JP4042259B2 - パイル織機におけるタックイン装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、緯入れされた緯糸の先端部を経糸開口内へ折り返して織布の耳部を形成するタックイン装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種のタックイン装置を用いた織機では、緯入れされた緯糸の先端部を緩みなく経糸開口内へ折り返すことが良好な耳部を形成する上で重要である。実開平3−55868号公報に開示されるタックイン装置を用いたパイル織機では、緯入れされた緯糸の先端部がニードルによって経糸開口内へ引き入れられるようになっているが、ルーズピック緯糸の先端部を緩みなく経糸開口内へ折り返すためには耳部形成用の複数本の経糸に擦り付けながら緯糸先端部を経糸開口内へ引き入れる必要がある。そのため、実開平3−55868号公報のタックイン装置では、開閉口する耳部形成用経糸を耳糸ガイドで案内するようにしている。耳糸ガイドは前記耳部形成用経糸を織布の織前に至る手前で上下から挟み込むように案内しており、筬打ちポイントから織前を遠ざけてルーズピック緯糸の筬打ちを行なう際には織前の直前では前記耳部形成用経糸の開口角が耳糸ガイドによって閉口に近い状態に規制される。耳糸ガイドによるこのような耳部形成用経糸のガイド状態は、耳部形成用の経糸に擦り付けながらルーズピック緯糸の折り返された先端部を経糸開口内へ引き入れるための有効な手段である。又、ルーズピック緯糸の折り返された先端部がニードルの引き入れ作用から解放された後も耳部形成用の複数本の経糸による挟み付け作用をルーズピック緯糸の折り返された先端部に付与することが緯糸先端部の緩みを防止する上で重要である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
織布端かつ織前上から折り返されているルーズピック緯糸の先端部の緩みを防止するためには、織前にできるだけ近い所まで前記耳部形成用経糸に耳糸ガイドのガイド作用を付与することが望ましい。緯糸の緯入れを案内する緯入れ通路を備えた変形筬を用いた織機では、筬打ち時点では織前と前記緯入れ通路の奥底とが当接する。しかし、平板形状の耳糸ガイドは、耳糸ガイドの平板面が織前と平行かつ織布面と直交するように配設されている。そのため、変形筬との干渉を避けるために耳糸ガイドを織前近傍に配置することができず、経糸開口内へ折り返されたルーズピック緯糸の先端部の緩みを防止する効果が十分とは言えない。
【0004】
特開平8−60494号公報の装置では、織布の織前付近を下支えする作業台と押さえ具とが折り返された緯糸先端部を把持するようになっている。作業台及び押さえ具は変形筬の緯入れ通路内へ入り込み可能にしてあるが、作業台の薄肉化には機能上の制約があるために変形筬の緯入れ通路の一部を拡幅する対策が施されている。この拡幅は変形筬の両端部でのみ行われるが、織布の織幅の変更に合わせて変形筬をその都度交換しなければならないという不都合がある。
【0005】
本発明は、変形筬の形状変更といった余分な対策を図ることなく折り返された緯糸先端部の緩みを効果的に防止できるタックイン装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、変形筬の緯入れ通路に沿って前記緯糸を緯入れすると共に、前記織布の織前を変位させてパイルを形成するパイル織機を対象とし、請求項1の発明では、前記織布の厚み方向の両側から耳部形成用経糸を規制する位置規制部を有する耳糸規制体を前記織布を下支えするフェルサポートとは別に備え、前記位置規制部を前記変形筬の緯入れ通路内へ挿入可能な大きさに設定したタックイン装置を構成し、製織時の前記耳部形成用経糸の移動経路、かつ筬打ち時点における前記変形筬の緯入れ通路内へ入り込む位置に前記位置規制部を不動配置した。
【0007】
織布の織前が筬打ち位置から織布側へ離間するルーズピック緯糸の筬打ち時においても位置規制部が変形筬の緯入れ通路内に入り込んでいる。従って、織前付近における耳部形成用経糸の開口状態が閉口に近い状態に規制され、ルーズピック緯糸の筬打ち後に経糸開口内へ折り返される緯糸先端部の緩みが防止される。又、位置規制部は、耳部形成用経糸に対応する位置にのみ配置されており、織布を下支えするだけの強度が必要とされず、変形筬の緯入れ通路の拡幅化を要さない程度の大きさに形成することができる。
