JP3849510B2 - 車両のエンジン制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は車両のエンジン制御装置に係り、特に、非駆動状態から駆動状態へ切り換える駆動切換時に断続装置により動力伝達経路が接続される際のエンジン制御に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
(a) エンジンと駆動輪との間の動力伝達経路を遮断する非駆動状態と、その動力伝達経路を接続する駆動状態とを選択する選択操作手段と、(b) その選択操作手段の操作に従って前記動力伝達経路を接続、遮断する断続装置と、を有する車両が知られている。選択操作手段は、例えば非駆動状態を選択するための「N(ニュートラル)」ポジションや、駆動状態である前進走行や後進走行を行うための「D(ドライブ)」ポジション、「R(リバース)」ポジションなどへ選択的に操作されるシフトレバーなどで、断続装置は、例えば非駆動状態であるニュートラル「N」や、複数の前進変速段、後進変速段「Rev」などを成立させる遊星歯車式の自動変速機のクラッチやブレーキ、或いはエンジンと変速機との間に配設された入力クラッチなどである。そして、例えばニュートラル「N」でアクセルを踏み込んでエンジン回転を上昇させた状態(レーシング状態)で、シフトレバーを「D」ポジションへ切換操作することにより、前進変速段用のクラッチ或いは入力クラッチを急係合させて急発進するような操作が行われると、そのクラッチの耐久性が低下したり動力伝達系に過大なトルクが作用して耐久性が低下する可能性がある。このため、例えば特開平11−62652号公報では、非駆動状態におけるエンジン回転速度を所定値以下に制限することが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、エンジンがアイドル状態の場合でも、非駆動状態から駆動状態への切換操作に伴って断続装置により動力伝達経路が接続されることにより、負荷の変化に伴ってエンジン回転速度が変化させられ、エンジンなどの回転部分のイナーシャトルク等により一時的に大きな駆動トルクが発生してショックを生じる可能性がある。
【0005】
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、非駆動状態から駆動状態への切換時にエンジンの回転速度変化に起因して発生するイナーシャトルクによりショックが発生する不具合を防止することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、第1発明は、(a) 吸気弁および排気弁の少なくとも一方が電気的に開閉制御可能な電動開閉弁で、その電動開閉弁により自身の回転速度を制御できる走行用のエンジンと、(b) そのエンジンと駆動輪との間の動力伝達経路を遮断する非駆動状態と、その動力伝達経路を接続する駆動状態とを選択する選択操作手段と、(c) その選択操作手段の操作に従って前記動力伝達経路を接続、遮断する断続装置と、を有し、(d) 前記選択操作手段によって前記非駆動状態から前記駆動状態へ変更する駆動切換が行われた時に、前記断続装置によって前記動力伝達経路が接続されることにより前記エンジンの負荷が変化してそのエンジンの回転速度が低下する車両において、(e) 前記駆動切換が行われた時に、前記エンジンの負荷が変化することに伴ってそのエンジンの回転速度が低下するに際し、そのエンジンの回転速度が、その回転速度の変化に起因して発生するショックが抑制されるように予め定められた変化パターンに従って低下するように、前記電動開閉弁の開度をフィードバック制御し、または学習制御を併用したフィードフォワード制御を行う回転速度制御手段を設けたことを特徴とする。
【0010】
第2発明は、第1発明の車両のエンジン制御装置において、前記回転速度制御手段は、前記駆動切換時における前記エンジンの回転速度が所定値よりも高いと判断されたときには、前記断続装置による前記動力伝達経路の接続開始に先行して前記電動開閉弁の制御を開始することを特徴とする。
【0014】
【発明の効果】
第1発明の車両のエンジン制御装置は、選択操作手段によって非駆動状態から駆動状態へ変更する駆動切換が行われた時に、エンジンの負荷が変化して回転速度が低下する車両に関するもので、その駆動切換時にエンジンの回転速度が、その回転速度の変化に起因して発生するショックが抑制されるように予め定められた変化パターンに従って低下するように、電動開閉弁をフィードバック制御乃至はフィードフォワード制御することにより、駆動切換に伴う断続装置の係合時に発生するショックを低減できる。
【0015】
第2発明では、駆動切換時のエンジンの回転速度が所定値よりも高いと判断されたとき、例えば暖機運転やエアコン作動時などの回転速度が高いファーストアイドル時には、断続装置による動力伝達経路の接続開始に先行して電動開閉弁の制御を開始するため、その断続装置によって動力伝達経路が接続される際のショックを、初期のエンジン回転速度に応じてより適切に抑制できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明は、吸気弁および排気弁が何れも電気的に開閉制御される電動開閉弁で構成されているエンジンに好適に適用されるが、吸気弁および排気弁の何れか一方だけが電動開閉弁で構成され、他方はクランク軸に連動して回転駆動されるカムシャフトによって開閉されるエンジンなどにも適用され得る。
【0017】
