弁に対する制御を変更するものである請求項3の車両のエンジン制御装置。
- 吸気弁および/または排気弁の作動特性を制御する可変動弁機構を備えたエンジンと回生可能な発電機とを備えた車両のエンジン制御装置であって、
前記発電機を用いた回生制御による回生作動が制限される状態であるか否かを判定する回生制御制限判定手段と、
該回生制御制限判定手段により前記発電機を用いた回生制御による回生作動が制限される状態であると判定された場合には、該回生制御による回生作動の制限状態に応じて前記可変動弁機構による吸気弁および/または排気弁に対する制御を変更する弁制御変更手段と
を、含むことを特徴とする車両のエンジン制御装置。 - 弁制御変更手段は、前記回生制御の回生作動の制限状態によって制動力が不足する状態には、該制動力不足を補うように前記エンジンの回転抵抗を増加させるために前記可変動弁機構による吸気弁および/または排気弁に対する制御を変更するものである請求項5の車両のエンジン制御装置。
- 前記吸気弁および/または排気弁の作動特性を制御する可変動弁機構は、吸気弁および/または排気弁を電磁力を利用して開閉駆動するものである請求項1乃至6のいずれか1の車両のエンジン制御装置。
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