【0008】
請求項2の発明では、請求項1において、前記位置規制部は、前記耳部形成用経糸を包囲するように板を湾曲した形状に形成した。
板形状は、形成容易性の上で位置規制部の形状として好適である。
【0009】
請求項3の発明では、請求項2において、製織時の前記織布の移動方向の前記位置規制部の規制幅は前記板の厚みよりも大きくした。
位置規制部の規制幅を前記板の厚みよりも大きくした構成は、位置規制部の強度を確保しながら緯入れ通路内への位置規制部の挿入深さを大きくする上で有効である。
【0010】
請求項4の発明では、請求項2及び請求項3のいずれか1項において、前記位置規制部と、前記変形筬と対向して前記位置規制部を一体的に片持ち支持する支持板部とを備えた前記耳糸規制体を構成し、前記支持板部に直接連なる第1の規制板部と、前記第1の規制板部に対向する第2の規制板部と、前記第1の規制板部と前記第2の規制板部とを結合する湾曲した結合板部とを備えた前記位置規制部を構成した。
【0011】
片持ち支持形状は、耳糸規制体の強度確保の容易性及び形成容易性の上で耳糸規制体の形状として好適である。
請求項5の発明では、請求項4において、前記第2の規制板部の先端縁は、凸曲線形状とした。
【0012】
第2の規制板部の先端縁の凸曲線形状は、形成されたパイルを損傷しないようにする上で有効である。
請求項6の発明では、請求項4において、前記結合板部とは反対側に傾斜案内縁を備えた前記第1の規制板部を構成し、前記傾斜案内縁は前記第1の規制板部の側縁に鈍角に繋げた。
【0013】
開閉口する経糸は傾斜案内縁と接触するが、傾斜案内縁の傾斜形状は、接触する経糸を損傷しないようにする上で有効である。
請求項7の発明では、請求項4において、前記支持板部は第1の規制板部に略直角に繋げてあり、前記支持板部の内側端には逃がし傾斜縁を形成した。
【0014】
逃し傾斜縁は、耳糸規制体の強度を確保すると共に、形成されたパイルを損傷しないようにする上で有効である。
請求項8の発明では、請求項7において、前記支持板部は、前記第1の規制板部に略直角に繋がる垂下部と、前記垂下部に略直角に繋がる水平部とからなり、前記水平部の下面には高さ位置調整用の調整斜面を形成し、前記水平部は、前記調整斜面と逆斜面の調整斜面を備えた調整台座上に前記一対の調整斜面を接合して取り付けられるようにした。
【0015】
調整台座の位置を調整斜面の傾斜方向にずらすことにより水平部の高さが変わる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した第1の実施の形態を図1〜図11に基づいて説明する。
【0017】
図11はパイル織機全体の側面を示し、11は地織り用ワープビームである。地織り用ワープビーム11は送り出しモータMgにより回転駆動される。送り出しモータMgの作動により地織り用ワープビーム11から送り出される地経糸Tgはバックローラ12及び張力検出ローラ13を経由して綜絖14及び変形筬15を通される。織布Wはエキスパンションバー16、サーフェスローラ17及びガイドローラ18,19を経由してクロスローラ20に巻き取られる。
【0018】
地経糸Tgの張力は張力検出ローラ13を介して張力検出器131により検出される。送り出しモータMgは送り出し制御装置C1の制御を受ける。送り出し制御装置C1は、予め設定された設定張力、緯入れ回数から把握される地織り用ワープビーム11の巻き径及び張力検出器131から得られる張力検出情報に基づいて送り出しモータMgの送り出し速度を制御する。
【0019】
地織り用ワープビーム11の上方のパイル用ワープビーム21は送り出しモータMpにより回転駆動される。送り出しモータMpの作動によりパイル用ワープビーム21から送り出されるパイル用経糸Tpは、張力検出ローラ22、張力変動吸収バー23及びテリーモーションローラ24に沿った経路を経由して綜絖14及び変形筬15に通される。パイル用経糸Tpの張力は張力検出ローラ22を介して張力検出器221により検出される。送り出しモータMpは送り出し制御装置C2の制御を受ける。送り出し制御装置C2は、予め設定された設定張力、緯入れ回数から把握されるパイル用ワープビーム21の巻き径及び張力検出器221から得られる張力検出情報に基づいて送り出しモータMpの送り出し速度を制御する。
【0020】