電動開閉弁は、例えば開閉弁毎に設けられた電磁アクチュエータにより弁体を直線往復移動させて開閉したり、開閉弁毎に設けられたカムシャフトを電動モータにより回転駆動して弁を開閉したりするなど、個々の開閉弁毎にそれぞれ独立に開閉制御できるように構成することが望ましいが、複数の気筒の開閉弁に跨がって配設されたカムシャフトを電動モータにより回転駆動して所定のタイミングで連続的に開閉させるものでも良いなど、種々の態様を採用できる。
【0018】
電動開閉弁によるエンジン回転速度の低下制御は、例えば吸気弁および排気弁の何れか一方を閉じたまま他方を通常の制御に従って開閉することにより、ピストンの圧縮仕事で回転エネルギーを消費させて回転速度を低下させ、エンジンなどの回転部分の回転速度低下時のイナーシャトルクを低減するように構成される。具体的には、吸気弁を閉じたままにしておき、排気弁を下死点で閉じるとともに上死点で開くことにより、エンジン自身が自らエンジンブレーキをかけることができる。
【0019】
選択操作手段は、例えば非駆動状態を選択するための「N(ニュートラル)」ポジションや、駆動状態である前進走行や後進走行を行うための「D(ドライブ)」ポジション、「R(リバース)」ポジションなどへ選択的に操作されるシフトレバーが好適に用いられ、N→D切換やN→R切換が駆動切換であるが、押釦スイッチなどで選択するものでも良いなど、種々の手段を採用できる。
【0020】
動力伝達経路を接続、遮断する断続装置としては、例えば前記選択操作手段の操作に従って係合、解放されることにより動力伝達経路を接続、遮断する油圧式や電磁式等の摩擦係合装置、具体的には単板式、多板式、ベルト式等のクラッチやブレーキなどが好適に用いられるが、摩擦係合するシンクロナイザリングを有するシンクロ式の噛合クラッチなどを用いることもできる。動力伝達経路を接続、遮断する摩擦係合装置としては、例えば非駆動状態であるニュートラル「N」や、駆動状態である複数の前進変速段、後進変速段「Rev」などを成立させる遊星歯車式の自動変速機のクラッチやブレーキ、単に前進、後進、およびニュートラルを切り換えるだけの前後進切換装置のクラッチやブレーキ、或いはエンジンと変速機との間に配設された入力クラッチ、発進クラッチなどが広く知られている。
【0021】
走行用のエンジンと上記自動変速機や前後進切換装置との間など、動力伝達経路には必要に応じてトルクコンバータ等の流体式動力伝達装置が配設され、車両停止時にもエンジンの回転が許容されるとともに駆動トルク(クリープトルク)が発生し、ブレーキOFFでそのまま発進できるように構成されるが、流体式動力伝達装置を設けることなく発進クラッチなどの断続装置(摩擦係合装置)のスリップ制御でクリープトルクを発生させたり発進したりする車両にも本発明は適用され得る。
【0025】
本発明は、選択操作手段により駆動切換が行われた場合に、発進クラッチや前進用クラッチなどの断続装置が係合した場合を想定したもので、駆動切換に伴うショック(駆動トルク変動など)ができるだけ小さいことが望ましく、電動開閉弁を制御してエンジンの回転速度変化が理想となるように制御することにより、断続装置の係合に伴って発生するショックを低減するようにしたのである。理想のエンジン回転速度変化は、例えば断続装置の係合所要時間などを考慮して駆動トルク変動などのショックができるだけ小さくなるように定められ、一定の変化率や、断続装置の係合進行度合等に応じて変化率が変化する所定の変化パターンで設定される。
【0026】
そして、回転速度制御手段は、実際のエンジン回転速度が上記理想のエンジン回転速度変化に従って変化するように、例えば電動開閉弁の通常の開閉制御を中止してその開度をフィードバック制御したり、フィードフォワード制御したり、学習制御したりするように構成される。また、駆動切換に伴って係合させられる断続装置としての摩擦係合装置の係合トルク(油圧など)の制御と協調して制御することも可能である。
【0027】
また、例えば暖機運転やエアコン作動時などにはアイドル回転速度が上昇させられる(ファーストアイドル)ため、この状態からエンジン回転速度が理想的に変化するように、電動開閉弁の開度や制御開始時間、制御継続時間などを変更することが望ましい。
【0028】
また、電動開閉弁の制御と共にエンジンに対する燃料供給を停止したり、回転機を用いて回転抵抗を付与したりすることも可能である。
【0029】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明が適用された車両用動力伝達装置8の構成を説明する骨子図である。図1において、内燃機関にて構成されている走行用駆動源としてのエンジン10の出力は、入力クラッチ12、流体式動力伝達装置としてのトルクコンバータ14を経て自動変速機16に入力され、図示しない差動歯車装置および車軸を介して駆動輪へ伝達されるようになっている。上記入力クラッチ12とトルクコンバータ14との間には、回転機として電動モータおよび発電機として機能する第1モータジェネレータMG1が配設されている。上記トルクコンバータ14は、入力クラッチ12に連結されたポンプ翼車20と、自動変速機16の入力軸22に連結されたタービン翼車24と、それらポンプ翼車20およびタービン翼車24の間を直結するためのロックアップクラッチ26と、一方向クラッチ28によって一方向の回転が阻止されているステータ翼車30とを備えている。
【0030】
