JP4042076B2 - 車両用ドアロック構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばはね上げ式バックドアの衝突時におけるロック解除を防止する車輌用ドアロック構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
図5は、自動車の後部に配設されているバックドア1を側部から見た断面図であり、図6は、バックドア1のロック機構2を車室内方向から見た図であり、図中の矢印Fは車体の前側を示す。
バックドア1のロック解除方法は、バックドア1の外側面に取付けている、ドアハンドル部(把手)21により行われ、ドアハンドル14を引くと、連結ロッド5が下方に押し下げられ、ロックレバー6が図6に示すアンロック方向に揺動し、ラッチ装置7のラッチ8がストライカー9の軸部への係止を解除する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来のはね上げ式バックドア1は、衝突時に後方からの作用力が加わったとき、バックドア1のロックが解除し、バックドア1が反動で開いてしまうおそれがあった。これは、後方からの外力の作用により、テールメンバ10が上方に押し上げられると、ロック機構2のラッチ装置7全体が押し上げられ、これが上記したハンドル操作でバックドア1のロックを解除するのと同じ結果になるからである。また、後方からの衝突の反動でドアハンドル14が、ロック解除の方向に変形することにより、ドアロックが解除し、バックドア1が開いてしまうこともある。これにより、後部の荷台などに置いてある荷物が車外に投げ出されてしまうおそれがある。
本発明は上記課題に鑑みてなされたもので、自動車の衝突時にドアロックの解除を防止する車輌用ドアロック構造を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を効果的に達成するために本発明の車両用ドアロック構造は、バックドアの下部の内部に配設され、バックドアの閉状態を維持するロック装置と、一端がバックドアのドアハンドルに接続された連結ロッドと、上記ロック装置及び上記連結ロッド間に接続され、連結ロッドの上下運動を回動運動に変えるとともに、該連結ロッドの作動を受けてアンロック方向に車両前後方向を軸として回動し上記ロック装置のドアロックを解除するロックレバーとを備えた車両用バックドアのドアロック構造において、上記ロックレバーは、上記ロック装置の取付金具に設けた車両前後方向に延在する固定軸に軸支されるとともに、該固定軸に対して垂直で上記固定軸から放射状に延びる方向に突出形成された指状レバーを有し、上記ロックレバーの揺動を規制する板金製のストッパ部材が、上記ロックレバーに対して車両後方側で、上記ロックレバーと上記バックドアの車両後方側となるアウタパネルとの間に、板金平面を上記固定軸に対して略垂直に配設され、上記ストッパ部材は、その上端部を車両前方側に曲げることにより上記ロックレバー側に突出する爪部を有するとともにその下端部が上記取付金具に固定されており、上記爪部は、バックドアがロック状態での上記ロックレバーの位置より僅かにアンロック方向側に対応する位置で、その先端部が上記ロックレバーの回転と干渉しないように、車両前後方向で上記ロックレバーと僅かに隙間を開けた後方側に配置され、ドアが変形するような衝撃を外部から受けた場合に、上記バックドアの上記アウタパネルが車体の前方側に変形すると、上記ストッパ部材が上記アウタパネルに押され、上記ストッパ部材が前方に変形し、その上端部に形成されている上記爪部が、上記ロックレバーの上記指状レバーの間に上記固定軸の軸方向から入り込むことで、該ストッパ部材の端面部分が、上記ロックレバーの回動方向に対して略垂直に交差しながら上記指状レバーと当接し、上記バックドアの変形の際に、上記ロックレバーの回転を止めるように構成している。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態による車両用ドアロック構造について、図面を参照しながら説明する。なお、従来と同じ部分については、同一の符号を付して説明する。
図1は、ワンボックスタイプの自動車11を示し、自動車11の後部には、そのルーフの後端部12を軸として、上下に開閉するバックドア1が取付けられている。バックドア1に装着したウインドガラス13の下部には、バックドア1のドアロックを解除するためのドアハンドル部21を設けている。
【0006】
図2に示すように、ドアハンドル部21は、カバー3とハンドル14とにより構成されている。ドアハンドル14の他端側は、バックドア1のアウタパネル15を貫通して車内側に突出し、先端部に連結ロッド5の上端部が軸支されている。連結ロッド5は、レバー14の先端部が上下に揺動することにより上下動する。連結ロッド5の下端部はバックドア1の下部まで延在し、図3に示すように、ロックレバー6の三方に分岐されたうちの一つの指状レバー6aの端部に取付けられている。ロックレバー6は、ロック装置であるラッチ装置7の取付金具16に設けた固定軸17に軸支され、連結ロッド5の上下運動を回転(揺動)運動に変える。