織機の前後中央部の中間レバー25が回動すると支持レバー28及び支持レバー26が同一方向へ回動し、エキスパンションバー16及びテリーモーションローラ24が同一方向へ変位する。エキスパンションバー16の変位により織布Wの経路が変位し、織布Wの織前W1が変位する。テリーモーションローラ24の変位によりパイル用経糸Tpの経路が変位する。
【0021】
織布Wの織前W1付近は、織布Wの織幅全体にわたってフェルサポート65により下支えされている。フェルサポート65は、エキスパンションバー16の変位に連動して織前W1と一体的に変位する。
【0022】
中間レバー25の上方にはテリーモーションモータ30が配設されている。テリーモーションモータ30はテリーモーション制御装置C3の制御を受ける。方向転換レバー31はテリーモーションモータ30の往復回転によって往復揺動する。方向転換レバー31の往復揺動変位は、ロッド32、中間レバー25及び支持レバー28を介してエキスパンションバー16に伝達される。この変位伝達によりエキスパンションバー16が揺動変位する。方向転換レバー31が図11に実線で示す位置にあるときには、エキスパンションバー16は図11に実線で示す位置に配置され、織布Wの織前W1は実線で示すように変形筬15の筬打ち位置となるテリー量零位置にある。方向転換レバー31が図11に鎖線で示す位置にあるときには、エキスパンションバー16は図11に鎖線で示す位置に配置され、織布Wの織前W1は鎖線で示すように変形筬15の筬打ち位置から織布W側に離間したテリー量有り位置にある。パイル形成時において織前W1がテリー量零位置に配置されたときの筬打ちはファーストピック緯糸の筬打ちと言い、パイル形成時において織前W1がテリー量有り位置に配置されたときの筬打ちはルーズピック緯糸の筬打ちと言う。
【0023】
変形筬15、サーフェスローラ17は織機駆動モータMoから駆動力を得ており、織機駆動モータMoは織機制御コンピュータCoの制御を受ける。織機制御コンピュータCoには織り柄設定装置33が信号接続されている。織り柄設定装置33には織り柄情報が入力装置34によって入力されている。織り柄設定装置33は織り柄情報を織機制御コンピュータCoに送る。織機制御コンピュータCoは織り柄情報をテリーモーション制御装置C3及び送り出し制御装置C2に送る。テリーモーション制御装置C3は、織機回転角度検出用のロータリエンコーダ29から得られる回転角度情報、及び織機制御コンピュータCoから得た織り柄情報に基づいてテリーモーションモータ30の作動を制御する。
【0024】
図11、図1及び図2に示す40はタックイン装置を示す。41はカム機構を内蔵するカムボックスであり、カムボックス41には軸42及び中空軸43が織布Wの移動方向へ往復動可能に延出支持されている。中空軸43にはニードル軸44が挿通されており、カムボックス41内のカム機構によって往復回動可能である。中空軸43から延出するニードル軸44の先端にはニードル45が取付られており、ニードル軸44の回動動作によってニードル45の先端部が上側の経糸Tを掻き分けて経糸開口内に進入する。
【0025】
軸42及び中空軸43の先端部間には取り付け基体46が架設固定されており、取り付け基体46の垂下部461には保持ブロック47が締付固定されている。保持ブロック47の下部前面には一対のノズル台48,49が上下に並んで突設されている。図5に示すように上側ノズル台48の下面には糸通しノズル481が設けられているとともに、下側ノズル台49には導入孔491が糸通しノズル481と対向して貫設されている。又、下側ノズル台49の上面には糸把持ノズル492が設けられているとともに、上側ノズル台48には導入孔482が糸把持ノズル492と対向して貫設されている。
【0026】
図1に示すように、取り付け基体46の中空軸43側における上部には位置決めブラケット50が締付固定されており、位置決めブラケット50の先端部にはストッパボルト51が螺着されている。ストッパボルト51はニードル軸44にニードル45を締付固定するボルト52と当接関係にあり、この当接関係によってニードル45先端の糸通し孔451が糸通しノズル481と導入孔491との間に位置決めされる。
【0027】