上記自動変速機16は、ハイおよびローの2段の切り換えを行う第1変速部32と、後進変速段および前進4段の切り換えが可能な第2変速部34とを備えている。第1変速部32は、サンギヤS0、リングギヤR0、およびキャリアK0に回転可能に支持されてそれらサンギヤS0およびリングギヤR0に噛み合わされている遊星ギヤP0から成るHL遊星歯車装置36と、サンギヤS0とキャリアK0との間に設けられたクラッチC0および一方向クラッチF0と、サンギヤS0およびハウジング38間に設けられたブレーキB0とを備えている。
【0031】
第2変速部34は、サンギヤS1、リングギヤR1、およびキャリアK1に回転可能に支持されてそれらサンギヤS1およびリングギヤR1に噛み合わされている遊星ギヤP1から成る第1遊星歯車装置40と、サンギヤS2、リングギヤR2、およびキャリアK2に回転可能に支持されてそれらサンギヤS2およびリングギヤR2に噛み合わされている遊星ギヤP2から成る第2遊星歯車装置42と、サンギヤS3、リングギヤR3、およびキャリアK3に回転可能に支持されてそれらサンギヤS3およびリングギヤR3に噛み合わされている遊星ギヤP3から成る第3遊星歯車装置44とを備えている。
【0032】
上記サンギヤS1とサンギヤS2は互いに一体的に連結され、リングギヤR1とキャリアK2とキャリアK3とが一体的に連結され、そのキャリアK3は出力軸46に連結されている。また、リングギヤR2がサンギヤS3および中間軸48に一体的に連結されている。そして、リングギヤR0と中間軸48との間にクラッチC1が設けられ、サンギヤS1およびサンギヤS2とリングギヤR0との間にクラッチC2が設けられている。また、サンギヤS1およびサンギヤS2の回転を止めるためのバンド形式のブレーキB1がハウジング38に設けられている。また、サンギヤS1およびサンギヤS2とハウジング38との間には、一方向クラッチF1およびブレーキB2が直列に設けられている。この一方向クラッチF1は、サンギヤS1およびサンギヤS2が入力軸22と反対の方向へ逆回転しようとする際に係合させられるように構成されている。
【0033】
キャリアK1とハウジング38との間にはブレーキB3が設けられており、リングギヤR3とハウジング38との間には、ブレーキB4と一方向クラッチF2とが並列に設けられている。この一方向クラッチF2は、リングギヤR3が逆回転しようとする際に係合させられるように構成されている。
【0034】
以上のように構成された自動変速機16では、例えば図2に示す作動表に従って後進1段および変速比(入力軸22の回転速度Nin/出力軸46の回転速度Nout)が順次異なる前進5段(1st〜5th)の変速段のいずれかに切り換えられる。図2において「○」は係合で、空欄は解放を表し、「◎」はエンジンブレーキ時の係合を表し、「△」は動力伝達に関与しない係合を表している。なお、第4変速段「4th」および第5変速段「5th」は、常にエンジンブレーキが作用する。前記クラッチC0〜C2、およびブレーキB0〜B4は何れも油圧アクチュエータによって係合させられる油圧式摩擦係合装置である。
【0035】
図3に示すように、前記エンジン10の吸気配管50および排気管52には、排気タービン式過給機54が設けられており、排気管52には、ウェイストゲート弁56を有するバイパス通路58が並列に設けられて、そのバイパス通路58を流通する排気ガスの流量を制御することにより、タービン回転を変化させて吸気配管50内の過給圧を調節できるようになっている。吸気配管50には、スロットルアクチュエータ60によって開閉制御される電子スロットル弁62が設けられている。電子スロットル弁62は、基本的には図7に示すように運転者の出力要求量を表すアクセル操作量ACCに対応する開度θTHとなるように制御されるが、運転状態に応じて適切にエンジン10の出力を調節するため、変速過渡時などにアクセル操作量ACCとは独立に開閉制御される。
【0036】
また、エンジン10は、図4に示すように、各気筒の吸気弁74および排気弁75を開閉駆動する電磁アクチュエータ76および77を含む可変動弁機構78と、クランク軸79の回転角を検出するクランク軸回転角センサ80からの信号に従って上記吸気弁74および排気弁75の作動時期(タイミング)を制御する弁駆動制御装置81とを備えている。この弁駆動制御装置81は、エンジン負荷に応じて作動タイミングを最適時期に変更するだけでなく、運転サイクル切換え指令に従ってエンジン10を4サイクル運転させるための時期および2サイクル運転させるための時期となるように制御する。また、吸気弁74および排気弁75の作動タイミングを変更したり、作動気筒数を変更したりすることにより、エンジン自身でエンジン回転速度NEを制御することが可能で、例えば吸気弁74を閉じたまま排気弁75を通常の制御に従って開閉することにより、ピストンの圧縮仕事で回転エネルギーを消費させてエンジン回転速度NEを強制的に速やかに低下させることができるとともに、吸気弁74の開度を制御してエンジン回転速度NEの変化率を調整することができる。上記電磁アクチュエータ76および77は、たとえば図5に示すように、吸気弁74または排気弁75に連結されてその吸気弁74または排気弁75の軸心方向に移動可能に支持された磁性体製の円盤状の可動部材82と、その可動部材82を択一的に吸着するためにそれを挟む位置に設けられた一対の電磁石84、85と、可動部材82をその中立位置に向かって付勢する一対のスプリング86、87とを備えている。吸気弁74および排気弁75は、電気的に開閉制御可能な電動開閉弁に相当する。
【0037】