【0007】
取付金具16には、該取付金具16の固定軸17と共に、ロックレバー6の揺動を規制する部材となる金属製のストッパ部材18が固定されている。図2に示すように、ストッパ部材18は、ロックレバー6の車体に対して後ろ側、すなわちロックレバー6とバックドア1のアウタパネル15との間に配設されている。ストッパ部材18は、上端部に設けた爪19がロックレバー6側に曲折され、その先端部はロックレバー6と干渉しないように、ロックレバー6と僅かに隙間を開けている。
図3に示すように、ストッパ部材18の爪19は、バックドア1がロック状態で、ロックレバー6の中央の指状レバー6bの位置より、僅かにアンロック方向側、すなわち指状レバー6aと6bとで構成される股部に対応する位置に配置されている。
【0008】
ロック機構2は、ラッチ装置7とストライカー9等から成り、ラッチ装置7はバックドア1の下部に固定され、軸状のストライカー9は車体側後部のテールメンバー10に設けられ、ベース板20から立設されている。ラッチ装置7は、バックドア1が開状態から閉じられるときに、ラッチ8がストライカー9に当接し、かつストライカー9に噛合する構造になっている。なお、ラッチ装置7の構成部品については、一部を省略している。
【0009】
次に、本実施の形態の車両用ドアロック構造の作用について説明する。
図2に示すように、ドアハンドル14の先端部が、実線に示すように上側にあるときは、連結ロッド5も上方位置にある。このときバックドア1は、ラッチ装置7のラッチ8がストライカー9の軸を噛合し、ロック状態にある。
ドアハンドル14が車体の後方側に引かれると、ドアハンドル14の先端部が、想像線のように下方に下がり、連結ロッド5も下方位置になり、ロックレバー6が図3に示すアンロック方向に回転する。この際、ストッパ部材18の爪19は、ロックレバー6よりも後方側にあるので、接触することなく通常の動作を行う。
【0010】
自動車が後ろから衝突されたような場合は、図4に示すようにバックドア1のアウタパネル15が、車体の前方側に変形する。すると、アウタパネル15とロックレバー6の間に配設されているストッパ部材18がアウタパネル15に押され、該ストッパ部材18も前方に変形し、その上端部に形成されている爪19が、ロックレバー6の指状レバー6a,6bの間に入り込む。この際、テールメンバ10が上方に変形しても、爪19がロックレバー6のアンロック方向の回転を規制する。
【0011】
したがって、ラッチ装置7のラッチ8がストライカー9の軸部を噛合する状態が維持し続けられ、バックドア1は、ロックされたままとなる。通常の後方からの衝突では、バックドア1が変形してからテールメンバー10が上方に変形するので、確実にストッパ部材18は、ロックレバー6を係止することができる。
なお、自動車のバックドア1などの構造によって異なるが、本実施の形態では、バックドア1のアウタパネル15とストッパ部材18との隙間は、約3mmであった。
【0012】
このように、本実施の形態では、バックドア1が後方から衝突された場合に、バックドア1が開放されないので、荷台の荷物が車外に投げ出されることがない。後方からの衝突に対して、初期のアウタパネル15の変形によりドアロック解除を防止してしまう。したがってその後の車体の複雑な変形に影響されることなくドアの開放を防止できる。また、ストッパ部材18の爪19と、ロックレバー6の位置関係を常時一定にすることができ、衝突時に確実に効果が得られる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、勿論、本発明はこれに限定されることなく本発明の技術的思想に基いて種々の変更が可能である。
例えば、上記実施の形態ではワンボックスタイプのバックドアを例に上げたが、ハッチバックタイプのバックドアなど、広く適用が可能である。
また、上記実施の形態ではロックレバー6をストッパ部材18が係止することにより、ドアロック状態を維持させたが、連結ロッド5に車体幅方向に突出する部材を取付け、ドアの変形時にその突出部の動きをストッパ部材が係止するようにしてもよい。