保持ブロック47の下部側面には一対の刃体53A,53Bが支軸54に回動可能に支持されており、両刃体53A,53Bの後部に突設されたガイドピン531,532がカムボックス41下面に垂下支持されたガイド体55のガイド溝551,552に嵌入されている。両刃体53A,53Bは軸42及び中空軸43と一体的に前後動し、ガイド溝551,552とガイドピン531,532とのガイド作用によって両刃体53A,53Bが開閉切断動作を行う。緯入れされた緯糸Yはこの開閉切断動作によって切断される。
【0028】
カムボックス41の側面には機械式ロータリバルブ機構56が取り付けられている。ロータリバルブ機構56はカムボックス41内の駆動機構によって駆動されるようになっている。糸通しノズル481及び糸把持ノズル492はチューブ57,58を介してロータリバルブ機構56に接続されており、ロータリバルブ機構56の駆動によって糸通しノズル481及び糸把持ノズル492におけるエア噴射が制御される。
【0029】
図2及び図3に示すように、カムボックス41の下面には取り付けブロック27が止着されている。図4に示すように、取り付けブロック27の側面には取り付け溝271が形成されており、取り付け溝271にはブラケット34が嵌め込まれている。ブラケット34はねじ35により締め付け固定されている。ねじ35はブラケット34の長孔341を通して取り付けブロック27に螺着されており、ブラケット34は取り付け溝271に沿って取り付け位置調整可能である。
【0030】
ブラケット34上には調整台座36が載置されており、調整台座36上には耳糸規制体37が載置されている。図3に示すように、ねじ38は調整台座36の長孔361を通してブラケット34に螺着されており、調整台座36及び耳糸規制体37はねじ38によりブラケット34に共締め固定されている。調整台座36はブラケット34の長手方向に取り付け位置調整可能である。調整台座36の上面は調整斜面362に形成されている。
【0031】
板を折曲して一体形成されている耳糸規制体37は、水平部39と、水平部39に略直角に接続する垂下部59と、垂下部59の下端に片持ち支持された位置規制部60とからなる。水平部39及び垂下部59からなる支持板部は、変形筬15と対向している。水平部39の下面には調整斜面391が形成されている。調整斜面391は調整斜面362と逆斜面になっており、水平部39は調整斜面391と調整斜面362との接合を介して調整台座36上に載置されている。位置規制部60は、垂下部59に直接連なる第1の規制板部61と、第1の規制板部61に対向する第2の規制板部62と、第1の規制板部61と第2の規制板部62とを結合する湾曲した結合板部63とからなる。位置規制部60は、耳部形成用経糸T1を包囲するように板を湾曲した形状に形成してある。図3に示すように、製織時の織布Wの移動方向の位置規制部60の規制幅Hは前記板の厚みdよりも大きくしてある。
【0032】
図4及び図6に示すように、第2の規制板部62の先端縁621は円弧形状の凸曲線形状となっている。第1の規制板部61には傾斜案内縁611が結合板部63とは反対側に形成されている。傾斜案内縁611は第1の規制板部61の側縁612に鈍角に繋がっている。水平部39と共に支持板部を構成する垂下部59は第1の規制板部61に略直角に繋がっており、垂下部59の内側端には逃がし傾斜縁591が形成されている。
【0033】
図1及び図3は織前W1がテリー量零位置に配置されている状態を表し、図4〜図10は織前W1がテリー量有り位置に配置されている状態を表す。図5及び図6は変形筬15による筬打ち後の緯糸Yの切断時点を示し、図7及び図8に示すように切断後の緯糸先端部Y1は糸把持ノズル492の噴射作用によって導入孔482に吹き入れられる。筬打ち後の変形筬15の後退中にニードル45の先端部が経糸Tを掻き分けて経糸開口内へ進入する。そして、ニードル45の先端部が上下両ノズル台48,49間に入り込み、図9及び図10に示すように、糸通し孔451が糸通しノズル481と導入孔491との間へ配置される。この配置と略同時に糸把持ノズル492の噴射が停止すると共に、糸通しノズル481が噴射し、この噴射作用によって緯糸先端部Y1が糸通し孔451に吹き入れられる。緯糸先端部Y1が糸通し孔451に吹き入れられた時点は変形筬15が最後退位置付近にあるときである。その後、ニードル45の先端部が経糸開口内から抜け出て緯糸先端部Y1が経糸開口内へ折り返され、経糸開口内へ折り返された緯糸先端部Y1が次のファーストピック緯糸の筬打ちによって織前W1上に打ちこまれる。このようにして形成される耳部Weの移動経路上には位置規制部60が配置されている。図3に示すように、織布Wの厚み方向に耳部形成用経糸T1を規制する位置規制部60は、変形筬15の緯入れ通路151内へ挿入可能な大きさに設定してあり、かつ筬打ち時点における変形筬15の緯入れ通路151内へ入り込む位置に配置されている。