前記第1モータジェネレータMG1はエンジン10と自動変速機16との間に配置され、入力クラッチ12はエンジン10と第1モータジェネレータMG1との間に配置されている。上記自動変速機16の各油圧式摩擦係合装置およびロックアップクラッチ26は、電動油圧ポンプ64から発生する油圧を元圧とする油圧制御回路66により制御されるようになっている。また、エンジン10には第2モータジェネレータMG2が作動的に連結されている。そして、第1モータジェネレータMG1および第2モータジェネレータMG2の電源として機能する燃料電池70および二次電池71と、それ等から第1モータジェネレータMG1および第2モータジェネレータMG2へ供給される電流を制御したり或いは充電のために二次電池71へ供給される電流を制御するための電源切換スイッチ72および73とが設けられている。この電源切換スイッチ72および73は、スイッチ機能を有する装置を示すものであって、例えばインバータ機能などを有する半導体スイッチング素子などから構成され得るものである。
【0038】
図6は、本実施例の車両用動力伝達装置8が備えている制御系統を説明するブロック線図で、電子制御装置90に入力される信号およびその電子制御装置90から出力される信号を例示したものであり、エンジン回転速度(NE)センサ92、タービン回転速度(NT)センサ94、車速(V)センサ96、スロットル弁開度(θTH)センサ97、アクセル操作量センサ98、フットブレーキスイッチ100、シフトポジションセンサ102、アップシフトスイッチ104、ダウンシフトスイッチ106、二次電池残量計108などからエンジン回転速度NE、タービン回転速度NT(入力軸22の回転速度Ninと同じ)、車速V(出力軸46の回転速度Nout に対応)、電子スロットル弁62のスロットル弁開度θTH、アクセルペダルの操作量ACC、フットブレーキのON・OFF、シフトレバー88(図9参照)の操作位置であるシフトポジションPSH、変速レンジのアップ指令RUP、ダウン指令RDN、二次電池71の残容量SOC、などを表す信号が供給されるようになっている。
【0039】
上記電子制御装置90は、CPU、ROM、RAM、入出力インターフェースなどから成る所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより、前記スロットルアクチュエータ60や弁駆動制御装置81、点火装置112、燃料噴射装置114などによりエンジン10の出力制御を行ったり、MG1コントローラ116、MG2コントローラ118によりモータジェネレータMG1、MG2の力行制御や回生制御を行ったり、油圧制御回路66のATシフトソレノイド120の励磁、非励磁により油圧回路を切り換えるなどして自動変速機16の変速制御を行ったり、その他の各種の制御を実行する。ATシフトソレノイド120は、切換弁などの作動状態を変更して油圧回路を切り換えることにより、前記クラッチC0〜C2、ブレーキB0〜B4の係合、解放状態を切り換えて、前記複数の変速段やニュートラル「N」などを成立させるためのもので、複数設けられている。また、PC1コントロールソレノイド122およびPC2コントロールソレノイド124は、クラッチC1、C2の油圧アクチュエータの油圧PC1、PC2を調圧するためのリニアソレノイドバルブで、それ等の係合過渡時や解放過渡時の係合トルクが制御される。なお、クラッチC1、C2に接続されたアキュムレータの背圧制御でそれ等の係合トルクを制御することもできる。
【0040】
前記シフトレバー88は運転席の近傍に配設され、図9(a) に示すシフトパターンに従って5つのシフトポジョシン「P」、「R」、「N」、「D」、または「M」へ手動操作されるようになっている。「P」ポジションは駐車位置で、「R」ポジションは後進走行位置で、「N」ポジションは動力伝達遮断位置で、「D」ポジションは自動変速による前進走行位置で、「M」ポジションは変速レンジを変更可能な前進走行位置であり、シフトレバー88がどのシフトポジションへ操作されているかが前記シフトポジションセンサ102によって検出される。前記図2の作動表のパーキング「P」、後進変速段「Rev」、ニュートラル「N」は上記シフトポジション「P」、「R」、「N」に対応し、シフトレバー88の操作でマニュアルバルブが機械的に切り換えられることによって成立させられる。また、「D」ポジションでは、自動変速機16の総ての前進変速段すなわち第1変速段「1st」〜第5変速段「5th」を用いて自動的に変速する自動変速モードが成立させられ、例えば図8に示すように車速Vおよびスロットル弁開度θTHをパラメータとして予め記憶された変速マップ(変速条件)に従って変速制御が行われ、車速Vが低くなったりスロットル弁開度θTHが大きくなったりするに従って変速比が大きい低速側の変速段が成立させられる。
【0041】
また、上記「M」ポジションでは、自動的に切り換えられる変速段の範囲が異なる複数の変速レンジを切り換えることが可能なレンジ切換可能モードが成立させられ、その「M」ポジションには、車両の前後方向にアップシフト位置「+」、およびダウンシフト位置「−」が設けられている。そして、シフトレバー88がそれ等のアップシフト位置「+」またはダウンシフト位置「−」へ操作されると、そのことが前記アップシフトスイッチ104、ダウンシフトスイッチ106によって検出されてアップ指令RUPやダウン指令RDNが出力され、図9(b) に示すように最高速段、すなわち変速比の下限、が異なる5つの変速レンジ「D」、「4」、「3」、「2」、「L」の何れかが電気的に成立させられ、それぞれその変速段の範囲で前記図8の変速マップに従って自動的に変速制御が行われる。アップシフト位置「+」およびダウンシフト位置「−」は何れも不安定で、シフトレバー88はスプリング等の付勢手段により自動的に「M」ポジションへ戻されるようになっており、ダウンシフト位置「−」へ操作されることにより「L」レンジ側へ切り換えられ、アップシフト位置「+」へ操作されることにより「D」レンジ側へ切り換えられる。なお、図9(b) の変速段の欄の丸付き数字はエンジンブレーキが作用することを意味する。