【0013】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の車両用バックドアのドアロック構造によれば、バックドアの下部の内部に配設され、バックドアの閉状態を維持するロック装置と、一端がバックドアのドアハンドルに接続された連結ロッドと、上記ロック装置及び上記連結ロッド間に接続され、連結ロッドの上下運動を回動運動に変えるとともに、該連結ロッドの作動を受けてアンロック方向に車両前後方向を軸として回動し上記ロック装置のドアロックを解除するロックレバーとを備えた車両用バックドアのドアロック構造において、上記ロックレバーは、上記ロック装置の取付金具に設けた車両前後方向に延在する固定軸に軸支されるとともに、該固定軸に対して垂直で上記固定軸から放射状に延びる方向に突出形成された指状レバーを有し、上記ロックレバーの揺動を規制する板金製のストッパ部材が、上記ロックレバーに対して車両後方側で、上記ロックレバーと上記バックドアの車両後方側となるアウタパネルとの間に、板金平面を上記固定軸に対して略垂直に配設され、上記ストッパ部材は、その上端部を車両前方側に曲げることにより上記ロックレバー側に突出する爪部を有するとともにその下端部が上記取付金具に固定されており、上記爪部は、バックドアがロック状態での上記ロックレバーの位置より僅かにアンロック方向側に対応する位置で、その先端部が上記ロックレバーの回転と干渉しないように、車両前後方向で上記ロックレバーと僅かに隙間を開けた後方側に配置され、ドアが変形するような衝撃を外部から受けた場合に、上記バックドアの上記アウタパネルが車体の前方側に変形すると、上記ストッパ部材が上記アウタパネルに押され、上記ストッパ部材が前方に変形し、その上端部に形成されている上記爪部が、上記ロックレバーの上記指状レバーの間に上記固定軸の軸方向から入り込むことで、該ストッパ部材の端面部分が、上記ロックレバーの回動方向に対して略垂直に交差しながら上記指状レバーと当接し、上記バックドアの変形の際に、上記ロックレバーの回転を止めるように構成しているので、上記バックドアが変形するような衝撃を外部から受けても、ロック機構が衝撃による誤動作で解除され、上記バックドアが開放されることがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態による車両用ドアロック構造を採用している自動車を後方側から見た斜視図である。
【図2】図1の自動車のバックドアを側方から見た断面図である。
【図3】図1の自動車のバックドアに設けているドアロック機構を車室内方向から見た正面図である。
【図4】図2のバックドアが衝突により変形した後の断面図である。
【図5】従来の車両用ドアロック構造を自動車のバックドアの側方から見た断面図である。
【図6】従来のバックドアに設けているドアロック機構を車室内方向から見た正面図である。
【符号の説明】
1 バックドア
2 ロック機構
3 カバー
5 連結ロッド
6 ロックレバー
7 ラッチ装置
8 ラッチ
9 ストライカー
14 ドアハンドル
15 アウタパネル
18 ストッパ部材
19 爪
20 ベース板

Claims (1)

  1. バックドアの下部の内部に配設され、バックドアの閉状態を維持するロック装置と、一端がバックドアのドアハンドルに接続された連結ロッドと、上記ロック装置及び上記連結ロッド間に接続され、連結ロッドの上下運動を回動運動に変えるとともに、該連結ロッドの作動を受けてアンロック方向に車両前後方向を軸として回動し上記ロック装置のドアロックを解除するロックレバーとを備えた車両用バックドアのドアロック構造において、
    上記ロックレバーは、上記ロック装置の取付金具に設けた車両前後方向に延在する固定軸に軸支されるとともに、該固定軸に対して垂直で上記固定軸から放射状に延びる方向に突出形成された指状レバーを有し、上記ロックレバーの揺動を規制する板金製のストッパ部材が、上記ロックレバーに対して車両後方側で、上記ロックレバーと上記バックドアの車両後方側となるアウタパネルとの間に、板金平面を上記固定軸に対して略垂直に配設され、上記ストッパ部材は、その上端部を車両前方側に曲げることにより上記ロックレバー側に突出する爪部を有するとともにその下端部が上記取付金具に固定されており、上記爪部は、バックドアがロック状態での上記ロックレバーの位置より僅かにアンロック方向側に対応する位置で、その先端部が上記ロックレバーの回転と干渉しないように、車両前後方向で上記ロックレバーと僅かに隙間を開けた後方側に配置され、
    ドアが変形するような衝撃を外部から受けた場合に、上記バックドアの上記アウタパネルが車体の前方側に変形すると、上記ストッパ部材が上記アウタパネルに押され、上記ストッパ部材が前方に変形し、その上端部に形成されている上記爪部が、上記ロックレバーの上記指状レバーの間に上記固定軸の軸方向から入り込むことで、上記ストッパ部材の端面部分が、上記ロックレバーの回動方向に対して略垂直に交差しながら上記指状レバーと当接し、上記バックドアの変形の際に、上記ロックレバーの回転を止めるように構成していることを特徴とする車両用バックドアのドアロック構造。
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