【0034】
第1の実施の形態では以下の効果が得られる。
(1-1)ファーストピック緯糸の筬打ち時及びルーズピック緯糸の筬打ち時のいずれにおいても、不動配置された耳糸規制体37の位置規制部60は変形筬15の緯入れ通路151内に入り込んでいる。即ち、織前W1がテリー量有り位置に配置されているときには耳部Weを形成する耳部形成用経糸T1の開口が図5〜図10に示すように織前W1付近で位置規制部60によって閉口に近い状態に規制される。緯糸先端部Y1を通されたニードル45の先端部は、織前W1付近において閉口に近い開口状態に規制された耳部形成用経糸T1に上下から挟まれながら経糸開口内から抜け出る。従って、経糸開口内へ折り返される緯糸先端部Y1は耳部形成用経糸T1に擦り付けられながら経糸開口内へ引き入れられ、ルーズピック緯糸の筬打ち後に経糸開口内へ折り返される緯糸先端部Y1の緩みが防止される。
【0035】
(1-2)位置規制部60は、耳部形成用経糸Y1を包囲するように板を湾曲した形状に形成されている。このように湾曲した板形状は、緯入れ通路151内へ挿入可能な位置規制部60の形成容易性の上で好適である。
【0036】
(1-3)位置規制部60は、変形筬15と干渉しないように緯入れ通路151内へできるだけ奥深く挿入できるのがよい。位置規制部60の規制幅Hを前記板の厚みdよりも大きくした構成は、位置規制部60の強度を確保しながら緯入れ通路151内への位置規制部60の挿入深さを大きくする上で有効である。
【0037】
(1-4)水平部39及び垂下部59からなる支持板部によって位置規制部60を一体的に片持ち支持する形状は、耳糸規制体の強度確保の容易性及び形成容易性の上で耳糸規制体37の形状として好適である。又、耳糸規制体37の配置位置は、変形筬15との干渉の心配をすることなく織布の織幅変更に応じて織布Wの織幅方向に任意に変更できる。
【0038】
(1-5)織前W1がテリー量零位置にあるときには第2の規制板部62が織布W面下にあり、織前W1がテリー量有位置にあるときには第2の規制板部62が耳部形成用経糸T1下にある。従って、織前W1がテリー量零位置とテリー量有位置との間で切り換え配置されるときに第2の規制板部62が織布W下面のパイルに摺接する。第2の規制板部62が織布W下面のパイルを引っ掛けるとパイルが損傷する。第2の規制板部62の先端縁621の円弧形状は、形成されたパイルを損傷しないようにする上で有効である。
【0039】
(1-6)第1の規制板部61の側縁612に鈍角に繋げられた傾斜案内縁611には開閉口する経糸が接触する。傾斜案内縁611がないとすると経糸が第1の規制板部61の角から急に外れて跳ね、経糸が損傷しやすい。傾斜案内縁611の傾斜形状は接触する経糸を損傷しないようにする上で有効である。
【0040】
(1-7)支持板部を構成する垂下部59の幅は大きいほど耳糸規制体37の強度を高める。垂下部59の幅を大きくすると垂下部59の下端と織布W上面のパイルとが接触する。垂下部59の下端に形成された逃し傾斜縁591は、形成されたパイルを損傷しないようにする上で有効である。
【0041】
(1-8)位置規制部60の高さ位置は、位置規制部60によって規制される耳部形成用経糸T1の規制高さを左右する。耳部形成用経糸T1の規制高さは、ニードル45によって経糸開口内へ引きこまれる緯糸先端部Y1と耳部形成用経糸T1との擦れ具合に影響を与える。即ち、耳部形成用経糸T1の規制高さは経糸開口内へ折り返される緯糸先端部Y1の緩み防止に影響を与える。従って、耳部形成用経糸T1の規制高さは適正に設定しなければならない。位置規制部60は、調整台座36の位置を調整斜面362の傾斜方向にずらすことにより容易に、かつ細かく変更でき、耳部形成用経糸T1の規制高さを適正に設定することができる。
【0042】
本発明では、図12及び図13に示す第2の実施の形態も可能である。第1の実施の形態と同じ構成部には同じ符号が付してある。耳糸規制体64は断面円形の線状体を折り曲げて形成されている。位置規制部641は緯入れ通路151へ挿入可能である。断面円形の線状体は糸との接触の上で糸を損傷させないようにする上で有効である。