【0042】
上記シフトレバー88は選択操作手段で、「N」ポジションへ操作された時に成立させられるニュートラル「N」は、エンジン10と駆動輪との間の動力伝達を遮断する非駆動状態である。また、「D」ポジションへ操作されてクラッチC1が係合させられることにより成立させられる第1変速段「1st」や、「R」ポジションへ操作されてクラッチC2等が係合させられることにより成立させられる後進変速段「Rev」は、何れも動力伝達経路を接続する駆動状態であり、クラッチC1、C2は、シフトレバー88の操作に従って係合、解放されることにより動力伝達経路を接続、遮断する摩擦係合装置で、断続装置として機能している。すなわち、シフトレバー88の切換操作に従ってマニュアルバルブが作動させられ、油圧回路が切り換えられることによってクラッチC1、C2は係合または解放されるのである。なお、後進変速段「Rev」では、ブレーキB0およびB4も係合させられるが、クラッチC2に先行して速やかに係合させられ、最終的に動力伝達経路を接続するのはクラッチC2である。また、前記入力クラッチ12は、シフトレバー88が「N」ポジションへ操作された時も係合状態に保持される。
【0043】
ここで、シフトレバー88が「N」ポジションの車両停止時にアクセルが踏込み操作されてエンジン回転速度NEが高回転となったレーシング状態で、そのままシフトレバー88が「D」ポジションまたは「R」ポジションへ切換操作され、前進用のクラッチC1または後進用のクラッチC2が急係合させられると、それ等のクラッチC1またはC2に高い負荷が掛かり、摩擦材が摩耗して寿命が著しく低下する恐れがある。このため、前記電子制御装置90は、図10のフローチャートに従って信号処理を行うことにより、このような急係合発進時にエンジン回転速度NEを強制的に低下させて、クラッチC1やC2の負荷を軽減する機能を備えている。
【0044】
図10のステップS1では、シフトレバー88が「N」ポジションから「D」ポジションへ切換操作されたN→Dシフト、またはシフトレバー88が「N」ポジションから「R」ポジションへ切換操作されたN→Rシフトか否かを、シフトポジションセンサ102からの信号に基づいて判断し、N→DまたはN→Rの駆動切換の場合はステップS2で急係合発進か否かを判断する。急係合発進か否かは、例えば車速Vが略0の停車状態でエンジン回転速度NEが予め定められた所定値(例えば2500rpm)以上か否かによって判断され、急係合発進の場合はステップS3で第1モータジェネレータMG1を回生制御可能か否かを判断する。第1モータジェネレータMG1の回生制御が可能か否かは、例えば第1モータジェネレータMG1自体のフェールや電気系統の故障(ショートなど)、二次電池71が満充電で充電不可、或いは低温により使用不可、などを判断することによって行われる。
【0045】
そして、第1モータジェネレータMG1を使用可能の場合は、ステップS4でエンジン10自身による回転速度低下制御を行うとともに、ステップS5でMG1コントローラ116により第1モータジェネレータMG1を回生制御してエンジン10に回転抵抗を付与し、且つ発生した電気エネルギーで二次電池71を充電する。ステップS4のエンジン10自身による回転速度低下制御は、例えば弁駆動制御装置81により吸気弁74を閉じ制御するとともに、燃料噴射装置114による燃料噴射すなわち爆発を停止することにより、ピストンの圧縮仕事などで回転エネルギーを吸収してエンジン回転速度NEを速やかに強制的に低下させる。吸気弁74の閉じ制御は吸気弁74を閉じたままにすることで、排気弁75を下死点で閉じるとともに上死点で開くことにより、ピストンの圧縮仕事でエンジン回転速度NEが低下する。一方、第1モータジェネレータMG1が使用不可の場合は、回生制御で回転抵抗を付与することができないため、ステップS6でステップS4と同様のエンジン10自身による回転速度低下制御のみを行ってエンジン回転速度NEを低下させる。なお、第1モータジェネレータMG1が使用不可の場合でも、能力を制限した状態で回生制御を行うことができる場合は、可能な範囲で第1モータジェネレータMG1の回生制御を行って回転抵抗を付与するようにしても良い。また、本実施例では第1モータジェネレータMG1を用いて回転抵抗を付与するようにしているが、第2モータジェネレータMG2を用いたり、両方のモータジェネレータMG1およびMG2を用いたりして、回転抵抗を付与するようにしても良い。
【0046】
図11は、N→Dシフト時に、ステップS4およびS5でエンジン10自身による回転速度低下制御と共に第1モータジェネレータMG1の回生制御を行ってエンジン回転速度NEを低下させた場合のタイムチャートの一例(概念的なもの)であり、時間t1 はN→Dシフトによる急係合発進でステップS2の判断がYESになった時間で、時間t2 はクラッチC1が完全係合してタービン回転速度NTと車速Vに対応する出力軸46の回転速度Nout との比(NT/Nout)が第1変速段「1st」の変速比と略一致した時間である。なお、図では吸気弁74の閉じ制御が時間t1 と同時に開始されているが、厳密にはクランク軸79の回転角に応じて気筒毎に異なる所定のタイミングで閉じ制御が開始される。すなわち、通常の開閉制御の閉じタイミングに合わせて閉じ制御を開始するのである。