【0043】
又、本発明では、位置規制部とそれ以外の耳糸規制体の部分とを別体としたり、位置規制部を織布の端部の側方から支持したりしてもよい。
【0044】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明では、変形筬の緯入れ通路内へ挿入可能、かつ織布の厚み方向の両側から耳部形成用経糸を規制する位置規制部を備えた耳糸規制体を構成し、製織時の耳部形成用経糸の移動経路、かつ筬打ち時点における前記緯入れ通路内へ入り込む位置に前記位置規制部を配置したので、変形筬の形状変更といった余分な対策を図ることなく折り返された緯糸先端部の緩みを効果的に防止し得るという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態を示し、タックイン装置の主要部を示す斜視図。
【図2】タックイン装置の駆動部を示す斜視図。
【図3】耳糸規制体の取り付け状態を示す一部破断側面図。
【図4】要部拡大斜視図。
【図5】図3のA−A線断面図。
【図6】緯糸切断状態を示す平断面図。
【図7】緯糸把持状態を示す縦断面図。
【図8】緯糸把持状態を示す平断面図。
【図9】糸通し状態を示す縦断面図。
【図10】糸通し状態を示す平断面図。
【図11】織機全体の側面図。
【図12】第2の実施の形態を示す要部斜視図。
【図13】要部側断面図。
【符号の説明】
15…変形筬。151…緯入れ通路。36…調整台座。362…調整斜面。37…耳糸規制体。39…支持板部を構成する水平部。391…調整斜面。40…タックイン装置。59…支持板部を構成する垂下部。591…逃がし傾斜縁。60…位置規制部。61…第1の規制板部。611…傾斜案内縁。62…第2の規制板部。621…先端縁。63…結合板部。Y…緯糸。Y1…緯糸先端部。W…織布。W1…織前。We…耳部。T1…耳部形成用経糸。
Claims (8)
- 緯入れされた緯糸の先端部を経糸開口内へ折り返して織布の耳部を形成するタックイン装置を備え、変形筬の緯入れ通路に沿って前記緯糸を緯入れすると共に、前記織布の織前を変位させてパイルを形成するパイル織機において、
前記織布の厚み方向の両側から耳部形成用経糸を規制する位置規制部を有する耳糸規制体を前記織布を下支えするフェルサポートとは別に備え、前記位置規制部は前記変形筬の緯入れ通路内へ挿入可能な大きさに設定してあり、製織時の前記耳部形成用経糸の移動経路、かつ筬打ち時点における前記変形筬の緯入れ通路内へ入り込む位置に前記位置規制部を不動配置したパイル織機におけるタックイン装置。 - 前記位置規制部は、前記耳部形成用経糸を包囲するように板を湾曲した形状に形成されている請求項1に記載のパイル織機におけるタックイン装置。
- 製織時の前記織布の移動方向の前記位置規制部の規制幅は前記板の厚みよりも大きくしてある請求項2に記載のパイル織機におけるタックイン装置。
- 前記耳糸規制体は、前記位置規制部と、前記変形筬と対向して前記位置規制部を一体的に片持ち支持する支持板部とを備えており、前記位置規制部は、前記支持板部に直接連なる第1の規制板部と、前記第1の規制板部に対向する第2の規制板部と、前記第1の規制板部と前記第2の規制板部とを結合する湾曲した結合板部とを備えている請求項2及び請求項3のいずれか1項に記載のパイル織機におけるタックイン装置。
- 前記第2の規制板部の先端縁は、凸曲線形状となっている請求項4に記載のパイル織機におけるタックイン装置。
- 前記第1の規制板部は、前記結合板部とは反対側に傾斜案内縁を備え、前記傾斜案内縁は前記第1の規制板部の側縁に鈍角に繋がっている請求項4に記載のパイル織機におけるタックイン装置。
- 前記支持板部は第1の規制板部に略直角に繋がっており、前記支持板部の内側端には逃がし傾斜縁が形成されている請求項4に記載のパイル織機におけるタックイン装置。
- 前記支持板部は、前記第1の規制板部に略直角に繋がる垂下部と、前記垂下部に略直角に繋がる水平部とからなり、前記水平部の下面には高さ位置調整用の調整斜面が形成されており、前記水平部は、前記調整斜面と逆斜面の調整斜面を備えた調整台座上に前記一対の調整斜面を接合して取り付けられる請求項7に記載のパイル織機におけるタックイン装置。
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