【0047】
ここで、エンジン10自身の回転速度低下制御や第1モータジェネレータMG1の回生制御を行ってエンジン回転速度NEを低下させると、エンジン10のイナーシャトルクが減少してクラッチC1の負荷が軽減されるが、エンジン10のイナーシャトルクはエンジン回転速度NEに比例して大きくなるため、これらの制御によるイナーシャトルクの低減量も、例えば図12に示すようにエンジン回転速度NEが高い程大きくなるように定めることが望ましい。一方、クラッチC1は、シフトレバー88のN→Dシフトに伴ってマニュアルバルブが機械的に作動させられ、油圧回路が切り換えられることにより油圧PC1がアキュムレータの作用やPC1コントロールソレノイド122による油圧制御などで図11に示すように上昇して係合させられる。このため、この時のクラッチC1の係合所要時間を考慮して、この時間内に上記低減量だけイナーシャトルクが低下するように、可能な範囲でエンジン10自身による回転速度を低下させるためのトルクや第1モータジェネレータMG1の回生トルクが定められる。エンジン10自身による回転速度を低下させるためのトルクは、例えば閉じ制御している吸気弁74の開度を変更することによって調整できる。また、エンジン10自身の回転速度低下制御によるイナーシャトルクの低減量と、第1モータジェネレータMG1の回生制御によるイナーシャトルクの低減量との振り分けは、例えば等分に分けたり、電気エネルギーとして回収する第1モータジェネレータMG1の回生制御を最大限に活用して、足りない分だけエンジン10自身の回転速度低下制御で補ったり、逆に吸気弁74の閉じ制御等のエンジン10自身の回転速度低下制御を最大限に活用し、足りない分だけ第1モータジェネレータMG1の回生制御で補ったりするなど、適宜定められる。その場合に、エンジン回転速度NEが所定の変化パターン(例えば変化率など)で低下するように、応答性に優れた第1モータジェネレータMG1の回生トルクをフィードバック制御したり、学習補正を併用したフィードフォワード制御を行ったりすることもできる。
【0048】
なお、このような急係合発進時には、できるだけ速やかにクラッチC1を係合して車両を発進させることが望まれるため、上記吸気弁74の閉じ制御等のエンジン10自身による回転速度低下制御、および第1モータジェネレータMG1の回生制御を、何れもイナーシャトルクの低減量が最大になるように実施するようにしても良い。その場合は、例えばエンジン回転速度NEや、タービン回転速度NTと車速Vに対応する出力軸46の回転速度Nout との回転速度差ΔNなどを監視して、エンジン回転速度NEが所定値以下になったり回転速度差ΔNが所定値以下になったりした時に、それ等のイナーシャトルクの低減制御を終了するようにすれば良い。
【0049】
このように、シフトレバー88によって駆動切換(N→DまたはN→R)が行われ、動力伝達経路を接続するクラッチC1またはC2が係合させられる際に、エンジン回転速度NEが所定値以上の急係合発進の場合には、ステップS4またはS6で吸気弁74の閉じ制御によりエンジン10自身の回転速度低下制御が行われ、エンジン回転速度NEが強制的に低下させられるため、そのエンジン10の回転速度変化に起因して発生するイナーシャトルクがその分だけ低減され、クラッチC1、C2の係合時の負荷が小さくなって耐久性が向上する。
【0050】
また、吸気弁74は気筒に対する吸気を直接制御するものであるため、例えば吸気配管50に設けられた電子スロットル弁62を閉じ制御してエンジン回転速度NEを低下させる場合に比較して応答性が速く、クラッチC1、C2の係合時の負荷を効果的に軽減することができる。
【0051】
また、吸気弁74の閉じ制御と共にフューエルカットを行ってエンジン10に対する燃料供給を停止するため、エンジン回転速度NEが一層速やかに低下させられるようになって、クラッチC1、C2の係合時の負荷が一層効果的に軽減される。
【0052】
また、ステップS5でエンジン10に直列に接続されている第1モータジェネレータMG1を回生制御し、エンジン10に回転抵抗を付与するようになっているため、エンジン回転速度NEが一層速やかに低下させられるようになって、クラッチC1、C2の係合時の負荷が一層効果的に軽減される。
【0053】
なお、電子制御装置90による一連の信号処理のうち、図10のステップS1、S2、S4、S6を実行する部分は回転速度低下手段として機能しており、ステップS5を実行する部分は回転抵抗付与手段として機能している。
【0054】
次に、本発明の実施例を説明する。
【0055】
図13は、前記電子制御装置90によって実行される信号処理の内容を説明するフローチャートで、図14は、図13のフローチャートに従って信号処理が行われた場合のタイムチャートで、N→Dシフト時のものである。図13は、車両停止時におけるN→DまたはN→Rの駆動切換に伴ってクラッチC1またはC2により動力伝達経路が接続されることにより、エンジン10に負荷が掛かってエンジン回転速度NEが低下する際に、そのエンジン回転速度NEの変化が理想の変化となるようにして、クラッチC1またはC2の係合時のショックをできるだけ防止するためのものである。そして、ステップR1およびR2では、前記ステップS1およびS2と同様にして急係合発進か否かを判断し、急係合発進の場合は例えば図10のステップS3以下を実行し、急係合発進でない場合、すなわち車速Vが略0で且つエンジン回転速度NEが所定値(例えば2500rpm)より低い停車時駆動切換の場合はステップR3以下を実行する。本実施例では、ブレーキ操作の有無に拘らずステップR3以下を実行するようにしているが、ブレーキOFFでそのまま発進する場合はクラッチC1またはC2の係合時のショックがそれ程気にならないため、ブレーキペダルを踏込み操作しているブレーキON時のみステップR3以下を実行するようにしても良い。
【0056】
ステップR3では、エアコンなどの補機類の作動や暖機運転などでエンジン回転速度NEが比較的高いファーストアイドル状態か否かを判断し、ファーストアイドル状態の場合は、エンジン回転速度NEの低下に伴って発生するイナーシャトルクが大きいため、ステップR4で吸気弁74の閉じ制御を先行して実施し、エンジン回転速度NEを強制的に低下させる。ファーストアイドル状態か否かは、例えば通常のアイドル回転速度が600rpm程度で、ファーストアイドル回転速度が900rpm程度の場合、エンジン回転速度NEが800rpm程度以上か否かによって判断できる。本実施例では、運転者のアクセル操作などでエンジン回転速度NEが800rpm以上の場合もステップR4が実行されるが、アクセル操作時はクラッチC1またはC2の係合時のショックがそれ程気にならないため、アクセルを踏込み操作していないアクセルOFFの場合のみステップR3以下が実行されるようにしても良い。
【0057】
図14のエンジン回転速度NEおよび吸気弁74の欄の一点鎖線は、上記ファーストアイドル状態の場合で、N→Dシフトが行われた時間t1 から直ちに吸気弁74の閉じ制御が行われる。この場合の閉じ制御は、例えばエンジン回転速度NEに応じてNEが高い程開き量を小さくするように定められるが、エンジン回転速度NEと関係無く吸気弁74を完全に閉じるようにしたり、予め定められた所定の開度としたりするなど、種々の態様を採用できる。また、前記ステップS4やS6のようにフューエルカットを併用することも可能である。
【0058】
ステップR5ではN→Dシフトか否かを判断し、N→Dシフトの場合はステップR6でPC1コントロールソレノイド122により油圧PC1を調圧してクラッチC1の係合トルクを制御するとともに、ステップR7で、その油圧PC1の制御と協調して吸気弁74をフィードバック制御し、エンジン回転速度NEを変化させる。図14の時間t2 は、油圧制御に対して所定のタイミング、例えばクラッチC1のアキュムレータが作動を始めるタイミングで吸気弁74の制御が開始された時間であり、この時の吸気弁74の制御は、通常の開閉制御を中止するとともに、エンジン回転速度NEが予め定められた理想の変化パターン(変化率など)に従って変化するように、その開度をフィードバック制御するものであるが、学習補正を併用したフィードフォワード制御を採用することもできる。理想の変化パターンは、例えばクラッチC1の係合所要時間などを考慮して係合時のショックができるだけ小さくなるように定められる。なお、ステップR6の油圧PC1の制御についても、エンジン回転速度NEが所定の変化パターン(変化率など)で低下するようにフィードバック制御や学習補正を併用したフィードフォワード制御などが行われる。図14のエンジン回転速度NEおよび吸気弁74の欄の実線は、エンジン回転速度NEが通常のアイドル状態の場合で、上記時間t2 から吸気弁74の協調フィードバック制御が開始されてエンジン回転速度NEが低下させられる。一点鎖線で示すファーストアイドル状態の場合も、クラッチC1のアキュムレータが作動を始める時間t2 からは協調フィードバック制御に切り換えられる。
【0059】
そして、ステップR10では、N→Dシフトが終了したか否か、すなわちクラッチC1が完全に係合したか否かを、例えば停車中はタービン回転速度NTが0になったか否か、走行中はタービン回転速度NTと車速Vに対応する出力軸46の回転速度Nout との比(NT/Nout)が第1変速段「1st」の変速比と略一致するか否かなどによって判断し、N→Dシフトが終了するまでステップR5以下を繰り返す。図14の時間t3 はN→Dシフトが終了した時間で、エンジン回転速度NEは例えば500rpm程度になる。
【0060】
一方、シフトレバー88が「N」ポジションから「R」ポジションへ切換操作されたN→Rシフトの場合は、ステップR5に続いてステップR8を実行し、PC2コントロールソレノイド124により油圧PC2を調圧してクラッチC2の係合トルクを制御するとともに、ステップR9で、その油圧PC2の制御と協調して吸気弁74をフィードバック制御し、エンジン回転速度NEを変化させる。この時の吸気弁74の制御は、通常の開閉制御を中止するとともに、エンジン回転速度NEが予め定められた理想の変化パターン(変化率など)に従って変化するように、その開度をフィードバック制御するものであるが、学習補正を併用したフィードフォワード制御を採用することもできる。理想の変化パターンは、例えばクラッチC2の係合所要時間などを考慮して係合時のショックができるだけ小さくなるように定められる。なお、ステップR8の油圧PC2の制御についても、エンジン回転速度NEが所定の変化パターン(変化率など)で低下するようにフィードバック制御や学習補正を併用したフィードフォワード制御などが行われる。
【0061】
また、ステップR10では、N→Rシフトが終了したか否か、すなわちクラッチC2が完全に係合したか否かを、停車中はタービン回転速度NTが0になったか否か、走行中はタービン回転速度NTと車速Vに対応する出力軸46の回転速度Nout との比(NT/Nout)が後進変速段「Rev」の変速比と略一致するか否かなどによって判断し、N→Rシフトが終了するまでステップR5以下を繰り返す。
【0062】
本実施例では、車両停止状態でシフトレバー88によって駆動切換(N→DまたはN→R)が行われ、動力伝達経路を接続するクラッチC1またはC2が係合させられる際に、エンジン10の吸気弁74を協調フィードバック制御してエンジン回転速度NEを予め定められた理想の変化パターンに従って変化させるため、クラッチC1またはC2の係合時のショックが抑制される。
【0063】
また、吸気弁74は気筒に対する吸気を直接制御するものであるため、例えば吸気配管50に設けられた電子スロットル弁62を制御してエンジン回転速度NEを変化させる場合に比較して応答性が速く、ショックを一層効果的に低減することができる。
【0064】
また、本実施例では駆動切換時のエンジン回転速度NEが所定値(例えば800rpm)以上のファーストアイドルの場合には、吸気弁74の閉じ制御を先行実施してエンジン回転速度NEを低下させた後、クラッチC1またはC2の油圧制御と協調して吸気弁74をフィードバック制御する協調フィードバック制御を行う一方、エンジン回転速度NEが所定値以下の通常のアイドル状態の場合は、先行閉じ制御を行うことなく協調フィードバック制御のみを行うようになっているため、クラッチC1またはC2の係合時のショックを初期のエンジン回転速度NEに応じて一層効果的に抑制できる。
【0065】
なお、電子制御装置90による一連の信号処理のうち、図13のステップR1〜R5、R7、R9を実行する部分が回転速度制御手段として機能している。
【0066】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これ等はあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用された車両用動力伝達装置を説明する骨子図である。
【図2】図1の自動変速機における、複数の油圧式摩擦係合装置の作動の組合わせとそれにより成立する変速段との関係を示す図である。
【図3】図1の車両用動力伝達装置の概略構成図である。
【図4】図1のエンジンの各気筒に設けられた可変動弁機構を説明する図である。
【図5】図4の可変動弁機構に設けられて吸気弁或いは排気弁を所望のタイミングで開閉作動させる電磁アクチュエータの構成を説明する図である。
【図6】図1の車両用動力伝達装置が備えている制御系統の要部を説明するブロック線図である。
【図7】図1の車両用動力伝達装置におけるエンジンのスロットル弁開度とアクセル操作量との関係を示す図である。
【図8】図1の車両用動力伝達装置における自動変速機の変速条件の一例を説明する図である。
【図9】図1の車両用動力伝達装置が備えているシフトレバーのシフトパターン、およびそのシフトレバー操作で選択できる変速レンジを説明する図である。
【図10】図6の電子制御装置(ECU)によって実行される急係合発進時のエンジン回転速度低下制御を説明するフローチャートである。
【図11】N→Dシフトによる急係合発進時に図10のフローチャートに従ってエンジン回転速度低下制御が行われた場合の各部の作動状態の変化を示すタイムチャートの一例である。
【図12】図10のエンジン回転速度低下制御によって減少させるイナーシャトルクの低減量をエンジン回転速度NEに応じて設定する場合のマップの一例である。
【図13】図6の電子制御装置(ECU)によって実行される駆動切換時のエンジン回転速度制御を説明するフローチャートである。
【図14】車両停止状態でのN→Dシフト時に図13のフローチャートに従ってエンジン回転速度制御が行われた場合の各部の作動状態の変化を示すタイムチャートの一例である。
【符号の説明】
10:エンジン 16:自動変速機 74:吸気弁(電動開閉弁) 75:排気弁(電動開閉弁) 81:弁駆動制御装置 88:シフトレバー(選択操作手段) 90:電子制御装置 C1、C2:クラッチ(断続装置)
ステップR1、R2、R3、R4、R5、R7、R9:回転速度制御手段
Claims (2)
- 吸気弁および排気弁の少なくとも一方が電気的に開閉制御可能な電動開閉弁で、該電動開閉弁により自身の回転速度を制御できる走行用のエンジンと、
該エンジンと駆動輪との間の動力伝達経路を遮断する非駆動状態と、該動力伝達経路を接続する駆動状態とを選択する選択操作手段と、
該選択操作手段の操作に従って前記動力伝達経路を接続、遮断する断続装置と、
を有し、前記選択操作手段によって前記非駆動状態から前記駆動状態へ変更する駆動切換が行われた時に、前記断続装置によって前記動力伝達経路が接続されることにより前記エンジンの負荷が変化して該エンジンの回転速度が低下する車両において、
前記駆動切換が行われた時に、前記エンジンの負荷が変化することに伴って該エンジンの回転速度が低下するに際し、該エンジンの回転速度が、該回転速度の変化に起因して発生するショックが抑制されるように予め定められた変化パターンに従って低下するように、前記電動開閉弁の開度をフィードバック制御し、または学習制御を併用したフィードフォワード制御を行う回転速度制御手段を設けた
ことを特徴とする車両のエンジン制御装置。 - 前記回転速度制御手段は、前記駆動切換時における前記エンジンの回転速度が所定値よりも高いと判断されたときには、前記断続装置による前記動力伝達経路の接続開始に先行して前記電動開閉弁の制御を開始する
ことを特徴とする請求項1に記載の車両のエンジン制御装置。
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